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製造業のブランディング手法、今日から始める5ステップ

「品質には自信がある。でも最近、他社と何が違うのかと言われることが増えてきた」こんな声を、製造業の経営者の方からよく耳にします。
技術力には誇りがある。長年お客様に信頼されてきた自負もある。それでも、価格競争に巻き込まれたり、選ばれる理由をうまく伝えられなかったりして、もどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか。

その原因のひとつが、「自社らしさを伝える力=ブランディング」の不足だと思われます。
「BtoC企業でもないのに、ブランディングと言われても・・・」そう思われるかもしれません。しかし、製造業には、そもそもブランドの“核”となる価値がすでに備わっています。
必要なのは、それを“見える形”にし、伝える方法を少し変えることです。今回は、未経験の方でも取り組めるように、実践的なブランディングのステップをご紹介します。

本記事で分かること

製造業にとって、ブランディングは難しく聞こえるかもしれません。でも今、品質や技術だけでは選ばれにくくなっています。この記事では、自社の“想い”を伝わる形に変え、ブランドとして育てていくための5つのステップを、実践しやすい方法でわかりやすく解説します。

 

ブランディングとは「表面的な装飾」ではない

まず大前提として、ブランディングとは「かっこいいロゴを作ること」でも「SNSでバズること」でもありません。最近は、ブランディングを広告戦略の一つのように扱われている傾向がありますが、それは大きな誤解です。
ブランディングとは、“あなたの会社がなぜこの仕事をしているのか。何を大切にしているか”を、社内にも、社外にも、ちゃんと伝わるように言語化し、訴求していくことです。製造業にとってのブランディングとは、「想いと技術を、価値として“伝える技術”」です。

では、そうした“想いを伝える力”を、どうやって社内に築き、外へ伝えていけばよいのでしょうか。
実際に取り組もうとすると、「どこから手をつけていいか分からない」と感じる方も多いはずです。
そこでここからは、未経験でも着実に進められる、製造業のためのブランディング実践ステップをご紹介します。

 

製造業のためのブランディング実践5ステップ

STEP 1:Why(なぜ)を言語化する

ブランディングを進めるなかで、大切にしたい「ゴールデンサークル理論」というフレームをご存知でしょうか。これは、“Why(なぜやるのか)→ How(どうやるのか)→ What(何をやっているのか)”の順で伝えると、人の共感を得やすくなるというもの。一般的には「What=製品・サービスの説明」から話しがちですが、それだけでは他社と差別化されにくくなっています。
たとえば、「自社の強みは何ですか?」と聞かれたら、多くの製造業は「高精度」「短納期対応」「コスト競争力」と答えるでしょう。しかし、それはWhatやHowにすぎません。
本当に顧客の心に届くのは、「なぜその製品を作っているのか?なぜその技術を守っているのか?」という想い=「Why」です。それは創業者の想いであったり、地域との関係性、守りたい文化、届けたい未来など、表には出していなかった「根っこ」のようなもの。製造業を営むなかで、会社がずっと大切にしてきた想いを掘り起こすことで、それは必ず見つかります。

進め方のヒント
・創業ストーリーを振り返る
・「なぜこの製品を作っているのか?」と社員に聞いてみる
・「うちの技術が社会にどう役立っているのか」を一言で言うと?
・経営者・幹部で「うちが本当に大切にしていること」を3つ挙げてみる
・創業者や先代の言葉・信条にヒントがあることも多い
ポイントとしては、「かっこいい言葉」を考えるより、「正直な気持ち」を見つけるほうが伝わりやすくなります。

 

STEP 2:顧客像を再定義する

ブランディングを進めるうえで次に大切なのは、ターゲットを明確にするということ。「誰に何を届けたいのか」が明確になると、伝えたいメッセージもより具体的になってきます。
たとえば、「業界問わず対応可能」ではなく、「品質を重視し、安定調達を望む医療機器メーカーの開発担当者」など、顔が浮かぶレベルで具体化することが大切です。ターゲットを絞るほど、ブランドの言葉は強く・明確になります。

進め方のヒント
・過去3年で一番満足してくれた顧客を3社ピックアップ
・「どんな課題を抱えていて」「なぜ当社を選んだのか」を書き出す
・「この人のために商品を届けたい」と思える顧客像を言葉にしてみる
・顧客インタビューを実施し、価値を感じたポイントを把握する

 

STEP 3:強みの“見せ方”を整える

製造業には、現場に根ざした本物の強みがあります。ただ、それが「見える形」になっていなければ、外部の人には伝わりません。

たとえば、ウェブサイトや会社案内で「柔軟な対応」「豊富な実績」「確かな技術」といった表現を並べても、他社と似た印象になることがよくあります。
本当に伝えるべきなのは、“なぜそれを実現できているのか”という背景や考え方です。

進め方のヒント

1.言葉の見直し
「何をしているか」ではなく、「どんな想いでやっているか」を一文で表す。
✕「樹脂加工の専門メーカー」
○「開発者の“あと一歩”に応える、精密樹脂加工の専門家」

2.表現の再構成
・製品紹介ページに「開発の裏側」や「困難をどう乗り越えたか」を加える
・会社案内に「選ばれる理由」や「お客様の声」を挿入して信頼感を補強

3.情報の見せ方
・トップページや営業資料の冒頭に「どんな価値を提供する会社か」を一言で書く
・設備や数字より、働いている人の姿や想いを写真や言葉で伝える

 

STEP 4:共感を生むストーリーを語る

ブランディングにおけるストーリーとは「感情が動く背景」のこと。自慢話ではなく、挑戦・失敗・改善・信念といったリアルなエピソードの中に共感は宿ります。
たとえば、「若手社員が初めてリードしたプロジェクトで納期遅延寸前だったが、ベテランの支えで乗り切った話」「昔からの取引先に“御社の姿勢が好き”と言われたエピソード」など、そんな“人間味”こそがブランドになります。

進め方のヒント
・これまでで一番苦労したプロジェクトと、その乗り越え方を書き出してみる
・現場のスタッフに「印象に残っている仕事」を聞いてみる
・「最初の失敗」「顧客との忘れられないやりとり」などを1枚の紙に書く
・自社の強みが伝わる“実話エピソード”を3つピックアップする
ポイントとしては、きれいな話より人間味のある話の方が、人の記憶に残るものです。

 

STEP 5:ブランドを社内に浸透させる

ブランドのメッセージが明確になってきた。社外に対しての見せ方も分かった。でも、本当に大切なのは、ここからです。ブランド価値を守り育てていくためには、全社的な共感と協力が不可欠です。「経営者だけが分かっている状態」ではなく、社員一人ひとりが「うちの会社はこういう考えで動いている」と自然に語れるようになったとき、はじめてブランドは“会社全体の力”になります。

ある製造業では、社員向けに「うちの技術のすごさを語るプレゼン大会」を開催したことで、営業・設計・製造の間に一体感が生まれました。その結果、営業担当が顧客に語る言葉にも自信と説得力が生まれたそうです。
社内で浸透させる時に気をつけたいのは、「ブランド浸透=研修」ではないこと。日常の会話や現場の言葉に落とし込むことがカギとなります。

進め方のヒント
・朝礼や社内ミーティングで「なぜこの事業をやっているか」を話してみる
・社内共有スライドやポスターに“Why”や“ビジョン”を載せてみる
・社員同士で「うちの会社の魅力って何?」を話し合う機会をつくる
・若手社員に「この会社に入って感じたこと」を発表してもらう
トップダウンではなく“共通言語化”を目指すことがカギです。

 

製造業こそ、想いを“伝える技術”を持つべき

モノづくりの現場には、語るべき価値や想いがすでにあります。ただ、それが“伝わる形”になっていないだけかもしれません。
品質や技術に誇りを持ってきた製造業だからこそ、これからはその姿勢や価値観を、言葉として届ける力が求められます。
無理に飾る必要はありません。ありのままの想いを、少しずつでも外に見せていくこと。それが、価格ではなく“共感”で選ばれるブランドへの第一歩となるはずです。
ただ、言葉にすることや、社内に浸透させることは、実際に取り組んでみると意外と難しいもの。だからこそ、できるところから少しずつ始めてみるのが良いかもしれません。
また、外部の視点があるとスムーズに進む場面もあるため、必要に応じて相談できる選択肢を持っておくのも一つの方法です。

 

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 製造業にとって、本当にブランディングは必要なのでしょうか?

A. はい、むしろ製造業こそ必要です。
品質や性能での差別化が難しくなってきた今、「なぜその製品を作るのか」「どんな姿勢で仕事をしているのか」といった企業の“姿勢”が選ばれる理由になってきています。
まじめにものづくりを続けてきた企業ほど、ブランディングの核となる“伝える価値”をすでに持っています。

 

Q2. ブランディングというと、デザインや広告の話でしょうか?

A. 一部そうした要素も含みますが、本質はそこではありません。
ブランディングとは、「自社がどんな想いで事業をしているのか」「誰にどんな価値を届けたいのか」を明確にし、それを社内外に一貫して伝える活動です。
デザインは“表現の手段”にすぎず、核は「企業の言葉・哲学・方向性」にあります。

 

Q3. 社長や上層部の想いはあるけど、言葉にするのが難しいです。

A.経営者の方は、日々の経営判断や現場対応で多忙な中で、“当たり前にやっていること”の価値に気づきにくくなるのは当然のことだと思います。自分自身のことが一番分からないと言われるのと同様に、自社について改めて考えるというのはなかなか難しい作業でもありますが、少しずつ続けていくうちに楽しみにもなっていくはずです。
私たちはヒアリングを通して、その“当たり前”の中から言語化できる本質を一緒に見つけ出すサポートをしています。

 

Q4. 中小規模の製造業でも、ブランディングは効果がありますか?

A. むしろ中小企業こそ、大手と違う“理由”で選ばれる必要があります。
地域密着、少量対応、職人の技、スピード感、誠実な対応、そうした強みをブランディングによって明確に伝えることで、価格以外で選ばれる会社になることができます。

 

Q5. まず何から始めればいいですか?

A. 最初のステップは、「自社のWhy(なぜ)」を考えてみることです。
創業の背景、譲れない価値観、こだわりを一度言葉にしてみてください。それがすべての出発点です。
もし整理が難しいと感じたら、ぜひご相談ください。第三者が入ることで見えることもたくさんあります。

 

ご相談・ご質問はこちらから

ブランディングに関心はあるけれど、
「どこから始めたらいいのか分からない」
「うちの会社でもできるのか不安」
そんなときは、お気軽にご相談ください。
私たちは、製造業の現場と価値を深く理解し、経営者の“想い”をかたちにするプロフェッショナルです。
まずはオンライン面談や簡単なヒアリングだけでも構いません。お問い合わせフォームより、いつでもご連絡いただけます。

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中小企業向けブランディング手法|成功事例と実践ステップ

 

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。

1. なぜ今、中小企業にブランディングが必要なのか?

中小企業にこそ、今「ブランディング手法」が必要とされる理由は明確です。価格競争に巻き込まれ、広告では資本力のある大企業に勝てない――そんな中で選ばれるには、「なぜこの会社なのか」という理由をユーザーに示す必要があります。

製品やサービスだけで差がつきにくい時代。鍵になるのが「ブランド」です。中小企業は経営者の思いや理念を反映しやすく、意思決定も速いため、ブランドの核を定めれば一貫した発信が可能になります。

その価値観を社内に浸透させ、外部にもぶれないメッセージを発信できれば、価格競争から抜け出し、独自のブランド価値で選ばれる企業になれます。

2. よくある誤解:ブランディング=ロゴやデザインではない

よくある誤解のひとつが、「ブランディング=ロゴやデザイン」だという考えです。実際、「ブランディング手法に取り組みたい」と言いながら、まずロゴの刷新やWebサイトのリニューアルから始める経営者は少なくありません。

もちろん見た目は大事ですが、それだけでは本質に届きません。ブランディングの中核は、自社の「らしさ」を明確にし、それを社員と顧客の両方に一貫して伝えること。存在意義、価値観、顧客との関係性――それらを言語化し、日々の行動に落とし込んでこそ、ブランディング手法は機能します。

ロゴやデザインは、その「軸」を支えるツールにすぎません。土台が曖昧なまま見た目だけ整えても、顧客の心には響きません。

3. 中小企業が今すぐ取り入れるべき3つの実践的ブランディング手法

3-1. コアバリューの明文化と社内共有

ブランディング手法の第一歩は、「自社が何のために存在するのか」「どんな価値を大切にしているのか」を明確にすること、つまり“コアバリュー”の明文化です。これを曖昧にしたまま発信を始めても、他社と変わらない言葉が並ぶだけで、顧客の記憶には残りません。

重要なのは、経営者が納得できる言葉で定義すること。そして、それを社員全員に共有すること。社長だけが理解していても意味がありません。現場のスタッフ一人ひとりがその価値観を理解し、行動の軸として使えるようになってはじめて、顧客との接点に一貫性が生まれ、ブランドが育ちはじめます。

 

3-2. ブランディング手法の核心:ペルソナ設計とターゲットメッセージの明確化

「当社は幅広いお客様に対応できます」と言ってしまう企業ほど、結局は誰の心にも残りません。中小企業だからこそ、特定の顧客層に刺さる“ブランディング手法”が必要です。

そのための第一歩が、理想的な顧客像(=ペルソナ)の明確化です。年齢や職業だけでなく、「どんな悩みを持っているのか」「何を重視して選ぶのか」といった感情や価値観まで具体的に描きましょう。

そして、その人に向けて、どんな言葉で、どんなメッセージを伝えるかを決めることで、発信の軸がブレなくなります。

難しく考える必要はありません。今いるお客様の中から典型的な一人を象徴的に設定するだけでも十分です。

結果として、「これは自分のための商品・サービスだ」と感じる瞬間が増え、ブランドへの信頼が自然に積み重なっていきます。

 

3-3. 顧客体験を活かすブランディング手法:CXをブランド資産に変える

商品やサービスの品質だけでなく、問い合わせ対応や納品、アフターフォローといった“顧客体験(CX)”全体をブランディング手法に組み込むことが、いまや不可欠です。

たとえば、返答の速さ、スタッフの振る舞い、トラブル時の対応――こうした小さな接点こそが、ブランドの印象を決定づけます。一貫して「自社らしさ」を伝えられるかどうかで、顧客はリピートするか、他社に乗り換えるかを判断します。

このCXを社内で言語化し、マニュアル化して共有すれば、誰が対応してもブランド品質がブレなくなります。属人化を防ぎ、ブランディングの効果を持続・拡大するための重要な手法です。

4. 成功事例:地方の中小企業がブランディングで勝ち残ったケース

事例①:老舗の製造業が若者を惹きつけるブランドに変貌

創業70年の金属加工会社は、技術力はあるのに、価格競争に疲弊していた。社長が「職人の誇りと、モノづくりの美学」を軸にブランド再構築を決意。

製品にストーリー性を持たせ、SNSで発信。さらに若手社員を「語り部」としてメディアに登場させた結果、新卒採用が過去最多を記録し、地元紙で話題に。新規顧客も開拓できるようになり、価格ではなく「想い」で選ばれる企業へとシフトしはじめています。

 

事例②:地域密着型の工務店がリブランディングで単価アップ

低価格帯リフォームで顧客を集めていた工務店は、やはり利益が出ず経営は苦しい状態に。そこで「家族の人生に寄り添う家づくり」を掲げ、ペルソナを40代共働き夫婦に設定。

施工中のフォロー体制やアフターサポートの流れを再構築し、全社員が「家守り」という共通の意識を持つよう教育を強化。その結果、受注単価は1.8倍に。紹介顧客も増え、広告費を抑えられる結果に。

 

事例③:地場の印刷会社がBtoB特化のブランドで受注拡大

下請け中心の体質から脱却したいと考えていた中規模の印刷会社が、「中小企業の広報を支援する印刷会社」というブランドポジションを明確に打ち出しました。

販促提案やデザインディレクションも含めた「提案型営業」に切り替え、業種ごとの専用パッケージを整備。下請けからの脱却が進み、顧客単価は2.3倍に上昇。さらに、新たな次の一手を検討中。

経済産業省「ミラサポ」ブランディング事例

5. 今すぐ始めるためのステップとポイント

ステップ①:社内対話で「自社らしさ」を言語化する

ワークショップ形式で、社員から「この会社の好きなところ」「誇れる点」を集めてみましょう。経営者の視点と現場の声を重ねることで、リアルでブレないコアバリューが見えてきます。

 

ステップ②:コンタクトポイント(顧客との接点)ごとに「一貫性」があるか点検

営業・接客・WEB・SNS・アフターサポートなど、顧客とのあらゆる接点を洗い出し、「言っていることと、やっていることが一致しているか」を確認。ここにズレがあると、ブランドは育ちません。

 

ステップ③:必要に応じて外部の力を借りる

ブランディングは専門的な視点も必要です。言語化やデザイン、マーケティング戦略などは、プロの支援を受けることで、スピードも精度も上がります。一方で、経営者自身が軸を持ち続けることも最大のポイントです。

信頼の積み重ねが、すべてのブランディング手法の起点になる

選ぶ理由のあるブランドへの図ブランドとは「約束」です。そして、その約束を日々の顧客接点で守り抜くことこそが、ブランディングの核心です。

もう一つ忘れてはならないのが、すでに自社を選んでくれている顧客の存在。なぜ選ばれているのか、どんな点に共感されているのかを見直すことは、自社の「らしさ」――つまりブランドの核を掘り起こす手がかりになります。

普段あたり前にやっている行動や文化の中に、実は強力なブランディング手法のヒントが眠っています。それを言語化し、軸として定着・発信することが、信頼を積み上げ、他社と差別化されたブランドを築く最短ルートです。

まずは、今いる顧客に「自社の魅力は何か?」を聞くことから始めてみてください。

ブランディング
ブランディングに関するコラム

ブランディングの手法で、よくある質問(Q&A)

Q. ブランディングに取り組むと、売上はすぐに伸びますか?

A. 短期的な売上増よりも「選ばれる理由」を積み重ねていくなかで、価格競争に巻き込まれない受注や、リピート率の向上につながるのがブランディングの本質です。ブランディングは売れ続けるしくみをつくることと称されます。今まで培ってきた売上の土壌はすぐにできたものではないはず。長い目で考えてください。

Q. 社内の理解が薄い場合、どう進めればいいですか?

A. 小さな成功体験を共有することが効果的です。例えば「SNSで反応があった」「お客様から共感の声をもらった」といった具体例をもとに、社員の共感と行動を少しずつ引き出していきましょう。
経営者がブレないこと。その本気度を社内に常に共有すること。ことあるごとに言葉にして伝え続けることが徐々に社内からの賛同を得るための方法です。

Q. 競合が多い業界で差別化は本当に可能?

A. 可能です。「何を売るか」より「なぜ売るのか」「どう売るのか」でブランドは差別化できます。競合が価格で勝負しているなら、そこから外れた独自の土俵をつくるのがブランディングの強みです。

ダブルチェックでWEBサイトの更新ミスを激減させる方法

突然のことに、驚く少年

日々、あなたのまわりで起こる確認ミス。
しっかりダブルチェックさえしていれば、クライアントから怒られることもなかった。もしこれが大きな事故につながるようなことにつながっていたら。冷や汗が背中を伝う・・・。

企業のWEBサイトは、適切なタイミングで新しい情報を更新してこそ意味がある。それによって、ステイクホルダーに最新の情報を提供するとともに、検索エンジン対策としても有効だ。

しかし、その一方で悩みのタネとなるのが、更新の際に発生するミスである。WEB担当者や制作会社が入念にチェックを行ったつもりでも、なぜかミスは起こってしまう。

「何回言ったら分かるんだ!あれほど気をつけろと言っただろ!」

と叱ってみても、根性論で解決するものではない。人間である以上、誰しも間違いは起こりうる。それならば、それを業務としていかにフォローするシステムを作るかの方が賢明だと筆者は考える。

ダブルチェックが重要であることはよく言われることだが、今回はうっかりミスを防ぎ、ダブルチェックの精度、効果を上げるための方法についてご紹介しよう。

あなたの会社で、ヒヤリハット報告が少なくなることになれば、幸いだ。

ダブルチェックの効果と意味とは?

失敗に顔を隠して後悔する少年

ダブルチェックとは、更新作業を行った人以外の誰かが再度チェックを実施すること。WEBサイトの更新でいえば、制作者本人のチェックだけだと思い違いに気づかなかったり、「ここは間違えるはずがないから」と油断があったりするため、物理的に違う目によって違う視点からチェックすることが非常に大切なのだ。

ただ、肝に銘じておきたいのは、なぜかミスというものは何回チェックしてもその網をするっと抜けてしまう傾向にあるということ。うっかりミスが発覚したときに、みんなが口を揃えて言うのは、

「まさか、そんなところが間違っているとは思わなかった」
「そこまでは気づかなかった・・・」

である。

そうなのだ。神様のいたずらかと思うようなところに、静かにこっそり潜んでいるのがミスなのである。

しかし、公共性が高く企業の信頼性にもつながるWEBサイトは、限りなく100%に近い優等生でなければならない。ミスは許されないわけだ。
それを見つけやすいのは、更新作業をした人よりも、間違いなくダブルチェックする人である。WEBサイトをそんな優等生にするためには、発想を切り替える必要がある。

ダブルチェックは、シングルチェックをなぞることではない。

と認識しておこう。

しつこいようだが、ダブルチェックをする人は独自の視点で責任をもってチェックを行うべきである。日頃の業務から学んだダブルチェックの精度を上げ、重大事故につながるミスを防ぐ鉄則をご紹介しよう。

ダブルチェックの鉄則1:ダブルチェッカーに情報を与えすぎない

ダブルチェッカーに情報を与えすぎない

まず最初に気をつけたいのは、ダブルチェックする人にはできるだけ違う視点から確認してもらうことだ。間違っても「私が今から言うところだけ確認して」などと誘導してはいけない。

作業した本人は、ミスが発生していることに100%気づいていないからダブルチェックに回している。そんな人の言いなりになって漫然とチェックを行っていては、せっかくの労力と時間が無意味なものになる。逆にクライアントから大目玉を食らう可能性さえあるのだ。

ダブルチェックを行う人は、その人の頭で考え、なおかつ「どこかにミスが隠れているかも?」と疑いながら確認を実施すべきだ。チェックシートなど基本的なツールを揃えておくことは言うまでもないが、チェックする人が自由な目と心で、時間に余裕をもって確認できるように段取りしよう。

ダブルチェックの鉄則2:しかし、主旨はしっかり伝えるべき

逆に伝えておくべきことは、どういう目的をもって更新・修正を行ったのかということ。
たとえば、比べてみてほしい。

A:「投資家のお客さまから問い合わせ方法が見つけにくいという要望があったので、目に触れやすいこの場所に電話番号を表示しました」
B:「ここにお問い合わせの電話番号を表示しました。間違いがないかチェックしてください」

どちらの頼み方が、より広い視野でチェックを行うことができるだろうか?

電話番号が間違っていないかについては、どちらも同じようにチェックするだろう。しかし、投資家にとっての窓口なら、投資家に最もよく見られている事業紹介やトップメッセージのページにも目立つように掲載すべきではないのか?もしくは、同じような質問が多いならQ&Aを充実させるべきではないか?という議論も出てくるかもしれない。そこまでいくとダブルチェックの範囲を超えてしまうが、本来はそういった視点で改善したり見直してみたりすることが大切なのだ。

またこの視点は、クライアントが制作会社に依頼する際にも同様。何のためにこの情報発信を行うのか、目的を明確に伝えることで制作内容の濃さも変わってくるはずだ。

ダブルチェックの鉄則3:必ずユーザー目線でチェックする

ユーザー目線でチェックする

ここからは、ダブルチェックする人に気をつけてほしいことをご紹介する。

前述のような優等生の解決策を見つけ出すことはなかなか難しい。しかし、ダブルチェックをする際に、サイト訪問者の視点に立つことができれば、新入社員であっても気づくことはたくさんあるはずだ。

不思議なもので、私たちは自分がお客さまの立場であるときには店員さんのサービスの悪さに目がいくのだが、自分が逆の立場になるとなぜかまったく気づかなくなる。

自分がお客さんだったら、この言い回しで理解できるか?この表現で勘違いしないだろうか?想像力をうんと働かせてチェックしよう。

ダブルチェックの鉄則4:小姑になったつもりでチェックする

そういった視点でチェックをしていくうちに、いろいろな問題が浮き上がってくる。

「ん?ちょっとこれおかしくないか?」
「でも、ここまで言うと重箱の隅を突いてるようで、ワタシ、嫌なヤツと思われちゃうかも・・・?」

と思ってしまったりもする。

しかし、そんな遠慮はまったく必要ない!

嫌なヤツで結構。小姑と言われようが、口うるさい年増と陰口をたたかれようが、せっかくの「気づき」は大切にしよう。手厳しい指摘を受けて、その場では嫌な顔をしていた後輩も、きちんとした理由を伝えれば、おおいに納得してくれるはずだ。

あなたが小姑になることでうっかりミスを防ぎ、会社のビジネスを助けたり、誰かの役に立つことになるのだから。
そんな視点を持てるようになった、あなたのダブルチェック精度はかなり上がったことを意味している。

ダブルチェックの鉄則5:ダブルチェックは午前中に

ダブルチェックは午前中に

ここまで読んでお気づきだろうが、ダブルチェックは責任重大。そんな仕事を任された自分を誇りに思うべきである。その責任を果たすためには、自分が最大のパフォーマンスを上げられる環境でチェックに臨もう。

一番いいのは、午前中の頭が冴えた状態で。もしくは、コーヒーを飲んでひと息つき、心を落ち着かせた状態でダブルチェッカーに変身することをお薦めする。

WEBサイトはビジネスの場。その信頼性を高めるのがダブルチェックだ。

信頼性を高めるのがダブルチェック

すぐれたチェックができる人は、鋭いビジネス感覚にあふれた経験豊富な人だと筆者は思う。
たとえば、同じ魚屋さんでも、顧客満足を大切にいい商品を売りたいと願う店主の店が繁盛するように、ユーザー視点で情報提供できる人、そのための間違いを見つけられる人は成果を出しやすいからだ。

WEBサイトは単なる制作物ではなく、クライアントにとってはビジネスの現場である。
自分が作ったりチェックしたら完了なのではなく、そこからクライアントの何かがスタートする原点だ。だからこそ、ダブルチェックする意味があるのだ。

ダブルチェックをフル活用してミスを減らすことはもちろん、改善の第一歩にもつなげてほしい。

オウンドメディアで他社の先を行く、4つの基本

後光がさす神殿

ユーザーの視点に立ったコンテンツを提供することで集客につなげるという、注目の新たなマーケティング手法「コンテンツマーケティング」。その器となる、「オウンドメディア」もよく耳にするようになってきた。

しかし、誰もが同じようなことを始めると、どう差別化していけばいいのだろう?

この記事では、まだコンテンツマーケティングを始めたばかりだったり、手を付けるべきか思い悩んでいる方に、誰よりもいち早く優位性を確立するための対策をご紹介する。

オウンドメディアとは?

マーケティング、ソーシャル、メディア・・・

最初に、オウンドメディアの意味について簡単にご紹介しておこう。

オウンドメディアとは、文字通り自社が所有しているメディアのこと。広い意味でいえば、自社サイトはすべてオウンドメディアとなる。

WEBサイト上で、顧客や顧客候補にむけてスタッフブログやオンラインセミナー、専門家コラム、ソリューション事例などのコンテンツを公開することで継続的に情報発信を行い、訪問者とのダイレクトなコミュニケーションを図るためのツールといってもいい。

顧客や顧客候補と直接つながろうというメディアであり、企業にとっては非常に大きな役割を担うものといえるだろう。

企業サイドのジレンマ

これまで企業は、マスメディアに大量かつ莫大な宣伝予算をかけてきた。しかし、広告費は削減傾向にあり、効果は最大値を求められる。さらに、マスメディアによる「誰にでもいいから、とにかく広げよ」といった強引な方法論に大きなムダを感じているのだ。

そこでインターネット経由で自社商品に興味を持つ顧客候補を「個客」として扱うことができ、自社の思うようにコンテンツを組むことができる「オウンドメディア」にスポットがあたるようになったのだ。

さらに都合がいいのは、情報の発信量に制限がないということだ。TVCMには時間制限がある。紙媒体には文字数制限やスペースの制限がある。しかし、自社媒体であるオウンドメディアには制限など存在しない。取り組み方次第では、マスを上回る効果が得られる。しかも継続的に。

ユーザーを引き込むための魅力的なコンテンツさえあれば、いくらでもコンタクトができる。自社内に蓄積している知恵を掘り起こし、顧客に理解しやすいようにまとめれば、向こうから自社に近づいてもらえるようになる。

オウンドメディア戦略は、ロングテール戦略

顧客を「個客」と認識すればするほど、価値観は多様化し、いわゆるロングテール理論に近くなる。しかし、マスメディアを使った宣伝活動では落としていたかもしれないロングテールまでカバーすることで、より宣伝活動の効果「量」を上げようとするものでもある。

スタッフブログで顧客とのコミュニケーションを介した自社の持つ多種多様なノウハウを公開したり、オンラインセミナーや専門家コラムでは細かなニーズに対応した専門性の高い情報で顧客候補の課題を解決、ソリューション事例では実際に現場で起こる課題を解決している様子や自社製品やサービスを交えて具体的な内容を示す。

こういった具体例を明らかにすることで、多くのキーワードが蓄積されていく。これがロングテールなニーズに結びつき、次第に大きなアクセスを誘い込んでいくわけだ。

ロングテールをカバーすることは、これまで一方的だったマスメディアによる宣伝活動を双方向に変えられる可能性もある。
それには、後述するようにターゲットユーザーにオウンドメディアで発信する情報に満足してもらうことが最優先課題だ。

1.訪問者に「良かった」と感じてもらってこその、オウンドメディア

金色のまねき猫

コンテンツマーケティングに代表されるように継続的に情報発信を行うことで、自社サイトに集客し、最終的にはブランドや商品のアピールにつなげたい。それは、オウンドメディアを運営する企業のほとんどが目指すところだ。

ユーザー視点に立ったコンテンツといいながらも、ビジネス目的みえみえのWEBサイトに興ざめしたことがあるだろう。
ブランドや商品のアピールばかりを意識し過ぎると、ユーザーに役立つメディアとしての本来の使命(オウンドメディアをスタートさせたきっかけは、ユーザーに喜んでもらえる、感覚を共有するために情報発信を行うためだったはず)を忘れがちになってしまう。

あらゆるものが媒体化し、どこを見ても企業からのメッセージ、宣伝コピーが目に入ってくる状況に多くの人が辟易としている。そのようななかで、回りくどいかもしれないが、直接的にPRするのではなく、該当する商品やサービスにまつわるノウハウを提供することで間接的に自社が持つ蓄積情報の奥深さ、視点の確かさを表現することで信頼性を高めていく。それがブランド強化につながっていく・・・というしくみがコンテンツマーケティングの本来の姿。
そしてこれらのコンテンツを公開する場所がオウンドメディアであったはず。

あくまでもユーザーのためになる情報や何らかの行動を示唆してくれるなど、読者が「読んで良かった」「助かった」と思える情報を提供できてこそ、オウンドメディアとしての使命を果たせる。

2.ターゲットの根底にある心理を満たせば、集客につながる

ダーツの矢が中心に集中

いいコンテンツは、一人歩きする力を持っている。
あなたの会社の運営するオウンドメディアで記事を読んだ人が、思わず誰かに教えたくなったり、ブックマークしたくなったり、SNSでシェアされたりと、コンテンツが勝手に拡散していくことになることがあるからだ。

しかし、コンテンツが拡散されていくためには、ユーザーが「これはすごい」「ためになる」「面白い」と誰かに伝えたくなるほどの高いクオリティがないと始まらない。

企業のオウンドメディアで発信する情報としては、商品に関連するノウハウ提供がもっとも取り組みやすいものになる。商品を開発したり、販売するなかで蓄積した経験値や研究成果ほどユーザーのためになることはないし、それを知ったユーザーは情報提供者の奥深さに感心する。

ただし、同じような記事がすでにある場合には、それに勝る情報提供が必要となる。ノウハウ集にさらに磨きをかけるのは、サービス精神。普通の情報に人々は関心を示さないし、その薄っぺらさ、やる気のなさに愛想さえつかされてしまうだろう。

たとえば、「のし紙」について紹介するとしよう。のし紙の種類や用途について説明するのは一般的。そこにもう一歩踏み込んだ内容を加えてみよう。

  • お祝い事とお悔やみごとの違いで気をつけるポイントは?
  • 包装紙の外側と内側に巻くとどんな違いがあるのか?・・・など。

のし紙について調べている人は、当たり前ながらのし紙について多くを知らない人であり、常識的なマナーをおさえておきたい、という気持ちがある。

彼らが知りたいことの本質は、単なるのし紙の書き方だけでなく、失礼のないように振る舞いたいということ。彼らの欲求の核心的な部分を満たしてあげることで、満足度はグッと高くなる。

3.スピーディに情報を発信できる仕組みづくりを

ボブスレーチームの奮闘に観客も興奮

クオリティが第一のコンテンツマーケティングだが、同時にコンテンツの量についても求められる。「筋トレ」と評する向きもあるほどだ。

最低限1週間に1度は更新したい。定期的にある程度の文字量で執筆し、同時にクオリティも維持する。そのためには、記事を作り出すための「仕組みづくり」が必要だ。

チームを組み、編集会議を開く

ターゲットとするユーザーが、今どんなことに興味をもっているのか、そこに自社が伝えたい情報を滑り込ませることができるか。常に広い視点で情報収集をしながら、目的にあった内容を詰めていく。そのためには、個人の視点よりも複数で意見を交えるほうが、より客観的な視点が得られやすい。オウンドメディアというからには、記事のクオリティを同じようなレベルで保つことも求められるのだ。

記事のプロトタイプを作る

よほど書き慣れた人でない限り、一から文章を書き出すには時間がかかる。量産するためには、ある程度スムーズに話の組み立てができるようなフォーマットが必要だ。
人気のオウンドメディアを見てみると、原稿の書き方にはいくつかのパターンがあることが分かる。

(1) 問題解決型

顧客の疑問に解決を

何かの課題を抱えている人のために、解決策を提供するというもの。

たとえば、「プレゼン下手を解決するための7つのポイント」や「春から一人暮らしを始める人必見、ワンルームのおしゃれな収納方法」などなど。
記事のフォーマットとしては、以下のような展開が多い。

  • イントロダクション
  • 解決策(箇条書きでいくつかのポイントを紹介)
  • まとめ、結論

その場合、タイトルに「プレゼン下手を解決するための」や「一人暮らしを始める人の」と、ターゲットを明確にしてあげることも大切。対象ユーザーの幅は狭くなっても、本当に知りたい人の目に届きやすくなる。また、解決策の内容はできるだけ具体的に、即実践できるような内容を紹介することも忘れてはいけない。

(2) ストーリー型

開かれた古い本に枯れたバラの花

しっかりと読ませるコンテンツに多いが、ここで重要なのは、論理的なストーリー展開になっているかどうかだ。「読んでみたが、結局何が言いたいのか分からない」では意味がない。

記事のフォーマットとして一般的に言われているのは、空 → 雨 → 傘(空を見たら、雨が降っていたので、傘をさした)というストーリー展開。
物語の基本パターンである起承転結は、読み物としては正解だが、オウンドメディアのコンテンツとして使うのは難しいかもしれない。

というのは、ネットで検索して何かの情報を得たい人が全文をじっくり読むケースは少ないからだ。斜め読みしても内容が掴めるように、サブタイトルで区切ったり、結論を前で提示するといった工夫が必要だ。

(3) キュレーション型

花の絵が描かれた、たくさんのカップ

他のWEBサイトなどで紹介されている情報を見つけてきて紹介するパターン。

たとえば、「おいしく食べて健康になれる、レシピサイト10選!」といったもの。
この場合、紹介する元ネタに信頼性があり、納得してもらえるセンスのある情報であるかが鍵になる。キュレーション型コンテンツを作る際には、個人の意見に偏らずに他のスタッフの意見も参考にしよう。

(4) 調査結果型

虫眼鏡で探す

たとえば、自社で行ったアンケートの結果報告。実際に現場を訪れて調べた状況報告など。

企画書や報告書を作る際に、使える調査結果がないか?と調べることは珍しくないはず。オフィスに空気清浄機の導入を申請したいとき、「空気清浄機を導入した100社に聞いた、導入して良かったこと」といった調査結果があると担当者は喜んで流用してくれるだろう。

この場合気をつけなくてはいけないのは、信憑性とデータのまとめ方。調査結果は、直感的に理解できるようにポイントをまとめておこう。インフォグラフィックのように、統計値やグラフを分かりやすくデザイン化したものもシェアされやすいので、おすすめだ。

4.企業文化やポリシーを表現しよう

議会で演説する議員

オウンドメディアの存在意義は、「オウンド」にある。既存のマスメディアでは得られない発想や、専門家としてのノウハウや意見など、ある分野で実績を重ねてきた企業だからこそ発信できるコンテンツに価値があるからだ。

  • スターバックスに伝わる、初めてのお客さまとの会話テクニック
  • ユニクロ社員が教える、普通っぽいのに人目を惹く着こなし術

お客さまとのコミュニケーションに重きを置いているスターバックスが教えてくれるなら、ちょっと読んでみたくなるだろう。企業が長年培ってきたノウハウや文化をベースに語るコンテンツは、それだけで説得力がある。「元○○企業のトップ営業マンが教える、新規客を落とす100のノウハウ」なんて本が売れるのも、このためだ。

一つひとつの記事はバラエティーに富んでいても、その根本には企業文化やポリシー、そして企業文化が感じられる。それでこそ、競合他社に負けない、オウンドメディアではないだろうか。

実は、オウンドメディア作りは役得である

ネットで解決方法を見つけた女性

「オウンドメディアを運営する」というと、とても大変な課題のように聞こえる。しかし、捉え方によってはこれほど学べる仕事はない。

普段は話す機会のない他部署のスペシャリストや、時には経営陣にさえ「取材」という形でじっくりと話を聞くチャンスが与えられるのだ。しかも、コンテンツを発信するターゲットは一般ユーザーであるため、今さら聞けない基礎的なことであっても、堂々と質問できる。

加えて、論理的な思考やライティング能力、企画力など、将来ステップアップするために必要な力を磨くことにもなる。しっかりした文章が書ければ、ステップアップの可能性は大きく広がる。これは間違いない事実だ。

オウンドメディアを運営する担当になったなら、「ラッキー!」と感じるべきだ。就業時間中に将来のためのトレーニングができるのだから。

WordPressでPDFを取り込む方法と、気をつけるポイント

WordPressでPDFを取り込む方法と、気をつけるポイント

CMS導入がコーポレートサイト構築時の機能要件として必須となったいま、対象となることが多いのがニュース、トピックス、新着情報などと呼ばれるセクションだ。
このセクションの機能として、多いリクエストはPDFの掲示だろう。もっとも、情報の根幹となるテキストの整形、写真の挿入機能などを省いてのことではあるが。

この記事では、CMSとしてWordPressを採用しているコーポレートサイトにおいて、特別なプラグインをインストールすることなくPDFを掲示する方法をお伝えする。

予算の関係でそこまでの作り込みが依頼できなかった、もしくはWEB制作会社の配慮がなかったために、PDFを掲示するための機能が盛り込まれていないCMSをご利用のWEB担当者の参考になれば幸いだ。

あなたがWordPress初心者であっても問題ない。
カスタマイズされていない管理画面で、なおかつWordPress標準のエディターを利用するだけ、という条件でPDFを掲示できるようになるポイントを紹介しているからだ。

PDFの掲示で、おさえておきたいこと

PDFの掲示で、おさえておきたいこと

WordPressの操作方法の説明に入る前に、PDF改ざんの可能性について確認しておこう。

コーポレートサイトで注意すべきことのひとつに、ファイル改ざんのリスクがある。
PDFファイルは、リードオンリー(書き込み不可)の電子ドキュメントとの認識している方がいるが、PDFは簡単に書き換え可能な電子ドキュメントなのだ。
Adobe社のAcrobatやサードパーティのソフトが手元にあれば、内容の書き換え、編集など簡単にできてしまう。それなのに、重要な決算情報やニュースリリースに書き込み不可とするセキュリティをかけていないPDFドキュメントが多いのが現実なのだ。

オウンドメディアとしてWEBサイトで情報をダイレクトに発信するにあたっては、インターネットの怖さ、悪意の第三者から身を守る最低限のリテラシーを持ち合わせておくべきだ。

書き込み不可にするセキュリティ設定は、前述のAdobe社「Acrobat」を利用しよう。
まず、「ファイル」>「プロパティ」>「セキュリティ」タブから表示される画面を表示させ、図で示す設定を行う。たったこれだけの手間をかけるだけで、あなたの会社のセキュリティレベルは格段にアップする。

大量のPDFファイルに対してセキュリティ設定を施す場合は、「アドバンスト」>「文書処理」>「バッチ処理」からバッチ処理で一括処理することも可能だ。

Acrobatのセキュリティ設定

WordPressでPDFを取り込む方法と、気をつけるポイント、後半は

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質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法

質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法

コーポレートサイトに企業の強みや特長を紹介するコンテンツを作ることが多くなり、WEB担当ではない部門の方にインタビューをする機会がある。大切な話を聞けるチャンスはほとんどの場合が1回きりだから、その貴重な時間をいかに有効に使うことができるかは全てあなたの質問力にかかっている。

初対面の相手から気持ちよく核心を引き出すには、少しだけ工夫が必要だ。しかしそれができていなければ、インタビューは「何となく」の結果になり、お互いの貴重な時間は無駄になり、あなたへの信頼は崩れ去ってしまう。

この記事では、インタビュー経験が豊富でなくても、相手の懐に飛び込み、話の核心にぐいぐい迫る効果的な質問の仕方をご紹介する。

[ 1. 事前の準備 ]

1-1. 質問したいポイント3つをまとめる

質問したいポイント3つをまとめる

何の準備もなくインタビューに臨んでもぼんやりとした会話に終わってしまうだけ。予め自分が何を聞きたいのか、ポイント3つにまとめておこう。そのためにインタビューする相手の周辺情報を調べておくことも必須だ。

1-2. 質問から始まる、次の展開を構成しておく

3つの質問が決まったら、それを聞いた後の話の展開も考えておく。

「無料キャンペーンを始めたきっかけは?」
「誰もやっていなかったからだよ」
「ははー、なるほど。すごいですね。ユーザーは喜んだでしょう」
「そうだね」

これでは会話が発展しないし、質問される側も盛り上がらない。

「いきなり無料では、社内の反対もあったんではないですか?」
「でも私には、ある核心があったんです」
「え、どんな核心なんです?」
「それは・・・」

社内の反対をどう説得したのか?マーケットで、それはなぜブランド認知のきっかけに作用したのか?など、次の展開を考えたうえでの質問を繰り出そう。

1-3. 会話が向かうべき結論を定めておく

そのような準備がなぜ必要なのか?それは最終的にまとめたいインタビュー記事の結論に向かわせるためにある。

[ 2. 質問の場面で ]

2-1. 最初の15分が勝負だ

最初の15分が勝負だ

筆者が尊敬する大学の経営学の教授によると、初対面で10~15分話せば相手のレベルが分かるという。

個人差はあるものの、誰でも最初の数分間で「こいつとは気が合いそうだ」とか「なかなか話が分かる人だ」と判断している。

最初の切り出し方で相手の興味を惹かせることができれば、会話はスムーズに発展する。

「実は私、先生の本の大ファンなのです」とか
「御社の商品のまったく新しい使い方を考えたんですけど・・・」などなど。

何も小難しいことを言う必要はない。素直に心を開いて一歩踏み出せば道は拓けるものだ。

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質問の仕方。話の核心に触れるための6つの方法、後半は

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