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質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)

質問力を高める:漠然とした質問をしない

質問力を鍛えよう:考え込んでいるサラリーマン

「最近、どうですか?」
質問された人が、どう答えていいかわからない代表的なもの。かつて当社のスタッフが、欧州で活躍するスポーツ選手に不用意にこの質問をし、「何がですか?」と切り返されていた。

「あの人、好きじゃない」
スタッフは立腹していたが、「そんな質問するからだ」とたしなめた記憶がある。ただ、切り返したスポーツ選手も少し突っ張っていた時期でもあったので「わざと」な部分があったとは思うのだが。

この例を反面教師として肝に銘じておきたいのは、
質問者は、相手が答えやすい(どう答えたらよいか容易にわかるような)ように聞くべきだということだ。何を答えたらいいか想像はつくが、答えにくい質問もある。あえてそれを聞かないといけないこともある。しかし取材の冒頭から答えにくい質問を浴びせていては、すぐに相手は言葉をつむぐのをやめ、貝のように口を閉ざしてしまう。

質問力を鍛えるということは、会話力を鍛えるということでもある。インタビューという限られた時間、しかも互いに緊張したなかでコミュニケーションを行い、取材のテーマにそったネタ(あるいは解決の糸口)になるような答えを引き出すためには、「平静」が大切だ。
相手が思わず話してしまう、ここまで話してしまった・・・という雰囲気を作るにはお互いの間に心地よさ、平静さを生むことが必要なのだ。

質問力を高める:核心を引き出すステップ

質問を重ねることによって、相手から核心を引き出す。心理学でいうところの「フット・イン・ザ・ドア」を利用する。ステップは次のようなものになる。

  1. 何も考えずに答えられる質問(YESかNO)
  2. 1.に対する質問
  3. 2.に対するより深い質問
  4. 3.に対するより深い質問

「フット・イン・ザ・ドア」とは、いきなりしてほしい頼みごとをするのではなく、まず小さな頼みごとをして了承されたら、もう少し高いレベルの頼みごとをすると受け入れられやすくなるという理論。
上記のステップも直前の質問に答えてもらえたら、それを掘り下げるということになっている。

ただ、相手のかたくなさや、話の内容によっては上記のステップをいくつか繰り返しながらスパイラル的に核心に踏み込んでいく。ときには、あなたを含めた外部のひとが知りたい「なぜそうできたのか」を、成し遂げた本人さえ気づいていないこともある。
そういったときにこの手法で話を進めると、取材されている本人が取材のなかで頭のなかを整理しながら「体系だてて考えもしなかったノウハウ」に気づくことさえあるのだ。

取材をはじめて間もない人、ろくに下調べもしないで取材に臨んだ人は質問から深堀りする余力がないので、相手から「YESかNO」しか引き出せなかったり、もう一段踏み込んだあたりでネタが尽きてしまう。これでは読み手が前のめりになるコンテンツが書けるわけがない。

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30秒のムダ話で仕事がうまくいく!雑談の絶大なチカラ

30秒のムダ話で仕事がうまくいく!雑談の絶大なチカラ

雑談というと、プライベートの詮索だとか、時間のムダだと考えている人が多いのではないだろうか。でも雑談についてネガティブにとらえている人は、とてももったいないことをしているかもしれない。雑談は仕事はもちろん、人生のあらゆる場面において絶大なチカラを発揮する重要なスキルなのだ。普段あまり意識することのない雑談が持つ潜在能力について、また雑談力をつけるコツについても書いてみたい。

インタビューにおける雑談のチカラ

インタビューにおける雑談のチカラ

先日、あるインタビューに同席したときのこと。筆者は普段、自分が直接インタビューすることはあまりないのだが、このときはその場の空気感なども知っておきたかったので、願い出て同席させてもらった。

事前に聞きたいことを考えてきているので、こっちはあれも聞こう、これも聞こうと気がはやっている。
ところがいざインタビューがはじまると、インタビュアーはほんとうに聞きたいことには一切触れない。まずは天気の話や出身地の話など、冗談を交えながら気軽な調子で話していく。いわゆる雑談を十分するのである。

インタビューを受けている人からしたら「こんなんでいいの?」という感じである。でもこの時間があるおかげで、インタビューされる人が身構えることなく、気負わず話せる雰囲気をつくることができたと思う。実際、雑談でひとしきり盛り上がったあとは、和やかな雰囲気のなか、興味深いお話をたっぷりお聞きすることができた。雑談が「本音で話せる空気」をつくったのである。

雑談の大切な役割は、その場の空気をつくること

雑談の大切な役割は、その場の空気をつくること

雑談とは、何ら目的や伝えるべき用件のない、言うなれば中身のない話だ。言ったそばから忘れてしまってもかまわないような内容の話である。そんな話を一生懸命しても何の意味もない、雑談なんて時間のムダだという人もいるだろう。
しかし、世の中の会話すべてが、用件を伝えるだけのものだったらどうだろうか。

たとえば、隣人に回覧板をまわすとき。
「こんにちは、回覧板です」
「はい、どうも」

そしてドアをガチャン。なんと殺伐としたご近所付き合いではないか。こんな町内には住みたくないというものである。ところがこれに雑談を加えてみるとどうだろうか。

「こんにちは、回覧板です。なんだか雨が降りそうな空模様ですね」
「あらほんとうですね。洗濯物をとりこまなくちゃ。部屋干しだとなかなか乾かないから嫌なんですけどね」
「うちもです。明日は晴れるってニュースで言ってましたよ。じゃあまた」
「ありがとう」

そしてドアをガチャン。時間にすれば30秒に満たないが、このほうがよほど後味が良く、心和むやりとりになった。洗濯物の話なんて2人ともどうでもいいのだが、雑談をはさむことで、お互いに打ち解けて話せる雰囲気ができたのである。

職場でも、家庭でも、ママ友付き合いでも、ご近所付き合いでも、人間関係をスムーズにするうえで雑談が絶大な威力を発揮する。まず雑談で地ならしをしてコミュニケーションの土台をつくるイメージだ。土台がないのにいきなりビルを建てようとしてもうまくいかないように、雑談なしでいきなり用件だけを伝えても、思うような結果にはつながりにくいのである。

雑談が人生を豊かにしてくれる

雑談が人生を豊かにしてくれる

ビジネスにおいて、雑談が果たす役割について考えてみよう。普段、用件をポンと伝えるだけで相手とまったく人間関係をつくれていなかったとしたら、ちょっとしたミスでも対応が違ってくる。普段から雑談を通してコミュニケーションしていれば「しょうがないなあ」で見逃してくれるようなことも、「どうしてくれるんだ!」ということになりがちだ。

ご近所付き合いでも、まったく知らない子供の弾くピアノはただの騒音でしかないが、いつも挨拶してくれるあの子、と顔が思い浮かぶ関係なら、「おお、うまくなってきたな」と寛大な捉え方ができる。ご近所との雑談が騒音クレームのセーフティ―ネットになり、子育てのストレスを減らしてくれる効果があるのだ。

家庭でも、もしもパートナーや家族が用件しか話さないような関係だったら・・・。想像しただけで心が冷え冷えとしてくる。どうでもいい話がワイワイガヤガヤ飛び交う家庭のほうが、幸福度はずっと高くなる。
このように、雑談はさまざまな場面で自分を助けてくれる。大げさに言うと、人生を豊かにしてくれる、縁の下の力持ちなのである。

雑談力をつけるコツ

雑談力をつけるコツ

「そうは言っても、雑談が苦手で・・・」筆者も同じなので、その気持ちはよくわかる。
まずは挨拶だけで終わらせず、プラスアルファのひと言を添えることを心がけたい。天気の話、季節の話などはテッパンである。また、パッと目についた服装や持ち物を褒めるというのもおすすめだ。

褒めるというと「おべんちゃらは言いたくない!」というへそ曲がりもいるかもしれないが、ムリに褒めなくても「そのキーホルダー何ですか?」とか「そのネクタイ、珍しい柄ですね」とか、気づいたことを口に出すだけでいいのだ。雑談においては、話の内容は重要ではなく、オチも結論も必要ない。肩の力を抜いて気軽にできる話が、一番適しているのである。

仕事のメールなども、ここぞのメールは用件だけで終わらせず、ひと言用件とは関係ないトピックを添えてみることをおすすめしたい。ぐっとメールの文章に人間味が出てくるし、読んだ人に良い印象を残す。何をしてもうまくいかなかった仕事が回り出すきっかけになるかもしれない。

相手を目の前にして、あれこれ考えているとうまくいかないというときには、「今日、何か1つ、相手を喜ばせることを言う」ことを自分に課してみるのもいい。こんな覚えやすくて実行しやすいシンプルなスローガンが、明日からの仕事の質を変えてくれるかもしれない。

質問力を向上させる、たった4つのテクニック(基礎編)

質問力を向上させる、たった4つのテクニック

質問力をつけることは、あなたの生きる力、仕事力を伸ばすことに等しい。
なぜなら、質問をすることで知識は増え、あなたが疑問に感じていたこと、こうではないかなと漠然と考えていたことが明瞭になり、自信を持てるようになる。自信が持てるようになると楽しくなる、質問によって疑問は次々と確信に昇華させることができる。実際に経験していないことでも、容易に理解できるようになっていくのだ。

「重要なことは、質問するのをやめないことだ」

アルベルト・アインシュタインが述べた言葉は、彼が成し遂げた偉業が質問によって為されたものであることを証明しているかのようだ。
社内で、営業先で、パートナーとのコミュニケーションにおいて、質問力を高めることは、あなたの伸びしろを最大限にすることは間違いないだろう。

質問力を向上させる下準備:相手を気持ち良くする

相手を気持ち良くする

有名人であれば、純粋に会えたことを喜んでいることを伝える。
おべっかでもいい。

「○○さんにお会いできて、いますごくドキドキしています。上手くお話を聞けるかどうか」

あなたのキャラクターに合わせ、相手に対する最大の賛辞を述べるのだ。有名人は「いやいや、そんなたいした者ではないですから」と言いながらも、決して悪い気にはならない。むしろ、あなたの小さな心遣いに、話すことへのスイッチが入るはずだ。

また、著作があれば、必ず一読しておく。ブログを書いているのなら、ざっと目を通しておこう。
このアクションは、取材する人への敬意でもあるし、あなたがこの仕事に臨む際の心構えでもある。取材相手の著作物を読むことは相手の思想に触れることになり、たとえ今回のテーマと異なるものであったとしても、根底に流れる思想は同じなのであり、必ず何らかの参考になるからだ。

もっとも機会の多いであろう会社役員の場合。
事業内容を細かくチェックしておく。細かくといっても、本流の事業に限ったらいい。傍流の事業については「とりあえずやっている」「昔からの流れ」で、ということも多いので、役員自信が良く思っていないこともあるからだ。
さらに、最近の業界の状況やそれを踏まえての業績もチェックできれば済ませておきたい。

相手は会社の役員であり、四六時中事業のことを考えている人種であり、話のなかで100%に近い確率で事業の話題に話が飛ぶ。そんなときに、話題についていけないようでは、相手がスッとあなたから離れて行ってしまうことになるからだ。

質問力を向上させる心構え:賢そうに見せない

賢そうに見せない

前項と併せて、必ず守ってほしいことだ。そもそも取材は、相手に「教えを乞う」行為だ。なのに相手の言葉じりをとらえて、あなたの頭の良さをひけらかしても意味はない。むしろ、相手を委縮させてしまったり、立腹させてしまうことになるかもしれない。そうなっては質問力を鍛えても、もったいないだけになる。取材する相手があなたのいる業界人だったり、取材相手が学生で、あなたよりスキルも知識も足りていなかったとしても、だ。

取材前に仕込んできた情報や持ち前の見識をいったんしまっておき、まずは「私は初心者なので教えてください」「今日はあなたのすぐれた面を吸収しようと思います」という姿勢を前面に出す。取材を進めるあいだに相手の話すことを深掘りしたり、大きく頷く際にちらっと見せるだけにしておこう。
相手は、あなたのリアクションに何かを感じ、「いい加減なことは話せない」と感じ、より言葉に力がやどるようになってくるはずだ。

質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方

メールにレポート、さまざまな種類の報告書…ビジネスマンなら誰しもが毎日なにがしかの文章を書いている。形式的な文書の書き方については他に親切なサイトがいくつもあるのでそちらに譲るとして、ここではもう少し突っ込んだ内容が求められるレポートや報告書の書き方について、ライティングの視点から考えてみたい。
評価されるビジネスレポートに必要なポイントは、以下の2点に集約することができる。

(1)オリジナリティのある内容か。
(2)読む人が苦労せずに理解でき、正確に内容が伝わるか。

この2つがきちんと満たすためにすべきことを、以下で紹介していきたい。

1.評価されるレポートの書き方、3ステップ

評価されるレポートの書き方

当たり前のことだが、研修レポート、視察レポートで重要なことはまず内容=「役立つことが書いてあるか」である。
読み手である上司の心情を想像してみよう。長々と読まされたあげく中身が空っぽだった場合、読み終わったときに書いた人間を思わずはりたおしたくなっていたとしても不思議はない。
内容が充実している、読んで良かったと評価されるレポートを書くために、意識したい3ステップを紹介しよう。

A.現状の把握と問題点の整理
B.分析
C.問題解決への提案

1-A.現状の把握と問題点の整理

現状の把握

まず現状を把握し、今抱えている問題を整理すること。
研修レポートや視察レポートの場合は、ほとんどが自らを対象としたものとなるだろう。自分や自社が今どんな問題を抱えているのか、社会や市場の動向はどうなっているのか。そして研修・視察先ではその問題はどうなっているのか、そこで自分は何を得てきたいのか。
ここで問題・目的を浮き彫りにし、レポートの冒頭でしっかりと宣言することで読み手と問題意識・目的意識を共有してほしい。これが的確で共感できる、または興味をひくものであればあるほど、読み手はぐっとあなたのレポートに引き込まれるはずだ。

1-B.分析

よいレポートには『分析』が不可欠だ。
ただ漫然と見ているだけでは分からないことがある。表面を流し見するのではなく、ひとつひとつの事象を深く掘り下げ、それによってどんなことが起こっているかを観察し、そこに自分なりの解釈を加える。これが『分析する』ということだ。
分析作業なくして突然結論を突きつけられても、読み手の納得は得られない。自分の書いたレポートに『分析』はあるか、常に意識しよう。

1-C.問題解決への提案

問題解決への提案

AとBを踏まえて、問題解決への提案で締めくくる。これがなければレポートを書く意味がないと言ってもいいほど重要だ。
ありがちな失敗例として「とても勉強になりました」「よい経験になりました」で締めくくられているレポートがある。読んだとき上司の心に余裕があれば、「よかったね」とホンワカしてもらえるかもしれないが、余裕のないときに読んだ場合は心のなかで「だから何なんだー!」と叫ばせてしまうことになるだろう。
心配しなくてもそれほど身構えることはない。なぜならAとBがしっかりと書けていれば、Cは自ずと導かれるはずだから。逆にCで手が止まってどうしても書けないというときは、AとBに問題がないか見返してみると良いだろう。

2.論理的に書くコツ。言いたいことを整理する

論理的に書く

レポートに何を書くかは頭のなかにある場合、あとはそれを文章にするだけなのだが、実際に書き出す前にまずしておかなければならないことがある。
それは「言いたいことを整理すること」。特にビジネス文書ではこの行程がとても大切だ。頭に浮かぶまま本流と関係の浅い枝葉の部分を書いてしまうと、言いたいことが伝わらないうえ、読む人の混乱を招きストレスを与えることになるからだ。
まずは書き出す前にトピックごとに整理して、レポートの設計図を頭のなかに描いてから書き始めよう。具体的な手順は下記の通りだ。

1.言いたいことを一行ほどに要約してひとつずつ箇条書きにする。
2.1をどんな順番で書くのかを考える。
このとき、基本的には時系列に並べること。そして同じような内容はまとめること。上記のA、B、Cの流れに添えているかもチェックしながら進めよう。パソコンを使うと簡単だし、アナログ派ならメモ紙を数枚用意して1行ずつ書き、机の上で入れ替えてもよい。

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方、後半は

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コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条(後編)

4.納得を得られるポイントを具体的に書く

知らなかった事実、比較物との差を示され、思わず「へぇ~!」と大きく頷いた経験は誰にもあるはずだ。
私たちは予想外なことに遭遇すると、動揺してしまう。明らかに直前とは異なった気持ちになっているのだ。今まで常識と考えていたこととのギャップが大きければ大きいほど、その揺れ幅は大きくなる。

この「揺れ」が衝動買いを誘ってくれる。
あなたが用意した、従来品との差を示すデータや、予想もしなかった便利ポイント、価格、それによって得られるベネフィットが、ターゲットの納得できるものであれば、説得はできる。

予想を裏切るポイントが小さくても、従来品の不満を解消したり、軽減したりするものであれば、必ず共感を呼ぶ。WEBサイトを訪れるターゲットのなかには、もう購入することが決まっていて、ほんの少し背中を押して欲しいだけの人も多くいるのだ。あなたのひとことが購入を決定的にさせるのだ。

5.失敗しない(事実)ことを伝える

失敗しない(事実)ことを伝える

あなたのWEBサイトに訪問したターゲットが、あちこちのWEBサイトで商品をチェックしている理由は、失敗したくないからだ。
失敗したくないポイントは人それぞれ。価格であったり、商品スペックだったり、納期だったり。

2時間かけてネットで調べまわった結果、300円安く商品をゲット。しかし自分の時給を考慮したら5,000円の赤字。最初に見つけたショップで買えばよかった・・・。

しかし人は、自分が納得するための時間を惜しまない。
あなたは、ターゲットが買うべき商品が失敗しようのない、間違いのないものであることを伝えるのだ。心配など不要で、先に買ってくれた○○さん、○○さんも満足していることをコピーライティングに盛り込もう。ターゲットが時間をかけてネットを見て回った結果、この商品を見つけたことは、時間を惜しまず努力したご褒美でもあるのだと、背中を押してあげよう。

6.ターゲットに「あなた」と呼びかけてみよう

ターゲットに「あなた」と呼びかけてみよう

コピーライティングの心得として、明確なターゲットを思い浮かべろといわれる。たとえば、あなたのターゲットが「30代半ばのサラリーマン男性」なら、ネットでそれっぽい人の写真をダウンロードして、コピーライティングする際に、モニターの横に貼っておくのだ。
そうすると、頭のなかだけで考えるより、もしこういう言い回しをしたら、この人はどう反応するだろうとイメージしやすくなる。

それをもう少し進めて、具体的なターゲットをイメージしながら、コピーで「あなた」と呼びかけてみる。そう呼びかけると、目の前の人に伝えている感覚が強くなるので、我々の脳は自動的にイメージ像から離れた言葉や言い回しを使わなくなる。
筆者が思うに、我々の脳はGoogleの自動運転システムより賢い。ターゲットを「あなた」と呼ぶだけで、あなたが試行錯誤しながら書き綴るコピーライティングをコントロールしようとするのだから。

馴れないうちは、コピーの随所に「あなた」を連発させればいい。そうすれば、あなたの主張は細やかな配慮あるものになっていく。あちこちに散在する「あなた」は、最終的に削ってしまえばいいだけの話だ。

7.何をすべきかを伝える

何をすべきかを伝える

売れるコピーライティングでもっとも大切なのは、ターゲットの行動を促すことだ。
一生懸命推敲を重ねたコピーライティングに心を動かされたターゲットが、「この商品を買うには、何をしたらいいの?」と質問をしたという笑い話がある。ターゲットが何をすべきかを質問する前に、「このすばらしいサービスを手に入れるために、あなたは○○をするしかない」と訴えかけよう。

アメリカ大統領の典型的なスピーチには、決まった流れがある。自分の体験、身近な人のことを取り上げ、問題となっている現状を伝え、最後の下りで「国民は○○してほしい」と訴えるのだ。明確な行動を促すのは、リーダーの大きな役割なのである。

商品の販促を行うためにコピーライティングを行っているのなら、アメリカ大統領と同じようにターゲットに行動を促すパラグラフを加えよう。

とにかく書く。冷静になる。の繰り返し

とにかく書く。冷静になる。の繰り返し

筆者は、コピーライティングは書く、反省する、の繰り返しをどれだけ続けられるかで出来が決まると考えている。
盛り込まないといけない情報、ターゲットの分析結果を踏まえ、思いのたけをぶつけてみる。とにかく、初稿は荒削りなまま、まさに書きなぐるのだ。書いているうちに、異なる視点が思い浮かんだりもする。
書きあがったコピーは、きっと熱い思いが詰まったものであるはずだ。

しかし大切なのは、ヒートアップした気持ちをアイシングして冷静な状態に戻すことなのだ。
時として一気に書き上げたコピーは、思いが先走りすぎて、伝わらないものになっている可能性がある。PCの電源をいったん落とし、24時間後にもういちど読み返そう。もしくはだれかほかの人に読んでもらおう。
きっと昨日気付かなかったポイントが見えてくる。

たくさんの守るべきポイントに気をつけながら進めていくコピーライティングは、地味な作業に見えるかもしれない。しかし世の中の仕事で、地味でないものなどない。売れるコピーを書くために、コツコツと他社がやっていない努力を積み重ねてほしい。

「コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条」前編

コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条(前編)

コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条

コピーライティングは、テクニックさえつかんでしまえば決して難しいものではない。
ただし、イメージ広告を生業とするようなプロのライティングと比べているのではなく、ネットであなたの会社の扱う商品やサービスを売るためのコピー、という意味でのことだ。

あなたはプロのライターではないのだから、誰もが感心する美文にまでコピーライティングを極める必要はない。商品を紹介するコピーが洗練されていなくたって、言い回しがこなれていなくたって、要は商品が売れればいいのだから。
まずはそのレベルでOKなら、これから紹介するテクニック、心構えを習得すれば、実戦で成果を出せるようになるだろう。

エッセンスだけをまとめるつもりが、思いのほか長文になってしまった。
しかし、サラッとポイントを説明するだけでは、せっかくこのコラムを見つけてくれたあなたに申し訳ない。読み切れる長さに分割し、前後編でお届けしようと思う。

1.情報を整理整頓しておく

コピーライティングの基本は、書きだす前に情報を整理しておくこと。具体的には、

  • 1-1.ターゲットの具体像を細かく描いておく
  • 1-2.商品がターゲットにもたらす利点を挙げる
  • 1-3.話の組み立てを行う
  • 1-4.これらを結び付けるアイデアを考えながら構成を進める

情報が整理できていないと、コピーライティングは散漫なものとなってしまい、読み手の頭のなかには次々と疑問符がわいてくる。結果、商品紹介のコピーに集中できなくなってしまうので、説得するに至らずWEBサイトから誰もいなくなってしまうのだ。
このようなことにならないために、情報をきちんと整理することからはじめたい。言葉を選ぶまえに行うことはまず準備だ。

1-1.ターゲットの具体像を細かく描いておく

ターゲットの具体像を細かく描いておく

いわゆる「ペルソナ(象徴的なターゲット像)」を設定しておこう、というものだ。ターゲットはできるだけ具体的なほうがいい。イメージが合っているなら、隣席の同僚でいい。そのほうが想像しやすい。こう伝えたら、彼は興味持つよな・・・といったことをイメージするための手段だ。

たとえば今朝、当社の若手スタッフが持ち込んだコラムのタイトルは「○○○(映画のタイトル)に学ぶプロの交渉術」。彼は、メジャーではない映画の主人公である弁護士の交渉術にスポットを当てたコラムを書こうとしていた。
しかし、粗書きの原稿には映画のシーンが紹介されている。

筆者には、すぐに「読み手は誰?」という疑問がわいてきた。

映画評であれば理解できるが、タイトルから推測するに彼の意図はそこにはないはずだ。キーワード「プロの交渉術」を調べたいと思う人が偶然にコラムを見つけ、そこからプロフェッショナルな交渉とはどういうものかを学ぼうということを想定したものである。

ならば想定できるターゲットは、このような人物か。
営業職についたばかりの新卒社員。男性が多いはず。交渉術などというキーワードで検索するぐらいだから、交渉の結果次第で利益額が上下するようなタフな事業の会社にいる。B2Bだろうな。新卒なら、そんなタフな毎日に多少疲れているかもしれない・・・。

当社の若手スタッフが書くべき内容は、ターゲットを想定しないときよりも鮮明になり、あてもなく推敲することはなくなるので、格段に筆が進むようになるのだ。

1-2.商品がターゲットにもたらす利点を挙げる

商品がターゲットにもたらす利点を挙げる

ここでいう利点とは、商品スペックに挙げるような特性のことではない。業界用語で「ベネフィット」と呼んでいるものだ。ベネフィットとは、商品を使うことによって、得られる理想の状態のこと。
たとえばカメラを買うとき、私たちは1,200万画素のスペックを買うのではなく、そのカメラで撮った家族旅行の写真を夕食を食べたあとで、ワイワイ言いながら楽しむためにお金を払う。

コピーライティングは、その商品を持つことによってもたらされる具体的な状態を伝えるためのものだ。あるときは、ターゲットが想像すらしていなかった理想を伝え、またあるときは彼らの悩みをズバリ言い当て解決する術を授ける。
あなたが選んだ言葉に、もしかすると思わず涙してしまう読み手が出てくる可能性さえあるものだ。

1-3.話の組み立てを行う

話がうまいなと感じる人の話術は、話す内容をうまく組み立てている。立て板に水を流すようになめらかに話す人でも、内容がなければ感心するまでには至らない。初めは引きつけられるが、途中で内容がないことに気づいてしまうと、スッと素の自分に戻ってしまう。

話の組み立てをうまく行えば、あなたの言いたいことが読み手の頭にスムーズに入っていく。読み手にスッと素の自分に戻るスキを与えないようにすることだ。

WEBサイトで使う基本は、結論 → 理由 → 説得の順番だ。
とにかくネットのユーザーは、せっかちだ。自分のためになる情報を探し回っているのだから、WEBページの冒頭数行を読んだだけですべてを判断してしまう。だから、あなたがターゲットをWEBサイトにとどめておくためには、とにかく結論を先に差し出すことが重要となってくる。

あなたの差し出した結論に興味を持ったターゲットは、「なぜそんなことになるんだ?」と理由を尋ねてくる。もっともな理由をさらに示せば、またさらに・・・といった具合に、彼らはあなたの思い描いたストーリーにはまり込んでいくわけだ。

1-4.これらを結び付けるアイデアを考えながら構成を進める

話の組み立てはできていても、大きなベネフィットのアイデアを思い付いても、これらをピタッと結び付けられなければ、読み手は違和感を覚えてしまう。

余計なことを考える暇を与えないほどスムーズに次のパラグラフに進めるような「流れ」になるよう、あなたの素晴らしいアイデアを結び付けておこう。
といっても、まったくバラバラの内容をむりやり結びつけるのは骨が折れる。それぞれのアイデアを結びつける作業は、前述1~3の作業を進めながら行う方が効率的だ。

2.あなたのコピーに格好良さは必要ない

あなたのコピーに格好良さは必要ない

良いコピーライティングとは何かと尋ねられれば、筆者は「商品が売れるコピー」と即答する。極論ではあるものの、コピーライティングに格好良さは必要ない。
書き始めたばかりの人が間違いがちなのは、有名なコピーライターが書いた名文に心酔してしまい、良いコピーとはこういうものだと思い込んでしまうことだ。
世の中で名文と紹介されているコピーすべてが結果を出しているわけではない。コピーライティングとしては名文かもしれないが、商品が売れない「駄作」も存在することを知っておいてほしい。

名文=商品が売れるコピーと思い込んでしまっている人が陥るのは、意味のない美辞麗句を並べ立てただけのコピーを書いてしまうこと。

究極のトマト。口にする誰もを別世界へ誘う。

たいそうなトマトなのだなとは感じるが、薄っぺらいこと、このうえない。
そもそもこのコピーでは、「トマト」であることしか分からないし、「考えるの、面倒くさかったのか?」とツッコミを入れたくなってしまうほど、ひどいものだ。

ターゲットが知りたいことは、

  • おいしいトマトとは、どういうものなのか?
  • 食感は?
  • なぜおいしくなるのか?
  • 安全なのか?
  • どう食べればよりうまくなるのか?

であって、あなたが知っているありったけの美辞麗句で商品を飾りたてても、買ってほしい人にはノイズにしか聞こえない。甘さに特徴があるのなら、「糖度」という絶対基準があるし、食感を伝えるなら、イメージしやすいものに例えてはじめて商品の良さが伝わるようになるのだ。

ターゲットが知りたがっていることにていねいに対応し、彼らが望んでいる商品であることを上手く伝えれば、今朝農協に500円で卸したトマトも、5,000円で直販できるようになるかもしれない。

3.やさしい言葉で書く

やさしい言葉で書く

難解な言いまわしやキーワード、専門用語が並ぶコピーは、読んでいて肩がこる。ネットの醍醐味である「情報のザッピング」速度も極端に落ちてしまう。ターゲットが、あなたの書いたコピーを一言一句漏らさず読んでくれるなどと思わないでほしい。「ちゃんと読んでくれ!」とTVCMで訴えても、新党を立ち上げ国会で過半数の議席を獲得したとしても、ネットユーザーの斜め読みは変えようがない。

だから、斜め読みしても、おおよその意味がつかめるやさしい言葉を使ってコピーライティングしよう。
アウトドアブランド・モンベルの創業者である辰野勇氏は、「誰にでも最初の一歩がある。商品を紹介するときには、その一歩を踏み出した人にも分かるように伝えるべきだ」と語っている。

「コピーライティングの実践テクニック、鉄の7カ条」後編(近日公開予定)

インタビューのコツ。相手の引き出しを開く方法

インタビューのコツ。相手の引き出しを開く方法

それは、インタビューや仕事に限ったことではない。どなたでも「今日は思わぬいい話が聞けたな」とか「私たちめずらしく熱く語っちゃったよね」という経験があるはず。そんな時、会話した人たちの頭の引き出しは惜しみなく開かれている。Aさんの発した言葉に触発されて、Bさんが共感して自分の考えを話し出す。それを聞いたAさんはさらに楽しくなって語り出す。話が乗ってくると、もっと楽しくなる。

人の脳は、車のエンジンのように回転数が上がるとぐぐーっと加速がつく。そんなとき、思わぬ収穫が得られたりするのだ。

インタビューのコツ1:最初のツカミで、心の距離を縮める

最初のツカミで、心の距離を縮める

アメリカ人はプレゼンが上手い。特に大統領のスピーチは秀逸である。自分の家族など身近な話題から入って聴衆の心をぐっと掴み、その共感をもって課題点の共有や将来像について語り上げていく。
そのプロセスのなかでポイントとなるのが、いわゆる「ツカミ」のトーク。初めて会う人、自分にあまり好感をもっていない人さえも耳を傾けさせるには、最初の段階でのコミュニケーションが何より大切だ。

では、どのような「ツカミ」を用意するべきか。キーワードは共感だ。話の内容は、近所の犬の話でもTVの話題でも何でもよいが、相手の心のなかに「なるほど」という4文字を置くことが大切。とはいえプレゼンではないので、自分だけが語るのではなく、あくまでも会話のなかで。
インタビューされる人にとっても、あなたが何者なのかさっぱり分からない状態で本題に入るよりも、一呼吸おいて「この人はそこそこ信用できそうだ」と安心させてあげるのがインタビューのコツ、というよりマナーともいえる。

誰かの家を訪問して、玄関先で立ち話して帰るのか、縁側で腰掛けて話すのか(最近、縁側はないけれど)、靴をぬいでリビングでがっつり話すのか。それによって会話の濃さが異なるように、最初のツカミで相手の靴をぬがすことができれば、あとのインタビューはとてもラクになるはずだ。

インタビューのコツ2:最初の質問でYES、次の質問でNOと言わせる

最初の質問でYES、次の質問でNOと言わせる

場が和んだところで質問を始めるときのコツは、最初の共感(YES)、次の否定(NO)。最初の共感はわかるけど、なぜNO?それは「ちがうちがう。それはね、本当はこういうことなんです」と言わせるためのNOという意味。
最初のツカミで「こいつは信頼できそうだ」と距離を縮めて、さらに次のYESで「お主、なかなか分かってるね」と共感を積み重ねた後に、「いや、まだまだ。仕方ないから教えてやろう」という流れのことである。

実際に、筆者がこれを実践しているのかと聞かれると、実はそんな作戦を練るほどの余裕はない。はっきり言って、インタビューすることでいっぱいいっぱいである。けれども、そういった流れはどこかで意識しておくべき。言い換えると、質問をとおして相手との共感を高めつつ、相手から学ぶという姿勢をアピールするということ。プレゼンなら自分の知識や可能性を披露する必要があるが、インタビューでは必要ない。自分から何か話題を提供するとしても、それはあくまでも相手の話を引き出すための道具として捉えておこう。無理にYES、NOを言わせる必要もないが、そういった流れを意識することで話の本質にたどり着きやすくなる。

インタビューのコツ3:会話しながら、お互いに脳の回転数をあげていく

会話しながら、お互いに脳の回転数をあげていく

そうやって会話が進んでいくうちに、何かしら会話のテーマが形づくられてくる。それについては、事前の準備が必要であることは以前にご紹介した。

質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法

そのテーマに添って、会話が濃く熱くなっていくためには、お互いの頭のなかにある引き出しが次々と開かれていくことが大切だ。人はボーッとしているとき、大体は引き出しは閉まっている。頭の回転が早い人なら、無数にある引き出しを絶妙なタイミングでさっと見つけて開き、必要な情報を取りだせる人。私たち凡人は、せいぜい後になってから「あのときに、これも言っておけば良かった!」と悔しがる程度だ。
しかし、ちょっとしたキッカケを与えることで、意外に相手の引き出しをスムーズに開けることもできる。そのコツはいくつかある。

カウンターで隣に座って話す感じで

カウンターで隣に座って話す感じで

実際に隣に座るというわけではない。誰かとカフェのカウンターに座って話していると、ちょっと落ち着く感じ。インタビュアーはそういった雰囲気をつくり出すことが大切である。
隣に座っていると、相手の視線をダイレクトに受けとめなくてよい、同じ風景を見ながら同じ視点で語れる、相手の息づかいに配慮しながら言葉を繰り出せる。そんな心持ちで会話することができれば、相手はとても心地よいものだ。

インタビュー当初からそんないい雰囲気をつくり出すことは至難の技であるが、会話の中盤、何かのタイミングでふっと相手との心の距離がぐっと近づいたと感じる瞬間があれば、きっと相手もそう思っている。それは、カウンター席に移動したタイミングでもある。

そのためには呼び水を提供する

そのためには呼び水を提供する

そんなゴールデンタイミングを招くためには、どうすればいいのか。相手の話を一方的に聞いているだけでは訪れない。そのためには、相手の心をノックするような会話をしたい。相手の言葉を引き出すための呼び水となるネタを提供するのだ。
「あなたが気に入りそうなネタ、私の引き出しに入ってたけど、これどう?」と差し出すことで、相手も「あー、それね。では、もっとおもしろいネタを提供しよう」と会話のレベルがぐっと深い段階へと進んでいく。
この呼び水は、内容によっては相手の期待を外していてもOK。大きな方向性さえ外れていなければ、逆に「それは、ちょっと違うな。でも、おもしろいからつき合ってあげよう」と相手が「次のNO」のように反応してくれることもある。

一番避けたいのは、何も提供しないこと。脳はお互いに刺激しあってこそ、活発化される。引き出しも相手にばかり要求せず、こちらから先に開けて提供することが重要だ。

相手の言葉を遮らないこと

相手の言葉を遮らないこと

話題を提供して会話が乗ってきたら、しばらくは聞き役に徹して、相手の言葉をどんどん引き出していこう。基本的に、私たちは相手が感心したり喜んだりしている様子をみると、もっと相手を喜ばせたい、もっといい話を提供して自分の評価を高めたい、という気持ちが強くなっていく。

脳のエンジンがかかりだしたら、回転が止まらないように心地よいテンポをキープしていれば、有意義なインタビューになるはずだ。

インタビューのコツ4:日頃から感度を養っておこう

日頃から感度を養っておこう

とはいえ、相手とは経験も知識の量も分野も違う。「ネジ業界を極めた社長に、提供できるネタなんて持ってないよ」とあなたは思うかもしれない。しかし、本当にそうだろうか。分野や規模は大きく異なっていても、すべての物事には共通の真実というものがある。

たとえば、ある有名洋菓子店の社長と多くの学生から慕われる大学教授。どちらも当社の大切なクライアントだが、お二人が語ってくださるポリシーには非常に共通点が多いことに驚かされる。「目標を失いかけたら目の前の山を登れ」「同じ作業でもトコトン追求すれば極めることができる」・・・。業界や生きてきた経緯はまったく違っていても、高いレベルに達している人たちには、共通する姿勢・信念があるのだろう。

難しい話題でなくても、相手が話を進めやすくするためには、あなたは自分が持っている引き出しを総動員して、相手の脳を盛り上げる芸者になるべきなのだ。そのためには、自分の引き出しを蓄えておくことはもちろん、引き出しを開けられる瞬発力(=心の感度)を鍛えていくことがとても大切になる。

プレゼンのコツ。話し方次第で確実に勝てる、3つのポイント

プレゼンのコツ。話し方次第で確実に勝てる、3つのポイント

コンペの勝者は、競合他社との比較でのみ決定される。
誤解を恐れずに言ってしまうと、あなたの企画が大したことはなくても、他社よりほんの少しでも抜きんでていれば、勝てるのだ。しかも残酷なことに、勝者以外には何の救済措置もない。1位の会社の補佐としてプロジェクトを任されることなどあり得ない。つまり、決して2位ではいけないのだ。

もうひとつ残酷なことを加えておこう。
あなたは、コンペのために関係各部門で調整を行い、それなりの時間を費やしてきたはずだ。なのに負けてしまったとしたら、会社からすれば敗者であるあなたは、会社に損害を与えた「できない君」でしかない。

もしあなたが忘れていたプレゼンの基本中の基本をこのコラムを読むことで思い出してくれたなら、状況は一変する。あとは競合他社より少しだけ抜きんでる方法を身につけるために、あなたはほんの少し努力するだけで済むはずだ。

プレゼンのコツ1. 自信は信頼につながる

自信は信頼につながる

自信を見せる、は精神論的に感じる人がいるかもしれない。しかし考えてみてほしい。おもしろい、楽しい、ためになることを提案してくるプレゼンターは、ことごとく自信ありげに話している。テレビショッピングの売り手、セールスマン、やり手の営業部長、あなたがこれまで出会った名プレゼンター誰もが、その言葉に自信をみなぎらせていたはずだ。

自信が感じられない言葉は、相手に伝わらない。相手の心を揺さぶることは決してない。

大きな声は自信の表れ

大きな声は自信の表れ

プレゼンは相手に自分の企画を伝えないと意味はない。あたりまえのことだが、自信がないからか、普段からはっきり話すことをしていないからなのか、プレゼンのときにも、ボソボソと話している人がいる。

最初は提案を受ける側も、いい提案ならと積極的に採り入れたいと考えているので、なんとか聞き漏らさないようにしようと、積極的に耳を傾けてくれるもの。しかしそのうち我慢も限界に達してくる。

  • 自信がないなら、提案するな。
  • あのボソボソと長く付き合うのは面倒だ。

とまで感じ始め、後半は前のめりだった姿勢も、いつのまにかふんぞりかえって目はうつろ、「早く終わってくれ」と顔の前に手を合わせて懇願ポーズをとる人まで出る始末。これでコンペを勝ち抜けるわけがない。ボソボソ話すのを改めない限り、競走馬「ハルウララ」のように連敗記録を一生更新することになる。

「思う」ではなく、「です」

「思う」ではなく、「です」

不確定な時代を反映してのことなのか、相手を説得しかかっているはずなのに「~と思うんですね」と口グセのように繰り返す人が多い。提案を受ける人は、説得されてもいいと、気持ちの準備をしているのに、提案者から肝心なところで「思う」と言われると、スッと気持ちが離れて行ってしまう。大きな責任を負い成功させたいと願うプロジェクトなのに、そんな自信がないように聞こえる人の提案など聞く時間はないと感じてしまうのだ。

相手はプロとしてのあなたの言葉を待っているのだ。
たとえ内心は自信がなくても、「思う」などという「逃げ」ととられかねない言葉は口にせず、堂々と「です」と締めくくろう。

プレゼンのコツ2. ストーリーで話す

ストーリーで話す

ストーリーでプレゼンするというのは、何も「おはなし」を作れというわけではない。
提案全体の組み立てをロジカルにしなさいということだ。

突然デザイン案が出てきたり、システム案を持ち出しても、提案を受ける方は「彼が言っていたコンセプトを踏まえると、このデザインになるのだな」と咀嚼(そしゃく)してくれることはない。むしろ、コンセプトとデザインが分離した状態になるだけ。記憶のなかに、あなたがじっくり煮詰めた珠玉のコンセプトが焼き付くことはないのである。

御社のWEBにはココが足りない、しかしこのコンセプトでいけば、もっと良くなる、そのためにはこのデザインが効いてくる、このシステムが必要なのだ、とロジカルに伝えれば、あなたの思いはクライアントの記憶に鮮明に残るはずだ。

プレゼンのコツ3. 聴衆を巻き込む

聴衆を巻き込む

関西では、プレゼンの冒頭で笑いを取るのは必須条件だ。最終審査に残れるかどうかが決まると言ってもいい。厳しい世界である。
笑いをとれるとなぜ最終段階まで一気にのし上がれるか。提案を受ける側は、長期間にわたって付き合えるかどうか、そりが合うかどうかも重要な指標にしているということだ。いくら提案が良くても、「この人と付き合うのは骨が折れそうだな」と感じると、同レベルの提案が他社から出されていたなら、間違いなく付き合いやすいプレゼンターに勝利は流れる。

要は、自分たちとフィーリングが合っていると感じさせること、フランクに付き合えるかどうかをアピールすることが大切だということだ。

だから、無理して笑いを取る必要はない。
何かのアクションをしてもらい、それがおもしろかった、楽しかったと感じさせるだけでも、「長く付き合う」ことにおいては、競合他社より優位に立てることになるのだ。聴衆をあなたのペースに引き込んで、「なるほど」と感じさせることが重要だということだ。

プレゼンで、もっとも大切なこと:時間内におさめ、勝つための練習を

時間内におさめ、勝つための練習を

プレゼンは、緩急をつけよう。
けっこうな量の提案をしなければいけない場合には、ひとつずつ丁寧に説明すると、時間は足りなくなる。制限時が設けられていることがほとんどであるコンペでは、必ず制限時間内にすべての提案を終えられるように組み立てておく。

プレゼンを時間内に終わらせるには、まずひと通り練習を行うことをおすすめしたい。
一人で練習すると、どうしても早口になるので、わざとゆっくりめに話してみる。もしくは同僚にチェックしてもらおう。
そこで気づくことが必ずある。時間配分、組み立てだ。話していて、何か違和感を感じたら、おそらくクライアントも同じように違和感を覚えるはず。そのときは、提案書の内容やプレゼンの組み立てを躊躇せず改善しよう。

最後にすすめしたいのは、鏡の前で練習を行うことだ。あなたの上半身が映るような、できるだけ大きな鏡の前で。
鏡に映っているのはあなたなのだから、恥ずかしがる必要はない。自分の目を見ながら、態度や表情をチェックする。きっと変なクセや改善点が見つかる。

提案内容をキレるものにするテクニックはマッキンゼーあたりのコンサルティングファームに任せると考え、プレゼンに際しての心構えについてお話しした。
最後に、「コンペの勝者は提案の内容だけで決まるものではない」ということを伝えておきたい。すべてのコンペがビジネスライクに企画内容や見積もり、ロードマップの妥当性で評価されるなら、下手くそなプレゼンなど求めず、提案書の提出だけで決めればいい。世の中のコンペがプレゼンの場を設けているのは、提案者であるあなたの処理能力、準備にかけた努力、そして何よりあなたの人間力を評価しようとしているからだ。

企画内容のアイデアのキレ具合を磨くために苦心するより、プレゼンの場を盛り上げる方法にもアイデアを注いでみよう。きっとあなたの勝率が格段にアップすることは間違いない。

ライティング初心者のための、想いが伝わる文章の書き方

ライティング初心者のための、想いが伝わる文章の書き方

心に響く文章は、読み手の行動を変える力を持っている。たった一行の文章で、読み手に商品を買わせることも、自社に対して良いイメージを持たせることも可能になる。

そんなことできるのは、ほんの一握りのプロくらいでしょ、とあなたは思っているかもしれない。しかし文章の素人でも、やり方しだいで言葉の力を引き出すことは可能なのだ。

ただし、それにはコツがある。言葉を通じて想いを伝え、読み手のアクションを引き出すためには、どんなことに気をつければよいのか。ライティング初心者の視点に立ってひとつずつ解説していこう。

想いが伝わる文章のための大前提

想いが伝わる文章のための大前提

伝わる文章を書くために最も大切なこと―それは、「伝えたい想い」をどれだけ強く、明確に持っているか。
想いが強ければ強いほど、良い文章になる可能性を秘めている。逆にそこがあやふやであったり、そもそもない、そんな状態ではどんな優れた書き手でも良いものは書けない。

文章を書くということは、想いを言葉化して表現するということ。表現すべき元の何かがなければ、書けるわけがないのだ。まずはしっかりと、自分が発信したいメッセージを確認してほしい。

文章は現場から生まれる

文章は現場から生まれる

何が語りたいのかわからない、語りたいことがないという人は、まずはそれを探すことから始めよう。
はじめにすべきことは、パソコンの前から一度離れ、現場へ行ってみることだ。文章は「想い」から生まれる。そしてその「想い」を生み出しているのは人間だ。ならば人間がいる現場へ行くのが、「想い」を見つける一番手っ取り早い方法、というわけだ。

たとえば、自社商品のよさを語りたいならば、その商品を使ってみよう。食べ物ならば食べ、着るものなら着てみよう。商品が生まれた現場へ行き、商品を生み出した人たちの顔を見、声を聞くのもいい。現物を手に取り、においをかぎ、あらゆる角度からじっくりと観察すること。五感を総動員して、気づいたことを書き留めれば、それが語りたいことの種となる。

伝えたいこと、語りたいことさえ見つかれば、ほぼ8割は書けたようなもの。だからこのプロセスは時間をかけて、自分が本当に語りたいと思えるネタを見つけてほしい。

自分の言葉で語る

自分の言葉で語る

「想い」が見つかったら、いよいよ文章にしていこう。このとき、気をつけるべきことは「自分の言葉で語る」こと。どこかで見つけた小洒落たフレーズや、何にでもあてはまりそうな抽象的な言葉を使ってはいけない。

安易に使えば、文章の鮮度がぐっと下がってしまう。あなたが自分の目で見、心で感じたことをできるだけ具体的に…そんなもぎたての言葉だけが、人の心を動かすことができる鮮度を持っている。

スマートじゃなくても、つたなくても、想いが真っすぐに表現された文章に人は好感を持つもの。自信を持ってオリジナルの言葉で語ってほしい。

読み手への思いやりを忘れない

読み手への思いやりを忘れない

もうひとつ、気をつけてほしいことが読み手を思いやること、“おいてけぼり”にしない、ということだ。具体的に4つ、ポイントをあげてみよう。

  • 話はぼやかさず、核心から入る
  • 重複しているところ、無駄なところをチェックし、削れるところは徹底的に削る
  • まわりくどい表現、分かりにくい比喩などはしない
  • 自分の気持ちを押し付けない

読者に共感を持って読み進めてもらうには、分かりやすさが第一だ。自分の文章に分かりにくいところがないか、くどいところはないか、チェックしてみよう。

忙しい現代人は、早く情報を得たいと思っている。ビジネス文書でもSNSでも、明快で分かりやすいほうが喜ばれるもの。逆に言わなくてもいいことをいちいちくどくどと書いていては共感は得られない。

また、自分の感情を押し付けるような文章は嫌われる。感動を伝えたければ、事実や具体的なエピソードに語らせることで、読者の自然な感動を引き出そう。「とても」や「本当に」などの強調する言葉も使いすぎれば逆効果。極力控えめに使うようにしよう。

書き終えたら間をあけて読み返す

書き終えたら間をあけて読み返す

文章力に自信がない、という人は、ぜひこの点を徹底してほしい。当然すぎるほど当然のことなのだが、できていない人が多い。言うまでもないことだが、誤字脱字は読み手の信頼を損なうのでしっかりチェックを。

そして、できれば一晩ねかせてから、もう一度読み返すことをお勧めする。少し間を空けることで、第三者の視点で読むことができるからだ。書いていた時は見えなかった重複や回りくどさ、分かりにくさを見つけられるかもしれない。粗削りだったところをシャープに研ぎすますイメージだ。このひと手間で、文章がワンランクアップすることを請け合おう。

今すぐ使える、まとまりのない文章をサクッとまとめる技

今すぐ使える、まとまりのない文章をサクッとまとめる技

書きたいことがありすぎて、ぜんぜんまとまらない!そんなライティング初心者にお勧めしたい現実的な方法がある。

まず、小さめのメモ紙を10~20枚ほど用意し、1枚に1文、言いたいことを書く。あくまで1枚に1文、このルールは守ってほしい。
これを机の上に並べてグループ分けをする。似たようなことを言っているメモ紙や、内容がつながっているメモ紙は同じグループに。違う内容のメモ紙は違うグループに。机の上にはいくつかのグループができるだろう。
そのグループを、起承転結の順に並べ変える。あとはつなげてひとつの文章にするだけだ。

この作業をすると、結局同じことを言っているだけのメモ紙が数枚重複していたり、起承転結の「結」にあたるグループがない、などという問題が一目瞭然になる。重複しているメモ紙は、一番大事な1枚を残してあとはポイしてしまおう。そして「結」にあたる一行を書いたメモ紙を1枚作ればよいのだ。

まとまらない、というときは、たいてい同じようなことを何度も繰り返していたり、起承転結のどれにもあてはまらない、脱線したトピックが混じっていたりするものだ。もちろん、脱線トピックは、クシャクシャポイしてほしい。
その想いは、また別の機会に語ろう。余計な飾りをばっさりと切り捨てることで大切な一文に力が集中し、ズドンと伝わることもあるのだから。