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コーポレートサイトの採用情報:エントリーさせる考え方

コーポレートサイトの採用情報:エントリーさせる考え方

コーポレートサイトの採用情報は何のためにあるのだろうか。
現状では大手のリクルートサイト経由のエントリーがほとんどだが、件数は十分だと感じている。予算の都合上、大手企業のようにコーポレートサイトできらびやかなコンテンツを作るわけにもいかない・・・。

リクルートサイトを利用している多くの採用担当者が悩んでいる。

しかし、就活者の多くはリクルートサイトでめぼしい企業にアタリを付けたあと、その企業のコーポレートサイトを訪問する。「存在確認」を行っているような行動をとる。

この記事では、リクルートサイトに出稿している企業のコーポレートサイトを活用して、就活者の気持ちをエントリーに向かわせる基本的な考え方をご紹介する。エントリーの質を上げるために、もう一歩踏み込んだ施策を打ち出すための参考にしてほしい。

コーポレートサイトを訪問する就活者の心情を汲む

コーポレートサイトを訪問する就活者の心情を汲む

大手のリクルートサイトで企業を紹介するコンテンツのパターンは、事業概要、先輩の声、会社概要、研修制度、募集要項、メッセージ、採用のプロセスなどだ。

その範囲のなかで工夫をこらしたものも見受けられるが、おおよそリクルートサイト側から取材を受け、「それなり」に作られたコンテンツでしかない。感受性の高い最近の就活者は、これらのコンテンツを100%鵜呑みにすることなどあり得ないと考えた方がよい。

リクルートサイトのコンテンツをチェックした就活者の次の行動は、コーポレートサイトの訪問。採用情報コンテンツの閲覧はもちろん、会社情報、事業概要などのコンテンツをチェックしながら、志望動機のネタを探すとともに、会社の雰囲気を感じ取ろうとする。

リクルートサイトで「それぞれの成長に合わせて、じっくりていねいに指導します」と訴求しておきながら、コーポレートサイトでは「スピードを重視し、顧客のニーズを徹底的にキャッチアップします」などというトップメッセージを見つけられたら、就活者の頭には直感的に「ブラック」という4文字が浮かび上がってしまう。

そこでないがしろにできないのが、コーポレートサイトの採用情報なのだ。

予算をムダにしないコーポレートサイトの活用方法

予算をムダにしないコーポレートサイトの活用方法

大手のリクルートサイトで、採用担当者としての思いの丈を充分にぶつけているので、コーポレートサイトの採用情報でやることはない。

ほんとうにそうだろうか。

リクルートサイトからやってくる取材陣は、ほとんどが外注のプロダクションだ。
彼らは安いギャラで雇われているので、数をこなさないと生活できない。数をこなすということは、取材のたびにものすごい力を注ぎ込んでコンテンツを作り上げている、などということは考えない方がいい。数をこなそうとすると、どうしてもパターン化してしまうのである。

筆者も自信はない。そういった仕事を受けたなら、生きるためにコンテンツをパターン化させてしまうだろう。

企業には、企業の数だけフィロソフィーがあり、それを培ってきた歴史がある。社風だ。
この大事なオリジナリティを一定のパターンに押し込めることはできないと考えよう。リクルートサイトから、つまらないコンテンツが送られてきたら、再考を申し出よう。もちろん、外部から見えた自社の姿に納得したら、優秀な外注に当たったのかもしれない。さらなるブラッシュアップを進めていけばいい。

ここで問題になるのは、リクルートサイトのコンテンツとコーポレートサイトの採用情報との関連性だ。

就活者の不安を払拭し、自社を優位に見せよう

就活者の不安を払拭し、自社を優位に見せよう

新卒の就活者は、社会経験も乏しく、視野も狭い。社会に出て働くことへの恐怖や不安を抱いている。

前述したように、リクルートサイトでめぼしい企業を見つけた就活者は、必ずコーポレートサイトを訪れる。その際に、リクルートサイトで主張していた内容とコーポレートサイトにズレがないことを確認しようとする。

担当部門の絡みから、人事担当者が自由にできるのは採用情報セクション。まずはここに全精力を注ぎ込み、他のセクションは閲覧しなくても志望動機のネタ集めには困らないようにしてあげよう。

かといって、大がかりなセクションにする必要はない。

リクルートサイトで充分なコンテンツを公開しているのだから、コーポレートサイト側で公開する採用情報は数ページで十分。必要なのは、リクルートサイトの補完をするという考え方だ。

リクルートサイトで主張した内容をコーポレートサイト側で、異なる切り口で企業の人となりを見せてあげる。違う切り口だから就活者も納得するし、主張する根本は変わらないのでコンテンツを閲覧してくれれば、その分だけ刷り込み効果もあるからだ。

入社後、どうなれるか示してあげよう

入社後、どうなれるか示してあげよう

新卒採用にせよ中途採用にせよ、就活者は一様に、受けようとしている会社で自分がどのように成長できるかに大きな関心を持っている。一見、他力本願のようにも感じられるが、人は環境で変われることがある。

要するに、不安いっぱいの就活者が自分が交わろうとしている環境を気にしていると思えば、大きな心で対応してあげようという気持ちになれるはずだ。

ここで役立つのが、就活者の成長意欲をくすぐってあげる作戦だ。
たとえば、「あなたも当社にくれば、先輩たちの指導を得ながら自然に~な人材になれてしまう」のだと。さらに、その言葉を補完するべく先輩たちの声を続けよう。説得力は増し、就活者たちは、大きな希望を膨らませてくれる。

「ツカミ」に抜かりがなければ、あとはたたみかけていくだけだ。

自慢できるネタをぶつける

自慢できるネタをぶつける

端的にいうと、なぜ就活者たちがあなたの会社を選ぶのかを紹介するコンテンツ。外部から見たときに、引きが強くなる切り口にしておきたい。

テレビのワイドショーやバラエティー特番でよくある手法が、

「○○○なのに、■■■」

というものだ。たとえば、

「幼稚園児なのに英検2級を取ってしまった」

「美しすぎる男勝りの土木作業員」

といったものだ。タイトルの力が強ければ強いほど、視聴者は真相を知りたいと感じ、チャンネルをそのままにしてしまう。

この手法をコーポレートサイトの採用情報に応用するなら、「一般的の人は100%知らないが、業界人は100%知っている」とか、「10年連続売り上げが伸長しているのに、残業ゼロ」など。なぜだろうと感じてしまう意外性のある切り口で引きつけ、就活者にウケの良い職場環境ネタも続けて披露しておこう。

仕上げに、一気にエントリーさせる就活者を絞り込む。興味のあるネタで気分を盛り上げておいて、ストンと落としてしまうのだ。

応募者を絞り込む工夫も

応募者を絞り込む工夫も

コーポレートサイトの採用情報において、もうひとつ就活者に訴求する大切なポイントが、エントリーして欲しい人を絞るということ。多少エントリー数が減ったとしても、勇気を持って臨もう。

たとえば、海外向けのビジネスが主流の企業なのに、海外勤務を望まない人を面接しても時間のムダだ。多少誇張してでも、会社として主張すべきを心得て、エントリーしてくる就活者を思い切って絞り込みにかかるのだ。

多くの人を集めてから絞り込んでいくという考え方もあるが、後々人事的に問題が生じるより、採用活動の初期段階でスクリーニングをかけてしまおう。

相思相愛になれる人と出会うために

相思相愛になれる人と出会うために

採用活動はお見合いに例えられる。
お互いが好き同士でなければ、永い付き合いはできないし、ハツラツと働いてもらうことはできない。

コーポレートサイトの採用情報で大切なのは、しっかりと自社の良い点を紹介し、就活者に希望を抱かせながら、あなたの会社が採用したい理想的な人物像を主張すること。

就職したいと考える人と採用したいと考える会社が出会えば、必ずいくつか相思相愛の関係は生まれる。

一緒に働きたいと思える人を逃さないために、コーポレートサイトの採用情報でもできる限りの工夫をこらして、運命の人に出会ってほしい。

コーポレートサイト、失敗しない強みコンテンツの企画

コーポレートサイト、失敗しない強みコンテンツの企画

コーポレートサイトで会社の強みを訴求するコンテンツが定着してきた。「(会社名)が選ばれる理由」「3分でわかる(会社名)」といった内容のものだ。

自社の強みを分かりやすく紹介することはさまざまにメリットがあるものの、それなりにコストも労力もかかる。そこまでして作る価値があるかどうか、と悩んでおられる広報ご担当者にむけて、その価値と失敗しないポイントをご紹介したい。

強みコンテンツをつくる価値は、実は社内向けにある

強みコンテンツをつくる価値は、実は社内向けにある

ここでは、あえて社外向けのメリットについては省略する。既存顧客や新規開拓のツール、リクルート目的というメリットは容易に想像がつくだろう。

しかし、意外に効果を発揮するのが、社内にむけての影響力なのだ。

1.社内コミュニケーションに小さな変化が起き始める

1.社内コミュニケーションに小さな変化が起き始める

たとえば、営業部門と生産部門の意思疎通がむずかしいという課題はよくあること。なんとかお客さまの要望に応えたい営業マンと、生産現場の苦労を知る生産管理者は、守るべき立場が逆であるから意見が合わないのは当然だろう。

または、同じ職場であっても、最近はコミュニケーションが希薄になっているせいか、新しい仕入れ業者を探していたら、実は隣のスタッフが付き合っている業者だったという話もある。

こういった課題はそう簡単に解決できるものではないが、お互いを知るという基本的な作業が行われることで、糸口は見つかりやすくなる。同じ会社で勤めている以上はまったく関心がない訳ではなく、大切なのはきっかけ。その一つになり得るのが、自社の強みコンテンツを見ることであったり、それを制作するプロセスに関わることだ。

会社の強みコンテンツを制作するにあたり、各部門にインタビューさせていただく機会が多いが、その際によく聞かれるのは

「(他の部署の説明に比べて)こんな説明で良かったですか?」
「他はどんなこと言ってました?」

ということ。良いコンテンツを作りたいと考えるうちに、自分たちの部門についてどう伝えるべきか、他部門はどんなことを考えているのかが気になるものだ。そういったプロセスは、日常業務とはまったく異なる視点で会社を見つめるきっかけになるのだろう。

大きな企業になればなるほど、また業務が忙しいほど、会社全体というよりは所属部署の視点になりやすい。そんななかでも、会社の強みをさまざまな方向性から具体的に伝えるコンテンツは、良いきっかけになるのかもしれない。

2.コーポレートサイトへの関心が高まる

会社の強みコンテンツを作成することは、コーポレートサイトそのものへの興味を高める効果もある。「うちの部署の山田さんが出てるんだって」といった興味半分でも、経営層が考えていることを知りたいという動機でも、とにかく自社サイトへの関心が高まることは、コーポレートサイト運営担当者には喜ばしいことだ。

自社サイトの更新には、各部門の迅速な協力が不可欠。ともすると通常業務が優先されて、コーポレートサイトのことは忘れられがちだが、そういった意識改善にもつながるだろう。

3.一番恩恵を受けるのは、コーポレートサイトの運営担当者

3.一番恩恵を受けるのは、コーポレートサイトの運営担当者

各部門へのインタビューを実施することで、会社の強みを改めて認識した。自分の会社がますます好きになった。そういった感想を聞くことが多い。ミイラ取りがミイラになる、ではないが、まず最初に会社のファンになってしまうのは、直に話を聞いた担当者本人なのだ。

なぜなら、自分の会社の強みについて、日頃から突き詰めて考える人はそうそういない。技術開発、販売企画、品質管理など、それぞれのポジションを最前線で支える人たちの言葉は、きっとビジネスのTV番組以上に自分の心にささるのだろう。

また、さまざまな部門の人と接することで繋がりが深くなり、それ以降の仕事がやりやすくなったという意見もある。一つのコンテンツを作り上げるのは労力がかかることだが、それだけの得られるものも大きいようだ。

会社の強みコンテンツを成功させる、3つのポイント

1.最初にストーリーを描く。何を伝えたいか。どんな切り口でまとめるか

1.最初にストーリーを描く。何を伝えたいか。どんな切り口でまとめるか

人が行動を起こすきっかけは、感情が動かされたときである。そのためには、淡々と事象を羅列するだけでなく、ひとつの物語として理解される方が感動が大きいし、記憶にも残りやすい。自社の強みをどんな切り口で伝えれば、読む人が納得し、腑に落ちるのか。最初にそこから考えてみよう。

たとえば、意外性をとりあげてみるのも一つの手法。

平均年齢70歳、のんびりした会社かと思ったら、意外にも全員がITを駆使してネットショップで大きな収益をあげていた、などなど。

または、キーワードを掲げるのもいい。
当社の強みは、大阪のおばちゃんの、大阪のおばちゃんによる、大阪のおばちゃんのための生命保険です、など。

特に、動画コンテンツをつくる時には、最初が肝心。ストーリー性が感じられないと最後まで観てもらえない。間違っても、会社の歴史からスタートするような構成は避けたい。

2.インタビュー・編集は、外部スタッフが行うべき

2.インタビュー・編集は、外部スタッフが行うべき

これは、当社に発注してほしいから言う訳ではない(もちろん、お問い合わせは喜んでお受けしたいが)。その理由は、社内の人にインタビューしたり、されたりするのは、お互いに照れくさいから。家族同士で褒め合うのは気恥ずかしいのと同じようなものだ。どうしても、そんなこと今さら言わなくても分かっているだろう、と語られなくなる部分が出てくる。

しかし、強みコンテンツの一番のターゲットは、自社のことやを全く知らない社外の人。就活生や投資家なら、業界のことさえ知らない素人だ。だから、コンテンツを制作する側は、業界を知らない人のほうがいい。インタビューされる側も、相手が素人の方がかみ砕いて説明しやすい。

また、社内でない方が遠慮と自制心が働くことで、その結果、制作物のクオリティも上がる。社内担当者が書いた文章だと、横やりも入れやすいしわがままも言いたくなるのが人情。しかし、外部の人なら「プロのライターがそういうなら」と、内容の大幅カットやトーンダウンをくい止められるのではないかと思う。

3.社員を登場させるデメリットより、メリットに目を向けるべき

3.社員を登場させるデメリットより、メリットに目を向けるべき

これもよく聞かれることだが、インタビュー記事や動画コンテンツで強みを語ってもらう社員が辞めてしまったらどうしよう?ということ。確かに、辞めてしまった社員がいつまでも登場しているのは問題があるかもしれない。ただ、それを怖がっていたら何もできないのも事実である。

筆者はそれよりも、その社員の口からリアルに語ってもらうことで得られるメリットに目を向けるべきだと考える。それは企業が商品の魅力をいくら語っても、お客さまの声には勝てないことに通じるものがある。企業の力は人の力。個人がどう語るか、何を考えているかを伝える方が理解してもらうにはうんと近道なのだ。

特にウェブサイトは、バーチャルなものであり、人の温かみを感じにくい媒体。社員がいきいきと語っているコンテンツは、強みコンテンツに限らずもっと増えるべきだと考える。もし問題が発生すれば、更新すればいいのだ。そこが、紙媒体ではなくウェブサイトの良いところなのだから。

重要なコンテンツだからこそ、時には更新も必要と考える

重要なコンテンツだからこそ、時には更新も必要と考える

何度も社内調整を繰り返して、やっと完成した強みコンテンツは、それだけに大きな達成感を得られる。当分はそっとしておきたいと思う。

しかし、本当はそこからがスタートだと考えたい。リリースしてみて、本当に会社の強みが伝わったのか、リクルート活動にどんなふうに貢献したのか、社内の反応は?期待どおりのアクセスを集めることができていたなら、次はどんなふうに展開していくか?

そういった視点は、会社の強みコンテンツに限らず、コーポレートサイト全体についても必要だろう。

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

コーポレートサイトのIR情報セクションは、上場している企業の生の姿を個人投資家、機関投資家の区別なく見てもらうためにある。
株式市場で資金調達を行う傾向が色濃くなりつつあるいま、IR情報セクションはコーポレートサイトのなかでも、重要な役割を果たしているパートと言えるのだ。もちろん、投資家にとってコーポレートサイトのIR情報セクションは、数多くある情報収集チャンネルのひとつに過ぎない。ただ、情報の基本ソースであるコーポレートサイトにおいて、より良いかたちで財務情報を提供することは、前述の企業の姿を見せることにおいて「信頼」を感じさせるうえでもたいせつなのだ。

この記事では、企業が情報開示を行ううえでの「信頼性」にフォーカスし、決算情報をセキュアに公開する方法をお伝えする。

公開予定日に正確に重要情報を公開する

公開予定日に正確に重要情報を公開する

証券取引では、決算情報を知りうる内部者によって、情報が一般公開される前に証券取引を行うことを「インサイダー取引」として処罰の対象となる。一般の投資家との不公平をなくすためのルールだ。

しかし、ネットによる決算情報の公開が一般的になり、インサイダー取引と同じレベルで一般の投資家と不公平を起こす事件が起きた。
超巨大企業の決算情報が公開前にアクセス可能となっていて、事前に漏れてしまったのだ。

決算データを公開予約していた企業のCMSがあろうことか、WEBサーバーの公開領域にPDFファイルを置いていた。しかも外部から予測できるような規則的なファイル名で(2015年度第三四半期の決算短針を「tanshin-2015c.pdf」のように)。

PDFをセキュアに保存する

PDFをセキュアに保存する

公開の段取りを紹介する前に、PDFファイルのセキュリティについて確認しておく。
PDFファイルは、第三者による書き換えが可能なデータである。ということは、あなたが公開しているPDFファイルにセキュリティがかけられていなければ、悪意の第三者がファイルを改ざんし、ネット上に流したとしたらどうなるだろう?

ありえない数字に書き換えられた決算短信がネットを駆けめぐり、株価に影響する。そんなデマによって、株価が上がっても下がっても大問題だ。企業が直接起こしたことではないにせよ、責任の一端はあると筆者は考える。重要書類をセキュリティもかけずに放置していたのだから。

PDFファイルには、パスワードによるセキュリティをかけることによって、書き換えを不可能にする機能がある。財務に関するものや、その他重要な情報をコーポレートサイトで公開する際には、セキュリティ機能を使うべきだ。

1.ランダム文字列で公開領域に保存する

100%セキュアとは言えないが、おおよそ問題ないレベルの情報公開方法が、CMSで決算データのPDFのファイル名を数十桁のランダム文字列にするものだ。英数記号をランダムに組み合わせれば、天文学的な回数のトライを重ねなければ解き明かすことはできない。プログラムの力を借りても、実質的にアクセスは不可能になる。

1.ランダム文字列で公開領域に保存する

ただ、天文学的な文字列の組み合わせが必要だとしても、公開領域にPDFファイルが置かれている以上、万が一ということはある。その可能性をも排除する方法が次の施策だ。

2.プログラムでのみアクセスさせる方法

この方法は、ほぼ外部からのアクセスができない方法だ。読者には、この方法を強くおすすめしたい。

まず、公開情報はWEBサーバーの公開領域には置かない。
さらに、公開情報をダウンロードするためには、非公開領域にあるPDFファイルへは、プログラムでしかアクセスを許可しないようにするのだ。しかもそのプログラムは正式な公開日時まで稼動しないように設定する。

おおよその仕組みは前述の通りだが、実際のシステムにはさらに厳密なセキュリティを施してある。
こうしておけば、外部から正式な公開前に漏えいすることはない。それほど決算情報は守られるべき情報なのだ。

2.プログラムでのみアクセスさせる方法

重要情報の事前漏洩を防止する

重要情報の事前漏洩を防止する

外部からの資金調達を目的として株式を公開したからには、すべての投資家にとって完全に公平性を担保した状態で重要情報を明らかにすることが必須だ。情報の事前漏洩が起こった原因が、ネットに関するリテラシーが低かったからという言い訳は通じない。コーポレートサイトをオウンドメディアとして運営している以上、すべての責任を負う覚悟が必要なのだ。

CMSによって社内での更新があたりまえになったいま、コーポレートサイトのIR情報においては、セキュアな方法で重要情報を公開する堅実な施策が求められているのだ。

コーポレートサイト、会社情報の理想的な見せ方とは

コーポレートサイト、会社情報の理想的な見せ方とは

WEBサイトをリニューアルするにあたり、いちばん着手しやすいのが会社情報セクション。なぜなら、データ的な意味合いが強いため工夫をこらす必要がないからだ。

しかし、よく考えてみてほしい。
会社情報は、これから取引を始めるかもしれない新規取引先、就活生など、外部から基本情報をチェックされることが多い。社外のステークホルダーがあなたの会社の会社情報をチェックしたあと、

「まぁまぁ、ふつうの会社だな」
とブラウザを閉じるのと、

「立派な会社なんだな」
と感じ入るのとでは、その後の事業活動に与えるインパクトは雲泥の差になってしまう。

コーポレートサイトにおける「会社情報」セクションは、データ的なコンテンツが多いため地味な印象があるが、アクセスは意外に多い。この記事では、社外の人々に対してあなたの会社を良い会社に見せる理想的な方法をお伝えする。

会社情報の果たす役割

会社情報の果たす役割

コーポレートサイトでの会社情報は、必須要素だ。ただ、必須要素ではあるが、工夫をこらすものでもないと認識してしまっている人も多い。新規取引先が訪問した際に「ふつう」と感じるか、「取引した方が良さそうだ」と感じ入るのとでは、あなたの会社に与えるインパクトは雲泥の差がついてしまうのにも関わらず。

もちろん、会社概要といったコンテンツは正確にデータを並べて見やすくさえしておけば、十分に役割を果たす。しかし企業は、その考え方次第で良くも悪くもなる「概念の集合体」といってもいい。理念を社員に浸透させ、「○○イズム」の固まりとなれば、大きな推進力が生まれる。理念が市場とマッチしていれば、必ず一定の成果を得られるはずだ。

新規取引先の担当者も、理念や歩みに共感すれば、「良い会社」「取引に値する」と感じ入ってくれる。
要するに、コーポレートサイトの会社情報が果たす役割とは、外部に対して抽象的な概念、会社の理想像を明確に伝えるためのセクションだということだ。

では、外部の人を魅了するための理想的なコンテンツについて、具体的に紹介しよう。

会社情報の理想的なコンテンツ

会社情報の理想的なコンテンツ

会社情報でどの会社にとっても大切なのは、データではなく抽象的な概念を紹介するコンテンツだ。
それを証明するように、名だたる会社のコーポレートサイトは、データ的な意味合いの強い会社概要から始まっているわけではなく、経営理念や社長挨拶といったスピリットを伝えるものから順に紹介されていることが多い。

では順にコーポレートサイトの会社情報で重要なコンテンツの意味と理想をみていこう。

経営理念

経営理念

理念なき事業が成功することはない。単に儲けるためだとか、社員の生きる糧を稼ぐためでは、苦しいときに我慢できなくなったり、顧客に信頼してもらえなくなったりして、頓挫してしまうからだ。

おおよそ長続きしている会社は、立派な理念のもとに運営されている。
ただ、創業当時から受け継がれてきた経営理念があり、社内ではしっかり浸透していても、外部からは理解しにくいことがある。
とくに、短い言葉で端的に表現されたものが該当する。

こういう場合には、外部の人にも理解しやすいように、説明をしてあげてほしいのだ。
せっかく脈々と受け継がれ、揺らぐことのないスピリットを、社外にも伝えたい。これがわが社の精神だと。

楽天「成功のコンセプト」

楽天グループの経営理念

楽天グループの経営理念は、大枠の理念を短い言葉でつむぎ、それを支えるかたちで「行動指針」「倫理憲章」「ブランドコンセプト」「成功のコンセプト」で成り立っている。明快な文章でそれぞれが必要な理由や方法論が示されている。なかでも、「成功のコンセプト」は企業の経営理念紹介では珍しい内容なので、とくに紹介しておこうと考えたものだ。企業でなく個人ても十分に生かせる考え方だからだ。

エースタッフ「経営理念」

エースタッフの経営理念も、端的に表現された理念を支えるかたちでそれを説明する文章が続く。楽天まで複雑ではないので、一般的な企業に参考になるレベルだ。

社史

社史

あなたの会社のコーポレートサイトでは、せっかくの社史ページで、過去に起きた事象だけをただ綴ってるだけになっていないだろうか。

長く会社が続いていれば、大きなトピックがあったはずだ。厳しい状況もあれば、華やかなイベントもある。現在から見れば、それは単なる事象にしか過ぎないように見えても、ターニングポイントとなったトピックには、必ず会社あるいは経営者の「意思」があったからこそ、その事象が起こっているはず。

それらの事象がなぜ起こったか、明確な意志があったからこそ、そうなったのだということも含めて社史として知らせるべきなのだ。
そうすることで、会社としての理念がより明確になり、見る者にトータルでスピリットが伝わり、感動を与えることになる。

社長挨拶

社長挨拶

強力な推進力がなければ、組織は動かない。合議制でスピーディに物事が運ぶ組織を筆者は見たことがない。

その経営トップがいるからこそ、その会社が続いているのだというほど強力なメッセージを世に放つべきだ。理想論をぶつだけでもいい。社員を含めたあらゆるステークホルダーに対して、「オレはこの会社をこう動かしていくんだ」と宣言し、共感してくれる人を探すというほど強い言葉を選んでほしい。

会社が置かれた経済環境で始まり、社史に触れながら無難な言葉で締めくくる。社長名とロゴだけ入れ替えれば、隣の会社でも通用するメッセージなど、誰も真摯に読まない。ざっと斜め読みされ、「ふつうだね」で終わってしまうだけだ。

90%の人には「そんな理想言ってもねぇ」と思われてもいい。残りの10%がファンになってくれさえすればいいのがトップメッセージだ。

社長挨拶について詳しく執筆したコラムがあるので、下記も参考にしてほしい。
コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

明るい将来を感じさせること

明るい将来を感じさせること

コーポレートサイトの会社情報は、何も工夫しなければおそろしく退屈なコンテンツになる。しかし、製品情報セクションで工夫を凝らすように、「楽しませる」「感動させる」「立派に見せる」ことを意識すれば、あなたの会社を良く見せられるアイデアが出てくるものだ。

「私たちは、こんなに顧客に愛され、社会にも貢献できている将来のある会社で働いているのだ」と主張すれば、あなた自身も視点が変わり、会社にもさらなる変化が訪れる。
コーポレートサイトの会社情報セクションは、決して退屈なコンテンツではない。工夫次第でおもしろみのあるコンテンツに変わるのだ。

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

和菓子の「とらや」が、赤坂本店建て替えのための休業に関して、ウェブサイトで社長挨拶を掲載し、その言葉に感動したファンが本店前に駆けつけたというニュースがあった。何気なく観ていた夜の報道ニュースで、その話題が取り上げられたこと自体に筆者は驚いた。

社長挨拶のコンテンツは、コーポレートサイトのなかでトップページの次に大切なコンテンツといっても言い過ぎではない。なぜなら、その企業の考え方や信頼性、勢いなどをダイレクトに伝えられるページであり、すべてのステークホルダーに対して有効なページだからだ。しかし残念ながら、その可能性を活かせていないコーポレートサイトも多い。

この記事では、社長挨拶コンテンツの果たすべき役割と、その効果的な作成方法についてご紹介したい。

社長挨拶がなぜ重要なのか?

社長挨拶がなぜ重要なのか?

人が何らかの行動を起こすとき、きっかけになるものとは?大抵の場合、感情が揺さぶられ、共感したり納得したりして、初めて人は動く。それは、対:顧客、投資家、就活中の学生、そして社員も同じことである。

また、企業を引っ張っていく立場の社長と、それ以外の人(ステークホルダー)では、置かれている立場がまったく異なるため、トップが何を考えているのか、どこを目指しているのかは伝わりにくい。常にコミュニケーションを図りながら、伝えていかなければならないものだ。
そういった意味でも、社長挨拶コンテンツは、思いをダイレクトに伝えることができる貴重な場なのだ。

しかしながら、それを上手く活用できているコーポレートサイトは少ない。失礼ながら、社会情勢の説明から入って当たり障りのない挨拶文で締めくくられている内容がほとんど。もしかして、社長メッセージの本文と企業名を分解してシャッフルしても、違和感なくおさまるのではないかと思ってしまう。
また、アクセス解析をしてみると、コーポレートサイトの社長挨拶は想像以上に読まれていることが分かる。それだけ、企業トップの考え方は注目されているのだ。

それでは、コーポレートサイトの社長挨拶コンテンツをどのように書くべきか、以下に6つのポイントをご紹介しよう。

メッセージは、言いたいことだけに絞る

メッセージは、言いたいことだけに絞る

コーポレートサイトの社長挨拶がよく読まれているとはいえ、ほとんどの訪問者はじっくりとは読んでくれない。精々ざっと流し読みする程度である。だから、言いたいことから先に伝えたほうが読まれる確率は断然高くなる。たとえば、スティーブ・ジョブスのように、冒頭から「いま伝えるべきことは3つあります」と惹きつけるなど。

大切なことは、企業トップがいま何を考えているかが分かる文章であること。メッセージというものは、言葉を絞れば絞るほど、シンプルでパワフルになるものだ。ストレートに表現された文章ほど、読む人に最大限のインパクトを与えることができる。

社長のパッションを伝える

社長のパッションを伝える

たとえば、短期的な利益目的の投資家ではなく、長期的に企業を応援したいと考える投資家の場合、どんな企業を探しているだろうか。きっと自分が共感できる企業、何らかの共通点を見いだせる企業だろう。取引先候補をさがす企業なら、本当に信頼できそうな企業なのか、同じような思想や文化をもっているかを知りたいかもしれない。いずれにせよ、企業の理念や、夢、文化を伝えることが求められている。

脳科学者の茂木健一郎は、共感や理解を得るためにはまず感情に訴えかけることが重要だと言っている。人間は、感情を揺さぶられると、その後の情報が頭に刻印されやすくなるらしい。

独自のキーワードをつくる

独自のキーワードをつくる

たとえば、ソフトバンク社長の孫正義氏の「情報革命」。パナソニックグループ創業者の松下幸之助氏の「大忍」(大きく耐え忍んで、志を遂げる)など。その他にも、「京セラ」創業者の稲盛和夫氏など、多くの社長が象徴的な言葉をつくり、それを繰り返して使っている。

社長が発信する言葉にはもちろん重みがあるが、それだけに扱い方には注意が必要だと筆者は思う。インパクトのある熱意のこもった言葉はさらにパワーを増すが、逆に手垢のついた言葉では逆効果も大きい。

社長挨拶からは少し話がそれるが、当社のあるクライアントでは、社長が直筆でメッセージを書いて、日常的に目につく場所にたくさん張られている。内容はどれも外部の私たちが拝見しても心に響く言葉である。すべてのスタッフは、その言葉の贈り物を毎朝、仕事をしながら、休憩のときにも目にすることになる。最も伝えたい大切なことは、記憶に残る言葉にして何度でも伝える。その大切さを学ばせていただいた。

ソフトバンクの情報革命

松下幸之助さんの「大忍」

使命:何のために、誰のためにが分かるように

使命:何のために、誰のためにが分かるように

最初にご紹介した、とらや社長挨拶。何がそこまで人々の心を捉えたのだろうか。筆者が感じた魅力は、以下のとおりだ。

  • お客さまに語りかけるように、等身大の言葉で素直に伝えられている。その表現や内容は、社長挨拶という特別な機会に限らず、いつも店頭で接客している時の社員の気持ちを代弁したのだろうと想像させられる。
  • 本店の建物が歩んできた51年間を、お客さまと過ごした時間として捉え、感謝の気持ちを伝えている。それは、顧客にとって最もイメージしやすい表現であり、とらや本店が積み重ねてきた時間の流れを共有したような気持ちにさせられる。
  • とらやといえば、高級な和菓子店。日常的に購入するというよりは、ちょっと敷居が高いイメージがある。しかしながら、毎日小さな羊羹を買いに来る幼稚園児や、100歳のおばあちゃんが車いすで来店されたというエピソードは、「そんなふうに買いに行ってもいいんだ」と読む人に軽い衝撃を与えたのではないだろうか。

本店改築という、世の中の流れのなかではごくありふれた出来事。それがこれほどのニュースになったことで、とらやは確実に新たなファンを増やしたことだろう。
人々の心に届いたのは、お客さまに対するとらやの思い、謙虚な気持ち。それが根幹となって、本店の建物同様に長い時間のなかで大切にされてきたことへの感動だと筆者は思う。

社長が交代すると、戦略も変わるのは当たり前。しかし、社長が代わろうと、基本的には変わらないものが企業理念である。
企業は大小にかかわらず、社会に何らかの貢献をするために存在している。それが、何のためなのか、誰にむけてどんなふうに実現していくのかを明確に伝えることも重要だ。

思いや人柄を映し出す写真にもこだわりを

思いや人柄を映し出す写真にもこだわりを

もうひとつ、社長挨拶で忘れてはいけないのが、社長の写真である。企業のトップ、企業の顔である社長の写真は、非常に大切だ。視線、表情、スーツの雰囲気、姿勢、ポーズ、背景。すべての要素が、社長(=企業)のイメージにつながる。

そのなかでも、特に気をつけたいのは表情だ。撮られ慣れているとはいえ、ほとんどの方がレンズを向けられると緊張して表情がこわばる。そんな時は、カメラマンの後ろから、社長にどんどん話しかけていろいろな表情を引きだそう。キリッとした表情がほしいなら仕事関連で夢のある話を、やさしい表情ならお孫さんやペットの話が効果的だ。

社長の写真だけで会社のイメージをアップさせる、3つのポイント

社長挨拶コンテンツも更新するつもりで取り組む

社長挨拶コンテンツも更新するつもりで取り組む

就任以来、何年もメッセージが変わらないというのは寂しすぎる。社会全体のスピードが増しているなかで、企業のおかれている状況も刻々と変化しているはず。そんな流れのなかで、企業として変わるべき部分と変えない部分について語ることも必要だろう。すべてのステイクホルダーとの接点となるトップメッセージを、いかに有効に活用するか。そのためにも、定期的に見直しを検討することは大切だ。

社長のファンをつくるつもりで

社長のファンをつくるつもりで

いろいろ書いたが、社長挨拶コンテンツの理想形は、社長のファンをつくることができるページだろう。どんな大企業であれ、掲げている目標が本当に達成されるかどうかは誰にも分からない。しかし、この人は本当にやってくれそうだ。この人についていきたいと思ってもらえたら、企業にとってこれほど心強いことはない。

おさえておきたい、コーポレートサイトの役割と機能

おさえておきたい、コーポレートサイトの役割と機能

コーポレートサイトは「企業の顔」の役割を果たすもの、などとされたのは昔の話。そんなゆるいことを言っているようでは、あなたはすでに時代に乗り遅れてしまっているかもしれない。筆者は、コーポレートサイトは何らかの目的や目標を持ち、それらを達成しなければ運営する意味はないと考えている。
コーポレートサイト運営も企業にとっては事業の一環なのであり、明確なターゲットを持ち、対応してしかるべきだということだ。

WEB制作会社として20年近くコーポレートサイトの構築、運営に携わってきた実績をもとに、これから数回にわたって企業サイト構築、運営のノウハウをご提示していきたいと考えている。

コーポレートサイトに必要な機能と役割

コーポレートサイトに必要な機能と役割

コーポレートサイトには、大きく分けて「会社紹介」「営業支援」という2つの役割がある。

優秀な人材を確保するための採用情報も、上場企業に必須のIR情報も大きな括りでいえば、自社を「紹介」するものだ。これに対して、製品・サービス情報を軸に「売り込み」をかける、またはそのサポートを行うのが「営業支援」。

どちらも必要な機能に見えるが、大企業の子会社で独自の営業をせずとも、仕事は親会社から降りてくる場合には「営業支援」機能は不要になる。

この記事では「会社紹介」の役割に絞り、必要な機能と考え方をご紹介していきたい。

ステークホルダーを意識する

ステークホルダーを意識する

ステークホルダーとは、利害関係者という意味だ。企業が事業を営むうえで利害が関係する顧客、従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会(住民)、行政機関などを指す。

コーポレートサイトは、これらのステークホルダーに対して情報を提供するためのツールであり、とくに「会社紹介」においては対象者に対する配慮をとくに行うべきで、かんたんに言えば、誰が見てくれるのか?を考慮した作りにしておこうということだ。

どんなメディアでも同じだが、ターゲットのニーズを汲み、閲覧しやすさを極めれば、「使いづらい」「見づらい」「分かりにくい」といった反応はなくなるはず。コーポレートサイトでも、セクションごとに閲覧する可能性のあるターゲットを想定し、彼らの望むかたちでの情報提供に努めよう。

会社情報の機能と役割

会社情報の機能と役割

コーポレートサイトのなかでは、地味な印象のある会社情報。意外かもしれないが、着実なアクセスを得られるとともに、大きな役割を果たすセクションでもある。

新規開拓の必要がほぼない事業形態の企業で、製品・サービスセクションが事業概要のようになっているコーポレートサイトでも、大きなアクセスを得ているのは会社情報だ。

会社概要はもちろん、経営理念やトップメッセージといったフィロソフィー系のコンテンツは、あらゆるステークホルダーにとって必要不可欠な情報であるからだ。

きちんと撮影されたポートレートと、会社の将来像まで明確に語るトップメッセージは、どんなにすばらしい業績を示すグラフよりも説得力がある。

企業にとって、会社情報はそれほど大きな役割を果たすものなのだ。

コーポレートサイト、会社情報の理想的な見せ方とは

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

採用情報の機能と役割

採用情報の機能と役割

事業を伸ばしたいと考えている企業は、すべからく優秀な人材を確保したいと考えているはず。人材を「人財」とする会社もあるぐらい、企業の業績と優秀な人材の確保は密接に関係している。

企業の思惑に対して、求職者は「自分に合った」「自分が成長できる」職場を探している。ただ、この「自分」はクセ者で、「自分勝手」もあれば、「自己中心」もある。誰もが理想の職場を追い求めるが、企業側としては極端な自己主張をする求職者を排除したいのだ。

多くの企業は、リクルート専用のポータルサイトに求人情報を掲示する。会社の将来性や先輩の声、募集要項、採用担当者のメッセージ、採用までの流れといった「パターン」コンテンツだ。データとしてはこれで充分だし、エントリーをこの情報で決める者がほとんどだ。

だからといって、コーポレートサイトに採用情報がなくてもいいわけではない。

求職者たちは、リクルート専用のポータルサイトで求人情報をチェックしたあと、必ずといっていいほどコーポレートサイトを訪れる。いわば存在確認を行うためだ。このとき、コーポレートサイトがショボかったり、採用情報がなかったりすると、エントリーしていいものかどうか悩んでしまうのだ。

決してきらびやかにする必要はないが、コーポレートサイト側の採用情報も、求職者が納得できる程度の情報は掲示するようにしておき、優秀な人材の受け入れ準備をしておこう。

コーポレートサイトの採用情報:エントリーさせる考え方

IR情報の機能と役割

IR情報の機能と役割

IR情報(財務情報)は投資家に向け、自社がいかに魅力的で将来にわたって投資をするに値する企業かを説くためのコンテンツだ。ただ、ウソをつくことは許されないし、ミスをすることも許されない。内部情報をどこまで見せるかは企業の判断に委ねられるし、投資家は開示された情報の範囲内で投資の内容を決断することになる。

高い信頼性が求められると同時に、高いセキュリティが必要なセクションだ。

数年前、超巨大企業が決算情報をCMSに公開予約した。PDFファイルによる情報開示だったが、その出来の悪いCMSはずっと先に公開されるべきPDFファイルを公開領域に保存。なおかつ、これまで開示されてきたファイル名から新たに公開されるファイル名を誰もが予測できるものだった。

当然、めざとくそれに気付いた投資家が公開前にPDFファイルをダウンロードし、投資の参考にしてしまった。この事態を重く見た東京証券取引所は、上場企業各社に事前に情報が漏れない工夫を行うよう通達したのだ。

公平な市場で取引されるべき株は、情報の透明性が求められる。決して一部の人だけが知りうる情報で売買されてはいけないのだ。
開示情報が事前に漏洩しないシステム構築が上場企業のコーポレートサイトに求められる大きな役割のひとつである。

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

CMSの導入範囲

CMSの導入範囲

最後にコーポレートサイトでも必須の機能となっているCMSについて、お伝えしよう。

結論から言うと、専任担当者をおかざるを得ないほどWEBサイトの役割が大きな事業でない限り、どのコンテンツも社内で更新できるような、過度な実装を行うべきではない。

必要最小限の機能さえあれば充分だ。担当者は、WEBのシステムで遊んでいる暇があるのなら、他にやるべきことがあるだろう。

さらにいえば、すべての更新を社内で行い、WEB制作会社、コンサルティング会社ともコミュニケーションがなくなることは避けなければいけない。日進月歩の業界で、外部からの情報が得られない事態は避けるべきなのだ。コスト削減を行うことは理解するが、そのような考え方では結局コスト以上のものを失うことになってしまうだろう。

スピード、多くの情報のなかから自社に合った戦術を選ぶ必要があるいま、人の頭を借りることは、何よりも大切な戦略でもあるのだ。