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総務・人事・経理イベントに、約1.6万人が集まる理由

総務・人事・経理イベントに、約1.6万人が集まる理由

「えっ、9,000円もするんですか?」
告知内容をよく見ずに訪れた、「第4回[関西] 総務・人事・経理 Week」インテックス大阪の基調講演でのこと。ちょっと尻込みしてしまった私をよそに、続々と来場者が受付を済ませていきます。

失礼ながら、内容的にもっと地味な集まりかと思っていた私は、その盛況ぶりにびっくり。
そして、もっと驚かされたのは、イベント集客のしくみが実に上手くできていることでした。

1.集客の目玉は、有料でも行きたくなる基調講演
「ワーク・ライフ・バランス、経営戦略としての働き方改革」。
いまや注目が集まる働き方改革について、エキスパートが登壇されるセミナー。企業にとっては高くない料金設定であり、また無料でないだけに本気度の高い集客を見込めるはずです。

2.動線の工夫
その基調講演が開かれるのは、展示会場のいちばん奥。その行き帰りで、来場者は展示ブ
ースに立ち寄りやすくなります。

3.商談活用のアドバイスつき
「見込みの高い顧客候補を、VIP招待してください」
主催者は、出展企業にこんなアドバイスをしているのです。
招待された方は「おもしろそう、行ってみるか」と足を運び、その帰りに出展企業のブースにも立ち寄る。
「ありがとう、非常に参考になりましたよ」となれば、商談も進めやすくなるというもの。

4.結果が出ると、来年も出展したくなる
そんなアドバイスのせいか、「ビジネスにつながる」イベントとなれば、出展企業は来年
もまた出たくなる。という訳で、来年の出展リストはほぼ確定されているとか。

何事も、明確な目的をもって動くべきなのだと、改めて勉強させてもらった一日でした。

※「フレイバーズ月1メール」よりご紹介。
フレイバーズでは月1回程度の頻度で、皆さまにお役に立てそうな情報をお送りしています。

ロングテールSEOで、集客+CVRアップを図る5つの秘策

ロングテールSEOで、集客+CVRアップを図る5つの秘策

ロングテールSEOは、多くの費用をかけずに、安定したアクセスを着実に伸ばせる唯一の方法だ。ただし、安易にコンテンツをいくら増やしても、検索順位は上がらないので効果も出ない。

たとえば、安価にコンテンツ執筆を代行するサービスを見つけたので、ラクをしようと考えた。しかし、Googleを相手にラクラク効果を出せるなどということはあり得ない。
誰かが、これならいけると金儲けのネタとして考えたサービスを使ったところで、Googleが「この記事は専門性が高い」と高評価をつけるわけがないではないか。世界でも有数の頭脳の持ち主が集まった組織が作った検索アルゴリズムは、そんなにバカではない。

一方で、安易なサービスを使わず自分で真摯にコンテンツを更新しているWEBマスターなのに、思うような効果が出ずに挫折しかけている方がいるかもしれない。

この記事では、マジメに集客に取り組んでいるにもかかわらず理想的な効果を出せずにいるWEBマスターに、ロングテールSEOによる集客の実践的な方法をお伝えしたいと考えている。基本的な考え方とテクニックを汲み取っていただければ、自社に合った具体的な方法に落とし込むだけ。ただし、相応の地道な努力が必要になることだけはお伝えしておきたい。

ロングテールSEOとは

ロングテールSEOとは

まずはじめに、ロングテールSEOの概念について、ご紹介しておきたい。すでにご存知の方も、おさらいのつもりで斜め読みしてほしい。

2004年10月にアメリカ・WIRED誌のクリス・アンダーソン氏が「ネット販売では、80%の販売数の少ない商品の総額が、全体売り上げの80%を作り出す」と発表した理論だ。一般的にはパレートの法則(20%の商品や顧客が全体売り上げの80%を占める)が主流だが、アマゾンのようなネットショップでは在庫の量が限りなくゼロに近く、店頭展示もないので、販売量の少ない商品をそろえておくことができる。
しかも、世の中には販売量の少ない商品でも求めている人がいるので、このニーズまで拾うことができれば、大きな売り上げにつながるということなのだ。

この「反パレートの法則」ともいうべき理論をSEOに昇華させたものがロングテールSEOだ。

実際、WEBサイトに集客しているキーワードには、主要なものがいくつかある。しかし、アナリティクスやウェブマスターツールで確認すると、全体のアクセスに対する比率はさほど高くないことに気づかないだろうか。
たとえば、ある企業のアクセスを解析してみると、社名以外のキーワードでもっとも多いもので540件。これは検索エンジン経由全体の流入数7,569件に対する比率としては7%にしかすぎない。クリック数が2桁のものだけを集めても全体の34%にしかならない。残りの66%は、クリック数1桁のキーワードによって集まってきているのだ。

ロングテールSEOの概念

実店舗では、在庫や展示スペース、回転資金の制約から売れ筋の商品しか置けないが、全国規模の市場がターゲットになるインターネットでは、工夫次第でとても小さな需要に対応することができる。コンテンツでも同様で、検索ユーザーそれぞれの頭に浮かんだキーワードは千差万別で、とても集約することなどできない。ネットショップとインターネット検索では、この構造がきわめて近いのである。

だからロングテールSEOを実施する価値があるということになるのだ。

ロングテールSEOを実施するメリット

安定的なアクセスを確保できる

ロングテールSEOを実施するメリット

ロングテールSEOのメリットとしては、安定的なアクセスを確保できること、コンバージョン率が高いことが挙げられる。

安定的なアクセスを集められることは、集客が売上のカギとなるネットショップやネットサービス、引き合いを入手したいWEB担当者にとっては、大きなメリットだ。
もしあなたのWEBサイトが、それひとつで大きなアクセスを集められるビッグワードでの集客に頼っていると、Googleの検索アルゴリズムによる仕様変更や競合他社の台頭などで状況は一変する。市場の変化によって、アクセスが激減してしまう可能性があるのだ。

これに対して、ロングテールSEOが生きているWEBサイトは、ひとつひとつのキーワードに対するアクセスは少ないが、多くのキーワードで少しずつアクセスを集められるので、リスクが分散されていて、状況が変化したところでアクセスが激減する可能性はきわめて低い。

コンバージョン率の高さ

コンバージョン率の高さ

もうひとつの大きなメリットは、コンバージョン率の高さだ。
ビッグワードは、単語ひとつのことがほとんどで、それだけでは検索ユーザーがどういった意図で検索しているのか推測しづらい。たとえば、「税理士」はGoogleの月間検索ボリューム33,000件を超えるビッグワードだが、検索ユーザーが税理士に何を期待して検索しているのかまでキーワードから推測することができない。

上手い節税の仕方を教えてくれる税理士を探しているのか、安価な顧問料でサポートしてほしいのか、税理士試験にチャレンジしようとしている学生かもしれない。
それが「税理士 電話相談」なら、月間の検索ボリュームはわずか50件だが、上位に表示されれば、かなり成約率は高まりそうだ(※)。

しかも検索ボリュームの少ないロングテールキーワードに絞り込めば、競合が格段に少なくなり上位に表示されやすくなる。ロングテールSEOは、あなたが汗をかけばかくほど実りある結果を得やすい集客術なのだ。

※「税理士 電話相談」は、税理士協会などが行っている無料相談があることから、実際の仕事につながることは少ないかもしれない。読者においては、該当するキーワードで検索した結果を踏まえて、ロングテールSEOの対象とすべきかを判断してほしい。

ロングテールSEOを成功させる考え方

ロングテールSEOを成功させる考え方

ロングテールSEOを成功させるためもっとも大切なのは、キーワードの選択だ。
ロングテールだからといって、誰からも検索されないキーワードを設定したところで、水たまりで釣り糸を垂らしているのと同じ。釣果など期待はできない。

キーワードの設定には、Googleアドワーズの「キーワードプランナー」などを使い、月間の検索ボリュームを見極めてから計画をスタートしよう。ここで大切なのは、検索ボリュームが数千にもなるキーワードを設定するのではなく、数十でも競合の少ないキーワードを設定する方が得策だということだ。
対象とするキーワードの探し方は、筆者の記事「SEOコンテンツを最強にするテクニック、ベスト5」で詳しく紹介したので、参考にしてほしい。

SEOコンテンツを最強にするテクニック、ベスト5

ロングテールSEOを成功させるために大切なことがもうひとつある。思想的なことではあるが、上位表示をさせるためには重要なことだ。それは、記事を読む人にとって、良いコンテンツを提供するということ。

Googleは、自らはコンテンツを何も持っていない。持っているのは私たちだ。彼らは、コンテンツを持っている人と探している人の仲介をしているのであり、もし良いコンテンツが存在しなければ、Googleは探している人に何も差し出すものがないのだから、存在する価値さえなくなってしまう。さらに、探している人の役に立つコンテンツを教えられなければ、「ダメ検索エンジン」のレッテルを貼られてしまうのだ。

だからGoogleは、探している人にとって役に立つコンテンツを選ぶ手段(上位表示アルゴリズム)を常にアップデートしているのだ。

Googleの事情から見ても、探し物をしている人の心情から考えても、良いコンテンツ、役に立つコンテンツは大歓迎される。誰からも支持されるすばらしいコンテンツを作ることこそ、SEOの要諦なのだ。

Googleは、検索結果からユーザーが良質なサイトを見つけやすくすることに特に取り組んでいます。

Googleウェブマスター向け公式ブログ

ロングテールSEOを実施するためのHACK

HACK1:現在のコンテンツを改善する

現在のコンテンツを改善する

WEBサイトを運営するうえで、もっとも大切なことは細やかなメンテナンスだ。日々の業務に追われて少しの配慮ができなくなってしまうと、せっかくの宝の山を見過ごしてしまうかもしれない。

リリースしたことで満足してはいけない、ということだ。
つまり、コンテンツをリリースした後も、Google、訪問者からコンテンツに対する反応を改善に活用するということ。

ページタイトル、見出しの前方にキーワードを置けば、表示順位は改善される

狙ったキーワードで順位が思うように上がらなかったなら、コンテンツに含まれているキーワードの位置や見出しにキーワードが含まれているかをチェックする。とくにコンテンツのページタイトルや記事の見出しにキーワードを前方に置くだけで、かなりの改善ができる。もしこのポイントができていなければ、即改善を施そう。

滞在時間が短ければ、内容を再検討

訪問者は、辛辣にあなたの執筆した記事に評価を下してくれる。
予想していたより短い時間しか滞在してくれていなかったり、SNSでシェアされることがほとんどないといった状況なら、コンテンツ自体の内容に問題がある。検索上位に表示されている他サイトのコンテンツと比べて劣っている点がないか、独自の視点でテーマを解説できているか確認してみよう。

Googleの検索アルゴリズムは、あなたが考えている以上に賢い。
キーワードが詰め込まれているだけでは、それなりの評価しかしてくれない。あなたの執筆した記事が、読者のためになるかどうか、オリジナリティがあるかを判断する能力を持っているのだ。

HACK2:キーワードから推測する記事のポイントをすり合わせる

キーワードから推測する記事のポイントをすり合わせる

ロングテールSEOで成功するためには、キーワードからイメージできる、読者がチェックしたくなるコンテンツの内容をリストアップしてみよう。
たとえばその内容を3つ思いついたら、内容に過不足がないかリサーチを行う。

該当キーワードで検索した結果、上位5件ほどの記事に目を通し、あなたが持っている内容があるならOK。ないなら、なお良い。もし不足しているなら、不足分を補えるようにコンテンツを組み立て直そう。

リサーチとはいえ、あなたが持っている知識と先人たちの知識をすり合わせることで、あなたが執筆しようとしているテーマをより深く知ることができる。あなたの勉強の時間でもあるのだ。

アウトプットするためには、その10倍のインプットが必要だと言われる。
検索上位の記事を5本ほど読めば、そのテーマに対するあなたの知識量を知ることにもなる。まだまだ知識量が足りないと感じたなら、真摯に学び直すことも大切なことだ。

HACK3:1つのキーワードを軸に、多面的に執筆する

1つのキーワードを軸に、多面的に執筆する

前述した「弁護士」単体で上位を狙うなら、「弁護士+○○○」をいくつか組み合わせて記事を重ねると、「弁護士」単体でもあなたのWEBサイトは徐々に強くなっていく。理由は2つある。

ひとつは、WEBサイト全体で「弁護士」というキーワードの占める割合が高くなり、Googleは「このWEBサイトは、弁護士についてのコンテンツが多くある」と認識をするから。当社のWEBサイトでいくら弁護士について完璧なSEOを施したコンテンツを1本リリースしても、検索上位にリストアップされることはない。「WEBサイト全体として」が大切なのだ。

ふたつめは、「弁護士+○○○」で上位にランクインできれば、その記事からもWEBサイト内の他のページにリンクが張られることになる。ある分野で強いコンテンツは他のページにも良い影響を及ぼすことになる。それがWEBサイトの上位階層ページへリンクを張る「パンくずナビゲーション」なら、上位階層にある「弁護士」というテーマを束ねるページが強くなっていくということになる。

HACK4:キーワードを言い換える

キーワードを言い換える

言い換えをするメリットは2つある。

ひとつめは、主要キーワードで専門性を高めるということ。
Googleは、コンテンツがどのようなキーワードで構成されているかをチェックしている。一般的に文章を綴るときには、ときどき言い換えを行う。さらに、過去に専門性が高いと判断した記事には、主要キーワードを言い換えたものが多い。だとすれば、Googleは専門性の高い記事でも、主要キーワードで言い換えされることがあるはずだとジャッジしているのだ。

事実、上位のランクインしている記事すべてが主要キーワードを統一して使用しているわけではない。専門家は知識に余裕があるので、相手に理解してもらうために言い換えをするものだ。

ふたつめは、従属的なキーワードで可能性を増やすということ。
「大切なこと」「ポイント」「コツ」はニュアンスは異なるがほとんど同じ意味であり、検索キーワードとしてどれも使われる可能性がある。あなたが「○○○ コツ」と最も大きな検索ボリュームを持つSEOキーワードを設定したとしても、「○○○ ポイント」と検索する人もいるのである。
これらの言い換え、同義語も想定しながら記事を執筆するとヒットする可能性が高まるということだ。

HACK5:CVRを上げるキーワードを探す

CVRを上げるキーワードを探す

CVRは、キーワードの選択で上げることができる。
ロングテールSEOの目的は、集客することはない。まだ見ぬ顧客と接触し、説得へとつなげ、問い合わせ、資料請求、メルマガ登録、販売といった何らかの成約を勝ち取ることだ。

だとすれば、ムダに多くの訪問者を集めなくても、成約率の高そうな訪問者から優先的に集めればいいということになる。
ここでおさえるべきは、やはりキーワードの選択となる。

「弁護士」というキーワードだけでは、「弁護士になるための勉強法」を探しているのかもしれないし、TV番組「行列のできる法律相談所」に出演している弁護士のプロフィールを調べたいのかもしれない。
しかしあなたがコンタクトしてきてほしいのは、家族間で相続問題などが発生し、遺産相続を円満に解決したいと考えている依頼者、つまり、すぐ仕事に結びつきそうな訪問者だ。であれば、彼らが使う検索キーワードは「弁護士 遺産相続 円満解決 大阪」などといったものであるはず。当然、これらのキーワードで訪問したユーザーは、遺産相続についてどのように解決していくのか、経験は豊富なのか、費用はどのくらいかかるのかについて吟味する。

そういったプロセスを経た結果、問い合わせの電話が入ることになるからだ。

もっとも大切なのは、コンテンツへの反応を活用すること

もっとも大切なのは、コンテンツへの反応を活用すること

ロングテールSEOでもっとも大切なことは、リリースした記事に対する評価を真摯に受け止め、改善を施すことだ。

大きな変更は、リリースの日付を変更

一時期、満足できる反応が出たコンテンツも、時間が経つと反応は鈍くなってくることがある。
理由は、市場が変化し、あなたの記事に時流に合わない部分や競合ページに負けている部分が出てきて、他のコンテンツに競り負けている可能性があるということだ。
いつまでもその状態を放置してはいけない。できるだけ早く弱くなっていると思われる部分を見直し修正してアップデートする。
再リリースする際には、更新日付を新しくしておくことで修正されたコンテンツの内容がGoogleのデータベースでも修正され、再び輝きを取り戻すことになる。

気がついたのなら、小さなアップデートも怠らずに実行あるのみ

気がついたのなら、小さなアップデートも怠らずに実行あるのみ

自分が懸命に執筆した記事はかわいいものだ。さほど反応が得られていないものでも、それぞれに愛着を感じてしまう。
それだけに、時々読み返すと気になってくることも出てくるもので、改善点に気づいたなら、修正して再リリースしておこう。こういった地道なことの繰り返しが、必ず報われるのもコンテンツマーケティングの良い点だ。

あなたのWEBサイトの改善点を見つけ、トライすること~表示順位、SNSでのシェア数、訪問者の滞在時間、引き合いの件数など~競合のコンテンツを研究して新たな論点を加えたり、もっと分かりやすい表現方法に変えることだったりすることは、ロングテールSEOでシングルヒットを重ねるために非常に大きな力となる。

極端な話、シングルヒットでなくてもいい。フォアボールでも、デッドボールでもいいのだ。とにかく出塁を積み重ねることができれば、その試合には必ず勝てる。

誰でもできる、集客コンテンツを作るSEO7つの手順

集客コンテンツを作る7つの手順

あなたは、WEBコンテンツを「自社製品の特長」から設計していないだろうか。

もちろん、自社製品の特長は語るべきコンテンツだ。しかし、市場を無視して自社製品の特長を語ったところで、あなたが望んでいる見込み客は集まってはくれない。

まずあなたが行うべきは、市場が何を望んでいるかを知ることだ。市場のニーズに合った製品の訴求方法でコンテンツをリリースし、集客する。そのあとでじっくり自社製品の特長を主張しても遅くはない。

この記事では、WEBコンテンツを作成する過程における、「集客」方法にについてご紹介する。すべては、人の目に触れてはじめて始まるのだということを忘れないでほしい。

SEOコンテンツは、テキスト情報で伝えなければいけない

SEOコンテンツは、テキスト情報で伝えなければいけない

「文字がいっぱいあっても、読む気がしないでしょう?」

そんなことを思うのは、普段から文章を読む習慣のない、あなただけだ。
本気で困っている人、真剣に情報を探している人は、必ず読んでくれる。いや、斜め読みはしてくれる。そして必要な部分はしっかり精読さえしてくれる。

ここで考えてほしいのは、画像ばかりのWEBサイトを良い情報だからと上位に引き上げてくれる検索エンジンは存在しないということだ。いくら無人運転を可能にする自動車を開発してしまうGoogleでも、残念ながらそこまで技術は発達していない。

文章の良し悪し、内容のクオリティは判断できても、画像に隠されている内容まで考慮して検索ユーザーにとって有意義なコンテンツとまでは理解できないのだ。

インターネットはテキスト文化だ。
次々とバズを生み出す、飛び道具のようなアイデアなしで集客をしたいのであれば、みっちり文章で説明することだ。

SEOコンテンツ作成の手順

SEOコンテンツを作成するための手順を具体的に紹介しよう。

手を抜かず、この手順にそってコンテンツを作成すれば、必ず効果が出る。
これは我々がSEOコンテンツを作成するときに常に実践している方法であり、それなりの効果を上げ続けている実証済みの方法だからだ。

あなたも、これから紹介する7つの手順にトライして、その効果を実感してほしい。

1.検索キーワードを決める

検索キーワードを決める

SEOコンテンツを作成する前に考えるべきは、対策キーワードを何にするかだ。

まず、製品の特長や関連するキーワードを書き出してほしい。
それらをひとつずつ、過去に検索された複合キーワード(フレーズ)を調べるためのツールを利用して、リストアップする。

たとえば、「WEB制作」と入力すると、関連キーワード取得ツールでは、「Googleサジェスト(Googleで直近に検索された複合ワードのリスト。検索ニーズを教えてくれる重宝な機能だ)」をはじめ、五十音順に複合ワードのリストを提示してくれる。

関連キーワード取得ツール

GoodKeyword

提示されたキーワードをコピーして、Googleアドワーズの「キーワードプランナー」で月間検索数を調べよう。
Googleアドワーズはリスティング広告を出稿するためのツールだが、広告主でなくても登録さえすれば利用できる。ログインしたら、上部にある「運用ツール」から「キーワードプランナー」を選択する。

「キーワードプランナー」で月間検索数を調べるには、いくつかの方法があるが、2番目に提示される「キーワードの検索ボリュームを取得、またはキーワードを広告グループに分類」を選択する。入力窓が表示されるので、先ほど「関連キーワード取得ツール」で調べた複合ワードのリストをペーストして、月間検索数を調べる。

「WEB制作」だと4,400件、「WEB制作会社」だと2,900件だと分かる。検索数の横に表示されている「競合性」にも注意しよう。これは、広告出稿する際に競合先がどれだけ多いかを示すものだが、競合が多いということはSEO的にも近いといえる。月間検索数が数千以上になるビッグワードは、競合が多く、上位に食い込むのは至難の業となるということだ。

Googleアドワーズ

2.競合を調べる

競合を調べる

対策するキーワードが決まったら、マーケットを調べよう。市場調査をして、あなたのコンテンツに必要な策を練るための準備期間だ。

とにかく対策キーワードで、検索してみる。1ページ目に表示されたページの内容をざっと見比べてみる。タイトル、紹介文をチェックすれば、おおよその傾向がつかめるはずだ。競合性が高いキーワードなら、検索上位に位置するページは洗練されたものだから、ページを開いてみる。

斜め読みし、どのような内容が書かれているかを確認しよう。
ときに専門家のあなたでも、そういう考え方や捉え方もあるなと競合のページに教えられることもある。教えられたことを拝借しないまでも、あなたの視点で記事を書き連ねていく際に、参考データとして役に立つ。

「アウトプットをするためには、その10倍の知識のインプットが必要」

といわれる。検索ユーザーが「なるほど」と感心してくれるコンテンツを作るためには、専門家といえども柔軟な姿勢で物ごとを多面的に捉える必要がある。競合ページを調べるのは、コンテンツに幅を持たせるための準備と考えてほしい。

3.キーワードに関連する人気記事を調べる

キーワードに関連する人気記事を調べる

検索ユーザーにとって、有益なコンテンツを作成するためには、検索上位のページを調べるだけでは足りない。

なぜなら、集客はSEOによってのみもたらせるものではなく、SNSのシェアによってももたらされる可能性が高いからだ。

これを知るには、あなたの製品が属する専門サイトやキュレーションサイトでまとめられた記事、ブックマークサイトなどで人気の記事をチェックすることをおすすめする。

多くの人にシェアされる人気の記事が、どのような切り口で製品に関連するコンテンツを展開しているかをつぶさにチェックしてほしい。
検索上位にあるページと同じ傾向があったり、まったく異なる内容であったりすることにも気づくだろう。

競合ページの傾向を読み解くのは、感覚的なものだ。センスといってもいい。
これだけはテクニックがあるわけではなく、一朝一夕で身につくものではないので、数をこなしながら慣れていくしかない。

4.検索ユーザーのためになる記事を書く

検索ユーザのためになる記事

SEOコンテンツを作成するには、競合ページの傾向を読み解き、それらを上回るコンテンツを執筆することが大切だ。

対策するキーワードで、検索ユーザーは何を求めているのかを想像し、彼らの求めるコンテンツを組み立てていく。主題を据え、あなたのロジックをストーリーで展開しよう。

まず、展開するストーリーを見出しで表現していく。
その見出しにつながる内容をざくっと書き出していこう。

いちばん上の見出しから順にアイデア出しをしなくても構わない。あなたの得意なところから書き連ねていけばいいのだ。
少しずつそれを積み重ねていけば、徐々にSEOコンテンツが仕上がっていく。

おおよその構成が済んだら、以下のチェックポイントに気を付けながら、全体を見直そう。

  • 見出しが抽象的なものになっていないか
  • 全体が流れるように組み立てられているか
  • 見出しに続く書き出しは、次のパラグラフを読みたくなる構成になっているか
  • 他人に読んでもらい、感想を聞く

SEOライティングのセオリー、7つの絶対ルール

5.リリースしてみる

リリースしてみる

今までのチェック項目を守りながら、あなたが渾身の力で書いた記事なら、きっと人を呼び込めるコンテンツになっているはずだ。とはいうものの、どうなるかはネット上の競合との兼ね合いによるので、リリースしてみないと分からない。

とにかく思い切ってリリースしてみよう。WEBマーケティングは、失敗しても構わない。印刷物とは違い、すぐに修正ができるのだから、どんどんトライするべきだ。トライしなければ何も得られない。宝くじは買わないと当たらないのだ。

リリースする際に、我々が実践していることをお伝えしておくので、参考にしてほしい。

  • WEBサイトのトピックを更新し、内部リンクを増やしておく。
  • サイトマップを作成し、Google Search Consoleに登録。
  • Google Search Consoleの「Fetch as Google」でリリースしたコンテンツを登録。
  • SNSのいくつか(当社はfacebook、Twitter、はてなブックマーク、Google+、pinterest)に投稿。

6.必ず修正を加える

必ず修正を加える

コンテンツをリリースしたあと、あなたがすべきは、順位のチェックだ。Google Search Consoleの「Fetch as Google」でコンテンツを登録すれば、すぐにクローラーが情報をデータベースに収めてくれるので、すぐに検索結果に反映される。

GRCがもっともポピュラーだが、無料ツールを利用しても構わない。

GRC

結果はどうだっただろうか。
リリース直後に出た順位は仮のもので、翌日には順位が変わってくるので、直後の結果が良くても喜んでばかりはいられない。もちろん、2回目、3回目のクロールで結果が良くなることもある。コンテンツのリリース後、一定期間経過しないと順位が上がらないという説もあり、検索順位はある程度の経過観察が必要だ。

そして大切なことは、結果をチェックするだけが、あなたの仕事ではないということだ。
リリースすることだけで満足してはいけない。さらに順位を改善するためには、何が足りなかったか、どのような内容を追加すればいいかを考え、修正を加えることが大切な仕事なのだ。最終的には「しつこい」者が勝つ。これは太古の昔から脈々と続く真理だ。

7.同じテーマの記事を重ねる

同じテーマの記事を重ねる

修正を加えたコンテンツが、もう限界だと感じたら、しばらくは放置プレイに持ち込む。
何か別のアイデアが生まれたら、また修正を加えればいい。焦らないことだ。

次にあなたがすべきは、同じテーマで2件目、3件目のコンテンツを重ねていくこと。
Googleは、検索ユーザーに有益なコンテンツを紹介するのが使命。その判断基準として、あなたが該当するテーマに関して、スペシャリストであるかどうかを気にしている。スペシャリストであれば、同じテーマでいくつもの切り口を繰り出せるはずだと考えているため、取り上げられているテーマに関するコンテンツの質と量が検索順位を決めるにあたり、重要なファクターとなっているからだ。

1本コンテンツを書き上げただけで、疲れ果ててはいけない。
検索上位に食い込むためには、あなたのスペシャリストとしての「知識と工夫の幅」をGoogleに提示しなければ、検索上位に食い込むことはできないのだから。

コンテンツマーケティングへの努力は、必ず報われる

コンテンツマーケティングは、必ず報われる

世の中は、努力しても報われないことも多い。しかしコンテンツマーケティングに関していえば、筆者の感覚では必ず報われる。何度も繰り返すが、ただし、あなたの粘り強い努力があれば、だ。

オウンドメディアで勝てる記事の7形式

オウンドメディアで勝てる記事の7形式

オウンドメディアの手法のなかで、最も手軽に始められるコラム記事。自社が持つノウハウを幅広い読者に向けて発信するものだ。課題を持つ読者を感心させ、上手く納得させることができれば、あなたの会社の信頼性が増す。

他の記事も併せて読んでもらうことで「まかせてみようか」という可能性も一気に高まる。

しかし、日々顧客にノウハウを提供しながら密な関係を築いているにもかかわらず、いざコラム記事に落とし込もうとすると、上手く機能していないケースがよくある。

数時間かけて力を注いだコンテンツであればあるほど、集客でき、顧客候補を説得、納得してほしいと願うはず。この記事を読めば、あなたの努力は報われ、これまでにないほど引き合いを獲得できるようになるだろう。

コンテンツをつくるときにおさえるべき7つのポイント

あなたは暇をつぶすためにコンテンツをつくっているわけではない。世に伝えたいことをWEBサイトのコンテンツという形に変え、Googleに認めさせることで集客し、集まってくれた顧客候補を説得するためなのだ。
ここではこのストーリーを実現するための必勝パターンを7つおさえることで、あなたにもその力を得られるようにしたい。

1.結論から先に伝える

結論から先に伝える

ネットで解決策を求めている人は、おおむね「せっかち」で、その記事が自分の課題を解決してくれそうかを数秒で判断してしまう。
せっかちな訪問者にあなたの書いたコンテンツで有意義な時間を過ごしてもらうためには、記事の前半で「ここにあなたの答えがありますよ」と結論をざっくり紹介しておくことが必要なのだ。

おおよその結論を冒頭でまとめておくということは、重要なキーワードが必ず含まれるようになるわけで、SEO的にも良い影響をもたらすことにもなる。

2.パラグラフの内容が把握できる見出しを付ける

パラグラフの内容が把握できる見出しを付ける

これも読者の「せっかち」に起因するテクニックだ。
あなたが認識しておかねばならないのは、「ネットは調べ物をする道具であり、文学のように言葉を噛みしめながら精読するものではない」ということだ。

いわゆる斜め読みで見出しだけをチェックすれば、おおよその内容が把握できる。もし、自分の琴線に触れるものがあれば、そのパラグラフをチェックする。あなたもこういった読み方をしているはず。

今まで執筆してきたコンテンツに、このルールが適用されているかチェックしよう。この作業をていねいに行うだけで、訪問者の滞在時間はグッと伸びる。

3.自信たっぷり、言い切る

自信たっぷり、言い切る

自分の課題を解決してくれそうだと読み進めた記事の最後が、「この方法で解決するかもしれない」と締められていたら、どう感じるだろうか。
ここまで「ふむふむ、なるほど」と相槌を打っていたにもかかわらず、だ。

すぐにでもサイトを離れ、確実に課題を解決してくれる方法を説いた記事を探し始めるに違いない。

オウンドメディアで成功しようと考えるなら、あなたが知っている知識、実践しているノウハウを自信を持って読者に伝えよう。読者が勇気を持って課題に立ち向かえるよう、背中を押してあげるのだ。

4.抽象的な言葉を使わない

抽象的な言葉を使わない

あなたはテレビに出演して、いい加減なことを言うためにカメラの前で難しい顔をしている評論家ではない。評論家や政治家は、「この問題をどのように解決するか検討する」と、訳の分からない結論で発言を終わっても、役目は果たせる仕事だ。しかしあなたに課されているのは、きちんとしたロジックで具体的なハウツーを伝えることなのだ。

「どのように」や「いかにして」は魔法の逃げ言葉だ。

具体的な解決策を求めている人に対して、「どのように考えるかが問題なのだ」と訴えて共感してもらえるだろうか。明確な方法論こそ、読者に納得してもらえるものだ。

5.ていねいに、ていねいに

ていねいに、ていねいに

「これは、あたりまえのことだから」とは考えないこと。誰にでも「はじめの一歩」があるものだ。

どっぷりその業界に浸かった人にはあたりまえでも、他部門から異動してきた人にとっては初めての出来事だ。初心者にもやさしい記事は、重宝がられる。だから、「YAHOO!知恵袋」は人気なのだ。だから「今さら聞けない○○○」といった本がもてはやされるのだ。

前述したように、ネットは調べ物をするためのツールで、読者は斜め読みをするのだから、すでに知っていることは読み飛ばしてくれる。ある程度知識のある人を対象にするより、ビギナーをも考慮した記事を書く方が新規開拓につながるものだ。

細やかな配慮をするのは面倒なことかもしれないが、それをいとわない努力が成功につながる。

6.リスト化する

リスト化する

ハウツーは、リスト化すべきだ。なぜなら、読者は取り組むべき解決策をいくつも挙げられるあなたを、スペシャリストとして認めてくれる。

また、読者はすべての対策に取り組めるわけではない。時間や予算の問題だったり、すでに取り組んだ経験のある方法だったりするかもしれないので、これだけの解決策があるのですよとリスト化することは、読者の選択肢を増やすことになる。そのなかで、「なるほど。そこには気付かなかった」と思ってもらえる項目があれば、それが大きな感謝につながるのだ。

7.まとめる

まとめる

コンテンツをまとめることは、あなたが書いたことを今いちど省みることにもなるし、読者はまとめのパラグラフだけを読むことで、おおよそのことを把握できることにもなる。Naverまとめやnanapiといったキュレーションサイトで、キュレーターが最後のパラグラフを「まとめ」としているのも、このためだ。

だから「まとめ」は、もっとも気合いを入れて執筆すべきものだ。

さらに上を目指すなら、見出しは「まとめ」ではなく、他のパラグラフと同じように、内容が分かるものにした方が読者からの引きは強くなる。

オウンドメディア成功のカギは、手間を惜しまないこと

オウンドメディア成功のカギは、手間を惜しまないこと

これまで見てきたように、読者に共感してもらえる、感謝してもらえるコンテンツは、細やかな配慮に満ちたものだ。ホスピタリティに富んだ読み物ということもできる。ネット上で、コンテンツという売り物を通じて、サービスビジネスを行っていると言ってもいい。

筆者が執筆した記事に対し、はてなブックマークやTwitterでつぶやかれた「気づかなかった」「なるほど」といったコメントを目にするたび、誰にも気づかれないように小さくガッツポーズをしている。

多くの人にとって本当に良いコンテンツは、ネットメディアにも取り上げられ、「いいね!」を多く獲得し、シェアされ、つぶやかれ、多くのアクセスを稼ぐ。それがあなたのビジネスに何らかの変革をもたらす。

細やかな配慮とホスピタリティは、オウンドメディアの成功に欠かせない原動力だ。

ひらパー集客100万人は、兄さんの実力か、奇策のたまものか?

大阪府下で第2位の集客力

筆者は、単にじもピーだから復活した「ひらパーの奇跡」を採り上げたわけではない。ひらパーの策略を通じて、リアルの店舗集客にも応用できるものがあると感じたからだ。

集客でお悩みの店舗経営者の方々は、彼らの放った集客策のキモを感じてもらえれば幸いだ。

ひらかたパークは、京都府に隣接する大阪の端、枚方市にあるファミリー向けの遊園地。もともと、ひらかたパークは1910年(明治43年)「香里遊園地」として生まれ、京阪電車・香里園駅にあった。京阪沿線の人は、「園」があるわけでもないのに、なぜ香里園が「園」なのかと疑問に感じていた人も多いと思うが、こういった理由があったわけだ。

その後、第三回菊人形展の開催によって、現在の地に原形を求めることとななるのであり、1912年(大正元年)の開園は、同じ土地で営業を続ける遊園地のなかでは、日本最古のものだ。

年間来場者数はUSJに次いで大阪府下第2位。2014年度の来園数は100万人を超えており、USJやディズニーランドなどの大型のテーマパークの人気に圧倒される地方の遊園地のなかにおいて、飛び抜けた人気、知名度、集客力を誇っている。

ひらパーの状況

ひらパーの現状

いまや全国的に知名度があり、大阪を代表する遊園地となったひらパーだが、絶大な人気を集める大型テーマパークと比べると決定的に不利な要因を抱えている。

  • それだけで集客に繋がるような独特な世界観、人気キャラクターを持たない。
  • 大型テーマパークのように大規模な投資によってアトラクションを新設し続ける集客戦略を打てない。
  • 枚方周辺には目立った観光地がなく、都心からも距離があるため観光客を呼び込むことが難しい。

このような状況のなか、ほんの数年前まで毎年1億円前後の赤字を何年も続けている閉園寸前の遊園地でしかなかったのだ。そんなひらパーが、大型テーマパークにおされつつも、生き残りをかけて繰り出した個性あふれる集客戦略をご紹介しよう。

生き残りをかけた集客戦略

1世紀続く定番遊園地ゆえ

遊園地帰りの家族

夏のファミリープール、冬のスケートリンク、秋は創業以来続いていた菊人形は、枚方市周辺のじもピーにとっては昔からの定番だ。2005年に惜しくも終了してしまった菊人形に代わって、新たにイルミネーションイベントが開催されている。

実は、この定番イベントをコンスタントに続けることが、じもピーを再来園させるきっかけとなっている。

プール

例えば、鬱々とした気分で揺られる通勤の電車内で、ひらパーのプール「ザ・ブーン」の広告を目にした40代サラリーマン。
父母と行った小学生の夏休みがフラッシュバックのように思い出される。

家は決して裕福ではなかったから、避暑地の海辺ではない。たかだか地元、芋の子洗いのようなにぎわいをみせる普通のプールだ。でも、自分にとっては最高の夏休みの思い出だった。弟と大はしゃぎしながら、真っ赤に染められたソーダを一気に飲み干した。

「今度の休みには子供を連れていくか」

と、週末の休みに「いい父親」になるきっかけになるのだ。中学の頃友人たちと行ったアイススケートも、まったく興味がわかなかった菊人形でさえ、じもピーをふとしたきっかけで駆り立て、安定した集客につなげられるのだ。

大阪のベッドタウンである枚方に、1世紀以上にわたって密着しつづけた遊園地だからこそできる集客戦略で、4世代を超えるじもピーたちの継続的な来園を促し、安定した集客力を保つ理由だ。

大阪人の習性を活かしたシュール広告

ピピンの広告

おもしろいコトを人に話すのが義務。ボケた相手には、突っ込まないと失礼にあたる。

そんな習性を持つ大阪人は、ひらパーの広告ポスターを見るとウズウズしてしまう。なぜなら、ひらパーが発信する「ボケ」が、見事に「投げっぱなし」になっているからだ。

たとえば、ひらパーのキャラクタ―「ピピン」が膝を抱えて座っている写真に、「ファンクラブとかできないかなぁ。」と大きな文字が載せられているポスター。

「そんな弱気なキャラクター、あかんやろ」
「もっと自信持たんと」

などと、頭のなかで思わずツッコんでしまう。いつからか、ひらパーの広告はこのようなシュールなものになり、どんどんこの傾向は加速している。

来園のきっかけを与えることや、イベントの告知をすることが本来の目的ではあるが、このように大阪人のツッコミ精神をくすぐりまくる。

「ひらパーの広告は面白い」と認識してもらえれば、注目度が高まり、口コミ効果も得られる。さらにひらパーの好感度も上がっていくというわけだ。

V6まで引きずり出した、ひらパー兄さん戦略

ブラマヨのひらパー兄さん

ひらパーを現在の人気・知名度まで押し上げたのは、「ひらパー兄さん」を据えたことにある。

ブラックマヨネーズの小杉が起用された、初代ひらパー兄さんは、引退までの約4年間で約30億円の広告効果をもたらしたと言われている。
有名人をひらパーのイメージキャラクターとして起用し、広告を打ち出すことでひらパーの知名度は急上昇。前述のシュールな広告との相乗効果で、ひらパー兄さんの人気も高まっていった。

ひらパー兄さん選挙

勢いのあるブラマヨを起用したことで、広告という枠を超えて話題になった仕掛けがある。
小杉の人気に嫉妬した相方の吉田が、フジテレビの”人志松本の○○な話”で「俺の方がひらパー兄さんにふさわしい」と宣言。2代目ひらパー兄さん就任をかけた選挙イベントが行われるまでに至ったのだ。地上波のテレビ番組で騒ぎ立てたうえ、大阪の天満橋で2人が街頭演説を行うなど、パークの外部を巻き込んだこの騒動は、ひらパーで面白いことをやっていると全国に知らしめることとなった。

100周年をきっかけに初代ひらパー兄さんの小杉が引退したあと、枚方市出身のV6・岡田准一が「超ひらパー兄さん」として2代目に就任。岡田くんが主演する映画のパロディなど、こちらも話題性に富んだ広告を打ち出している。

岡田准一くんのひらパー兄さん

全ての広告がひらパー兄さんを中心に構成され、ひらパー兄さんに接触する機会が増える。いつのまにか、皆がひらパー兄さんを身近な存在に感じ始め、そのストーリーに注目し、応援したくなる。ひらパーはその舞台となることで、大きな付加価値を得、さらなる集客力を得たのだ。

思い出は、人がつくる

思い出は、人がつくる

どんなに革新的なアトラクションを体験したところで、楽しさを共有する相手がいなければ、たのしい思い出にはならない。
アトラクションやイベントはあくまでも舞台であり、家族や友達など、一緒にいる人がお互いを楽しませることこそが、たのしい思い出になる条件だ。

キャラクターや世界観、アトラクションの魅力だけで集客することができないひらパーだからこそ、来園やリピートのきっかけが「人」であることの大切さをわかっている。

ひらパー兄さんの広告は、「話題のアトラクションを体験したい」といった、楽しませて欲しいというニーズに応えることとは異なり、兄さんを応援したい、兄さんのところに遊びに行きたいという思いが、お客さんを来園させるというもので、これもアトラクションではなく、兄さんがお客さんを楽しませるという仕掛けだ。

目隠しライド

ひらパーには「ジャイアントドロップメテオ」という垂直落下アトラクションがある。これといって目新しいことはない絶叫系アトラクションだが、岡田くんの目がプリントされた「兄さんアイマスク」で目隠しをして乗る「目隠しライド」や、「おま」以外の叫び声が禁止になる「おまライド」といった企画によって、友だち同士、スタッフまで巻き込み、みんなが思わず笑ってしまうアトラクションとなった。

友人たち、家族が「目隠しライド」や「おまライド」を共有し、いつまでも笑い合う。心に刻まれたその豊かな経験が、いつの日かまた懐かしい思い出をフラッシュバックさせた「じもピー」を懐かしい場所へ駆り立てるのだ。

まとめ

「ないものづくし」のひらパーが、1億円の定例赤字から脱却した突き抜けたアイデア。これは、遊園地が装置産業であるという固定観念へのアンチテーゼなのかもしれない。きらびやかな装飾や固有のアトラクションに頼らず集客に成功していることが証明している。

1世紀以上にわたり、大阪府のベッドタウン枚方に根付いた遊園地だからこそ、最後は「人」が大切なのだと教えてくれている気がしている。「人」が「人」を楽しませるのだ、「人」を連れてくるのは「人」でしかないと言っているような気がしている。