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何度も見たくなるCMと、キャッチコピーの蜜月な関係

何度も見たくなるCMと、キャッチコピーの蜜月な関係

名作CMには、実は映像を凌ぐほどのキャッチコピーがその世界観を伝えるために存在しているという事実。
思わずテレビに見入ってしまうCMに出会うと、ものすごく得をした気分になれる。

筆者がコピーライティングを生業とする者だからということではなく、あなたも何気なく観ていたテレビで流れる珠玉の1本のCMに、心を揺さぶられたことが一度ならずあるはずだ。

風呂あがりのドライヤーまで止めさせられたCMに秘められたものは何だったのだろう。
目にする映像を越えて、頭のなかに勝手に膨れ上がるストーリーなのか。単に出演者に興味を持っただけなのか。それともやはり「今」を的確に反映した時代性だろうか。

ときに企業の壮大な世界観を見せつけ、視聴者に未来を感じさせる。また、出演者のユーモアたっぷりな演技で商品の親しみやすいイメージを印象付ける。さらには、今まで思いもしなかった事実にハッとさせられる。

チラシでは届けられないメッセージとブランディング。WEBサイトでは「あなた」との距離が近すぎる。

やはりCMは、企業PRの花のような存在。時代を映す鏡だ。

この記事では、CMを愛してやまない筆者が「う~ん」とうなった作品のなかから、キャッチコピーも輝きを放つ名作を独断で紹介していきたい。

CMの映像をキャッチコピーが的確に支える

CMの映像をキャッチコピーが的確に支える

心に残るCMは、概念的なことを伝える企業CMが多くなる。商品、サービスの宣伝は、商品名を連呼したり、スペックを並べ立てたりと、どうしても実弾的な意味合いをクライアント側から求められるからだ。

ただし、企業CMとはいえ、「私たちはこんな企業でありたいと思っています」的に、超概念的なことをアピールしても、直接事業とは結びつかないので、視聴者の記憶にはほぼ残らない。正直なところ、宣伝費の無駄遣いだ。

そのあたりを上手くやっていると感心してしまったのが、損害保険会社の東京海上日動。
「人生にはチャレンジがある」というキャッチコピーが生きるこのシリーズは、6編公開されていた。そのなかでも特に秀逸と感じたのが、遠くに愛車を停めすぎて、駐車場の料金支払機にチケットを入れようとしても届かなくなってしまった男性が焦る姿をコミカルに描いた作品。

損害保険のお世話にならざるを得ない状況というのは、突然のエンジントラブルや交通事故など「自分ひとりの力では、かんたんに解決できない状態」だ。
その切迫した状況を駐車場の男性をコミカルに描くことで、損保からイメージする「トラブル」の悲壮感もなくしてしまっている。

そしてナレーションが伝えるのが 「そのとき、あなたの力になりたい」

「そのとき」は、観ている人それぞれの「そのとき」だ。
「万一のとき」ではない。「事故の際に」でもない。
少しだけ視点を変えて視聴者に強いメッセージを届けるCMの販促効果は100点満点。ダイレクトに言わないことの妙ともいえる東京海上日動の企業CMに、「いいね!」300回くらい差し上げたい。

CM動画、YouTubeでの公開終了

心あたたまるCMの映像に、魅了され続ける90秒

心あたたまるCMの映像に、魅了され続ける90秒

これも企業CMで、YKK APの長く続くシリーズのひとつ。「似たものどうし篇」と名づけられた作品は、飼い主の男性とネコちゃんが暮らしのなかで同じ行動をしてしまっているというシーンをいくつも紹介していくもの。
ネコ好きでなくても、思わずクスッと笑ってしまう暖かい世界観を持った映像が積み重なる。

男性が暮らすアパートの一室で、一緒に雑誌を読んだり、風呂に入ったり、ケーキで何かの祝いごとを楽しんだり。
ある日、男性が窓辺でコーヒーを楽しんでいると、通りを歩く美しい女性の姿を見つける。思わず手を振る男性だったが、女性はプイッとそっぽを向いて行ってしまう。

残念そうに肩をすくめる男性の横で、ネコちゃんもじっと窓外を見つめている。手を振っているような、いないような。窓の外には、かわいいメスねこの姿が。今までの映像から想像すると、ネコちゃんもあっさり振られるのかと思いきや、メスねこが喜び勇んで寄ってくるという、どんでん返し。

最後のシーンでは、幸せそうに窓辺で戯れるネコちゃんたちの姿をほほえましく見ている男性の表情。
締めのナレーションは、「窓があると、物語が生まれる」というキャッチコピーで締められる。

窓から見る眺めは、ダイレクトに見る視界とはたしかに違う気がする。窓という枠があることで、普通の風景も何か特別な世界になるのかもと感じさせてくれる作品だ。

YKK AP「似たものどうし」篇

音楽を流さない。映像とコピーだけのCM

音楽を流さない。映像とコピーだけのCM

ターゲットに合わせた昔懐かしい歌、商品名をジングル化して連呼するもの。とにかくCMと音楽はセットになっていて、視聴者の記憶に残すために必須にしていることがほとんどだ。

しかしこのマツダのCMは、音楽が一切入らない。
デミオ特別仕様車の内外装の美しいデザインと静かに語るナレーションだけで構成されているのだ。

美しい映像を見ていると、ベンツ?と感じてしまうほど落ち着いたデザインとなっている。
女性の落ち着いた声で読み上げられるコピーが、完成した特別仕様車がどれほど完成度の高いデザインを持っているかを自信ありげに語っている。

「美しいものでなければ、人の心を打つことはできない」
「情熱を込めて作られたものでなければ、感動を呼ぶことはできない」
「人間の手が生み出すさまざまな形をまとって、我々のクルマたちは単なる道具であることを超える」
「これがマツダデザイン」
「特別なデミオ、登場」

マツダが一貫して使用しているキャッチコピーが浮き上がる。このキャッチコピーはスーパーのみでの登場だ。

「Be a driver」

マツダの開発陣は「人馬一体」にこだわり、ドライバーの意のままにクルマを操れてこそ運転することが楽しくなる乗用車なのだと主張している。デミオの特別仕様車は、デザインでユーザーを魅了し、車体そのものでドライブすることの楽しさが生まれる本物の乗用車なのだと主張している。

「This is Mazda Design×デミオ特別仕様車登場」篇(CM動画、YouTubeでの公開終了)

人生訓にもなるキャッチコピーが中心のCM

人生訓にもなるキャッチコピーが中心のCM

クレジットカードは、ぜひうちのを使ってねと、安直すぎてストレートには言いづらい。
このジレンマを企業CMで上手く切り抜けている例がこれだ。

若い人だけではなく、オジサンだってCMのキャッチコピーに心打たれることがあるというもの。
ジャックスクレジットカードがテニスの錦織選手を起用した企業CMは、自分の今までの行動を考えさせられてしまうものだ。もうテレビで次に流れるCMを見えなくしてしまうほどのインパクトがあるキャッチコピーである。

まばゆいばかりの光の朝に、テニスコートに一人で立つ錦織選手。
サーブの練習をしている。

彼が読み上げるコピーは短いが、重い。
「未来から逆算して動く」
「いつもの手付かずの朝は未来を変える朝になる」
「もし君がそれに気づけば」

最後の台詞をさわやかに言う錦織選手に、思わず「すみません」と謝ってしまったほど猛省した。この原稿を朝4時半に起きて書いている筆者は非常に単純な視聴者である。

最後に大写しになるキャッチコピーは、ジャックスカードがキャンペーンで使用しているもの。

「未来にタネをまこう」

未来にタネをまく=その買い物は、あなたの未来のためになるでしょ。支払いはジャックスカードでね。という図式だ。
日本中がその一挙手一投足に注目する錦織選手を起用し、なぜ彼が今の地位を築けたかを映像で語りながら、クレジットカードの商品性とシンクロさせる。企業イメージを上げながら、上手く商品を主張できているすばらしい企画だ。

JACCSカード「未来を変える朝」篇(CM動画、YouTubeでの公開終了)

良いCMには、良いキャッチコピーがある

良いCMには、良いキャッチコピーがある

心にしみる映像、気持ちがアガる音楽、納得するストーリーすべてが上手く絡み合って名作と評価されるCMはでき上がる。
しかしそれを支えているのは、コンセプトとイコールともいえるキャッチコピーだ。

商品名を連呼するだけのつまらないCMはどんどんスルーすればいい。良いCMは、何度も観たくなる映画のように何回目の前に現れても邪魔にならない。そしてそのたびに私たちは心新たに「そうだった」「そうしようと思ってたんだ」と気づくのだ。

良いCMを支える秀逸なキャッチコピーは、決して奇をてらったものではないし、妙な言葉の組み合わせでもない。私たちの心のどこかにある「気づいていないもの」をそっと教えてくれるだけのものだ。

人気や評判を強力アピールするTPO別キャッチコピー集

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人が一度に記憶できるのは、7プラスマイナス2個までなのだそうだ。5〜9以上の選択肢を一度に提示されると迷ってしまい、決断できなくなる。つまり、多すぎる商品をユーザーに提示すると、かえって購買力を下げる可能性があるといえる。
これを裏付けるデータとして、シーナ・アイエンガー博士が行なった有名な実験がある。あるスーパーマーケットでジャムの試食を6種類並べたときと、24種類並べたときで比較したところ、圧倒的に24種類のときのほうが人を集めた。しかし実際に購入に結びついたのは、6種類のときは試食客の30%だったのに対し、24種類のときは試食客のわずか3%だったという。

とはいえ多くの人を集めたのは選択肢が多い方で、そちらのほうがユーザーにとっては魅力的に映るということも事実。そこからうまく購買に結びつけるには、ユーザーの迷いを解消し、決断を後押しするキャッチコピーの技術が必要不可欠だ。

このコラムでは、キャッチコピーで「おすすめ」「人気の高さ」「評判の良さ」を伝える具体例を、TPO別に集めてみた。ぜひ自社商品の効果的なアピールに役立ててみてほしい。

口コミを最大限に活用するキャッチコピー

口コミを最大限に活用するキャッチコピー

なんといってもユーザーの心をつかむのは、商品に利害関係のない第三者の意見だ。
いくら売る側が口酸っぱく商品の魅力を説いても、「どうせ大げさに言ってるんでしょ」という疑心暗鬼は消えない。
そこで強力な威力を発揮するのがお客さまの口コミである。コピーで長々と100語るより、1つの好意的な口コミのほうがよほど効果を発揮する。よい口コミはどんどん販促コピーとして活用しよう。

また、実際に他のユーザーが買っている、人気があるということは、決断の後押しになる。そこで、下記のようなキャッチコピー例が考えられる。

口コミを利用したキャッチコピーの具体例

  • 人気投票No.○
  • 売上○位
  • 売れてます!
  • 愛されてロングセラー
  • 発売以来、大反響/発売以来、人気沸騰
  • うれしい声が殺到!
  • ○○が推薦(例:医師も推薦、トップブロガー推薦etc)
  • ○○賞受賞

数字で具体的にアピールするキャッチコピー

数字で具体的にアピールするキャッチコピー

売れている、人気がある、というだけではなかなか心に刺さらない・・・そんなときに活用したいのが、具体的な数字の効果だ。
数字は文字のなかでも存在感があって目を引くうえ、具体的にイメージできるのでコピーの説得力を高めることができる。
もう少しコピーに説得力を出したい、強さを出したいときには数字を入れてみるのもおすすめの手法だ。

数字を利用したキャッチコピーの具体例

  • ○秒に○個売れています!
  • 累計販売数○個突破
  • ○年愛され続ける老舗の味
  • ○万人がすでに実感しています!
  • たった○分で●●が完成
  • 簡単○ステップ
  • ○○個限定!
  • たっぷり○○g配合!

用途・ターゲットを明確にするキャッチコピー

用途・ターゲットを明確にするキャッチコピー

まさに「あなた」にぴったり、「あなたのために開発した」商品ですよ、ということを伝えられれば、コピーはとんでもなく強くなる。というわけで、用途やターゲットを明確にするキャッチコピーもおすすめだ。
商品開発時に想定したユーザーをダイレクトに盛り込んだり、ユーザーが実際に悩んでいるお困りごとの解決をアピールするのはとても効果があるだろう。

用途・ターゲットを盛り込んだキャッチコピーの具体例

  • 出産祝いに喜ばれています
  • 父の日/母の日/敬老の日プレゼントに
  • レジャーにぴったり
  • 帰省土産に最適
  • 授乳中でも安心
  • ドライバー、受験生の眠気防止に
  • 女性人気No.1
  • ダイエットに最適
  • シニアにおすすめ
  • ○○のコリ、疲れをケア
  • 通学・通勤に便利
  • 毎日のお弁当づくりがラクに!
  • 育ち盛りの食卓に
  • ○○好きに捧げる●●(例:抹茶好きに捧げるケーキetc)

メリットを伝えるキャッチコピー

メリットを伝えるキャッチコピー

王道なのが、お得になるメリットを伝えるキャッチコピーだ。
使い古された表現ではあるが、やはり効果があるものなので、デザインなどで一工夫して目に留まるようにしたい。

メリットを伝えるキャッチコピーの具体例

  • 今だけ○%OFF!
  • 夏の大感謝セール開催中!
  • セール最大○%OFF!
  • キャンペーン中
  • お得なプレゼント付き
  • 今だけ特典ついてます
  • 緊急入荷、お見逃しなく!
  • 数量限定/期間限定
  • 入手困難
  • 最新作
  • セットでお得
  • インスタ映え確実!
  • 自慢したい一品
  • 送料無料
  • 試着OK/返品・交換できます

迷いを取り除くのがキャッチコピーの役割

迷いを取り除くのがキャッチコピーの役割

ハンバーガー店で注文するとき、バーガーとサイドメニュー、ドリンクをそれぞれ選んで独自に組み合わせている人には、あまりお目にかからない。それよりも、おすすめセットのなかから適当に頼む人の方が、圧倒的に多いように思われる。
モノやサービスが溢れる現代では、デパートであれスーパ―であれネットであれ、何かを買うときの選択肢は多すぎるほどある。それらをすべて、まるで初孫のランドセルを買いにきた祖父母のように全力で吟味するほど、ユーザーたちは暇ではない。

多くの選択肢のなかから、効率良く自分に合ったものを選ぶために、ユーザーたちが参考にしているのがキャッチコピーなのだ。
商品の特徴をひと言で伝えるのはとても難しく感じられるかもしれないが、前述した4つの切り口で商品を見直せば、必ず糸口は見つかるはず。買う人の迷いを取り除き、背中を押してくれるようなキャッチコピーをぜひ、ひねり出してほしい。

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差

どんなキャッチコピーが人々の意識にとまり、購買や来店など実際のアクションにつながるのだろう。

残念ながら正解はコレだ、とひとくくりに断定することはできない。あるときは正解でも、また別のシーンでは不正解になることもあるからだ。ただ、他を押しのけて目立とうとするだけのキャッチコピーや、単に商品のメリットを並べ立てるだけのキャッチコピーは、確実に不正解だと言い切ることができる。

このコラムでは、街で見かけた残念なキャッチコピーからダメな部分を学びつつ、名作と言われるキャッチコピーを例に挙げ、心にとどくコピーたちの共通点を探していきたい。
あなたがもし自社製品を売り込むためのコピー作りに頭を悩ませているのであれば、残念なキャッチコピーたちと同じ轍を踏まないよう、参考にしていただければ幸いだ。

飾りすぎたコピーは、信用できない

飾りすぎたコピーは、信用できない

次のコピーを読んでみてほしい。街で見かけたブライダル関連のコピーだ。

『みんなが驚くくらいに輝いて、生涯忘れられない最高に幸せな瞬間を迎えるために。』

一見きれいにまとまっているように思えるが、率直に言って、このコピーが結婚を控えた女性の心に響く可能性は少ないだろう。
分かりやすい問題点は、形容詞や副詞などの「修飾語」が多すぎること。
短い1文の中に、「みんなが驚くくらいに」「生涯忘れられない」「最高に」と、最上級を表す修飾が3つも出てくる。すると、すごすぎて真実味が薄れてしまった。書き手のハイテンションに置いてけぼりにされてしまった受け手は、せっかくのコピーも「そんなわけないでしょ」と聞き流してしまう。

このコピーから形容詞を省いてみると、「輝いて、幸せな瞬間を迎える」。抽象的でありきたりな内容だけが残った。乏しい中身に大げさな形容詞…残念だがそんな売り文句に反応してくれるほど、消費者は甘くはない。

飾っていないけれど心に届く、名作キャッチコピーの例

ではどうしたらよいのか。ポイントは、あいまいになんとなくぼかすのではなく、ハッキリと言い切ること。具体的に言い表す。そういう意味で、キャッチコピーにまず使いたいのは、大げさな修飾語ではなく「動詞」や「名詞」である。動詞や名詞を使うことで、もやもやしていたイメージが具体的に動き出す。自信を持って言い切ったフレーズに、人は「よくぞ言ってくれた」と爽快感さえ感じることがある。

飾っていないけれど心にまっすぐ届く、有名キャッチコピーの例を下記に挙げてみた。どれも動詞できっぱりと言い切ることで力強さが伝わり、背中をどんと押されるような名作だ。

  • あしたのために、いまやろう。(トヨタ)
  • タイは、若いうちに行け。(タイ国際航空)
  • 働いて、強くなる。(リクルート)
  • 諸君。学校を出たら勉強しよう(日本経済新聞)

カタカナ語や難解な言葉は注意が必要

次は電車の吊り広告で見つけたキャッチコピーだ。

『クールにキメるビジネススタイル モテる大人のカジュアルスタイル』

ビジネス服もカジュアル服も両方良いのがありますよ、と言いたいところなのだが、残念ながら今ひとつ頭に入ってこない。カタカナ言葉が多すぎて、読むのが面倒になってしまうのだ。
元々カタカナ語は日本人の概念にないものを表すために便宜的に使用されてきたもの。読解にワンクッションが必要なのは当然だ。ピンポイントで使うのは良いが、使いすぎれば元も子もないことになる。
同じ理由で、何かしらの意図がない限り一般に通用しないような専門用語や難しい漢語などは避けた方が無難だ。

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差、後半は

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女性誌の秀逸キャッチコピーから盗む!クリックさせるテクニック

女性誌のキャッチコピー

電車の中吊り広告で、女性誌の秀逸なキャッチコピーに思わず感心してしまったことはないだろうか?

「ゆるエレ服」「アガる↑夏靴」「脱げるカラダになる」「艶シンプルでいこう!」などなど。省略形やカタカナ混在、刺激的なもの、よく分からないけどなんとなく惹かれそうなものまで実に多彩。おおよそ男性誌よりずっとキャッチーであり、感覚的だ。

女性に聞いてみると、やはり中吊り広告で気になった雑誌は、店舗で手に取ってみることが多いという。女性誌のキャッチコピーは、まさにターゲットを行動させる力を持っているということになる。

女性誌の秀逸なキャッチコピーのように、ターゲットを行動に至らせるポイントをつかめば、あなたの会社の販促に役立つことは間違いない。マーケティングは、ターゲットを行動させてこそ価値があるのだから。

なぜそれほどまでに女性誌のキャッチコピーは秀逸なのか?

端的な答えは、それで雑誌の売上がまったく変わるから。

1996年をピークに、売上が減少し続ける出版業界。雑誌の売上も年々落ち込んでおり、2013年の5,879億円は2000年に比べると32.4%もの減少となる。この雑誌不況ともいえる状況で、女性誌を出版する各社は驚くような「おまけ」戦術や流行語にもなってしまうような言葉を創造し、いかにターゲットの目を引くかに苦心している。

こういった切実な背景もあり、女性誌の見出しはよりキャッチーに、過激に進化しているというわけだ。

キャッチコピーの秀逸さは、リズム感、キーワードの心地よさにある。

目を引く女性誌のキャッチコピーは、総じて短い。3文字、4文字、6文字といった創作キーワードを中心に据えた組み合わせだ。

「ゆるエレ」は、「ゆるめだけどエレガント」の略。「艶シンプル」は「艶やかだけど、ゴタゴタした感じではない」。「○○○だけど△△△」のように、今まで結びつかなかった「○○○」と「△△△」を結びつける公式が多く、そこから生まれるリズム感を大切にしている。

日本語として正しいかどうかなど、問題ではない。女性たちは感覚的にピンとくるかどうかを重視するのだ。

「○○○だけど△△△」といった意外性を強調したキャッチコピーは、テレビ番組のウケ狙い企画と似ている。
視聴者は「小学生なのに、剣道八段」や「かわいいのに大食い」など、「えっ?」と感じてしまう企画だ大好きだ。女性誌の企画も、「えっ?」と感じさせ、ちょっと誌面をチェックしたいと強力に惹き付けることが大切なのだ。

秀逸なキャッチコピーを作るヒケツ

読者がイメージしやすい、やさしい言葉を使う

秀逸なキャッチコピーを書くヒケツ

瞬間的に理解できるように、言葉はやさしいものであるべきだ。おそらく読者は、コンマ数秒で「好き」「嫌い」を判断してしまう。イメージしにくかったり、何通りにもとれる言葉を使うと、それを頭のなかで咀嚼するだけでコンマ数秒しか使わない判断のための時間をオーバーしてしまう。
キャッチコピーの意味を咀嚼などさせてはいけないのだ。

短く、短く

これも時間と関係する。
読ませるのではなく、見せるということだ。長い一文をじっくり味わいながら読み進むのは、女性誌の中吊り広告をチェックしている私くらいのもので、一般の読者は一瞥するだけだ。瞬間的に理解できるように、短く伝えることが大切だ。

企画内容や商品の本質を伝える

やさしい言葉で短くまとめる。
そんな簡単にできることではないが、それ以上に必要なのは、きちんと伝えるべきコトを伝えるということだ。秀逸なキャッチコピーのサンプルを見る前に、冒頭でいきなりハードルを上げてしまった気がするが、これを外すわけにはいかないので仕方ない。しかし、仕事としてコピーライティングをする以上、必須項目だ。

言葉は人を動かす~偉人・企業のキャッチコピーに学ぶ~

>女性誌の秀逸キャッチコピーから盗む!クリックさせるテクニック、後半は

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女性誌のキャッチコピーから学ぶ、心をつかむ5つの術

女性誌・キャッチコピーの鉄板ルール、5分類・14選

女性誌の表紙を飾るキャッチコピーほど面白いものはない。

あなたは、通勤電車や営業の移動中、暇つぶしに目で追った中吊り広告のキャッチコピーに、思わず吹き出してしまったことはないだろうか。

筆者は、女性誌の発売時期になると、電車の長い移動がとても心地よい。中吊り広告を端から端まで読み通し、震え上がるようなフレーズを見つけては、その奥深い名文句の意味を噛みしめられるからだ。

しかし、決してただ単に楽しめるだけではない。女性誌のキャッチコピーは、時代を反映し、女性たちがいま期待する雰囲気を反映したものであり、そこから彼女たちのニーズが見て取れるものだ。

この記事では、女性誌のキャッチコピーをパターン別に紹介しながら、女性が好む切り口を解説していく。

アナ雪効果か。そこに冷静さなど存在しない

今の自分のままでモテたい


今の自分の
ままで
モテたい

CanCam 3月号

「できる範囲でいいから、努力はしてくれ!」
CanCamの表紙を見た瞬間、心の中で叫んだのは男性だけではないはずだ。これも、「ありのままで」効果が色濃く影響したということか。

年齢がいくほど、「ありのままで」に反対する人が多いらしい。努力しろと。
ひょっとすると、CanCam読者層は若くして現代に疲れ果ててしまっていて、息切れ状態なのだろうか。

「いつか白馬の王子様願望」を反映したキャッチコピーは、どの雑誌でも目にする鉄板。アナ雪の影響という側面はあるものの、ある意味では「今のままで」も、昔から存在するシンデレラ的「突然幸せが降ってくるかも」願望に基づくものなのかもしれない。

ただ、もう一度だけ言ってもいいだろうか。

「努力はしろ」

失敗してもいいから、とにかく努力はしろ。その失敗をどこかで見ている、あなただけの白馬に乗った王子様は必ずいるから。

28歳、おしゃれも人生も 一生ヒロイン宣言!


28歳、おしゃれも人生も
一生ヒロイン宣言!

SWEET 2月号

女性誌キャッチコピー、ぶっ飛びスタイルの第二弾。
誰がなんと言おうと、「一生ヒロイン」なのだ。

書店のレジで、恥ずかしいのでは?と思ってしまうのは、筆者がオッサンだからだろうか。

しかし、これも「いつか白馬に乗った王子様」願望を具現化した傑作だ。
平積みされている、もしくはコンビニの雑誌棚で、このキャッチコピーを目にした28歳は、ときめいてしまうに違いない。

いろんな場所で、あらゆるシーンで 幸せをつかめる顔


いろんな場所で、あらゆるシーンで
幸せを
つかめる顔

美的 12月号

一方、メイクの情報誌である「美的」は、剛速球で訴求してきた。「幸せをつかめる顔」ときた。
心のどこかで、シンデレラを夢見ている女性にとっては、とにかくその顔になりたいのだから。とても分かりよいフレーズだ。

自分のプライドのために化粧をする人も多いと思うが、彼女たちはターゲットではない。
きれいにメイクアップすることで幸せをつかめるなら、そうなりたいと思う人がターゲットなのだ。

いつまでも「夢見る女子」でいよう!


いつまでも
「夢見る女子」で
いよう!

STORY 2008年12月号

やはりそうだ。

女性はいつまでも「夢見る女子」でいたいのだ。創刊から6年経った2008年のSTORYも、明確なメッセージを発している。

現実的すぎていて冷めている女性よりも、いつまでも目をキラキラさせている人のほうが魅力的に見える。これは普遍的な事実。

ふだんの会話には、あり得ない言葉を繰り出す

今日も素敵!を確約する「美人グラデーション」


この春こそマスターしませんか?
今日も素敵!を確約する
「美人グラデーション」

Precious(プレシャス) 3月号

注目すべきは、「確約」という言葉だ。
メーカーのカタログやWEBサイトで「確約」などと言おうものなら、「何を考えているんだ!」と担当者から大目玉を食らってしまうが、女性誌はそれができてしまうのである。

しかも、このような堅い言葉は彼女たちの日常会話にはまったく登場しないものだ。
しかしそれは、いざ女性誌のキャッチコピーに紛れ込むと、読者にとってこのうえなく魅力的に聞こえる、耳ざわりの良い言葉に激変する。女性誌には縁遠い、ビジネス用語的な堅い言葉をあえて使った編集者に花マルを差し上げたい。

”あったか×こなれ”新セオリー誕生!


おしゃれも防寒もゆずれない!
”あったか×こなれ”
新セオリー誕生!

oggi 2月号

このキャッチコピーで押さえたいのは、「セオリー」だ。
「○○のセオリー」は女性誌頻出単語のひとつ。しかしこれも、日常会話に登場はしない。

セオリーが何語などということは関係ない。スペルがどうだなどと野暮ったいことも抜きなのだ。
頻出していると、なんとなく文脈から意味は分かるのだから。

oggiの読者をバカにしているわけではない。
感覚的に理解できることは、非常に大切なことなのだ。

真冬の買い足し総選挙


真冬の買い足し
総選挙

JJ 2月号

「総選挙」というキーワードを見たとたん、その手があったか!と地団太を踏んだのは筆者だけだろうか。
ここまでJJの読者と縁遠い言葉を使いながらも、感覚的に理解でき、イメージが膨らむキャッチコピーはない。完全に白旗状態、脱帽。筆者には到底書けそうもない。2015年に創刊40周年を迎える老舗ならではの、崇高な作品だ。

2月号発売の時期は、12月末ころ。
ちょうどクリスマスだし、年が明ければすぐにバーゲンが始まる。正月休みにゆったりしながらぱらぱらと誌面を眺めながら作戦を立てる読者の姿が目に浮かぶ。

ママの最優先事項!


”朝から元気”は
ママの最優先事項!

VERY 12月号

先に紹介したガチガチのキーワードよりは、若干ゆるめの表現だが、「最優先事項」は日常会話には登場しないし、頭のなかにも存在していない。
しかし、ママが元気にいることは家族にとって非常に喜ばしいことであり、元気なママがテキパキ行動する様子は「最優先事項」の持つニュアンスとしっかり結びつく。

こんなママに育てられた子供たちは、きっといい子になるのだろうなと想像させてくれる秀逸なキャッチコピーだ。

ほとんどオヤジギャグの世界でもOK

おしゃれの「秋活」はじめよう!


おしゃれの
「秋活」はじめよう!

with 10月号

「シューカツ」を「秋活」とは。
新刊発売時期はまだ暑さが残っているが、女性の目はもうすでにおしゃれの季節「秋」に向いている。サブキャッチには、「夏服にはもう、飽きました」とある。
ここでも「飽きた」と「秋」をかけているとしたら、編集者は相当なオヤジギャグ巧者のはずだ。

そこまで分析する読者もいないだろうが、実は女性誌にはオヤジギャグ的ダジャレが頻発する。
納得ずくで雑誌を手にする女性たちは、そこらのオヤジたちよりも腕が立つのかもしれない。

女性誌のキャッチコピーから学ぶ、心をつかむ5つの術、後半は

大げさすぎる表現が好まれる

バナーのキャッチコピー、思わずクリックさせる味付けとは

バナーのキャッチコピー

クリックしたくなるバナーには、不思議な輝きがある。

ポータルサイトの多くの情報の中にあっても、なぜかスッと目に飛び込んできて、気づいたら人差し指が反応している。

もちろん、デザインの力は大きいが、限られたスペースで表現されるコピーの威力はもっと大きい。
心を惹きつけるすぐれたキャッチコピーには、どのような魅力があるかをご紹介しよう。

それは著名なコピーライターが書いた、叙情的なものではなく、我々の心の根っこに響く直球勝負の短文だ。

WEBサイトに表示された瞬間に、ターゲットの心を捉えなければいけないバナーのキャッチコピーは、球種で言うならストレート、それも剛速球がいい。

1.バナーのキャッチコピー:基本編

当たり前のことながら、意外にポイントが押さえられていないバナーは世の中に多いものだ。もしかして?と心配な方はここからチェックしてほしい。

1-1.その先で、どんな情報が得られるかを伝える

バナーをクリックしたがらない

基本的に「人はクリックしたがらない」「文章は読んでくれない」と思った方がよい。

実際にアクセス解析をしてみると、HOMEページの端っこにずらっと並べられたバナーはほとんどがクリックされていないはずだ。

では、どうすればよいのか?それは、街を歩く人の足を止めて、いかに自分の店の中へ呼び込むかに似ている。

暑い夏の日ならば「つめたいビール冷えてます!」という看板があって初めて、「ここは冷えたビールが飲めるんだな」と気づいてもらえる。

最初からその店に行こうと決めているお客さんなら、「冷たいビールがあるだろう」と想像してくれるだろうが、ビールのことが頭の中にない状態なら気づきもしない。

「私は先を急いでいるのだ」という人に対して、「こんなお得なことが待っていますよ」と足を止めさせるのがバナーの役割である。

だから、クリックした先にどんな内容が待っているのか。それをしっかりとイメージさせてあげることは、バナーコピーの基本的な使命である。

ユーザーが得られる情報をきちんと伝えておく

用途・ターゲットを明確にするキャッチコピー

1-2.それが、ユーザーの知りたい内容であること

分かりやすいコピーが書かれていたとしても、それがユーザーにとって興味ある内容でなければ、これもクリックするには至らない。

お酒がまったく飲めない人は「ビール冷えてます」と言われても、「そうですか」で終わってしまう。

有効にチャンスを掴むためには、あなたがクリックしてほしい人は誰なのかを明確に想像すること。しかも、ターゲットが今知りたい情報であること。

「商品一覧」というコピーがあっても、購入を検討している人以外は押してくれない。

たとえば、この春に大学を卒業し一人暮らしを始める女性に、新しいソファを買ってほしいなら、どんなアプローチができるだろう。

コンパクトで座りごこち重視のソファ特集

「商品一覧」よりもはマシだが、まだまだ足りない。

NY一人暮らし女性に学ぶ、ソファのコーディネート
姿勢美人のためのソファ選び

関心のある人には、効くコピーになってきた。
大切なことは、一人暮らしをはじめる女性がこれからの生活に夢を描けるようなコピーでなければならない。

ちなみに、ユーザー視点になっているかをチェックするには、キャッチコピーの前に主語をつけてみると分かりやすい。

  • 「山田家具店の」商品一覧
  • 「山田家具店がお薦めする」コンパクトで座りごこち重視のソファ特集
  • 「ユーザーが」NY一人暮らし女性に学ぶ、ソファのコーディネート
  • 「ユーザーが姿勢美人になる」ためのソファ選び

コンテンツを見てほしいユーザーを特定し、その人たちの目線で欲しい情報を提供する。これはキャッチコピーだけに限らず、コンテンツ制作自体に関わってくる重要なポイントだ。

ユーザー視点で伝える

1-3.コピーは単純明快に。考えさせたらダメ

考えさえたらダメ

バナーを見つけて、クリックするまでの時間は一体どのくらいだろうか?コンマ数秒、もしくはそれに満たないほどの瞬間に、次を見るか見ないかを決めているはずだ。

短い時間のなかで「これ見たい」と思ってもらえるためには、抽象的な表現を避ける。専門用語は使わない。すぐに頭の中でイメージできる言葉を選ぼう。

秀逸なキャッチコピーを作るヒケツ

2.バナーのキャッチコピー:アプローチ編

2-1.問いかける。そして、想像させる

問いかけたり、想像させたり

たとえば、50代半ばの男性が「もし、あなたの寿命をあと10年伸ばせるとしたら、何をやりたいですか?」と聞かれたら、思わず考えてしまうだろう。さらに「一日5分で、血管年齢を若返らせる方法があります」と続くとどうだろう。

キャッチコピーを質問形のメッセージにすることは効果的だ。なぜなら、人間の脳は問いかけられると答えようとする習性があるから。

人は質問されると、その答えを考えようとして、何かしらの結論を出そうとする。そして、自発的に思いついたことは肯定的にとらえる傾向が強い。

「あと10年寿命が伸びるなら、海外旅行に出かけたい」。そう思ったあなたは、憧れていたローマの街並みや大聖堂の見事な天井画を思い描くことだろう。

ちなみに、想像させるというテクニックはプレゼンテーションでも使われる。有名なキング牧師は「私には夢がある」と演説することで、聴衆のイマジネーションを膨らませるスピーチを行った。

2-2.感情に働きかける(オンラインショップ)

感情に働きかける

人は何かを買うとき、「感情」で物を買って、その買い物を「論理」で正当化しようとする。

衝動買いであれ、じっくり比較検討する場合であれ、「どうしてもこれが欲しい」という強い欲求があるからこそ買いたくなる。

オンラインショップのバナーを作るなら、ユーザーの感情を忘れてはいけない。

「完売間近!早い者勝ちの旬ウマとうもろこし」
「さくさくタルト生地に、とろ~りキャラメルのコク」

売り切れる前に買わなくては。食べた瞬間のおいしい感動がイメージされる。

バナーのキャッチコピーは、感情を刺激するような言葉で右脳にアピールすることが大切だ。

2-3.親しみやすい言葉で、大切な友人に話しかけるように

話しかけるように

最後に、忘れてはいけないのが言葉選び。想定するターゲットがいつも使っている表現やキーワードを選ぼう。

バナーに入れるキャッチコピーは、意味を伝えるという役割と同時に、ターゲットの目にとまるかどうかが重要なポイント。人は日頃から気にしているキーワードに対しては、非常に敏感に反応するものだ。

以下に、ポイントをまとめると

  • ターゲットが使う言葉を選ぶ
  • 専門用語は使わない
  • 誰が見ても分かりやすい、平易な言葉に
  • 漢字が続かないように、漢字、ひらがな、カタカナをバランスよく組み合わせる

さらにCTR(クリックスルーレート)をあげるために

クリックさせよう

入念にキャッチコピーを作ってバナーを公開しても、それが必ず成功するとは限らない。本当の勝負はこれからだ。

どの程度クリックされたのか、コンバージョンレートはどれほど上がったか。結果が期待値よりも低ければ、すぐに修正を加えなければならない。

その時になって慌てないために、代案を用意しておこう。

想定されるキーワードや表現方法としての代案、デザイン面での代案など、考え方はいくつかあるが、とにかく「クリックしてもらったなんぼ」の世界。1回目のリリースを終えて満足していてはいけない。

もしくは、2案を同時に公開し、GoogleアナリティクスのAB分析を行うのもひとつの方法だ。

大切なのは、サービス精神

サービス精神

バナーに限らないことだが、キャッチコピー作成やライティングにおいて、一番忘れてはいけないのはサービス精神である。ユーザーの視点に立って、いかに快適に分かりやすく、有益な情報を提供するか。

商品を売りたい、アクセス数を伸ばしたいといった、サイト運営側の視点に立っているうちは何も変わらないだろう。これはサイト運営者にまじめに取り組むWEBマスターやコピーライターが陥りやすいポイントでもある。

バナーの中で最も重要なキャッチコピーだからこそ、ユーザーの心にスッと受け入れられるものが必要だろう。

キャッチコピーの作り方:ターゲットをとらえ、商品が売れる3つのポイント

たった1本のキャッチコピーが、高い広告効果を生む

キャッチコピーづくりの手順で悩んでいる様子

あなたのWEBサイトを初めて訪れたユーザーは、そのままとどまるかどうかを8秒以内に決めます。苦労して作り上げ、情報を盛り込んだあなたのWEBサイトはたった8秒で、読み手に見切られてしまうかもしれないのです。もしその原因が、ページ冒頭のキャッチコピーにあるとしたら?

WEBサイトの広告効果を高めるためには、キャッチコピーでどれだけ読み手の気持ちをつかむかにかかっているのです。この記事で紹介するポイントをおさえキャッチコピーを練り直す、手順を踏むだけで、ターゲットの滞在時間が長くなります。つまり、商品情報までじっくり読み進めてくれるようになり、驚くほど引き合いや注文を受けられるようになるでしょう。

※マイクロソフトが2011年に10,000以上のアクセスを記録した205,873サイトを調べた結果、訪問者はページにたどり着いて最初の8秒以内にページにそのままとどまるかどうかを決めるというレポートによる。

コピーライティングは、常にマーケティングの中心に

商品プロモーションは、すぐれたコピーライティングを中心に考えます。いくらテキストを読まなくなったとはいえ、アパレル商品などのイメージ戦略で推進できるものは除いて、写真集のようなカタログを作って商品が売れるでしょうか?WEBサイトに印象的な写真を掲示しておくだけで、新規の引き合いが取れるでしょうか?
やはりマーケティングの中心には、コピーライティングがあるのです。

広告効果を高め、売れる、引き合いをとれるWEBサイトにするには

商品を売るため、新規の引き合いを取ることを目的としたWEBサイトを運営されているなら、まず大切なポイントを2つ。

キャッチコピーづくりの原則 (1)抽象的な言葉は使わない。

キャッチコピーづくりの原則 (2)ターゲット視点で書くこと。

「世界が注目する画期的な新商品登場」的なキャッチコピー。
その商品を開発した、販売する人にとっては画期的なのかもしれませんが、ターゲットにはまったく響きません。なぜなら、彼らは何らかの課題を持ってWEBサイトをチェックしているのです。その商品を世界は注目するかもしれませんが、課題を解決してくれるかどうかを判断するには、あと10秒くらいかかりそうです。もうこの時点で時間切れです。

広告効果の高いキャッチコピーにするためには、ターゲットの何を解決する商品なのかを具体的に、明確に伝える方法をとることです。たとえば、

“3日後の彼氏との旅行に間に合う!即効ダイエット・プログラム”

 

たとえば広告のビジュアル「ダイエットで悩んでいる少女」

そんな上手い話があるわけないじゃない!、とツッコミを入れながらも、切羽詰った女性たちは次のリードコピーをついつい前のめりになって読んでしまうはずです。3日後に彼氏との旅行を控えた女性でなくても、ダイエットに興味のある方なら誰でも、です。

このキャッチコピーは読み手の感情に働きかけています。そう、大切なポイントその3、

キャッチコピーづくりの原則 (3)読み手の感情を刺激すること。

3つのPを解決する方法を差し出せば、読み手の信頼を得ることができる

人は、悩み(Pain)、問題(Problem)、苦境(Predicament)を解決できるものをつねに探しています。プライベートだけではありません。暗礁に乗り上げかかったプロジェクトを正常な状態に戻すため(苦境を乗り切るため)にプロジェクト管理ソフトを探したり、職場での人間関係を克服するための方法を探すためにアマゾンを訪問したり、対人関係改善セミナーに参加するのです。

よくできたキャッチコピーは、その人が近い将来なれそうな自分をイメージさせます。ダイエットプログラムのキャッチコピーは、ストレートに言ってはいないものの、行間に「3日後、さっそうと彼氏のクルマに乗り込むスラッとした女性の姿」が目に浮かぶようです。キャッチコピーは、その商品を使うことによって変わることができた、自分の姿をイメージさせることが大切なのです。

感情的な満足感を得れば、スムーズに購入に結びつく

人は何かを買うとき感情で決め、理性でその確たる理由を後付けで探しはじめます。冒頭のキャッチコピーやリードコピーでターゲットの信頼を得ることができれば、あとはあなたの商品が買うに値するまっとうな理由を差し出してあげるだけ。キャッチコピーで商品の良さに惚れ込んだ彼らは、自分を納得させるために商品説明をしっかり読んでくれます。
しっかり説得され、満足して購入したユーザーは、その商品に対して満足感を維持し続ける傾向があります。もし万一、商品に多少の不具合があったとしても、寛容な態度さえ見せてくれるようにさえなるのです。

とっておきのテクニック:ターゲットが好きな言葉を使おう

好きな言葉を聞くと嬉しくなる

TVCMで、80年代に流行った曲が流れることがありますね。なんで今さら?と思うなかれ、これはこの曲が流行った頃をよく知っている人、その頃がキラキラしていた人たちをターゲットにしているからです。大好きな曲を耳にすると、気分が明るくなったり、前向きになれたりすることがあるでしょう?

つまり、
流行った(ターゲットが好きな)曲が流れる → 気分が良くなる → 流れているTV広告の好感度アップ → 宣伝している商品も好きになる

ここでお伝えしたかったのは、

あなたの商品のターゲットが好きな言葉を使って、キャッチコピーを作る

ということです。
たとえば、40歳後半から50歳代前半の方がターゲットなら、「きらめく」「豪華な」「超一流」「希少な」「ゴージャス」なんていう言葉に反応します。それはバブル時代を経験しているから。しかもその時代は彼らにはずっと心に残るキラキラした思い出になっていて、その言葉を聞いただけでその意味を自分の経験に照らし合わせ膨らませてもくれるのです。

思い出して欲しいのは、冒頭でご紹介した(2)ターゲット視点で取り組むこと、です。
ターゲットはどんなことに反応してくれるか、好感を持ってくれるか、何が問題だと感じているのか、どういう言葉だと受け入れやすいのか。(2)ターゲット視点を大切にしたキャッチコピーを書けば、あなたの商品やサービスは何倍もの確率でターゲットの目にとまり、受け入れられやすくなります。

いろいろなメーカー系のシンクタンクなどがレポートを発表していますので、年代ごとの特徴を知りたい方は、サクッと検索してみてください。レポート内に分からない部分があれば、中途半端に分かった気分にならないで、とことん調べましょう。そしてどうにかして、その年代の気分に浸りましょう。そうすれば、ターゲットに何が好まれるのかが分かるようになります。

商品を売るためのキャッチコピーを書くのに、文才や優れた感性など必要ありません。有名なコピーライターが書いていなくても、キャッチコピーで爆発的に売れる商品はいくらでもあります。大切なのは、その商品を思う熱い気持ちとこれまでご紹介したキャッチコピーの作り方のポイント。真摯に取り組めば、優れた商品であることをターゲットはきっと理解してくれます。

キャッチコピーの作り方、ポイントまとめ

キャッチコピーの作り方、まとめ

キャッチコピーをひねり出すのは、楽な作業ではありませんが、効果が出始めると楽しくなってきます。ターゲットの気持ちになりきり、彼らの悩みを解決したり、好きな感覚を表現する。よく使う言葉をはさみ込みながら。そのフレーズでターゲットが「よく分かってるなぁ」と感じられると、続くリードコピー、ボディコピーや図表などにも目を配ってくれるようになります。新聞や雑誌の広告、TV広告のいわゆるイメージ戦略の中心となるキャッチコピーを作るわけではありません。多くの人がハッ!としなくても、ターゲットさえ前のめりになってくれれば大成功なのです。

  1. 抽象的な言葉は使わない。
  2. ターゲット視点で取り組むこと。
  3. 読む人の感情を刺激すること。
  4. ターゲットの気持ちを理解しよう。

女性誌の秀逸キャッチコピーから盗む!クリックさせるテクニック
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平田 弘幸
株式会社フレイバーズ代表取締役。セールスライティング担当。好きな言葉は、「一生懸命が得意」