コラム(コーポレートサイト)

コーポレートサイト 2016年5月31日

コーポレートサイトで機能する、退職者ポータルの役割

コーポレートサイトで機能する、退職者ポータルの役割

永年まじめに勤めてもらった退職者に、まだまだ活躍してもらえる方法がある。
上場企業であれば、元社員持ち株会の会員である退職者が一定の手続きを経て、個人株主になっていることも多い。毎月の給料から少しずつ積み立てていたわけだから、持ち株数は少なく、一人で経営に影響を及ぼすようなことはない。しかしそれがまとまれば、大きな影響力を持つようになる。株式のことだけでなく、会社にとって外部の人たちからの意見を上手く吸い上げるしくみ(外部とはいえ、退職者から意見を吸い上げるのは一般の人たちから意見を求めるより容易)を持つことも「社会の公器」としての企業には必要なことであるはずだ。

直接公開はしないまでもコーポレートサイトの1機能として、退職者とのコミュニケーションを活発にする手段に「退職者ポータル」の開設・運営がある。今回は、退職者ポータルの果たすべき役割と機能についてご紹介していこう。

退職者ポータルの機能1:訃報連絡

訃報連絡

いきなり縁起でもない話だが、退職者ポータルで発信する情報として、訃報連絡は非常に大切だ。
退職後、密にコミュニケーションをとっている仲であれば、何かあればすぐにご家族や知人から情報が入るだろうが、在職中に関係のあった人すべてといつまでも連絡を取り合っていることは少ない。連絡が来ず、お別れができなかったなどということがあれば、世話になった人に申し訳が立たないと感じてしまうだろう。

遠く離れていて退職後疎遠になってしまったとしても、退職者ポータルから○○年退職の○○さんが・・・と連絡がもらえれば、何らかの行動を起こせる。通夜のあと、故人の功績を仲間たちと語り合う機会ができるかもしれない。そういった場ができれば、退職者ポータルとの関係性もいっそう高まるということにもつながる。

ここで課題となるのは連絡方法だ。
携帯であれ、PCであれ、メールを受け取れる環境にあるのなら、完璧だ。情報配信は、ほぼ無料で行える。
その手段がない退職者にはファックスで伝えたい。自動音声による電話もあるが、夜中は連絡ができないなど面倒なことがつきまとう。筆者のおすすめは、メール、ファックスによる自動配信だ。メール、ファックスともにPDFファイルを登録すれば、名簿に基づいて自動で配信してくれるサービスもあるので、ぜひ活用したい。

退職者ポータルの機能2:人事異動ニュース

人事異動ニュース

在職者の人事異動を退職者にも知らせる機能だ。告知の方法は、HTMLページ、PDFファイルなど、どんなものでもかまわない。
人事は組織に属するものにとって、週刊誌のゴシップ記事みたいなもの。退職しても、その関心度が簡単に薄れることはない。

  • ○○事業部の製造部長に○○がなった・・・「おぉ、私が見込んで育てただけのことはある」
  • ○○センターの部長付けとして○○が異動・・・「明らかに左遷だ。あいつ、とうとう化けの皮がはがれたか」

といった具合に、勝手な想像をめぐらせながら食い入るようにデータをのぞき込む。
いつの時代も、社内報の人事異動ページは在職者にとってキラーコンテンツであり、それは退職者にとっても同じこと。この情報は、退職者と会社との関わりを唯一感じさせる貴重な情報源でもあるのだ。

退職者ポータルの機能3:社内報

社内報

人事異動と同じく、退職者の関心は卒業した会社で何が起こっているかだ。
社内報で語られる内容など表面的なことばかりだが、それでも会社から離れ、社会との接点が希薄になりがちな退職者にとっては、ほんの少しの情報でも非常に楽しめる。
ほんの少しの情報でも喜々としてくれる退職者は、ある意味まじめな読者だ。もしかすると、端から端まで一言一句読み飛ばすことなく精読してくれているかもしれない。社内報の編集者は、感謝の思いとともに、在職者と同等レベルでその存在を意識しておきたい。

在職者にとっても大切なことではあるが、経営陣からのメッセージは退職者にとっても貴重なものだ。
私たちは近い将来、会社をこうしようと考えている、最近会社を取り巻く状況はこのように厳しいが、そんなことに負けずリードしていくぞ、などなど。退職者はきっと熱い思いとともに、熱烈なエールを送ってくれるはずだ。

退職者ポータルの機能4:会員住所変更

会員住所変更

退職後数年はそのままの住所で居続ける人が多いだろうが、そのうち家族の事情や健康上の理由から転居する退職者は多い。定期的に開催するOB会の連絡など、退職者の居所を把握しておくことは非常に重要だ。
個人情報を多く扱うことにはなるが、セキュリティには十分留意すれば、退職者たちは自主的に名簿を更新してくれるのだから、担当部署の事務量低減にも貢献してくれる。

退職者には、お客様レベルで対応しよう

退職者には、お客様レベルで対応しよう

退職者は、あなたの会社にとって大切な人であるはずだ。真摯に仕事に向き合い、会社の礎(いしづえ)を作り、大きく成長させてきた。直接影響のない社外のひと、うるさいだけ、などと思わず、彼らをリスペクトし、退職者ポータルを立ち上げ、十分な手間をかけてもてなそうではないか。

冒頭で挙げたように、彼らが果たしてくれるかもしれない役割は多いのだ。打算的に考えても、とまでは言わないが、退職者が自分の意思で会社に貢献してくれるかどうかは、退職者ポータルといったツールをはじめとする会社の考え方にかかっている。無償でうごいてくれるかもしれない退職者たちが会社の意気を感じてくれる「退職者ポータル」を立ち上げ、彼らと一緒に会社を良くする取り組みをまずひとつ、はじめようではないか。

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執筆:平田 弘幸

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