作成者別アーカイブ: 植松 あおい

BtoB企業のオウンドメディアとは?

BtoB企業のオウンドメディアとは?

今回も宣伝会議インターネットマーケティングフォーラム
「BtoB企業にとってオウンドメディアは本当に必要か?」のレポートです。

「コンテンツがないと何もできない。BtoB企業にも、オウンドメディアは必須」
結論からいえば、それに尽きるということでした。

登壇されたのは、株式会社村田製作所
マーケティング&コミュニケーション部長様。
頭脳明晰を絵にかいたような方でした。
デジタルマーケティングに長く取り組み、試行錯誤のなかで見えてきたのが、
上記の結論なのだそうです。

そもそもの背景としては、
・市場の拡大、顧客の増大
 たとえば、自動車業界でもさまざまな企業が参入したり。
・商材の増加・変貌による、新規顧客開拓の必要性
 たとえば、ソリューションビジネスなどは売り方が異なる。
・顧客の行動が変化
 従来のアナログだけでは対応できなくなってきた。

そういった状況のなか、
集客→ロイヤリティ醸成→顧客獲得
の流れをつくるためには、まずコンテンツがなければ始まらないことが分かったと。
MAなどさまざまな取り組みを行ってきた同社が語るだけに、説得力があります。

ただし、進めるうえで大切なのは、
・ターゲットの視点に立つこと(とくに、要望が発生する前の顧客に主眼をおく)
・売らんかなコンテンツにならないこと
それが何よりも重要であり、苦労している点でもあるとのことでした。

たしかに、作り手と買い手の間には、大きくて深い川が流れているものです。
コンテンツ制作をずっと追求している私どもも、常にその課題と戦っています。
けれども、じっくりと丁寧に考えていくことで、虹の橋がかかる瞬間があることも事実。
成功への近道はないけれど、正しい努力を重ねた人だけがたどり着ける場所があるのだと、勇気をもらったセミナーでもありました。

※「フレイバーズ月1メール」よりご紹介。
フレイバーズでは月1回程度の頻度で、皆さまにお役に立てそうな情報をお送りしています。

Webサイトのユーザビリティについて、もっと真剣に考えてみよう

Webサイトのユーザビリティについて、もっと真剣に考えてみよう

ユーザービリティという言葉を辞書でひくと、使いやすい、有用であることと出てくる。
Webサイトという言葉とセットもののにように出てくるキーワードだが、毎日さまざまなサイトを見ていて「これは見やすいなー。すごいなー」と思えるサイトに出会うことはそれほど多くない。
自分たちへの反省もこめて、Webサイトのユーザービリティを追求するためにはどう考えるべきかについて、真剣に考えてみようと思う。

ユーザビリティの高いWebサイト。それはサービスの行き届いたレストランのようなもの

ユーザビリティの高いWebサイト。それはサービスの行き届いたレストランのようなもの

まずは、あなたが今までに行ったレストランのなかで、一番思い出に残っているお店を思い出してほしい。一流ホテルのフレンチレストランか、もしくは小さくても満足度の高いお店もある。

たいていの場合、思い出に残るレストランというのは、料理の味はもちろん、サービスにおいてもすぐれている。たとえば、テーブルについてメニューが運ばれてくるタイミング。その際のスタッフの会話力。水をついでくれたグラスの口あたりの良さ。料理が運ばれてくるタイミング・・・。
お客である私たちは、年齢や社会的地位などに関係なく、紳士淑女のように扱われることでとても心地よい時間を過ごしたはずである。

Webサイトのユーザービリティも、同じようなホスピタリティが必要なのだと思う。ご存知のとおり、Webサイトは仕組みから考えれば、自動販売機のようなもの。セルフサービスで好きなように見てくださいというスタンスではあるが、そこに心配りや人の存在感を添えることはいくらでもできるはずだ。
訪問者が、自分は大切に扱われた、このサイトを見て助かったと思うことができれば、それがまさにユーザビリティではないだろうか。

スマホ所有率79.4%※のいま、ユーザビリティはWebサイトの力強い武器である

スマホ所有率79.4%※のいま、ユーザビリティはWebサイトの力強い武器である

そして、最近のスマホ普及率はすごい。そのためスマホやタブレットで見ても、そのサイズに合わせて表示されるレスポンシブデザインが主流になってきたが、スマホでのページ閲覧率はパソコンよりもかなり低くい。一人あたり平均約3ページビューと言われている。

ということは、最初に開いたページを省くと、2クリックする間に欲しい情報が見つからなければアウト。
ユーザビリティの悪いサイト、自分にとってメリットがなさそうなサイトは、さっさとサヨナラされてしまうのだ。制作している側としては悲しいけれど、現実は現実。そのなかで、どれだけ見てもらえるか、お客さまの要望に応えられるかが勝負である。
※メディア環境研究所による「メディア定点調査2018」より
※ページビュー数とは、Webサイト内でページが開かれた回数

Webサイトのユーザビリティを上げるために、忘れてはいけないこと

それでは、どのようにユーザビリティを高めていけばよいのか。必要な視点をご紹介しよう。

サイトのメインターゲットになりきる

もしかしたら、一番むずかしいポイントかもしれないが、絶対必要な視点である。
今作ろうとしているコンテンツを一番見に来てほしい人は、どんな人なのか。何のために、どんなシチュエーションで、どのようにWebサイトを訪問しているのか?徹底的にその人の気持ちになってみることが必要だ。筆者もつねに悶々としているのだが、ここの詰めが甘いと失敗する可能性が高い。

ペルソナ(メインターゲットの詳細なプロフィール)を設定する方法は一般的になってきたが、たいていの場合は中途半端に終わっている気がする。企画段階ではペルソナを入念に考えていても、制作段階において、その人たちがこのページを見たときにどんな気持ちになるか、何を見せてほしいのか、までは詰め切れていないことが多い。

だから、徹底的に「その人」になり切ってみる。ターゲットを決めたら、それ以外の人のことは一旦無視しよう。「もしかしたら、こんな人も見にくるかもしれない・・・」と真剣に考え出すと、コンテンツの内容や並べ方、ボタンの文言などにもどんどん迷いが生じてしまうからだ。

ストーリーは流れているか?

ストーリーは流れているか?

メインターゲットの気持ちになれたら、次はその人がサイト内をどのように動くか、何を見たいかというストーリーを作る。
たとえば、コーヒーカップのオンラインショップであれば、どんなふうに商品を紹介してあげれば読みやすいか。多分、商品の写真を最初に見たいだろうが、それはどのくらいの大きさが一番よいのか。スマホ画面いっぱい?その半分くらい?商品の名前はどの位置にどのくらいの大きさがよいか。カートボタンは、どこにあれば押しやすいのか・・・。

考えることはたくさんあって、だんだん分からなくなる。そんなときは、街にあるコーヒーカップ屋さんのおばちゃんとお客さんを演じてみることをお勧めする。
お客「すいません、コーヒーカップを探しているんですが」
おばちゃん「はいはい、お家で使わはるの?」(大阪のおばちゃんなので関西弁)
お客「いえ、会社で」
おばちゃん「会社用やね。たっぷり入ったほうがいいんかな?」
お客「そうですね。あと、できるだけ冷めにくいほうがいいな。」
おばちゃん「これなんかオススメやけど、お客さんは手が大きいから持ち手もいい感じかも。結構人気なのよ。この間もね・・・」

こんなに会話が弾むかどうかは別として、お客さんがまず知りたいこと、どんな疑問が頭のなかにわいてくるのかをストーリーで考えてみると、必要な要素と不要なもの。その見せ方の順番、優先順位がはっきりしてくる。

不要なものは省く。Webサイトにも断捨離が必要

不要なものは省く。Webサイトにも断捨離が必要

そうやって考えていくうちに、情報はだんだん整理されてくるはずだ。さっきの会話もお客さんにとっては、できるだけシンプルなほうがありがたいはず。多少のお喋りは楽しいものの、コーヒーカップ一つ買うだけで10分も店のおばちゃんと話したい人は稀だろう。
ましてや、買うつもりもないカレー皿やワイングラスのことまで宣伝されたら、すぐにお店を出たくなるかもしれない。

写真、コピー、リンクボタンなどさまざまな情報は、必要なときに必要な場所にあれば、その価値は非常に高くなり感動さえ与えられるが、不要なときには単に邪魔なだけとなってしまう。そこには、文字の書体や大きさ、色使いなども含まれる。
Webサイト訪問者が必要とする情報を、必要なタイミングで提供すること。そのためには、まず不要なものから省いていくのも一つの方法だろう。

訪問者に、一呼吸つかせてあげよう

最後に、もうひとつ。余白があたえる意味の大きさも大切にしたい。
フランス料理のフルコース途中で出てくるシャーベットは、メインとなるメニューの間に、口のなかをさっぱりさせて次の料理を楽しんでもらうためにある。Webサイトでも、そんな一呼吸つける空白を置くことで、ちょっと落ち着いて考えられるようになる。

よく考えて作られているWebサイトを見てみると、この余白の使い方がとても上手である。情報をたっぷりと詰め込むのではなく、ちょっとしたスペースを設けることで訪問者は頭の整理がしやすくなる。デザイン的にも、余白があることでメリハリがつき、目立たせたい情報がぐっと際立ってくるものだ。

ユーザビリティの高いWebサイトは、必ずリピーターを生む

ユーザビリティの高いWebサイトは、必ずリピーターを生む

私たちが居心地のよいレストランについ足を運んでしまうように、Webサイトも同様のことが言える。とくにオンラインショップはその傾向が強い。それほど値段が変わらないなら、自分の買い慣れたサイトで買っておこうと考える人は多いのではないだろうか。ユーザビリティは、オンラインショップの売り上げやサイトのアクセス数に大きく影響するのだ。

それならば、私たちはもっともっと真剣にWebサイトのユーザビリティについて考えるべきだろう。新しいページをどんどん作って訪問者を飽きさせないことも大切だが、その前にいったん足を止めて、このサイトは本当にユーザーが使いやすいか見やすいかを見返してみよう。

長く愛されているレストランに共通しているのは、お客さまをうんと喜ばせたいというホスピタリティが原動力になっていること。Webサイトを制作する私たちも、そんな謙虚な姿勢でもう一度考え直してみる必要がありそうだ。

根拠のない自信は、人生の杖になる

根拠のない自信は、人生の杖になる

もし、誰かに「生きていくうえで何が大切か?」と聞かれたら、間違いなく答えることの一つに、「根拠のない自信」をあげるだろう。
簡単にいえば、「大丈夫、きっと上手くいく」と何の根拠もないけれど、心から信じられる力のことである。

人によっては「なんてお気楽な」と一笑されるかもしれないが、いえいえ、人生ここぞという時に、自分を助けてくれる財産のようなものだと筆者は考える。今回は、根拠のない自信の大切さについて真剣に書いてみることにする。

「根拠のない自信」とは?

筆者も、そして当社の代表も、二人揃って根拠のない自信を持っている。筆者の場合は、大した取り柄もないのだが、これに関しては胸を張れる(笑)。
でも、それが一体どこからやってくるのか?と聞かれても、明確な答えは出てこない。だって、本当に根拠がないのだから。

しかし、半世紀ほど生きてきたなかで、「根拠のない自信」に助けられたことは山ほどある。
たとえば、

  • いくら心配したって仕方がない場合。
  • 自分が努力しても、状況を変えられるような話ではないとき。

そんな時には、「まあ、ええか。どないかなるやろ」と笑っていると、なぜか本当に「どないかなる」から不思議なものだ。

「根拠のない自信」は幸運を呼んでくれる

「根拠のない自信」は幸運を呼んでくれる

いつだったか大企業のトップ対談のTV番組で、こんな会話がなされていた。
「自分は運がいいと思わないと、運は良くならない」。
確かにその通りだと思う。筆者の周りでも、強運の持ち主たちは、間違いなく自分の運の強さを信じて疑わない人ばかりである。

そんな人たちを見ていて思うのは、みんな楽しそうであること。
もちろん、ストレスの多い現代社会に生きている限り、誰もがさまざまに煩わしい悩み事や課題を抱えているのだが、それでもなぜかみんな幸せそうで、自分の人生や現状にかなり満足しているようだ。
物事に好循環と悪循環があるとしたら、まさに好循環を自分で作り出している感じがする。そこには、年齢や社会的地位など関係ない。

たとえば、ある保育園でのお話。
先生が子供たちに、「みんな、今から何でも自分の好きな遊びをしていいよー」と声をかけた。すると、子供たちはみんな思い思いの遊びを始めた。人形遊びや追いかけっこなどなど。
しかししばらく経つと、なんとみんなが同じ一つの遊びを始めたそうだ。それは、一番楽しそうな遊び。一番おもしろそうなところに子どもたちは集中したのだそうだ。

人は、楽しそうなことや幸せそうな人の周囲に無意識に集まっていく。人だけでなく、Good Luckもそうなのかもしれない。

「根拠のない自信」がもし、はずれたら?

「根拠のない自信」がもし、はずれたら?

「そんなこと言っても、もし自信が外れたら?」心配性な人はそう思うだろう。確かに外れることもある。

たとえば、筆者はかなりの「晴れ女」を自負していて、ほとんど傘を持って出かけないのだが、時にはどしゃ降りに遭うこともある。そんな時には、代表がカバンに忍ばせている折りたたみ傘のお世話になり、「いい加減にせえよ」と言われるのだが、それでも傘を持って出ない。(当社代表は、青春時代を雨の多い鳥取県で過ごしているため、傘に関しては慎重派)。まったく、一緒に歩く人にとっては迷惑な話である。

しかし、晴れ女である以上、傘は必要ないのである。ときどき雨に濡れようが、それはたまたまお天道様の都合と合わなかっただけ。そこはカウントしなければいいのだ。そうやって過ごしていると、大概は傘いらずで過ごすことができる。

こうやって書いてみると、もしかしたら単に厚かましいだけなのかもしれない。
あるいは、他人からは「結構、苦労も多いようだけど?」と思われているかもしれない。
しかし、他人がどう見ていようと、自分が幸せならそれでいいじゃないか。本人が満足なら、何も問題はないのだから。

大切なのは、物事をどう受け止めるかではないだろうか。
時には、大雨でびしょ濡れになっても、農家の人たちは喜んでいる。それなら自分が濡れたことも意味がある。今日は雨が降ってよかった。そう思っておけばいいのだから。

根拠のない自信とは、自分を信じる力

根拠のない自信とは、自分を信じる力

けれども、ここで間違ってはいけないことがあると思う。
それは何も努力しないで、変な自信だけ持つこと。上手くいかなかったときに、それを誰かのせいにすること。

当社代表は、根拠のない自信家であるだけでなく、人一倍の努力家でもある。自分のめざす目標にむかって、歩むべき道を見極めて、最短距離で切磋琢磨しようとする。そこが筆者には足りない部分であり、いつも学ばせてもらっている。

大切なことは

  • 最悪の事態もちょっとは想定しつつ、ベストを尽くす。そして、自分の力を信じること。
  • いつも感謝を忘れないこと。
  • どんなときでも陽気に笑っていること。

きっとそんなふうに毎日生きていれば、根拠のない自信は自然に身に付いてくる。そして、どんな困難なことにも立ち向かう勇気を与えてくれる。誰かに助けてもらうのではなく、自分自身で進んでいくしかない。

しつこいようだが、最後にもう一度だけ。根拠のない自信を持ち続けよう。
他人にどう思われようと、ポジティブであることは人生何よりの幸せである。

ダブルチェックでWEBサイトの更新ミスを激減させる方法

突然のことに、驚く少年

日々、あなたのまわりで起こる確認ミス。
しっかりダブルチェックさえしていれば、クライアントから怒られることもなかった。もしこれが大きな事故につながるようなことにつながっていたら。冷や汗が背中を伝う・・・。

企業のWEBサイトは、適切なタイミングで新しい情報を更新してこそ意味がある。それによって、ステイクホルダーに最新の情報を提供するとともに、検索エンジン対策としても有効だ。

しかし、その一方で悩みのタネとなるのが、更新の際に発生するミスである。WEB担当者や制作会社が入念にチェックを行ったつもりでも、なぜかミスは起こってしまう。

「何回言ったら分かるんだ!あれほど気をつけろと言っただろ!」

と叱ってみても、根性論で解決するものではない。人間である以上、誰しも間違いは起こりうる。それならば、それを業務としていかにフォローするシステムを作るかの方が賢明だと筆者は考える。

ダブルチェックが重要であることはよく言われることだが、今回はうっかりミスを防ぎ、ダブルチェックの精度、効果を上げるための方法についてご紹介しよう。

あなたの会社で、ヒヤリハット報告が少なくなることになれば、幸いだ。

ダブルチェックの効果と意味とは?

失敗に顔を隠して後悔する少年

ダブルチェックとは、更新作業を行った人以外の誰かが再度チェックを実施すること。WEBサイトの更新でいえば、制作者本人のチェックだけだと思い違いに気づかなかったり、「ここは間違えるはずがないから」と油断があったりするため、物理的に違う目によって違う視点からチェックすることが非常に大切なのだ。

ただ、肝に銘じておきたいのは、なぜかミスというものは何回チェックしてもその網をするっと抜けてしまう傾向にあるということ。うっかりミスが発覚したときに、みんなが口を揃えて言うのは、

「まさか、そんなところが間違っているとは思わなかった」
「そこまでは気づかなかった・・・」

である。

そうなのだ。神様のいたずらかと思うようなところに、静かにこっそり潜んでいるのがミスなのである。

しかし、公共性が高く企業の信頼性にもつながるWEBサイトは、限りなく100%に近い優等生でなければならない。ミスは許されないわけだ。
それを見つけやすいのは、更新作業をした人よりも、間違いなくダブルチェックする人である。WEBサイトをそんな優等生にするためには、発想を切り替える必要がある。

ダブルチェックは、シングルチェックをなぞることではない。

と認識しておこう。

しつこいようだが、ダブルチェックをする人は独自の視点で責任をもってチェックを行うべきである。日頃の業務から学んだダブルチェックの精度を上げ、重大事故につながるミスを防ぐ鉄則をご紹介しよう。

ダブルチェックの鉄則1:ダブルチェッカーに情報を与えすぎない

ダブルチェッカーに情報を与えすぎない

まず最初に気をつけたいのは、ダブルチェックする人にはできるだけ違う視点から確認してもらうことだ。間違っても「私が今から言うところだけ確認して」などと誘導してはいけない。

作業した本人は、ミスが発生していることに100%気づいていないからダブルチェックに回している。そんな人の言いなりになって漫然とチェックを行っていては、せっかくの労力と時間が無意味なものになる。逆にクライアントから大目玉を食らう可能性さえあるのだ。

ダブルチェックを行う人は、その人の頭で考え、なおかつ「どこかにミスが隠れているかも?」と疑いながら確認を実施すべきだ。チェックシートなど基本的なツールを揃えておくことは言うまでもないが、チェックする人が自由な目と心で、時間に余裕をもって確認できるように段取りしよう。

ダブルチェックの鉄則2:しかし、主旨はしっかり伝えるべき

逆に伝えておくべきことは、どういう目的をもって更新・修正を行ったのかということ。
たとえば、比べてみてほしい。

A:「投資家のお客さまから問い合わせ方法が見つけにくいという要望があったので、目に触れやすいこの場所に電話番号を表示しました」
B:「ここにお問い合わせの電話番号を表示しました。間違いがないかチェックしてください」

どちらの頼み方が、より広い視野でチェックを行うことができるだろうか?

電話番号が間違っていないかについては、どちらも同じようにチェックするだろう。しかし、投資家にとっての窓口なら、投資家に最もよく見られている事業紹介やトップメッセージのページにも目立つように掲載すべきではないのか?もしくは、同じような質問が多いならQ&Aを充実させるべきではないか?という議論も出てくるかもしれない。そこまでいくとダブルチェックの範囲を超えてしまうが、本来はそういった視点で改善したり見直してみたりすることが大切なのだ。

またこの視点は、クライアントが制作会社に依頼する際にも同様。何のためにこの情報発信を行うのか、目的を明確に伝えることで制作内容の濃さも変わってくるはずだ。

ダブルチェックの鉄則3:必ずユーザー目線でチェックする

ユーザー目線でチェックする

ここからは、ダブルチェックする人に気をつけてほしいことをご紹介する。

前述のような優等生の解決策を見つけ出すことはなかなか難しい。しかし、ダブルチェックをする際に、サイト訪問者の視点に立つことができれば、新入社員であっても気づくことはたくさんあるはずだ。

不思議なもので、私たちは自分がお客さまの立場であるときには店員さんのサービスの悪さに目がいくのだが、自分が逆の立場になるとなぜかまったく気づかなくなる。

自分がお客さんだったら、この言い回しで理解できるか?この表現で勘違いしないだろうか?想像力をうんと働かせてチェックしよう。

ダブルチェックの鉄則4:小姑になったつもりでチェックする

そういった視点でチェックをしていくうちに、いろいろな問題が浮き上がってくる。

「ん?ちょっとこれおかしくないか?」
「でも、ここまで言うと重箱の隅を突いてるようで、ワタシ、嫌なヤツと思われちゃうかも・・・?」

と思ってしまったりもする。

しかし、そんな遠慮はまったく必要ない!

嫌なヤツで結構。小姑と言われようが、口うるさい年増と陰口をたたかれようが、せっかくの「気づき」は大切にしよう。手厳しい指摘を受けて、その場では嫌な顔をしていた後輩も、きちんとした理由を伝えれば、おおいに納得してくれるはずだ。

あなたが小姑になることでうっかりミスを防ぎ、会社のビジネスを助けたり、誰かの役に立つことになるのだから。
そんな視点を持てるようになった、あなたのダブルチェック精度はかなり上がったことを意味している。

ダブルチェックの鉄則5:ダブルチェックは午前中に

ダブルチェックは午前中に

ここまで読んでお気づきだろうが、ダブルチェックは責任重大。そんな仕事を任された自分を誇りに思うべきである。その責任を果たすためには、自分が最大のパフォーマンスを上げられる環境でチェックに臨もう。

一番いいのは、午前中の頭が冴えた状態で。もしくは、コーヒーを飲んでひと息つき、心を落ち着かせた状態でダブルチェッカーに変身することをお薦めする。

WEBサイトはビジネスの場。その信頼性を高めるのがダブルチェックだ。

信頼性を高めるのがダブルチェック

すぐれたチェックができる人は、鋭いビジネス感覚にあふれた経験豊富な人だと筆者は思う。
たとえば、同じ魚屋さんでも、顧客満足を大切にいい商品を売りたいと願う店主の店が繁盛するように、ユーザー視点で情報提供できる人、そのための間違いを見つけられる人は成果を出しやすいからだ。

WEBサイトは単なる制作物ではなく、クライアントにとってはビジネスの現場である。
自分が作ったりチェックしたら完了なのではなく、そこからクライアントの何かがスタートする原点だ。だからこそ、ダブルチェックする意味があるのだ。

ダブルチェックをフル活用してミスを減らすことはもちろん、改善の第一歩にもつなげてほしい。

表現力を高める言葉えらび、4つのコツ

きりんそう畑のなかで、はしゃぐカエルのぬいぐるみ

文章による表現は、奥が深い。
もちろんそれがたとえ、少し稚拙な文章であったり単調な表現であっても、内容が伝わらない訳ではない。

ただ、書き手の誰もがどうせ読んでもらうならしっかりと内容を伝えたい、読み手の心のなかに何かを残したい、と願う。

このコラムをサクッと読むだけで今日から表現力が格段にレベルアップするものではないし、筆者も苦手なことを克服するための練習を重ねてきた。しかもまだ毎日悩んでいる。

しかしただひとつ言えるのは、表現力を向上させるのに素質はいらない。トレーニングすれば誰もがある程度までのレベルには到達できる。

このコラムでは、表現力をブラッシュアップさせたいと感じているあなたのために、訓練のヒントになりそうな、使える言葉えらびや表現方法をご紹介していこう。

1.同じ表現でも、言葉を言い換える

新しいスキルと書かれたボード

たとえば、プロジェクトX 風に「・・・とAさんは言った。それに反応して、Bさんは・・・と言った」とストーリーを展開する文章の場合、「言った」の連発になることは避けたい。文章全体の流れはよくても、同じ言葉ばかりが続くと稚拙な印象を与えてしまうからだ。

同じキーワードをたびたび登場させることでSEO効果は確かに高まる。しかし、だからといってSEOのために、読み物としてのクオリティを下げてはいけない。検索上位にランクインしたとしても、コンテンツとしての価値が評価されなければ、最終的には読み手の信頼は得られないからだ。

また、SEOの観点からも類語を使うことには意味がある。Googleは、同じ意味をもつ言葉であれば、「言い換え」として、評価はむしろ加点されるからだ。では、よく使う表現の類語をご紹介しよう。

1-1.「言う」の表現方法

[「○○○」と言っている]
~と述べる/~と語る/~と話す/~と言う/~と伝える/~と物語る/~とつぶやく/~と考えている/~と苦笑する/~と答える/~と応じる/~と振り返る/~と続ける/~と笑う/~という思いがある/など。

1-2.「とても良い」の表現方法

高品質な/興味深い/とっておきの/満足度が高い/上質な/信頼性の高い/待望の/プロ仕様の/本格的な/好評をいただいている/ファンが多い/魅力的な/業界をリードする/格別の/リーディングエッジの/革命をおこす(内容によるが)/至福の/など。

ただ、褒める表現は誇大広告と受け取られないよう十分な注意が必要である。最高の/世界No.1の、といった表現ははっきりとした根拠を記載しなければいけない。以下の言葉を使うときにも注意が必要だ。後に続く言葉によっては使ってはいけない場合がある。
極上の/今までにない/他に類を見ない

2.ありふれた表現は避ける

ありふれた表現は避ける

言葉には、旬がある。
世間で流行りはじめた頃やときどき耳にする程度ならよいが、どこでも目にするようになたら要注意だ。使い古された表現、手垢のついた表現は、かえって印象を悪くしてしまう。それが耳障りのいい言葉であればあるほど、嘘くさく聞こえてしまう。

たとえば、

  • 地球にやさしい
  • きめ細やかな配慮
  • 心に寄り添う
  • 顧客ニーズにマッチした
  • 匠の技 など

例として挙げた5つすべてがどこの企業、店舗でも通じる表現だ。
手垢のついた表現のキャッチコピーのあるページのヘッダー部分をライバル会社のヘッダーと入れ替えても、顧客候補は100%気づかない。そのぐらい、あなたの会社と顧客候補との間のコミュニケーションとしては、圧倒的に力が不足している。

要は、読んでくれる人の心に、あなたの会社特有の「何か」が響くかどうかが大切。時には、耳障りの決して良くない、素朴な表現の方が心に残る場合もあるのだ。

3.文末に変化をつける

文末に変化をつける

小学生の作文が幼稚に聞こえる理由のひとつは、文末が単調なことにある。「今日、お父さんと釣りに行きました。僕はあじを3匹釣りました。お父さんは大きな魚を釣りました。」といった具合。大人の文章では、一文がもっと複雑なためそれほど気にしない方が多いが、文章全体の流れが悪くなる。

それを防ぐためには、たとえば「~します。」は3回以上は連続して使わないとか、「~しました。」「しましょう。」や、「~ということ。」「(名詞)~。」と体言止めを加えることで変化をつけよう。

表現力を高める言葉えらび、4つのコツ、後半は

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オウンドメディアで他社の先を行く、4つの基本

後光がさす神殿

ユーザーの視点に立ったコンテンツを提供することで集客につなげるという、注目の新たなマーケティング手法「コンテンツマーケティング」。その器となる、「オウンドメディア」もよく耳にするようになってきた。

しかし、誰もが同じようなことを始めると、どう差別化していけばいいのだろう?

この記事では、まだコンテンツマーケティングを始めたばかりだったり、手を付けるべきか思い悩んでいる方に、誰よりもいち早く優位性を確立するための対策をご紹介する。

オウンドメディアとは?

マーケティング、ソーシャル、メディア・・・

最初に、オウンドメディアの意味について簡単にご紹介しておこう。

オウンドメディアとは、文字通り自社が所有しているメディアのこと。広い意味でいえば、自社サイトはすべてオウンドメディアとなる。

WEBサイト上で、顧客や顧客候補にむけてスタッフブログやオンラインセミナー、専門家コラム、ソリューション事例などのコンテンツを公開することで継続的に情報発信を行い、訪問者とのダイレクトなコミュニケーションを図るためのツールといってもいい。

顧客や顧客候補と直接つながろうというメディアであり、企業にとっては非常に大きな役割を担うものといえるだろう。

企業サイドのジレンマ

これまで企業は、マスメディアに大量かつ莫大な宣伝予算をかけてきた。しかし、広告費は削減傾向にあり、効果は最大値を求められる。さらに、マスメディアによる「誰にでもいいから、とにかく広げよ」といった強引な方法論に大きなムダを感じているのだ。

そこでインターネット経由で自社商品に興味を持つ顧客候補を「個客」として扱うことができ、自社の思うようにコンテンツを組むことができる「オウンドメディア」にスポットがあたるようになったのだ。

さらに都合がいいのは、情報の発信量に制限がないということだ。TVCMには時間制限がある。紙媒体には文字数制限やスペースの制限がある。しかし、自社媒体であるオウンドメディアには制限など存在しない。取り組み方次第では、マスを上回る効果が得られる。しかも継続的に。

ユーザーを引き込むための魅力的なコンテンツさえあれば、いくらでもコンタクトができる。自社内に蓄積している知恵を掘り起こし、顧客に理解しやすいようにまとめれば、向こうから自社に近づいてもらえるようになる。

オウンドメディア戦略は、ロングテール戦略

顧客を「個客」と認識すればするほど、価値観は多様化し、いわゆるロングテール理論に近くなる。しかし、マスメディアを使った宣伝活動では落としていたかもしれないロングテールまでカバーすることで、より宣伝活動の効果「量」を上げようとするものでもある。

スタッフブログで顧客とのコミュニケーションを介した自社の持つ多種多様なノウハウを公開したり、オンラインセミナーや専門家コラムでは細かなニーズに対応した専門性の高い情報で顧客候補の課題を解決、ソリューション事例では実際に現場で起こる課題を解決している様子や自社製品やサービスを交えて具体的な内容を示す。

こういった具体例を明らかにすることで、多くのキーワードが蓄積されていく。これがロングテールなニーズに結びつき、次第に大きなアクセスを誘い込んでいくわけだ。

ロングテールをカバーすることは、これまで一方的だったマスメディアによる宣伝活動を双方向に変えられる可能性もある。
それには、後述するようにターゲットユーザーにオウンドメディアで発信する情報に満足してもらうことが最優先課題だ。

1.訪問者に「良かった」と感じてもらってこその、オウンドメディア

金色のまねき猫

コンテンツマーケティングに代表されるように継続的に情報発信を行うことで、自社サイトに集客し、最終的にはブランドや商品のアピールにつなげたい。それは、オウンドメディアを運営する企業のほとんどが目指すところだ。

ユーザー視点に立ったコンテンツといいながらも、ビジネス目的みえみえのWEBサイトに興ざめしたことがあるだろう。
ブランドや商品のアピールばかりを意識し過ぎると、ユーザーに役立つメディアとしての本来の使命(オウンドメディアをスタートさせたきっかけは、ユーザーに喜んでもらえる、感覚を共有するために情報発信を行うためだったはず)を忘れがちになってしまう。

あらゆるものが媒体化し、どこを見ても企業からのメッセージ、宣伝コピーが目に入ってくる状況に多くの人が辟易としている。そのようななかで、回りくどいかもしれないが、直接的にPRするのではなく、該当する商品やサービスにまつわるノウハウを提供することで間接的に自社が持つ蓄積情報の奥深さ、視点の確かさを表現することで信頼性を高めていく。それがブランド強化につながっていく・・・というしくみがコンテンツマーケティングの本来の姿。
そしてこれらのコンテンツを公開する場所がオウンドメディアであったはず。

あくまでもユーザーのためになる情報や何らかの行動を示唆してくれるなど、読者が「読んで良かった」「助かった」と思える情報を提供できてこそ、オウンドメディアとしての使命を果たせる。

2.ターゲットの根底にある心理を満たせば、集客につながる

ダーツの矢が中心に集中

いいコンテンツは、一人歩きする力を持っている。
あなたの会社の運営するオウンドメディアで記事を読んだ人が、思わず誰かに教えたくなったり、ブックマークしたくなったり、SNSでシェアされたりと、コンテンツが勝手に拡散していくことになることがあるからだ。

しかし、コンテンツが拡散されていくためには、ユーザーが「これはすごい」「ためになる」「面白い」と誰かに伝えたくなるほどの高いクオリティがないと始まらない。

企業のオウンドメディアで発信する情報としては、商品に関連するノウハウ提供がもっとも取り組みやすいものになる。商品を開発したり、販売するなかで蓄積した経験値や研究成果ほどユーザーのためになることはないし、それを知ったユーザーは情報提供者の奥深さに感心する。

ただし、同じような記事がすでにある場合には、それに勝る情報提供が必要となる。ノウハウ集にさらに磨きをかけるのは、サービス精神。普通の情報に人々は関心を示さないし、その薄っぺらさ、やる気のなさに愛想さえつかされてしまうだろう。

たとえば、「のし紙」について紹介するとしよう。のし紙の種類や用途について説明するのは一般的。そこにもう一歩踏み込んだ内容を加えてみよう。

  • お祝い事とお悔やみごとの違いで気をつけるポイントは?
  • 包装紙の外側と内側に巻くとどんな違いがあるのか?・・・など。

のし紙について調べている人は、当たり前ながらのし紙について多くを知らない人であり、常識的なマナーをおさえておきたい、という気持ちがある。

彼らが知りたいことの本質は、単なるのし紙の書き方だけでなく、失礼のないように振る舞いたいということ。彼らの欲求の核心的な部分を満たしてあげることで、満足度はグッと高くなる。

3.スピーディに情報を発信できる仕組みづくりを

ボブスレーチームの奮闘に観客も興奮

クオリティが第一のコンテンツマーケティングだが、同時にコンテンツの量についても求められる。「筋トレ」と評する向きもあるほどだ。

最低限1週間に1度は更新したい。定期的にある程度の文字量で執筆し、同時にクオリティも維持する。そのためには、記事を作り出すための「仕組みづくり」が必要だ。

チームを組み、編集会議を開く

ターゲットとするユーザーが、今どんなことに興味をもっているのか、そこに自社が伝えたい情報を滑り込ませることができるか。常に広い視点で情報収集をしながら、目的にあった内容を詰めていく。そのためには、個人の視点よりも複数で意見を交えるほうが、より客観的な視点が得られやすい。オウンドメディアというからには、記事のクオリティを同じようなレベルで保つことも求められるのだ。

記事のプロトタイプを作る

よほど書き慣れた人でない限り、一から文章を書き出すには時間がかかる。量産するためには、ある程度スムーズに話の組み立てができるようなフォーマットが必要だ。
人気のオウンドメディアを見てみると、原稿の書き方にはいくつかのパターンがあることが分かる。

(1) 問題解決型

顧客の疑問に解決を

何かの課題を抱えている人のために、解決策を提供するというもの。

たとえば、「プレゼン下手を解決するための7つのポイント」や「春から一人暮らしを始める人必見、ワンルームのおしゃれな収納方法」などなど。
記事のフォーマットとしては、以下のような展開が多い。

  • イントロダクション
  • 解決策(箇条書きでいくつかのポイントを紹介)
  • まとめ、結論

その場合、タイトルに「プレゼン下手を解決するための」や「一人暮らしを始める人の」と、ターゲットを明確にしてあげることも大切。対象ユーザーの幅は狭くなっても、本当に知りたい人の目に届きやすくなる。また、解決策の内容はできるだけ具体的に、即実践できるような内容を紹介することも忘れてはいけない。

(2) ストーリー型

開かれた古い本に枯れたバラの花

しっかりと読ませるコンテンツに多いが、ここで重要なのは、論理的なストーリー展開になっているかどうかだ。「読んでみたが、結局何が言いたいのか分からない」では意味がない。

記事のフォーマットとして一般的に言われているのは、空 → 雨 → 傘(空を見たら、雨が降っていたので、傘をさした)というストーリー展開。
物語の基本パターンである起承転結は、読み物としては正解だが、オウンドメディアのコンテンツとして使うのは難しいかもしれない。

というのは、ネットで検索して何かの情報を得たい人が全文をじっくり読むケースは少ないからだ。斜め読みしても内容が掴めるように、サブタイトルで区切ったり、結論を前で提示するといった工夫が必要だ。

(3) キュレーション型

花の絵が描かれた、たくさんのカップ

他のWEBサイトなどで紹介されている情報を見つけてきて紹介するパターン。

たとえば、「おいしく食べて健康になれる、レシピサイト10選!」といったもの。
この場合、紹介する元ネタに信頼性があり、納得してもらえるセンスのある情報であるかが鍵になる。キュレーション型コンテンツを作る際には、個人の意見に偏らずに他のスタッフの意見も参考にしよう。

(4) 調査結果型

虫眼鏡で探す

たとえば、自社で行ったアンケートの結果報告。実際に現場を訪れて調べた状況報告など。

企画書や報告書を作る際に、使える調査結果がないか?と調べることは珍しくないはず。オフィスに空気清浄機の導入を申請したいとき、「空気清浄機を導入した100社に聞いた、導入して良かったこと」といった調査結果があると担当者は喜んで流用してくれるだろう。

この場合気をつけなくてはいけないのは、信憑性とデータのまとめ方。調査結果は、直感的に理解できるようにポイントをまとめておこう。インフォグラフィックのように、統計値やグラフを分かりやすくデザイン化したものもシェアされやすいので、おすすめだ。

4.企業文化やポリシーを表現しよう

議会で演説する議員

オウンドメディアの存在意義は、「オウンド」にある。既存のマスメディアでは得られない発想や、専門家としてのノウハウや意見など、ある分野で実績を重ねてきた企業だからこそ発信できるコンテンツに価値があるからだ。

  • スターバックスに伝わる、初めてのお客さまとの会話テクニック
  • ユニクロ社員が教える、普通っぽいのに人目を惹く着こなし術

お客さまとのコミュニケーションに重きを置いているスターバックスが教えてくれるなら、ちょっと読んでみたくなるだろう。企業が長年培ってきたノウハウや文化をベースに語るコンテンツは、それだけで説得力がある。「元○○企業のトップ営業マンが教える、新規客を落とす100のノウハウ」なんて本が売れるのも、このためだ。

一つひとつの記事はバラエティーに富んでいても、その根本には企業文化やポリシー、そして企業文化が感じられる。それでこそ、競合他社に負けない、オウンドメディアではないだろうか。

実は、オウンドメディア作りは役得である

ネットで解決方法を見つけた女性

「オウンドメディアを運営する」というと、とても大変な課題のように聞こえる。しかし、捉え方によってはこれほど学べる仕事はない。

普段は話す機会のない他部署のスペシャリストや、時には経営陣にさえ「取材」という形でじっくりと話を聞くチャンスが与えられるのだ。しかも、コンテンツを発信するターゲットは一般ユーザーであるため、今さら聞けない基礎的なことであっても、堂々と質問できる。

加えて、論理的な思考やライティング能力、企画力など、将来ステップアップするために必要な力を磨くことにもなる。しっかりした文章が書ければ、ステップアップの可能性は大きく広がる。これは間違いない事実だ。

オウンドメディアを運営する担当になったなら、「ラッキー!」と感じるべきだ。就業時間中に将来のためのトレーニングができるのだから。

WEBサイトコンテンツ、微調整よりも一日早く公開するが勝ち

WEBサイトコンテンツ、微調整よりも一日早く公開するが勝ち

できる限り早く公開して、反応を見て、改善する。それがWEBサイトコンテンツを公開・運営する鉄則と考えよう。
誤解を承知で言ってしまえば、多少の間違いがあっても後でいくらでも修正できるのが、WEBサイトの良いところ。それなのに、ほとんどのWEB担当者、もしくは上司の方々は、慎重の上に慎重を重ねてから公開したいと考えている。

それが日本人の良いところでもあるのだが、WEBサイト運営(特に、ビジネスに直結するコンテンツ)に関しては命取りになる。石橋を叩いているうちに、橋の存在自体が意味をなさなくなった、という事態にならないよう、発想の切り替えが必要なのだ。

コンテンツの目的は?WEBサイトというメディアを選んだ意味を考えよう

コンテンツの目的は?WEBサイトというメディアを選んだ意味を考えよう

「そんなこと言ったって・・・」と思っているあなた。世の中のスピードはおそろしく早くなっている。要因のひとつとして、ネットですぐに多くの情報を得ることができるようになったことが影響しているはず。

たとえば、月曜日の朝、テレビが壊れたとする。ひと昔前なら、週末までガマンしてやっと土曜日に電気屋さんに行って、店頭に並ぶテレビを見比べて、店員さんの話を聞いて、なんなら2~3軒別の店を回ってから注文。「お届けは3日後の水曜日です」という流れが普通だった。
それが今ではどうだろう。月曜の昼休みには、スマホで人気のモデルをチェックして、amazonでユーザーコメントも見て、価格ドットコムで一番安い店を探して注文。上手くいけば、火曜の夜には家で新しいテレビを観ているといった具合である。
味気ないといえば味気ないし、そんな世の中って・・・と筆者もどこかで思っているが、しかし私たちはそんな時代を生きている。しかも、そこで生き残っていくべきWEBサイト運営を任されている立場なのだ。

そこで重要になってくるのは、何よりもタイミングである。「テレビを買いたい。早く家で代わりのテレビを観たい!」と思っている人の目の前に、希望に添った商品を提供し、買いたくなるムードを盛り上げて、安心して注文できる仕組みを用意しておかなければならない。
そのタイミングを逃すことは、ビジネスチャンスを逃すことを意味している。
B2Bビジネスであっても、基本は同じ。WEBサイト運営のコツは、ニーズに沿ったタイミングを逃さないことである。

まず、担当者本人が、意識を変える必要がある

まず、担当者本人が、意識を変える必要がある

「スピードが重要なことは分かった。でも、どうやって?」だんだんそんな気持ちになってきたら、ここからが大切。
まず、自分の意識を変えることである。
これは筆者の自己反省を踏まえつつだが、物事がうまく進まないとき、ネックになっているのは大抵は自分の意識にある。「やらなくちゃいけない」と分かっていても、心のどこかで無理かも・・・と思っていれば、それは絶対に実現しないのだ。

最初に整理すべきことは

  1. 当社がいま抱えている課題は?(それが本当の問題なのかを検討したうえで)
  2. それを解決するためには、何が必要か?
  3. それに対して、WEBサイトで解決できることは何?どうやって?(WEBサイトでできないことは初めからやらない)
  4. そのためにWEBサイトで最低限、必要な情報は?(全体像を踏まえたうえで考える)
  5. その情報を掲載することで、いつまでに、どんな反応を期待する?(アクセス数、問い合わせ数など)
  6. それが上手くいかなかったら、次の手はどうする?
  7. それが上手くいったら、次は何をする?

上記は、WEBサイト作成にあたってほとんどの担当者が考えるステップだと思うが、「4」のあたりからズレてしまうことが多くはないだろうか?
WEBサイトのあるべき全体像をじっくりと考え過ぎて、もしくは、考えようとして目指す山が高すぎて動きがとれず、時間だけが経過してしまう。そうして3ヵ月、半年と時間が過ぎていくうちに、何も変わらないままという事態を招きかねない。

公開時の完成度50%と100%。最終的に勝つのは、どっちか?

公開時の完成度50%と100%。最終的に勝つのは、どっちか?

不安をあおるつもりはないが、競合他社(仮にB社とする)が違う意識をもっていたらどうだろう。
B社は、4の「そのためにWEBサイトで最低限、必要な情報は?」を早急に決めて、たとえば1ヵ月後に、必要最低限のコンテンツを公開したとする。もちろん、準備期間が少ない分、サービスに関する説明不足はあるだろうし、もしかしたらお問い合わせフォームも未だなかったりするかもしれない。
それでも、内容がターゲットニーズに合っていれば、それなりの反応は出てくるだろう。そして大抵の場合、それはあなたも同じように考えていたアイデアだったりする。

B社は、公開初日からその反応を随時チェックしていて、予想していたよりも反応がなければ、2週間ほどでランディングページのキャッチコピーを少し変更する。その反応をみては、イマイチなら予め考えていた別案のアプローチと切り替えたりもする。日々細かいけれど、微調整をしつつ反応をを見ながら改良を加えていく。

その間、数ヵ月。もしあなたが大きな山を眺めてモンモンとした日々を送っていたとしたら。もしくは、ボリュームの多いコンテンツ制作にとりかかり、デザイン案で上司のチェックがなかなか進まなかったら・・・。最終的に、立派なコンテンツができあがったとしても、その頃にはB社が一歩も二歩もリードしている可能性がある。早く動く人は、得るものも大きいのだ。

スピードを落とさずに、失敗もしたくない人のために

スピードを落とさずに、失敗もしたくない人のために

それでは、どうすればよいのだろうか。ビジネスチャンスを逃したくないが、もちろん責任も重大。最初の一歩をどう踏み出せばよいか分からないという方に、以下にいくつかの対策をご紹介したい。

2案から選べないなら、両方試してみる

たとえば、新商品の打ち出し方がどうしても決まらない。制作会社から2~3案出してもらったが、どれも良いような悪いような。ターゲット層の悩みやニーズは分かっているが、どんなふうにアプローチしたら一番心に響くのだろうか・・・。

それなら、どっちも試してみればいい。正直なところ、どちらが受け入れられるかはやってみないと分からない。どんなに優秀なコンサルタントに相談するよりも、実際にターゲットの反応を見てみるほうが答えは明快だ。慎重に慎重を重ねて時間を費やすくらいなら、どっちも試してみて反応をみて、微調整すればそれで十分である。
そして、それが簡単にできるのがWEBサイトの良いところ。GoogleのA/B分析のようなお試しツールも揃っているのだから、無料で使えるものはどんどん使わせてもらおう。

社内意見をまとめるために、まず小さな成果を出す

そういった工夫をしながら、小さなことでもよいのでまず結果を出すことは、社内で同意してもらうのに役立つ。「お試しで公開してみたところ、こんな反応がありました。それを踏まえて、次の一手はこれをやります」と報告されたら、大抵の上司もGOサインを出しやすくなるはず。
担当者のあなたはもちろんだが、上司の方々はもっと責任を負っているのだから、失敗はできるだけ避けたい。たとえ上手く行かなかったとしても、その理由説明や対策案を用意することが求められている。
最初から大きな成功や完璧な完成を狙いすぎてはいけない。WEBサイト運営の世界では、小さなことでも結果を出して、それを積み上げていく者が最終的に勝つのだから。

公開スケジュールの単位は1ヵ月。段階的に公開しよう

公開スケジュールの単位は1ヵ月。段階的に公開しよう

とにかく公開目標を決めることから始めよう。サイトリニューアルなら、基本的に3ヵ月後。しかし、全部を揃えて3ヵ月後に公開する必要はない。準備ができたところからどんどん公開していけばよいのだ。スケジュールの組み方としては、1ヵ月ごとに区切ってみる。最初にもってくるのは、基本的には優先度の高いコンテンツであるべきだが、前準備に時間がかかるなら、手をつけやすい会社情報などから進めるのもひとつ。

どちらにしても大切なことは、社内担当者やWEB制作会社など関係者全員がこのプロジェクトに集中するように仕向けてしまうことである。プロジェクトが長引いてしまう原因の一つに、時間が空いてしまうと各人がそれを思い出すのに起動時間がかかるということ。みんなその時間が億劫だから、難しい話は後回しにしてしまう。その結果、進みが遅くなるのだ。

大きな山は輪切りにして、優先順位をつける

大きな山は輪切りにして、優先順位をつける

何百ページもある自社WEBサイトのリニューアル。コンセプトは決まったものの、どこから手をつけたらいいのか分からない。目の前の山が高すぎる。
そう感じているのなら、中くらいの山に切り分けていこう。最初の一歩が動きやすくなると同時に、何よりも気持ちがラクになるので是非やっていただきたい。

その方法としては、

  • 現状サイトの課題をリストアップする。自分一人でなく、関係者それぞれの意見も出してもらう
  • それぞれの目指すべき姿と対策案を書き出す。できるだけ具体的に書こう
  • それらの優先順位をつけて、公開目標を立てる
  • それでもまだ漠然としていたら、一つひとつの課題をまた細分化する

「難しい」「できない」「分からない」は禁句にする

「難しい」「できない」「分からない」は禁句にする

最後に、少しだけメンタル面の話をさせていただきたい。プロジェクトを前に進めて、できるだけ早く結果を出すために、最も邪魔になるのが上記の3つのフレーズである。誰かがこれを言い出したら、話が進まなくなるし、みんなのやる気が削がれるのだ。

あなたの過去の経験を思い出してほしい。社会人になってからでも、子どもの頃であっても、チームで物事がとても上手く運んだときというのは、全員の気持ちが一つになっていた時ではないだろうか。メンバー全員が前向きになって、協力体制を組み、力を発揮していたときではないだろうか。
もしあなたがチームリーダーであれば、この雰囲気を大切にしてほしい。何事も成せばなる、である。

WEBサイト更新、特に気をつけたいチェックポイント5つ

WEBサイト更新、特に気をつけたいチェックポイント5つ

たとえば、あなたが旅行に出かけたとしましょう。そこで突然、激しい腹痛におそわれ、近くに小ぎれいな病院を見つけます。
「良かった、先生に診てもらおう」と病院のドアを開けようとしたとき、ドアに書かれている文字にふと目がとまりました。

「誠に勝手ながら、本日は3時より休心とさせていただきます」。
「・・・?休心? いやいや、そこは休診でしょうー」と、ついお腹が痛いのも忘れて突っ込んでしまった、あなた。
なんだか、別の病院を探したい気持ちになりませんか?

企業のWEBサイトも同じこと。いくら美しいデザインと立派なキャッチコピーで飾られていても、漢字の表記一つが間違っているだけでも、信頼性を疑われかねないものです。日常的な情報発信が当たり前となり、ソフトの扱いが簡単になるほど起こりやすい、更新ミス。WEBサイト更新作業を長年続けてきたからこそ分かる、起こりやすいミスの傾向とそのチェックポイントをご紹介します。

数字は「間違ったら死ぬ」つもりでチェックしよう

数字は「間違ったら死ぬ」つもりでチェックしよう

漢字の表記も深刻な問題ではあるものの、100歩譲って間違っていたとしても、その責任であなたの命まで奪われることはありません。でも、企業の存続を揺るがしかねないミスのホームランバッターは、なんといっても「価格」でしょう。一桁間違っていようものなら、大変な騒ぎになるはず。

価格だけでなく、品番、用量、サイズなど、数字の情報は責任の重い内容が多いもの。あまり考え過ぎてしまうと、更新作業がとても気が重くなるかもしれないですが、でも実際それほど重要な仕事をしていることを私たちは自覚しなければいけません。
数字の情報を取り扱う場合は、慎重に慎重に、念には念を入れてチェックすることを心がけましょう。

意外に多い、「段落の最初の一文字」間違い

定型フォーマットのページに多い、ミスの代表格がこれ。段落などの文章のかたまりに、最初の一文字だけ関係ない文字が入っているミス、心当たりありませんか?
なぜ、こういうことが起きるか、HTMLを触ったことのある方ならすぐにピンとくるでしょうが、HTMLの定型フォーマットを使って既存のタグを流用しながら、中の文章だけを書きかえる際に、流用元の文章をちゃんと消していないと、こういう恥ずかしい状態になってしまうのです。

一文字だけとはいえ、文章の最初の文字が意味不明だと、玄関を出ていきなり石につまずくようなもの。なんだか気分が悪い。そんなことにならないように、更新作業後にしっかり見直しをしましょう。

スマホが普及すればするほど、リンクはずれの責任は重い

スマホが普及すればするほど、リンクはずれの責任は重い

リンクはずれは、どこのサイトにもあり得るミスながら、これは本当に痛いミスのひとつ。なぜなら、せっかく閲覧者が興味をもってクリックしてくれたにも関わらず、そこへ誘導できなかったのですから。

WEBサイトの訪問者が何ページ見てくれたか(平均ページ閲覧数)は、サイト運営者が思っているほど多くありません。業種やターゲットにもよりますが、せいぜい3~4P見てもらえたらよいところ。加えて、スマホの普及率が上がるにつれて、PCよりもクリック数はかなり減っているのが現実。リンクはずれはビジネスチャンスを一つ逃すくらいの問題なのです。

メタタグ、本当にちゃんと入っているか?

ブラウザ上では見えないことと、非常に地味な作業であるため、これも忘れられやすいミスの代表選手です。しかし、ページのタイトル情報やページ概要説明などのメタタグは、SEOの観点からいえば、イメージ写真よりキャッチコピーより、何よりも大切な情報です。
余談になりますが、青春時代を雨の多い鳥取県で過ごした当社代表の口癖は「弁当忘れても、傘忘れるな」。常にカバンの中には傘がしのばせてありますが、「キャッチ忘れても、メタタグ忘れるな」。机に貼っておくくらいの気持ちで臨みたいものです。

最後に、社長になったつもりでチェックしよう

社長になったつもりでチェックしよう

チェックポイントは言い出せば切りがないですが、自分のチェック能力をもっと向上させたいなら、目線を変えてみることです。WEBサイトの運営担当者という立場でなく、ぐっと目線を上げて企業トップとして、自分のビジネスが上手く回っていくためのツールとして眺めてみるのです。

社長にとって、新商品が戦略どおりに売れるかどうか、発信したニュースがターゲットの心に響くかどうか・・・は、それこそ自分の人生どころか、社員や社員の家族みんなの生活がかかった大切な問題なのです。そんな視点で捉えてみると、ニュースの更新作業一つであっても、キリッとした気持ちで臨むことができるのではないでしょうか。

ダブルチェックでWEBサイトの更新ミスを激減させる方法

インタビューのコツ。相手の引き出しを開く方法

インタビューのコツ。相手の引き出しを開く方法

それは、インタビューや仕事に限ったことではない。どなたでも「今日は思わぬいい話が聞けたな」とか「私たちめずらしく熱く語っちゃったよね」という経験があるはず。そんな時、会話した人たちの頭の引き出しは惜しみなく開かれている。Aさんの発した言葉に触発されて、Bさんが共感して自分の考えを話し出す。それを聞いたAさんはさらに楽しくなって語り出す。話が乗ってくると、もっと楽しくなる。

人の脳は、車のエンジンのように回転数が上がるとぐぐーっと加速がつく。そんなとき、思わぬ収穫が得られたりするのだ。

インタビューのコツ1:最初のツカミで、心の距離を縮める

最初のツカミで、心の距離を縮める

アメリカ人はプレゼンが上手い。特に大統領のスピーチは秀逸である。自分の家族など身近な話題から入って聴衆の心をぐっと掴み、その共感をもって課題点の共有や将来像について語り上げていく。
そのプロセスのなかでポイントとなるのが、いわゆる「ツカミ」のトーク。初めて会う人、自分にあまり好感をもっていない人さえも耳を傾けさせるには、最初の段階でのコミュニケーションが何より大切だ。

では、どのような「ツカミ」を用意するべきか。キーワードは共感だ。話の内容は、近所の犬の話でもTVの話題でも何でもよいが、相手の心のなかに「なるほど」という4文字を置くことが大切。とはいえプレゼンではないので、自分だけが語るのではなく、あくまでも会話のなかで。
インタビューされる人にとっても、あなたが何者なのかさっぱり分からない状態で本題に入るよりも、一呼吸おいて「この人はそこそこ信用できそうだ」と安心させてあげるのがインタビューのコツ、というよりマナーともいえる。

誰かの家を訪問して、玄関先で立ち話して帰るのか、縁側で腰掛けて話すのか(最近、縁側はないけれど)、靴をぬいでリビングでがっつり話すのか。それによって会話の濃さが異なるように、最初のツカミで相手の靴をぬがすことができれば、あとのインタビューはとてもラクになるはずだ。

インタビューのコツ2:最初の質問でYES、次の質問でNOと言わせる

最初の質問でYES、次の質問でNOと言わせる

場が和んだところで質問を始めるときのコツは、最初の共感(YES)、次の否定(NO)。最初の共感はわかるけど、なぜNO?それは「ちがうちがう。それはね、本当はこういうことなんです」と言わせるためのNOという意味。
最初のツカミで「こいつは信頼できそうだ」と距離を縮めて、さらに次のYESで「お主、なかなか分かってるね」と共感を積み重ねた後に、「いや、まだまだ。仕方ないから教えてやろう」という流れのことである。

実際に、筆者がこれを実践しているのかと聞かれると、実はそんな作戦を練るほどの余裕はない。はっきり言って、インタビューすることでいっぱいいっぱいである。けれども、そういった流れはどこかで意識しておくべき。言い換えると、質問をとおして相手との共感を高めつつ、相手から学ぶという姿勢をアピールするということ。プレゼンなら自分の知識や可能性を披露する必要があるが、インタビューでは必要ない。自分から何か話題を提供するとしても、それはあくまでも相手の話を引き出すための道具として捉えておこう。無理にYES、NOを言わせる必要もないが、そういった流れを意識することで話の本質にたどり着きやすくなる。

インタビューのコツ3:会話しながら、お互いに脳の回転数をあげていく

会話しながら、お互いに脳の回転数をあげていく

そうやって会話が進んでいくうちに、何かしら会話のテーマが形づくられてくる。それについては、事前の準備が必要であることは以前にご紹介した。

質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法

そのテーマに添って、会話が濃く熱くなっていくためには、お互いの頭のなかにある引き出しが次々と開かれていくことが大切だ。人はボーッとしているとき、大体は引き出しは閉まっている。頭の回転が早い人なら、無数にある引き出しを絶妙なタイミングでさっと見つけて開き、必要な情報を取りだせる人。私たち凡人は、せいぜい後になってから「あのときに、これも言っておけば良かった!」と悔しがる程度だ。
しかし、ちょっとしたキッカケを与えることで、意外に相手の引き出しをスムーズに開けることもできる。そのコツはいくつかある。

カウンターで隣に座って話す感じで

カウンターで隣に座って話す感じで

実際に隣に座るというわけではない。誰かとカフェのカウンターに座って話していると、ちょっと落ち着く感じ。インタビュアーはそういった雰囲気をつくり出すことが大切である。
隣に座っていると、相手の視線をダイレクトに受けとめなくてよい、同じ風景を見ながら同じ視点で語れる、相手の息づかいに配慮しながら言葉を繰り出せる。そんな心持ちで会話することができれば、相手はとても心地よいものだ。

インタビュー当初からそんないい雰囲気をつくり出すことは至難の技であるが、会話の中盤、何かのタイミングでふっと相手との心の距離がぐっと近づいたと感じる瞬間があれば、きっと相手もそう思っている。それは、カウンター席に移動したタイミングでもある。

そのためには呼び水を提供する

そのためには呼び水を提供する

そんなゴールデンタイミングを招くためには、どうすればいいのか。相手の話を一方的に聞いているだけでは訪れない。そのためには、相手の心をノックするような会話をしたい。相手の言葉を引き出すための呼び水となるネタを提供するのだ。
「あなたが気に入りそうなネタ、私の引き出しに入ってたけど、これどう?」と差し出すことで、相手も「あー、それね。では、もっとおもしろいネタを提供しよう」と会話のレベルがぐっと深い段階へと進んでいく。
この呼び水は、内容によっては相手の期待を外していてもOK。大きな方向性さえ外れていなければ、逆に「それは、ちょっと違うな。でも、おもしろいからつき合ってあげよう」と相手が「次のNO」のように反応してくれることもある。

一番避けたいのは、何も提供しないこと。脳はお互いに刺激しあってこそ、活発化される。引き出しも相手にばかり要求せず、こちらから先に開けて提供することが重要だ。

相手の言葉を遮らないこと

相手の言葉を遮らないこと

話題を提供して会話が乗ってきたら、しばらくは聞き役に徹して、相手の言葉をどんどん引き出していこう。基本的に、私たちは相手が感心したり喜んだりしている様子をみると、もっと相手を喜ばせたい、もっといい話を提供して自分の評価を高めたい、という気持ちが強くなっていく。

脳のエンジンがかかりだしたら、回転が止まらないように心地よいテンポをキープしていれば、有意義なインタビューになるはずだ。

インタビューのコツ4:日頃から感度を養っておこう

日頃から感度を養っておこう

とはいえ、相手とは経験も知識の量も分野も違う。「ネジ業界を極めた社長に、提供できるネタなんて持ってないよ」とあなたは思うかもしれない。しかし、本当にそうだろうか。分野や規模は大きく異なっていても、すべての物事には共通の真実というものがある。

たとえば、ある有名洋菓子店の社長と多くの学生から慕われる大学教授。どちらも当社の大切なクライアントだが、お二人が語ってくださるポリシーには非常に共通点が多いことに驚かされる。「目標を失いかけたら目の前の山を登れ」「同じ作業でもトコトン追求すれば極めることができる」・・・。業界や生きてきた経緯はまったく違っていても、高いレベルに達している人たちには、共通する姿勢・信念があるのだろう。

難しい話題でなくても、相手が話を進めやすくするためには、あなたは自分が持っている引き出しを総動員して、相手の脳を盛り上げる芸者になるべきなのだ。そのためには、自分の引き出しを蓄えておくことはもちろん、引き出しを開けられる瞬発力(=心の感度)を鍛えていくことがとても大切になる。