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インタビューのコツ。相手の引き出しを開く方法

インタビューのコツ。相手の引き出しを開く方法

それは、インタビューや仕事に限ったことではない。どなたでも「今日は思わぬいい話が聞けたな」とか「私たちめずらしく熱く語っちゃったよね」という経験があるはず。そんな時、会話した人たちの頭の引き出しは惜しみなく開かれている。Aさんの発した言葉に触発されて、Bさんが共感して自分の考えを話し出す。それを聞いたAさんはさらに楽しくなって語り出す。話が乗ってくると、もっと楽しくなる。

人の脳は、車のエンジンのように回転数が上がるとぐぐーっと加速がつく。そんなとき、思わぬ収穫が得られたりするのだ。

インタビューのコツ1:最初のツカミで、心の距離を縮める

最初のツカミで、心の距離を縮める

アメリカ人はプレゼンが上手い。特に大統領のスピーチは秀逸である。自分の家族など身近な話題から入って聴衆の心をぐっと掴み、その共感をもって課題点の共有や将来像について語り上げていく。
そのプロセスのなかでポイントとなるのが、いわゆる「ツカミ」のトーク。初めて会う人、自分にあまり好感をもっていない人さえも耳を傾けさせるには、最初の段階でのコミュニケーションが何より大切だ。

では、どのような「ツカミ」を用意するべきか。キーワードは共感だ。話の内容は、近所の犬の話でもTVの話題でも何でもよいが、相手の心のなかに「なるほど」という4文字を置くことが大切。とはいえプレゼンではないので、自分だけが語るのではなく、あくまでも会話のなかで。
インタビューされる人にとっても、あなたが何者なのかさっぱり分からない状態で本題に入るよりも、一呼吸おいて「この人はそこそこ信用できそうだ」と安心させてあげるのがインタビューのコツ、というよりマナーともいえる。

誰かの家を訪問して、玄関先で立ち話して帰るのか、縁側で腰掛けて話すのか(最近、縁側はないけれど)、靴をぬいでリビングでがっつり話すのか。それによって会話の濃さが異なるように、最初のツカミで相手の靴をぬがすことができれば、あとのインタビューはとてもラクになるはずだ。

インタビューのコツ2:最初の質問でYES、次の質問でNOと言わせる

最初の質問でYES、次の質問でNOと言わせる

場が和んだところで質問を始めるときのコツは、最初の共感(YES)、次の否定(NO)。最初の共感はわかるけど、なぜNO?それは「ちがうちがう。それはね、本当はこういうことなんです」と言わせるためのNOという意味。
最初のツカミで「こいつは信頼できそうだ」と距離を縮めて、さらに次のYESで「お主、なかなか分かってるね」と共感を積み重ねた後に、「いや、まだまだ。仕方ないから教えてやろう」という流れのことである。

実際に、筆者がこれを実践しているのかと聞かれると、実はそんな作戦を練るほどの余裕はない。はっきり言って、インタビューすることでいっぱいいっぱいである。けれども、そういった流れはどこかで意識しておくべき。言い換えると、質問をとおして相手との共感を高めつつ、相手から学ぶという姿勢をアピールするということ。プレゼンなら自分の知識や可能性を披露する必要があるが、インタビューでは必要ない。自分から何か話題を提供するとしても、それはあくまでも相手の話を引き出すための道具として捉えておこう。無理にYES、NOを言わせる必要もないが、そういった流れを意識することで話の本質にたどり着きやすくなる。

インタビューのコツ3:会話しながら、お互いに脳の回転数をあげていく

会話しながら、お互いに脳の回転数をあげていく

そうやって会話が進んでいくうちに、何かしら会話のテーマが形づくられてくる。それについては、事前の準備が必要であることは以前にご紹介した。

質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法

そのテーマに添って、会話が濃く熱くなっていくためには、お互いの頭のなかにある引き出しが次々と開かれていくことが大切だ。人はボーッとしているとき、大体は引き出しは閉まっている。頭の回転が早い人なら、無数にある引き出しを絶妙なタイミングでさっと見つけて開き、必要な情報を取りだせる人。私たち凡人は、せいぜい後になってから「あのときに、これも言っておけば良かった!」と悔しがる程度だ。
しかし、ちょっとしたキッカケを与えることで、意外に相手の引き出しをスムーズに開けることもできる。そのコツはいくつかある。

カウンターで隣に座って話す感じで

カウンターで隣に座って話す感じで

実際に隣に座るというわけではない。誰かとカフェのカウンターに座って話していると、ちょっと落ち着く感じ。インタビュアーはそういった雰囲気をつくり出すことが大切である。
隣に座っていると、相手の視線をダイレクトに受けとめなくてよい、同じ風景を見ながら同じ視点で語れる、相手の息づかいに配慮しながら言葉を繰り出せる。そんな心持ちで会話することができれば、相手はとても心地よいものだ。

インタビュー当初からそんないい雰囲気をつくり出すことは至難の技であるが、会話の中盤、何かのタイミングでふっと相手との心の距離がぐっと近づいたと感じる瞬間があれば、きっと相手もそう思っている。それは、カウンター席に移動したタイミングでもある。

そのためには呼び水を提供する

そのためには呼び水を提供する

そんなゴールデンタイミングを招くためには、どうすればいいのか。相手の話を一方的に聞いているだけでは訪れない。そのためには、相手の心をノックするような会話をしたい。相手の言葉を引き出すための呼び水となるネタを提供するのだ。
「あなたが気に入りそうなネタ、私の引き出しに入ってたけど、これどう?」と差し出すことで、相手も「あー、それね。では、もっとおもしろいネタを提供しよう」と会話のレベルがぐっと深い段階へと進んでいく。
この呼び水は、内容によっては相手の期待を外していてもOK。大きな方向性さえ外れていなければ、逆に「それは、ちょっと違うな。でも、おもしろいからつき合ってあげよう」と相手が「次のNO」のように反応してくれることもある。

一番避けたいのは、何も提供しないこと。脳はお互いに刺激しあってこそ、活発化される。引き出しも相手にばかり要求せず、こちらから先に開けて提供することが重要だ。

相手の言葉を遮らないこと

相手の言葉を遮らないこと

話題を提供して会話が乗ってきたら、しばらくは聞き役に徹して、相手の言葉をどんどん引き出していこう。基本的に、私たちは相手が感心したり喜んだりしている様子をみると、もっと相手を喜ばせたい、もっといい話を提供して自分の評価を高めたい、という気持ちが強くなっていく。

脳のエンジンがかかりだしたら、回転が止まらないように心地よいテンポをキープしていれば、有意義なインタビューになるはずだ。

インタビューのコツ4:日頃から感度を養っておこう

日頃から感度を養っておこう

とはいえ、相手とは経験も知識の量も分野も違う。「ネジ業界を極めた社長に、提供できるネタなんて持ってないよ」とあなたは思うかもしれない。しかし、本当にそうだろうか。分野や規模は大きく異なっていても、すべての物事には共通の真実というものがある。

たとえば、ある有名洋菓子店の社長と多くの学生から慕われる大学教授。どちらも当社の大切なクライアントだが、お二人が語ってくださるポリシーには非常に共通点が多いことに驚かされる。「目標を失いかけたら目の前の山を登れ」「同じ作業でもトコトン追求すれば極めることができる」・・・。業界や生きてきた経緯はまったく違っていても、高いレベルに達している人たちには、共通する姿勢・信念があるのだろう。

難しい話題でなくても、相手が話を進めやすくするためには、あなたは自分が持っている引き出しを総動員して、相手の脳を盛り上げる芸者になるべきなのだ。そのためには、自分の引き出しを蓄えておくことはもちろん、引き出しを開けられる瞬発力(=心の感度)を鍛えていくことがとても大切になる。

WEB制作会社の求人に合格し、時給800円のフリーターを脱出する方法

WEB制作会社の求人に合格し、時給800円のフリーターを脱出する方法

「フリーター」は「フリーアルバイター」の省略語で、ニュースでも正しい言葉のように使われている「フリーター」は、「フリーアルバイター」が正しい言葉だ。これから格調高い話をするので、冒頭から堅い話になってしまった。

この造語を作ったシンガーソングライターの長久保徹氏は、
『激動の幕末に脱藩し、夢のために生き続けた坂本龍馬のように「就職」というレールから外れても、つまらない求人に応募することなく、自分の夢を実現するために頑張り続けるための仮の職業』だと説く。

そう、フリーターは輝く可能性に溢れた、最高に夢のある職業なのだ。

でも、やっぱりこんな生活はいやだ!

こんな生活はいやだ!

学校を出てすぐに就職しなかったため、夢を実現するためにレールから外れてわが道を行くフリーター。しかしそんなフリーターでも、時々心が折れそうになることがある。例えばこんなときだ。

  • 飲み屋で給料の話になり、時給を瞬時に計算して月給っぽく話してしまっていたとき。
  • 「パパはサラリーマンなんだよ。おじさんは?」と甥っ子に聞かれ、ごまかそうと「筋肉マン」と答えてしまったとき。
  • 「夢を追いかけ続けるって、カッコイイよな」と励まされ、「普通に就職したい」と言えなくなってしまったとき。

「このままではマズい」という焦りや、「卒業=就職」という世間の感覚とのギャップは、フリーターなら誰もが感じる。
冒頭で紹介したようにフリーターは、あくまで仮の姿。「いい加減この生活を抜け出したい!」そう思った時が、次に進むべきその時だ。

決意だけでは抜け出せない

仮の生活から抜け出すべく、いざ就職活動!と決意を固める。美容室で短めのスッキリした髪型にしてもらった。リクルートスーツをクローゼットから引っ張り出し、しわひとつ残さずアイロンをかけた。履歴書や応募書類を入れるための封筒、きれいに文字が書けるという胡散臭そうなボールペンでさえ猛烈に魅力を感じる。

「準備万端。就活よ!どこからでもかかってこい!」

就活よ、かかってこいと言ったものの

臨戦態勢にしたつもりでも、本気で応募しなければ意味はない。つかの間、妙な達成感を味わい満足はしたものの、特になにも起きないまま、気が付くとまた髪は伸び、スーツはクローゼットの奥深くにしまわれる。そしてまた今日も、店長に怒られるためにバイト先に向かう・・・。このパターンを、10回は繰り返す。

今度こそ!と、ファミレスで応募書類を量産し、手当たり次第に企業に送り続けたところで、熱の感じられない応募書類では一次選考通過もままならない。なぜなら過去の私には、決定的に足りないものがあったのだ。そう、決意だけでは、いつまで経っても甥っ子の前で「筋肉マン」を演じなければならなくなるのだ。

では、採用通知を受け取るのに「足りないもの」とは何だろう。
それは、「具体的な目標を持つ」ことなのだ。「就職する」は、漠然としている。目的地を決め、最短の航路を決める。

灼熱の太陽が縁側に照りつける朝、私は「WEB制作会社に応募し、正社員の座を勝ち取る」という目標を決めた。

WEB制作会社の正社員になるために

WEB制作会社といっても、それぞれ特色がある。得意とする分野、クライアント、雇用形態、社員の数等々、希望の条件によって目指すところは大きく異なる。あなたが応募しようとするWEB制作会社の中から目標をさらに絞り込むために、まず行うべきは、自己分析だ。

1. 自己分析で目標を絞りこむ

自分の現状を整理して、到達すべき「目標」をより明確にしていこう。この作業は頭で考えるだけでなく、必ず紙に書き出しながら行ってほしい。悲しくなるかもしれないが、ゼッタイにやるべきだ。
まず初心に返り、自分が正社員で働きたいと考えた理由を思い出してみよう。そこには必ず切実な理由があるはずだ。シンプルなものはそのまま、複雑なものや感覚的なものはなるべく細分化して、具体的に書き出してみる。

  • 給与が少なく、安心して日々の生活を送ることができない
  • 将来をイメージできず、不安である
  • 大きな仕事を任せてもらえず、モチベーションが上がらない
  • 正社員で働いている同級生に対して劣等感を感じる

では次に、それらを解消するには何が必要なのかを考える。理由ひとつに対して丁寧に具体的な条件を充てていこう。

  • 給与が少なく、安心して生活を送ることができない → 月20万円以上の安定した収入を得る
  • 将来をイメージできず、不安である → キャリア・アップの計画を実行する
  • 大きな仕事を任せてもらえず、モチベーションが上がらない → 入社早々、大きな仕事を任せてもらう
  • 正社員で働いている同級生に対して劣等感を感じる → 正社員雇用

これが仕事に求める最低条件だ。漠然としたイメージは、具体的に書き出すことで解決策を見つけやすくなる。実際は思いつく限り書き出していく。挙げる数が多いほど、あなたのモチベーションはどんどん上がっていく。

2. WEB制作会社が求める、理想の新入社員になりきる

求められる人材になりきる

これは、入社後の話ではなく面接時にそうなれということだ。つまり、演じるということである。こんな新人が入ってきてほしいと企業が考えている理想の人物に、そっくりそのままなりきってやるのだ。ただし、相手は百戦錬磨の面接官。なまじっかな対策では化けの皮が剥がれてしまう。周到に準備しよう。

演じ切るには、やはり役作りだ。ウソをつけと言っているわけではない。採用活動を進めるWEB制作会社が理想と考えている人物のような「雰囲気」を醸し出す。そのためには、彼らが求める人物がどんなものかを具体的にイメージすることがポイントだ。

まずWEB制作会社が求めるであろう理想の新入社員の条件を、具体的に書き出してみよう。自己分析でやった要領で、理想の新人像を作っていく。WEB制作の仕事の特長から考えていくのが近道だ。

WEB制作の仕事の特長とは、

  • 日進月歩で技術やトレンドが変化する
  • 生き馬の目を抜くような業界
  • チームでの仕事が多い

ここで活躍できる人物像を書き足す。ただし、クリエイティブ業界なので、直球を投げていては最終面接まで残れない。少しだけ変化球を投げてみよう。

  • 日進月歩で技術やトレンドが変化する → 新しいものに敏感。毎日の電車で出会う憧れの彼女の服装をメモっている
  • 生き馬の目を抜くような業界 → 商店街のくじ引きで、熱海旅行を当てたことがある。
  • チームでの仕事が多い → 高校時代、ウォーターボーイズに感動し、市民プールで夏休み中猛特訓した

ファッションチェック

このようになる。これがWEB制作の現場で活躍できる人物だ。仕上げは、この人物を演じきる役者になるためのトレーニングだ。とにかく、鏡の前で自己ピーアールしてみよう。自分をどう感じただろうか。

「コイツと仕事したい」

と思えただろうか。
これからあなたは、少し変わった見方のできる好青年を演じるために、毎日繰り返し繰り返し15分間、鏡の前で格闘する。どこで表情を軟らかくし、笑顔をつくり、抑揚をつけると「理想像」に見えるのかを研究する。最初のうちは鏡に映る自分が媚びているように見えて、非常に気持ち悪い。しかしガマンして1週間も続ければ、素人でも面接官にとって「心地よい雰囲気」を作り出せるようになる。何とかなるものだ。私でもできたのだから、保証してもいい。

面接官にとって「心地よい雰囲気」を持つ好青年を自由自在に演じられるようになったあなたに求められるのは、「近い将来化けてくれるかもしれない」実績だ。
先ほどあげた条件のひとつひとつに、応募者であるあなたが「化ける可能性」を感じさせる事実を充てていく。あくまで「可能性」の話で、そうなるかどうかなど問題ではない。

  • 新しいものに敏感。毎日の電車で出会う憧れの彼女の服装をメモっている
    → 走り書きのイラストが描かれたA6ノートを用意し、最新のファッション用語を並べておく。
  • 商店街のくじ引きで、熱海旅行を当てたことがある。
    → 昔行った熱海旅行の家族写真を用意する。両親が泣いていれば最高だ。
  • 高校時代、ウォーターボーイズに感動し、市民プールで夏休み中猛特訓した
    → 友人とバカっぽく笑っている夏休みの写真を用意する。バカっぽくが、キモである。

ウォーターボーイズ

写真やノートを見せつつ、面接官にとって最良の応募者であると確信するあなたは、1週間血のにじむような努力を重ね会得した「好青年」を演じながら、こう伝える。

「WEBが大好きだから応募しました。ですからWEB制作会社は、とてつもない可能性を秘めていると思います。まだ私は詳しいところを知らないけれど、この業界に身をおけるかもしれないと思うと、ワクワクしてきます。自分に足りないところは、毎日少しずつノートにまとめて学んでいます。家族に迷惑をかけたこの3年間に区切りをつけて、成長したなと両親に言わせたい。チームが熱くなれば、チームの誰もが強くなれることをもう一度実践したいんです。」

と。もしかすると、応募者の好青年が発する言葉に涙ぐんでしまう面接官がいるかもしれない。ここまで紹介したテクニックをずるいと感じた方は、甘い。甘すぎる。
実際のビジネスの現場では、誰もが理想の取引業者を演じている。演じるだけで、実践なしではすぐに切られるが、毎日繰り返し演じると不思議なことに演じなくても理想に近づいてくる。そして、お互いをリスペクトできる関係になっていくのだ。

質問のコツを習得し、良い協力会社を探す3つのテクニック

質問のコツ

初対面の相手に漠然とした質問を投げても、相手から学ぶべき答えは返ってこない。自分が引き出したい本質的な回答を得るためには、周到な準備とコツが必要だ。漫然と相手の話を聞くだけでは、これまで以上の結果を望めるはずはない。
この記事では、近い将来ガッツリと良好なパートナーシップを築ける協力会社を探すための3つのテクニックを伝授したい。

ビジネスはより複雑になり、高度なバリューチェーンの構築が長期的な事業存続のためのポイントにもなっている。
現在付き合っている業者に不満を持つ上司から、早急に新たなパートナーを探すよう命じられた。あなたは最良のパートナーシップを築ける協力会社を探そうと時間をかけているが、せっかく初回のミーティングにこぎつけるも、有力候補と考えていた会社の担当者から引き出せたのは、概要的な情報のみ。
あなたがどれだけ思い入れていても、上司からはダメ出しがあるのみだ。

打ち合わせの席に現れた相手がフランクな性格で話が盛り上がったとしても、振り返ってみると本当にこの会社と付き合って大丈夫かは何となく疑問のまま。結局のところ、知るべき本質的なポイントがうやむやのままだったでは、時間を無為に過ごしたことにしかならない。
この記事は「話を盛り上げ、本音を引き出すテクニック」ではなく、ロジカルに「自分が得たい回答を確実に相手から引き出すコツ」集であり、上司からのダメ出しから逃れるテクニック集だ。

(1)採否の基準を明確にし、初回打ち合わせ前に質問しておく
(2)質問への回答と、描いていた理想とのギャップを確認
(3)細かなズレを避けるための質問を繰り返す

相手が用意する回答の精度を見るコツ

気の合う相手を探すのも大切なことではあるが、それだけに偏っていては自社にとってよろしくない。採用の基準が曖昧で、人(あなた)に属しているからだ。これを避けるためには、採否の基準を明確にしておくこと。
まず、あたりまえのことではあるが、アポイントをとるときに前もって打ち合わせの主旨を伝えておきたい。また、必ず得ておきたい情報の内容を伝え、回答を打ち合わせ時に説明してもらうようにする。その精度や力の入れ方で相手の本気度を測ることもできるからだ。
その回答があなたの予想を超えたものであるうえに、背伸びをしなくても付き合っていけそうであれば採用の可能性も一気に高まる。打ち合わせ後に追加でされた提案は熱意が感じられるし、クライアントと「寄り添おう」という気持ちの表れでもあるので評価ポイントを高く考えるべきだ。

自社が必要とする理想型を描いておく

あなたの会社にも「最良のパートナーには、こうあって欲しい」という理想があるはずだ。
だから最初にあなたがすべきなのは、自社が付き合うに値する会社かどうかを見極めるための質問と、模範解答(理想型)を用意すること。

たとえば、リスク時にもしっかりサポートをしてくれるWEBサイトの管理会社を探しているとしよう。この要望を伝えるための質問は、

「営業日外に突発的な事故が当社にあった場合、それをサポートする体制はどのようなものですか?」

そして、あなたが思い描いたパートナーの理想型は次のようなものだ。

思い描いた理想のパートナーの働きの図

話を聞くために招いたパートナー候補が提示してくると思われる回答にもバリエーションを持たせておく。

(1)24時間体制でサポートセンターが稼働しているので、問題はない。
(2)年末年始以外は誰かが出勤しているので、問題はない。
(3)時と場合によるが、携帯に連絡をもらえれば必要なスタッフを招集する。
(4)営業日外は対応できないので、翌営業日での対応となる。
(5)その他、予想できなかったもの。

引き出せそうな回答を前もって考えておくことは、すでにお伝えした。では、なぜそれが必要なのだろうか。
それは、招いたパートナー候補のランク付けをするためと、理想に近い回答を提示した者が、表面的にではなく、ほんとうに自分たちの理想に近いかどうかを見極めるための次の質問を浴びせるためだ。

事前に提示した質問に対する回答は、優等生なものが多くなるはず。金太郎飴のように感じる似たような回答ばかりを引き出してしまい、最終的には鉛筆を転がして新たなパートナーを決めるといったことは避けなければいけない。そのためには、微妙な考え方のギャップも見逃してはならないのだ。

心地よい言葉の裏をチェックするコツ

質問のコツ

24時間体制やほとんどが営業日なので問題はないといった回答は理想に近く、安心できそうに感じてしまう。しかし、ほんとうにあなたが望んでいることを担ってくれる体制といえるのだろうか。出勤している「誰か」やサポートスタッフは緊急時の対応に長けているか、そうでなければ高度な対応ができるスタッフをどのような方法で招集するのか?

「もし、うちの工場から出火すれば、広報スタッフは緊急招集されます」

受け答えとして予想されるのは、
(1)「ははぁ、夜中でも?たいへんですね」
(2)「サポートセンターと私にもご連絡ください」
(3)「そのような場合も、とりあえずサポートセンターにご一報ください」
(1)は論外として、(2)は緊急時なのに、なぜ2件も連絡しなければいけないのか。サポートセンターから自動的に伝わるようになっていることがふつうだろう。

あなたはこう続ける。

「すぐに状況を把握して、早い段階でリリースを出すルールになっています」

(1)「レベルの高い緊急時なので、とにかく早い第一報が必要ですね。断片的な情報でもいただければ、当社でまとめてリリースを出すこともできます」
(2)「リリース原稿をいただければ、サポートスタッフが公開します」

「緊急時なので、リリースの作成までサポートしていただきたいのですが」 と突っ込むと、(2)の回答はこうなるだろう。

(1)「リ、リリースの作成までは難しいかと」
(2)「専門のスタッフが到着してからではダメでしょうか」

「一刻を争う緊急時なので、外部のお力も借りるべきではないかと考えているんです」

(1)「社内で検討してから回答します」
(2)「専門スタッフの常駐が必要になると、平常時にも高いコストがかかります。レアケースのために高いコストを永続的に払うよりも、御社内から情報を更新できるようにCMSを導入するのはどうでしょう。断りを入れておけば、緊急時の第一報はあとで訂正も効くはずです」

多少の推測が入っているものの、(2)の回答はロジカルだし、新たな提案も入っている。次の質問を繰り出そう。

「リスクマネジメントに対する知見は、社内に蓄積されていますか?」

ここで即答できる会社は、ほぼ専門サービスと言っていい。一般的には、持ち帰って後日の回答となるだろう。

まとめ

今までみてきた質問のコツは、パターンを変えれば協力会社を探すためだけではなく、他の仕事にも応用できるはずだ。要するに、質問する前にあらかじめ自分のなかに理想型を描いておき、回答が理想型からどの程度の距離にあるかをチェックするのが一次チェック。理想型との距離が近くても、細かなところで考え方に相違があってはいけないので、用意しておいた「ツッコミ」質問をぶつけてみる。その回答次第で、さらに深い質問を続けていけば、不安は払拭され、新たな学びも得られる可能性もあるのだ。
これは、問いつめるための武器を持つということではない。対応する相手に公平に機会を与えるためであり、敬意を払うことにもなる。ぜひ何かの機会に、「質問のコツ」を実践してほしい。

WEBコンテンツ企画について、もう少し詳しく
WEB制作実績

この記事に関するご質問やお困りごとのご相談も何なりと。
平田 弘幸
株式会社フレイバーズ代表取締役。セールスライティング担当。好きな言葉は、「一生懸命が得意」

「ひたすら尋ねる」ことの効用

賃貸マンション

本文とは関係ありません

少し前、クライアントから「運営している賃貸マンションの入居状況が芳しくないので、ブログを作って宣伝しようと思うのだけど」と引き合いをいただいた。すぐにブログでは解決できるものではないな、とは思ったのだが、とりあえず打ち合わせに行くことに。

話を聞いてみると、入居率は50%近くになっていて、大きな資産が遊んでいる状態。早急に手を打ちたいのだという。満室なら毎月入るはずの何十万円という賃料が入らなくなってしまっているのは、えらいことだ。築4年のこの物件、最寄り駅からもそんなに離れておらず、設備も申し分ない。

「なんで入ってくれないんですかねぇ…」

いくつか思いついたことがあったので、尋ねてみた。
「レインズ(不動産業者のための情報網)には登録されてます?」
「駅前の不動産屋さんに対するプロモーションは?」
「内見にはどのくらい来られてますか?」

はっきりした答えは返って来ない。空室が多いのは、運営を委託している管理会社が外部に対するプロモーションを怠っているのが原因だ。確信があったとはいえ、不動産屋でもない者が判断を下してしまうのはまずいと思ったので、その場で知り合いの不動産屋さんに電話をかけ、物件の条件を伝える。

「そりゃ、もったいないね。でも、すぐに埋まると思うよ」

彼曰く、私が尋ねた2つをすれば、3番目の「内見者」が増え、空室は埋まっていくだろうというのだ。この「セカンドオピニオン」をクライアントに伝え、ウェブではない解決方法で動くことになった。3ヵ月後、空室はすべて埋まったとの連絡を受け、ホッとする。

ウェブで解決しようとしない方がいいこともある。この件ではフレイバーズには何の売上げも立たなかった。しかし何の思慮もなしに仕事を請ければ、そのとき売上げは立ったかもしれないが、近い将来必ずおかしなことになる。変化球ではあったが、クライアントの課題を解決することが私たちのしごと。いい関係を続けていくためには、大切なことなのだ。