コラム(ブランディング)

ブランディング 2024年1月9日

ブランディングに対する勘違い:デザインだけを変えても意味はない

ブランドは、事業活動そのもの

あなたは、ブランディング=かっこいいキャッチコピーやデザイン、という勘違いをしていないでしょうか?もしそうだとすれば、それは会社にとってもマイナスな状態。この機会にブランディングがほんとうに機能する考え方を理解して、あなたの会社のブランドを理想のかたちにしていきましょう。

世のなかで目にするブランドメッセージは、それぞれたしかにかっこいい。けれど、ああなりたいと、見た目やイメージだけに偏ってしまうのは非常に危険。なぜなら、いくら社外向けに華やかなスローガンを打ち出しても、ブランドを体現している社内の人たちがそれを意識していなければ、ただの絵空ごとになってしまうから。
ニュースで世間を騒がす偽装事件などは、それが空回りしてしまった悪い例の最たるものです。

今回は、ブランディングとは一体どういうことなのか、ブランディングを進めるうえで忘れてはいけないこと、勘違いしてはいけないことについてご紹介します。

ブランド価値を下げてしまうのは、つねに「人」

「信頼できる商品だと思っていたのに」「ずっと使ってきたのに、もう買わない」
せっかくのユーザーをがっかりさせてしまう事件が、後を絶ちません。なぜ、そんなことが起きてしまうのでしょう?

わたしたちブランディングの専門家からすると、企業が常に大切にすべきブランド(=提供する製品・サービスの真の価値。お客さまとの約束でもある)を認識できていないから。
たとえば、ブランドアイデンティティとして「安全な車社会を・・・」を掲げている企業。TV-CMでは家族みんながニコニコと車で出かけるシーンが映し出されているのに、ある日「安全評価基準の結果を偽装していた」というニュースが流れて、ブランドを信じてファミリーカーに選んだユーザーはがっかりどころか憤慨することになってしまうでしょう。

そのような不正が起こってしまうのは、関係者たちが「社内の目標納期に間に合わせるために、評価テストにパスすること」が第一優先になってしまっていたから。そこにお客様の姿はありません。本当なら、第一優先はブランドアイデンティティで掲げている「安全な車社会を・・・」のために「安全な車をつくる」であるはずなのに。
それはすなわち、ブランディングが機能していない、ということを意味します。

変わらない真実。ブランドの価値をおとしめてしまうのは、必ず「人」です。思っていたより、サービスが低くてがっかりするのも、梱包がおおざっぱで運ばれた商品が壊れていたのも、データを偽装して製品の品質がカタログデータに満たないのも、すべて「人」がやっているのです。
このようにブランド価値が下がっている状態のことを、ブランディングでは「ブランドマイナス」と呼んでいます。

なぜ、ブランドマイナスの原因は人なのか?

では、なぜ原因はいつも「人」なのか?
答えは、ブランドを守り支えているのが「人」だから。世のなかのほぼすべてのビジネスは、人が関わっています。
接客業はもちろんのこと、メーカーでいくら機械化が進んでもコントロールするのは人。オンラインショップでもサイトを運営したり商品を発送するのも人です。
そのうちに、100%がAIというビジネスも出てくるかもしれませんが、今のところはあり得ないでしょう。
とにかく、ブランドを実際に動かしているのが「人」である以上、関係者一人ひとりがブランドをどのように捉えて行動するかによって、ブランドマイナスにもブランドプラスにもなり得る。
ブランディングという言葉は、マーケティングの手法のひとつだと捉えられている風潮があるけれど、ブランドってそんなに薄っぺらいものではないのです。

本当のブランディングって何?

それなら、ブランディングでやるべきことは何なのか?
ここまでご紹介したとおり、おしゃれなロゴマークやスローガンを作ることではないことは、おわかりいただけたと思います。外向けへの刺激として、広告表現はもちろん外せないものではありますが、もしあなたの会社のブランディングがそれだけにとどまっているとしたら、そのブランディングは間違いなく失敗に終わります。

ブランディングでもっとも大切なことは、あなたの会社が顧客から支持されているほんとうの理由を見つけ出すこと。競合他社にはない優位性を再認識し、それをより強くできるよう磨いていくことです。さらに、思い描いた理想のかたちとのギャップを将来に向けてどうやって埋めていくかを考えていく作業を怠らないこと。

これらをやってはじめて、ブランディングは機能するのです。

なぜ、ブランディングの勘違いは起きる?

ここは、はっきりと言わせてもらいましょう。
勘違いが起きる原因は、ブランディングの本質を理解していない広告代理店や制作会社が多く存在するからです。
ブランディングのスタート地点で、軽いヒアリングだけを終えて、今までと違うテイストのロゴデザインやキャッチコピー提案から始めようとするなら、そのプロダクションとのお付き合いはお断りするべきです。

彼らがなぜブランディングのプロセスを経ないでそのような提案をしてくるかというと、制作でしか料金を請求しようと考えていないから。早く売り上げを上げたいから、流行りのブランディングという言葉をネタに、制作物を収めようとしているだけなのです。

本当にブランディングという概念を理解しているなら、まずは今あるブランド価値を見つける作業をおこなってから、その価値を反映できるアウトプット手法を考えるはずです。
その背景には、ブランディングという概念がまだ浸透していないことがあるのかもしれませんが、ブランディングの勘違いが大手を振って歩いているように思います。

それと同時に、ブランディングの勘違いについて、今まで大きな声で批判をしてこなかった私たちを含めたブランディングを行っている者の力不足も反省すべきだと感じています。

正しくブランディングしよう

ブランディングは、手間はかかるけれどていねいに実施すれば、あなたの会社の魅力を引き出し、競合他社との差別化に寄与することはもちろん、長く売れ続けるしくみをつくってくれる武器になります。
さらには、社内の風土改革にも確実に貢献してくれる強い味方でもあります。
まずはブランディングに対する理解を深めるために、評価の高い書籍を一冊読み進めましょう。それでも、はっきりわからない・・・という方は①とにかく本通りに自力で進めてみる、②外部の力を借りて、ナビゲートしてもらうのがいいと思います。

アメリカの起業家、マイケル・マスターソンが言っています。
構え!撃て!狙え!
そう。狙いを定める前に、まず撃ってみる。ブランディングも実行あるのみです。

シェアする
  • line

別のコラムにもヒントがあるかも・・・

このコラムに興味があったなら、
こんなコラムも

執筆:平田 弘幸

フレイバーズに、ご相談されませんか?