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ブランディングが失敗に終わる理由とは?

リブランドは、顧客との約束

ブランディングとは、企業や商品、サービスの特長や価値を顧客にわかりやすく伝えることで、認知度や好感度を高めていく活動。「売れ続けるしくみ」を創ることと言ってもいいものです。ただ、ブランディングには推進の方法によっては効果が出ないこともあります。
経営陣の大きな期待を背負って始めた活動であるにもかかわらず、労力と費用をかけた割には思い描いた効果が出ない。広告代理店や制作プロダクションが口を開けば「ブランディング」と言いはじめる時代になったのに、失敗も数知れず・・・。

本コラムでは、ブランディングの失敗例やその原因、対策を紹介することで、これからブランディングを始めようとする企業に、成功に近づいてもらおうという意図でお伝えしていきます。

ブランディングの落とし穴

市場調査や分析、クリエイティブにいたるまで、多くの労力をかけたのに失敗するブランディング。活動が上手くいかないポイントとしては、以下のようなものがあります。

ブランドのメッセージが一貫していない

社内にブランドメッセージが周知されておらず、担当者によって顧客への伝え方、行動が異なる場合。同じ商品でも、国や地域によって、ブランディング活動によって得た結果とはニュアンスが異なってしまっていて、顧客を混乱させるばかりか、不信を招いてしまう。

インターナル(社内)ブランディングができていないことによるものです。ブランディングといえども、最後は社員一人ひとりが媒体となって社外にメッセージを伝えていくことになります。社内の体制が構築できていなければ、外向けの活動も上手くはいきません。

ブランドのメッセージが時代に合わない

SDGsの考えが浸透しはじめているなかで、男女を分けてしまうような採用活動をしたり。そういう社員を経営陣が望んでいるからといって、モーレツに働く先輩社員の姿を伝えたり。Z世代から反発を受けるのは容易に想像できますね。

ブランドのメッセージが顧客のニーズに応えない

ひと時代前の家電製品は、ひとつまえのモデルより機能をひとつ加えて販売価格を維持する製品開発が主流でした。そうするとたくさんのボタンが並んだリモコンが生まれ、一回も使われずに寿命を終えるといったことに。売上を上げる、維持するための製品開発なので、顧客のニーズなどとは無縁なのです。

前項の時代に合わないメッセージも同じで、綿密な市場調査を行わず、ブランドホルダー側の身勝手な思い込みが強すぎると、このような結果となってしまいます。

ブランディング失敗の原因と対策

ブランディングの失敗は、いくつかの原因に集約されます。進め方の問題、組織(=人)の問題、知識(=方法論)の問題、社内浸透に関する不徹底の問題などです。

進め方の問題

社内だけでブランディングを進めようとすると、とくに市場分析などの場面で社内の至らない点が数多く挙げられる「グチ大会」に陥り、やっぱりウチはだめだ・・・ということになりがちです。中小企業に多く見られる傾向ですが、今まで生き残ってこられたのには顧客側から意味のある理由があるからです。
会社に対するリスペクトをベースに社外のナビゲーターが導くと、逆に「うちも案外いい会社なのかも」とプロジェクトメンバーが思い直す場面も出てきます。

組織(=人)の問題

ブランディングした結果を社内に浸透させようとすると、必ず人の問題が出てきます。インターナル(社内)ブランディングは、人の問題と言い切っても差し支えないほどです。
この大きな壁をどう乗り越えるかがブランディングを成功に導くかどうかの分岐点ともいえます。この障壁を取り除かなければ、冒頭でお話したような部門、地域によって、人によってブランドメッセージの伝わり方に差が出ることとなります。

知識(=方法論)の問題

ブランデイングに関するそもそもの知識が不足していることによる失敗があります。ブランディングは市場における自社のステータスやターゲット顧客、社風などを絡めて、独自のポジショニングを行っていくプロセスです。これに加えて理想の姿とのギャップを埋めていく作業も含まれます。
こういった各プロセスにおける調査、分析の仕方やまとめ方、経験などが社内だけでは決定的に不足しています。

改善活動をしない

多くの難解なプロセスを経たからといって、必ず正解を導き出しているわけではありません。ブランディングによるクリエイティブがターゲット顧客と上手くコミュニケーションできていないのであれば、調整が必要です。
ターゲット顧客に伝わらない=ブランディングの失敗なわけですから、できるだけスピーディに調査を行い、改善を進めていきたいところです。

ブランディングを失敗させないために

ブランディングが成功するか失敗してしまうかにフォーカスすると、テクニック的な議論になってしまうかもしれません。それより、ブランディングを行うことによって、得られる未来を思い描くことに重きをおいたほうが推進力は生まれるのではないかと感じています。

ブランディングは自社の足元(理念やパーパス、社風をはじめとする各種リソース)を分析することから始め、競合他社との関係性、ターゲット顧客の絞り込みを行うことにより、自社独自のポジションを確立することです。しかしそれだけでは、理想の未来とのギャップが大きすぎて、いつになったら理想に近づけるのかわからない・・・という状況を生むので、中期計画などを立案し、そのギャプをどうやって埋めていくかを行うことが必須なのです。

もしかすると、ブランディングの失敗は、まだ道半ばなだけなのかもしれません。いまいちどこれまでのプロセスを顧みて、自社がどこにいるのかを確認してみることも必要でしょう。

ビデオ通話で出張費約30万円を削減し、顧客と密になる方法

ビデオ通話をイベントっぽく演出。しかも出張費削減

ビデオ通話で出張費約30万円を削減し、顧客と密になる方法

まだまだビジネスの現場で普及していないビデオ通話。SF映画では、いろいろなシーンで活躍しているというのに。
顧客とほんの少し目的を共有するだけで、出張費を削減し「三方良し」となるコミュニケーション方法がある。遠方でも十分に打ち合わせの目的を果たすことができ、思わぬメリットさえ生み出すスペシャルなメソッドを伝授しよう。

出張費削減を優先してしまったが

出張費削減

あるクライアントの東京支社でWEBサイトのリニューアル案件が持ち上がった。しかし潤沢な予算があるわけではなかったため、大事な局面で大阪から東京に出張してコミュニケーションを図るわけにもいかない。しかし多くの場合において、プロジェクトの正否を決めるのは密なコミュニケーションだったりする。この課題をどう解決するかが私たちに投げられた大きな問題だった。
最小限の打ち合わせに抑えたとしても、5回ほどの打ち合わせが必要だ。ということは、

削減できる出張費の内訳

  • 往復旅費25,000円×5回=12.5万円
  • 往復6時間×5回=30時間分の人件費

制作費とは別に、おおよそ30万円近いコストが発生してしまうことになる。ただし、何の工夫もしなければ、だ。

とにかく、ビデオ通話を試してみた

ビデオ通話

以前から、試してみたいと考えていた「ビデオ通話」。外部ブレインのデザイナーとの打ち合わせに使ったことはあったが、クライアントとは初めてだ。おそるおそる「どうでしょう?」と切り出すと、「いいですよ、やりましょう」。心配していた割には、拍子抜けのお返事。そうだ、彼らは東京~大阪の距離を以前から自社内のテレビ会議で乗り切っているのだ。
とは言うものの、彼らが使っているテレビ会議システムは、専用回線を使った高価なインフラ。ほぼ無料のビデオ通話とはレベルが違う。
とりあえず持てる知識を総動員し、Google先生に師事しながらベストな可能性を探ることに。当社で出した結論は、「SIMセットアップ済みタブレット」。これをフル活用することで「ビデオ通話」によるプロジェクト会議を実施、出張費を約30万円削減することに成功した。

ビデオ通話ミーティングで得られたメリット

ビデオ通話のメリット

ひざをつき合わせた会議で有益なのは、その場の空気感を共有できることだ。張りつめた緊張感をほぐすために、本題から少しそれたトピックに熱中したり、たとえ無言の時間ができてもそこに相手がいることで、それがどういう状況なのかを判断することができ、どちらかが何かを切り出すべきか否かも判断できる。
しかしビデオ通話で行う会議では、その空気感は伝わりづらい。それゆえビデオ通話会議では、それぞれが持ち寄ったアジェンダに集中して取り組むことができ、出張費の削減にとどまらず、会議時間も極めて短時間で終えることができるのだ。

ただ、それではクライアントに申し訳ないと感じてしまうのが、大阪人としてのプライドだ。

せっかく会った(ビデオ通話を通してでも)のに、大笑いのひとつ取れなくてどうするのか。これが初回の打ち合わせを終えた後の率直な印象だったが、これは私の杞憂だった。2回目以降のミーティングでは、習わし通りとりあえずのツカミから始まり、途中休憩代わりの息抜きアジェンダも盛りだくさん。きっと我がクライアントもビデオ通話会議を楽しんでもらえたはずだ。

結局のところ、今どきのプロジェクトでは、ビデオ通話による会議はアリである。あなたも思い切って出張費の大幅削減も得られるこの方法にトライしてみてはいかがだろうか。

ビデオ通話は、それ以外にも効果あり

クライアントとの関係が密に

ビデオ通話による会議は、前述したような時間の削減効果以外にも、大きなメリットがもたらされた。
ひとつに、密度の高い会議を行おうとするので、より早い段階で資料を準備し送付しておくことになったこと。しかも、指さしながら説明しなくても済むよう、分かりやすい資料作成に苦心するようになった。
ひざを付き合わせた会議とは異なり、ビデオ通話では相手の資料に指をあてて説明することは難しい。従って、見るだけで理解できる資料が必須なのだ。こういった資料が届くと説明してもらわなくてもある程度理解できるので、クライアントも積極的に事前に目を通してくれるようになる。これが短時間で会議が済むようになるポイントでもあるわけだ。

もうひとつ、「分かりやすさ」を極めるために、次のタスクの分担、期限を明確に設定するようになったこと。
プロジェクトを期限内に完遂させるには、このポイントは非常に重要だ。とくに受託側の我々が納期を守らないことはほぼないが、クライアント側にもその意識が芽生えるのは大きな意味がある。両者がお互いをリスペクトし合いながら、コストを削減することにおいても目標を持つということが、これだけのメリットを生んでいくのだ。

さらに、距離を越えクライアントとの距離が短くなる

ビデオ通話万歳!

ビデオ通話による会議は、いくつかのメリットをもたらしてくれた。ここで私たちが強調したいのは、「無料」だからなのか会議の回数が増えたことだ。近隣のクライアントとの会議でも、交通費、拘束時間など経費はかかる。しかしビデオ通話は、イニシャルコストさえ負担すれば、若干の通信費が発生するだけなのだ。
この「ほぼ無料」による心理的な経費削減効果は大きい。クライアント側も、わざわざ来てもらって・・・という気持ちもある。その心理的な障壁が取り除かれたことで、会議を終える頃には、「じゃぁ今度はいつにしましょう?」という流れになるのだ。
これによりクライアントとの接触回数は増え、コミュニケーションが密になることでプロジェクトはスムーズに動く。まさに顧客との距離が縮まるポイントになってくれている。

実践編は、別記事で

ビデオ通話による会議の準備についてもお伝えしようと考えたが、もたらされるメリットが出張費の削減にとどまらない。そのメリットがあまりにも多く、熱く語ってしまった。概論が長くなりすぎたので、ビデオ通話による会議を始めるための実践編は、別記事で紹介することにしよう。

ネットショップ運営に必要な3つの視点

「もう今月は買うつもりなかったのに、思わず買っちゃった!」

ネットショップの運営で成功する!

そんな経験をしたネットショップには、見れば見るほど「売れるノウハウ」が詰まっていることが多い。星の数ほどある通販サイトのなかで確実に売れているショップには、それだけの工夫と努力が積み重ねられている。
筆者がハマってしまったオンラインショップも含めて、運営の参考となるいくつかのテクニックをご紹介しよう。

ショップ運営に必要な視点(1)

その商品を購入すると、どんなベネフィットがあるのか?

ネットショップで爆買い!

ネットショップに商品とスペックを並べるだけで、物が売れると思っていないだろうか?顧客は、自分が抱える悩みや辛さが解消してくれるか、とても幸せな気分になれそうだと感じなければ、カートボタンなど押してくれないのだ。

たとえば、あなたがタオル専門オンラインショップの運営者だとしよう。
「オーガニックコットン100%、肌触りバツグンのバスタオル」。これでは単に商品のスペックを紹介しているに過ぎない。
それに比べて、

「オーガニックコットン100%のバスタオルだから、あなたの赤ちゃんがこのバスタオルにぷにゅぷにゅほっぺをくっつけたとたん、すっと表情が明るくなるのが分かるでしょう」

と紹介されていると、お母さんはその表情を見たいと思ってしまうだろう。
これが顧客にとってのベネフィット。

ポイントは、できるだけ具体的にターゲットを決めること。そうすれば、イメージがわきやすい。そして、人生がどれだけ素晴らしくなるかを鮮明に描いてもらえるコピーで商品を紹介しよう。

事例:その1 「ほぼ日ストア」

ネットショップ事例:ほぼ日

ご存知、糸井重里さんが運営している「ほぼ日ストア」のほぼ日手帳は、このネットショップの中で最もコンバージョンレイトが高い商品のはず。
筆者も2回ほど購入したが、上手く使いこなせずに挫折した組。それでも、ネットショップで見るたびに「やっぱり買おうかな」としつこく思ってしまうのはなぜなのだろうか?

たとえば、みんなの使い方コレクションでは、
「将来、成長した娘にプレゼントするための手帳」や「思わず読みふける映画手帳」といった、使い方アイデアが山盛りで紹介されている。1日1ページ分の手帳は、シンプルな余白に自由に書き込んだり貼り付けたりできる構成。1年分の思い出や、取り組みの成果を文庫本サイズに凝縮することで、使い終わった後にも、さらに価値が増幅するように感じられる演出が冴えわたっている。

事例:その2 ケーキハウス・ツマガリ

ネットショップ事例:ツマガリ

一般的に、ネットショップでの購入数を増やすにはページビュー数がKPI(Key Performance Indicator)と言われており、ショップ運営者はページビュー数を増やすことに日夜苦心している。しかしそうとばかりは言えない事例がこれだ。「お客さまの声」もかなり重要な数値なのではないだろうかと。

兵庫県西宮市にある洋菓子の名店、ケーキハウス・ツマガリのオンラインショップ。実は、ネットショップ運営のお手伝いをしているのは当社だが、ツマガリファンの情熱にはいつも驚かされるばかりなのだ。
商品紹介ページの下に設けられた「この商品を食べた感想をお書きください」というボックスに寄せられるご意見、ご要望の熱いこと。

「47年間生きてきて、一番おいしいクッキーでした」
「皆さんの感想が本当なのか購入したら、マロンパイのあまりの美味しさに感動しました!」

という声はまったく嘘偽りのないそのままのもの。

そして我々が気づいたのは、お客さまの声の数が購入率に関係しているということだ。ショップ運営者が語る商品紹介よりも、実際に購入したお客さまの声ほど説得力のあるコンテンツはないのである。

ショップ運営に必要な視点(2)

おもてなし精神を発揮する

リアルの店舗のように、お客さまのすぐそばにいるかのような接客がネットショップの大きな課題だ。サイトの運営者は訪問者の心の動きを予測し、必要とされる情報をタイムリーに提供することが成功の鍵となる。
ネットショップでは、さり気なく欲しい情報をお客さまに差し出す。逆に、差し迫って必要のない情報は、邪魔にならないように掲示する。実店舗に迫るおもてなし精神は、必ず訪問者に伝わるものだ。

事例:その3 ディノス・オンラインshop

ネットショップ事例:ディノス

たとえば、リンクボタンだけにフォーカスして、さまざまなネットショップを眺めるのもいいだろう。
使い勝手の悪いショップほど、リンクボタンやバナーが我先にと言わんばかりにガンガン主張しているものだ。
洋服や家具など幅広い商品を扱うネットショップ「ディノス」の商品詳細ページは、文字サイズや余白のバランスなど、細かな部分で使い勝手が考慮されている。
「カートに入れる」ボタンの次に目につくのは「お届け日/在庫確認」。リアルの家電量販店などで「今ご注文してもらったら、今日中に配達できますよ」と店員が背中を押すトークと同じようなものだ。
逆に、周辺情報である「お支払い方法」などは控えめ。目立たないけれど、すぐに見つかる位置に配置されている。

そういった細やかな配慮ができるかどうかは、ショップ運営の熱い思いはさておき、どこまで顧客目線に立てるか。そうすれば、情報の優先順位は自ずと見えてくるはずだ。

ショップ運営に必要な視点(3)

決して値段で勝負しない。

ここまでご紹介したとおり、結局のところ安いだけでは顧客は買ってくれない。あなたのネットショップにアクセスして、わざわざ送料を払ってまで注文しようと思わせるには「その店でわざわざ買う理由」が必要なのだ。

「私が知る限り、5本の指に入るほど美味しい」コーヒー豆。

このコーヒーショップの店長は、世界各地を旅しておいしいコーヒーを知り尽くしているという。その店長が、そこまで絶賛する豆をコーヒー好きのあなたはスルーできるだろうか?

「タイムマネージメントが上達する手帳」

世界一のコンサルティング会社が考案した、この手帳を時間管理に悩むあなたは、いくらでもいいから売ってくれと思わないだろうか?

ある分野を極めた専門家の言葉に、私たちは全幅の信頼を置く。さらにそこにストーリーが加わることで、値段や送料といった「ささいな」ハードルを難なくクリアさせてしまう「買う理由」が生まれるのだ。

事例:その4 土屋鞄製造所

ネットショップ事例:土屋鞄

興味をそそられるハウツーコンテンツは、幅広く訪問者を集める手段でもある。
上質なレザーアイテムを揃える土屋鞄製造所の「革のこと」は、革製品のケア方法を教えている。「雨の日対策」や「色移りのケア」など、カバンを買うつもりでなかった人も、ノウハウとともにネットショップの存在や商品を知ることになる。

また、職人魂が感じられるコンテンツ「工房よもやま」では、カバンの種類によってミシン針の太さが何種類も揃えられていることや、お役ご免になったランドセル持ち手の抜き型が食堂の扉に使われている話などが美しい写真と共に紹介されている。

革製品について専門性の高いネットショップ、情熱ある革職人がいる価値あるブランド。初めての訪問者にそんなイメージを印象づけられたら、顧客候補となり得るだろう。

事例:その5 ギフトショップCOCOMO

ネットショップ事例:COCOMO

商品紹介ページを読むだけで、センスのよい理知的な店員さんの顔が思い浮かぶネットショップが「ギフトショップCOCOMO」。
ギフト商品に的を絞ったECサイトだが、商品説明がとても丁寧に書かれており、「きっとここの店員さんは誠実なのだろう」と思わせる。

ちなみに、筆者が購入したのはウサギのスタイ(よだれ前かけ)。ベビー服に消費者が求めることは、安全性と大人が喜ぶ可愛らしさである。
デザイン性に加えて、オーガニックコットンに早くから取り組んでいた店の製品であること、紡績から縫製まですべてが日本製であること。お洗濯の注意点も細かく紹介されている。

特にギフトとして購入する場合は、贈った商品が本人の価値を上げてくれる品であることが重要だ。商品のクオリティが親切丁寧に書かれていることで、顧客は安心して購入することができるのだ。

ショップ運営に必要な視点

まとめ

こうやって、いくつかのネットショップを眺めて分かることは、どのショップも、徹底的にお客さま視点に立ち、お客さまの都合で物事を考えているということ。言葉にしてしまうと簡単に聞こえるが、それはなかなか簡単ではない。

では、いかにしてお客さま視点に立つことができるか。筆者がお薦めするのは、自分が積極的に顧客になってみること。自社商品はもちろん、気になるネットショップで実際に買い物をしてみる。話題のショップがあれば足を運んで、そのサービスを体感してみる。心地よいサービスや商品、逆に気に入らなかった店について分析しまくる。地道なしつこさが、あなたの消費者感覚を鋭くさせてくれるはずだ。

EC-CUBEで制作する、はじめてのネットショップ
サイト運用・管理サポート
WEB制作実績

この記事に関するご質問やお困りごとのご相談も何なりと。

植松 あおい

株式会社フレイバーズ専務取締役。セールスライティング担当。フラダンスに命かけてます。

 

動画マーケティング成功事例 | イメージ改善で売上に貢献

ケーキハウス・ツマガリ「ラッピングギフトの現場」

動画:ツマガリTV「ラッピングギフトの現場」

動画マーケティングを成功させるために配慮すべきポイントを、当社のWEB制作実績を例に挙げてご紹介します。

売れる可能性を持った商品であるにもかかわらず、広い支持が得られていない。課題はシンプルで、WEBサイトでその良さを十分に伝えること。これを解決するための方法のひとつとして、動画コンテンツを検討します。

高速回線が普及し、動画をスマホで視聴することが多くなったこと※1、動画が商品購入に強く影響すること※2も分かってきており、動画マーケティングへの需要が高まってきています。この記事では、課題の背景から動画コンテンツ企画のポイント、既存のWEBサイトも含め効果を高める方法をお話しします。

※1:動画サイトでのスマホ率がPCに並んだ(2014年2月のニールセン調査)。
※2:オンラインショッピングサイトで動画コンテンツを視聴した訪問者の商品購入率は、視聴していない訪問者の2倍(米国の動画専門企業であるInvodo社実績)。

「おまけ」的な商品イメージを変えたい

動画:ツマガリ・ラッピングギフト

ケーキハウス・ツマガリのメイン商品は日本全国から支持され続けているお菓子であり、「ラッピングギフト」商品は、同梱されているクッキーを引き立たせるためのもの、といったイメージがありました。

クリスマス時期になると店頭に並ぶ、長靴に詰まったお菓子に代表されるように、一般的にお菓子に付いているプラスアルファ品は、「おまけ」程度にしか考えられていません。しかし実際のツマガリのギフト商品は、半年以上前から自社で企画し、製作も手がけるほど気合いの入ったもの。

パティシエたちがお菓子にかける情熱と変わらないほど真摯に向き合っているのです。「知る人ぞ知る」人気の存在であったにもかかわらず、WEBサイトでもお菓子の紹介ほど注力していなかったため、「ツマガリのギフト商品は良い」とまで認知はされていない状況でした。

この状況を変えるために、商品クオリティの高さを訴求するストーリーを持つ動画コンテンツにする必要がありました。

ツマガリはYouTubeに公式チャンネルを開設しており、動画によるマーケティング効果を理解されています。これまでにも津曲社長によるケーキの切り方コンテンツがYouTubeでフィーチャーされ、6万回を超える視聴回数を記録していたことも新規のコンテンツを制作するきっかけとなりました。

成功の法則:意外性をベースに据えると視聴時間は伸び、理解度は深まる

人は、それまで自分が持っていた感覚を覆されるような事実を目にすると、その事実に驚き、興味を持ち、確かめたくなります。このポイントを動画マーケティングでは外すことができません。

今回の動画コンテンツの意外性は、先ほどご紹介した「決しておまけではない商品レベルの高さ」です。オンラインショップのサポートを行っている当社のスタッフでさえ、この企画が持ち上がる前まではツマガリのオリジナル商品に対して、一般的な固定観念を持っているだけでした。動画マーケティングに取り組む前段階で商品ページの改善を行った際、商品に実際に触れたことでその意外性に気付いたほどでした。

この意外性(CONFLICT=自分のなかの既成概念を壊してしまうような葛藤を覚える感覚)を中心に据えるということで、動画マーケティングのコンセプトは固まったのです。

オリジナル性の高い商品、クラフト感を訴求

動画:ツマガリ「ラッピングギフト」

商品の特長を訴求するために、できるだけ多くの商品映像をクリップ。ケーキハウス・ツマガリのギフト商品は、担当部門のラッピングルームの女性スタッフたちが、「こんなアイテムがあったらいいな」を形にしたもの。また、長く使ってもらえるようにと使用する素材も「儲ける気がないのではないか?」と感じてしまうほどベストな選択をされています。このように商品力が強いので、できるだけ多くの商品、素材の映像をつなぎ合わせ、その優位性を紹介することにしました。

さらに、クロスステッチの刺繍やワッペンの切り抜きなどは自社で加工しています。こういったポイントも今回の動画マーケティングのコンセプトに合致したものであり、実際にスタッフが作業をしている手元の映像も盛り込み、「工房」といった雰囲気も演出しています。

ボケ感を大事にし、イメージ的な要素も盛り込む

雑貨アイテムの紹介には、心地よい雰囲気づくりが必須。書店に並ぶ雑貨アイテムの広告本も、浅いピントで背景を最大限にボカした雰囲気の写真が多く使われています。このような雰囲気が演出できれば、視聴者側でさらにイメージを膨らませてくれ、自分の暮らしのなかでの使用イメージまで広げてもらうことも期待でき、広告効果も限りなく高くなるのです。

これを実現するために採用したのは、独特のボケ感を醸し出すことのできる一眼レフでの撮影。被写界深度を浅くしボケ感を出すことで、心象風景的な映像を多くしました。

映像で雰囲気を伝え、音声でクオリティや思想を伝える

動画:ツマガリ「ラッピングギフト」

インタビューのパートは、アクセント的に最も大切なポイントだけを伝えます。

百戦錬磨の営業担当役員でも、やはりカメラの前では緊張するもの。俳優やアナウンサーのようによどみなく語るのはむずかしいものです。上手く語れるまで何回もテイクを繰り返し台詞は上手く言えたとしても、表情など映像の要素も絡むので、良い結果が得られるとは限りません。

インタビューパートは欠かせないポイントだけを採用するようにし、それ以外は、編集で音声をつなぎ合わせ、他の映像の背景で流すのが大切です。

冒頭にラッシュパートを作ることで、視聴時間を改善

TV広告でよく観る映画の予告編のようなラッシュ(いくつかの映像が細かく切り替わる)を冒頭に配置すると、動画全体を把握できる効果を生みます。一種の賭けでもあるのですが、ここで興味を持ってくれた視聴者は顧客になってもらえる可能性のある方であり、最後まで動画を見てくれます。ラッシュなしの映像と比較したテストの結果、最終的には全体の再生時間が23%も改善しました。

スチル写真との組み合わせで販売を伸長

最終的な目的は商品がより良く見え、数多くの販売ができること。今回の企画はラッピングギフト商品全般の紹介動画だったため、単体での商品紹介ページはありません。全体のキャンペーン企画ページが設定されており、動画コンテンツはその中に組み込まれています。

訪問者が動画を視聴した後にチェックする単品の商品紹介パートにいたると、それぞれがレベルの高い商品であることを証明するために用意された細部を拡大する写真が掲示されています。ここで改めて動画の内容を再確認した訪問者に購入を促していくのです。

まとめ

動画マーケティングツールとしての映像活用は、多くの可能性を秘めています。ほとんどの訪問者がWEBサイトのテキストを斜め読みするのであり(ヤコブ・ニールセン)、それに対応できるコピーライティングを行っていないと、訴求すべき内容がターゲットに伝わらないまま離脱されてしまうかもしれません。

それに対し、動画コンテンツではナレーションや音声、コピーを上手く盛り込み、最後まで見たくなる構成にすることで訴求したい情報を残らず理解してもらえる可能性があります。
さらに、今回ご紹介したようにWEBページとの連携を深めることで動画コンテンツは、マーケティング・ツールとしていっそう活用の幅が広がっていくのです。

取材・撮影について、もう少し詳しく
WEB制作実績
ケーキハウス・ツマガリ

この記事に関するご質問やお困りごとのご相談も何なりと。
平田 弘幸
株式会社フレイバーズ代表取締役。セールスライティング担当。好きな言葉は、「一生懸命が得意」