作成者別アーカイブ: 平田 弘幸

オウンドメディアとSEO、5つの即効テク

今スグ効果のオウンドメディアとSEO

Googleだけでも大きな検索ボリューム(2023年11月時点で18,100件/月)を誇るキーワード「オウンドメディア」。
オウンドメディアとSEOの間には、密接な関係がある。筆者の主張は、検索ユーザーのためになる記事(○○○を探しているなら、これだけは押さえておくべき、的な記事)を書けば、共感を呼び、SNSでバズられるし、ナチュラルリンクも多く張ってもらえる。たとえプチバブルが去ったとしても、悩みを抱える検索ユーザーたちに響くコンテンツとして長く影響を与え続けられる、というものだ。

さらに、その記事がトリガーとなって、お問い合わせや資料請求、見積もり依頼などにコンバージョンするように設計しておけば完璧。そしてさらに、渾身の力を注いで執筆したあなたの記事から実際のビジネスに発展する引き合いを得ることができれば、WEB担当者冥利に尽きる。

この記事では、オウンドメディアにSEOの視点を組み込む方法を明かし、コンバージョンに結びつけるテクニックを紹介する。

オウンドメディア:ユーザー視点への大転換を

オウンドメディアを始める準備

自社サイトでオウンドメディアを始める前に、あなたが肝に銘じておくべきは、自社が発信したい情報を提示することではなく、ユーザーから望まれるコンテンツを創り出すことだ。製品・サービスに関する情報を一方的に公開しても、ユーザーのニーズがないのだから、集客にはつながらない。

ものづくりをしている企業やサービスを提供している企業は、顧客に情報を提供しようとするとき、どうしても「ウチの製品は」「ウチのサービスは」となってしまう。そこに顧客が「こう望んでいるからできた製品、サービス」という確固たるマーケティング結果があって、そのニーズを中心にストーリーを展開するのであれば問題ないが、「ウチ中心」に製品やサービスを見てしまうことが多いのだ。

検索ユーザーの悩みや課題に応え、コンバージョンに結び付けるためには、その悩みや課題がどういったものなのかをリサーチすることから始めよう。
基本的に製品やサービスはニーズを満たすために生まれるもので、開発担当者のエゴや思いつきで作られるものではないはずだ。開発者が「こういうものを創りたい」と願う気持ちは、何らかのニーズや一ユーザーとしての視点、明確な目標があってこそ多額のコストと労力、時間をかけて誕生したものであるはずなのだ。

コンテンツも同じ。
できあがってきた製品やサービスを市場で目立たせることがマーケティング担当者の仕事であり、ここで手を抜いてしまうと画期的な製品やサービスも、それによって解決されるはずの悩みや課題を持った人たちの目に触れる機会を失ってしまう。

あなたが担当する製品やサービスをオウンドメディアを使って紹介する前に、まず考えておかないといけないのが「購買プロセス」だ。

1.検索ユーザーの購買プロセスに対する成熟段階を意識する

検索ユーザーの購買プロセスに対する成熟段階を意識

ユーザーは、いくつかのプロセスを経ながら製品・サービスの購入に至る。
自社の製品・サービスを購入してもらううえで、どのようなプロセスをたどっていることが多いのか。WEBサイトはそのプロセスのなかで、どの部分にあたるのかを知っておくこと。自社のWEBサイトでオウンドメディアを展開する際に必要なのは、ここだ。

下記のプロセスが一般的だが、製品・サービスによっては多少異なるものもある。

  1. 製品・サービスや該当機能の認知
  2. 興味関心
  3. 価値認識、購入検討
  4. 製品・サービスの購入
  5. リピート購入
  6. 製品・サービスや提供者に対するファン化

購入に至る前に、あなたは顧客候補に相当量の情報を提供しなければいけない、その情報が他社に渡ることが許されないといった制約がかかった状態で、購入する気満々の検索ユーザーを想定したコンテンツを展開しても成果には結びつかない。

たとえば、購入する製品・サービスの大枠が決まっても、契約前に細かな仕様を詰めなければいけないようなビジネスモデルだと、すぐにでも購入したいという引き合いが入ることは100%ありえない。
オウンドメディアをそういった製品やサービスで展開するなら、その製品・サービスを選ぶことによって得られるベネフィットや将来像を顧客候補の頭に描かせることで、顧客候補が次のステップに向かいやすい状態をつくることの方が大切だ。そのために必要なコンテンツを多くの角度から提供していくことこそが、オウンドメディアのキモなのだ。

さらに、オウンドメディアは集客することが目的ではない。訪問者に何らかのアクションをとってもらうための仕掛けを施し、コンバージョンに結びつけることもあらかじめ検討しておくべき要素だ。

2.コンバージョンに結びつける設計図を用意しよう

コンバージョンに結びつける設計図を用意

「ウチの製品を買ってくれる人は、まず上司に打診することから始まるな」
たったいま、あなたはWEBサイトのゴールについて、非常に重要な独り言をつぶやいた。

この場合、WEBサイトの目標は、「担当者の上司を納得させられるだけの視点を持った資料を提供すること、またはそのサポート」となる。

あなたの会社の製品を選択肢のひとつに残すWEBサイトのコンテンツ設計はこうだ。

おそらく購買プロセス1.製品・サービスや該当機能の認知は済んでいるとして、

  • (ツカミ)担当者レベルでの課題解決:興味関心
  • (本題)信頼性、思想、実績:価値認識
  • (落とし込み)上司を納得させるだけの経営的視点を持つ説明資料:購入検討

ツカミは、製品にまつわる新たなコンテンツで展開できそうだ。信頼性や製品やビジネスに関する思想は会社情報、実績は事例集や製品情報といった既存コンテンツで賄える。

初期コンタクト~担当者コンタクトへのストーリーはこうだ。

  1. 悩みや課題を抱えた検索ユーザーの欲求を満たすコンテンツを差し出し、課題解決の糸口を見せる。
  2. なぜ課題解決に向けた活動をしているのかを説明する。
  3. 興味を持った検索ユーザーは、会社情報や製品情報をチェックする。
  4. 総合的な課題解決策をまとめたダウンロード資料でコンタクトを誘う。
  5. リード情報(具体的な問い合わせ情報)をくれた訪問者にステップメールを送付する。

これまでの準備が整ったところで、集客のためのSEOキーワード選びについて考えてみよう。

3.SEOを意識したキーワード選び

SEOを意識したキーワード選び

SEOキーワードを選択する際に、ぜひ積極的に活用してほしいツールがある。Googleアドワーズ内の、「キーワードプランナー」だ。

キーワードプランナーは4種類の方法で、広告出稿のためのキーワード選びをアドバイスしてくれるツールだが、手っ取り早くSEOキーワードを探したい人のために、裏ワザをお教えしよう。

キーワードプランナーを開くと、4つの方法で対策キーワードを探し出せる。そのなかで上から2つめの「フレーズ、ウェブサイト、カテゴリを使用してキーワードを検索」を開く。
入力ボックスのひとつ、「ランディング ページ」を使う。

これは、いわゆるランディングページ、検索ユーザーに検索してほしいページの内容をGoogleが吟味して、このページにはこういうキーワードが適切ではないかと教えてくれるものだ。これを応用して、ライバルサイトが取り込んでいるユーザーが検索したキーワードを調べてしまうのだ。

やり方は簡単。
ライバルサイトの対象とするページのURLを「ランディング ページ」の入力ボックスに記入するだけ。そうすると、Googleはライバルサイトが持っているコンテンツの内容から判断して、対象とすべきキーワードを教えてくれる。このツールを利用すれば、競合他社の担当者さえ気づいていないお宝キーワードにめぐり合えるかもしれない。

表示されたキーワードをダウンロードして、前述の自社製品・サービスの購買プロセスに合うと思われるキーワードをピックアップする。
そのキーワードに応じたコンテンツを作りこんでいけば、今まではあなたのサイトを訪問することがなかった新たなユーザー候補が来てくれるかもしれない。

その他にもSEOキーワードを選定する方法やコンテンツの作成方法について、別コラムで詳しく紹介しているので、これらの記事も参考にしてほしい。

誰でもできる、集客コンテンツを作るSEO7つの手順
ロングテールSEOで、集客+CVRアップを図る5つの秘策

4.シェアされやすいコンテンツを知る

シェアされやすいコンテンツを知る

あなたが取り組もうとしている記事のテーマについて、バズられやすいコンテンツとはどういったものなのかを知ることも大切だ。FAQサイトやキュレーションサイトを見て回ろう。

もちろん、バズられることが最終目的ではないので、そのテーマに対する人気がなかったとしても、テーマ自体をボツにするといったことはしないようにしよう。バズられることが目標になってしまうと、とんでもない方向を目指すことになり、自社コンテンツとしてアリだったのかということにもなりかねない。

オウンドメディアを行う本来の目的は、あなたが営業部門やサービス部門から聞いたお得意様の悩みや自らの体験をもとに、きっと世の中に同じような悩みや課題を持つ人たちがいて、その役に立ちたいという熱い使命感でテーマを決めたはずだ。そのモチベーションに基づいて作られたコンテンツは、必ず誰かの役に立つ。

FAQサイトやキューレーションサイトで、キーワード検索を行う。
検索結果から、あなたが考えていたテーマに近いものの閲覧数をチェックしよう。人気の高いものを読み込むと、テーマの扱い方や視点、イメージしていなかった主張が見えてくるはずだ。

世の中の人は、そういった記事を好んでチェックしていることが、おおまかにでも理解できる。

Naverまとめ
nanapi
YAHOO!知恵袋
はてなブックマーク

5.SEOの決め手は、ユーザーの心をつかむこと

SEOの決め手は、ユーザーの心をつかむこと

Googleの上位表示アルゴリズムの進化で、SEOの内部対策、外部対策が検索結果ランキングに与える影響は少なくなってきた。キーワードを詰め込まなくても、内容さえ良ければ上位表示も可能なほど内部対策も以前より重要度は低くなってきている。

要は、ユーザーニーズを捉え、それに応じたコンテンツを提供することで、上位表示は果たせると考えてもいいぐらいなのだ。

あなたの記事に出会って、人生さえ変わってしまったという人がいたらどうだろう?

我々の記事を読んで求人に応募してきた若者のなかには、「こんな記事を書く人たちと一緒に仕事をしたい」と言ってくれる人も増えてきた。明らかにWEB制作コラムを始める前と後では、応募してくれる人の質が変わってきたのだ。

自分の考えていることや製品・サービスが持つ魅力をストレートに、正確に、相手が理解できるように伝えることは難しいものだ。
すぐにできるようになるものでもないが、その域に到達できるように努力しなければ何も変わらないし、もし現時点で思うような結果が出せていなくても、何度でもトライすればいいのだ。言葉を変え、内容を変えながら、何度も記事を重ねていくことで、あなたがその情報を知って欲しいと考えているその人に伝わるまで粘り強く続けることでしか理想には近づかない。

繰り返しチャレンジすることで、必ずいつかあなたの記事は高い評価を得られるようになるはずだ。

ブランド・アイデンティティを定めるメリット、成果につながる進め方

ブランド・アイデンティティとは

ブランド・アイデンティティを定めるメリット、成果につながる進め方ブランド・アイデンティティとは、その企業ならではの魅力や特長的なポイントを端的に表した言葉。ブランド・アイデンティティを定めることでそのブランドに関わるすべての人が共通認識をもつことができる、ブランディングにおける旗印のようなものです。

たとえば、お客様から「他社と比べてどこが違うの?」と聞かれたとき、新商品開発のコンセプト設定で迷ったとき、採用活動におけるメッセージを考えるとき。
自分たちのブランドが何を目指しているかを思い起こし、進むべき方向を示してくれるのがブランド・アイデンティティ。判断に迷ったときばかりではなく、進んでいる方向が間違っていないか、つねにブランド・アイデンティティと照らし合わせ、確認し続けることがたいせつなのです。 

ブランド・アイデンティティを定めるメリットは4つある

ブランド・アイデンティティの4つの効果とは、

  1. ブランドに関わる人すべての行動基準となる
  2. 顧客にむけて、ブランドの想いを伝えるメッセージとなる
  3. 競合との差異を際立たせることができる
  4. 企業が成長していく原動力となる

1.ブランドに関わる人すべての行動基準となる

先述したように、ブランド運営に関わるすべての人にとって、考えたり行動を起こす基準となるのがブランド・アイデンティティ。その内容を決める際には、ブランドや組織がもつ特長的な部分にフォーカスし等身大の言葉で表現するわけですから、そもそも誰もが受け入れやすく、その意図するところにそって自らの行動基準をはかりやすい価値基準でもあるのです。

2.顧客にむけて、ブランドの想いを伝えるメッセージとなる

顧客が知りたいのは、商品・サービスを手に入れることで自分にどのような価値があるのか、いかに自分を幸せにしてくれるのか、ということ。ブランドはお客様との約束。それを言葉で伝えるのがブランド・アイデンティティです。また、人を説得するうえで有効とされる「ゴールデンサークル理論(サイモン・シネック)」にに照らし合わせて考えても、ブランド・アイデンティティが重要であることがわかります。ものごとを説明するときには、まず、どのような想いのもと(WHY)→ その想いをどのような手段で実現させようとし(HOW)→ 結果として成果物に何を提供するのか(WHAT)という順番で語ると、人は納得しやすいというもの。ブランド・アイデンティティは、人を説得する際の最初の「WHY」を語る大きな役割を担っているのです。

3.競合との差異を際立たせる

ブランド・アイデンティティとは、他社にはない自社の強み(ブルーオーシャン)をベースとして導き出されたものです。競合他社との差異化ができているのは言うまでもありません。逆をいえば、ブランド・アイデンティティをいい加減に据えてしまうと、実像との乖離によってさまざまな違和感が生じてしまいます。とくに、ブランドを運営する社員にとっては深刻です。本来ならば、ブランド・アイデンティティをもとに考え行動するプロセスが一番大切なのに、「なんだかしっくりこない」となると、社員は思考停止に陥ってしまう。それどころか、他社との差異化ができていないと、もっとも避けるべきレッドオーシャンで戦うことになり、組織が疲弊するばかりか、利益も減ってしまうことになりかねません。ブランド・アイデンティティを正しく作ることの重要性はここにもあります。

4.ブランドや企業が成長していく原動力となる

組織には多くの人が集まるだけに、目指す方向に多少のズレは起こりがちです。そんなとき、ブランド・アイデンティティを旗印として、各人が考え、みんなで議論し、実践を続けていくプロセスは大きな意味をもちます。「こんな時どう行動したらいいのだろう?」「(ブランド・アイデンティティの)この言葉、このようにも解釈できるよね?」各人が何回でも、深く考え、捉え続けることにより、ブランド・アイデンティティへの理解はさらに深まっていきます。幾度も繰り返しブランド・アイデンティティがうたう世界観に触れることにより、結果としてブランドや企業の成長につながっていくのです。

ブランド・アイデンティティ策定の進め方。成功のカギ3つ

ブランド・アイデンティティを定めるメリット、成果につながる進め方では、上記のメリットを最大限に享受するため、ブランド・アイデンティティの策定はどのように進めていくべきなのか。大切なポイントは3つあります。

1.社内プロジェクトチームを組む

まずは、社内においてプロジェクトチームを作ることが第一ステップです。できるだけ各部門からメンバーを選出してチームを組みます。外部のコンサルタントに入ってもらう場合でも、プロジェクトの中心となるのは必ず社内のチームと考えてください。メンバーの素養としては、柔軟な発想をもち前向きに取り組める人を。チームの使命は、ブランド・アイデンティティを作ることがゴールでなく、その後も社内浸透を担っていくことになるため、リーダーシップ力をもつ顔ぶれがベストと言えます。
傾向としていえるのは、社歴の長い方や役職についている人は現状に満足されている場合が多いため、入社後数年の経験をもつ若手メンバーで構成する方が私たちの経験上、進めやすいと感じています。

2.答えは、必ず社内から見つける

ブランド・アイデンティティの策定にあたっては、プロジェクトメンバーでいくつかのフレームワークを実施することになります。その際の大切なルールは、以下のとおりです。

  • チームメンバー全員が発言できるように

    声の大きな人も小さな人も、できるだけ同じように発言する機会をもつようにしてください。メンバー全員が初めての体験です。すぐに素晴らしい意見が出てくることはありません。口ごもっているメンバーがいても、粘り強く意見を吸い上げるようにしましょう。

  • どんな意見も尊重する

    さまざまな立場の人が自由に発言できることが大切。自分とは違う意見が出たとしても、決して否定しないこと。各人が発言するたびに、全員が拍手で応えるようなムード作りが非常に大切です。どんな細かなことでも気軽に発言できる、心理的な安全性を保てる場をつくれば、「そんなことでもいいんだ」と他のメンバーも認識し、ディスカッションが活性化されます。

  • ファシリテーターは意見を誘導しない

    ファシリテーターは、みんなの意見を引き出し、傾聴することに徹しましょう。決して答えを誘導してはいけませんし、持論を延々と話し続けるようなことがあってはいけません。

フレームワークを進めるなかで、どんなに答えが見つからなかったとしても、結論を急ぐ必要はありません。たとえば、最初のステップで行う3C分析は誰もが悩む課題の一つですが、どうしても結論が出ない場合は保留にしておけばよいのです。別のフレームワークを進めるなかで気づくことも多々あるため、いくつかのプロセスを経てから考え直してみるとクリアになることがあります。さらに、外部のブレインが答えを出してしまうのはご法度です。自社ならではの持ち味を本当に分かっているのは、そこで働く人たち。どんなに経験豊富な専門家であっても結果を出すことに焦ってはいけません。

3.理想像をブランド・アイデンティティにしない

ブランド・アイデンティティは、現状のブランドや企業がもつ魅力がベースとなるもの。今より少し背伸びした表現は問題ないですが、「今は持ち合わせていないけど、将来こうなりたい理想像」は当てはまりません。実像と異なってしまうと、ブランドに関わるすべての人たちの心を動かすことができないため、共感の原動力とならないからです。
よく考えてみてください。いま自社が存在できているのは、既存のお客様からの支持があるから。自社の製品やサービスを支持してくれる理由があるからこそ、会社は続いているのです。言い換えれば、ブランディングは、お客様が支持してくださっている理由を探し出すプロセスでもあるのです。

「最初はよく分からなかったけど、振り返ってみると自分が大切にしていることだった」「こんなふうにも解釈できるね」といった反応が出てくるのがブランディング・プロジェクト。その結果として自社の存在理由を短くまとめた言葉がブランド・アイデンティティ。そこからすべてが始まり、放っておいても新たな成長が始まるのです。

ブランド・アイデンティティ策定のメリットは、会社成長のカギとなること

ブランド・アイデンティティは外部ブレインに任せて作ってもらうものではなく、今っぽい言い回しにする必要もありません。自社をよく言い表し、社内のだれもが「そうだね」と納得できれば、ベタな言葉でも十分です。
また、ブランド・アイデンティティは、行動規定のように誰もが解釈を間違えないような明確な表現になっていてはいけません。少し抽象的な部分が残しておくことで、のちに解釈を深めたり、想像を膨らませたりできる余地を残しておくこともブランドアイデンティティ策定のポイントのひとつです。

繰り返しになりますが、ブランド・アイデンティティは自分たちのブランド価値を伝え、理解し、成長させていくために必要なもの。社内を振り返り、なぜ自分たちの商品やサービスが顧客に買っていただいているのか、取引が続いているのかを考え、培われてきた社風について棚卸を行いながら、意見を出し合ってみてください。

関連サービス:インターナルブランディング

インターナルブランディングが、会社の未来を明るくする

社内で相談する男女

会社を良くしたいと思うのは、経営者ばかりではありません。
経営者と視座はちがうかもしれませんが、一般社員も自分がしている仕事を意味のあるものにしたい、しっかりとした存在意義のある良い会社にしたいと考えていることは、たしかなことだと思います。
経営層と一般社員、立場や視座は違えど、同じことを考えている人たちが集まった組織が、同じ方向を向いて事業を進めるためにあるのがインターナルブランディングという企業活動です。これは、組織の根源ともいえる考え方を端的な言葉(ブランド・アイデンティティー)に集約、全社でその御旗を共有し、事業を進めるうえでの拠りどころにするというものです。

 

ドラッカーも伝える、インターナルブランディングの基本

ビジネスピープルなら、誰もが知っているP・F・ドラッカー。彼は著書「プロフェッショナルの条件」のなかで、こう伝えています。
成果を上げるために必要なキーワードは「貢献」。この貢献が意味するのは、

① 所属する組織が社会にどのような貢献をしようとしているかを深く理解する。
② その組織が自分にどのような貢献をしてほしいか考えて行動する。

①は、この数年注目されているパーパス、つまり会社の存在意義です。なぜ会社が事業をしているのかを明確に理解すること。ただ実際のところ、経営層も含めた全社員が同じように自分たちの存在意義を明確に定義できているかは、残念ながら疑問です。②は、会社の存在意義を実現するために、個々の社員が何をなすべきかを理解し、行動すること。すべての人が同じことができるようになる必要はないとも彼は著書のなかで述べています。たとえば、セールスは苦手だけど、コンセプトの立案や緻密な資料づくりが得意な人は、セールスは得意だけど事務仕事は苦手な人を補完すればいい。チームとして全体が強くなれば、大きな成果が期待できるということです。

インターナルブランディングは考え方だけを共有して終わりではなく、活動の結果個々人が何をなすべきかにまで至ってこそ会社が次の階層へと進みます。P・F・ドラッカーのプロフェッショナルの条件その1にある考え方を理解し、実践することで結果につながっていくのです。

インターナルブランディング

退職理由から考える、ブランディングの必要性

 

職場で悩む男性

厚生労働省が発表した「雇用動向調査」(令和3年上期統計)で明らかになった退職理由(20歳~39歳)は、男女ともに給与、労働条件などの待遇面が1位、2位を占めていますが、「会社の将来が不安」(男性28.3%=4位、女性30.7%=3位)にも注目すべきです。財務的な問題もあるとは考えられますが、「仕事の内容に興味を持てなかった」(男性19.4%=5位、女性15.4%=6位)と併せて考えると、会社が社員に希望を与えられていなかったことも大きな要因のひとつになっている気がしてなりません。

もし、自分たちが存在する理由(=パーパス)を明確にし、共有ができていれば、この数字はもっと低いものになったのではないか、と感じてしまうのです。

前述したように、一般社員も自分が働く環境を良くしたいと考えています。ただ、視座が異なるぶん、経営者から見れば甘いと感じるかもしれません。しかし、そうやってバッサリ斬ってしまうと、なにも良くはなりません。いろいろな意見や視点を聞きながら、なにがいまベストなのかを考えていくことが肝要なのです。

社内でのすり合わせがインターナルブランディングの要諦

 

部門別のミッションの捉え方の違い

ここまでで、全社が同じ御旗(ブランド・アイデンティティー)を見据えながら個々の仕事の質を高めたり、やるべきことを定めたり、判断したりできるようになることが大切だとお伝えしました。その御旗がブランド・アイデンティティーではなく、それが企業理念であったり、社訓であったり、ミッションであったりしても構いません。

要するに、同じものさしを持ってものごとを考えていく、ということが大切なのです。

しかし実際にこの活動を進めていくと、課題が出てきます。
Aさんは、ミッションから考えると、答えは〇だと。Bさんは△だという。この際に、なぜ〇なのか、△なのかを話し合い、理解するということ。Aさんが△もアリだねと納得できることで、ミッションに対する社内の規格(許容範囲といってもいいかもしれません)ができていくのです。

たとえば、Aさんは営業部門、Bさんは製造部門だったとしましょう。
Aさんが主張していた〇は迅速な納期のこと。Bさんの△は、ていねいに作り上げた製品を出荷するということ。ミッションにしたがってAさんは早く多くの方が喜ぶ顔が見たかった。他方、Bさんは間違いのない製品で、良い暮らしの一助になりたいと考えたのです。メーカーである限り、人々の暮らしを支える製品をつくる。品質が低いものを急いで出荷しては本末転倒だ、とAさんが理解したわけです。

インターナルブランディングでたいせつなことは、定めた御旗(ブランド・アイデンティティーや理念、ミッション)について、社内でいろいろな捉え方、感じ方をすり合わせていくこと。この活動が絶え間なく続いていく組織になれれば、つねに判断基準が御旗に沿うことになり、全社がそれぞれ近い思考を持つことになります。もちろん、狭い規格のなかに全社員がおさまるようにすることが活動の要諦ではありません。多様な考え方があってこそ、すり合わせという作業がはじめて起こるのですから。

経営層が動くと、全社が動く

 

社員の打合せ風景

社内でのすり合わせ作業をどうやって行っていくかは、非常に大きな課題です。
ブランド・アイデンティティーは決めたけれど、ミッションは定まったけれど、そこがゴールになってしまっては、何の意味もありません。すり合わせが行われなければ、ほんとうに何の意味もないのです。

インターナルブランディングの要諦、社内でのすり合わせについては、経営層にひと肌脱いでいただきたい、と強くお伝えしておきます。

社員の輪のなかで、この言葉について自分はこう感じるのだけれど、みんなはどう思う?と問いかけます。正反対の意見が出てきても、そういう捉え方もできるのかと気づき、学んでいく。社員も同じように気づき、学ぶ。そこは、こうあるべきだろうと範囲を超えたと思われる考え方は、納得するまで話し合って解決する。
こういったプロセスを設けることが社内の考え方をまとめ、向かうべき方向に導くことにつながるのです。間違いなくそれは、長い旅。でも、どこかの時点で「ミッションに照らし合わせて考えると」という議論が社内のどこかから聞こえてきます。想像してみてください。きっとそれは会社の明るい未来です。

SDGs訴求のCM、自社の主張に共感を呼ぶ秀逸な2本

SDGs訴求のCM、自社の主張に共感を呼ぶ秀逸な2本

規模の大小を問わず、SDGsをうたう企業が多くなってきた。基本的な主張が「誰も取り残さない」であるだけに、各企業が訴求するのに厳しい制限や審査がないことも、訴求する企業が多くなっている理由のひとつだ。
良い思想を持ち、それに即した事業活動を行う会社として社会的に認めてもらおうという訴求が世界的なムーブメントになりつつある。
就活者たちは、社会的に意義のある会社への就職を望み、エネルギー問題に対処することを取引条件とする巨大企業も出てきた。企業活動に大きな影響を及ぼしつつあるがゆえ、SDGsへの取り組みを行うことが生き残りの条件になっているのだ。ただ、せっかく真摯に取り組んでいる活動をステークホルダー、もしくは未来のステークホルダーに共感してもらうのはかんたんなことではない。なぜなら、その活動が世界の将来にとって必須だと感じている人が、まだまだマジョリティではないからだ。その活動内容をダイレクトに伝えても、聞かされているほうは「へぇ~」としか認識しない。

このコラムでは、SDGsの活動内容をしっかり伝え、視聴者にも共感しやすくなっているCMを例に挙げ、訴求方法のポイントについて探っていきたい。

カネボウ「希望よ、動き出せ。」

カネボウ「希望よ、動き出せ。」

理念の見直しをしたカネボウ。自分たちのミッションは、人々に希望を与えることだと事業を捉え直した。
このCMがリリースされたのは、新型コロナ感染の拡大がまだ落ち着きを見せていなかった2021年7月16日。新型コロナ感染症との出口の見えない戦いに世界中がが疲弊し、明るい明日を見いだせないでいるときだった。
ただ、みんなが心のどこかで「きっと、もうすぐ平穏な日々がやってくるにちがいない」と一縷(いちる)の望みを抱く雰囲気があったのも事実。

そこで登場したCMは、1980年カネボウが松原千明を起用し、渡辺真知子の力強い歌声で時代を動かしたキャンペーンCMの歌をセルフカバーしたもの。世界中から楽しそうな表情を映し出した明るい映像は、「希望よ、動き出せ。」と締める。
化粧品メーカーのCMにもかかわらず、登場するのは女性ばかりではない。それぞれの希望や、親密な人たちと大切に過ごす時間、ダイバーシティまでもを表現した秀逸な出来となっている。

同社はSDGs活動の一環としてこのCMを立案したわけではなさそうだが、事業(化粧品)を通じて人々に希望をもたらすことを目標とするならば、その条件を十分に満たしているといえるだろう。

カネボウ「希望よ、動き出せ。」

SUBARU「一つのいのち」篇

SUBARU「一つのいのち」篇

2030年、どんなあなたでいたいですか?という問いかけからから始まるCM。
「家族と旅をする」「この子と海辺で暮らす」「獣医になる」など、一般の人っぽい方たちがそれぞれに、夢を語る。テレビを観ている人たちも、つられて「自分は何やってるかな?」などと、まだ見ぬ世界に思いを馳せたりしてしまう。テレビから聞こえてくる言葉が身近であればあるほど、自分ごととして捉えやすくなるのだ。

CMのキメは、「スバルは2030年、交通死亡事故ゼロをめざします」。

YouTube公式チャンネルには、「あなたが輝く未来を守り抜く」とつづられている。「守り抜く」とまで強い言葉で言い切られると、その意志は本気なのだなと感じさせられる。
交通事故は、とつぜん悲しい結末を運んでくる。家族を事故で亡くした経験のある私は、よけいにそう感じてしまう。そんな経験がなくても、視聴者のほぼすべてが大きく賛同するはず。

SDGsが期限としている2030年に向け、同社は事業の大きな柱(KPIに設定)として交通死亡事故ゼロを目指す。コーポレートサイトに掲げられたCSR目標は、「安全機能の向上」「安全な運転への貢献」。ありたい姿として「すべてのステークホルダーに『最高の安心』を感じていただける企業になる」としている。

SDGsの目標3、ターゲットのひとつ3.6には「2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」とある。SUBARUが掲げた目標は、これを一歩進めた内容だ。

SUBARU「一つのいのち」篇

訴求するのは、共感を呼べる活動に絞り込もう

先に挙げた2社がうまいなと感じる点は、自社の言いたいことを訴求しながら、それが見ている人たちにも自分ごとにしてもらえるように促していること。もちろん、両社の言いたいことが誰もが納得できることであるということもそれを後押していることもある。

平和な日本で暮らしているなかで、喫緊の課題として捉えづらいSDGs。せわしなく生活しているなかで、SDGsのことを考えられるのは、よほど意識の高い人だ。その他の人を巻き込もうとするなら、以下の2点がポイントとなる。

①自社の主張のなかで、多くの人に同意してもらえるものを選ぶこと。
②その主張を自分ごととして捉えられるような仕掛けをすること。

会社の規模を問わず、ESG経営が必須だといわれている。自社が存在するに値する良い会社であるということを、うまく訴求することが未来を占う試金石といえそうだ。

オウンドメディアにWordPressが最強な理由

オウンドメディアには、WordPressが最強な理由

オウンドメディアを行うのに相性がいいプラットフォームは、WordPressだ。

最大の理由は、WEBサイトの24%がWordPressで作られているという、圧倒的な数の論理。そうなればGoogleだって無視はできない。世界一のプラットフォームに乗ったコンテンツを上手く解析する方法を開発しているはずなのだ。

当社でももちろん、「WEB制作コラム」を執筆するにあたり、WordPressをプラットフォームに採用している。最近ではメールマガジンやアクセス解析、企業情報などを掲示できる統合的なプラットフォームも登場しており、オウンドメディアの運営をサポートしてくれる高い機能を備えている。しかし、最初から箱だけを高機能にしてはいけない。オウンドメディアを成功させる要諦は、内容なのだから。

この記事では、オウンドメディアをスタートさせようとする方に、WordPressをプラットフォームとして選択する理由をご紹介していく。

プラットフォームにWordPressが最適な理由

プラットフォームにWordPressが最適な理由

オウンドメディアを運営するのであれば、WordPressはプラットフォームとして最適だ。数年前に日本ではMovable Typeがもてはやされたが、現在形勢が逆転してしまっているのもWEBサイトを運用するうえで有利な点が多くあるからだ。

1.オープンソースで無料のCMS

基本システムは無料でダウンロードでき、サーバーの仕様が合えば、インストール可能だ。予算はないが、志は高いユーザーには非常にありがたい。限られた予算のなかで、ある程度のカスタマイズを施さないとその後に影響する。制作予算のなかで基本システムが占める割合が「ゼロ」というのは完璧だ。

2.SEO的な仕様が組み込まれており、特別なチューニングをしなくても機能する

個人ブログをMovable Typeで運用していたユーザーが、WordPressに乗り換えただけでアクセス数が倍になったという。そのブログでは、なぜそうなったのかの具体的な分析までには至っていなかったが、同じアメリカ生まれでGoogleの表示アルゴリズムと相性がいいのか、WordPressがそのあたりのところまで緻密に設計されているのかは不明だ。
ただ、筆者も個人的にWordPressをプラットフォームにすることの安心感は実感している。

3.豊富なプラグインソフトがあり、カスタマイズが比較的容易

豊富なプラグインソフトがあり、カスタマイズが比較的容易

WordPressは世界的に圧倒的なシェアを持つオープンソースのCMSなので、今もどこかで誰かがかゆいところに手が届くプラグインソフトを開発してくれている。当社のWordPressに関するコラムでもたびたび紹介しているが、そのプラグインを組み合わせることで開発コストが大幅に削減し、クオリティの高いシステム構築ができている。

システム担当いわく、システムの仕様を固める際に「WordPressなら、こうできるな」とイメージできるのだそうだ。これは、システム開発者だけのメリットではなく、クライアント側にとってもWordPressを選択する大きな利点だ。

4.リアルタイムで更新が反映される

WordPressの特長というよりは、CMSを使う利点といってもいいかもしれない。ただし、前述のMovable Typeはコンテンツを追加する際に静的なHTMLで書き出さなければならないので、リアルタイムとはいえない。当社も10年ほど前に1度だけMovable Typeを使ったことがあるが、この書き出しの面倒さに閉口し、それ以来WordPress派だ。

追加、更新した内容が即反映されることのメリットは大きい。すぐに内容をチェックできるし、何より運営に要する時間が削減できる。更新してすぐにサイトマップを書き出し、Search Consoleに登録すれば、3分後にはSEOの結果が確認できるのだから。

5.データベース化されており、サーバーの移転も可能

WordPressはデータベースにMySQLを利用している。WordPressで運用しているサイトに関してのみだが、すべてのデータをMySQLに格納しているので、データベースのダンプファイルさえとれれば、スペックの高いサーバーへ移転することも可能だ。レンタルサーバーでWEBサイトを運用している方にとっては、容量やCPU、メモリなどスペックの低いものから大きなアクセスも軽くいなせるレンタルサーバーへ乗り換えることはSEO的にも有利になる。
このようなときに、データベース化されていることは大きなメリットだ。

世界一のシェアを持つがゆえのセキュリティ対策も怠るなかれ

世界一のシェアを持つがゆえのセキュリティ対策も怠るなかれ

人気者には人気者の苦労がある。WordPressは世界的に大きなシェアを持っているだけに、ハッカーからの攻撃リスクもある。ただ、彼らの手法はほとんどがログイン画面にアタックをかけて、ログインIDとパスワードを入手し、コンテンツにウィルスなどを埋め込んでしまうといったものだ。

このリスクを回避するためには、デフォルトで設定されているログインページのURLを変えてしまえばいい。この方法は当社の記事「WordPressへのログインアタックを一発で撃退するプラグイン」で紹介しているので、ぜひ読んでおいてほしい。

WordPressへのログインアタックを一発で撃退するプラグイン

WordPressをすぐ体験したい人には、WordPress.com

WordPressをすぐ体験したい人には、WordPress.com

WordPressがオウンドメディアのプラットフォームに最強だという理由は理解いただいたと思うが、自社のサーバーで運用しないとダメだというわけではない。WordPress.comを利用すれば、無料ですばやく使い勝手をチェックできる。もちろん、そのまま使い続けることも可能だ。

無料のプラットフォームを使っても十分に集客はできるが、サービスが停止されてしまうと、無料であるがゆえにどうすることもできなくなってしまう。これを踏まえたうえでWordPress.comを試してほしい。

WordPress.com

WordPressを無料で利用できるサービスだ。日本語にカスタマイズされているので理解しやすいし、とりあえず試してみようという方にはベストな選択かもしれない。独自ドメインも利用できる。ガイドにあるように、ネット上にあるサイトの24%がWordPressで構築されているということも驚きだ。

年間US$99のプレミアムプランに移行すると、フリー版の3GBの容量が13GBに。独自ドメインが使え、広告表示もなくなる。企業がコンテンツマーケティングをスタートするには十分なスペックだ。もちろん、ユーザーへのサービスを向上させたり、データを守るために自前のサーバーにコンテンツをエクスポートすることもできる。

WordPressではじめるオウンドメディア

WordPressではじめるオウンドメディア

記事全編を通じて、WordPress礼賛みたいなことになってしまったが、ほんとうにそうなのだから仕方ない。WordPressはそれほど魅力的で、可能性のあるCMSプラットフォームなのだ。

世界じゅうに多くの利用者がいて、便利なプラグインソフトを開発してくれているファンがいる。筆者のように、WordPressの利用方法を熱く語る者もいる。あなたがオウンドメディアを始めるのに、最初からこれほど環境が整ったプラットフォームがあるだろうか。

ぜひあなたも、WordPressを上手く活用してオリジナルのコンテンツをリリースし、多くのファンを獲得して欲しい。

職人と話すのが楽しすぎる件

職人と話すのが楽しすぎる件

筆者は、職人を尊敬している。どんな分野であろうと、その道のプロは神々しくさえ見えてしまう。憧れに近い感覚だ。
事務所のビルの大規模改修に来ていた塗装工のお兄ちゃんの仕事ぶりを見て感動し、毎朝あいさつを交わす仲になってしまうほど話し込んだこともある。
仕事がら、取材をすることが多い。職人のムダのない動作や工夫を目の当たりにすると、どうしても

「ほぉ~」
「はぁ~」

などと、声を上げてしまう。決して、良いコメントをもらおうと持ち上げているわけではない。純粋に、すごい!と感じるのだ。

職人と話すことは楽しい。
そこには、私たちが知らない魅惑のマジックが存在する。それがどんなにすばらしいものか、職人たちと話すことの楽しみ、彼らが持つ技の素晴らしさを伝えていこう。

メレンゲは手で混ぜるもの

メレンゲは手で混ぜるもの

当社のクライアント、ケーキハウス・ツマガリさんにお邪魔したときのこと。
ある商品の製造工程を撮影するために筆者はファインダーを覗いていた。泡立てたメレンゲ(卵白を泡立てて、ふわふわに膨らませたもの)を焼き菓子の生地と合わせ始めた菓子職人。

さっきまでメレンゲを勢いよくマシン(筆者にはプロが使う泡だて器も魅惑的な道具に見える。すぐ欲しくなる)で泡立てていたのに、焼き菓子の生地と合わせるときは大きなボウルを使って、手動で行っている。

「なんで手で?」
「生地と合わせると、メレンゲがダレてしまうんです」
「ダレる?」

来た!業界用語だ。
この言葉を習得すれば、少し高みに行ける気がする。ただし、仕事とはまったく関係ない「高み」だけど。

「う~ん・・・」
一瞬、どう説明したらこのバカに理解してもらえるかと言葉を詰まらせていた職人は、素人でも分かりやすい言葉を紡いでくれた。

「べちゃっとしてしまうんです」
「ほぉ~、そういうものなんですね。やっぱり最後は職人の手が必要なんだ」

その瞬間、ボウルの中の生地をかき回す職人の上腕筋が、少し膨らんだ気がした。

指先で焼き上がりを見れてこそ

指先で焼き上がりを見れてこそ

筆者の言葉で、ボウルをかき回す手に力が入りすぎたのではないかと焦ったが、そこは職人。素人の言葉に踊らされるようなメンタルではなかった。

生地を型に流し込み、オーブンに入れて小一時間も待っただろうか。

「もうすぐ上がります」

オーブンの取っ手にかけた職人の手あたりに、ざっくりフォーカスを合わせておく。荒くなりかけた息づかいを抑え込むように、シャッターボタンに触れた人差し指に神経を集中させた。
勢いよく戸を開けた職人は、手前のバットに並んだ型からふっくら盛り上がった焼き菓子の表面をほんの少し突き、またバットをもとの位置へ。

「え?まだ?」

チャンスを逃すまいと、勢いよく連写した人差し指が寂しげだ。

「何をされたんですか?」
「焼き具合をみていたんです」
「ちょんちょんって?」
「はい」
「それで何がわかるんですか?」

まったく失礼な奴だ。相手は職人様だぞ。

「ちょんちょんと突いて、すぐ返ってきたら、焼き上がり。反応が遅かったら、もう少し焼きを入れます」
「ほぉ~、分かるもんなんですか?」

根っから失礼な奴だ。お前からすれば、相手は天下人みたいな人だぞ。

「やっぱり、最後は職人の手なんですね」

オーブンから勢いよくバットを取り出した職人が、ステンレスのテーブルに焼き型を叩きつける音は、いつもより大きい気がした。

※焼き型をテーブルに叩きつけることで生地と型の間にすきまを作り、型をひっくり返すだけで焼き菓子が取り出せるようになる。

オーブンは均一に焼けないと心得よ

オーブンは均一に焼けないと心得よ

1枚目のバットを取り出したものの、職人は2枚目、3枚目のバットはオーブンの中に置き去りだ。というか、扉は鈍い音を立てて閉められてしまった。

「このオーブン、5段あるでしょ?」
「はいはい」
「段によっても焼き上がりが違うんです」

※プロが使うオーブンは、家庭用のオーブンのように同じ釜の中で縦に数段バットが置けるわけではない。1段の高さが低く、段ごとに別の温度設定ができる完全分離型。低いピザ窯が5段になっているようなものだ。

ん?言っている意味が分からない。置き去りになったバットとどういう関係があるのだ?
し、しかしだ。ふだんは無口な職人が自分から話し始めてくれた。筆者は、ネッシーに遭遇するほどの奇跡に巡り合ったのかもしれない。

「同じ段で焼いていても、バットを置く場所によっても焼き時間が違うわけです。入れる枚数によっても、もちろん変わる」

い、いつまでしゃべり続けるのだ。そんなの、職人らしくないぞ。

彼は言った通り、型から盛り上がった焼き菓子の表面を一枚ずつていねいに人差し指でちょんちょんと触っていた。繊細な手付きで、ていねいに。
すべてのバットがオーブンから出てきたのは、最初のちょんちょんから5分ほど経っていたような気がする。なんとも言えない緊張感から、長く感じてしまったのかもしれないが・・・。

あとで聞いたところによると、天候によっても焼き上がり時間に差が出るという。
ひとつひとつのバットの焼き上がりをきちんとチェックすれば、均一な焼き上がりを担保できる。しかし、手間がかかる作り方だ。とても大量生産の菓子メーカーにはできないこと。それだけに、顧客からの信頼が厚くなるのだろう。

職人を目指そう

職人を目指そう

筆者が職人を崇める理由はこれだ。
気を抜かない。手を抜かない。神は細部に宿る、である。

また、彼らを見ていて感じ入るのは、動きにムダがないことだ。どの動きにも理由がある。ある地点に到達するのに一部の隙もない動きをするのである。
さらに言うならば、その洗練された動きゆえに、普通の人がするよりも早い動きなのに、逆にゆったりと感じてしまう。その動作は、美しいと表現してもいいくらいのものだ。

ムダがない。早い。
なのに、きわめて優秀なモノを生み出せる。
どの業界でもこれは通じる。筆者のいるWEB制作業界だってそうだ。多くの引き出しを持つデザイナーは、センス良く要素を組み合わせてクライアントを唸らせる。しかも手も早い。

若人たちよ、職人を目指せ。
職人と呼ばれるようになったら、おじさんが朝から晩まで褒めちぎってやるから。

質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)

質問力を高める:漠然とした質問をしない

質問力を鍛えよう:考え込んでいるサラリーマン

「最近、どうですか?」
質問された人が、どう答えていいかわからない代表的なもの。かつて当社のスタッフが、欧州で活躍するスポーツ選手に不用意にこの質問をし、「何がですか?」と切り返されていた。

「あの人、好きじゃない」
スタッフは立腹していたが、「そんな質問するからだ」とたしなめた記憶がある。ただ、切り返したスポーツ選手も少し突っ張っていた時期でもあったので「わざと」な部分があったとは思うのだが。

この例を反面教師として肝に銘じておきたいのは、
質問者は、相手が答えやすい(どう答えたらよいか容易にわかるような)ように聞くべきだということだ。何を答えたらいいか想像はつくが、答えにくい質問もある。あえてそれを聞かないといけないこともある。しかし取材の冒頭から答えにくい質問を浴びせていては、すぐに相手は言葉をつむぐのをやめ、貝のように口を閉ざしてしまう。

質問力を鍛えるということは、会話力を鍛えるということでもある。インタビューという限られた時間、しかも互いに緊張したなかでコミュニケーションを行い、取材のテーマにそったネタ(あるいは解決の糸口)になるような答えを引き出すためには、「平静」が大切だ。
相手が思わず話してしまう、ここまで話してしまった・・・という雰囲気を作るにはお互いの間に心地よさ、平静さを生むことが必要なのだ。

質問力を高める:核心を引き出すステップ

質問を重ねることによって、相手から核心を引き出す。心理学でいうところの「フット・イン・ザ・ドア」を利用する。ステップは次のようなものになる。

  1. 何も考えずに答えられる質問(YESかNO)
  2. 1.に対する質問
  3. 2.に対するより深い質問
  4. 3.に対するより深い質問

「フット・イン・ザ・ドア」とは、いきなりしてほしい頼みごとをするのではなく、まず小さな頼みごとをして了承されたら、もう少し高いレベルの頼みごとをすると受け入れられやすくなるという理論。
上記のステップも直前の質問に答えてもらえたら、それを掘り下げるということになっている。

ただ、相手のかたくなさや、話の内容によっては上記のステップをいくつか繰り返しながらスパイラル的に核心に踏み込んでいく。ときには、あなたを含めた外部のひとが知りたい「なぜそうできたのか」を、成し遂げた本人さえ気づいていないこともある。
そういったときにこの手法で話を進めると、取材されている本人が取材のなかで頭のなかを整理しながら「体系だてて考えもしなかったノウハウ」に気づくことさえあるのだ。

取材をはじめて間もない人、ろくに下調べもしないで取材に臨んだ人は質問から深堀りする余力がないので、相手から「YESかNO」しか引き出せなかったり、もう一段踏み込んだあたりでネタが尽きてしまう。これでは読み手が前のめりになるコンテンツが書けるわけがない。

質問力を向上させる、たった4つのテクニック(技術編)、後半は

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SEOライティングのセオリー、7つの絶対ルール

SEOライティングのセオリー

クライアントのWEBサイトを構築したり、コンテンツを追加したりする際、WEB制作会社はあらかじめどのようなキーワードで上位表示させるか対策を練る。
事前に設計したコンテンツのコピーライティングにおいても、最終仕上げとして「SEOライティング」を施してブラッシュアップすることで、より上位表示の可能性を高める努力を行う。一般的なコピーライティングだけでは、検索エンジンに評価されにくいからだ。

もし、あなたの担当するWEBサイトが、検索エンジンから評価されていないのであれば、SEOライティングの特別なテクニックを学ぶべきだ。

検索エンジンに評価されにくい、とは言い換えるとデータを解析しづらい、分かりにくいということだ。人間の読解力で理解しやすい文章と検索エンジンが理解しやすい文章とは相容れる部分もあるが、相反する部分もある。
コンテンツは検索エンジンのために作っているわけではないから、上手く両者を共存させていくのがSEOライティングだともいえる。

視点を変えながら、あなたのページに少し手を加えるだけで、秘められたポテンシャルが検索エンジンから正当に評価され、劇的な上位表示が可能になる。SEOの目的である集客にも貢献するようになる。
あなたにも、担当するWEBサイトへのマーケティング施策としてぜひ真剣に取り組んでほしい。

1.ページ上部を有効に活用する

ページ上部を有効に活用する

Googleの評価アルゴリズムは英語圏で開発され続けているものだ。ということは、英文のコピーライティングのマナーに則した方法で文章を評価していると考えるのが自然だ。

日本語の文章とは異なり、英文の文章は結論を先に書くことが多い。だとすればGoogleは、結論=重要なキーワードを含むコピーは文章全体の序盤にあると考えているわけだ。あなたが作ったページ上部、つまりリードコピー部分に、検索エンジン対策で狙ったキーワードが適切に配置されているだろうか。

SEOライティングのセオリーその1
狙ったキーワードは、ページ冒頭に必ず配置しよう。

2.見出しの直後にも、SEOキーワードを配置

見出しの直後にも、SEOキーワードを配置

リードコピー部分に対象キーワードを配置するのと同じ理由で、ページの途中にある見出しの直後に近い部分にも対象キーワードを配置すべきだ。

SEOライティングでは、結論に至る根拠を挙げ、証明しながら最後に結論を書くのはNG。まずキーワードを含んだ結論を先に述べ、追って結論を証明するための根拠を書く。

SEOライティングのセオリーその2
狙ったキーワードは、見出し直後にも配置しよう。

3.見出し(Hタグ)を有効に使う

見出し(Hタグ)を有効に使う

SEOライティングでもっとも重要なセオリーが、各パラグラフの先頭に位置する見出しに、狙ったキーワードを含めるということだ。

不自然に対象キーワードをねじ込むのは、読みづらくなってしまうだけだが、狙ったSEOキーワードを含めつつ「引きの強い(※)」見出しに加工する必要がある。WEBライターの腕の見せどころだといえるだろう。

また、WEBサイトでは、見出し=Hタグだ。
HTMLは階層構造で論旨を展開するので、文頭からH3タグが配置されていたり、Hタグの順がなっていなかったりすると、検索エンジンが正確に文章構造を把握できなくなってしまう。HTML文法も間違わずに記述しよう。

SEOライティングのセオリーその3
狙ったキーワードを見出しに含め、読み進めたくなるものにしよう。

※引きの強い
引きが強い。営業用語で、ターゲットの反応が良いことを指す。

4.専門用語を使ってもいい

専門用語を使ってもいい

検索エンジンは、あなたがスペシャリストであるかどうかを気にしている。検索者にとってあなたのWEBサイトが有益な情報源であるかを判断するためには、専門家であるかどうかも重要だからだ。

しかし専門家だからといって、専門用語を使うべきだと言っているわけではない。内容を理解できるコアなファンだけが集まるWEBサイトだったり、平易な言葉で記述すると間違った解釈を誘ってしまうような場合には、積極的に専門用語を使べきだということだ。

また、「共起語」を散りばめておくことも忘れてはいけない。
共起語とは、あるキーワードを文章に盛り込んだ際に、その文章内でたびたび表記されるようになる単語のことだ。たとえば、「便秘」が文章中に出てきたのであれば、その前後に「解消」「改善」「冷え」といった単語が必ず現れる。

1つのキーワードだけが唐突に表記されていても、Googleは評価しない(というか、Googleの上位表示アルゴリズムは、共起語をヒントに対象キーワードに対する評価システムが稼働していると思われる)。

SEOライティングのセオリーその4
専門用語を使うことで、検索エンジンに「専門家」と認識させよう。

5.指示代名詞を使わず、SEOキーワードを繰り返す

指示代名詞を使わず、SEOキーワードを繰り返す

検索エンジンの評価アルゴリズムは、人間の目による評価ほど正確ではない。人間であれば、文章中に「あれ」「それ」「彼」といった指示代名詞を使っていても何を指しているのかを推測しながら読み進めることができるが、評価アルゴリズムはその域まで達していない。

だから、特に対策キーワードを指し示す指示代名詞は極力使わないようにし、検索エンジンが評価しやすい形に加工してやることが必須なのだ。

ただし、あまりにもキーワードを繰り返すのは避けるべきだ。
たとえば、「ホームページ制作は、専門のホームページ制作会社に任せた方が、質の良いホームページができあがります」では、早口言葉のようで読みづらいし、意味を理解するのに時間がかかる。
検索エンジンは、シソーラス(類義語)辞書を持っている。ホームページならWEB、ウェブといった言い換えられたキーワードも同じ意味として把握してくれるのだ。だから、同じキーワードばかりを繰り返すのではなく、ときに言いかえをしてみることにもトライしてほしい。

SEOライティングのセオリーその5
狙ったキーワードを示す代名詞は使わない。

6.具体的な言い回しで、分かりやすくを心がける

具体的な言い回しで、分かりやすくを心がける

ネットで情報を探すとき、あなたは記事を最初から最後まで「読んで」いるだろうか。
筆者は、よほど趣味的なことを探している場合は別として、WEBサイトを一言一句もらさず読み通すことはしない。ほとんど斜め読みに徹する。そうしないと、読書しているのと同じことになり、情報を「探している」ことにはならないからだ。

おおよそWEBページは、このように「チェック」されるもので、じっくり読まれるものではない。このことを考慮すれば、叙情的に読み手に推測させるような言い回しは避けるべきだという結論になる。できるだけ具体的な見出しで、ザッピングできるように書くことが大切なのだ。

関連して、冗長な言い回しも避けたほうがいい。
たとえば、「することが可能になる」は「できる」で十分だ。意味が間違っていなければ、簡潔である方が斜め読みしやすいからだ。

SEOライティングのセオリーその6
斜め読みしやすいように、具体的な言い回しで書く。

7.検索者から感謝される記事を書く

検索者が感謝する記事を書く

Googleは、コンテンツの内容も評価している。「コンテンツ イズ キング」といわれる所以だ。

考えてみてほしい。相手は世界有数の頭脳を集めた精鋭たちだ。我々がちょっと考えてひねり出した生半可な思いつきで、彼らを欺けるわけがない。評価アルゴリズムはまだ人間の目による評価にはかなわないが、その精度は日々進化している。

今回紹介したテクニックによって検索上位にランクされるコンテンツは、ポテンシャルが十分なコンテンツに限られる。ポテンシャルがあるコンテンツとは、検索ユーザーに評価される記事のことだ。

あなたのWEBサイトにあるページを狙ったキーワードで上位に表示させるためには、まずは検索ユーザーから評価されるコンテンツを生み出すことだ。そのうえでSEOライティングのセオリーを追加すれば、どんな競合サイトも恐れることはないだろう。

SEOライティングのセオリーその7
まず検索ユーザーから評価されるコンテンツをつくることを意識しよう。

SEOの基本:descriptionの最適化と文字数

自転車レース。ゴールになだれ込む選手たち

Googleでキーワード検索すると、ページタイトルと説明文(スニペットと呼ばれるページの要約文。descriptionが表示されることが多い)が表示されるので、そのなかから自分のニーズと合ったものを選んでクリックしているはずだ。

勘のいいあなたなら、もうお気付きだろう。

SEO施策を講じた結果、上位表示されるようになった際に、クリックされやすくすることもWEBマーケティングにおいて非常に大切なことだということを。SEOによって上位表示されることがあなたのゴールではない。
検索ユーザーが上位表示されたページを見て、クリックしたくなる要素を掲示しておかなければ、せっかくの苦労が報われないということなのだ。

この記事では、

  • クリックされやすくなるための「description」
  • 上位表示されたあとのクリックされやすい「description」の文章作法

について解説する。

「description」は、あなたのWEBサイトが上位表示された際に「title」タグと並んで力を入れるべき要素だ。HTMLコーディング要素としてはMETAタグといわれる基本中の基本なのに、残念ながら意外と軽視されていることが多いことも事実。
しかしほんの少しだけ時間をとって、descriptionタグを見直すだけで、SEO効果、CTR(クリック率)も確実に向上する。

あなたも今日から、この記事にならってクリック率を高める考え方とテクニックを習得してほしい。

META要素「description」の概要と役割。最適な文字数について

「description」は、HTMLファイルのヘッダ部分にMETA要素として記載される、WEBページの要約文、つまり端的な説明文のことだ。

Googleの検索結果にも表示されることが多くなるので、クリック率にも影響する。「表示されることが多くなる」、としたが、これは検索キーワードとマッチした場合のことで、マッチしなければ、代わりに本文の適切な部分が引用されることがあるからだ。

検索結果のキャプチャ

検索結果のキャプチャで赤い枠に囲まれた部分をスニペットといい、検索キーワードと一致した部分はボールド表示される。検索ユーザーは、まず自分が入力したキーワードを検索結果に求めるので、狙っているSEOキーワードはdescriptionの中(できれば前方)に必ず含めるべきだ。

さらに注意すべきは最適な文字数だ。検索結果をみても分かるように、表示されたdescriptionの最後のほうが切れてしまっている。ページの要約文という意味合いからも、きちんとその場で説明が完結できるようにしておきたい。

検索結果できちんと表示される文字数は、端末や検索エンジンによっても異なるが、おおよそ120文字前後。この記事のdescriptionは115文字。検索結果では最後まで表示されている。

端末によっても異なると述べたのは、スマホの検索結果では50文字程度、PCだと120文字前後ということからだ。レスポンシブWEBデザインで、スマホPC兼用のWEBサイトも多いことから考えても、前半50文字でターゲットとしているキーワードを含めた文章で要約し、補足説明を残り70文字で行うのがベストな考え方だ。


META要素であるdescriptionは直接的なSEOに効果はないが、検索結果に引用されやすいため、内容次第でクリック率が変わってしまうほど重要なもの。最適な文字数や、キーワードを盛り込み、検索ユーザーにクリックさせる魅力的な文章作法について。

(この記事のdescription)

ただ、この文字数制限に神経をとがらせる必要はない。

検索ユーザーは、とにかく検索結果のなかから自分の求めているものを躍起になって探しているので、descriptionの最後の1文字まで精読しているとは考えにくいからだ。

SEOには実質的な効果はないが・・・

川面に浮かぶ、カバと男性

結論からいうと、descriptionによるSEO効果は残念ながら認められない。あくまで、本文の一部程度と考えておけばいいだろう。

META三大要素「title」「description」「keywords」を迷信がごとくSEOに重要なファクターとして捉えている方もいるが、この3つのなかで直接的なSEOに限って言えば、効果に影響があるのは「title」タグだけだ。

かといって、descriptionを軽視していいかといえば、まったくそのようなことはない。
冒頭でも述べたように、descriptionの内容は上位表示されてからのクリック率に大きく影響を及ぼすからだ。

SEOに直接影響がないからと、descriptionを設定していないWEBサイトがあるが、筆者はこの考え方には反対だ。

WEBサイト運営の目的は上位表示させることではなく、訪問者を増やし設定したコンバージョンを上げることなのだから。ごく最初の目的「上位表示」が達成されたとしても、そこには何の意味もない。

しっかり考え抜いたdescriptionで検索ユーザーを誘い、あなたのWEBサイトに連れてくることからすべては始まるのだから、最後のツメを怠ることは許されない。

クリックさせるdescriptionの書き方

上位表示もまだまだなのに、そんな先のことまで考えても仕方ない、などと考えてはいけない。


勝負は、スタートする前に決まっている

これは、多くのスポーツ選手が口にする言葉。
スタートラインに立つまでに、どれだけ決戦のための準備をしたか。あらゆる場面を想定したシミュレーションを行い、すべてに対応できるように準備しておくことが勝利への王道だということだ。

では、クリックさせやすいdescriptionを書くための注意事項をみていこう。

1.キーワードを前方に盛り込み、本文を端的に説明する

PC画面、ブログをクリックする

SEOコンテンツを作成する際には、狙ったキーワードから想定できるコンテンツの内容を考えたはずだ。
であれば、検索ユーザーはその答えを求めているのであり、その思いに応えられるコンテンツがこのWEBページにはあるのだと伝えなければならない。

さらに、より良い効果を生むためには、SEOキーワードを前方に位置させておいた方がいい。なぜなら、冒頭に自分が入力したキーワードを早く見つけられれば、検索ユーザーは安心するからだ。

従って、descriptionを書くうえで、まず気を付けるべきは

SEOキーワードを前方に含め、SEOキーワードから想定した内容の紹介文とすること。

時折、SEOキーワードを並べただけのdescriptionを見かけることがあるが、ほぼ何の意味もなさない。

何度も伝えているように、descriptionは検索結果として表示された際に、検索ユーザーをあなたのWEBサイトに誘うための文章だ。検索ユーザーが自分の入力したキーワードが並んだdescriptionを見て、検索結果は間違っていないと確認はできるだろううが、決してクリックしたくはならないだろう。

2.より興味を引く表現に

嬉しそうにこちらを見る女性

この記事のdescriptionが「meta descriptionの概要と使い方。SEOには効果なし」となっていたら、あなたはクリックしただろうか。

確かに、ある部分についてはきちんと紹介できているし、端的過ぎるほど端的に表現している。ただ筆者が検索ユーザーに伝えたいことはほかにもあるし、検索ユーザーがぜひ目を通しておきたいと感じることは、違う部分にあるはずだ。

たとえばそれが商品紹介のためのWEBページであれば、下記の内容を盛り込みながら、SEOキーワードにもっとも近い内容を膨らませて表現しておく。たいていの場合は、商品を使うことによるメリットやその後のベネフィットを中心に伝えるのがベストだ。

  • その商品を使うと、どのようになれるか
  • 特長、仕様
  • 価格と入手方法
  • 既存ユーザーからの評価

descriptionを必要以上に引きの強い文章にすると、直帰率が上がる可能性はあるという考え方がある。しかし、その前に訪問してもらわなくては何も始まらない。

直帰率が上がるからといって何も策を講じないのは、単なる「事なかれ主義」に過ぎない。そんな考え方のWEBサイト運営が、成果を生み出すとは到底思えないので、あなたには積極的に魅力あるコピーライティングにチャレンジしてほしい。

Search Console(旧ウェブマスターツール) で問題ページを探し、クリック率を改善

パズルのピースを合わせる

descriptionは、検索結果から訪問者を連れてきてくれる役割を果たしていることを考えれば、ページ本文と同じくらい重要な要素だ。

あなたがいくつかのSEO施策を講じた結果、みごとに上位表示されたとしても、descriptionの力がなければWEBサイトに連れてきてはくれない。

また、Googleからの評価があなたの満足できない結果(たとえば競合2サイトに後塵を拝し、3位にしかなれなかった・・・)だとしても、descriptionが検索ユーザーにとって魅力的に見えるものなら、上位に表示されるライバルたちよりもクリック率が高くなる可能性さえある。

要するに、あなたはWEBサイトに顧客候補を連れてくれば勝ちなのだ。

SEO施策におけるdescriptionの重要性は理解できた。とはいえ、膨大な量のdescriptionを書き直すのは大変だ。
とにかく動くことが大切であり、何かが動かなければ何もわからないわけだから、とりあえず効率よく手を付ける手順を紹介しよう。

  1. Search Console で、上位表示されているのにクリック率が低いページを探す。
  2. 次に、このコラムで紹介した方法でdescriptionを改善する。

クリック率が改善されれば、あなたの勝ち。試行錯誤しながら努力を続ければ、きっと報われるはずだ。