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コーポレートサイトで機能する、退職者ポータルの役割

コーポレートサイトで機能する、退職者ポータルの役割

永年まじめに勤めてもらった退職者に、まだまだ活躍してもらえる方法がある。
上場企業であれば、元社員持ち株会の会員である退職者が一定の手続きを経て、個人株主になっていることも多い。毎月の給料から少しずつ積み立てていたわけだから、持ち株数は少なく、一人で経営に影響を及ぼすようなことはない。しかしそれがまとまれば、大きな影響力を持つようになる。株式のことだけでなく、会社にとって外部の人たちからの意見を上手く吸い上げるしくみ(外部とはいえ、退職者から意見を吸い上げるのは一般の人たちから意見を求めるより容易)を持つことも「社会の公器」としての企業には必要なことであるはずだ。

直接公開はしないまでもコーポレートサイトの1機能として、退職者とのコミュニケーションを活発にする手段に「退職者ポータル」の開設・運営がある。今回は、退職者ポータルの果たすべき役割と機能についてご紹介していこう。

退職者ポータルの機能1:訃報連絡

訃報連絡

いきなり縁起でもない話だが、退職者ポータルで発信する情報として、訃報連絡は非常に大切だ。
退職後、密にコミュニケーションをとっている仲であれば、何かあればすぐにご家族や知人から情報が入るだろうが、在職中に関係のあった人すべてといつまでも連絡を取り合っていることは少ない。連絡が来ず、お別れができなかったなどということがあれば、世話になった人に申し訳が立たないと感じてしまうだろう。

遠く離れていて退職後疎遠になってしまったとしても、退職者ポータルから○○年退職の○○さんが・・・と連絡がもらえれば、何らかの行動を起こせる。通夜のあと、故人の功績を仲間たちと語り合う機会ができるかもしれない。そういった場ができれば、退職者ポータルとの関係性もいっそう高まるということにもつながる。

ここで課題となるのは連絡方法だ。
携帯であれ、PCであれ、メールを受け取れる環境にあるのなら、完璧だ。情報配信は、ほぼ無料で行える。
その手段がない退職者にはファックスで伝えたい。自動音声による電話もあるが、夜中は連絡ができないなど面倒なことがつきまとう。筆者のおすすめは、メール、ファックスによる自動配信だ。メール、ファックスともにPDFファイルを登録すれば、名簿に基づいて自動で配信してくれるサービスもあるので、ぜひ活用したい。

退職者ポータルの機能2:人事異動ニュース

人事異動ニュース

在職者の人事異動を退職者にも知らせる機能だ。告知の方法は、HTMLページ、PDFファイルなど、どんなものでもかまわない。
人事は組織に属するものにとって、週刊誌のゴシップ記事みたいなもの。退職しても、その関心度が簡単に薄れることはない。

  • ○○事業部の製造部長に○○がなった・・・「おぉ、私が見込んで育てただけのことはある」
  • ○○センターの部長付けとして○○が異動・・・「明らかに左遷だ。あいつ、とうとう化けの皮がはがれたか」

といった具合に、勝手な想像をめぐらせながら食い入るようにデータをのぞき込む。
いつの時代も、社内報の人事異動ページは在職者にとってキラーコンテンツであり、それは退職者にとっても同じこと。この情報は、退職者と会社との関わりを唯一感じさせる貴重な情報源でもあるのだ。

退職者ポータルの機能3:社内報

社内報

人事異動と同じく、退職者の関心は卒業した会社で何が起こっているかだ。
社内報で語られる内容など表面的なことばかりだが、それでも会社から離れ、社会との接点が希薄になりがちな退職者にとっては、ほんの少しの情報でも非常に楽しめる。
ほんの少しの情報でも喜々としてくれる退職者は、ある意味まじめな読者だ。もしかすると、端から端まで一言一句読み飛ばすことなく精読してくれているかもしれない。社内報の編集者は、感謝の思いとともに、在職者と同等レベルでその存在を意識しておきたい。

在職者にとっても大切なことではあるが、経営陣からのメッセージは退職者にとっても貴重なものだ。
私たちは近い将来、会社をこうしようと考えている、最近会社を取り巻く状況はこのように厳しいが、そんなことに負けずリードしていくぞ、などなど。退職者はきっと熱い思いとともに、熱烈なエールを送ってくれるはずだ。

退職者ポータルの機能4:会員住所変更

会員住所変更

退職後数年はそのままの住所で居続ける人が多いだろうが、そのうち家族の事情や健康上の理由から転居する退職者は多い。定期的に開催するOB会の連絡など、退職者の居所を把握しておくことは非常に重要だ。
個人情報を多く扱うことにはなるが、セキュリティには十分留意すれば、退職者たちは自主的に名簿を更新してくれるのだから、担当部署の事務量低減にも貢献してくれる。

退職者には、お客様レベルで対応しよう

退職者には、お客様レベルで対応しよう

退職者は、あなたの会社にとって大切な人であるはずだ。真摯に仕事に向き合い、会社の礎(いしづえ)を作り、大きく成長させてきた。直接影響のない社外のひと、うるさいだけ、などと思わず、彼らをリスペクトし、退職者ポータルを立ち上げ、十分な手間をかけてもてなそうではないか。

冒頭で挙げたように、彼らが果たしてくれるかもしれない役割は多いのだ。打算的に考えても、とまでは言わないが、退職者が自分の意思で会社に貢献してくれるかどうかは、退職者ポータルといったツールをはじめとする会社の考え方にかかっている。無償でうごいてくれるかもしれない退職者たちが会社の意気を感じてくれる「退職者ポータル」を立ち上げ、彼らと一緒に会社を良くする取り組みをまずひとつ、はじめようではないか。

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

和菓子の「とらや」が、赤坂本店建て替えのための休業に関して、ウェブサイトで社長挨拶を掲載し、その言葉に感動したファンが本店前に駆けつけたというニュースがあった。何気なく観ていた夜の報道ニュースで、その話題が取り上げられたこと自体に筆者は驚いた。

社長挨拶のコンテンツは、コーポレートサイトのなかでトップページの次に大切なコンテンツといっても言い過ぎではない。なぜなら、その企業の考え方や信頼性、勢いなどをダイレクトに伝えられるページであり、すべてのステークホルダーに対して有効なページだからだ。しかし残念ながら、その可能性を活かせていないコーポレートサイトも多い。

この記事では、社長挨拶コンテンツの果たすべき役割と、その効果的な作成方法についてご紹介したい。

社長挨拶がなぜ重要なのか?

社長挨拶がなぜ重要なのか?

人が何らかの行動を起こすとき、きっかけになるものとは?大抵の場合、感情が揺さぶられ、共感したり納得したりして、初めて人は動く。それは、対:顧客、投資家、就活中の学生、そして社員も同じことである。

また、企業を引っ張っていく立場の社長と、それ以外の人(ステークホルダー)では、置かれている立場がまったく異なるため、トップが何を考えているのか、どこを目指しているのかは伝わりにくい。常にコミュニケーションを図りながら、伝えていかなければならないものだ。
そういった意味でも、社長挨拶コンテンツは、思いをダイレクトに伝えることができる貴重な場なのだ。

しかしながら、それを上手く活用できているコーポレートサイトは少ない。失礼ながら、社会情勢の説明から入って当たり障りのない挨拶文で締めくくられている内容がほとんど。もしかして、社長メッセージの本文と企業名を分解してシャッフルしても、違和感なくおさまるのではないかと思ってしまう。
また、アクセス解析をしてみると、コーポレートサイトの社長挨拶は想像以上に読まれていることが分かる。それだけ、企業トップの考え方は注目されているのだ。

それでは、コーポレートサイトの社長挨拶コンテンツをどのように書くべきか、以下に6つのポイントをご紹介しよう。

メッセージは、言いたいことだけに絞る

メッセージは、言いたいことだけに絞る

コーポレートサイトの社長挨拶がよく読まれているとはいえ、ほとんどの訪問者はじっくりとは読んでくれない。精々ざっと流し読みする程度である。だから、言いたいことから先に伝えたほうが読まれる確率は断然高くなる。たとえば、スティーブ・ジョブスのように、冒頭から「いま伝えるべきことは3つあります」と惹きつけるなど。

大切なことは、企業トップがいま何を考えているかが分かる文章であること。メッセージというものは、言葉を絞れば絞るほど、シンプルでパワフルになるものだ。ストレートに表現された文章ほど、読む人に最大限のインパクトを与えることができる。

社長のパッションを伝える

社長のパッションを伝える

たとえば、短期的な利益目的の投資家ではなく、長期的に企業を応援したいと考える投資家の場合、どんな企業を探しているだろうか。きっと自分が共感できる企業、何らかの共通点を見いだせる企業だろう。取引先候補をさがす企業なら、本当に信頼できそうな企業なのか、同じような思想や文化をもっているかを知りたいかもしれない。いずれにせよ、企業の理念や、夢、文化を伝えることが求められている。

脳科学者の茂木健一郎は、共感や理解を得るためにはまず感情に訴えかけることが重要だと言っている。人間は、感情を揺さぶられると、その後の情報が頭に刻印されやすくなるらしい。

独自のキーワードをつくる

独自のキーワードをつくる

たとえば、ソフトバンク社長の孫正義氏の「情報革命」。パナソニックグループ創業者の松下幸之助氏の「大忍」(大きく耐え忍んで、志を遂げる)など。その他にも、「京セラ」創業者の稲盛和夫氏など、多くの社長が象徴的な言葉をつくり、それを繰り返して使っている。

社長が発信する言葉にはもちろん重みがあるが、それだけに扱い方には注意が必要だと筆者は思う。インパクトのある熱意のこもった言葉はさらにパワーを増すが、逆に手垢のついた言葉では逆効果も大きい。

社長挨拶からは少し話がそれるが、当社のあるクライアントでは、社長が直筆でメッセージを書いて、日常的に目につく場所にたくさん張られている。内容はどれも外部の私たちが拝見しても心に響く言葉である。すべてのスタッフは、その言葉の贈り物を毎朝、仕事をしながら、休憩のときにも目にすることになる。最も伝えたい大切なことは、記憶に残る言葉にして何度でも伝える。その大切さを学ばせていただいた。

ソフトバンクの情報革命

松下幸之助さんの「大忍」

使命:何のために、誰のためにが分かるように

使命:何のために、誰のためにが分かるように

最初にご紹介した、とらや社長挨拶。何がそこまで人々の心を捉えたのだろうか。筆者が感じた魅力は、以下のとおりだ。

  • お客さまに語りかけるように、等身大の言葉で素直に伝えられている。その表現や内容は、社長挨拶という特別な機会に限らず、いつも店頭で接客している時の社員の気持ちを代弁したのだろうと想像させられる。
  • 本店の建物が歩んできた51年間を、お客さまと過ごした時間として捉え、感謝の気持ちを伝えている。それは、顧客にとって最もイメージしやすい表現であり、とらや本店が積み重ねてきた時間の流れを共有したような気持ちにさせられる。
  • とらやといえば、高級な和菓子店。日常的に購入するというよりは、ちょっと敷居が高いイメージがある。しかしながら、毎日小さな羊羹を買いに来る幼稚園児や、100歳のおばあちゃんが車いすで来店されたというエピソードは、「そんなふうに買いに行ってもいいんだ」と読む人に軽い衝撃を与えたのではないだろうか。

本店改築という、世の中の流れのなかではごくありふれた出来事。それがこれほどのニュースになったことで、とらやは確実に新たなファンを増やしたことだろう。
人々の心に届いたのは、お客さまに対するとらやの思い、謙虚な気持ち。それが根幹となって、本店の建物同様に長い時間のなかで大切にされてきたことへの感動だと筆者は思う。

社長が交代すると、戦略も変わるのは当たり前。しかし、社長が代わろうと、基本的には変わらないものが企業理念である。
企業は大小にかかわらず、社会に何らかの貢献をするために存在している。それが、何のためなのか、誰にむけてどんなふうに実現していくのかを明確に伝えることも重要だ。

思いや人柄を映し出す写真にもこだわりを

思いや人柄を映し出す写真にもこだわりを

もうひとつ、社長挨拶で忘れてはいけないのが、社長の写真である。企業のトップ、企業の顔である社長の写真は、非常に大切だ。視線、表情、スーツの雰囲気、姿勢、ポーズ、背景。すべての要素が、社長(=企業)のイメージにつながる。

そのなかでも、特に気をつけたいのは表情だ。撮られ慣れているとはいえ、ほとんどの方がレンズを向けられると緊張して表情がこわばる。そんな時は、カメラマンの後ろから、社長にどんどん話しかけていろいろな表情を引きだそう。キリッとした表情がほしいなら仕事関連で夢のある話を、やさしい表情ならお孫さんやペットの話が効果的だ。

社長の写真だけで会社のイメージをアップさせる、3つのポイント

社長挨拶コンテンツも更新するつもりで取り組む

社長挨拶コンテンツも更新するつもりで取り組む

就任以来、何年もメッセージが変わらないというのは寂しすぎる。社会全体のスピードが増しているなかで、企業のおかれている状況も刻々と変化しているはず。そんな流れのなかで、企業として変わるべき部分と変えない部分について語ることも必要だろう。すべてのステイクホルダーとの接点となるトップメッセージを、いかに有効に活用するか。そのためにも、定期的に見直しを検討することは大切だ。

社長のファンをつくるつもりで

社長のファンをつくるつもりで

いろいろ書いたが、社長挨拶コンテンツの理想形は、社長のファンをつくることができるページだろう。どんな大企業であれ、掲げている目標が本当に達成されるかどうかは誰にも分からない。しかし、この人は本当にやってくれそうだ。この人についていきたいと思ってもらえたら、企業にとってこれほど心強いことはない。

おさえておきたい、コーポレートサイトの役割と機能

おさえておきたい、コーポレートサイトの役割と機能

コーポレートサイトは「企業の顔」の役割を果たすもの、などとされたのは昔の話。そんなゆるいことを言っているようでは、あなたはすでに時代に乗り遅れてしまっているかもしれない。筆者は、コーポレートサイトは何らかの目的や目標を持ち、それらを達成しなければ運営する意味はないと考えている。
コーポレートサイト運営も企業にとっては事業の一環なのであり、明確なターゲットを持ち、対応してしかるべきだということだ。

WEB制作会社として20年近くコーポレートサイトの構築、運営に携わってきた実績をもとに、これから数回にわたって企業サイト構築、運営のノウハウをご提示していきたいと考えている。

コーポレートサイトに必要な機能と役割

コーポレートサイトに必要な機能と役割

コーポレートサイトには、大きく分けて「会社紹介」「営業支援」という2つの役割がある。

優秀な人材を確保するための採用情報も、上場企業に必須のIR情報も大きな括りでいえば、自社を「紹介」するものだ。これに対して、製品・サービス情報を軸に「売り込み」をかける、またはそのサポートを行うのが「営業支援」。

どちらも必要な機能に見えるが、大企業の子会社で独自の営業をせずとも、仕事は親会社から降りてくる場合には「営業支援」機能は不要になる。

この記事では「会社紹介」の役割に絞り、必要な機能と考え方をご紹介していきたい。

ステークホルダーを意識する

ステークホルダーを意識する

ステークホルダーとは、利害関係者という意味だ。企業が事業を営むうえで利害が関係する顧客、従業員、株主、債権者、仕入先、得意先、地域社会(住民)、行政機関などを指す。

コーポレートサイトは、これらのステークホルダーに対して情報を提供するためのツールであり、とくに「会社紹介」においては対象者に対する配慮をとくに行うべきで、かんたんに言えば、誰が見てくれるのか?を考慮した作りにしておこうということだ。

どんなメディアでも同じだが、ターゲットのニーズを汲み、閲覧しやすさを極めれば、「使いづらい」「見づらい」「分かりにくい」といった反応はなくなるはず。コーポレートサイトでも、セクションごとに閲覧する可能性のあるターゲットを想定し、彼らの望むかたちでの情報提供に努めよう。

会社情報の機能と役割

会社情報の機能と役割

コーポレートサイトのなかでは、地味な印象のある会社情報。意外かもしれないが、着実なアクセスを得られるとともに、大きな役割を果たすセクションでもある。

新規開拓の必要がほぼない事業形態の企業で、製品・サービスセクションが事業概要のようになっているコーポレートサイトでも、大きなアクセスを得ているのは会社情報だ。

会社概要はもちろん、経営理念やトップメッセージといったフィロソフィー系のコンテンツは、あらゆるステークホルダーにとって必要不可欠な情報であるからだ。

きちんと撮影されたポートレートと、会社の将来像まで明確に語るトップメッセージは、どんなにすばらしい業績を示すグラフよりも説得力がある。

企業にとって、会社情報はそれほど大きな役割を果たすものなのだ。

コーポレートサイト、会社情報の理想的な見せ方とは

コーポレートサイトの社長挨拶が、果たすべき役割とは

採用情報の機能と役割

採用情報の機能と役割

事業を伸ばしたいと考えている企業は、すべからく優秀な人材を確保したいと考えているはず。人材を「人財」とする会社もあるぐらい、企業の業績と優秀な人材の確保は密接に関係している。

企業の思惑に対して、求職者は「自分に合った」「自分が成長できる」職場を探している。ただ、この「自分」はクセ者で、「自分勝手」もあれば、「自己中心」もある。誰もが理想の職場を追い求めるが、企業側としては極端な自己主張をする求職者を排除したいのだ。

多くの企業は、リクルート専用のポータルサイトに求人情報を掲示する。会社の将来性や先輩の声、募集要項、採用担当者のメッセージ、採用までの流れといった「パターン」コンテンツだ。データとしてはこれで充分だし、エントリーをこの情報で決める者がほとんどだ。

だからといって、コーポレートサイトに採用情報がなくてもいいわけではない。

求職者たちは、リクルート専用のポータルサイトで求人情報をチェックしたあと、必ずといっていいほどコーポレートサイトを訪れる。いわば存在確認を行うためだ。このとき、コーポレートサイトがショボかったり、採用情報がなかったりすると、エントリーしていいものかどうか悩んでしまうのだ。

決してきらびやかにする必要はないが、コーポレートサイト側の採用情報も、求職者が納得できる程度の情報は掲示するようにしておき、優秀な人材の受け入れ準備をしておこう。

コーポレートサイトの採用情報:エントリーさせる考え方

IR情報の機能と役割

IR情報の機能と役割

IR情報(財務情報)は投資家に向け、自社がいかに魅力的で将来にわたって投資をするに値する企業かを説くためのコンテンツだ。ただ、ウソをつくことは許されないし、ミスをすることも許されない。内部情報をどこまで見せるかは企業の判断に委ねられるし、投資家は開示された情報の範囲内で投資の内容を決断することになる。

高い信頼性が求められると同時に、高いセキュリティが必要なセクションだ。

数年前、超巨大企業が決算情報をCMSに公開予約した。PDFファイルによる情報開示だったが、その出来の悪いCMSはずっと先に公開されるべきPDFファイルを公開領域に保存。なおかつ、これまで開示されてきたファイル名から新たに公開されるファイル名を誰もが予測できるものだった。

当然、めざとくそれに気付いた投資家が公開前にPDFファイルをダウンロードし、投資の参考にしてしまった。この事態を重く見た東京証券取引所は、上場企業各社に事前に情報が漏れない工夫を行うよう通達したのだ。

公平な市場で取引されるべき株は、情報の透明性が求められる。決して一部の人だけが知りうる情報で売買されてはいけないのだ。
開示情報が事前に漏洩しないシステム構築が上場企業のコーポレートサイトに求められる大きな役割のひとつである。

コーポレートサイトのIR情報をセキュアに公開する方法

CMSの導入範囲

CMSの導入範囲

最後にコーポレートサイトでも必須の機能となっているCMSについて、お伝えしよう。

結論から言うと、専任担当者をおかざるを得ないほどWEBサイトの役割が大きな事業でない限り、どのコンテンツも社内で更新できるような、過度な実装を行うべきではない。

必要最小限の機能さえあれば充分だ。担当者は、WEBのシステムで遊んでいる暇があるのなら、他にやるべきことがあるだろう。

さらにいえば、すべての更新を社内で行い、WEB制作会社、コンサルティング会社ともコミュニケーションがなくなることは避けなければいけない。日進月歩の業界で、外部からの情報が得られない事態は避けるべきなのだ。コスト削減を行うことは理解するが、そのような考え方では結局コスト以上のものを失うことになってしまうだろう。

スピード、多くの情報のなかから自社に合った戦術を選ぶ必要があるいま、人の頭を借りることは、何よりも大切な戦略でもあるのだ。