タグ別アーカイブ: 書き方

熱いインタビュー記事はどう書くか

熱いインタビュー記事はどう書くか

その分野で名を馳せるプロフェッショナルに話を聞くことができるインタビュー。じかに熱い話を聞くことができるのは、ライティングの仕事をしている者ならではの特権だ。

ただ、いくらいい話を聞いてきても、それを文章にすることができなければ、せっかくの熱い思いを読者に伝えることはできない。インタビュー記事を書くときに筆者が心がけていることをいくつか紹介してみたい。

取材現場の熱量が、最初にして最大

1.	取材現場の熱量が、最初にして最大

インタビュー記事では、取材対象が語ってくれたことがすべてのネタの元になる。

ライターはそのネタを元にして書くわけなので、取材現場では、もらえる一言ひとことが宝物である。取材現場の熱量を100とするならば、その熱が100%読者に伝えられるか、それとも80%になるか、はたまた30%になるかは、ライターの力量次第ともいえる。

ただし、100を超えることは書けないし、書いたとしたらねつ造になってしまうので、あとは取材現場でいかに120、150を語ってもらうかが勝負になる。そのあたりの詳しい方法については「質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法」を参照されたい。

文章にするときの3つのポイント

文章にするときの3つのポイント

語ってもらったネタを熱いまま文章という形に料理したいのだが、これがなかなか難しい。
語り言葉をそのまま文章にすると、重複などの不要な部分があったり、どうしても必要なバックグラウンドがそっくり抜けていたりするからだ。たいていの場合、順番も順不同になっているため、内容ごとに精査して、読者が混乱なくストーリーに入り込めるよう、適切な順番に並べ直さなければならない。

(1)同じ内容はばっさり切る
(2)大胆に順番を並べ替える
(3)バックグラウンドを補足する

この3つが適切にできていれば、まず80点はとれるのではないだろうか。

誰でも分かるように、素直に書く

誰でも分かるように、素直に書く

ではあとの20点は何なのかというと、それは「誰にでも分かるように、素直に書く」ということ。
ライティングとか、ライターとかいうと、なぜかクリエイティブなことを書かねばならないとか、個性を出さねばならないと思っている人が意外に多い。しかし、小説家を目指しているならともかく、たいていの場合変なクセのついた文章は、読み手の理解を邪魔するだけである。

特にインタビュー記事においては、書き手の個性なんて誰も必要としていないことを知っておこう。
専門用語が頻出しがちな分野であっても、なるべく素人にも通じる言葉を選ぶこと。話の意図を的確に表現するためには、語られた言葉をそのまま使うことが適さない場合も多い。
小学生でも分かるように、シンプルに、単刀直入に。変に気取らず、素直に、まっすぐに。言葉選びには慎重を期したい。取材対象が発してくれた熱を、逃がさずそのまま文章にするのである。

よいインタビュー記事は、魔法瓶のようなもの

よいインタビュー記事は、魔法瓶のようなもの

取材現場の熱をそのままインタビュー記事に閉じ込めることができたら、その記事はいつまでも熱を逃さず保存してくれる、高性能な魔法瓶のようなもの。

日々の仕事ですり減ってしまい、モチベーションが上がらないとき。失敗から立ちなおれず、自分に自信が持てずにいるとき・・・。心が冷えきっているときその記事を読み返せば、いつでもプロフェッショナルの熱を、また自分に取り込むことができる。自分のなかにも忘れかけていた熱があることを、もう一度感じることができる。
そんなきっかけになる文章を書くこと、それこそがインタビュー記事をライティングする醍醐味ではないだろうか。

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方

メールにレポート、さまざまな種類の報告書…ビジネスマンなら誰しもが毎日なにがしかの文章を書いている。形式的な文書の書き方については他に親切なサイトがいくつもあるのでそちらに譲るとして、ここではもう少し突っ込んだ内容が求められるレポートや報告書の書き方について、ライティングの視点から考えてみたい。
評価されるビジネスレポートに必要なポイントは、以下の2点に集約することができる。

(1)オリジナリティのある内容か。
(2)読む人が苦労せずに理解でき、正確に内容が伝わるか。

この2つがきちんと満たすためにすべきことを、以下で紹介していきたい。

1.評価されるレポートの書き方、3ステップ

評価されるレポートの書き方

当たり前のことだが、研修レポート、視察レポートで重要なことはまず内容=「役立つことが書いてあるか」である。
読み手である上司の心情を想像してみよう。長々と読まされたあげく中身が空っぽだった場合、読み終わったときに書いた人間を思わずはりたおしたくなっていたとしても不思議はない。
内容が充実している、読んで良かったと評価されるレポートを書くために、意識したい3ステップを紹介しよう。

A.現状の把握と問題点の整理
B.分析
C.問題解決への提案

1-A.現状の把握と問題点の整理

現状の把握

まず現状を把握し、今抱えている問題を整理すること。
研修レポートや視察レポートの場合は、ほとんどが自らを対象としたものとなるだろう。自分や自社が今どんな問題を抱えているのか、社会や市場の動向はどうなっているのか。そして研修・視察先ではその問題はどうなっているのか、そこで自分は何を得てきたいのか。
ここで問題・目的を浮き彫りにし、レポートの冒頭でしっかりと宣言することで読み手と問題意識・目的意識を共有してほしい。これが的確で共感できる、または興味をひくものであればあるほど、読み手はぐっとあなたのレポートに引き込まれるはずだ。

1-B.分析

よいレポートには『分析』が不可欠だ。
ただ漫然と見ているだけでは分からないことがある。表面を流し見するのではなく、ひとつひとつの事象を深く掘り下げ、それによってどんなことが起こっているかを観察し、そこに自分なりの解釈を加える。これが『分析する』ということだ。
分析作業なくして突然結論を突きつけられても、読み手の納得は得られない。自分の書いたレポートに『分析』はあるか、常に意識しよう。

1-C.問題解決への提案

問題解決への提案

AとBを踏まえて、問題解決への提案で締めくくる。これがなければレポートを書く意味がないと言ってもいいほど重要だ。
ありがちな失敗例として「とても勉強になりました」「よい経験になりました」で締めくくられているレポートがある。読んだとき上司の心に余裕があれば、「よかったね」とホンワカしてもらえるかもしれないが、余裕のないときに読んだ場合は心のなかで「だから何なんだー!」と叫ばせてしまうことになるだろう。
心配しなくてもそれほど身構えることはない。なぜならAとBがしっかりと書けていれば、Cは自ずと導かれるはずだから。逆にCで手が止まってどうしても書けないというときは、AとBに問題がないか見返してみると良いだろう。

2.論理的に書くコツ。言いたいことを整理する

論理的に書く

レポートに何を書くかは頭のなかにある場合、あとはそれを文章にするだけなのだが、実際に書き出す前にまずしておかなければならないことがある。
それは「言いたいことを整理すること」。特にビジネス文書ではこの行程がとても大切だ。頭に浮かぶまま本流と関係の浅い枝葉の部分を書いてしまうと、言いたいことが伝わらないうえ、読む人の混乱を招きストレスを与えることになるからだ。
まずは書き出す前にトピックごとに整理して、レポートの設計図を頭のなかに描いてから書き始めよう。具体的な手順は下記の通りだ。

1.言いたいことを一行ほどに要約してひとつずつ箇条書きにする。
2.1をどんな順番で書くのかを考える。
このとき、基本的には時系列に並べること。そして同じような内容はまとめること。上記のA、B、Cの流れに添えているかもチェックしながら進めよう。パソコンを使うと簡単だし、アナログ派ならメモ紙を数枚用意して1行ずつ書き、机の上で入れ替えてもよい。

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方、後半は

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ライティング初心者のための、想いが伝わる文章の書き方

ライティング初心者のための、想いが伝わる文章の書き方

心に響く文章は、読み手の行動を変える力を持っている。たった一行の文章で、読み手に商品を買わせることも、自社に対して良いイメージを持たせることも可能になる。

そんなことできるのは、ほんの一握りのプロくらいでしょ、とあなたは思っているかもしれない。しかし文章の素人でも、やり方しだいで言葉の力を引き出すことは可能なのだ。

ただし、それにはコツがある。言葉を通じて想いを伝え、読み手のアクションを引き出すためには、どんなことに気をつければよいのか。ライティング初心者の視点に立ってひとつずつ解説していこう。

想いが伝わる文章のための大前提

想いが伝わる文章のための大前提

伝わる文章を書くために最も大切なこと―それは、「伝えたい想い」をどれだけ強く、明確に持っているか。
想いが強ければ強いほど、良い文章になる可能性を秘めている。逆にそこがあやふやであったり、そもそもない、そんな状態ではどんな優れた書き手でも良いものは書けない。

文章を書くということは、想いを言葉化して表現するということ。表現すべき元の何かがなければ、書けるわけがないのだ。まずはしっかりと、自分が発信したいメッセージを確認してほしい。

文章は現場から生まれる

文章は現場から生まれる

何が語りたいのかわからない、語りたいことがないという人は、まずはそれを探すことから始めよう。
はじめにすべきことは、パソコンの前から一度離れ、現場へ行ってみることだ。文章は「想い」から生まれる。そしてその「想い」を生み出しているのは人間だ。ならば人間がいる現場へ行くのが、「想い」を見つける一番手っ取り早い方法、というわけだ。

たとえば、自社商品のよさを語りたいならば、その商品を使ってみよう。食べ物ならば食べ、着るものなら着てみよう。商品が生まれた現場へ行き、商品を生み出した人たちの顔を見、声を聞くのもいい。現物を手に取り、においをかぎ、あらゆる角度からじっくりと観察すること。五感を総動員して、気づいたことを書き留めれば、それが語りたいことの種となる。

伝えたいこと、語りたいことさえ見つかれば、ほぼ8割は書けたようなもの。だからこのプロセスは時間をかけて、自分が本当に語りたいと思えるネタを見つけてほしい。

自分の言葉で語る

自分の言葉で語る

「想い」が見つかったら、いよいよ文章にしていこう。このとき、気をつけるべきことは「自分の言葉で語る」こと。どこかで見つけた小洒落たフレーズや、何にでもあてはまりそうな抽象的な言葉を使ってはいけない。

安易に使えば、文章の鮮度がぐっと下がってしまう。あなたが自分の目で見、心で感じたことをできるだけ具体的に…そんなもぎたての言葉だけが、人の心を動かすことができる鮮度を持っている。

スマートじゃなくても、つたなくても、想いが真っすぐに表現された文章に人は好感を持つもの。自信を持ってオリジナルの言葉で語ってほしい。

読み手への思いやりを忘れない

読み手への思いやりを忘れない

もうひとつ、気をつけてほしいことが読み手を思いやること、“おいてけぼり”にしない、ということだ。具体的に4つ、ポイントをあげてみよう。

  • 話はぼやかさず、核心から入る
  • 重複しているところ、無駄なところをチェックし、削れるところは徹底的に削る
  • まわりくどい表現、分かりにくい比喩などはしない
  • 自分の気持ちを押し付けない

読者に共感を持って読み進めてもらうには、分かりやすさが第一だ。自分の文章に分かりにくいところがないか、くどいところはないか、チェックしてみよう。

忙しい現代人は、早く情報を得たいと思っている。ビジネス文書でもSNSでも、明快で分かりやすいほうが喜ばれるもの。逆に言わなくてもいいことをいちいちくどくどと書いていては共感は得られない。

また、自分の感情を押し付けるような文章は嫌われる。感動を伝えたければ、事実や具体的なエピソードに語らせることで、読者の自然な感動を引き出そう。「とても」や「本当に」などの強調する言葉も使いすぎれば逆効果。極力控えめに使うようにしよう。

書き終えたら間をあけて読み返す

書き終えたら間をあけて読み返す

文章力に自信がない、という人は、ぜひこの点を徹底してほしい。当然すぎるほど当然のことなのだが、できていない人が多い。言うまでもないことだが、誤字脱字は読み手の信頼を損なうのでしっかりチェックを。

そして、できれば一晩ねかせてから、もう一度読み返すことをお勧めする。少し間を空けることで、第三者の視点で読むことができるからだ。書いていた時は見えなかった重複や回りくどさ、分かりにくさを見つけられるかもしれない。粗削りだったところをシャープに研ぎすますイメージだ。このひと手間で、文章がワンランクアップすることを請け合おう。

今すぐ使える、まとまりのない文章をサクッとまとめる技

今すぐ使える、まとまりのない文章をサクッとまとめる技

書きたいことがありすぎて、ぜんぜんまとまらない!そんなライティング初心者にお勧めしたい現実的な方法がある。

まず、小さめのメモ紙を10~20枚ほど用意し、1枚に1文、言いたいことを書く。あくまで1枚に1文、このルールは守ってほしい。
これを机の上に並べてグループ分けをする。似たようなことを言っているメモ紙や、内容がつながっているメモ紙は同じグループに。違う内容のメモ紙は違うグループに。机の上にはいくつかのグループができるだろう。
そのグループを、起承転結の順に並べ変える。あとはつなげてひとつの文章にするだけだ。

この作業をすると、結局同じことを言っているだけのメモ紙が数枚重複していたり、起承転結の「結」にあたるグループがない、などという問題が一目瞭然になる。重複しているメモ紙は、一番大事な1枚を残してあとはポイしてしまおう。そして「結」にあたる一行を書いたメモ紙を1枚作ればよいのだ。

まとまらない、というときは、たいてい同じようなことを何度も繰り返していたり、起承転結のどれにもあてはまらない、脱線したトピックが混じっていたりするものだ。もちろん、脱線トピックは、クシャクシャポイしてほしい。
その想いは、また別の機会に語ろう。余計な飾りをばっさりと切り捨てることで大切な一文に力が集中し、ズドンと伝わることもあるのだから。