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SEOライティングのセオリー、7つの絶対ルール

SEOライティングのセオリー

クライアントのWEBサイトを構築したり、コンテンツを追加したりする際、WEB制作会社はあらかじめどのようなキーワードで上位表示させるか対策を練る。
事前に設計したコンテンツのコピーライティングにおいても、最終仕上げとして「SEOライティング」を施してブラッシュアップすることで、より上位表示の可能性を高める努力を行う。一般的なコピーライティングだけでは、検索エンジンに評価されにくいからだ。

もし、あなたの担当するWEBサイトが、検索エンジンから評価されていないのであれば、SEOライティングの特別なテクニックを学ぶべきだ。

検索エンジンに評価されにくい、とは言い換えるとデータを解析しづらい、分かりにくいということだ。人間の読解力で理解しやすい文章と検索エンジンが理解しやすい文章とは相容れる部分もあるが、相反する部分もある。
コンテンツは検索エンジンのために作っているわけではないから、上手く両者を共存させていくのがSEOライティングだともいえる。

視点を変えながら、あなたのページに少し手を加えるだけで、秘められたポテンシャルが検索エンジンから正当に評価され、劇的な上位表示が可能になる。SEOの目的である集客にも貢献するようになる。
あなたにも、担当するWEBサイトへのマーケティング施策としてぜひ真剣に取り組んでほしい。

1.ページ上部を有効に活用する

ページ上部を有効に活用する

Googleの評価アルゴリズムは英語圏で開発され続けているものだ。ということは、英文のコピーライティングのマナーに則した方法で文章を評価していると考えるのが自然だ。

日本語の文章とは異なり、英文の文章は結論を先に書くことが多い。だとすればGoogleは、結論=重要なキーワードを含むコピーは文章全体の序盤にあると考えているわけだ。あなたが作ったページ上部、つまりリードコピー部分に、検索エンジン対策で狙ったキーワードが適切に配置されているだろうか。

SEOライティングのセオリーその1
狙ったキーワードは、ページ冒頭に必ず配置しよう。

2.見出しの直後にも、SEOキーワードを配置

見出しの直後にも、SEOキーワードを配置

リードコピー部分に対象キーワードを配置するのと同じ理由で、ページの途中にある見出しの直後に近い部分にも対象キーワードを配置すべきだ。

SEOライティングでは、結論に至る根拠を挙げ、証明しながら最後に結論を書くのはNG。まずキーワードを含んだ結論を先に述べ、追って結論を証明するための根拠を書く。

SEOライティングのセオリーその2
狙ったキーワードは、見出し直後にも配置しよう。

3.見出し(Hタグ)を有効に使う

見出し(Hタグ)を有効に使う

SEOライティングでもっとも重要なセオリーが、各パラグラフの先頭に位置する見出しに、狙ったキーワードを含めるということだ。

不自然に対象キーワードをねじ込むのは、読みづらくなってしまうだけだが、狙ったSEOキーワードを含めつつ「引きの強い(※)」見出しに加工する必要がある。WEBライターの腕の見せどころだといえるだろう。

また、WEBサイトでは、見出し=Hタグだ。
HTMLは階層構造で論旨を展開するので、文頭からH3タグが配置されていたり、Hタグの順がなっていなかったりすると、検索エンジンが正確に文章構造を把握できなくなってしまう。HTML文法も間違わずに記述しよう。

SEOライティングのセオリーその3
狙ったキーワードを見出しに含め、読み進めたくなるものにしよう。

※引きの強い
引きが強い。営業用語で、ターゲットの反応が良いことを指す。

4.専門用語を使ってもいい

専門用語を使ってもいい

検索エンジンは、あなたがスペシャリストであるかどうかを気にしている。検索者にとってあなたのWEBサイトが有益な情報源であるかを判断するためには、専門家であるかどうかも重要だからだ。

しかし専門家だからといって、専門用語を使うべきだと言っているわけではない。内容を理解できるコアなファンだけが集まるWEBサイトだったり、平易な言葉で記述すると間違った解釈を誘ってしまうような場合には、積極的に専門用語を使べきだということだ。

また、「共起語」を散りばめておくことも忘れてはいけない。
共起語とは、あるキーワードを文章に盛り込んだ際に、その文章内でたびたび表記されるようになる単語のことだ。たとえば、「便秘」が文章中に出てきたのであれば、その前後に「解消」「改善」「冷え」といった単語が必ず現れる。

1つのキーワードだけが唐突に表記されていても、Googleは評価しない(というか、Googleの上位表示アルゴリズムは、共起語をヒントに対象キーワードに対する評価システムが稼働していると思われる)。

SEOライティングのセオリーその4
専門用語を使うことで、検索エンジンに「専門家」と認識させよう。

5.指示代名詞を使わず、SEOキーワードを繰り返す

指示代名詞を使わず、SEOキーワードを繰り返す

検索エンジンの評価アルゴリズムは、人間の目による評価ほど正確ではない。人間であれば、文章中に「あれ」「それ」「彼」といった指示代名詞を使っていても何を指しているのかを推測しながら読み進めることができるが、評価アルゴリズムはその域まで達していない。

だから、特に対策キーワードを指し示す指示代名詞は極力使わないようにし、検索エンジンが評価しやすい形に加工してやることが必須なのだ。

ただし、あまりにもキーワードを繰り返すのは避けるべきだ。
たとえば、「ホームページ制作は、専門のホームページ制作会社に任せた方が、質の良いホームページができあがります」では、早口言葉のようで読みづらいし、意味を理解するのに時間がかかる。
検索エンジンは、シソーラス(類義語)辞書を持っている。ホームページならWEB、ウェブといった言い換えられたキーワードも同じ意味として把握してくれるのだ。だから、同じキーワードばかりを繰り返すのではなく、ときに言いかえをしてみることにもトライしてほしい。

SEOライティングのセオリーその5
狙ったキーワードを示す代名詞は使わない。

6.具体的な言い回しで、分かりやすくを心がける

具体的な言い回しで、分かりやすくを心がける

ネットで情報を探すとき、あなたは記事を最初から最後まで「読んで」いるだろうか。
筆者は、よほど趣味的なことを探している場合は別として、WEBサイトを一言一句もらさず読み通すことはしない。ほとんど斜め読みに徹する。そうしないと、読書しているのと同じことになり、情報を「探している」ことにはならないからだ。

おおよそWEBページは、このように「チェック」されるもので、じっくり読まれるものではない。このことを考慮すれば、叙情的に読み手に推測させるような言い回しは避けるべきだという結論になる。できるだけ具体的な見出しで、ザッピングできるように書くことが大切なのだ。

関連して、冗長な言い回しも避けたほうがいい。
たとえば、「することが可能になる」は「できる」で十分だ。意味が間違っていなければ、簡潔である方が斜め読みしやすいからだ。

SEOライティングのセオリーその6
斜め読みしやすいように、具体的な言い回しで書く。

7.検索者から感謝される記事を書く

検索者が感謝する記事を書く

Googleは、コンテンツの内容も評価している。「コンテンツ イズ キング」といわれる所以だ。

考えてみてほしい。相手は世界有数の頭脳を集めた精鋭たちだ。我々がちょっと考えてひねり出した生半可な思いつきで、彼らを欺けるわけがない。評価アルゴリズムはまだ人間の目による評価にはかなわないが、その精度は日々進化している。

今回紹介したテクニックによって検索上位にランクされるコンテンツは、ポテンシャルが十分なコンテンツに限られる。ポテンシャルがあるコンテンツとは、検索ユーザーに評価される記事のことだ。

あなたのWEBサイトにあるページを狙ったキーワードで上位に表示させるためには、まずは検索ユーザーから評価されるコンテンツを生み出すことだ。そのうえでSEOライティングのセオリーを追加すれば、どんな競合サイトも恐れることはないだろう。

SEOライティングのセオリーその7
まず検索ユーザーから評価されるコンテンツをつくることを意識しよう。

あなたのコピーがガラリと変わる、誇張表現の3つの作法

あなたのコピーがガラリと変わる、誇張表現の3つの作法

商品の良さを伝えるコピーづくり。他社よりも優れているのは事実なのに、なかなかそれを伝えることができなくて、四苦八苦しているコピー担当者は多いだろう。
「とてもおいしいです」では食べてもらえず、「ぜひ来てください」では来てもらえない現実に、どう対処していけば良いのだろうか。
その答えとなりうる文章表現のテクニックのひとつが、「誇張表現」である。「それほどまでにすごいのなら、食べてみたい」「行ってみたい」と思わせる、コピーを書く際にはなくてはならない存在だ。
「誇張表現」についてお伝えするなかで、参考になりそうな例もなるべく多く挙げてみたい。コピーの書き方で悩める担当者のお役に立てば幸いだ。

買う気のない人に、つい買わせちゃうコピー

買う気のない人に、つい買わせちゃうコピー

「誇張表現」とは、現実ではありえないような、大げさな表現で伝えること。
あ、今な〜んだと思った人、即刻態度を改めていただきたい。ほうほう、と身を乗り出した人、(もしいたとしたらだが)そうそう、その調子。
それほど誇張表現には劇的な効果がある。あなたもその効果を目の当たりにしたことがきっとあるはずだ。

ある雑貨店で見かけた、海苔の商品POP。買う気も必要もなかったのに、コピーを読んだ瞬間、思わず買い物かごに入れてしまった。その文面がこちら。
「ノリの違う海苔。パンチの効いた味と海苔にあるまじきしなりが生み出す食感に、はまる人が続出するご当地海苔。一度食べるともう他の海苔に浮気できません」
むむ、海苔にあるまじきしなり!?浮気できなくなる?海苔好きの筆者としては、これはもう食べるしかない!と思ってしまった。
これが「食感の良さが特徴です」などと書いてあったら、買い物かごに入れることはなかっただろう。
誇張することをバカにしていると、「つい買わせちゃう」コピーを書くことなんてきっと夢のまた夢なのだ。

誇張することで、読み手にぐっと近くなる

誇張することで、読み手にぐっと近くなる

「誇張表現って、大げさに書き立てて、読み手をあおることでしょう?いやだな、そんなの」というあなた。平坦なコピーであれば誰からもダメ出しされない代わりに、売れることもない。また、読んでおもしろくも何ともない。買いたい気持ちがあって商品の説明を読みに来てくれた人に対して、そんなものを読ませるのは不親切ではないだろうか。
たとえば、下記のような商品コピーがある。

A.
八ヶ岳山麓に佇む高原リゾートです。豊かな自然と、イタリアの有名建築家による建築デザイン、そして地元八ヶ岳の食文化。お子様連れでもくつろげるファミリーリゾートをコンセプトに、さまざまなアクティビティをご用意しています。

B.
日本を代表するデザインホテルはお洒落な宝箱。大波が寄せるプールやブックス&カフェ、鮮やかな高原イタリアンにスパトリートメントなど極上の休日スタイルが。ファミリーも惹きつけるアクティビティの数々に心躍ります。(星野リゾート)

Aは最初から最後まで平坦で優等生的な表現だが、Bは「宝箱」「極上の」「心躍ります」といった誇張的な表現が入っている。そうすることで文章に強弱がつき、商品もイメージしやすくなり、結果的に読み手にフレンドリーになっている。

他にも、グルメリポートで有名な彦摩呂さんの名言も誇張表現である。
「肉汁のナイアガラや〜」なんて笑ってしまうけれど、とんでもない量の肉汁がじゅわ〜っとあふれている画がすぐに思い浮かぶ。誇張表現には、良さを伝えるだけでなく、ラクに読めてコピーを面白くするというメリットもあるのだ。

エレガントに誇張するための3つの作法

エレガントに誇張するための3つの作法

商品を説明するコピーに誇張表現を使うとき、気をつけたいことは3つある。

1つめは、誤解を与えるような誇張はしないこと。
言うまでもないことではあるが事実でないことは書かない。少しの想像や願望が混じってもいけない。事実から発想してオリジナルの表現で書く、これは書き手として最低限のマナーであり、ルールだ。
また、「抜群の」とか「最高の」といった言葉を使う場合には、比較対象となるものがはっきりしていなければならないので気をつけよう。
効果的に、しかも正しく誇張表現をするためには、商品に対する深い知識と愛情が必要不可欠なのだ。

2つめは、誇張するポイントを吟味すること。
誇張表現は正しく用いれば素晴らしい薬だが、誤用すれば毒になる。
ポイントを絞らず全体的に誇張すると、急にうさんくさいコピーになってしまう。その商品の優れた点や、なぜ優れているのか、その理由…。スポットライトを当てたいポイントを絞り、そこに向かってバシッと効かせるようにしたい。

3つめは、決まり文句に頼らないこと。
オリジナルの表現で、できるだけ具体的に誇張することだ。使い古された常套文句では、読み手に「!」と思わせる劇的な効果が得られないからである。

参考のために、良例をいくつか挙げてみたい。

  • もちろん、マグロも申し分なくおいしいのだが、ボラの卵、特に「イル・バカロ」のパスタは、今までの経験を吹き飛ばすぐらいのレベル。
    ——平松玲「ローマでお昼ごはん」より
  • キャップを取ると、磨き込まれた流線型のペン先が現われ、それは見ているだけでも胸が高鳴るほどに美しく、持ち手の裏側にはその曲線によく似合う筆記体で、私のイニシャルYHが彫ってあった。
    ——小川洋子「偶然の祝福」より
  • 今振り返っても、博士が幼い者に向けた愛情の純粋さには、言葉を失う。それはオイラーの公式が不変であるのと同じくらい、永遠の真実である。
    ——小川洋子「博士が愛した数式」より
  • いや、そのトマトは本当においしかったですね。もちろん暑さの盛りで、喉がからからだったということもあるんだろうけど、その自然な香ばしさ、汁気の多さ、さくっとした歯触り、美しい色、どれをとっても、僕がこの生涯で食べた最高のトマトだった。太陽の匂いが芯まで惜しみなくしみ込んでいた。
    ——村上春樹「村上ラヂオ3」より

これらの例は、誇張している部分だけを切り取ると、聞いたことがあるフレーズかもしれない。しかしオリジナリティや具体性は少しも損なわれていない。
なぜかと言えば、対象への観察のきめ細かさ、いかに独自の視点で深く鋭く対象を見ているか、が伝わる文章だからである。
誇張そのものではなく、「誇張されている内容」を大切にすること。そこに気をつければ、大げさに言っても嫌味がなく、受け入れてもらえるコピーができあがる。

誇張の参考表現、例あれこれ

誇張の参考表現、例あれこれ

商品の良さを伝えるセールスコピーでは、誇張表現をうまく使いこなせるかどうかが売上を左右するといっても過言ではない。
特に、避けて通れないのが「最高程度を表す誇張」の表現だ。
「うちの商品がすごいことは確かなんだけど、それを伝える言い方が思いつかない…」
そんな担当者に、手っ取り早く参考にしてもらえそうな広告の例を以下に集めてみた。先に挙げた注意点を念頭におきながら、すごさが伝わる誇張表現のヒントにしてほしい。

《誇張表現の例》

  • メルセデスの思想と情熱が創り上げた、ラグジュアリーSUVの最高峰。(メルセデス・ベンツ)
  • 醸造家が夢見た、心が震えるほどにうまいビール。半世紀の時をかけ、ついに。(サントリー)
  • お茶の贅沢を味わい尽くす、至福の風味。(ロイヤルブルーティー)
  • この上ない、幸せ。この上ない、ヱビス。(サッポロビール)
  • 希少な素材から創られるあらゆるパーツは、すべてが熟練の職人の手作業によって丹念に組み立てられます。 (パーカー)
  • 日本旅館では、宿それぞれに、歴史、伝統、技、美意識、創造力と趣向を凝らして、お客様をお迎えします。無駄のない小さな空間を磨き上げ、おもてなしを随所に散りばめ、細部まで創り上げられた、宿それぞれの独自の世界。(星のや東京)
  • 荘厳ともいえる佇まい、その比類なき響き。演奏者が求める最高レベルの音楽表現を約束します。世界中の偉大なピアニストたちや音楽大学から圧倒的な支持を受ける、スタインウェイのフラグシップモデルです。(スタンウェイ・ジャパン)

人を説得するパワーに満ちた表現とは

人を説得するパワーに満ちた表現とは

「誇張表現」は、比喩のテクニックのひとつである。非常に程度の大きいものに、もとの何かをたとえることで、その程度の大きさを実感をもって伝えるのが誇張表現だ。何と何を結びつけるかは、『書き手は何と何を似ていると思うのか』とほぼ等しい。
自分であがいて「コレとコレ、似ている!」と発見する、そのとき生まれる感動には、人を説得するオリジナリティや鮮度、パワーがあふれている。一方、人まねや使い古された表現は、残念ながらそのパワーが極めて弱い。

どこかから誇張表現をとってきて、自分のコピーに当てこんでみても、うまくいかない理由はそこにある。
人を説得するパワーにあふれたコピーを書くためには、まずは愛情を持って商品を観察し、独自の切り口で、人に伝えたい美点を見いだすこと。そしてそこから受けた感動にそっくりな記憶を、とにかく自分の引き出しの中から探し出すことなのだろう。
的確で独創的なたとえは、読んで楽しく、気持ちがいい。そういうコピーに接すると、筆者などは喜んでお財布の紐を弛めてしまうのである。

コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条(後編)

4.納得を得られるポイントを具体的に書く

知らなかった事実、比較物との差を示され、思わず「へぇ~!」と大きく頷いた経験は誰にもあるはずだ。
私たちは予想外なことに遭遇すると、動揺してしまう。明らかに直前とは異なった気持ちになっているのだ。今まで常識と考えていたこととのギャップが大きければ大きいほど、その揺れ幅は大きくなる。

この「揺れ」が衝動買いを誘ってくれる。
あなたが用意した、従来品との差を示すデータや、予想もしなかった便利ポイント、価格、それによって得られるベネフィットが、ターゲットの納得できるものであれば、説得はできる。

予想を裏切るポイントが小さくても、従来品の不満を解消したり、軽減したりするものであれば、必ず共感を呼ぶ。WEBサイトを訪れるターゲットのなかには、もう購入することが決まっていて、ほんの少し背中を押して欲しいだけの人も多くいるのだ。あなたのひとことが購入を決定的にさせるのだ。

5.失敗しない(事実)ことを伝える

失敗しない(事実)ことを伝える

あなたのWEBサイトに訪問したターゲットが、あちこちのWEBサイトで商品をチェックしている理由は、失敗したくないからだ。
失敗したくないポイントは人それぞれ。価格であったり、商品スペックだったり、納期だったり。

2時間かけてネットで調べまわった結果、300円安く商品をゲット。しかし自分の時給を考慮したら5,000円の赤字。最初に見つけたショップで買えばよかった・・・。

しかし人は、自分が納得するための時間を惜しまない。
あなたは、ターゲットが買うべき商品が失敗しようのない、間違いのないものであることを伝えるのだ。心配など不要で、先に買ってくれた○○さん、○○さんも満足していることをコピーライティングに盛り込もう。ターゲットが時間をかけてネットを見て回った結果、この商品を見つけたことは、時間を惜しまず努力したご褒美でもあるのだと、背中を押してあげよう。

6.ターゲットに「あなた」と呼びかけてみよう

ターゲットに「あなた」と呼びかけてみよう

コピーライティングの心得として、明確なターゲットを思い浮かべろといわれる。たとえば、あなたのターゲットが「30代半ばのサラリーマン男性」なら、ネットでそれっぽい人の写真をダウンロードして、コピーライティングする際に、モニターの横に貼っておくのだ。
そうすると、頭のなかだけで考えるより、もしこういう言い回しをしたら、この人はどう反応するだろうとイメージしやすくなる。

それをもう少し進めて、具体的なターゲットをイメージしながら、コピーで「あなた」と呼びかけてみる。そう呼びかけると、目の前の人に伝えている感覚が強くなるので、我々の脳は自動的にイメージ像から離れた言葉や言い回しを使わなくなる。
筆者が思うに、我々の脳はGoogleの自動運転システムより賢い。ターゲットを「あなた」と呼ぶだけで、あなたが試行錯誤しながら書き綴るコピーライティングをコントロールしようとするのだから。

馴れないうちは、コピーの随所に「あなた」を連発させればいい。そうすれば、あなたの主張は細やかな配慮あるものになっていく。あちこちに散在する「あなた」は、最終的に削ってしまえばいいだけの話だ。

7.何をすべきかを伝える

何をすべきかを伝える

売れるコピーライティングでもっとも大切なのは、ターゲットの行動を促すことだ。
一生懸命推敲を重ねたコピーライティングに心を動かされたターゲットが、「この商品を買うには、何をしたらいいの?」と質問をしたという笑い話がある。ターゲットが何をすべきかを質問する前に、「このすばらしいサービスを手に入れるために、あなたは○○をするしかない」と訴えかけよう。

アメリカ大統領の典型的なスピーチには、決まった流れがある。自分の体験、身近な人のことを取り上げ、問題となっている現状を伝え、最後の下りで「国民は○○してほしい」と訴えるのだ。明確な行動を促すのは、リーダーの大きな役割なのである。

商品の販促を行うためにコピーライティングを行っているのなら、アメリカ大統領と同じようにターゲットに行動を促すパラグラフを加えよう。

とにかく書く。冷静になる。の繰り返し

とにかく書く。冷静になる。の繰り返し

筆者は、コピーライティングは書く、反省する、の繰り返しをどれだけ続けられるかで出来が決まると考えている。
盛り込まないといけない情報、ターゲットの分析結果を踏まえ、思いのたけをぶつけてみる。とにかく、初稿は荒削りなまま、まさに書きなぐるのだ。書いているうちに、異なる視点が思い浮かんだりもする。
書きあがったコピーは、きっと熱い思いが詰まったものであるはずだ。

しかし大切なのは、ヒートアップした気持ちをアイシングして冷静な状態に戻すことなのだ。
時として一気に書き上げたコピーは、思いが先走りすぎて、伝わらないものになっている可能性がある。PCの電源をいったん落とし、24時間後にもういちど読み返そう。もしくはだれかほかの人に読んでもらおう。
きっと昨日気付かなかったポイントが見えてくる。

たくさんの守るべきポイントに気をつけながら進めていくコピーライティングは、地味な作業に見えるかもしれない。しかし世の中の仕事で、地味でないものなどない。売れるコピーを書くために、コツコツと他社がやっていない努力を積み重ねてほしい。

「コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条」前編

コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条(前編)

コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条

コピーライティングは、テクニックさえつかんでしまえば決して難しいものではない。
ただし、イメージ広告を生業とするようなプロのライティングと比べているのではなく、ネットであなたの会社の扱う商品やサービスを売るためのコピー、という意味でのことだ。

あなたはプロのライターではないのだから、誰もが感心する美文にまでコピーライティングを極める必要はない。商品を紹介するコピーが洗練されていなくたって、言い回しがこなれていなくたって、要は商品が売れればいいのだから。
まずはそのレベルでOKなら、これから紹介するテクニック、心構えを習得すれば、実戦で成果を出せるようになるだろう。

エッセンスだけをまとめるつもりが、思いのほか長文になってしまった。
しかし、サラッとポイントを説明するだけでは、せっかくこのコラムを見つけてくれたあなたに申し訳ない。読み切れる長さに分割し、前後編でお届けしようと思う。

1.情報を整理整頓しておく

コピーライティングの基本は、書きだす前に情報を整理しておくこと。具体的には、

  • 1-1.ターゲットの具体像を細かく描いておく
  • 1-2.商品がターゲットにもたらす利点を挙げる
  • 1-3.話の組み立てを行う
  • 1-4.これらを結び付けるアイデアを考えながら構成を進める

情報が整理できていないと、コピーライティングは散漫なものとなってしまい、読み手の頭のなかには次々と疑問符がわいてくる。結果、商品紹介のコピーに集中できなくなってしまうので、説得するに至らずWEBサイトから誰もいなくなってしまうのだ。
このようなことにならないために、情報をきちんと整理することからはじめたい。言葉を選ぶまえに行うことはまず準備だ。

1-1.ターゲットの具体像を細かく描いておく

ターゲットの具体像を細かく描いておく

いわゆる「ペルソナ(象徴的なターゲット像)」を設定しておこう、というものだ。ターゲットはできるだけ具体的なほうがいい。イメージが合っているなら、隣席の同僚でいい。そのほうが想像しやすい。こう伝えたら、彼は興味持つよな・・・といったことをイメージするための手段だ。

たとえば今朝、当社の若手スタッフが持ち込んだコラムのタイトルは「○○○(映画のタイトル)に学ぶプロの交渉術」。彼は、メジャーではない映画の主人公である弁護士の交渉術にスポットを当てたコラムを書こうとしていた。
しかし、粗書きの原稿には映画のシーンが紹介されている。

筆者には、すぐに「読み手は誰?」という疑問がわいてきた。

映画評であれば理解できるが、タイトルから推測するに彼の意図はそこにはないはずだ。キーワード「プロの交渉術」を調べたいと思う人が偶然にコラムを見つけ、そこからプロフェッショナルな交渉とはどういうものかを学ぼうということを想定したものである。

ならば想定できるターゲットは、このような人物か。
営業職についたばかりの新卒社員。男性が多いはず。交渉術などというキーワードで検索するぐらいだから、交渉の結果次第で利益額が上下するようなタフな事業の会社にいる。B2Bだろうな。新卒なら、そんなタフな毎日に多少疲れているかもしれない・・・。

当社の若手スタッフが書くべき内容は、ターゲットを想定しないときよりも鮮明になり、あてもなく推敲することはなくなるので、格段に筆が進むようになるのだ。

1-2.商品がターゲットにもたらす利点を挙げる

商品がターゲットにもたらす利点を挙げる

ここでいう利点とは、商品スペックに挙げるような特性のことではない。業界用語で「ベネフィット」と呼んでいるものだ。ベネフィットとは、商品を使うことによって、得られる理想の状態のこと。
たとえばカメラを買うとき、私たちは1,200万画素のスペックを買うのではなく、そのカメラで撮った家族旅行の写真を夕食を食べたあとで、ワイワイ言いながら楽しむためにお金を払う。

コピーライティングは、その商品を持つことによってもたらされる具体的な状態を伝えるためのものだ。あるときは、ターゲットが想像すらしていなかった理想を伝え、またあるときは彼らの悩みをズバリ言い当て解決する術を授ける。
あなたが選んだ言葉に、もしかすると思わず涙してしまう読み手が出てくる可能性さえあるものだ。

1-3.話の組み立てを行う

話がうまいなと感じる人の話術は、話す内容をうまく組み立てている。立て板に水を流すようになめらかに話す人でも、内容がなければ感心するまでには至らない。初めは引きつけられるが、途中で内容がないことに気づいてしまうと、スッと素の自分に戻ってしまう。

話の組み立てをうまく行えば、あなたの言いたいことが読み手の頭にスムーズに入っていく。読み手にスッと素の自分に戻るスキを与えないようにすることだ。

WEBサイトで使う基本は、結論 → 理由 → 説得の順番だ。
とにかくネットのユーザーは、せっかちだ。自分のためになる情報を探し回っているのだから、WEBページの冒頭数行を読んだだけですべてを判断してしまう。だから、あなたがターゲットをWEBサイトにとどめておくためには、とにかく結論を先に差し出すことが重要となってくる。

あなたの差し出した結論に興味を持ったターゲットは、「なぜそんなことになるんだ?」と理由を尋ねてくる。もっともな理由をさらに示せば、またさらに・・・といった具合に、彼らはあなたの思い描いたストーリーにはまり込んでいくわけだ。

1-4.これらを結び付けるアイデアを考えながら構成を進める

話の組み立てはできていても、大きなベネフィットのアイデアを思い付いても、これらをピタッと結び付けられなければ、読み手は違和感を覚えてしまう。

余計なことを考える暇を与えないほどスムーズに次のパラグラフに進めるような「流れ」になるよう、あなたの素晴らしいアイデアを結び付けておこう。
といっても、まったくバラバラの内容をむりやり結びつけるのは骨が折れる。それぞれのアイデアを結びつける作業は、前述1~3の作業を進めながら行う方が効率的だ。

2.あなたのコピーに格好良さは必要ない

あなたのコピーに格好良さは必要ない

良いコピーライティングとは何かと尋ねられれば、筆者は「商品が売れるコピー」と即答する。極論ではあるものの、コピーライティングに格好良さは必要ない。
書き始めたばかりの人が間違いがちなのは、有名なコピーライターが書いた名文に心酔してしまい、良いコピーとはこういうものだと思い込んでしまうことだ。
世の中で名文と紹介されているコピーすべてが結果を出しているわけではない。コピーライティングとしては名文かもしれないが、商品が売れない「駄作」も存在することを知っておいてほしい。

名文=商品が売れるコピーと思い込んでしまっている人が陥るのは、意味のない美辞麗句を並べ立てただけのコピーを書いてしまうこと。

究極のトマト。口にする誰もを別世界へ誘う。

たいそうなトマトなのだなとは感じるが、薄っぺらいこと、このうえない。
そもそもこのコピーでは、「トマト」であることしか分からないし、「考えるの、面倒くさかったのか?」とツッコミを入れたくなってしまうほど、ひどいものだ。

ターゲットが知りたいことは、

  • おいしいトマトとは、どういうものなのか?
  • 食感は?
  • なぜおいしくなるのか?
  • 安全なのか?
  • どう食べればよりうまくなるのか?

であって、あなたが知っているありったけの美辞麗句で商品を飾りたてても、買ってほしい人にはノイズにしか聞こえない。甘さに特徴があるのなら、「糖度」という絶対基準があるし、食感を伝えるなら、イメージしやすいものに例えてはじめて商品の良さが伝わるようになるのだ。

ターゲットが知りたがっていることにていねいに対応し、彼らが望んでいる商品であることを上手く伝えれば、今朝農協に500円で卸したトマトも、5,000円で直販できるようになるかもしれない。

3.やさしい言葉で書く

やさしい言葉で書く

難解な言いまわしやキーワード、専門用語が並ぶコピーは、読んでいて肩がこる。ネットの醍醐味である「情報のザッピング」速度も極端に落ちてしまう。ターゲットが、あなたの書いたコピーを一言一句漏らさず読んでくれるなどと思わないでほしい。「ちゃんと読んでくれ!」とTVCMで訴えても、新党を立ち上げ国会で過半数の議席を獲得したとしても、ネットユーザーの斜め読みは変えようがない。

だから、斜め読みしても、おおよその意味がつかめるやさしい言葉を使ってコピーライティングしよう。
アウトドアブランド・モンベルの創業者である辰野勇氏は、「誰にでも最初の一歩がある。商品を紹介するときには、その一歩を踏み出した人にも分かるように伝えるべきだ」と語っている。

「コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条」後編(近日公開予定)

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差

どんなキャッチコピーが人々の意識にとまり、購買や来店など実際のアクションにつながるのだろう。

残念ながら正解はコレだ、とひとくくりに断定することはできない。あるときは正解でも、また別のシーンでは不正解になることもあるからだ。ただ、他を押しのけて目立とうとするだけのキャッチコピーや、単に商品のメリットを並べ立てるだけのキャッチコピーは、確実に不正解だと言い切ることができる。

このコラムでは、街で見かけた残念なキャッチコピーからダメな部分を学びつつ、名作と言われるキャッチコピーを例に挙げ、心にとどくコピーたちの共通点を探していきたい。
あなたがもし自社製品を売り込むためのコピー作りに頭を悩ませているのであれば、残念なキャッチコピーたちと同じ轍を踏まないよう、参考にしていただければ幸いだ。

飾りすぎたコピーは、信用できない

飾りすぎたコピーは、信用できない

次のコピーを読んでみてほしい。街で見かけたブライダル関連のコピーだ。

『みんなが驚くくらいに輝いて、生涯忘れられない最高に幸せな瞬間を迎えるために。』

一見きれいにまとまっているように思えるが、率直に言って、このコピーが結婚を控えた女性の心に響く可能性は少ないだろう。
分かりやすい問題点は、形容詞や副詞などの「修飾語」が多すぎること。
短い1文の中に、「みんなが驚くくらいに」「生涯忘れられない」「最高に」と、最上級を表す修飾が3つも出てくる。すると、すごすぎて真実味が薄れてしまった。書き手のハイテンションに置いてけぼりにされてしまった受け手は、せっかくのコピーも「そんなわけないでしょ」と聞き流してしまう。

このコピーから形容詞を省いてみると、「輝いて、幸せな瞬間を迎える」。抽象的でありきたりな内容だけが残った。乏しい中身に大げさな形容詞…残念だがそんな売り文句に反応してくれるほど、消費者は甘くはない。

飾っていないけれど心に届く、名作キャッチコピーの例

ではどうしたらよいのか。ポイントは、あいまいになんとなくぼかすのではなく、ハッキリと言い切ること。具体的に言い表す。そういう意味で、キャッチコピーにまず使いたいのは、大げさな修飾語ではなく「動詞」や「名詞」である。動詞や名詞を使うことで、もやもやしていたイメージが具体的に動き出す。自信を持って言い切ったフレーズに、人は「よくぞ言ってくれた」と爽快感さえ感じることがある。

飾っていないけれど心にまっすぐ届く、有名キャッチコピーの例を下記に挙げてみた。どれも動詞できっぱりと言い切ることで力強さが伝わり、背中をどんと押されるような名作だ。

  • あしたのために、いまやろう。(トヨタ)
  • タイは、若いうちに行け。(タイ国際航空)
  • 働いて、強くなる。(リクルート)
  • 諸君。学校を出たら勉強しよう(日本経済新聞)

カタカナ語や難解な言葉は注意が必要

次は電車の吊り広告で見つけたキャッチコピーだ。

『クールにキメるビジネススタイル モテる大人のカジュアルスタイル』

ビジネス服もカジュアル服も両方良いのがありますよ、と言いたいところなのだが、残念ながら今ひとつ頭に入ってこない。カタカナ言葉が多すぎて、読むのが面倒になってしまうのだ。
元々カタカナ語は日本人の概念にないものを表すために便宜的に使用されてきたもの。読解にワンクッションが必要なのは当然だ。ピンポイントで使うのは良いが、使いすぎれば元も子もないことになる。
同じ理由で、何かしらの意図がない限り一般に通用しないような専門用語や難しい漢語などは避けた方が無難だ。

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差、後半は

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言葉の感度を高めるヒントvol.1「似合いの服を探せ!」

言葉の感度を高めるヒント

『どうすればもっと伝わるか、ぐっと深く読み手の心に刺さる言葉は何なのか?』
ビジネスであれ趣味であれ、文章に真剣に携わる人ならいつだって頭の片隅にある命題だ。

文章を書く、とは「頭の中にぼんやりと存在しているメッセージにきちんとした形を与え、誰の目にもハッキリと見えるようにする」行為だ。妥協して似合わない服を着せてしまえば、メッセージがきちんと伝わらないどころか、間違って伝わってしまうこともある。読む人には服しか見えていないのだから当然だ。

「イマイチ似合わないけれど、間違ってはないから、まあいいか」
 → 奥歯にモノが挟まったような、伝わりづらい残念な文章に。
「この子にはこの服しかない!完璧なコーディネートだ!!」
 → 言いたいことの本質がはっきりと描き出された、読み手のこころに届く文章に。

ではどうしたらぴったりの服を見つけてあげられるか?それには、たくさんの言葉を自分の引き出しにしまうこと、頭のなかにたくさんの引き出しを持っておくことだ。
このコラムでは、あなたも引き出しにしまっておきたくなる、言葉に関する小ネタを提供していきたい。

伝えたい思いにぴったりの服(言葉)を着せるということ

伝えたい思いにぴったりの服(言葉)を着せる

まずは「言葉が似合う、似合わないってどういうこと?」という人のために、少し解説してみたい。
たとえば、次の2文を比べてみよう。

A「次々にいろんなことが起こって、まるでジェットコースターみたいだった」
B「次々にいろんなことが起こって、まるでメリーゴーランドみたいだった」

両方とも遊園地の遊具に例えた同じような内容に思えるが、Aは、ジェットコースターのスピード感やスリリングな感じが連想される。Bは楽しそうな感じや浮遊感、次に何が起こるかワクワクして、はしゃいでいるようなイメージが浮かんでくる。
文章力を磨きたいなら、この違いに鈍感ではいけない。Aを使うか、Bを使うかによって読み手に与えるイメージは大きく異なってくる。

言葉の持つニュアンスの違いに敏感になろう

言葉の持つニュアンスの違いに敏感に

このように、同じような言葉でもニュアンスが異なる言葉は山のようにある。
基本的な動詞を例に挙げれば、
「見る」→見つめる、見据える、眺める、見入る、のぞき込む、睨む、一瞥する…
「話す」→語る、言う、述べる、喋る、口に出す、ブツブツ、ペラペラ、トークする…
等々、数え上げればきりがない。

これら一つひとつの言葉が持つバックグラウンドや、醸し出す佇まいが全体の文章を下支えすることによって、文章の質の高さがつくられる。
ひとつ言葉を選んだら、本当にその言葉がこの場面に最もふさわしいのかをもう一度問いかけてみてほしい。もっとふさわしい言葉があるんじゃないか?そんな視点でいつも検証する姿勢を忘れないことだ。
たくさんの候補の中から、「これだ!!」と思える言葉を見つけられたら大成功だ。そんな推敲を経てできあがった文章は、もとの文章に比べ完成度、オリジナリティ、何よりも伝わり方が飛躍的にアップしていることだろう。

言葉をグルーピングすると規則性が見えてくる

言葉をグルーピングする

突然ニュアンスに敏感になれと言われても、今まで気にしたこともなかった人にはハードルが高いかもしれない。
実は言葉が醸し出すニュアンスには、ある程度の規則性がある。ざっくりとではあるが知っておくと、言葉の引き出しを増やすときのよい目印になるかもしれない。

和語(日本古来のことば)
→やさしいイメージ、やわらかいイメージ
例:いきる、いのち、こころ、むすぶ、おもう、あやしい、うつくしい、いわう

漢語(中国から伝わった言葉)
→難しいイメージ、かたいイメージ
例:生命、精神、締結、概念、認識、懐疑、華美、祝福

外来語(カタカナ言葉)
→軽いイメージ、オシャレなイメージ、最先端なイメージ
例:グローバル、ストーリー、ストレス、ルール、ケース

たとえば気軽に読んでほしいカジュアルな文章に、漢字熟語を入れすぎると堅苦しくなってしまう。ファッションに関する内容ならカタカナ語を適度に入れることで、より華やかな世界観を膨らませることができる。

言葉はそれぞれ世界観を持っていて、それはその言葉がどのようにしてでき上がったかによって異なる。それが言葉のバックグラウンドだ。言葉はその背後に、驚くほど広い世界を連れているのだと思う。気になる言葉があれば語源や成り立ちなど調べてみると面白い。

言葉のバックグラウンドまで見据えながら、適切な場所に適切な言葉が選択できると、自由自在に文章のイメージを操れるようになる。いつの間にか、文章を考えるのが楽しくて仕方なくなっているはずだ。

辞書は大切な友達、文章を書くときはいつも傍らに

辞書は大切な友達

文章を書くとき、傍らに辞書を置いている人はどのくらいいるだろうか。
名文家として知られた井上ひさしは、作文教室に辞書を持ってこなかった人に対して、「関ヶ原の合戦に刀や槍をおいて丸腰で駆けつけるようなものだ」と説いたという。

複雑で繊細な日本語を正確に操ろうと思えば、どうしても辞書は欠かせない。迷ったときや行き詰まったとき、暗い道に灯りを掲げ、あなたの手を引いて「こっちだよ」と教えてくれる。とても博学で、何でも教えてくれる親切な友達なのだ。ぜひいつも傍らにおいて、親友になろう。

辞書ならwebでいくらでも引けるよ、とあなたは反論するかもしれない。しかし、webと紙媒体では調べるプロセスに決定的な違いがある。
Webの場合は、入力した言葉に関する情報だけが画面に表示される。調べようとしている言葉以外の情報は意識しなければ入ってこない。対して紙媒体の場合は、調べたい言葉に行き着くまでにページを何ページかめくり、前後の言葉にも目を走らせている。このとき、音が似ている言葉や意味が似ている言葉も自然に目に入ってくるのだ。
欲しい情報にダイレクトに行き着けるというのは、便利な反面味気ないもの。一見関連がなさそうな言葉が、行き詰まっていた文章に活路を開いてくれることもある。似た言葉をできるだけ多く自分の引き出しに収集する修練にもなり、一石二鳥なのだ。

読めばハマる辞書の世界

読めばハマる辞書の世界

時間が許せば、辞書をまるごと読んでみることをおすすめする。広辞苑や国語辞典のような基本的な辞書以外に、世の中にはさまざまな分野の辞書が存在する。古語辞典、類語辞典やことわざ辞典、大歳時記などはまだ普通の部類で、ファッション辞典、鉱物辞典やキノコ辞典、恐竜辞典等々、専門的なものも星の数ほど。書店や図書館で辞典の書棚をチェックしてみれば、きっと「これ、読んでみたい!」と思える辞書があるはずだ。
興味のある分野や地力を付けたい分野の辞書をまるっと読むことで、自分のなかの知識やボキャブラリーが驚くほど底上げされる。実際、その効能を知った筆者は時々チャレンジしている。

「そんな暇なことできるかー!」というあなた。言っておくが、筆者だって決して暇ではない。正直に言うと途中で寝てしまうこと数回……、それでも効果はしっかり実感できる。
全体的には視線を走らせるだけで十分。アンテナに引っかかった言葉だけしっかり読めばOKなので、気になる辞書があるなら一度トライしてみることをおすすめする。

乱読上等!ジャンルにこだわらず読みまくろう

乱読上等!

言葉の引き出しを増やすために、最低限必要なことがインプットだ。結局読書量を増やすしかないんでしょ、とあなたはふてくされ気味に言うかもしれない。
答えはイエスでもあり、ノーでもある。本を読むことは有効だが、ただ読めば良いわけでもないからだ。
この本に書いてある情報が「欲しい!」と思いながら読まないと、底に大穴が開いた器に水を注ぐのと同じで、入れたそばからダダ漏れなのだ。時間だけかけて読み終わったとき、何も残っていないのでは目も当てられない。

本を読むときには自分が「その情報、欲しい!」と心から思える本を選ぶこと。だから小説だろうが雑誌だろうが実用書だろうが、ジャンルは何だって構わない。
心から欲しがっている情報を自分に与えてやることで、砂漠に水が染みこむように文章が頭に入ってくる。
そのようにして楽しみながら文章に親しむなかで、自然と自分のなかの言葉の引き出しが育ってくる。読みたい気持ち、知りたい気持ちに素直になることが、効率よくインプットを増やして引き出しを豊かに育てる、一番の方法ではないだろうか。

筆者おすすめ:あなたの言葉力を強化しよう!「語感辞典」

「美味しい」を伝える表現。食べたくさせる4手法

「美味しい」を伝える表現。食べたくなる4手法

いいビジュアルといいコピーライティングがあれば、食の販促はパーフェクト。

20年ほど前に、百貨店ギフトで大ヒットを飛ばした筆者の親戚の言葉だ。
しかし、味を言葉で伝えなければいけない美味しさの表現は、コピーライティングのなかでも、特に難しいもの。

彼女は、食ギフトの素材を集めるために日本中を飛び回り、貪欲に舌を肥やしていた。美味しいものを見つけ出し、ターゲットに伝えるためには見極める力とそれを的確に表現する力が必要だからだ。

筆者も有名洋菓子店を担当して10年以上になった。
まだまだ彼女に追いつけてはいないが、クライアントのオンラインショップを担当するなかで悪戦苦闘しつつ見つけた、ターゲットを落とす美味しさの表現方法についてご紹介していきたい。

食べる人の視点で美味しさを伝える

食べる人の視点で美味しさを伝える

美味しさを表現しようと力が入りすぎると、独りよがりのコピーになってしまうことがある。

試食できないオンラインショップでターゲットが知りたいのは、自分好みの味なのか?ほんとうに美味しいのか?ということ。
どうしても食べてみたい衝動にかられるかどうか。最初に伝えるべきは、その一点につきる。

そのためには、コピーの主体者は作っている人ではなく、食べる人であるべきだ。ターゲットがその食べ物を口にした瞬間のことを、具体的にイメージさせてあげることが大切なのだ。

たとえば、オンラインショップでよくあるキャッチコピーは、1つめのような表現だ。

1.最高峰パルマ産生ハム。長期熟成14ヶ月!原材料は豚モモ肉、食塩のみ

商品の仕様は分かるが、あまりそそられない。コピーを食べる人の視点に変えてみると、

2.
本場イタリア・パルマの伝統的な塩漬け熟成法で仕上げた、まろやか生ハム。
地元で愛され続ける、長期熟成ならではのとろける旨みと噛むほどに広がる満足感。

生ハムはパルマ産が有名だと知っている人は多い。1.では産地の告知だけで終わっているが、同じ産地の商品を扱う競合も多いはず。もうひとひねり加えることで、商品に対するターゲットの興味をそそりたい。さらに「長期熟成」に関しても、だから○○なのだ、までしっかり伝えたい。

地元民に愛されているとまで言われれば、本場でも支持されているほどなら・・・と、さらに興味がわいてくる。

ただし食に関しては、ぜったいに虚偽の記載があってはならない。内容については、しっかりと事実確認を行うようにしよう。

万人受けする必要はない

万人受けする必要はない

同じものを食べても、美味しいと感動する人もいれば、逆にそうでもないと感じる人もいる。

美味しさの感覚というのは、食習慣や育った環境に影響されて、大きく個人差が出る。味覚が鋭い人、鈍感な人がいるのはそういった理由からだ。

ならば、コピーのターゲットが誰なのかをしっかりと把握しなければならない。訴求したい商品を買ってほしい人は、ジャンクフード好きのOLさんか、料理好きで素材にこだわる奥様か。
万人に受けようなどと考えてしまうと、結局誰にも響かないコピーになってしまうかもしれない。

では、美味しいを表現するための手法を4つ紹介していこう。

1.美味しいを「香り」で表現する

美味しいを「香り」で表現する

私たちが「美味しい」と感じるのは、体のどの部分だろうか?

実は、最も敏感に感じるのは鼻、嗅覚。

風邪をひいて鼻がつまっている時、何を食べても美味しく感じないのは、嗅覚が鈍感になっているからだ。
美味しい香りをたっぷりと吸い込んだときの感動を、イメージできる言葉で表現しよう。

  • カカオの濃厚な香りがあふれだす
  • 口に入れた途端、ふわりと桜が香る
  • 挽き立てコーヒー豆が香り立つ
  • 柑橘フルーツの清涼な香りに目をとじる
  • 芳醇なラム酒が香って、レーズンがじゅわっ
  • ふわりと鼻をくすぐるのは、ヌガーの香ばしさ、モカの誘惑
  • かじったときにハフッとくる、クルミの香ばしさ

「美味しい」を伝える表現。食べたくさせる4手法、後半は

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