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質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)

質問力を高める:漠然とした質問をしない

質問力を鍛えよう:考え込んでいるサラリーマン

「最近、どうですか?」
質問された人が、どう答えていいかわからない代表的なもの。かつて当社のスタッフが、欧州で活躍するスポーツ選手に不用意にこの質問をし、「何がですか?」と切り返されていた。

「あの人、好きじゃない」
スタッフは立腹していたが、「そんな質問するからだ」とたしなめた記憶がある。ただ、切り返したスポーツ選手も少し突っ張っていた時期でもあったので「わざと」な部分があったとは思うのだが。

この例を反面教師として肝に銘じておきたいのは、
質問者は、相手が答えやすい(どう答えたらよいか容易にわかるような)ように聞くべきだということだ。何を答えたらいいか想像はつくが、答えにくい質問もある。あえてそれを聞かないといけないこともある。しかし取材の冒頭から答えにくい質問を浴びせていては、すぐに相手は言葉をつむぐのをやめ、貝のように口を閉ざしてしまう。

質問力を鍛えるということは、会話力を鍛えるということでもある。インタビューという限られた時間、しかも互いに緊張したなかでコミュニケーションを行い、取材のテーマにそったネタ(あるいは解決の糸口)になるような答えを引き出すためには、「平静」が大切だ。
相手が思わず話してしまう、ここまで話してしまった・・・という雰囲気を作るにはお互いの間に心地よさ、平静さを生むことが必要なのだ。

質問力を高める:核心を引き出すステップ

質問を重ねることによって、相手から核心を引き出す。心理学でいうところの「フット・イン・ザ・ドア」を利用する。ステップは次のようなものになる。

  1. 何も考えずに答えられる質問(YESかNO)
  2. 1.に対する質問
  3. 2.に対するより深い質問
  4. 3.に対するより深い質問

「フット・イン・ザ・ドア」とは、いきなりしてほしい頼みごとをするのではなく、まず小さな頼みごとをして了承されたら、もう少し高いレベルの頼みごとをすると受け入れられやすくなるという理論。
上記のステップも直前の質問に答えてもらえたら、それを掘り下げるということになっている。

ただ、相手のかたくなさや、話の内容によっては上記のステップをいくつか繰り返しながらスパイラル的に核心に踏み込んでいく。ときには、あなたを含めた外部のひとが知りたい「なぜそうできたのか」を、成し遂げた本人さえ気づいていないこともある。
そういったときにこの手法で話を進めると、取材されている本人が取材のなかで頭のなかを整理しながら「体系だてて考えもしなかったノウハウ」に気づくことさえあるのだ。

取材をはじめて間もない人、ろくに下調べもしないで取材に臨んだ人は質問から深堀りする余力がないので、相手から「YESかNO」しか引き出せなかったり、もう一段踏み込んだあたりでネタが尽きてしまう。これでは読み手が前のめりになるコンテンツが書けるわけがない。

質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)、後半は

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質問力を向上させる、たった4つのテクニック(基礎編)

質問力を向上させる、たった4つのテクニック

質問力をつけることは、あなたの生きる力、仕事力を伸ばすことに等しい。
なぜなら、質問をすることで知識は増え、あなたが疑問に感じていたこと、こうではないかなと漠然と考えていたことが明瞭になり、自信を持てるようになる。自信が持てるようになると楽しくなる、質問によって疑問は次々と確信に昇華させることができる。実際に経験していないことでも、容易に理解できるようになっていくのだ。

「重要なことは、質問するのをやめないことだ」

アルベルト・アインシュタインが述べた言葉は、彼が成し遂げた偉業が質問によって為されたものであることを証明しているかのようだ。
社内で、営業先で、パートナーとのコミュニケーションにおいて、質問力を高めることは、あなたの伸びしろを最大限にすることは間違いないだろう。

質問力を向上させる下準備:相手を気持ち良くする

相手を気持ち良くする

有名人であれば、純粋に会えたことを喜んでいることを伝える。
おべっかでもいい。

「○○さんにお会いできて、いますごくドキドキしています。上手くお話を聞けるかどうか」

あなたのキャラクターに合わせ、相手に対する最大の賛辞を述べるのだ。有名人は「いやいや、そんなたいした者ではないですから」と言いながらも、決して悪い気にはならない。むしろ、あなたの小さな心遣いに、話すことへのスイッチが入るはずだ。

また、著作があれば、必ず一読しておく。ブログを書いているのなら、ざっと目を通しておこう。
このアクションは、取材する人への敬意でもあるし、あなたがこの仕事に臨む際の心構えでもある。取材相手の著作物を読むことは相手の思想に触れることになり、たとえ今回のテーマと異なるものであったとしても、根底に流れる思想は同じなのであり、必ず何らかの参考になるからだ。

もっとも機会の多いであろう会社役員の場合。
事業内容を細かくチェックしておく。細かくといっても、本流の事業に限ったらいい。傍流の事業については「とりあえずやっている」「昔からの流れ」で、ということも多いので、役員自信が良く思っていないこともあるからだ。
さらに、最近の業界の状況やそれを踏まえての業績もチェックできれば済ませておきたい。

相手は会社の役員であり、四六時中事業のことを考えている人種であり、話のなかで100%に近い確率で事業の話題に話が飛ぶ。そんなときに、話題についていけないようでは、相手がスッとあなたから離れて行ってしまうことになるからだ。

質問力を向上させる心構え:賢そうに見せない

賢そうに見せない

前項と併せて、必ず守ってほしいことだ。そもそも取材は、相手に「教えを乞う」行為だ。なのに相手の言葉じりをとらえて、あなたの頭の良さをひけらかしても意味はない。むしろ、相手を委縮させてしまったり、立腹させてしまうことになるかもしれない。そうなっては質問力を鍛えても、もったいないだけになる。取材する相手があなたのいる業界人だったり、取材相手が学生で、あなたよりスキルも知識も足りていなかったとしても、だ。

取材前に仕込んできた情報や持ち前の見識をいったんしまっておき、まずは「私は初心者なので教えてください」「今日はあなたのすぐれた面を吸収しようと思います」という姿勢を前面に出す。取材を進めるあいだに相手の話すことを深掘りしたり、大きく頷く際にちらっと見せるだけにしておこう。
相手は、あなたのリアクションに何かを感じ、「いい加減なことは話せない」と感じ、より言葉に力がやどるようになってくるはずだ。

質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)