コラム(WEB制作のポイント)

WEB制作のポイント 2024年3月27日

WEB制作会社のかしこい選び方:見極めるための10のポイントとは

WEBのラフ作成を行うデザイナー

「WEB制作会社を選ぶのって難しいですよね」初めてお会いするお客様からよく聞くコメントです。
たしかに、WEB制作会社は世にあふれており、規模もさまざま。困ったことに、どこの実績を見てもそれなりにきれいなサイトが並んでいる。
「この値段の差って何なの?」「選択基準はどこにおけばいいの?」そう思われるのは当然のことでしょう。

WEB制作の品質には、見た目だけでは分かりにくい部分(たとえば、検索エンジン対策やシステムの使い勝手、セキュリティ面など)もあるので、業界に精通していない人には判断しにくい部分もあります。制作の進め方においても、クライアントの苦い経験談をきくと「それはいかんよなぁ」と襟を正したくなるようなケースも。

だから今回は、リニューアルなどでWEB制作会社を選ぶときに気をつけたいポイントをご紹介したいと思います。


 

WEB制作会社を見極める10のポイント


 

1.コンセプトを最後まで貫けること

リニューアルのコンセプトはどんな会社でも提案してくれますが、それを制作メンバーみんなが最後まで貫けるかは別のことです。
なぜなら、実際にリニューアル作業がスタートすると、発注側も制作側もとても忙しくなって、目の前の業務で頭がいっぱいになりがちだから。

発注側は、社内の意見集約や意思統一にかなりの労力をとられるため、ときには目標を忘れがちになります。たとえば、本部長から「もっと派手な色づかいにして」などと言われると、断りにくかったりする。
制作スタッフの方も、スケジュール内に納めるために必死なので、ついついお客様の言われるままに修正を加えたりする。
そんなことをくり返していくうちに、ふと気づくと「この表現、このデザイン、コンセプトからズレてない?」となりがちなのです。

そこで「ちょっと待った!」をかけるのは、発注側ではなく、WEB制作会社側の役割。とくに、プロジェクト全体を冷静に見渡せるディレクターの仕事です。

もっと言えば、コンセプトの設定はさらに大切。ゴールが明確化されていないと、みんなが道に迷ってしまいます。
リニューアルの背景にある、企業の課題や思いを解釈して、企業がめざすべき姿やWEBサイトで実現すべきことについて、しっかりとすり合わせすることが重要です。


 

2.制作者と直接にコミュニケーションがとれる環境である

下手な伝言ゲームほど、イライラすることはありません。ちょっとしたニュアンスの違いやメールの読み違いなどで、時間のロスが発生してしまいます。
延々とメールで説明するより、電話で担当者と話せば5分で完了する場合もある。制作会社との間に代理店が入っている場合でも、制作に関するやり取りは直接に話せる体制をつくってもらいましょう。


 

3.必要な修正にちゃんと対応してくれる

もしも、「デザイン修正は3回までです」といったルールを提示されたら、それは断るべきです。
その理由としては、

1. クライアント主導で制作が進む可能性が高い

本来なら、合意したコンセプトのもとデザインを行っているので、それほど大きなズレが発生することはないはず。わざわざルールを作るということは、修正回数を区切らないといけないほど煩雑な進め方であると予測できます。
コンセプト主導ではなく、クライアント主導に偏ってしまうと、チェックするタイミングや気持ちの変化によって修正が発生するのは当然なことです。

2.ワイヤーフレームでのすり合わせができていなかった。

1のような問題が起きないために、事前にワイヤーフレーム(ラフ+主旨説明)を作るのが賢明なやり方。原稿の詳細までは決められなくても「このような内容をこのような見せ方で掲載しますが、大丈夫ですか?」と確認し合うことで、大きなズレは発生しにくくなります。

いずれにせよ、企業が発信するWEBサイトは、コーポレートサイトであれ商品サイトであれ、企業の姿を映し出す鏡のようなもの。デザインに限らず、より良いものを目指そうという心意気が感じられる会社であってほしいと思います。


 

4.進捗管理がきっちりできる

WEBサイト制作会社に必要不可欠な能力のひとつとして、進捗管理があります。
納期に間に合わせることはもちろんですが、多くの人たちの意思決定を経て予定どおりに進行できるかは、おもに制作会社の進捗管理能力にかかっています。

見極めるポイントとしては

  • スケジュール管理はだれが担当するか?その人は適任か?
  • 管理方法は?(ツール、定例ミーティング実施など)
  • 制作チームの体制(役割分担がしっかりできそうか、途中で担当者は変わらないかなど)
  • 過去の事例など

大きなプロジェクトになればなるほど関わる人たちも増えてくるので、スケジュールはどうしても遅れがちになります。そんなときでも、うまくコミュニケーションをとりながら、ときには譲歩したり、ときにはお尻を叩いたり、進捗管理する人のセンスが左右するとも言えるでしょう。


 

5.原稿や素材はどこが準備するかを明確にしておく

コンテンツを作るにあたって、一番負荷がかかるのが原稿制作です。
製品特長や技術紹介、自社の強みなど、社内の人に文章で提出してもらうとかなりの時間が必要になるとともに、文章のクオリティも人によって差が出てきます。

また、WEBサイトはほとんどの場合、キーワード検索によって見つけてもらう性質のものですから、文字情報はとても大切。デザインがいくら美しくても、来てほしい人を呼んできてはくれません。ターゲット層が求めている情報を提供しつつ、SEOにも配慮した原稿を準備することが大切です。

ビジュアルについても、写真素材などはどちらが提供するか、各ページのイメージを決めるメインビジュアルはどちらが提示するかなども明確にしておくべきです。


 

6.ディレクターは、ロジカルな頭と熱いハートをもった人に頼みたい

先ほどの進捗管理やコンセプトの反映、情報整理においては、ロジカルに冷静に考えられる頭が必要です。けれども、それだけではおもしろくない。サイトの訪問者を感動させたり、納得させるためには、エモーショナルな要素も必要です。そんな人間くさい部分にもこだわってこそ、ほんとうに血の通ったWEBサイトになるはず。
ディレクターにすべてを求めるのは難しいかもしれませんが、少なくとも制作チーム全体としては、そんな両面性を兼ね備えているべきだと考えます。


 

7.頭のやわらかいデザイナーと、度量の大きいSEがいる会社

制作段階において、ディレクターに次いで接点が多いのは、デザイナーとSE(システムエンジニア)。どちらも能力の高さは必須条件ですが、その他の要素としてあげてみました。

WEBデザインにおいてとくに求められるのが、情報をデザインする力です。
WEBサイトは紙媒体のようにペラペラめくって全体像を知ることが難しいメディア。「これが知りたい」と思ってもらえないと、クリックはしてもらえません。限られた訪問時間とページビューのなかで、いかに訪問者ニーズに応えつつ、企業が伝えたいことを伝えられるか。そのために必要な文字や画像の情報をデザインします。
さらに、WEBの世界は新たな技術や見せ方がどんどん出てくる。昨年はこれが新しいと思っていたことが、今年はもう古いということもある。
そのようななかで、WEBデザイナーに求められるのは、柔軟な発想でものごとに取り組めること。自分の思考パターンや好き嫌いに縛られず、訪問者の視点にたって考えられることです。

SE(システムエンジニア)は、縁の下の力持ち的存在です。お問い合わせフォームはちゃんと動いて当たり前ですが、その背景にはSEが一文字も間違えずにプログラミングすることで成り立っています。そのためには事前にヒアリングして、仕様をきっちりと固め、セキュリティも担保してと、緻密な作業が必要です。
それだけに、途中から仕様を変えたいと言われると、SEはいちばん困るのです。そうならないように話を詰めることも必要ですが、それでも、ときには「うっかり忘れていた」「社内の情報システムからダメ出しされた」ということも出てくる。そんなときに、話を聞いて、適切な対処をしてくれるSEは相当優秀だといえます。


 

8.制作実績はかならずチェックしよう

WEB制作会社のクオリティを判断するには、事例において以下のポイントを質問してみましょう。

  • それぞれにどんな課題があってどのように解決できたか。ビジネスにどう貢献したか。
  • クライアントの強みがちゃんと表現されているか
  • 制作期間はどのくらいか
  • その後のメンテナンスについて、どの部分を請け負っているか
  • クライアントと長い期間つきあっているか
  • 担当ディレクターが関わった実績はどれか


 

9.社風を知るため、電話をかけてみよう

もし、営業担当者しか知らない場合は、さり気なく電話をかけてみるのもひとつ。できれば少し雑談などしてみると、電話をとってくれたスタッフの対応力や人柄などが感じられるものです。

仕事のパフォーマンスには、個人の能力✕事業内容✕チーム力✕職場環境が大きく関わるものですが、WEB制作会社の場合、とくにチーム力と職場環境は大きな要素。なぜなら、企画構成から、デザイン、コーディング、プログラミングなどそれぞれに専門性の高い業務のため担当者が分かれること。そして決められた時間内に連係してプロジェクトを進行していく必要があるため、チームワークや人柄、スタッフの定着性などがクオリティに関わってきます。

そのあたりを見極めるためにも、もし可能であれば、実際にオフィスを訪問して社内の雰囲気を見てみることをおすすめします。


 

10.セキュリティ対策にも明るいか?

WEBサイトを運営するということは、つねに情報改ざんや個人情報流出などの危険にさらされていることを意味します。ニュースでよく聞く個人情報流出は、サーバーセキュリティの甘さと個人情報の取り扱い方の問題。社内の情報システム関係者とともに、セキュリティ対策についてはしっかりと詰めておく必要があります。
また、第三者機関による脆弱性チェックについて、過去に対応した経験があるかも確認しておくべきです。


 

避けた方がいいWEB制作会社のタイプ

オマケ情報として、あまり悪口にならない程度にご紹介すると。


 

「どんな会社でもカッコよく見せますよ」的なオーラはあやしい

ダイレクトにそうは言わないけれど、そんな雰囲気が漂っていたらあやしいかもしれません。なぜなら、「カッコいい」の主語はクライアントでなく、自分たちにあると思っているから。
WEBサイトの見た目はとても大切だけれど、社名を差し替えるだけで成り立つようなカッコよさは意味がないはず。その企業の「らしさ」をしっかりと理解して、それを最大限に魅力的に見せてあげることがWEB制作会社の役割だと思います。


 

メンテナンス実績が少ない会社

サイト公開後、運営にも関わることで見えてくることは山ほどあります。まず、リニューアルの目的がどのくらい達成されたのか、上手くいかなかった場合はどのように対処するか。
また、クライアントと長くつきあうことで、さらなる要望に応えないといけないので、スタッフはもっと勉強しないといけない。そんな積み重ねが多くあるという意味で、WEBサイトのメンテナンス業務は制作会社を育ててくれると言えます。


 

スタッフが疲弊している会社

WEB制作会社はどこも労働時間が長いようですが、長く働くから良いというものではありません。電話をかけたときに元気のない人が多いとか、制作スタッフが疲れている様子があるなら、避けたほうがよいかもしれません。
どんなに優秀な人間でも、心と身体が健康でないと良いアイデアも出てこないもの。前向きにいっしょに考えてくれるパートナーを選ぶほうがよいでしょう。


 

たいへんな職務を軽減し、楽しめる運営にするために

WEB制作、とくにコーポレートサイトのリニューアルなど大きなプロジェクトになるほど、企業のご担当者もふくめて大きなタスクがかかります。社内外の多くの人とも関わるため、疲れるなぁと思うことも多々あるでしょう。
けれども、自社について振り返る機会というのはそんなにあるものではありません。創業者の思いや先輩方の歩み、それを受け継いだ社風、商品やサービスの良い部分を再発見したり、そんな貴重な体験を楽しんでみると得られるものも多くあるように思います。

そのようなプロセスを、傍でいっしょに楽しんでくれる。いっしょに悩みながら形にしてくれる。パートナーとして選ぶWEB制作会社には、そんな素養を期待したいですね。

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執筆:植松 あおい

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