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B2B企業のブランディング

BtoBブランディングとは?中堅企業が価格競争から抜け出す進め方と事例

BtoB企業のブランディング

「品質にも技術にも自信はある。なのに、価格でしか比較されない」「競合と何が違うのか、聞かれてもうまく答えられない」。BtoB企業の経営者や営業責任者から、こうした声をよく聞きます。

実は、その証拠は身近なところにあります。今すでに取引してくれている顧客がいるなら、そこには必ず「選ばれている理由」があるはずです。実際に商談で詳しく話をすると、相手から「そりゃ、すごいですね」「今日は聞けてよかった」と言われることも多いのではないでしょうか。

これは、自社の強みが本当は伝わる力を持っているのに、まだ言葉になっていない証拠です。商談の場でしか語られない強みは、WEBサイトや資料を見ただけの見込み客には、永遠に届きません。

原因は製品力でも技術力でもありません。「なぜ自社を選ぶべきか」が、言葉として整理されていないことにあります。本記事では、BtoBブランディングとは何か、なぜ中堅企業にこそ必要なのか、そして価格競争から抜け出すための進め方を、実際の支援事例とともに解説します。

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。


本記事で分かること

・BtoBブランディングとは何か、BtoCとの違い
・中堅企業にこそBtoBブランディングが必要な理由
・価格競争から抜け出すための進め方(3ステップ)
・実際にブランディングで差別化に成功した企業の事例
・BtoBブランディングを進める上でよくある疑問


 

BtoBブランディングとは?BtoCとの違い

BtoBブランディングとは、取引先企業や決裁者に対して「なぜ競合ではなく自社を選ぶべきか」を明確にし、伝えていく活動です。

たとえば、コンビニでお菓子を選ぶとき。パッケージのデザインや「なんとなく美味しそう」という直感だけで、手に取ってしまうことは珍しくありません。感情が動けば、それだけで購入に至ることもある。

BtoCブランディングがやっていることは、突き詰めれば「印象操作」です。見た目を整え、良いイメージを与え、記憶に残す。それ自体は悪いことではなく、多くの人に一瞬で「良さそう」と思ってもらうための、正当な技術です。

一方、BtoBはまったく事情が違います。フレイバーズがBtoB企業を支援する際は、次の4つを一貫して設計することを軸にしています。どれか一つが欠けても、BtoBブランディングは機能しません。

①既存客に「何がウケているか」を紐解く

まず向き合うべきは、「今すでに選んでくれている既存客に、何がウケているのか」を紐解く作業です。実績なのか、技術力なのか、対応のスピードなのか、それとも困ったときにすぐ動いてくれる対応力なのか——理由は一社ごとに違います。感覚的に「うちは信頼されている」で終わらせず、その理由を言葉として解剖する必要があります。

②未知の客に伝わる言葉へ翻訳する

解剖した理由を、まだ自社を知らない未知の客にも理解できるように、噛み砕いて翻訳する。ここがBtoBブランディングの本質的な難しさです。既存客には当たり前すぎて言語化されていない強みほど、初めて出会う相手には伝わりません。

③社内の決裁者まで動かす

BtoBには、BtoCにはない壁があります。担当者個人が「いいな」と思っても、それだけでは契約に至らないということです。稟議を通し、上司や役員を社内で説得する必要がある。目の前の担当者だけでなく、担当者の後ろにいる決裁者まで動かす言葉が要ります。

④次のアクションへつなげる(WEBだけで完結しない)

BtoBの商談はWEBサイトだけで完結しません。サイトを見て終わりではなく、「もっと詳しく聞いてみたい」「一度話してみよう」と、次のアクション(問い合わせ・資料請求・商談)へつなげる仕掛けが必要です。

問い合わせが来てからは、営業担当者の仕事です。ただし、WEBの役目はそこで終わりではありません。商談に進んだときに話がスムーズに運ぶよう、必要な情報や期待値をあらかじめ伝えておく——ここまで設計しておくことが、BtoBブランディングサイトには求められます。ここが弱いと、どれだけ良い内容を書いても、ただ読まれるだけの記事で終わってしまいます。

BtoCブランディングが不特定多数の感情に訴えかける「印象の技術」だとすれば、BtoBブランディングは、既存客に選ばれている理由を解き明かし、未知の客にも伝わる言葉に翻訳し、社内の決裁者まで動かし、次のアクションへつなげる——一連の「翻訳と接続の設計」です。

つまりBtoBブランディングの本質は、デザインやロゴを整えることではなく、『自社が積み重ねてきた強みや姿勢を、相手が上司に説明できる「根拠のある言葉」として言語化すること』にあります。

BtoBサイト制作サービス


 

なぜ中堅企業にこそBtoBブランディングが必要か

BtoBブランディングは、大企業だけのものではありません。むしろ、次のような課題を抱える中堅企業にこそ効果があります。

– 技術力・品質には自信があるが、それが「選ばれる理由」として伝わっていない
– 同業他社と提案内容が似通ってしまい、価格でしか差がつかない
– 長年の取引実績があるのに、新規の商談ではその信頼が伝わらない
– 営業担当者の力量によって、伝えられる内容にばらつきがある

実際、ある地域の経営者団体が実施した最新の景況調査でも、利益が増加した企業が要因として最も多く挙げたのは「売上数量・客数の増加」(77.1%)でした。反対に、利益が減少した企業の30.4%は「営業力の弱体化」を要因に挙げています。多くの中堅企業にとって本当に必要なのは、価格競争からの一時的な回避ではなく、『継続的に新しい顧客候補を見つけ続ける力』です。

大企業のように広告予算をかけて認知を広げることは難しくても、中堅企業には「長年の取引で培った信頼」「特定分野への深い専門性」「経営者の想い」といった、大企業にはない資産があります。BtoBブランディングは、この資産を言語化し、営業やWEBサイトを通じて一貫して伝える仕組みをつくる取り組みです。

もっとも、フレイバーズ自身がすべての業界に精通しているわけではありません。だからこそ、業界特有の商習慣や事情を丁寧にヒアリングしながら、その企業に合ったブランディングを設計することを大切にしています。WEBサイトでの情報の見せ方だけでなく、そこから始まる商談やクロージングまでを見据えた一貫した設計まで含めてご相談いただけます。


 

BtoBブランディングの進め方|3つのステップ

STEP1:自社の強みと顧客の課題を言語化する

最初にやるべきは、デザインでも発信でもなく、「なぜ選ばれてきたか」を棚卸しすることです。長年の取引先に選ばれ続けている理由、他社にはない対応力、経営者や現場が大切にしている価値観。これらを社内の対話を通じて言葉にしていきます(製造業のブランディングにも、この棚卸しの具体的な進め方を紹介しています)。

言語化した言葉は、ただ並べるだけでは引き合いにつながりません。課題を抱えて情報を探している担当者が、「これ、うちのことだ」「分かってくれるかもしれない」「実績もあるから、きっと解決してくれる」と、順番に感じられるように組み立てて初めて、意味を持ちます。

STEP2:ブランドの一貫性を設計する

言語化した強みを、営業トーク・提案資料・WEBサイト・採用情報など、あらゆる接点で一貫して伝わる形に設計します。営業担当者ごとに説明がバラバラでは、決裁者に「本当に信頼できる会社か」を判断してもらえません。

STEP3:言語化した強みを、WEBサイトで育て続ける

設計したブランドメッセージを、検索や紹介で訪れる見込み顧客に届け続けるのがWEBサイトの役割です。一度作って終わりではなく、事例・実績・専門性を継続的にコンテンツとして追加し、育てていくことで、WEBサイトは営業担当が不在の時間帯にも信頼を積み上げ続けます。


 

「みんな同じに見える」業界で、選ばれ続けた7年|株式会社フィーモ様の事例

BtoBブランディングが実際にどう機能するか、フレイバーズが継続支援している株式会社フィーモ様の事例をご紹介します。

フィーモ様は、ファミリービジネス支援における日本の第一人者として2012年に創業したコンサルティングファームです。事業承継や家族間の課題に対応できると謳う会社は多くありますが、実際は部分的な支援にとどまるケースがほとんど。「本当の意味で家族に寄り添い、伴走できる会社」であることをどう伝えるかが、大きな課題でした。

フレイバーズは2019年、フィーモ様のWEBサイトを新規立ち上げ。「答えを押し付けず、一緒に悩みながら答えへリードする」という同社ならではの支援スタイルを、サイト全体のトーン&マナーに反映し、コンテンツプラン・情報設計・ディレクション・コピーライティング・デザイン・実装まで一気通貫で手がけました。

以来、クライアントと相談しながらこれまでに2回ほど改修を実施しています。直近の改修では、同社の実績を踏まえながら強みを強調したことで、「興味を持ってくれた方に、より具体的な提案が早い段階でできるようになった」とのコメントをいただいています。立ち上げから7年以上、WEBサイトは同社の信頼性を証明するメディアとして機能し続けています。

お客様からは「専門的な知見をもとに、見る側の目線を意識したサイトの見せ方をアドバイスしてもらえた」「伝えたいことをどう見せるか、何度ものやり取りのなかでいつも真摯に対応してもらえた」との評価をいただいています。

言語化から始め、継続的に育てていく。これがBtoBブランディングの実際の姿です(フィーモ様の制作ストーリー)。


 

「2週間」という強みが、新規開拓の武器になった|株式会社特殊発條興業様

独自技術で自動車部品を製造する株式会社特殊発條興業様も、フレイバーズが支援した企業のひとつです。自動車業界では、開発期間の短縮が各社共通の大きな課題になっています。同社にヒアリングを重ねる中で見えてきたのは、評価サンプルを他社より格段に速い「2週間」で納品できるという強みでした。

社内では当たり前になっている対応スピードでも、これから取引を検討する新規の担当者にとっては、他社と比較したときに一目でわかる決定的な差になります。フレイバーズはこの強みを聞き出し、担当者の目に留まる場所へCTAとして明確に設置しました。

「言語化して、担当者の目につく形で伝える」。この一連の作業が、新規開拓の入り口をつくった一例です(特殊発條興業様の制作ストーリー)。


 

よくあるご質問

Q1. BtoBブランディングは、WEBサイトのデザインを変えることですか?

いいえ。デザインはブランディングの結果として生まれるものです。まず自社の強みや価値観を言語化し、それが定まって初めて、それを体現する形としてデザインが決まります。デザインを先に変えても、伝えたいことが整理されていなければ「見た目だけが変わった会社」で終わってしまいます。

Q2. BtoBブランディングの効果はいつ頃から出てきますか?

社内での言語化と浸透には数ヵ月単位の時間がかかりますが、WEBサイトやコンテンツを通じた発信の効果は、早ければ半年〜1年ほどでSearch Console等の数値に表れ始めます。フィーモ様の事例のように、継続的にコンテンツを育てることで、効果は年単位で積み上がっていきます。

Q3. 中堅企業でもBtoBブランディングは必要ですか?

むしろ中堅企業にこそ必要です。大企業のような広告予算がなくても、長年の取引実績や特定分野への専門性、経営者の想いといった、大企業にはない資産があります。BtoBブランディングは、その資産を言語化し、一貫して伝える仕組みをつくる取り組みです。


 

まとめ:BtoBブランディングは「選ばれる理由」を言語化することから始まる

価格競争から抜け出すために必要なのは、値下げでも新しい設備投資でもなく、「なぜ自社が選ばれてきたか」を言葉にすることです。そこから始めれば、営業もWEBサイトも、一貫した「選ばれる理由」を伝え続けられるようになります。

BtoBブランディング・WEBサイト制作についてのご相談は、フレイバーズのBtoBサイト制作サービスをご覧ください。

 

 

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ブランディングの課題8選と突破口|中小企業が限られたリソースで進める優先順位

「いいものを作れれば売れるんだ」―そう信じて、ずっと努力してきた。
それが中小企業の多くに共通する、ものづくりに対する考え方の基本ではないでしょうか。

でも、現実はどうでしょう。
いいものを作っても、簡単に引き合いが来るわけではない。
しかし市場を見ると、品質がそこそこのものでも注目され、売れている。
「あれよりうちのほうが断然いいはずなのに」そう思っても、現実が動くはずもなく。
どこか納得できない。けれど、理由がはっきりわからない。

なぜ選ばれないのか。どうすれば、選ばれる存在になれるのか。
その問いに向き合ったときに浮かび上がるのが、「ブランディング」というキーワードです。

ただし、ここでいうブランディングは、ロゴやパッケージをおしゃれにすることではありません。
中小企業に必要なのは、「この会社に頼みたい」「あの人だから信頼できる」と指名される状態をつくること。
つまり、信頼される「理由」を見える形にし、伝わるように整えるのが本質です。

とはいえ、多くの中小企業がブランディングに踏み出せずにいます。
「人も時間も足りない」「何から手をつけていいかわからない」そんな課題にどう向き合えばいいのでしょう?

この記事では、中小企業が直面する8つのブランディング課題と、限られたリソースでも進められる優先順位のつけ方を紹介します。
小さな一歩が、あなたの会社が指名される未来への第一歩になっていくはずです。

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。


本記事で分かること

中小企業が生き残るには、「この会社に頼みたい」と指名される存在になることが重要です。本記事では、ブランディングの本質を信頼づくりと捉え、実行を妨げる8つの課題とその突破口を紹介します。限られたリソースの中でも優先すべき進め方、実際の成功事例を通じて、明日から動けるヒントが得られます。

なぜ中小企業にブランディングは必要なのか?

「品質には自信があるが、顧客が広がらない」「価格を叩かれ、疲弊している」
こうした悩みは、もはや業種や地域に関係なく、中小企業に共通したものです。

かつては、地域性や人脈、紹介などが大きな営業資産でした。
今はネットやSNSを使い、買い手が違う選択肢にすぐ手を伸ばせる時代に。

市場はすでに「いい商品を作れば売れる」から、「いい会社に見えなければ選ばれない」へと変化しており、戦い方も変えなければいけなくなっているのです。

 

価格ではなく「会社」で選ばれる時代

モノの機能や価格だけでの差別化がどんどん難しくなっています。
たとえばA社もB社も同じ品質の部品を作っているとしたら、選ばれる理由は何になるでしょう?

最終的に顧客が判断するのは、
「この会社なら安心できる」「この人なら話が通じる」「ここに頼んでおけば間違いない」
といった、信頼ができるかどうか。

この「信頼」を見える化し、伝えるための仕組みこそが、ブランディングです。

 

ブランディングは「広告」ではなく「信頼づくり」

よくある誤解に、「ブランディング=かっこいいロゴや洗練されたパンフレット」というイメージがあります。
確かにそれらもツールの一つですが、本質はそこではありません。

中小企業にとってのブランディングとは、

  • 「なぜ自社が選ばれているのか」を明確にする
  • 顧客・社員・取引先に一貫して伝える
  • その結果、「あの会社に頼みたい」と指名される状態をつくる

という、信頼される仕組みづくりです。

 

「小さい会社」だからこそできるブランディングがある

大企業のように大規模な広告を打てなくても、中小企業には顔の見える関係性や意思決定の速さといった武器があります。
だからこそ、背伸びをする必要はありません。重要なのは、自社が既存の顧客から選ばれている「らしさ」を理解し、それを顧客との接点に一貫して正しく表現することです。

その積み重ねが「信頼される会社」、「覚えてもらえる会社」への第一歩になるのです。

第1節 ブランドの構築・維持に向けた取組(中小企業庁「中小企業白書2022年版」)

中小企業が直面するブランディングの8つの課題

「ブランディングが大切なのはわかる。でも、現実にはなかなか進められない」
そう感じている中小企業はとても多い。
実際、ブランディングがうまく進められない企業には、いくつかの共通した課題があります。

ここでは、そのなかでも特に多くの現場で見られる8つの典型的な課題を紹介します。

 

人・時間・予算、すべてが足りない

多くの中小企業では、日々の業務に追われてブランディングにかけられるリソースが限られています。
「やらなきゃとは思っているけど、後回しになる」
そんな状況が続けば、当然ながら他社との差は広がっていくばかりです。

 

担当者がいない、兼務で進まない

社内に専任の担当者がいない、もしくはマーケティングと兼務になっていて手が回らない。これもよくあるケースです。
施策の検討、実行、効果測定などを1人で抱えてしまい、結局なにも進まないという悪循環に陥ってしまうのです。

 

ブランドが経営者の頭の中にしかない

「うちの良さはちゃんと伝わってるはず」と思っていても、それが社内で言語化・共有されていない企業がほとんど。結果として、社員によってお客様への説明がバラバラになったり、営業トークが噛み合わなかったりすることに。

 

差別化の軸が曖昧

「品質に自信があります」「真面目にやってます」
こうしたアピールは、実は多くの会社が同じことを言っています。本当の意味での差別化は、「お客様が自社をどう見ているか」に目を向けないと見えてきません。

 

顧客の声を吸い上げられていない

自社の強みは、実はお客様の中にあります。
「どうしてうちを選んだのか?」「他に検討していた会社との違いは?」
こうした声を聞かずに進めるブランディングは、空回りしやすくなります。

 

「ロゴを変える」だけで終わってしまう

ブランディングを始めようとして、まずロゴを刷新した。ここで止まってしまうケースも。
デザインは重要ですが、それだけではブランドにはなりません。考え方、行動、伝え方のすべてに一貫性があってこそ、ブランドとして成立します。

 

情報発信に一貫性がない

会社案内、営業トーク、SNS投稿、Webサイト・・・
それぞれの言葉やトーンに一貫性がなければ、会社の印象はバラバラになります。せっかく良いことを発信しても、伝わり方にブレがあると信頼につながりにくくなります。

 

成果がすぐに見えず、続けにくい

「ブランディングをやってみたけど、効果が見えない」
そんな声があることも事実。
短期的な反応が得られにくいぶん、優先順位が下がりがちですが、長期的な信頼や選ばれ方に確実に効いてくるのがブランディングの本質です。

 

ここまで紹介した8つの課題は、どれも中小企業の現場で実際に起きているものです。
厳しいことを言うようですが、結局のところできていないのは、経営者に覚悟がないだけ。

ブランディングは、一夜で結果が出るものではありません。だからこそ、「やる」と決めて動き出す覚悟が必要です。この覚悟があるかどうかで、次の一手の重みが変わります。

さらに、経営者がブランディングに本気で向き合っている姿勢が見えれば、社内の見方も変わってきます。周囲の真剣度も、そこからようやく動き始めるのです。
次のセクションから、限られたリソースでも実践できる進め方のキモをお伝えしましょう。

限られたリソースでも実行できる、ブランディングの優先順位

では、覚悟を決めたその先で、何から手をつけるべきか。
全部を一度にやる必要はありません。ブランディングは、順番を間違えなければ必ず形になります。

ここでは、実際に多くの企業が成果を出している、限られたリソースでも始められる優先順位で対応するブランディング施策を紹介します。

ここでは、今すぐ着手できて、効果につながりやすい3つの優先施策を紹介します。

 

優先1:既存顧客の声を集める

ブランディングのスタート地点は、自分たちの強みを知ること。
そのための一番確実な方法が、「なぜうちを選んだのか?」を顧客に直接聞くことです。

  • 他社と迷った点は?
  • 決め手は何だったか?
  • 使ってみて感じた価値は?
  • 当社と継続して取引している理由は?

これらの答えのなかに、自社が伝えるべき「選ばれる理由」が詰まっています。社内で考えるより、お客様の視点こそがリアルなブランドの核になります。

 

優先2:「らしさ」を言語化する

①顧客へのヒアリング(自社の良いところの認識):社内に「うちもいい会社じゃん!」という認識が生まれる→②優位点を言語化→③コンタクトポイントでのメッセージ反映→ブランド=社風の図式が強固になり新たな優位点がさらに生まれていくことに→①へ戻る集めた声をもとに、「自社らしさ」や「選ばれる理由」を言語化します。難しく考える必要はありません。キーワードや短いフレーズでもかまいません。
例:

  • 堅実なのに、フットワークは軽い。レスポンスが早い
  • 技術力よりも「相談しやすさ」で選ばれている
  • 自分ごとのように、一緒に悩んでくれる
  • 地域の困りごとを、断らずに引き受けてきた

こうした言葉をまとめ、会社として何を大事にしているかを社内外に共有することで、ブランドの芯ができます。タグライン、会社紹介文、営業トークなどに落とし込むことで、ブレない軸になります。

 

優先3:伝える手段に一貫性を持たせる

最後に、その「らしさ」を伝える手段(WEBサイト、営業資料、SNSなど)に統一感を持たせるステップです。顧客とのコンタクトポイント(接点)での統一感ですので、営業職の姿勢やオフィスの雰囲気も含まれます。

  • トーンや言葉づかいを揃える
  • デザインや写真に統一感を出す
  • お客様が接するすべての場所に「らしさ」をにじませる

これをやるだけで、「この会社、ちゃんとしてるな」「なんか印象に残るな」という効果が自然に生まれます。一貫性は、安心感につながります。
たとえば、上記の「フットワークが軽い」「相談しやすさ」に一貫性を持たせるには、電話をかけたときの聞く姿勢に包容力が感じられたり、営業資料がていねいに説明されていたり。営業ツールも理解しづらい部分がアップデートされて、わかりやすくなっていく、ということも「選ばれている理由」を具現化することにつながります。

このアクションが社内に定着していけば、社風がブランドそのものになり、よりいっそう選ばれている理由は強固なものになっていきます。

 

少ないリソースでも、まずは「なぜ選ばれているか」を知り、それを伝える準備をするだけで、十分に強いブランドの土台に。

次は、実際にこうしたアプローチで変化を生んだ企業の例を紹介します。

事例:商品力だけでなく「想い」で選ばれるようになった町工場

ここでは、仮想の中小企業を例にして、「選ばれる理由を言語化し、伝え方を整える」ことで成果が出たブランディングの進め方を紹介します。

 

ある町工場の転機

東大阪市で機械部品の加工を行っているB社。高度な加工技術には定評があり、納期対応や仕上がりにも自信がありました。しかし、取引先の引き合いは年々減り、価格競争に巻き込まれ、「結局、安いところに流れてしまう」という状況に悩んでいました。

 

「なぜ選ばれてきたのか?」を聞いてみた

転機となったのは、経営者が既存顧客にヒアリングを始めたこと。
「なぜうちを選んでくれているのか?」と率直に聞いてみると、返ってきたのは意外な声です。

  「図面がなくても相談に乗ってくれるのが助かる」
  「担当の佐藤さんが、技術用語をかみ砕いて説明してくれる」
  「うちは他の業者に断られた案件ばかりだけど、あなたのところは断らなかった」

これらの声をもとに、自社の強みを「断らない相談力」と定義。メッセージとして、「図面がなくても、話せばわかる加工屋です」と明文化しました。

 

発信と営業資料に一貫性を持たせた

その言葉をベースに、会社案内や営業資料、WEBサイト、SNSでの発信内容を刷新。担当者の対応も、営業全体で「相談される会社を目指す」という軸に揃えていきました。
すると、営業先での第一印象が明らかに変わり、「ホームページを見て問い合わせました」という引き合いが月に2〜3件ペースで来るように。紹介の連鎖も生まれ、価格よりも対応力を評価される商談が増えていきました。

 

技術だけでなく、「考え方」が伝わるようになった

B社の強みはもともとあった技術力ですが、それ以上に伝わったのは「困っている相手を見捨てない姿勢」。これが、顧客にとっての安心感となり、信頼となり、「指名される会社」につながっていったのです。

BtoB企業がブランディングで選ばれるための視点は、こちらの記事でも詳しく解説しています。

BtoB企業のためのブランディング入門

 

このように、ブランディングは新しい施策を考え出すことではありません。大切なのは、「なぜ選ばれているのか」を言語化し、それを一貫して伝えること。それだけでも、会社の印象と選ばれ方は確実に変わっていくのです。

ブランディングは、今いる顧客との関係を深めることから始まる

新規顧客を追いかけるのは、営業として当然の動きです。でも、ブランディングにおいて最も大きな力を発揮してくれるのは、今すでに自社を選んでくれている顧客。

彼らのなかにこそ、自社の価値があり、他社との違いがあり、次の顧客へのヒントがあります。

 

「紹介したくなる会社」になれているか?

紹介が生まれる会社と、生まれない会社には明確な差があります。それは単にサービスの質や価格ではなく、その会社を好きかどうか。その会社を説明するときにストーリーがあるかどうかです。

人は、ストーリーのあるものを人に話したくなりますね。会社の考え方や姿勢が明確で、それがスタッフや営業にも行き届いていれば、自然と「なんか、この会社いいよね」が伝播していきます。

 

選ばれる理由は、自分たちのなかにある

競合を見て「どう違うか」を考える前に、自社が「なぜ選ばれてきたのか」を見つめ直すことのほうが大切です。そこに気づき、言葉にして、社員と共有できれば、会社全体が同じ方向を向けるのです。

それが、「ブランド」として外ににじみ出ていきます。

 

これまでに積み上げてきた信頼がブランドの価値

特別なキャンペーンも、広告予算も、必ずしも必要ではありません。
「うちの良さってなんだろう?」と問い直し、
「それが伝わっているか?」を見直すだけで、十分にブランディングは始められます。

そしてそれは、どんな中小企業にもできることでもあるのです。

選ばれる会社には、明確な理由がある

これからブランディングをはじめる方にとって、ブランディングは難しそうな印象があるかもしれません。でも、本当の意味でのブランディングとは、自社の「らしさ」や「考え方」を明確にし、それを信頼できる形で伝えること。

ですから、それは大きな会社だけができることではないのです。むしろ、顔が見え、声が届く中小企業こそ、深くて強いブランドをつくることができるかもしれません。

選ばれる会社には、理由がある。
それは、価格でもデザインでもなく、「この会社と仕事がしたい」と思わせる、信頼と一貫性の積み重ねがもたらすものです。

今いる顧客の声を聞いてみてください。そこに、すでに選ばれている理由がきっとあります。まずはそれを知り、言葉にし、ほかの誰かにまっすぐに伝えていきましょう。

リソースがないのは、どこも同じ。違いが出るのは、「覚悟を決めて動くかどうか」。小さな会社が選ばれる会社になるには、理由をつくるしかありません。その一歩を、今ここから始めてください。

 

ブランディングに対する壁の高さは、少し低くなったでしょうか。

フレイバーズでは、中小企業のブランディング支援に特化したサービスを提供しています。私たちが大切にしているのは、経営者の想い、会社の社風を掘り起こし、伝わるかたちに整えること。かっこよさよりも、らしさと実効性を重視したブランディングを支援しています。

「ブランディングは、大きな投資や長期間が必要そう・・・」そう感じている方もおられるかもしれません。
でもご安心ください。私たちは、短期(約3ヵ月)で方向性を定め、標準で半年ほどで自走できる体制構築を支援しています。
あとは社内で無理なく続けられるよう、必要な仕組みやツールも整備します。

費用については、事業規模や支援範囲に応じて最適なプランをご提案しています。
まずはお気軽にご相談ください。貴社にとって「ちょうどいいブランディング」を一緒に考えましょう。

  • 顧客ヒアリングを通じた「選ばれる理由」の発掘
  • 言語化・ブランドメッセージの設計
  • 営業資料やWEB、SNSなど発信の一貫性づくり
  • 社内への浸透まで見据えた並走型の支援

「相談だけでもいいかな?」
そんな段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

 

 

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よくあるご質問(Q&A)

Q1. 中小企業がブランディングで直面する課題にはどんなものがありますか?

A.中小企業がブランディングを進められない課題は主に8つあります。①人・時間・予算が足りない、②専任担当者がいない・兼務で進まない、③ブランドの世界観が経営者の頭の中にしかない、④差別化の軸が曖昧、⑤顧客の声を吸い上げられていない、⑥ロゴを変えるだけで終わってしまう、⑦情報発信に一貫性がない、⑧成果がすぐに見えず続けにくい、の8点です。
まず取り組むべきは「⑤顧客の声を聞くこと」です。既存顧客に「なぜうちを選んだか」を直接聞くだけで、自社の強みと差別化の軸が見えてきます。特別な予算も担当者も不要で、今日から始められる一歩です。
ヒアリングでは、自社が気づいていなかった「意外な選ばれ理由」が出てくることも少なくありません。その声はそのまま営業トークや提案資料に転用できるため、ブランディングと営業戦略を同時に強化できるというメリットもあります。

 

Q2. ブランディングを始めるには、まず何から手をつければいいですか?

A.最初のステップは「既存顧客へのヒアリング」です。『なぜうちを選んだのか?』『決め手は何だったか?』を直接聞くことで、自社が選ばれている理由が明確になります。次に、その声をもとに自社の『らしさ』を言語化し、WEBサイト・営業資料・SNSなど顧客との接点に一貫して反映させていきます。
ヒアリングで集まった言葉の中に、社員を勇気づけるものが必ずあります。「あの対応が決め手だった」「この会社の姿勢が信頼できた」――そうした声を社内で共有すると、「自分たちはちゃんと評価されている」という実感が生まれ、ブランディングへの社内の推進力が一気に高まります。外向けの施策であると同時に、社員のモチベーションを底上げする社内効果も期待できます。

 

Q3. 専任担当者や予算がなくても、ブランディングは進められますか?

A.はい、進められます。①顧客の声を集める、②自社の強みを言語化する、③伝える手段に統一感を持たせる、この3つに絞って始めるだけでもブランドの土台が作れます。大きな投資や専任スタッフがいなくても、経営者の「やる」という覚悟から始まります。
ただし、動き出す前に大切なことがあります。担当者や社内に対して、「ブランディングは自社を伸ばしていくための、非常に大きな力になる」と、経営者自らが本気で伝えることです。これがあるかないかで、現場の温度感はまったく変わります。
そしてもう一つ。中途半端にやめないこと。ブランディングは短期で結果が出にくいぶん、成果が見え始める前に止まってしまうケースが多い。続けることで初めて信頼が積み上がり、指名される会社になっていきます。「やると決めたら、続ける」―それが最大のリソースです。

 

Q4. ロゴやデザインを変えれば、ブランディングは完了ですか?

A.いいえ、ロゴ変更はブランディングの一部にすぎません。考え方・行動・伝え方すべてに一貫性を持たせることが本質です。営業トーク・会社案内・社員の対応など、顧客との接点全体に『らしさ』をにじませることではじめて信頼されるブランドになります。
デザインはブランディングの「結果」として生まれるものです。自社の世界観や価値観、ストーリーが確立されてはじめて、それを体現する形としてロゴや配色・ビジュアルが決まっていきます。世界観が定まらないままデザインを先行させても、見た目だけが変わった看板倒れになりかねません。順番を間違えないことが、ブランディング成功の大前提です。

 

Q5. ブランディングの効果はいつ頃から出てきますか?

A.ブランド戦略の策定、すなわちブランドアイデンティティの確立までに約半年が目安です。短期的な反応は見えにくいですが、継続することで問い合わせの質・量の変化や、価格ではなく信頼で選ばれる商談の増加として効果が表れてきます。
社内への浸透となると、さらに時間がかかります。最低でも数年単位で取り組む覚悟が必要です。ただし、浸透を加速させる施策は存在します。遠回りに感じるかもしれませんが、社内が一枚岩になったとき、ブランドは本当の意味で強くなります。社内浸透の進め方については、ぜひご相談ください。

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中小企業向けブランディング手法|成功事例と実践ステップ

 

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。

1. なぜ今、中小企業にブランディングが必要なのか?

中小企業にこそ、今「ブランディング手法」が必要とされる理由は明確です。価格競争に巻き込まれ、広告では資本力のある大企業に勝てない――そんな中で選ばれるには、「なぜこの会社なのか」という理由をユーザーに示す必要があります。

製品やサービスだけで差がつきにくい時代。鍵になるのが「ブランド」です。中小企業は経営者の思いや理念を反映しやすく、意思決定も速いため、ブランドの核を定めれば一貫した発信が可能になります。

その価値観を社内に浸透させ、外部にもぶれないメッセージを発信できれば、価格競争から抜け出し、独自のブランド価値で選ばれる企業になれます。

2. よくある誤解:ブランディング=ロゴやデザインではない

よくある誤解のひとつが、「ブランディング=ロゴやデザイン」だという考えです。実際、「ブランディング手法に取り組みたい」と言いながら、まずロゴの刷新やWebサイトのリニューアルから始める経営者は少なくありません。

もちろん見た目は大事ですが、それだけでは本質に届きません。ブランディングの中核は、自社の「らしさ」を明確にし、それを社員と顧客の両方に一貫して伝えること。存在意義、価値観、顧客との関係性――それらを言語化し、日々の行動に落とし込んでこそ、ブランディング手法は機能します。

ロゴやデザインは、その「軸」を支えるツールにすぎません。土台が曖昧なまま見た目だけ整えても、顧客の心には響きません。

3. 中小企業が今すぐ取り入れるべき3つの実践的ブランディング手法

3-1. コアバリューの明文化と社内共有

ブランディング手法の第一歩は、「自社が何のために存在するのか」「どんな価値を大切にしているのか」を明確にすること、つまり“コアバリュー”の明文化です。これを曖昧にしたまま発信を始めても、他社と変わらない言葉が並ぶだけで、顧客の記憶には残りません。

重要なのは、経営者が納得できる言葉で定義すること。そして、それを社員全員に共有すること。社長だけが理解していても意味がありません。現場のスタッフ一人ひとりがその価値観を理解し、行動の軸として使えるようになってはじめて、顧客との接点に一貫性が生まれ、ブランドが育ちはじめます。

 

3-2. ブランディング手法の核心:ペルソナ設計とターゲットメッセージの明確化

「当社は幅広いお客様に対応できます」と言ってしまう企業ほど、結局は誰の心にも残りません。中小企業だからこそ、特定の顧客層に刺さる“ブランディング手法”が必要です。

そのための第一歩が、理想的な顧客像(=ペルソナ)の明確化です。年齢や職業だけでなく、「どんな悩みを持っているのか」「何を重視して選ぶのか」といった感情や価値観まで具体的に描きましょう。

そして、その人に向けて、どんな言葉で、どんなメッセージを伝えるかを決めることで、発信の軸がブレなくなります。

難しく考える必要はありません。今いるお客様の中から典型的な一人を象徴的に設定するだけでも十分です。

結果として、「これは自分のための商品・サービスだ」と感じる瞬間が増え、ブランドへの信頼が自然に積み重なっていきます。

 

3-3. 顧客体験を活かすブランディング手法:CXをブランド資産に変える

商品やサービスの品質だけでなく、問い合わせ対応や納品、アフターフォローといった“顧客体験(CX)”全体をブランディング手法に組み込むことが、いまや不可欠です。

たとえば、返答の速さ、スタッフの振る舞い、トラブル時の対応――こうした小さな接点こそが、ブランドの印象を決定づけます。一貫して「自社らしさ」を伝えられるかどうかで、顧客はリピートするか、他社に乗り換えるかを判断します。

このCXを社内で言語化し、マニュアル化して共有すれば、誰が対応してもブランド品質がブレなくなります。属人化を防ぎ、ブランディングの効果を持続・拡大するための重要な手法です。

4. 成功事例:地方の中小企業がブランディングで勝ち残ったケース

事例①:老舗の製造業が若者を惹きつけるブランドに変貌

創業70年の金属加工会社は、技術力はあるのに、価格競争に疲弊していた。社長が「職人の誇りと、モノづくりの美学」を軸にブランド再構築を決意。

製品にストーリー性を持たせ、SNSで発信。さらに若手社員を「語り部」としてメディアに登場させた結果、新卒採用が過去最多を記録し、地元紙で話題に。新規顧客も開拓できるようになり、価格ではなく「想い」で選ばれる企業へとシフトしはじめています。

 

事例②:地域密着型の工務店がリブランディングで単価アップ

低価格帯リフォームで顧客を集めていた工務店は、やはり利益が出ず経営は苦しい状態に。そこで「家族の人生に寄り添う家づくり」を掲げ、ペルソナを40代共働き夫婦に設定。

施工中のフォロー体制やアフターサポートの流れを再構築し、全社員が「家守り」という共通の意識を持つよう教育を強化。その結果、受注単価は1.8倍に。紹介顧客も増え、広告費を抑えられる結果に。

 

事例③:地場の印刷会社がBtoB特化のブランドで受注拡大

下請け中心の体質から脱却したいと考えていた中規模の印刷会社が、「中小企業の広報を支援する印刷会社」というブランドポジションを明確に打ち出しました。

販促提案やデザインディレクションも含めた「提案型営業」に切り替え、業種ごとの専用パッケージを整備。下請けからの脱却が進み、顧客単価は2.3倍に上昇。さらに、新たな次の一手を検討中。

経済産業省「ミラサポ」ブランディング事例

5. 今すぐ始めるためのステップとポイント

ステップ①:社内対話で「自社らしさ」を言語化する

ワークショップ形式で、社員から「この会社の好きなところ」「誇れる点」を集めてみましょう。経営者の視点と現場の声を重ねることで、リアルでブレないコアバリューが見えてきます。

 

ステップ②:コンタクトポイント(顧客との接点)ごとに「一貫性」があるか点検

営業・接客・WEB・SNS・アフターサポートなど、顧客とのあらゆる接点を洗い出し、「言っていることと、やっていることが一致しているか」を確認。ここにズレがあると、ブランドは育ちません。

 

ステップ③:必要に応じて外部の力を借りる

ブランディングは専門的な視点も必要です。言語化やデザイン、マーケティング戦略などは、プロの支援を受けることで、スピードも精度も上がります。一方で、経営者自身が軸を持ち続けることも最大のポイントです。

信頼の積み重ねが、すべてのブランディング手法の起点になる

選ぶ理由のあるブランドへの図ブランドとは「約束」です。そして、その約束を日々の顧客接点で守り抜くことこそが、ブランディングの核心です。

もう一つ忘れてはならないのが、すでに自社を選んでくれている顧客の存在。なぜ選ばれているのか、どんな点に共感されているのかを見直すことは、自社の「らしさ」――つまりブランドの核を掘り起こす手がかりになります。

普段あたり前にやっている行動や文化の中に、実は強力なブランディング手法のヒントが眠っています。それを言語化し、軸として定着・発信することが、信頼を積み上げ、他社と差別化されたブランドを築く最短ルートです。

まずは、今いる顧客に「自社の魅力は何か?」を聞くことから始めてみてください。

ブランディング
ブランディングに関するコラム

ブランディングの手法で、よくある質問(Q&A)

Q. ブランディングに取り組むと、売上はすぐに伸びますか?

A. 短期的な売上増よりも「選ばれる理由」を積み重ねていくなかで、価格競争に巻き込まれない受注や、リピート率の向上につながるのがブランディングの本質です。ブランディングは売れ続けるしくみをつくることと称されます。今まで培ってきた売上の土壌はすぐにできたものではないはず。長い目で考えてください。

Q. 社内の理解が薄い場合、どう進めればいいですか?

A. 小さな成功体験を共有することが効果的です。例えば「SNSで反応があった」「お客様から共感の声をもらった」といった具体例をもとに、社員の共感と行動を少しずつ引き出していきましょう。
経営者がブレないこと。その本気度を社内に常に共有すること。ことあるごとに言葉にして伝え続けることが徐々に社内からの賛同を得るための方法です。

Q. 競合が多い業界で差別化は本当に可能?

A. 可能です。「何を売るか」より「なぜ売るのか」「どう売るのか」でブランドは差別化できます。競合が価格で勝負しているなら、そこから外れた独自の土俵をつくるのがブランディングの強みです。

中小・中堅企業のブランディングとは?成功させる5つのメリットと実践方法

中小・中堅企業の経営者

コラムの冒頭ではありますが、中小・中堅企業こそブランディングの成果が出やすい ── このことを、経営者の方に強く伝えたいと思います。実は「中小企業 ブランディング」の成功は、大企業よりも早く、そして深く実感できるのです。

なぜかといえば、ブランディングは、ロゴや広告のような“外向き”ではなく、社員の意識や行動を変える「内向きの取り組み」が核。この「人を動かす力」が問われる活動こそ、中小・中堅企業の規模感に最も適しているのです。
具体的に言うと、ブランディングを進める過程で、ブランドアイデンティティやミッション、理念などを社内に浸透させようとするとき、社内を変えていかないとそれは成功しない。しかし、それをスムーズに進められないのは「人を動かす」ことが容易ではないからです。

中小・中堅企業なら、数人~百人ほどの「人を動かす」だけで済みますが、大企業となると千人~数万人規模で浸透させなければなりません。どれほどの労力、時間が必要でしょうか。さらに中小・中堅企業であれば、経営者の目の届く範囲に社員はいますが、大企業になると経営者が名前を知らない社員がほとんど。この環境下で、全社員に同じ方向を向かせるのは簡単ではないわけです。

中小・中堅企業の経営者であるあなたに、もうひとつ伝えたいことがあります。
御社にも、まだ気づいていない、言葉に落とし込めていないだけで、すでにしっかりした「ブランド」があります。それをフレームワークなどを使って、ていねいに内省し、社内の合意を得ていくプロセスがブランディング。このプロセスを経ることが、次に挙げるメリットを生むのです。

中小・中堅企業がブランディングを実施するメリット

1. 認知度の向上

ブランディングは、企業や製品の認知度を向上させるための手段でもあります。正しいブランディング戦略を持つことで、顧客は企業や製品を認識しやすくなり、購買意欲が高まります。とくに中小・中堅企業の場合、知名度を上げることは新規顧客を獲得するうえで非常に重要なポイントとなります。

星野リゾートの星野佳路社長が、まだまだ今のような規模でなかったとき、リピーターを徹底的に調査しました。なぜこの旅館に繰り返し来てくれるのか。そこには確固たる理由があるはずで、その理由が分かれば、まだ見ぬ同じ価値観を持つ顧客にも訴求すれば、新規客が増えるはずだと。
星野社長は、経営学の権威が主張する理論を徹底的に実践することで有名なので、おそらくブランディングの理論にどこかで触れられたのだと思います。その結果は、あなたもご存知のとおり。まだ中小・中堅企業だった星野リゾートが成長する源泉にもなったのです。


 

2. 競合他社との差別化

競争が激しい市場では、自社の製品やサービスを差別化することが生き残る条件です。ブランディングのプロセスで最初に行うフレームワークはクロス3C。顧客が求める購買条件のひとつを自社だけが持つ優位性で賄えるかを確認する作業(ブルー・オーシャンを見つける)です。他社も同様の優位性を持っているなら、それはレッドオーシャン。血の雨が降る海ですから、消耗戦になってしまいます。体力のない中小・中堅企業は、ここで戦ってはいけません。

ブランディングを通じて、企業は独自の優位性に基づく価値提案や個性を表現し、競合他社との差別化を図ることができるようになります。また、顧客にとっても、製品を選ぶ理由が明確になるのです。


 

3. 信頼とロイヤルティの構築

正しいブランディングは、顧客との信頼関係を築く基盤となり得ます。企業が一貫したメッセージや価値観を伝えることで、顧客は安心し、継続的な購買や応援をしてくれるようになります。もちろん、つまみ食いはするかもしれませんが、結局あなたの会社で得ていた満足感を消し去ることはできず、再度顧客として戻ってくるようになります。

ブランディングは、LTV(顧客生涯価値)を多く生み出してくれる顧客が多く現れる可能性を秘めています。言い換えれば、自社を長く継続させるための施策とも言えるのです。


 

4. 成長と展開の支援

あなたは融資を受ける際、金融機関の担当者に自社の強みを胸を張って語っているでしょうか。金融庁は、中小・中堅企業への融資について、現状だけを見るのではなく、将来性も含めて勘案するように通達を出しています。
ブランディングを行うことにより、自社の優位性、自社を端的に表現することができるようになり、金融機関の担当者の記憶にも残りやすくなるでしょう。

ブランディングは、企業の成長や発展をサポートする重要な施策。正しいブランディングを推進する企業は、新しい市場や顧客層に訴求しやすくなるのです。


 

5. 社員が考えはじめる社風をつくるきっかけに

フレイバーズがコンサルティングするブランディングは、プロジェクトチームを導きますが、決して答えを教えることはしません。すべてのプロセスでプロジェクトメンバーは、悩み、考え、ときに言い合いをしながら、自ら答えを導き出していきます。

中小・中堅企業にありがちなのは、トップの指示を実行するだけになってしまっている組織。経営者であれば、自走してくれる組織に変革しないと、社長が本来やるべき仕事がいつまでたってもできない事態に陥ってしまいます。ブランディングを実行することで得られる副産物として大きいのは、社員が自ら考え動く経験ができることと、視座を高く持てるようになること。
ブランディングは、通常の業務では果たせない社員教育にも寄与してくれるのです。

インターナルブランディングの進め方

中小・中堅企業が輝く存在であるために

日本の全労働人口の70%を占める中小・中堅企業。日本にとって、この大きな存在である中小・中堅企業が元気で輝いていないと、この国の将来は危ういものになってしまいます。
これまでみてきたように、ブランディングは中小・中堅企業にとって厳しい市場で成功するために欠かせない要素であり、十分に検討する価値がある施策です。経営者は、今だけを見るのではなく、20年後この会社をどうしたいかを考えるのがほんとうの仕事。今いる社員のために、ぜひブランディングの導入をご検討ください。

中小企業庁「中小企業白書」:第1節 ブランドの構築・維持に向けた取組

ブランドアイデンティティとは?策定の進め方と押さえておくべき注意点

プロジェクトチームがブランディングを進める

ブランドアイデンティティとは、ブランドの本質的な価値を分かりやすい言葉にまとめたもの。ブランドアイデンティティを明確にすることは、ブランドに関わるすべての人に共通認識をもたらします。その結果、ブランドを守り育てる人たちが同じゴールを目指せるようになり、ブランディングの成果も高くなります。

「それなら、作らない手はない。しかし、難しそうだ」という方のために、ブランドアイデンティティ策定のフレームワークとその進め方をご紹介します。外してはいけないポイントや迷ったときの対処方法も参考にしてください。

ブランドアイデンティティ策定の道のり、策定後の活動

進め方をご紹介する前に、ブランディングという活動のなかでブランドアイデンティティがどのような位置づけにあるかを把握しておきましょう。その存在感の大きさを知ることでプロジェクトメンバーの熱意もきっと変わってくるはずです。

ブランディングには8つのステップ(ブランドマネージャー認定協会が推奨)があります。
それを大きく2つに分けると、ブランドの価値を明確化するプロセスと、その価値を伝えていくプロセス。そのちょうど中間点に位置するのがブランドアイデンティティです。ブランド価値というのは、今までの自分たちの歩みのなかに必ず存在するもの。それがあるからこそ顧客から受け入れられてきたわけで、その価値を振り返り再発見することで、ブランドアイデンティティの輪郭がはっきりとしてきます。

そして、自分たちが大切にしてきたブランドの価値を明確化し、それをみんなで共有できる言葉に表す(ブランドアイデンティティ策定)ことができれば、そこからブランディングの活動は大きく加速し始めます。なぜなら、ブランドに関わるすべての人が同じ目標をもって動くことができるから。
それは、今まで個人がそれぞれの心のなかでぼんやりと抱いていたイメージが共通化され、目指すべきゴールに焦点があう瞬間。各人が納得できる言葉にすることで「そうそう、それだ」とチームに連帯感が生まれ、何かが始まりそうな予感さえしてくる。それがブランドアイデンティティ策定の醍醐味なのです。

ブランディング8つのステップ

  1. クロス3C分析(自社の振り返りと強み分析)
  2. セグメンテーション(狙うべき市場を見つける)
  3. ターゲティング(訴求する相手を決める)
  4. ポジショニング(自社が支持される理由を明確化)
  5. ブランドアイデンティティ策定
  6. 具体化(4P/4C分析)
  7. 刺激の設計(ブランド要素とブランド体験)
  8. 目標設定


ブランディングの全体像

1.自社の振り返りと強み分析(クロス3C分析)

ブランディングの全体像がわかったところで、いよいよブランドアイデンティティ策定のための4つのステップをご紹介していきます。

最初のステップは「自社独自の強み」を見つけるということ。競合他社にはなくて、自社だけがお客様の要望や不安に応えられているポイントについて、客観的かつ徹底的に分析することです。
「そんなものはないのでは?」と心配になったあなた、そんなことはありません。意識できていないだけで必ず存在しています。その強みがあるからこそ、今まで会社は存続し、顧客に受け入れられてきたのです。自社や自社が提供している製品・サービスについて、しっかりと振り返ってみてください。

そこで有効な方法となるのが、マーケティングツールの一つ「クロス3C分析」です。クロス3C分析とは、外部環境(競合他社)、内部環境(自社)、顧客環境の3つの要素を分析することで、自社のポジションや競争力を明確にするためのフレームワークです。
これら3つの要素を交差させることで、競合他社が持ち合わせていなくて、自社だけがもつ強みで、なおかつ顧客が求めているもの(=ブルーオーシャン)を見つけ出すことが目的です。

クロス3C分析の各要素とは

・外部環境 (競合他社の強みと弱み)

一般的に「外部環境」とは、自社が直接コントロールはできないが、業績や戦略に大きな影響を及ぼす要因(たとえば、市場の動向や、競合他社の行動、政治経済や技術のトレンドなど)を意味します。しかし、ブランディングにおけるクロス3C分析では、外部環境=競合他社の強みと弱みに絞り込む方が考えやすいでしょう。

・内部環境 (自社の強みと弱み)

内部環境は、自社が直接的にコントロールできる要因を意味します。自社の能力、組織文化、ブランド価値、製品やサービスの特長、従業員のスキルなどが含まれます。内部環境を分析して、自社の強みや弱みを洗い出し、競争優位性を保つためのポイントを把握します。

・顧客環境 (顧客の要望、不安、不満など)

顧客が望んでいることや行動パターン、購買動機、不安や不満など「不」がつく要素を洗い出します。この段階では、まだターゲットとする市場もぼんやりしているかもしれませんが、まずは思いつくままに書き出してみましょう。

クロス3C分析で気をつけたいポイント

・自社の弱みは考えなくてよい

内部環境(自社)について分析するとき、どうしても強みよりも弱みが出てきやすいもの。集められたメンバーがまじめなほど、その傾向は強くなるのかもしれません。ただ、自社や自社製品の弱点に目をむけても、社内のグチ大会になってしまったり本来の強みに目が向かなくなる恐れも。
だから、強みや良いところにフォーカスしてください。もし、出てこなくても、周囲の人たちに聞く、第三者やネットの声を見てみるなど、できるだけ客観的な視点を大切に探してみてください。

・ブルーオーシャンが見つからなくても気にしない

クロス3C分析の結論であるブルーオーシャン(顧客の要望に対して、競合にはなく、自社だけが応えられる強み)が見つからないというケースも、最初の段階ではよくあることです。どうもしっくりくる答えが出ない、競合他社の方が強みが多いかも・・・。
でも、落ち込まないで!ゆったり構えてください。いま会社が存在するということは、それだけ顧客を惹きつける理由があるからです。どうしても答えが見つからないなら、急がずそのまま放置してもOKです。
次のステップを進めていくうちに、必ず見えてくるので慌てる必要はありません。

・自社の強みが競合他社にも当てはまっていないか?

自社だけでなく競合他社も得意としていることなら、それは独自の強みとは言えません。それが顧客が望んでいることだとしたら、それはまさにレッドオーシャン。そこでは戦ってはいけないポイントになります。

・顧客の視点で考えること

自社の特長や優位性を見極める際に欠かせないのは、お客さまの視点に立つこと。実はこれが一番むずかしいポイントです。日常的にお客さまと接することの多い方は別として、間接部門の方にはなかなかイメージしにくいものです。
いったん、頭のなかを真っ白な状態にして、徹底的にお客さまの立場から自社や競合を分析してみることです。

2.セグメンテーション(Segmentation):狙うべき市場を見つける

自社の強みが見えてきたら、ここからはSTP分析の段階。
S:市場の細分化(セグメンテーション)、T:ターゲット層の抽出(ターゲティング)、P:競合との差別化(ポジショニング)の頭文字をとった言葉で、事業戦略やマーケティング戦略で使われるフレームワークのこと。フィリップ・コトラーが提唱した概念です。

STP分析のうち、まずは狙うべき市場(セグメンテーション)を見つけ出す作業です。セグメントとは市場を分けることであり、お客様をどう分類するかを考えること。たとえば、市場全体を年齢や性別、ライフスタイル、興味関心などいくつかの軸を決めてセグメントすることで、自社が狙うべき市場が見えてきます。

セグメンテーションで気をつけたいポイント

・もう一歩、細分化してみる

「市場を分けるといわれても、最初はピンとこない」という人がほとんど。ありがちな迷いとして、セグメンテーションをしたものの市場がぼんやりしている、ということ。

たとえば、自然食品を販売しているブランドがあるとします。その市場を「健康志向が高い人」と「30~40代女性」という2つの軸で分類しました。
自分たちが狙うべき市場は見えてきたものの、なんだかまだぼんやりしている。市場の絞り込みが広すぎると、ターゲットとする顧客の顔が浮かんでこない=どんな生活スタイルで、どんな悩みがあって、どんなことに興味があるのかがイメージできないままになってしまいます。
そんなぼんやり感があるときは、もう一歩踏み込んでみる。アレルギーをもつ子どもに悩んでいるママ、キャリア志向で忙しいだけに体調をくずしがちな女性、などと、もう一歩具体性をもたせることで、ターゲット層の顔を思い浮かべやすくなるのです。

ただし、細分化といっても、あまり絞り込みすぎるのも危険。その結果、マーケットが小さくなりすぎる可能性もあるのでバランスを考えながら軸を見つけていきましょう。

・既存の枠組みにとらわれない

セグメンテーションの成功事例として、ホンダの「スーパーカブ」があります。1959年、ホンダがアメリカ市場へ進出する際にとった有名な戦略。
当時のアメリカでは、ハーレーダビッドソンが約8割のシェアを誇っていたなかで、ホンダが選んだ軸の一つは「バイクに乗らない人」でした。ハーレーのようなワイルドなバイクでブンブンやりたい人ではなく、今はバイクを持っていないけれど日常の便利な足としてバイクを必要とする人。
この狙いは市場ニーズにぴったりはまり、その後ホンダは大きなシェアを獲得することになるのです。

既存のターゲット層ももちろん大切ですが、それ以外に見つけられていない市場やきっかけはないか?そんな視点でとらえてみることも必要です。

・BtoBとBtoCでは軸の取り方が異なる

BtoCの市場に関しては、比較的セグメンテーションしやすいかもしれません。年齢や性別、ライフスタイルといった軸が当てはまりやすいのですが、BtoBの場合は異なる視点が必要です。
主な例としては、業種や産業分野、企業の規模、地理的な位置、ニーズや課題、社風、購買プロセス(意思決定段階など)などが挙げられます。

3.ターゲティング(Targeting): 訴求する相手を決める

市場を細分化できたら、そのセグメントに属する具体的なユーザー層を調べます。顧客の詳細な特性や好みを具体的に思い描くと、ターゲットに合った施策が打ちやすくなるので、戦術もより具体的になり、成功する確率も飛躍的に高まります。

ターゲティングで気をつけたいポイント

・情報収集はしっかりと行う

ここで大切なのは、想像の範囲でターゲット層を決めないこと。社内外からの情報収集はしっかりと行ったうえで、事実にもとづいて組み立てていきましょう。

・市場規模がある程度見込めること

釣り糸を垂らすときは、それなりの数の魚が泳いでいる釣り堀をさがすこと。あまりにもニッチな市場をえらぶと、マーケティングにかけるコストに見合わないという可能性も。かならず市場規模の有効性、市場の将来性を把握したうえでターゲティングを行ってください。

4.ポジショニング(Positioning): 競合との差異化(自社が指示される理由)を明確にする

これまでの経緯をおさらいすると、自社の強みを明確化して、それを訴求すべき市場を定めて、訴求する相手を確認してきました。最後にもうひとつ大切な要素が、誰とどのように戦うのか。お客さまが競合他社と自社を比較したときに、「〇〇だから買いたい」と思ってもらえる基準をはっきりさせることです。

そのためには、まずお客様が購買する理由(Key Buying Factor:KBF)をリストアップします。思いつく理由をいくつでもよいので書き出してみてください。
リストアップができたら、それをカテゴリー分けしてみる。それによって競合他社との差異化を示す軸が見えてきます。
2つの軸をとり、そのマップ上で競合他社2~3社と自社の位置づけを確認することができます(ポジショニングマップ)。

ポジショニングで気をつけたいポイント

・顧客視点で考える

ポジショニングにおいてもっとも大切なことは、お客様の視点で考えること。いつも熱心に仕事に取り組んでいる人ほど自社視点になってしまいがちなので、頭の切り替えが必要かもしれません。
どうしてもイメージできないというときは、実際の売り場に身を置いてみる。ネットなどで顧客のリアルな声をさがす。営業担当者などいつもお客さまと接している人の意見を聞いてみるなど、立場を切り替えるスイッチが必要です。

・競合他社を明確に意識する

当たり前ながら、具体的な会社名をあげて、できるだけ具体的に比較をすることが大切です。競合が分からない場合でも、今の時代、ChatGPTなどいろいろ手を尽くせば何か情報収集はできるはず。ここは踏ん張って、ていねいに進めていきたいところです。

5.ブランドアイデンティティの策定

これまでの4つのステップを振り返りながら、いよいよ自社の強みや差別化ポイントをもとに、ブランドアイデンティティを策定します。
ただ、このプロセスまでくると、プロジェクトメンバーの頭の中にはいくつかのキーワードが浮かんでいるはずです。
逆に、まだぼんやりしている状態なら、これまでのプロセスが消化不良になっているということ。明確になっていないポイントに立ち返り、再考してみてください。

ブランドアイデンティティとは、お客さまに対する約束。ブランドがどれだけ有益な価値を提供し、どのような体験を約束するかを伝えるものです。
伝えたい想いをライティングによって整えていくことになりますが、その際にもお客さまの視点を常に意識するようにしましょう。

ブランドアイデンティティ策定のプロセスが、ブランディングの成果を左右する

自社ブランドが市場で優位性を保つためには、ご紹介したマーケティングのレームワークによって導き出した、ブランドアイデンティティを掲げることが不可欠であることが理解いただけたでしょうか。
そのなかでも重要なのは、メンバーみんなで段階を踏みながら進めていくプロセスそのもの。一人ひとりが頭で汗をかき、ときには意見がぶつかったり前段階に戻ったりしながらも、自社ブランドについて考え抜くことが大切です。そんな時間の経過があってこそ、みんなが納得できるし、ブランドの魅力を再確認できるのです。

ブランディングプロジェクトのメンバーには、次のステップとして、自分たちが導き出したブランドアイデンティティを社内の他のメンバーに伝えていくという大きな役割が待っています。ときには、熱量の異なる人や違う意見をもった人を説得しなければいけない場面もあるでしょう。そのためにも、まずは自分たち主要メンバーの気持ちを一つにしておく必要があります。悩んだり凹んだりという場面があるのは当然のプロセスと受け止め、あきらめずに前へ進んでください。
あなたは自社ブランドの未来を背負っていくという、とてつもなく価値のある仕事をまかされているのですから。

ブランドの世界観とは?企業ブランドを強くする作り方と伝え方

売っているのは商品でなく「世界観」

 

こんな暮らし方がしたい

理想の住まい

オンラインショップを開くと目にとびこんでくる、ポストカードのような一枚の写真。そのガラスの花瓶は凛とした佇まいで、生けられた緑の葉っぱがなんとも涼しげ。周囲にはゆったりとした時間が流れているようです。
商品ページで主に語られているのは、そのガラスの花瓶を手に入れると、いかに心豊かな日々が訪れるのか。ショップのスタッフたちが自宅でその花瓶とどのように暮らし、何を感じているのか。読み進めていくうちに、「うちにも、この花瓶が必要かも!」と気持ちが高まってくる。つい先ほどまでは3,000円の花瓶など買うつもりもなかったのに・・・。
これは筆者のリアルな体験。人気のEC雑貨ショップ「北欧暮らしの道具店」では、多くの人が魔法にかけられてしまうようです。

このオンラインショップで一貫して発信されているのは、自分らしく心地よく暮らすことへの提案。「こんな気持ちで生きていきたいよね。そう思わない?」。すぐ隣に座って、一緒に窓の外を眺めながら語りかけられているようで、「そうそう、その通り!」とポチってしまうのです。

 

いかに世界観を伝えるかがカギ

ものが売れにくくなった今。ブランドの世界観は、購買の理由として大きな意味をもつようになってきました。
ほぼ同じようなデザイン・機能性をもつ白いTシャツでも、どこで買うかを決めるのは消費者の心ひとつ。「ユニクロのほうが安くて長持ちするじゃないの」とお母さんに言われたって、「そんな理由じゃないのよ」と反論してもらえる原動力が今は必要なのです。

ブランドの価値というのは、消費者の心の中にあるもの。鮮明に焼きつけるためには、ブランドと消費者の間で共有される「世界観」が必要であり、それはB2C、B2Bに限らず重要になってきました。

ブランドの世界観って一体なに?

北欧暮らしの道具店

では、ブランドの世界観とはどんなものなのか?できるだけ具体的に掘り下げていきたいと思います。

世界観とは、単体のモノではなく、ライフスタイル。考え方や生き方。理想とする形。また、限られた時間ではなく、長い期間。有限ではなく無限な拡がり。機能面だけでなく、情緒的な満足感。いくつものストーリーが生まれる背景。どれだけ語っても語りつくせないような価値観です。
それだけに、伝えることが難しく、受け取る側にもいろいろな解釈があったりする。しかしながら、ターゲット層が求めているゾーンにぴったりはまると、惹きつける力は非常に大きい。お金には換算できない満足感が存在します。

実際の例を見てみると、
北欧暮らしの道具店:「フィットする暮らし、つくろう。」
自分の生き方を自分らしいと感じ、満足できることを「フィットする暮らし」と定義しています。

Apple:「自分らしく生きることを支援する」。
1997年に公開された有名なTV-CM 「Think different.」。アインシュタイン、パブロ・ピカソなど世の中を変えた天才たちの映像とともに「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが本当に世界を変えている」という、Appleが社会に強く提示したいメッセージが込められています。

スターバックスコーヒー:「人々の心を豊かで活力のあるものとするために」
あの独特の世界観をつくり出しているのは、そこで働くパートナー(従業員)の意識の高さにあります。彼らはマニュアルを必要とせず、上記の共通認識のもと、自分たちでその場に合わせて最善の方法を考えて対応する。質の高いホスピタリティがスターバックスの一番の強みなのでしょう。

こうやって見ていくと、ブランドの世界観は、消費者である自分たちが本来望んでいたことなのだと気づかされます。その特別な価値に共感し手に入れたいと思うから、そのブランドを選んでいる。そして、それを選んでいる自分自身に対しても満足しているのです。

自社ブランドの世界観。その作り方とは

駅での雑踏

では、自社ブランドの世界観について、どのように考えていけばよいのか?そうなんです。そこが一番むずかしいところです。

世界観というのは、そう簡単に作り出せるものではありません。ましてや、広告代理店など社外の人に考えてもらって「さあ、今日からこれでいこう」というようなものでもない。どんなにセンスがよく耳ざわりのいいフレーズができあがっても、それが実際のブランド価値と合っていなければ逆効果となるだけです。

まずは、自分たちのブランドが大切にしていることとは?そんな基本的なことについて、社内で議論することから始めてはどうでしょう。
たとえば、

  • 自社ブランドについて、誇りに思っていることは?
  • 愛用してくださるお客さまは、どこを気に入ってくれている?
  • 創業者の思いとは?
  • ブランドの存在が、社会に対してどのように貢献しているか?
  • サプライヤーはどのように感じている?
  • お客様相談室にはどんな声が届いている?

一人ひとりの受け止め方は違っていても、その中心には共通した価値観があるはずです。
絶対に曲げたくない信条、理想形、お客様とともに「そうありたいよね」と握手したくなる気持ち。そして、考えはじめるとちょっと胸が熱くなったりする。それこそが、日々自分たちが作り出しているブランドの価値、ブランドの世界観なのだと思います。

ブランディングサービス

自社ブランドのファンを育てる方法

自社ブランドのファンを育てる方法

今回は、7月に開催された宣伝会議インターネットマーケティングフォーラムよりご報告です。

—「10人の飲み会イベントでも参加します」よなよなエールの場合—

クラフトビール「よなよなエール」を、飲んだことがありますか?

ビール全体からすると、約1%しかないクラフトビール市場のなかで、ヤッホーブルーイングは確実に売上げを伸ばしているブランド。

その売上推移のグラフと、同じ右肩上がりのカーブを描いているのが、ファンイベントで出会った人数。
1万人規模にまで広がった彼らのイベント、そこでスタッフやファン同士が交流することで、「このビールが好き」というだけでなく、価値観の共有や、活動による自己実現にまで発展するほど盛り上がっているのだとか。最近では、ファンが自発的に幹事になり開催されるイベントもあるそうです。

なぜ、そこまでファン育成が成功しているのか?という問いに、
・スタッフ自らが楽しんでいると、お客さまにも伝わる。
・「この指とまれ!」が明確だと、ファンが集まりやすい。
・ターゲットを絞る。100人のうち1人がめっちゃ好き!と思ってもらえたら十分。
・ただし、アンバサダーなど意図的な方法はとらない。まず楽しんでもらうことを優先。
という答えでした。

たしかに、楽しそうなこと。自分の価値観に合うこと。いい仲間に出会えること。
そんな場所なら、誰だってのぞいてみたくなるものです。

「新たなビール文化を創出することで、ビールファンにささやかな幸せをお届けする」というミッションからも、クラフトビールのおいしさを地道に伝えつつ、楽しい時間を共有することで、ささやかな幸せを届けたい。
そのことを真剣に考えつづけている姿勢がファンを惹きつけているのだと感じました。

よなよなエール(ヤッホーブルーイング)
https://yonayonaale.com/

※「フレイバーズ月1メール」よりご紹介。
フレイバーズでは月1回程度の頻度で、皆さまにお役に立てそうな情報をお送りしています。