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WordPressで構築する製品情報システム(製品情報CMS)

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多品種多品目を扱う企業WEBサイトでは、製品や商品、サービスを紹介するための「製品(商品)情報システム」が組み込まれているケースが多い。
「製品情報システム」と聞くと、一から手作りする「スクラッチ開発」で構築する傾向にあるが、当社では、WordPressを「製品情報CMS」に仕立て、比較的短かい納期で、質の高い製品情報システムを数多く提供してきた。
ここでは、過去の導入事例から「製品情報CMS」で実現した要件や解決できた課題を紹介しよう。

WordPressベースの製品情報CMSとスクラッチ開発

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当社では、WordPressを製品情報システムのベースとすることで、スクラッチ開発では避けて通れない開発工程の一部を省いてきた。いや、「省いた」のではなく実際には「意識しなくてもよくなった」と表現する方が正しいかもしれない。

その工程とは、
・データベース(テーブル)設計/構築
・管理画面の設計/プログラミング
である。

データベースについてはWordPressの構造をそのまま利用するため、開発の段階においては、データベースの存在を意識することはなく、WordPressに標準装備されている機能を呼び出したり、足らずはプラグインをインストールし、そのプラグインが持つ機能を通じてデータベースを呼び出す形になる。
管理画面についても同様に、ログインユーザー管理はもちろん、プラグインが自動生成する入力フォームを利用し、製品情報の入力画面としている。管理画面については、ほぼノンプログラミングに近い。
これらの工程が省かれることが、工数の削減と、この工程で入り込む不具合の排除に寄与しているといえるだろう。

以降では、WordPressベースで製品情報CMSを構築した過去の事例を紹介しよう。
いずれの事例もWordPress標準のカテゴリーと「Advanced Custom Fields」プラグインを駆使して実現したものだ。

製品ごとに仕様項目が異なる製品情報システム

このクライアントは、特定の業界に対応した製品群を製造販売している企業ではあるものの、製品のカテゴリーごとに全く異なるスペック項目を有している。それらの込み入った内容をHTMLに触れることなく誰でも編集したいというのがクライアントから提示された要件であった。

スペック表のような細かなテーブルは、いろいろな方法でWEBサイトに掲載する方法がある。
例えば、
  ・スペック表の部分だけを抜き出してHTMLファイルで記述し、表示処理で組み込んで掲載する。
  ・テキスト入力欄を1つ設けて、そこにHTMLでテーブルを入力する。
  ・リッチテキストエディタの入力欄を1つ設けて、そこにExcel上で作ったテーブルを張り付ける。
  ・スペック表に則した入力項目を準備し、スペック内容だけを入力する。
などが挙げられる。
いずれの方法も、当社で過去に構築したことのある方法であるが、クライアントのWEBサイト運用スキル(HTML知識の有無など)とコストを鑑みてどの方法を採用するかを決定している。
今回のクライアントは、4つ目の「スペック表に則した入力項目を準備し、スペック内容だけを入力する」方法を採用した。

実はこの製品情報CMSに関するコラムは、既に執筆済みなので、詳しくは以下のページを参照されたい。
WordPressでCMS:仕様項目まで更新可能、運用コストを低減

詳細ページに関連情報を集約する製品情報システム

せっかく製品情報システムを作るのだから、できるだけ多くの情報を掲載したい。
たいていのクライアントが異口同音に発するフレーズだ。
我々もそれに応えるべく知恵を絞り、構築作業に勤しむが、忘れてはいけないことがある。
それは、「初期はもちろん、日々の運用でもそれだけ多くの情報を入力しなければならない」ということだ。

クライアントからも、日々の運用負担を考慮し、以下のような要件が提示された。
  ・Q&A1つを、複数の製品および複数の製品カテゴリーに割り当てたい。
  ・アクセサリー1つを、複数の製品および複数の製品カテゴリーに割り当てたい。
  ・既登録の製品を選択するだけで関連製品を登録したい。

Q&Aとアクセサリーは、ほぼ同じ画面構成で以下のようなイメージで管理画面を準備した。
これによって、同じ内容のQ&Aやアクセサリーの情報を製品ごとに登録する手間が省けてクライアントには好評を得た。

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関連製品の登録は、以下のようなイメージで管理画面を準備した。
「行を追加する」を押下すれば、ひとつの製品に複数の製品を関連付けが可能だ。

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複数の切り口から製品にたどり着ける製品情報システム

製品情報システムでありがちなのが、「製品カテゴリー(分類)」に従って製品詳細までたどらせる方法。
この「製品カテゴリー」は、製品を提供する側の都合で体系付けされていて、サイト訪問者にとってはピンとこない場合が多い。
サイト訪問者は往々にして、何かの目的を果たしたい、ある課題を解決したい、などいったニーズをもってWEBサイトにやってくるが、そのとき示される入口の情報が「製品カテゴリー」だけでは、自分のニーズがどの製品で満足されるのか頭の中で変換しながら試行錯誤し、製品を探すことになる。

そこで、このクライアントでは、「製品カテゴリー」とは別に「製品用途」と「対応業種」を追加し、3系統の製品体系を準備し、利便性の向上を図った。

以下のようなイメージで複数体系を登録する管理画面を準備した。
この例では1つの製品情報の中で、製品カテゴリーは1つ、用途と業種は複数を設定可能にしている。

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WordPressでCMSを構築する際の注意点

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以上、いろいろとWordPressで構築するCMSの利点や管理画面の作りを紹介してきたが、WordPressが万能だとは決して言っていない。例えば製品情報システムの機能としてありがちな「キーワード全文検索」や「複数条件を組み合わせた絞り込み検索」などは、当社でもスクラッチによる開発で実現し、WordPressを用いたCMSでは構築していない。なぜなら、これらの機能はWordPressでも実現できなくはないが、得意ではないからだ。その理由は、データベースのデータの持ち方に起因する。

スクラッチで開発するような製品情報システムの場合、基本は1製品で1レコードの情報を持つことになるが、WordPressの場合、データ構造に柔軟性を持たせるため、1製品で複数レコードを持つことになってしまう。例えば製品情報の項目が20項目あった場合、20レコード以上のレコードが生成されてしまうことになる。また、他にも付属の情報があった場合、それらは1つのテーブルの中に詰め込まれてしまう。
なぜ1製品の情報を複数レコードに持つことが良くないのか?
データベースを用いてシステムを開発することのある読者ならわかると思うが、製品検索の絞り込みで3つの条件を設定して絞り込む場合、少なくとも3回は、データが格納されているテーブルをフルスキャンすることになる。その上、フルスキャンするテーブルには、製品数の項目数倍のレコード数がある(実際は、さらにその2,3倍は格納されている)。否応なく、検索に時間がかかるし、サーバーにも負荷をかけてしまう。そのため、複数の訪問者が同時に検索をかけた場合、相応に待たせてしまうことにもなる。

したがって、WordPressを製品数が数千点以上になるような製品情報システムのCMSとして用いるには無理がある。せいぜい500点以下に留める方がよいだろう。

WordPressは使いよう

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人に得手不得手があるように、WordPressにも不得手がある。人と同じようにWordPressの得手をほめて伸ばしてあげるように利用すれば、WordPressはその真価を発揮してくれるのではないだろうか。

筆者が最近構想することに、「WordPressとスクラッチ開発のハイブリッドシステム」がある。
製品情報の管理機能であるバックエンドの部分はWordPressで構築し、WEBサイトから直接アクセスされるフロントエンドの部分はスクラッチ開発で検索機能を構築するのである。そして、WordPressのデータベースとスクラッチ開発のデータベースの間に「本番公開機能」を設けてWEBサイトの情報を更新するのだ。なかなかいいアイデアだと思うが、まだ実現には至っていない。

初心者が、WordPressでコーポレートサイトを作る全手順-1

初心者が、WordPressでコーポレートサイトを作る全手順

WordPressは、初心者でも十分に扱える優秀なCMSツールだ。
一般的にはブログソフトと認知されているが、カスタマイズ次第で、社長を納得させるだけのコーポレートサイトを構築できるほどの能力を持っている。

筆者がWordPressを採用する理由は、かんたんにコーポレートサイトを作れるからというだけではない。
WEBサイトは作ることを目的とすべきではなく、運用し、ビジネスに貢献させることこそ、企業が行うべきことだという信念があるからだ。

WEB制作プロダクションの筆者が言うのもおかしな話だが、多額な費用をかけ、きらびやかなWEBサイトを作っただけでは、ビジネスに貢献することなどあり得ない。
自社製品やサービスを紹介するコンテンツを作り、修正し、また加えていく。その繰り返しをねばり強く重ねていく企業だけがネットで強くなっていく。

このコーポレートサイトの運用に、最適といえるツールがWordPressなのだ。
WordPressは検索エンジンとの親和性が高い。これは世界的に証明されている。すなわち、集客を行ううえで有利だということだ。

社長から突然自社サイトを作れと命じられた。自社サイトにあまりコストをかけられない。あなたが、こんな事情を持つ担当者なら、この記事を参考にしながら、自社サイトの構築に取り組んでほしい。半年後、なるほど!と思えることが起こるはずだ。

WordPressを企業WEBサイトに仕上げるための作業ポイント

残念ながら、いくらWordPressがすごいと言っても、インストールしただけで企業WEBサイトとしての体裁は整わない。最低限の見栄えと構成を備えるべきだ。

この記事では、プログラミングはもちろん、HTMLやCSSを編集することなく、WordPressの管理画面だけを操作して企業WEBサイトへ仕上げていく手順を紹介することがテーマだ。

  • WEBサイトの構成を考える
  • コーポレートサイトに適したテーマを選ぶ
  • コーポレートサイトには不要なWordPressの機能や表示を削除する
  • WordPressでグローバルナビゲーション(サイトメニュー)を作る
  • WordPressでTOPページ(HOME)を作る
  • WordPressで会社案内ページを作る
  • WordPressで事業内容ページを作る
  • WordPressでお問い合わせページを作る
  • WordPressで最新のお知らせページを作る
  • ヘッダー画像を差し替える

WEBサイトの構成を考える

WordPressに手を加える前にやるべきは、サイトの構成を考えること。「周到な準備があれば、レースはスタートする前に決まっている」多くのスポーツ選手が口にする言葉だ。
企業WEBサイトのミニマム構成は、おおよそ以下のようなサイトマップになる。

コーポレートサイトのミニマム・サイトマップ

WordPressには、「固定ページ」という文字通り更新を行わない定型ページと、随時更新を行っていく「投稿ページ」という概念がある。上記のサイトマップを2つの概念を使って構築していく。

青枠で囲われている

  • TOPページ(HOME)
  • 会社案内
  • 事業内容
  • お問い合せ

については、WordPressの「固定ページ」を用いて制作。

赤枠で囲われている

  • お知らせ
  • お知らせ詳細

については、更新を重ねていくコンテンツなので、WordPressの「投稿ページ」を用いて制作する。

コーポレートサイトに適した「テーマ(フォーマット)」を選ぶ

WordPressの初期状態

WordPress4.1.1(2015年4月6日現在)のインストールが完了した直後は、次のようなページが表示される。
なんだこりゃ?と感じるほど、何の趣向もないページだ。

WordPressのインストールは、先に優秀なコンテンツが存在するので、そちらを参考にされたい。
「WordPress インストール」と検索するだけで、詳細な記事がいくつも見つかるのは、最も普及しているCMSツールである証拠でもある。あなたがWordPressに関して、分からないことが出てきても、いくらでも助けてくれる人たちがいるのは何とも心強い。これも筆者がWordPressをおすすめする理由のひとつだ。

「WordPress インストール」でGoogle検索してみる

WordPressの初期状態画面

WordPressの「テーマ」を選択しよう

本格的な作業に着手する前に、WordPressのテーマを選び直す。テーマとは、デザインフォーマットのことだ。
先ほど画面キャプチャで示したテーマは、WordPressのバージョン4.1.1の初期設定で選択されているテーマだが、ページの左側に機能が集中しており企業WEBサイトとしては、なじみのないものだ。思い切って、「コーポレートサイト」っぽくなりそうな、他のテーマに切り替えよう。

管理画面にログインし、[外観]-[テーマ]を選択すると、標準でインストールされているテーマが表示される。
今回は、この中から「Twenty Thirteen」を使用する。
自分好みのテーマをネットで探し、インストールすることも可能だが、ひとまず「Twenty Thirteen」を選択してみよう。

テーマを切り替えるのは、デザインキャプチャの下に表示されている「有効化」ボタンを押すだけだ。

WordPressのテーマ一覧画面

「Twenty Thirteen」を有効にした後、サイトのTOPページ(HOME)を表示した状態。

テーマ変更後のTOPページ(HOME)

初心者が、WordPressでコーポレートサイトを作る全手順-1、後半は

次ページは「WordPressから、コーポレートサイトには不要な機能や表示を削除する」

初心者が、WordPressでコーポレートサイトを作る全手順-2

初心者が、WordPressで企業サイトを作る全手順-2

初回の「初心者が、WordPressで企業サイトを作る全手順-1」では、企業サイトの体裁をおおよそ完成させた。

第2回目となる今回は、各セクションの体裁をどうするか、どうやって更新していくかについて紐解いていこうと思う。

数あるCMSツールのなかでも、WordPressは実は初心者にとっても扱いやすいもので、なおかつ極めようと思えば、その意思に応えてくれる奥深さも備えている。

「初心者が」のキモは、あらかじめテンプレートが準備されているCMSツールを活用することによって、HTMLやCSSといった、いわゆるWEB制作の知識がなくても、WEBサイトとしてある程度の体裁を整えられることだ。

少し馴れてきたら、WordPressを使って、試行錯誤しながらでもWEBサイトにあなたのオリジナリティを組み入れていくことにもチャレンジしてほしい。

最新のお知らせを掲載する

お知らせの最新5件をページの右側(サイドバー)に表示する。
管理画面の[外観]-[ウィジェット]の「副ウィジェットエリア」に「最近の投稿」を設定すればよい。
「最近の投稿」をクリックし、「副ウィジェットエリア」をチェック、「ウィジェットを追加」をクリックする。

最新のお知らせ1 ウィジェット追加

続いて「副ウィジェットエリア」に追加された「最近の投稿」のサイト上の表示文字を変更する。
「副ウィジェットエリア」の「タイトル」欄に、表示したい文字を入力すれば変更できる。ここでは「最新のお知らせ」とした。
最新の表示件数を増やしたいのであれば、「表示する投稿数」を希望する件数に変更しておこう。

最新のお知らせ2 ウィジェット編集

ここまでの作業で、ページの右サイドバーに「最新のお知らせ」欄が追加された。

最新のお知らせ3 TOPページ

サイトのTOPページ(HOME)を作る

ここから固定ページの内容の入力を進めていく。
まずは、サイトTOP(HOME)だ。

現状は、サイトTOPには、投稿ページで入力されている最新の記事が表示される設定になっている。
ページの内容を入力する前に、サイトTOPに固定ページで作った「サイトTOP(HOME)」が表示されるように変更する。
操作は、管理画面の[設定]-[表示設定]の「フロントページの表示」を変更すればよい。
「固定ページ」をチェックし、「フロントページ」から「TOPページ」を選び保存する。

TOPページ TOPを固定ページに設定

ここまでの作業でサイトのTOP(HOME)には固定ページで作成した「TOPページ」が表示されるようになった。ここで、1点気になることが・・・。それは「TOPページ」と固定ページのタイトルが表示されていることだ。
会社案内や事業内容であればこれでいいが、サイトのTOPに「TOPページ」とは、なんともセンスがない。

TOPページ タイトル不恰好

これを解消するには、テーマを改造する方法もあるが、ここでは固定ページのタイトルをHTMLのコメント化(コメントアウト)し、表示させなくすることで回避しておく。
操作は、管理画面の[固定ページ]-[固定ページ一覧]から以前に作成した「TOPページ」を編集で開く。
そして、タイトルをHTMLのコメント記述ルールに従って修正する。HTMLのコメントは、表示したくない文字列を「<!ーー」と「ーー>」で囲めばよい。
今タイトルに入力されている「TOPページ」を「<!ーーTOPページーー>※」と修正し、更新する。

※本来は半角で記述すべき。

TOPページ タイトルコメント化

サイトのTOPページを確認すると、固定ページのタイトルは表示されなくなった。

HOME

次にTOPページの内容を入力していこう。
まずTOPページに何を掲載するかを考える。
無難なところで、

  • 事業内容をイメージできるビジュアル画像
  • 企業メッセージ

で構成する。

まず、ビジュアル画像を準備する。WordPressの管理画面の中で画像のリサイズや切り出しなどの編集も可能だが、今回は幅600px高さ200pxの画像を事前に準備した。
操作としては、先ほどと同様に管理画面の[固定ページ]-[固定ページ一覧]から以前に作成した「TOPページ」を編集で開く。そして、仮の入力内容を消去後、「メディアを追加」から準備したビジュアル画像を選択する。

TOPページの内容を入力

「メディアを追加」をクリックすると「メディアを追加」画面がポップアップするので、「ファイルを選択」から表示されるダイアログで準備しておいたビジュアル画像ファイルを選択する。

TOPページ

選択したビジュアル画像を開くと、画像をアップロードの後、以下のような画面になる。
「添付ファイルの表示設定」の中の「サイズ」をフルサイズにして「固定ページに挿入」をクリックすれば、固定ページの入力画面に組み込まれる。

TOPページ メディアを追加

以下が固定ページの入力画面に組み込まれた状態だ。

TOPページ ファイル選択

次にビジュアル画像の下に企業メッセージを掲載する。
ビジュアル画像の下あたりをクリックし、Enterキーを押すとカーソルが表示されるので、メッセージを入力して、更新する。

TOPページ ファイル挿入

TOPページを見てみよう。

TOPページ 挿入後

会社案内ページを作る

次に会社案内のページを制作する。
会社案内に関しては、次の手順で制作する。

  • MS-Excelで内容を入力
  • MS-Excelのセルをコピー、WordPressの固定ページ入力画面にペースト

この方法を用いると、HTMLを知らなくても表組みで内容の掲載が可能になる。

まず、MS-Excel上で会社案内の内容を入力する。おおよそ以下のような内容だろう。

会社案内ページ Excel

次に管理画面の[固定ページ]-[固定ページ一覧]から以前に作成した「会社案内」を編集で開く。
そして、先ほどのMS-Excelに入力した内容を範囲選択してクリップボードへコピーし、「会社案内」の編集画面でペーストすれば完了だ。

会社案内ページ ペースト

会社案内ページを見てみよう。
表組みされているので項目名と内容がきれいに面一で揃っている。
画像では見難いが罫線も入っている。

会社案内ページ

初心者が、WordPressでコーポレートサイトを作る全手順-2、後半は

「事業内容ページを作る」へ

初心者が、WordPressでコーポレートサイトを作る全手順-3

初心者が、WordPressで企業サイトを作る全手順-3

初心者でも、WordPressなら企業サイトを構築できる。前回の記事では、この命題を実現できることを証明した。

全3回でお届けする、「初心者でも企業サイトを」の最終回の今回は、もう少しWEBサイトの内容をそれっぽいものにできるような工夫を凝らしていく。

Googleがスマホサイトに対応していないWEBサイトの検索順位を下げると宣言し、戦々恐々としている担当者も多いかもしれない。しかし、もう少しだけ努力すれば、レスポンシブデザインさえカバーすることができる。もうスマホ化の心配など無用になるのだ。

前回の記事では、企業サイトのおおよその体裁を整えることに注力した。各セクションのページを作ってきたわけだが、企業サイトのツールとして必要なのは、情報の更新「お知らせページ」を設けることだ。WordPressをCMSとして使う大きな理由でもある。

WordPressで最新のお知らせページを作る

お知らせの掲載はWordPressの機能「投稿ページ」で制作する。
初期状態では「Hello World!」が1件登録されているので、「Hello World!」を削除してから新たに「コーポレートサイトをリニューアルしました。」記事を登録しておこう。

管理画面の[投稿]で投稿ページの一覧が表示されるので、タイトルが「Hello World!」のページを「ゴミ箱」へ送る。

Hello World削除

続いて「新規追加」で「コーポレートサイトをリニューアルしました」ページを作成する。
要領は、固定ページの作成と同じなので、前回の記事を参考にしてほしい。

記事入力

作成した「コーポレートサイトをリニューアルしました」ページをチェックしてみよう。
少しタイトルが大きいので、スタイルシート(CSS)に修正を加える必要がある。ただし、細かな調整はもう少し後にして、今はこのままにしておこう。

「コーポレートサイトをリニューアルしました」ページ

お知らせの一覧を見てみよう。
「未分類」と表示されるのが気になる。
「未分類」を「お知らせ」に変更しよう。

未分類気になる

管理画面の[投稿]-「カテゴリー」で現在登録されている投稿ページのカテゴリーの一覧が、ページの右側に表示される。
初期状態では、「未分類」1つが登録されている状態だ。
「編集」をクリックし、名前を「お知らせ」、スラッグを「news」に修正しておこう。

カテゴリー
カテゴリー編集

お知らせの一覧をチェックすると、「未分類」が「お知らせ」変更されている。

お知らせになった

ヘッダー画像を差し替える

企業サイト作りも、ようやく終盤にさしかかっている。こんどは、ヘッダーの背景画像とタグライン(メッセージ)を変更しよう。

管理画面の[外観]-「ヘッダー」でヘッダーのデザインなどが編集できるようになる。そのなかの「ヘッダー画像」でヘッダーの背景画像を変更する。「新規画像を追加」から任意の画像を選んで設定する。

ヘッダー画像差し替え

「ファイルをアップロード」で新たな画像ファイルをアップロードして使用する。
「ファイルを選択」から表示されるダイアログで

アップロード

ファイルのアップロードが正常に終わると「選択して切り抜く」から、ヘッダーのサイズに合った部分を指定し「画像切り抜き」で切り抜く。

切り抜き

「保存して公開」でヘッダー画像の変更は完了だ。

保存

トップページをチェックすると、ヘッダー背景が変更されている。

TOPページ

次にタグライン(メッセージ)を変更し、文字色も同時に調整しておこう。

管理画面の[外観]-「ヘッダー」でヘッダーのデザインなどが編集できるようにする。そのなかの「サイトタイトルとキャッチフレーズ」でタグライン(メッセージ)を修正する。

メッセージ変更

同様に、「色」でテキストの表示色を変更する。
「保存して公開」をクリックすれば完了だ。

文字色変更

完成したサイトを見てみよう

ここまでの作業で制作したページを見てみよう。

TOPページ

会社案内

事業内容

お問い合せ

お知らせ

スマホサイトを見てみよう

ちなみに、今回のサイト構築で利用したWordPressのテーマ(フォーマット)は、レスポンシブにも対応しており、実は、裏側ではすでにスマホサイトができあがっている。
以下にスマホページのキャプチャをいくつか紹介する。

スマホサイト・トップページ

スマホサイト・会社案内

スマホサイトのグローバルナビ

WordPressがあれば、初心者でも十分に企業サイトを構築できる

ここまでの作業でようやく企業WEBサイトを完成させることができた。ミニマムな構成であれば初心者でも企業WEBサイトが作れることが理解していただけたと思う。

もちろん、この仕上がりが最善だとは筆者は考えてはいない。しかし、企業サイトにとってほんとうに大切なことは、訪問者に対して有益な情報を提供し、それによって実現する「集客」であるはずだ。

たったこれだけのサイトであっても、訪問者が「助かった」と感じてくれるほどの有益な情報が掲載されているサイトであれば、検索エンジンも高い順位を差し出してくれる。

これを実現するためには、WordPressで構築したWEBサイトの強みを活かし、更新を怠らず、あなたの顧客候補が何を求めているかを模索し続けよう。検索エンジンのクローラーがあなたの新しいWEBサイトを巡回してくれる日は近い。

おさえておきたい、コーポレートサイトの役割と機能

おさえておきたい、コーポレートサイトの役割と機能

コーポレートサイトは「企業の顔」の役割を果たすもの、などとされたのは昔の話。そんなゆるいことを言っているようでは、あなたはすでに時代に乗り遅れてしまっているかもしれない。筆者は、コーポレートサイトは何らかの目的や目標を持ち、それらを達成しなければ運営する意味はないと考えている。
コーポレートサイト運営も企業にとっては事業の一環なのであり、明確なターゲットを持ち、対応してしかるべきだということだ。

WEB制作会社として20年近くコーポレートサイトの構築、運営に携わってきた実績をもとに、これから数回にわたって企業サイト構築、運営のノウハウをご提示していきたいと考えている。

コーポレートサイトに必要な機能と役割

コーポレートサイトに必要な機能と役割

コーポレートサイトには、大きく分けて「会社紹介」「営業支援」という2つの役割がある。

優秀な人材を確保するための採用情報も、上場企業に必須のIR情報も大きな括りでいえば、自社を「紹介」するものだ。これに対して、製品・サービス情報を軸に「売り込み」をかける、またはそのサポートを行うのが「営業支援」。

どちらも必要な機能に見えるが、大企業の子会社で独自の営業をせずとも、仕事は親会社から降りてくる場合には「営業支援」機能は不要になる。

この記事では「会社紹介」の役割に絞り、必要な機能と考え方をご紹介していきたい。

ステークホルダーを意識する

ステークホルダーを意識する

ステークホルダーとは、利害関係者という意味だ。企業が事業を営むうえで利害が関係する顧客、従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会(住民)、行政機関などを指す。

コーポレートサイトは、これらのステークホルダーに対して情報を提供するためのツールであり、とくに「会社紹介」においては対象者に対する配慮をとくに行うべきで、かんたんに言えば、誰が見てくれるのか?を考慮した作りにしておこうということだ。

どんなメディアでも同じだが、ターゲットのニーズを汲み、閲覧しやすさを極めれば、「使いづらい」「見づらい」「分かりにくい」といった反応はなくなるはず。コーポレートサイトでも、セクションごとに閲覧する可能性のあるターゲットを想定し、彼らの望むかたちでの情報提供に努めよう。

会社情報の機能と役割

会社情報の機能と役割

コーポレートサイトのなかでは、地味な印象のある会社情報。意外かもしれないが、着実なアクセスを得られるとともに、大きな役割を果たすセクションでもある。

新規開拓の必要がほぼない事業形態の企業で、製品・サービスセクションが事業概要のようになっているコーポレートサイトでも、大きなアクセスを得ているのは会社情報だ。

会社概要はもちろん、経営理念やトップメッセージといったフィロソフィー系のコンテンツは、あらゆるステークホルダーにとって必要不可欠な情報であるからだ。

きちんと撮影されたポートレートと、会社の将来像まで明確に語るトップメッセージは、どんなにすばらしい業績を示すグラフよりも説得力がある。

企業にとって、会社情報はそれほど大きな役割を果たすものなのだ。

コーポレートサイト、会社情報の理想的な見せ方とは

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

採用情報の機能と役割

採用情報の機能と役割

事業を伸ばしたいと考えている企業は、すべからく優秀な人材を確保したいと考えているはず。人材を「人財」とする会社もあるぐらい、企業の業績と優秀な人材の確保は密接に関係している。

企業の思惑に対して、求職者は「自分に合った」「自分が成長できる」職場を探している。ただ、この「自分」はクセ者で、「自分勝手」もあれば、「自己中心」もある。誰もが理想の職場を追い求めるが、企業側としては極端な自己主張をする求職者を排除したいのだ。

多くの企業は、リクルート専用のポータルサイトに求人情報を掲示する。会社の将来性や先輩の声、募集要項、採用担当者のメッセージ、採用までの流れといった「パターン」コンテンツだ。データとしてはこれで充分だし、エントリーをこの情報で決める者がほとんどだ。

だからといって、コーポレートサイトに採用情報がなくてもいいわけではない。

求職者たちは、リクルート専用のポータルサイトで求人情報をチェックしたあと、必ずといっていいほどコーポレートサイトを訪れる。いわば存在確認を行うためだ。このとき、コーポレートサイトがショボかったり、採用情報がなかったりすると、エントリーしていいものかどうか悩んでしまうのだ。

決してきらびやかにする必要はないが、コーポレートサイト側の採用情報も、求職者が納得できる程度の情報は掲示するようにしておき、優秀な人材の受け入れ準備をしておこう。

コーポレートサイトの採用情報:エントリーさせる考え方

IR情報の機能と役割

IR情報の機能と役割

IR情報(財務情報)は投資家に向け、自社がいかに魅力的で将来にわたって投資をするに値する企業かを説くためのコンテンツだ。ただ、ウソをつくことは許されないし、ミスをすることも許されない。内部情報をどこまで見せるかは企業の判断に委ねられるし、投資家は開示された情報の範囲内で投資の内容を決断することになる。

高い信頼性が求められると同時に、高いセキュリティが必要なセクションだ。

数年前、超巨大企業が決算情報をCMSに公開予約した。PDFファイルによる情報開示だったが、その出来の悪いCMSはずっと先に公開されるべきPDFファイルを公開領域に保存。なおかつ、これまで開示されてきたファイル名から新たに公開されるファイル名を誰もが予測できるものだった。

当然、めざとくそれに気付いた投資家が公開前にPDFファイルをダウンロードし、投資の参考にしてしまった。この事態を重く見た東京証券取引所は、上場企業各社に事前に情報が漏れない工夫を行うよう通達したのだ。

公平な市場で取引されるべき株は、情報の透明性が求められる。決して一部の人だけが知りうる情報で売買されてはいけないのだ。
開示情報が事前に漏洩しないシステム構築が上場企業のコーポレートサイトに求められる大きな役割のひとつである。

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

CMSの導入範囲

CMSの導入範囲

最後にコーポレートサイトでも必須の機能となっているCMSについて、お伝えしよう。

結論から言うと、専任担当者をおかざるを得ないほどWEBサイトの役割が大きな事業でない限り、どのコンテンツも社内で更新できるような、過度な実装を行うべきではない。

必要最小限の機能さえあれば充分だ。担当者は、WEBのシステムで遊んでいる暇があるのなら、他にやるべきことがあるだろう。

さらにいえば、すべての更新を社内で行い、WEB制作会社、コンサルティング会社ともコミュニケーションがなくなることは避けなければいけない。日進月歩の業界で、外部からの情報が得られない事態は避けるべきなのだ。コスト削減を行うことは理解するが、そのような考え方では結局コスト以上のものを失うことになってしまうだろう。

スピード、多くの情報のなかから自社に合った戦術を選ぶ必要があるいま、人の頭を借りることは、何よりも大切な戦略でもあるのだ。