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コピーライティングの誇張表現|売れるコピーを書く3つのコツと実例集

あなたのコピーがガラリと変わる、誇張表現の3つの作法

「とてもおいしいです」では食べてもらえず、「ぜひ来てください」では来てもらえない。

商品の良さを伝えたいのに、言葉が平坦すぎて素通りされてしまう。そんな経験、コピーを書く人なら一度はあるのではないでしょうか。
その壁を突破するテクニックのひとつが「誇張表現」です。大げさに聞こえるかもしれませんが、上手に使えば読み手の感情を動かし、「それ、気になる」「ちょっと買ってみようかな」という気持ちを自然に引き出せます。

この記事では、誇張表現の本質と、売れるコピーを書くための3つのコツ、そしてすぐに参考にできる実例を紹介します。

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。


本記事で分かること

誇張表現はコピーライティングの強力な武器ですが、使い方を間違えると逆効果になります。本記事では、誇張表現の本質と効果を実例とともに解説し、売れるコピーを書くための3つのコツを紹介します。「大げさに書くのが怖い」「書いてみたけど刺さらない」という方が、今日からすぐ使える表現のヒントが得られます。

買う気のない人を動かす、誇張表現の力

買う気のない人に、つい買わせちゃうコピー

「誇張表現」とは、現実より大げさな言い方で対象の魅力を伝える表現技法です。

ある雑貨店で見かけた、海苔の商品POPにこんな一文がありました。

「ノリの違う海苔。パンチの効いた味と海苔にあるまじきしなりが生み出す食感に、ハマる人が続出するご当地海苔。一度食べるともう他の海苔に浮気できません」

買うつもりなどまったくなかったのに、これを読んだ瞬間、思わず手が伸びてしまいました。「海苔にあるまじきしなり」「浮気できない」という大げさな表現が、食感をありありと想像させてくれたからです。

これが「食感の良さが特徴です」だったら、かごに入れることはなかったでしょう。
AIが文章を生成できる時代になっても、こうした「感情を動かす表現」は人間のコピーライターが磨くべき最大の武器です。誇張表現は、その中核にあるテクニックといえます。

誇張することで、読み手との距離が縮まる

誇張することで、読み手にぐっと近くなる

「大げさに書くのは、誇大広告になりそうで怖い」という声をよく聞きます。
でも実は、適切な誇張は読み手に親切です。淡々とした平坦な文章よりも、感情の起伏があるほうが読みやすく、商品のイメージも伝わりやすくなります。
たとえば、同じリゾートホテルのコピーでも、

A(平坦な表現)

> 八ヶ岳山麓に佇む高原リゾートです。豊かな自然と、イタリアの有名建築家による建築デザイン、そして地元八ヶ岳の食文化。お子様連れでもくつろげるファミリーリゾートをコンセプトに、さまざまなアクティビティをご用意しています。

B(誇張を使った表現)

日本を代表するデザインホテルはお洒落な宝箱。大波が寄せるプールやブックス&カフェ、鮮やかな高原イタリアンにスパトリートメントなど極上の休日スタイルが。ファミリーも惹きつけるアクティビティの数々に心躍ります。(星野リゾート)

Bには「宝箱」「極上の」「心躍ります」という誇張的な表現が入っています。文章に強弱がつき、読んでいて楽しく、ホテルの雰囲気が鮮やかに浮かびます。
グルメリポーターの彦摩呂さんの「肉汁のナイアガラや〜」も同じ原理です。笑えるけれど、どんな肉料理かが一瞬でイメージできる。誇張表現には、良さを伝えながらコピーを面白くするという一石二鳥の効果があります。

売れるコピーを書く、誇張表現の3つのコツ

売れるコピーを書く、誇張表現の3つのコツ

誇張表現はうまく使えば強力な武器になりますが、誤った使い方をすると逆効果です。押さえておきたいコツが3つあります。

コツ① 誤解を与えるような誇張はしない

事実に基づかない誇張は、信頼を損なうだけです。少しの想像や願望を混ぜてもいけません。あくまで事実から発想し、オリジナルの表現で書くことが基本です。
「抜群の」「最高の」といった表現を使う場合は、比較対象を明確にすることも大切です。効果的で正直な誇張をするには、商品への深い知識と愛情が欠かせません。

コツ② 誇張するポイントを絞る

誇張表現は、使いどころを間違えると怪しいコピーになります。全体をまんべんなく誇張すると、うさんくさい印象になってしまうのです。
スポットライトを当てたいポイントを一点に絞り、そこへ向けてバシッと効かせる。それがエレガントな誇張の条件です。

コツ③ 使い古された表現に頼らない

「業界最高水準」「圧倒的な品質」「他とは一線を画す」——こうした決まり文句は、どれだけ正確でも読み手の心を動かしません。耳にしすぎて、もう何も感じなくなっているからです。
オリジナルの言葉で、できるだけ具体的に誇張すること。そこに読み手が「!」となる瞬間が生まれます。参考として、具体的な誇張の良例をいくつか挙げます。

「今振り返っても、博士が幼い者に向けた愛情の純粋さには、言葉を失う。それはオイラーの公式が不変であるのと同じくらい、永遠の真実である。」
——小川洋子「博士が愛した数式」より

「いや、そのトマトは本当においしかったですね。その自然な香ばしさ、汁気の多さ、さくっとした歯触り、美しい色、どれをとっても、僕がこの生涯で食べた最高のトマトだった。太陽の匂いが芯まで惜しみなくしみ込んでいた。」
——村上春樹「村上ラヂオ3」より

これらは誇張しながらも、対象への深い観察と独自の視点があふれています。誇張そのものではなく、「誇張されている内容」の豊かさが読み手を動かしています。

すぐ使える!誇張表現の参考例まとめ

すぐ使える!誇張表現の参考例まとめ

実際の広告から、誇張表現の参考になる言葉を集めました。コピーを書くときのヒントにしてください。

《誇張表現の例》

  • 「醸造家が夢見た、心が震えるほどにうまいビール。半世紀の時をかけ、ついに。」(サントリー)
  • 「この上ない、幸せ。この上ない、ヱビス。」(サッポロビール)
  • 「お茶の贅沢を味わい尽くす、至福の風味。」(ロイヤルブルーティー)
  • 「荘厳ともいえる佇まい、その比類なき響き。演奏者が求める最高レベルの音楽表現を約束します。」(スタインウェイ・ジャパン)
  • 「日本旅館では、無駄のない小さな空間を磨き上げ、おもてなしを随所に散りばめ、細部まで創り上げられた、宿それぞれの独自の世界。」(星のや東京)
    • これらは「最高」「至福」「比類なき」という強い言葉を使いながら、商品の具体的な個性と結びついているため、うさんくさくなっていません。強い言葉と具体性のセットが、誇張表現のポイントです。

人を動かすコピーは、観察から生まれる

人を説得するパワーに満ちた表現とは

誇張表現は、比喩の一種です。何かをほかの何かにたとえることで、その程度の大きさを実感として伝えます。
「コレとコレ、似ている!」と自分で発見したとき生まれる感動には、オリジナリティとパワーがあります。一方、使い古された表現や借り物の言葉には、人を動かす力がほとんどありません。

AIが文章を生成できる今、誰でも「そこそこのコピー」を量産できる時代になっています。だからこそ、愛情を持って商品を観察し、自分だけの切り口で魅力を発見する力が、コピーライターの本当の価値になっています。
的確で独創的な誇張は、読んで楽しく、気持ちいい。そして気づいたら、財布の紐を緩めてしまっている——それが誇張表現の真骨頂です。

それでも言葉が出てこないなら、一度話してみてください

「何度書き直しても、なんか違う」
「サイトを公開したのに、問い合わせが来ない」
「展示会が迫っているのに、キャッチコピーが決まらない」

そこまで追い詰められているなら、もう一人で抱えなくていいです。

コピーライティングは、テクニックだけでは解決しません。自社の強みを本当に理解し、相手の感情に届く言葉を見つけるには、経験と時間が必要です。それをプロに任せることは、負けではなく、正しい判断です。

フレイバーズでは、ヒアリングを通じて「なぜ選ばれているのか」を掘り起こし、刺さる言葉に変えるコピーライティング支援を行っています。「まだ相談できるレベルじゃない」と思っている方ほど、話してみると意外と早く解決することが多いです。

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差

残念なキャッチコピーと名作の例、決定的な7つの差

どんなキャッチコピーが人々の意識にとまり、購買や来店など実際のアクションにつながるのだろう。

残念ながら正解はコレだ、とひとくくりに断定することはできない。あるときは正解でも、また別のシーンでは不正解になることもあるからだ。ただ、他を押しのけて目立とうとするだけのキャッチコピーや、単に商品のメリットを並べ立てるだけのキャッチコピーは、確実に不正解だと言い切ることができる。

このコラムでは、街で見かけた残念なキャッチコピーからダメな部分を学びつつ、名作と言われるキャッチコピーを例に挙げ、心にとどくコピーたちの共通点を探していきたい。
あなたがもし自社製品を売り込むためのコピー作りに頭を悩ませているのであれば、残念なキャッチコピーたちと同じ轍を踏まないよう、参考にしていただければ幸いだ。

飾りすぎたコピーは、信用できない

飾りすぎたコピーは、信用できない

次のコピーを読んでみてほしい。街で見かけたブライダル関連のコピーだ。

『みんなが驚くくらいに輝いて、生涯忘れられない最高に幸せな瞬間を迎えるために。』

一見きれいにまとまっているように思えるが、率直に言って、このコピーが結婚を控えた女性の心に響く可能性は少ないだろう。
分かりやすい問題点は、形容詞や副詞などの「修飾語」が多すぎること。
短い1文の中に、「みんなが驚くくらいに」「生涯忘れられない」「最高に」と、最上級を表す修飾が3つも出てくる。すると、すごすぎて真実味が薄れてしまった。書き手のハイテンションに置いてけぼりにされてしまった受け手は、せっかくのコピーも「そんなわけないでしょ」と聞き流してしまう。

このコピーから形容詞を省いてみると、「輝いて、幸せな瞬間を迎える」。抽象的でありきたりな内容だけが残った。乏しい中身に大げさな形容詞…残念だがそんな売り文句に反応してくれるほど、消費者は甘くはない。

飾っていないけれど心に届く、名作キャッチコピーの例

ではどうしたらよいのか。ポイントは、あいまいになんとなくぼかすのではなく、ハッキリと言い切ること。具体的に言い表す。そういう意味で、キャッチコピーにまず使いたいのは、大げさな修飾語ではなく「動詞」や「名詞」である。動詞や名詞を使うことで、もやもやしていたイメージが具体的に動き出す。自信を持って言い切ったフレーズに、人は「よくぞ言ってくれた」と爽快感さえ感じることがある。

飾っていないけれど心にまっすぐ届く、有名キャッチコピーの例を下記に挙げてみた。どれも動詞できっぱりと言い切ることで力強さが伝わり、背中をどんと押されるような名作だ。

  • あしたのために、いまやろう。(トヨタ)
  • タイは、若いうちに行け。(タイ国際航空)
  • 働いて、強くなる。(リクルート)
  • 諸君。学校を出たら勉強しよう(日本経済新聞)

カタカナ語や難解な言葉は注意が必要

次は電車の吊り広告で見つけたキャッチコピーだ。

『クールにキメるビジネススタイル モテる大人のカジュアルスタイル』

ビジネス服もカジュアル服も両方良いのがありますよ、と言いたいところなのだが、残念ながら今ひとつ頭に入ってこない。カタカナ言葉が多すぎて、読むのが面倒になってしまうのだ。
元々カタカナ語は日本人の概念にないものを表すために便宜的に使用されてきたもの。読解にワンクッションが必要なのは当然だ。ピンポイントで使うのは良いが、使いすぎれば元も子もないことになる。
同じ理由で、何かしらの意図がない限り一般に通用しないような専門用語や難しい漢語などは避けた方が無難だ。

名作キャッチコピーは、短くシンプル

芸能人は歯が命

キャッチコピーには、サッと読めて苦もなく理解できることが必要だ。広告のコピーが難解なとき、理解しようと努力するほど親切な(あるいはヒマな)人は多くない。短くシンプルであることは、キャッチコピーにとって大きなメリットだ。

名作といわれるキャッチコピーには、幼稚園児でも分かる言葉でシンプルに言い切った例が多い。以下にいくつか例を紹介する。

  • フジテレビが、いるよ。(フジテレビ)
  • それにつけてもおやつはカール。(明治製菓)
  • 芸能人は歯が命(サンギ)
  • コメ粒からパン(三洋電機「GOPAN」)

キャッチコピーは視点を変えてたくさん作る

紙クズはもう一泊します

キャッチコピーに悩んでいるときは、視点が凝り固まっていることも多い。誰の目線でものごとをとらえるか、視点を変えてみるのも有効だ。

たとえばウェディング関連のキャッチコピーなら、花嫁の視点だけでなく、花嫁の父の視点でも書いてみよう。他にも花嫁の周囲にはたくさんの人がいる。花嫁の母、新郎、新郎の父や母、結婚式に来てくれた上司、同僚、先輩、友達、かわいがっているペット…このようにどんどん視点を変えてコピーを書いていけば、それほど苦労せずいくつかのコピー候補を生み出すことができる。
下記に挙げた名作キャッチコピーの例をみてほしい。

  • おしりだって、洗ってほしい。(TOTO)
  • 紙クズはもう一泊します。(帝国ホテル)
  • よちよち歩きの子供が床をなめてしまっても平気なようにしよう。(ディズニーランド)

おしりやゴミ箱に残された紙くず、床をなめてしまう赤ちゃん…。意外な視点から、伝えたい核心が急にリアリティをもって迫ってくることがある。ひとつできたといって満足せずに、視点を変えていくつも考えてみよう。

優れたキャッチコピーの作り方

実はたくさんのコピー候補を作ることは、いいコピーを作るうえでとても大切な作業だ。頭のなかに、散布図(=X軸とY軸にたくさんの点が散りばめられたグラフ)をイメージしてほしい。候補がたくさんあると、キャッチコピーの散布図ができる。もっとも点が集まっている箇所に、あなたが語るべきコピーの核心が眠っている。初心者がそこを的確に探り当てようと思うなら、数を打つ、という作戦が有効かつ確実だ。
優れたキャッチコピーが偶然生まれることはない。名作といわれるキャッチコピーは、たいてい途方もなく地道な作業のうえに作られている。

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広告は『他人の自慢』と認識すべし

優れたキャッチコピーの作り方

現代はあふれる広告の洪水だ。そんなところで生きるため、現代人は入ってくる情報を瞬時に「自分にとって役に立つか、立たないか」で判断し、役に立たないと判断された情報(=単なる売り込み)は無意識のうちにスルーしている。

ところが「何だろう?」「へえ、そんな視点があるんだ」「なるほど、面白いな」と思わせるコピーはスルーされずに意識の上にひっかかる。広告であっても受け入れられるのだ。知らないことを知ったり刺激を受けたりすることが、単純に人の脳を喜ばせるからである。

現代人は情報過多のなかにいて、実は情報に飢えていると思う。役立つ情報、面白い情報が欲しいのに、周りにころがっているのは広告、つまり自分には関係ない「他人の自慢話」ばかり。そんな状況に辟易しているのが現代人ではないだろうか。

彼らに自社商品の良さを知ってほしいなら、まずは鉄の防御を破らなければならない。この情報は「他人の自慢話」ではありませんよ、あなたに有益な情報ですよと、鉄の扉をノックする。そして扉を少し、開けてもらう。キャッチコピーの役割とは結局、それに尽きるのではないだろうか。
キャッチコピーを作ったら、そのコピーが心の扉をノックしているかどうか、扉を開けてもらえそうかどうかという視点で、一度チェックしてみるといいかもしれない。

 

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