コラム(ブランディング)

ブランディング 2024年3月6日

中小企業のブランディング、大きなメリット5つ

中小企業の経営者

コラムの冒頭ではありますが、中小企業の経営者の方々に断言してもいい。ブランディングに取り組めば、中小企業のほうが大企業よりも効果は早く出ます。なぜかといえば、ブランディングは外向けのエクスターナル(アウター)よりも、インターナル(インナー)のほうがたいせつで、インターナルはほぼ「人を動かす」課題を多く含んでいるから。
具体的に言うと、ブランディングを進める過程で、ブランドアイデンティティやミッション、理念などを社内に浸透させようとするとき、社内を変えていかないとそれは成功しない。しかし、それをスムーズに進められないのは「人を動かす」ことが容易ではないからです。

中小企業なら、数人~百人ほどの「人を動かす」だけで済みますが、大企業となると千人~数万人規模で浸透させなければなりません。どれほどの労力、時間が必要でしょうか。さらに中小企業であれば、経営者の目の届く範囲に社員はいますが、大企業になると経営者が名前を知らない社員がほとんど。この環境下で、全社員に同じ方向を向かせるのは簡単ではないわけです。

中小企業の経営者であるあなたに、もうひとつ伝えたいことがあります。
御社にも、まだ気づいていない、言葉に落とし込めていないだけで、すでにしっかりした「ブランド」があります。それをフレームワークなどを使って、ていねいに内省し、社内の合意を得ていくプロセスがブランディング。このプロセスを経ることが、次に挙げるメリットを生むのです。

中小企業がブランディングを実施するメリット

1. 認知度の向上

ブランディングは、企業や製品の認知度を向上させるための手段でもあります。正しいブランディング戦略を持つことで、顧客は企業や製品を認識しやすくなり、購買意欲が高まります。とくに中小企業の場合、知名度を上げることは新規顧客を獲得するうえで非常に重要なポイントとなります。

星野リゾートの星野佳路社長が、まだまだ今のような規模でなかったとき、リピーターを徹底的に調査しました。なぜこの旅館に繰り返し来てくれるのか。そこには確固たる理由があるはずで、その理由が分かれば、まだ見ぬ同じ価値観を持つ顧客にも訴求すれば、新規客が増えるはずだと。
星野社長は、経営学の権威が主張する理論を徹底的に実践することで有名なので、おそらくブランディングの理論にどこかで触れられたのだと思います。その結果は、あなたもご存知のとおり。まだ中小企業だった星野リゾートが成長する源泉にもなったのです。


 

2. 競合他社との差別化

競争が激しい市場では、自社の製品やサービスを差別化することが生き残る条件です。ブランディングのプロセスで最初に行うフレームワークはクロス3C。顧客が求める購買条件のひとつを自社だけが持つ優位性で賄えるかを確認する作業(ブルー・オーシャンを見つける)です。他社も同様の優位性を持っているなら、それはレッドオーシャン。血の雨が降る海ですから、消耗戦になってしまいます。体力のない中小企業は、ここで戦ってはいけません。

ブランディングを通じて、企業は独自の優位性に基づく価値提案や個性を表現し、競合他社との差別化を図ることができるようになります。また、顧客にとっても、製品を選ぶ理由が明確になるのです。


 

3. 信頼とロイヤルティの構築

正しいブランディングは、顧客との信頼関係を築く基盤となり得ます。企業が一貫したメッセージや価値観を伝えることで、顧客は安心し、継続的な購買や応援をしてくれるようになります。もちろん、つまみ食いはするかもしれませんが、結局あなたの会社で得ていた満足感を消し去ることはできず、再度顧客として戻ってくるようになります。

ブランディングは、LTV(顧客生涯価値)を多く生み出してくれる顧客が多く現れる可能性を秘めています。言い換えれば、自社を長く継続させるための施策とも言えるのです。


 

4. 成長と展開の支援

あなたは融資を受ける際、金融機関の担当者に自社の強みを胸を張って語っているでしょうか。金融庁は、中小企業への融資について、現状だけを見るのではなく、将来性も含めて勘案するように通達を出しています。
ブランディングを行うことにより、自社の優位性、自社を端的に表現することができるようになり、金融機関の担当者の記憶にも残りやすくなるでしょう。

ブランディングは、企業の成長や発展をサポートする重要な施策。正しいブランディングを推進する企業は、新しい市場や顧客層に訴求しやすくなるのです。


 

5. 社員が考えはじめる社風をつくるきっかけに

フレイバーズがコンサルティングするブランディングは、プロジェクトチームを導きますが、決して答えを教えることはしません。すべてのプロセスでプロジェクトメンバーは、悩み、考え、ときに言い合いをしながら、自ら答えを導き出していきます。

中小企業にありがちなのは、トップの指示を実行するだけになってしまっている組織。経営者であれば、自走してくれる組織に変革しないと、社長が本来やるべき仕事がいつまでたってもできない事態に陥ってしまいます。ブランディングを実行することで得られる副産物として大きいのは、社員が自ら考え動く経験ができることと、視座を高く持てるようになること。
ブランディングは、通常の業務では果たせない社員教育にも寄与してくれるのです。

インターナルブランディングの進め方

中小企業が輝く存在であるために

日本の全労働人口の70%を占める中小企業。日本にとって、この大きな存在である中小企業が元気で輝いていないと、この国の将来は危ういものになってしまいます。
これまでみてきたように、ブランディングは中小企業にとって厳しい市場で成功するために欠かせない要素であり、十分に検討する価値がある施策です。経営者は、今だけを見るのではなく、20年後この会社をどうしたいかを考えるのがほんとうの仕事。今いる社員のために、ぜひブランディングの導入をご検討ください。

中小企業庁「中小企業白書」:第1節 ブランドの構築・維持に向けた取組

シェアする
  • line

別のコラムにもヒントがあるかも・・・

このコラムに興味があったなら、
こんなコラムも

執筆:平田 弘幸

フレイバーズに、ご相談されませんか?