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WEBサイトコンテンツ、微調整よりも一日早く公開するが勝ち

WEBサイトコンテンツ、微調整よりも一日早く公開するが勝ち

できる限り早く公開して、反応を見て、改善する。それがWEBサイトコンテンツを公開・運営する鉄則と考えよう。
誤解を承知で言ってしまえば、多少の間違いがあっても後でいくらでも修正できるのが、WEBサイトの良いところ。それなのに、ほとんどのWEB担当者、もしくは上司の方々は、慎重の上に慎重を重ねてから公開したいと考えている。

それが日本人の良いところでもあるのだが、WEBサイト運営(特に、ビジネスに直結するコンテンツ)に関しては命取りになる。石橋を叩いているうちに、橋の存在自体が意味をなさなくなった、という事態にならないよう、発想の切り替えが必要なのだ。

コンテンツの目的は?WEBサイトというメディアを選んだ意味を考えよう

コンテンツの目的は?WEBサイトというメディアを選んだ意味を考えよう

「そんなこと言ったって・・・」と思っているあなた。世の中のスピードはおそろしく早くなっている。要因のひとつとして、ネットですぐに多くの情報を得ることができるようになったことが影響しているはず。

たとえば、月曜日の朝、テレビが壊れたとする。ひと昔前なら、週末までガマンしてやっと土曜日に電気屋さんに行って、店頭に並ぶテレビを見比べて、店員さんの話を聞いて、なんなら2~3軒別の店を回ってから注文。「お届けは3日後の水曜日です」という流れが普通だった。
それが今ではどうだろう。月曜の昼休みには、スマホで人気のモデルをチェックして、amazonでユーザーコメントも見て、価格ドットコムで一番安い店を探して注文。上手くいけば、火曜の夜には家で新しいテレビを観ているといった具合である。
味気ないといえば味気ないし、そんな世の中って・・・と筆者もどこかで思っているが、しかし私たちはそんな時代を生きている。しかも、そこで生き残っていくべきWEBサイト運営を任されている立場なのだ。

そこで重要になってくるのは、何よりもタイミングである。「テレビを買いたい。早く家で代わりのテレビを観たい!」と思っている人の目の前に、希望に添った商品を提供し、買いたくなるムードを盛り上げて、安心して注文できる仕組みを用意しておかなければならない。
そのタイミングを逃すことは、ビジネスチャンスを逃すことを意味している。
B2Bビジネスであっても、基本は同じ。WEBサイト運営のコツは、ニーズに沿ったタイミングを逃さないことである。

まず、担当者本人が、意識を変える必要がある

まず、担当者本人が、意識を変える必要がある

「スピードが重要なことは分かった。でも、どうやって?」だんだんそんな気持ちになってきたら、ここからが大切。
まず、自分の意識を変えることである。
これは筆者の自己反省を踏まえつつだが、物事がうまく進まないとき、ネックになっているのは大抵は自分の意識にある。「やらなくちゃいけない」と分かっていても、心のどこかで無理かも・・・と思っていれば、それは絶対に実現しないのだ。

最初に整理すべきことは

  1. 当社がいま抱えている課題は?(それが本当の問題なのかを検討したうえで)
  2. それを解決するためには、何が必要か?
  3. それに対して、WEBサイトで解決できることは何?どうやって?(WEBサイトでできないことは初めからやらない)
  4. そのためにWEBサイトで最低限、必要な情報は?(全体像を踏まえたうえで考える)
  5. その情報を掲載することで、いつまでに、どんな反応を期待する?(アクセス数、問い合わせ数など)
  6. それが上手くいかなかったら、次の手はどうする?
  7. それが上手くいったら、次は何をする?

上記は、WEBサイト作成にあたってほとんどの担当者が考えるステップだと思うが、「4」のあたりからズレてしまうことが多くはないだろうか?
WEBサイトのあるべき全体像をじっくりと考え過ぎて、もしくは、考えようとして目指す山が高すぎて動きがとれず、時間だけが経過してしまう。そうして3ヵ月、半年と時間が過ぎていくうちに、何も変わらないままという事態を招きかねない。

公開時の完成度50%と100%。最終的に勝つのは、どっちか?

公開時の完成度50%と100%。最終的に勝つのは、どっちか?

不安をあおるつもりはないが、競合他社(仮にB社とする)が違う意識をもっていたらどうだろう。
B社は、4の「そのためにWEBサイトで最低限、必要な情報は?」を早急に決めて、たとえば1ヵ月後に、必要最低限のコンテンツを公開したとする。もちろん、準備期間が少ない分、サービスに関する説明不足はあるだろうし、もしかしたらお問い合わせフォームも未だなかったりするかもしれない。
それでも、内容がターゲットニーズに合っていれば、それなりの反応は出てくるだろう。そして大抵の場合、それはあなたも同じように考えていたアイデアだったりする。

B社は、公開初日からその反応を随時チェックしていて、予想していたよりも反応がなければ、2週間ほどでランディングページのキャッチコピーを少し変更する。その反応をみては、イマイチなら予め考えていた別案のアプローチと切り替えたりもする。日々細かいけれど、微調整をしつつ反応をを見ながら改良を加えていく。

その間、数ヵ月。もしあなたが大きな山を眺めてモンモンとした日々を送っていたとしたら。もしくは、ボリュームの多いコンテンツ制作にとりかかり、デザイン案で上司のチェックがなかなか進まなかったら・・・。最終的に、立派なコンテンツができあがったとしても、その頃にはB社が一歩も二歩もリードしている可能性がある。早く動く人は、得るものも大きいのだ。

スピードを落とさずに、失敗もしたくない人のために

スピードを落とさずに、失敗もしたくない人のために

それでは、どうすればよいのだろうか。ビジネスチャンスを逃したくないが、もちろん責任も重大。最初の一歩をどう踏み出せばよいか分からないという方に、以下にいくつかの対策をご紹介したい。

2案から選べないなら、両方試してみる

たとえば、新商品の打ち出し方がどうしても決まらない。制作会社から2~3案出してもらったが、どれも良いような悪いような。ターゲット層の悩みやニーズは分かっているが、どんなふうにアプローチしたら一番心に響くのだろうか・・・。

それなら、どっちも試してみればいい。正直なところ、どちらが受け入れられるかはやってみないと分からない。どんなに優秀なコンサルタントに相談するよりも、実際にターゲットの反応を見てみるほうが答えは明快だ。慎重に慎重を重ねて時間を費やすくらいなら、どっちも試してみて反応をみて、微調整すればそれで十分である。
そして、それが簡単にできるのがWEBサイトの良いところ。GoogleのA/B分析のようなお試しツールも揃っているのだから、無料で使えるものはどんどん使わせてもらおう。

社内意見をまとめるために、まず小さな成果を出す

そういった工夫をしながら、小さなことでもよいのでまず結果を出すことは、社内で同意してもらうのに役立つ。「お試しで公開してみたところ、こんな反応がありました。それを踏まえて、次の一手はこれをやります」と報告されたら、大抵の上司もGOサインを出しやすくなるはず。
担当者のあなたはもちろんだが、上司の方々はもっと責任を負っているのだから、失敗はできるだけ避けたい。たとえ上手く行かなかったとしても、その理由説明や対策案を用意することが求められている。
最初から大きな成功や完璧な完成を狙いすぎてはいけない。WEBサイト運営の世界では、小さなことでも結果を出して、それを積み上げていく者が最終的に勝つのだから。

公開スケジュールの単位は1ヵ月。段階的に公開しよう

公開スケジュールの単位は1ヵ月。段階的に公開しよう

とにかく公開目標を決めることから始めよう。サイトリニューアルなら、基本的に3ヵ月後。しかし、全部を揃えて3ヵ月後に公開する必要はない。準備ができたところからどんどん公開していけばよいのだ。スケジュールの組み方としては、1ヵ月ごとに区切ってみる。最初にもってくるのは、基本的には優先度の高いコンテンツであるべきだが、前準備に時間がかかるなら、手をつけやすい会社情報などから進めるのもひとつ。

どちらにしても大切なことは、社内担当者やWEB制作会社など関係者全員がこのプロジェクトに集中するように仕向けてしまうことである。プロジェクトが長引いてしまう原因の一つに、時間が空いてしまうと各人がそれを思い出すのに起動時間がかかるということ。みんなその時間が億劫だから、難しい話は後回しにしてしまう。その結果、進みが遅くなるのだ。

大きな山は輪切りにして、優先順位をつける

大きな山は輪切りにして、優先順位をつける

何百ページもある自社WEBサイトのリニューアル。コンセプトは決まったものの、どこから手をつけたらいいのか分からない。目の前の山が高すぎる。
そう感じているのなら、中くらいの山に切り分けていこう。最初の一歩が動きやすくなると同時に、何よりも気持ちがラクになるので是非やっていただきたい。

その方法としては、

  • 現状サイトの課題をリストアップする。自分一人でなく、関係者それぞれの意見も出してもらう
  • それぞれの目指すべき姿と対策案を書き出す。できるだけ具体的に書こう
  • それらの優先順位をつけて、公開目標を立てる
  • それでもまだ漠然としていたら、一つひとつの課題をまた細分化する

「難しい」「できない」「分からない」は禁句にする

「難しい」「できない」「分からない」は禁句にする

最後に、少しだけメンタル面の話をさせていただきたい。プロジェクトを前に進めて、できるだけ早く結果を出すために、最も邪魔になるのが上記の3つのフレーズである。誰かがこれを言い出したら、話が進まなくなるし、みんなのやる気が削がれるのだ。

あなたの過去の経験を思い出してほしい。社会人になってからでも、子どもの頃であっても、チームで物事がとても上手く運んだときというのは、全員の気持ちが一つになっていた時ではないだろうか。メンバー全員が前向きになって、協力体制を組み、力を発揮していたときではないだろうか。
もしあなたがチームリーダーであれば、この雰囲気を大切にしてほしい。何事も成せばなる、である。

サイト運営で迷ってはいけない、2つの大切なこと

サイト運営で迷ってはいけない、3つの大切なこと

この記事を読んでいるあなたは、きまじめな日本人だ。
きまじめな人ほど、しっかりプランニングしてから行動すべきと考える。少し前に読んだビジネス書にも、「プランニングはしっかりと行うべし」と書いてあった。

しかしサイト運営に関して言えば、そんなことをしていたら逆にリスクを背負うことになりかねない。ビジネスを失ってしまうかもしれない。

なぜならネットの常識は日々変化しているわけで、動かない期間があるがゆえに、その変化の兆しにさえ気付けなくなる可能性があるからだ。サイトを運営するうえで大切なポイントは、動き続け、修正し続けることなのだ。

サイト運営を慎重に進めるための社内調整も、問題あり

「もっとブランドを強化したい」

あるクライアントから相談を受けた。
そのブランドは市場からある程度認知されている。しかし競合が多い業界であり、ブランドを差別化するのは容易ではない。

高級時計

法規制のもと、品質に大きな差がある訳ではないため、業界ではブランディングを強化する、いわゆる「イメージ戦略」花盛りなのだ。
実際の当社クライアントの業界とは少し異なるのだが、たとえば「高級時計」の業界を思い浮かべて欲しい。オメガ、ブライトリング、ロレックス、IWC・・・・。華々しい存在感のブランドがひしめき合っているなか、百万円以上する商品を買ってもらうためには、顧客をイメージで魅了してしまう必要がある。

多くの競合企業が存在する業界であればあるほど、「動きながら考える」方法はビジネスにおいて重要な考え方であるはずなのに、クライアントは巨大企業の関連会社ということもあり、体質的に「じっくり考えてから行動する」タイプ。ブランディングを行うために、まずそのコンセプトワークを見直しつつ、方針を定める。そのための社内調整に相当な時間がかかってしまうことは明白だった。

もちろん、クライアントの意向を無視することはできない。
しかし、本当にクライアントを想うのであれば、それよりも大切なのは競合他社の動向である。

可能なアクションからスタートし、より良いサイト運営に貢献

より良いサイト運営

「まずは競合ブランドを調べてみましょう」

私たちが考えていた結論は、競合他社に広げられた差を早く埋めること。ただ、競合サイトを調査していくうちに分かったのは、コンテンツの充実ぶりだ。
高い品質やデザイン性といった基本的な「強み」は言うまでもなく、安心安全、顧客視点、エコロジーなどなど・・・。当社クライアントのサイト運営では、追いつくのに相当なスピードで進めないとますます差は開いてしまいそうな勢いだった。

結果、競合サイトとコンテンツのマトリックスを作成し、歴然とした差をありのまま報告することで、サイト運営に対する危機感を共有することとなる。重苦しいミーティングの雰囲気を打ち破ったのは、やはり「とにかく動こう」という言葉だった。

大上段に振り構えた刀をそのまま鞘に収めることは難しいが、長期化が予想される社内調整を待たずに行動できる部分からコンテンツを追加更新していくことで了解を得、メンバーの意思統一を図ったのである。

サイト運営のキモは、スピードとPDCA

サイト運営のスピードを上げ、競合他社に追いつくために必要なポイントがある。

サイト運営のキモは、スピードとPDCA

質の高いコンテンツを多く追加する

修正することでさらに質を上げ、顧客の満足につなげる

競合他社に遅れをとっている企業は、とにかく必死で走らなければならない。しかし、ただやみくもに走ってもムダが多くなってしまう。これを避けるためには、オウンドメディアである自社サイトで質の高いコンテンツを増やし、ターゲット顧客に有益な情報を提供することだ。

Googleは、検索アルゴリズム「ハミングバード」の導入にあたり、こう宣言した。

検索者の高いニーズに応えられる質の高いコンテンツを持つサイトを優遇する

実はGoogleが生まれたときから、彼らが重視していたのは、コンテンツの質と量だ。2012年の「ハミングバード」導入時に改めてそのポリシーを世界に向けて宣言しただけなのだ。だから現在弱者であるサイトを運営する企業は、このことを肝に銘じながらコンテンツの質と更新スピードをアップさせる必要があるのだ。

修正することでさらに質を上げ、顧客の満足につなげる

質の高いコンテンツを多く追加する

サイトの運営で忘れてはいけないことは、修正し続けることだ。

きまじめな日本人は、初回のリリースに全精力を注ぎ込む。訪問者からの反応は気になるので、少しチェックはするが、その後は「作りっぱ」の状態に陥ってしまう。つまり、初回リリースで疲れ果ててしまうのだ。

これは、サイトを作ることが目的となってしまっていて、ビジネスを営むことの本質を忘れていることに他ならない。
サイトの運営は、ビジネスを営むことと似ている。ビジネスは、アイデアを形にしても、顧客のリクエストに応えながら形を変えなければ、生き残っていけない。

できる営業職のプレゼン資料やトークは、絶えず見直されている。
彼らは顧客の食いつきが良かったポイントを見逃さず、命綱のツールに修正を加えていて、だからこそ優秀な成績を上げられるのである。

サイトの運営においても、コンテンツを見直すためのポイントにあらかじめアタリを付けておき、PDCAサイクルを回すことを考えておくことだ。
直帰率、滞在時間、セッション数、検索キーワード・・・、アクセス解析ツールなどを駆使しながら修正すべきポイントを見つけ、改める。これを数回繰り返せば、おおよそあなたの狙った目標に到達してくるはずだ。

WEBサイトの運営で訪問者に分かりやすく全体設計を行うべしという課題がある。この課題について、解決方法を提示したコラムを執筆しているので、こちらも参考にしてほしい。

情報分類にはマジメに取り組むな、のココロ

サイトの運営においては、セオリー通りが正しいとは限らない

セオリー通りが正しいとは限らない

大上段に構えて「こうあらねばならぬ」と筋を通すことが、いつも正しいとは限らない。
誤解を招くことをおそれずに言おう。考える前に、とにかく走り出せと。

WEBサイトという「更新」が可能な、いや容易に行えるメディアを自社で運営している限り、あなた自身の「変容」が成功への近道なのだ。
サイト運営を、リリースしたら修正が簡単に効かない印刷物のように考えていては、いつまでも低空飛行を続けるしかない。

アメリカの有名な、靴のネット通販会社「ザッポス」をご存じだろうか。
創業者のニック・スウィンマンがザッポスを始めたきっかけは、「ネットで靴が売れるかどうか確かめたかった」からだった。

靴販売に関して素人だった彼が行ったのは、
ネットショップを準備し、近くの靴屋で撮った写真を並べること。
売れたら大急ぎで店で商品を買いに走り、送るということを繰り返していた。

結果、ビジネスになりそうだと判断したので、ベンチャーキャピタルを営んでいた現CEOのトニー・シェイに相談を持ちかけたらしい。紆余曲折はあったものの、その後の彼らのビジネスの大成功は言うまでもない。

「走り出してから考える」は、ビジネスを成功に導くための近道なのだ。

WordPressでCMS:仕様項目まで更新可能、運用コストを低減

WordPressでCMS:仕様項目まで更新可能、運用コストを低減

製品カテゴリーごとに異なるスペック項目を持つ企業は多い。一般的な方法論でCMSを開発すると、スクラッチ(手組み)によるものになることが多く、初期コストは莫大なものとなる。

さらに、製品カテゴリーごとにスペック項目が異なるので、データベースにはすべての仕様項目を格納する必要があり、担当者による運用の手間も相当なものになってしまう。

しかし、WordPressが標準で備える管理画面とデータベース構造を利用すれば、一定の品質を確保しながら開発工数を削減でき、情報の更新も複雑さが緩和され担当者は煩わしさから解放される。

当社では早くからWordPressに着目し、試行錯誤を繰り返しながら積極的にCMSツールとして活用してきた。この記事では、WordPressを使った製品情報セクションの複雑な要求仕様を満たす方法を、有用なプラグインソフトを含めて紹介する。

訪問者により有益な情報を提供したいと考えつつも、開発コストと運用方法を解決できずにいたWEB担当者にとって、課題を解決するためのヒントになれば幸いだ。

カテゴリーごとに異なるスペック項目まで更新できる製品検索システム

製品に幅広いカテゴリーを持つメーカーでは、製品分類ごとに仕様の項目が異なっている。それゆえ、これらを管理するCMSも非常に複雑なものとなってしまいがちだ。

一般的なアプローチとしては、システム構築前に分類/品種/品目ごとにすべてのスペック項目を洗い出し、それぞれにデータベース(テーブル)を準備し、その上で管理することになる。

しかしこの手法では、将来にスペック項目が変更された場合や、当初想定していなかった新製品を掲載する際、柔軟性に欠け、その対応にはシステム的な変更作業が伴うことが多い。

当社では、WordPressのカスタムフィールドとプラグインを駆使することで、スペック項目も含めてクライアント自身で製品情報の更新作業を完結できることを実現した。

某機械メーカーが抱えていた課題

某機械メーカーが抱えていた課題

旧サイトでは、全カテゴリー/全製品のスペック項目を漏れなくデータ項目としていた。更新のためのCMSツールは導入されていたものの、更新作業ではデータがある部分のみ入力を行い、表示処理の段階でデータ表示の有無を制御していたのである。

また、スペック項目すべてを一律に管理画面で更新できるようにCMS化すると、製品情報の管理画面が数スクロール分の長さになってしまったり、更新しようとする製品には関係のない項目も表示されることになり、入力間違いが発生するといったトラブルが生じていた。

さらに、データベースのカラムとしてスペック項目を設定していたため、クライアント側で新製品をリリースする際には、新たにスペック項目の追加が必要となってしまう。都度発生する運用コストも本当に必要なのかという疑問の声さえ社内から聞こえていた。

WordPressデータベースの概念図

要求仕様

上記の状況を踏まえ、クライアント側から提示された要件は以下の通りだ。

  • 製品スペックに詳細な表記が必要(項目名、単位、スペック内容、全10~30項目)
  • カテゴリーごとに異なるスペック項目や単位をCMSで管理できること
  • 同一カテゴリー内においても、スペック内容の有無で項目自体の表示/非表示を制御できること
  • 製品スペックを条件にした製品検索は不要

スペック項目にとらわれない情報の保持

スペック項目にとらわれない情報の保持

スペック項目をデータベースのカラムに設定せず、WordPressのカスタムフィールドを利用することで、項目名や項目数に制限されないデータの保持を実現。スペック項目をCMS上で更新でき、その内容を即時登録可能とした。また、後述の「Advanced Custom Fieldsプラグイン」を採用することにより、柔軟性の高い製品登録画面を実現した。

カテゴリーごとはもちろん、製品ごとに異なるスペック項目をCMS上で自由に管理でき、不必要なスペック項目の排除を実現した。

本稼働後、製品に関するすべての情報をクライアント側でメンテナンスできる仕組み

選択項目(マスター)は、WordPressの「タクソノミー」を利用し、管理画面上で追加/削除を行えるように配慮。製品情報のメンテナンスについては、当社に依頼されることはなく、クライアント自身で完結できるようにした。

現行サイトからのスムーズなデータ移行

旧サイトからのデータ移行に際し、当社とクライアントが共同でカテゴリーに共通的なスペック項目をExcelシートにまとめた。クライアントは、初期移行情報としてそのExcelシートに全製品情報を記述。当社は、そのExcelシートをインポートする機能を構築した。

WordPressの管理画面

使えるカスタムフィールドを実現し、開発コストを削減する「Advanced Custom Fields」

WordPressには、「カスタムフィールド」と呼ばれる、投稿する記事に対してタイトルと本文以外の任意の「名前」と「値」を与えることができる機能が標準で準備されているものの、標準のままでは使えない。

「Advanced Custom Fields」は、管理画面からカスタムフィールドを簡単に定義できたり、入力欄を自動生成したりと、WordPressのカスタムフィールドを利用しやすくしてくれるプラグインだ。

また、入力したデータをデータベースから容易に取り出すことができるAPIを提供してくれているので、クライアントの操作で更新内容を表示することも可能にする。

筆者が「Advanced Custom Fields」を利用し、WordPressで実現した機能は以下のものだ。

  • スペック項目、単位、内容を1セットとして自由に追加/削除/編集する機能
  • Excelファイルのインポート機能
  • スペック項目の順番を自由に調整する機能

自由なカテゴライズを実現する「Custom Post Types」

WordPressに標準で実装されている分類項目は「投稿分類」のみだが、「Custom Post Types」を利用すれば、管理画面上で分類項目の追加や、その項目に含まれる選択項目の編集ができるようになる。

また、前述の「Advanced Custom Fields」と連携させれば、WordPressでより柔軟な管理画面を実現することができる。

「Custom Post Types」は、次の機能を実現するために利用した。

  • 製品分類以外の分類項目2種の追加とその選択項目の編集

WordPress

WordPressは、プラグインを組み合わせると、使い勝手の良いデータ入力ツールとして活用することができる。

さらに工夫を加えれば、プログラムの知識のないクライアント側で自由なデータ管理さえ実現してしまうCMSとして活用できるようにもなってしまうスグレものだ。

今後もWordPressを活用したCMSについて情報を提供していく予定なので、あなたのより良いWEBサイトづくりの参考になれば幸いである。

ネットショップ運営に必要な3つの視点

「もう今月は買うつもりなかったのに、思わず買っちゃった!」

ネットショップの運営で成功する!

そんな経験をしたネットショップには、見れば見るほど「売れるノウハウ」が詰まっていることが多い。星の数ほどある通販サイトのなかで確実に売れているショップには、それだけの工夫と努力が積み重ねられている。
筆者がハマってしまったオンラインショップも含めて、運営の参考となるいくつかのテクニックをご紹介しよう。

ショップ運営に必要な視点(1)

その商品を購入すると、どんなベネフィットがあるのか?

ネットショップで爆買い!

ネットショップに商品とスペックを並べるだけで、物が売れると思っていないだろうか?顧客は、自分が抱える悩みや辛さが解消してくれるか、とても幸せな気分になれそうだと感じなければ、カートボタンなど押してくれないのだ。

たとえば、あなたがタオル専門オンラインショップの運営者だとしよう。
「オーガニックコットン100%、肌触りバツグンのバスタオル」。これでは単に商品のスペックを紹介しているに過ぎない。
それに比べて、

「オーガニックコットン100%のバスタオルだから、あなたの赤ちゃんがこのバスタオルにぷにゅぷにゅほっぺをくっつけたとたん、すっと表情が明るくなるのが分かるでしょう」

と紹介されていると、お母さんはその表情を見たいと思ってしまうだろう。
これが顧客にとってのベネフィット。

ポイントは、できるだけ具体的にターゲットを決めること。そうすれば、イメージがわきやすい。そして、人生がどれだけ素晴らしくなるかを鮮明に描いてもらえるコピーで商品を紹介しよう。

事例:その1 「ほぼ日ストア」

ネットショップ事例:ほぼ日

ご存知、糸井重里さんが運営している「ほぼ日ストア」のほぼ日手帳は、このネットショップの中で最もコンバージョンレイトが高い商品のはず。
筆者も2回ほど購入したが、上手く使いこなせずに挫折した組。それでも、ネットショップで見るたびに「やっぱり買おうかな」としつこく思ってしまうのはなぜなのだろうか?

たとえば、みんなの使い方コレクションでは、
「将来、成長した娘にプレゼントするための手帳」や「思わず読みふける映画手帳」といった、使い方アイデアが山盛りで紹介されている。1日1ページ分の手帳は、シンプルな余白に自由に書き込んだり貼り付けたりできる構成。1年分の思い出や、取り組みの成果を文庫本サイズに凝縮することで、使い終わった後にも、さらに価値が増幅するように感じられる演出が冴えわたっている。

事例:その2 ケーキハウス・ツマガリ

ネットショップ事例:ツマガリ

一般的に、ネットショップでの購入数を増やすにはページビュー数がKPI(Key Performance Indicator)と言われており、ショップ運営者はページビュー数を増やすことに日夜苦心している。しかしそうとばかりは言えない事例がこれだ。「お客さまの声」もかなり重要な数値なのではないだろうかと。

兵庫県西宮市にある洋菓子の名店、ケーキハウス・ツマガリのオンラインショップ。実は、ネットショップ運営のお手伝いをしているのは当社だが、ツマガリファンの情熱にはいつも驚かされるばかりなのだ。
商品紹介ページの下に設けられた「この商品を食べた感想をお書きください」というボックスに寄せられるご意見、ご要望の熱いこと。

「47年間生きてきて、一番おいしいクッキーでした」
「皆さんの感想が本当なのか購入したら、マロンパイのあまりの美味しさに感動しました!」

という声はまったく嘘偽りのないそのままのもの。

そして我々が気づいたのは、お客さまの声の数が購入率に関係しているということだ。ショップ運営者が語る商品紹介よりも、実際に購入したお客さまの声ほど説得力のあるコンテンツはないのである。

ショップ運営に必要な視点(2)

おもてなし精神を発揮する

リアルの店舗のように、お客さまのすぐそばにいるかのような接客がネットショップの大きな課題だ。サイトの運営者は訪問者の心の動きを予測し、必要とされる情報をタイムリーに提供することが成功の鍵となる。
ネットショップでは、さり気なく欲しい情報をお客さまに差し出す。逆に、差し迫って必要のない情報は、邪魔にならないように掲示する。実店舗に迫るおもてなし精神は、必ず訪問者に伝わるものだ。

事例:その3 ディノス・オンラインshop

ネットショップ事例:ディノス

たとえば、リンクボタンだけにフォーカスして、さまざまなネットショップを眺めるのもいいだろう。
使い勝手の悪いショップほど、リンクボタンやバナーが我先にと言わんばかりにガンガン主張しているものだ。
洋服や家具など幅広い商品を扱うネットショップ「ディノス」の商品詳細ページは、文字サイズや余白のバランスなど、細かな部分で使い勝手が考慮されている。
「カートに入れる」ボタンの次に目につくのは「お届け日/在庫確認」。リアルの家電量販店などで「今ご注文してもらったら、今日中に配達できますよ」と店員が背中を押すトークと同じようなものだ。
逆に、周辺情報である「お支払い方法」などは控えめ。目立たないけれど、すぐに見つかる位置に配置されている。

そういった細やかな配慮ができるかどうかは、ショップ運営の熱い思いはさておき、どこまで顧客目線に立てるか。そうすれば、情報の優先順位は自ずと見えてくるはずだ。

ショップ運営に必要な視点(3)

決して値段で勝負しない。

ここまでご紹介したとおり、結局のところ安いだけでは顧客は買ってくれない。あなたのネットショップにアクセスして、わざわざ送料を払ってまで注文しようと思わせるには「その店でわざわざ買う理由」が必要なのだ。

「私が知る限り、5本の指に入るほど美味しい」コーヒー豆。

このコーヒーショップの店長は、世界各地を旅しておいしいコーヒーを知り尽くしているという。その店長が、そこまで絶賛する豆をコーヒー好きのあなたはスルーできるだろうか?

「タイムマネージメントが上達する手帳」

世界一のコンサルティング会社が考案した、この手帳を時間管理に悩むあなたは、いくらでもいいから売ってくれと思わないだろうか?

ある分野を極めた専門家の言葉に、私たちは全幅の信頼を置く。さらにそこにストーリーが加わることで、値段や送料といった「ささいな」ハードルを難なくクリアさせてしまう「買う理由」が生まれるのだ。

事例:その4 土屋鞄製造所

ネットショップ事例:土屋鞄

興味をそそられるハウツーコンテンツは、幅広く訪問者を集める手段でもある。
上質なレザーアイテムを揃える土屋鞄製造所の「革のこと」は、革製品のケア方法を教えている。「雨の日対策」や「色移りのケア」など、カバンを買うつもりでなかった人も、ノウハウとともにネットショップの存在や商品を知ることになる。

また、職人魂が感じられるコンテンツ「工房よもやま」では、カバンの種類によってミシン針の太さが何種類も揃えられていることや、お役ご免になったランドセル持ち手の抜き型が食堂の扉に使われている話などが美しい写真と共に紹介されている。

革製品について専門性の高いネットショップ、情熱ある革職人がいる価値あるブランド。初めての訪問者にそんなイメージを印象づけられたら、顧客候補となり得るだろう。

事例:その5 ギフトショップCOCOMO

ネットショップ事例:COCOMO

商品紹介ページを読むだけで、センスのよい理知的な店員さんの顔が思い浮かぶネットショップが「ギフトショップCOCOMO」。
ギフト商品に的を絞ったECサイトだが、商品説明がとても丁寧に書かれており、「きっとここの店員さんは誠実なのだろう」と思わせる。

ちなみに、筆者が購入したのはウサギのスタイ(よだれ前かけ)。ベビー服に消費者が求めることは、安全性と大人が喜ぶ可愛らしさである。
デザイン性に加えて、オーガニックコットンに早くから取り組んでいた店の製品であること、紡績から縫製まですべてが日本製であること。お洗濯の注意点も細かく紹介されている。

特にギフトとして購入する場合は、贈った商品が本人の価値を上げてくれる品であることが重要だ。商品のクオリティが親切丁寧に書かれていることで、顧客は安心して購入することができるのだ。

ショップ運営に必要な視点

まとめ

こうやって、いくつかのネットショップを眺めて分かることは、どのショップも、徹底的にお客さま視点に立ち、お客さまの都合で物事を考えているということ。言葉にしてしまうと簡単に聞こえるが、それはなかなか簡単ではない。

では、いかにしてお客さま視点に立つことができるか。筆者がお薦めするのは、自分が積極的に顧客になってみること。自社商品はもちろん、気になるネットショップで実際に買い物をしてみる。話題のショップがあれば足を運んで、そのサービスを体感してみる。心地よいサービスや商品、逆に気に入らなかった店について分析しまくる。地道なしつこさが、あなたの消費者感覚を鋭くさせてくれるはずだ。

EC-CUBEで制作する、はじめてのネットショップ
サイト運用・管理サポート
WEB制作実績

この記事に関するご質問やお困りごとのご相談も何なりと。

植松 あおい

株式会社フレイバーズ専務取締役。セールスライティング担当。フラダンスに命かけてます。