タグ別アーカイブ: PDF

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

コーポレートサイトのIR情報セクションは、上場している企業の生の姿を個人投資家、機関投資家の区別なく見てもらうためにある。
株式市場で資金調達を行う傾向が色濃くなりつつあるいま、IR情報セクションはコーポレートサイトのなかでも、重要な役割を果たしているパートと言えるのだ。もちろん、投資家にとってコーポレートサイトのIR情報セクションは、数多くある情報収集チャンネルのひとつに過ぎない。ただ、情報の基本ソースであるコーポレートサイトにおいて、より良いかたちで財務情報を提供することは、前述の企業の姿を見せることにおいて「信頼」を感じさせるうえでもたいせつなのだ。

この記事では、企業が情報開示を行ううえでの「信頼性」にフォーカスし、決算情報をセキュアに公開する方法をお伝えする。

公開予定日に正確に重要情報を公開する

公開予定日に正確に重要情報を公開する

証券取引では、決算情報を知りうる内部者によって、情報が一般公開される前に証券取引を行うことを「インサイダー取引」として処罰の対象となる。一般の投資家との不公平をなくすためのルールだ。

しかし、ネットによる決算情報の公開が一般的になり、インサイダー取引と同じレベルで一般の投資家と不公平を起こす事件が起きた。
超巨大企業の決算情報が公開前にアクセス可能となっていて、事前に漏れてしまったのだ。

決算データを公開予約していた企業のCMSがあろうことか、WEBサーバーの公開領域にPDFファイルを置いていた。しかも外部から予測できるような規則的なファイル名で(2015年度第三四半期の決算短針を「tanshin-2015c.pdf」のように)。

PDFをセキュアに保存する

PDFをセキュアに保存する

公開の段取りを紹介する前に、PDFファイルのセキュリティについて確認しておく。
PDFファイルは、第三者による書き換えが可能なデータである。ということは、あなたが公開しているPDFファイルにセキュリティがかけられていなければ、悪意の第三者がファイルを改ざんし、ネット上に流したとしたらどうなるだろう?

ありえない数字に書き換えられた決算短信がネットを駆けめぐり、株価に影響する。そんなデマによって、株価が上がっても下がっても大問題だ。企業が直接起こしたことではないにせよ、責任の一端はあると筆者は考える。重要書類をセキュリティもかけずに放置していたのだから。

PDFファイルには、パスワードによるセキュリティをかけることによって、書き換えを不可能にする機能がある。財務に関するものや、その他重要な情報をコーポレートサイトで公開する際には、セキュリティ機能を使うべきだ。

1.ランダム文字列で公開領域に保存する

100%セキュアとは言えないが、おおよそ問題ないレベルの情報公開方法が、CMSで決算データのPDFのファイル名を数十桁のランダム文字列にするものだ。英数記号をランダムに組み合わせれば、天文学的な回数のトライを重ねなければ解き明かすことはできない。プログラムの力を借りても、実質的にアクセスは不可能になる。

1.ランダム文字列で公開領域に保存する

ただ、天文学的な文字列の組み合わせが必要だとしても、公開領域にPDFファイルが置かれている以上、万が一ということはある。その可能性をも排除する方法が次の施策だ。

2.プログラムでのみアクセスさせる方法

この方法は、ほぼ外部からのアクセスができない方法だ。読者には、この方法を強くおすすめしたい。

まず、公開情報はWEBサーバーの公開領域には置かない。
さらに、公開情報をダウンロードするためには、非公開領域にあるPDFファイルへは、プログラムでしかアクセスを許可しないようにするのだ。しかもそのプログラムは正式な公開日時まで稼動しないように設定する。

おおよその仕組みは前述の通りだが、実際のシステムにはさらに厳密なセキュリティを施してある。
こうしておけば、外部から正式な公開前に漏えいすることはない。それほど決算情報は守られるべき情報なのだ。

2.プログラムでのみアクセスさせる方法

重要情報の事前漏洩を防止する

重要情報の事前漏洩を防止する

外部からの資金調達を目的として株式を公開したからには、すべての投資家にとって完全に公平性を担保した状態で重要情報を明らかにすることが必須だ。情報の事前漏洩が起こった原因が、ネットに関するリテラシーが低かったからという言い訳は通じない。コーポレートサイトをオウンドメディアとして運営している以上、すべての責任を負う覚悟が必要なのだ。

CMSによって社内での更新があたりまえになったいま、コーポレートサイトのIR情報においては、セキュアな方法で重要情報を公開する堅実な施策が求められているのだ。

WordPressでPDFを取り込む方法と、気をつけるポイント

WordPressでPDFを取り込む方法と、気をつけるポイント

CMS導入がコーポレートサイト構築時の機能要件として必須となったいま、対象となることが多いのがニュース、トピックス、新着情報などと呼ばれるセクションだ。
このセクションの機能として、多いリクエストはPDFの掲示だろう。もっとも、情報の根幹となるテキストの整形、写真の挿入機能などを省いてのことではあるが。

この記事では、CMSとしてWordPressを採用しているコーポレートサイトにおいて、特別なプラグインをインストールすることなくPDFを掲示する方法をお伝えする。

予算の関係でそこまでの作り込みが依頼できなかった、もしくはWEB制作会社の配慮がなかったために、PDFを掲示するための機能が盛り込まれていないCMSをご利用のWEB担当者の参考になれば幸いだ。

あなたがWordPress初心者であっても問題ない。
カスタマイズされていない管理画面で、なおかつWordPress標準のエディターを利用するだけ、という条件でPDFを掲示できるようになるポイントを紹介しているからだ。

PDFの掲示で、おさえておきたいこと

PDFの掲示で、おさえておきたいこと

WordPressの操作方法の説明に入る前に、PDF改ざんの可能性について確認しておこう。

コーポレートサイトで注意すべきことのひとつに、ファイル改ざんのリスクがある。
PDFファイルは、リードオンリー(書き込み不可)の電子ドキュメントとの認識している方がいるが、PDFは簡単に書き換え可能な電子ドキュメントなのだ。
Adobe社のAcrobatやサードパーティのソフトが手元にあれば、内容の書き換え、編集など簡単にできてしまう。それなのに、重要な決算情報やニュースリリースに書き込み不可とするセキュリティをかけていないPDFドキュメントが多いのが現実なのだ。

オウンドメディアとしてWEBサイトで情報をダイレクトに発信するにあたっては、インターネットの怖さ、悪意の第三者から身を守る最低限のリテラシーを持ち合わせておくべきだ。

書き込み不可にするセキュリティ設定は、前述のAdobe社「Acrobat」を利用しよう。
まず、「ファイル」>「プロパティ」>「セキュリティ」タブから表示される画面を表示させ、図で示す設定を行う。たったこれだけの手間をかけるだけで、あなたの会社のセキュリティレベルは格段にアップする。

大量のPDFファイルに対してセキュリティ設定を施す場合は、「アドバンスト」>「文書処理」>「バッチ処理」からバッチ処理で一括処理することも可能だ。

Acrobatのセキュリティ設定

WordPressでPDFを取り込む方法と、気をつけるポイント、後半は

次ページ「PDFファイルへのリンク方法」へ

これで完璧、WordPressでニュースの設定

これで完璧。WordPressでトピックスの設定リスト

コーポレートサイトで必要な、ニュース(お知らせ、新着情報)などのリリース情報。

製造企業が新製品をリリースする際には、詳細内容に商品写真を多用したり、表組みを用いてスペックを掲示するなど、テキストのみに限らないケースが発生する。WordPressであればHTMLを記述できるので、対応は可能だ。

しかし、このような基本仕様では対応できない場合や、クライアント側のみで運用するなど、HTMLによる入力が困難な場合は、ニュースの掲載パターンをあらかじめ精査し、入力項目の追加とテーマファイルの改造で、柔軟に対応できる。

この記事では、ニュースにWordPressを活用する際に、おおよそコーポレートサイトで必要となる基本的な仕様と実現方法を紹介しよう。

ニュースの基本構成と基本入力項目

当社がニュースにWordPressを組み入れる場合の、基本構成(基本仕様)を以下に示しておく。よほど特殊なケースを除いて、以下の基本仕様でほぼすべての案件のニュースを実現している。

ニュースの基本構成

基本仕様の表示項目を以下に示す。

項目 内容
更新日(掲載日) ニュースのリリース日
WordPressの公開日時を利用
タイトル ニュース一覧やトピックス詳細のタイトル
WordPressのタイトルを利用
本文 ニュース詳細の内容
WordPressの記事本文を利用
リンクURL タイトルをクリックされた場合、ニュース一覧から詳細を表示することなく、入力されたURLの直接リンク先を表示
Advanced Custom Fieldsプラグインを利用
PDFファイル タイトルをクリックされた場合、PDFファイルへリンクする
PDFファイルのアップロード機能を含む
Advanced Custom Fieldsプラグインを利用
別ウィンドウ表示 上記URLもしくはPDFが入力されている場合、ブラウザの別ウィンドウ(タブ)で表示するかどうかの設定
Advanced Custom Fieldsプラグインを利用

※リンクURLが入力されている場合は、本文よりも優先する。
※PDFファイルが指定(アップロード)されている場合は、リンクURLよりも優先する。

ニュースの入力画面

ニュースの入力画面は以下の通り。

入力画面

サイトTOPページへの新着を10件表示する方法

HOMEで最新のニュース数件を表示したり、常にサイドバーに表示したり、あるセクションのトップにそのカテゴリーに関連するものだけを抽出して表示したりすることがある。
この場合には、前記事「WordPressの記事を、一定期間で非公開にする方法」で紹介した独自ツールを制作し、SSIで静的HTMLに組み込む方法で対応している。

WordPressの記事を、一定期間で非公開にする方法

以下にソースの一例を挙げておく。

<?php
require('./topics/wp-load.php');
require('./topics/wp-config.php');
?>
<?php
	$post_all = array(
		'post_type'  		=> 'post',
		'numberposts'		=> 5,

	);
	$get_posts = get_posts($post_all);
?>

<?php if(!empty($get_posts)):?>
<dl>
<?php foreach($get_posts as $get_post):?>
	<?php
		$post_id = $get_post->ID;
		$get_post_time = get_the_time('n月j日',$post_id);
		$post_cat = get_the_category($post_id);
		$topics_url = get_field('topics_url',$post_id);
		$topics_window = get_field('topics_window',$post_id);
		$topics_pdf = get_field('topics_pdf',$post_id);
	?>

	<dt><?php echo $get_post_time;?></dt>

	<?php if (!empty($topics_pdf)):?>
		<?php if($topics_window == "はい"):?>
			<dd><a href="<?php echo $topics_pdf;?>" class="arw-pdf" target="_blank"><?php echo $get_post->post_title;?></a></dd>
		<?php else:?>
			<dd><a href="<?php echo $topics_pdf;?>" class="arw-pdf" ><?php echo $get_post->post_title;?></a></dd>
		<?php endif;?>
	<?php elseif(!empty($topics_url)):?>
		<?php if($topics_window == "はい"):?>
			<dd><a href="<?php echo $topics_url;?>" target="_blank"><?php echo $get_post->post_title;?></a></dd>
		<?php else:?>
			<dd><a href="<?php echo $topics_url;?>"><?php echo $get_post->post_title;?></a></dd>
		<?php endif;?>
	<?php else:?>
		<dd><a href="/topics/?p=<?php echo $post_id;?>"><?php echo $get_post->post_title;?></a></dd>
	<?php endif;?>
<?php endforeach;?>
</dl>
<?php endif;?>

カテゴライズとタブ化

製造企業の場合、広報系の情報(IRや人事異動など)と製造部門(開発部門)発信の新製品や仕様変更などに関する情報、サポート部門のリコール情報や製造中止に関する情報などが混在するため、ニュースのカテゴライズ(分類)が、追加要件としてよく発生する(タブなどで分類、内容を切り替えて表現するなど)。
その場合は、WordPress標準の「カテゴリー」を利用してニュースを分類、表示処理でカテゴリーを加味して処理する。

ニュースのカテゴリーとタブ化の例を以下に示す。

タブ化その1
タブ化その2

後付け可能なニュースのWordPress化

既存のWEBサイトが静的なHTMLで構成されていても、ニュースのみWordPressによるCMS化が可能だ。ただし、サーバー環境がWordPressの稼働条件を満たしている必要はある。
従って、次のサイトリニューアルを待たなくても、ニュースだけCMS化で一歩先を行くことができるのだ。

ニュースとWordPressの相性

ニュースとWordPressの相性

そもそも、WordPressはブログのためのエンジンであり、日々更新される記事を時系列に蓄積し、表示することを目的としている。

WordPressとニュースの相性は非常に良い。
WordPressが標準で備えている「タイトル」「本文」「カテゴリー」「公開日」だけでも最低限のニュース機能を実現することは可能だが、やはりこの記事で紹介したように、各企業が培ってきた方法に則した情報の公開をサポートするべきだ。

より良いカスタマイズによって、運用を円滑にし、ムダを排除できるようになる。まず足下にある情報の発信方法、他社の方法を研究することで効果的な運用方法から検討を始めてはいかがだろうか。