タグ別アーカイブ: 効果

SEOの基本:descriptionの最適化と文字数

自転車レース。ゴールになだれ込む選手たち

Googleでキーワード検索すると、ページタイトルと説明文(スニペットと呼ばれるページの要約文。descriptionが表示されることが多い)が表示されるので、そのなかから自分のニーズと合ったものを選んでクリックしているはずだ。

勘のいいあなたなら、もうお気付きだろう。

SEO施策を講じた結果、上位表示されるようになった際に、クリックされやすくすることもWEBマーケティングにおいて非常に大切なことだということを。SEOによって上位表示されることがあなたのゴールではない。
検索ユーザーが上位表示されたページを見て、クリックしたくなる要素を掲示しておかなければ、せっかくの苦労が報われないということなのだ。

この記事では、

  • クリックされやすくなるための「description」
  • 上位表示されたあとのクリックされやすい「description」の文章作法

について解説する。

「description」は、あなたのWEBサイトが上位表示された際に「title」タグと並んで力を入れるべき要素だ。HTMLコーディング要素としてはMETAタグといわれる基本中の基本なのに、残念ながら意外と軽視されていることが多いことも事実。
しかしほんの少しだけ時間をとって、descriptionタグを見直すだけで、SEO効果、CTR(クリック率)も確実に向上する。

あなたも今日から、この記事にならってクリック率を高める考え方とテクニックを習得してほしい。

META要素「description」の概要と役割。最適な文字数について

「description」は、HTMLファイルのヘッダ部分にMETA要素として記載される、WEBページの要約文、つまり端的な説明文のことだ。

Googleの検索結果にも表示されることが多くなるので、クリック率にも影響する。「表示されることが多くなる」、としたが、これは検索キーワードとマッチした場合のことで、マッチしなければ、代わりに本文の適切な部分が引用されることがあるからだ。

検索結果のキャプチャ

検索結果のキャプチャで赤い枠に囲まれた部分をスニペットといい、検索キーワードと一致した部分はボールド表示される。検索ユーザーは、まず自分が入力したキーワードを検索結果に求めるので、狙っているSEOキーワードはdescriptionの中(できれば前方)に必ず含めるべきだ。

さらに注意すべきは最適な文字数だ。検索結果をみても分かるように、表示されたdescriptionの最後のほうが切れてしまっている。ページの要約文という意味合いからも、きちんとその場で説明が完結できるようにしておきたい。

検索結果できちんと表示される文字数は、端末や検索エンジンによっても異なるが、おおよそ120文字前後。この記事のdescriptionは115文字。検索結果では最後まで表示されている。

端末によっても異なると述べたのは、スマホの検索結果では50文字程度、PCだと120文字前後ということからだ。レスポンシブWEBデザインで、スマホPC兼用のWEBサイトも多いことから考えても、前半50文字でターゲットとしているキーワードを含めた文章で要約し、補足説明を残り70文字で行うのがベストな考え方だ。


META要素であるdescriptionは直接的なSEOに効果はないが、検索結果に引用されやすいため、内容次第でクリック率が変わってしまうほど重要なもの。最適な文字数や、キーワードを盛り込み、検索ユーザーにクリックさせる魅力的な文章作法について。

(この記事のdescription)

ただ、この文字数制限に神経をとがらせる必要はない。

検索ユーザーは、とにかく検索結果のなかから自分の求めているものを躍起になって探しているので、descriptionの最後の1文字まで精読しているとは考えにくいからだ。

SEOには実質的な効果はないが・・・

川面に浮かぶ、カバと男性

結論からいうと、descriptionによるSEO効果は残念ながら認められない。あくまで、本文の一部程度と考えておけばいいだろう。

META三大要素「title」「description」「keywords」を迷信がごとくSEOに重要なファクターとして捉えている方もいるが、この3つのなかで直接的なSEOに限って言えば、効果に影響があるのは「title」タグだけだ。

かといって、descriptionを軽視していいかといえば、まったくそのようなことはない。
冒頭でも述べたように、descriptionの内容は上位表示されてからのクリック率に大きく影響を及ぼすからだ。

SEOに直接影響がないからと、descriptionを設定していないWEBサイトがあるが、筆者はこの考え方には反対だ。

WEBサイト運営の目的は上位表示させることではなく、訪問者を増やし設定したコンバージョンを上げることなのだから。ごく最初の目的「上位表示」が達成されたとしても、そこには何の意味もない。

しっかり考え抜いたdescriptionで検索ユーザーを誘い、あなたのWEBサイトに連れてくることからすべては始まるのだから、最後のツメを怠ることは許されない。

クリックさせるdescriptionの書き方

上位表示もまだまだなのに、そんな先のことまで考えても仕方ない、などと考えてはいけない。


勝負は、スタートする前に決まっている

これは、多くのスポーツ選手が口にする言葉。
スタートラインに立つまでに、どれだけ決戦のための準備をしたか。あらゆる場面を想定したシミュレーションを行い、すべてに対応できるように準備しておくことが勝利への王道だということだ。

では、クリックさせやすいdescriptionを書くための注意事項をみていこう。

1.キーワードを前方に盛り込み、本文を端的に説明する

PC画面、ブログをクリックする

SEOコンテンツを作成する際には、狙ったキーワードから想定できるコンテンツの内容を考えたはずだ。
であれば、検索ユーザーはその答えを求めているのであり、その思いに応えられるコンテンツがこのWEBページにはあるのだと伝えなければならない。

さらに、より良い効果を生むためには、SEOキーワードを前方に位置させておいた方がいい。なぜなら、冒頭に自分が入力したキーワードを早く見つけられれば、検索ユーザーは安心するからだ。

従って、descriptionを書くうえで、まず気を付けるべきは

SEOキーワードを前方に含め、SEOキーワードから想定した内容の紹介文とすること。

時折、SEOキーワードを並べただけのdescriptionを見かけることがあるが、ほぼ何の意味もなさない。

何度も伝えているように、descriptionは検索結果として表示された際に、検索ユーザーをあなたのWEBサイトに誘うための文章だ。検索ユーザーが自分の入力したキーワードが並んだdescriptionを見て、検索結果は間違っていないと確認はできるだろううが、決してクリックしたくはならないだろう。

2.より興味を引く表現に

嬉しそうにこちらを見る女性

この記事のdescriptionが「meta descriptionの概要と使い方。SEOには効果なし」となっていたら、あなたはクリックしただろうか。

確かに、ある部分についてはきちんと紹介できているし、端的過ぎるほど端的に表現している。ただ筆者が検索ユーザーに伝えたいことはほかにもあるし、検索ユーザーがぜひ目を通しておきたいと感じることは、違う部分にあるはずだ。

たとえばそれが商品紹介のためのWEBページであれば、下記の内容を盛り込みながら、SEOキーワードにもっとも近い内容を膨らませて表現しておく。たいていの場合は、商品を使うことによるメリットやその後のベネフィットを中心に伝えるのがベストだ。

  • その商品を使うと、どのようになれるか
  • 特長、仕様
  • 価格と入手方法
  • 既存ユーザーからの評価

descriptionを必要以上に引きの強い文章にすると、直帰率が上がる可能性はあるという考え方がある。しかし、その前に訪問してもらわなくては何も始まらない。

直帰率が上がるからといって何も策を講じないのは、単なる「事なかれ主義」に過ぎない。そんな考え方のWEBサイト運営が、成果を生み出すとは到底思えないので、あなたには積極的に魅力あるコピーライティングにチャレンジしてほしい。

Search Console(旧ウェブマスターツール) で問題ページを探し、クリック率を改善

パズルのピースを合わせる

descriptionは、検索結果から訪問者を連れてきてくれる役割を果たしていることを考えれば、ページ本文と同じくらい重要な要素だ。

あなたがいくつかのSEO施策を講じた結果、みごとに上位表示されたとしても、descriptionの力がなければWEBサイトに連れてきてはくれない。

また、Googleからの評価があなたの満足できない結果(たとえば競合2サイトに後塵を拝し、3位にしかなれなかった・・・)だとしても、descriptionが検索ユーザーにとって魅力的に見えるものなら、上位に表示されるライバルたちよりもクリック率が高くなる可能性さえある。

要するに、あなたはWEBサイトに顧客候補を連れてくれば勝ちなのだ。

SEO施策におけるdescriptionの重要性は理解できた。とはいえ、膨大な量のdescriptionを書き直すのは大変だ。
とにかく動くことが大切であり、何かが動かなければ何もわからないわけだから、とりあえず効率よく手を付ける手順を紹介しよう。

  1. Search Console で、上位表示されているのにクリック率が低いページを探す。
  2. 次に、このコラムで紹介した方法でdescriptionを改善する。

クリック率が改善されれば、あなたの勝ち。試行錯誤しながら努力を続ければ、きっと報われるはずだ。

オノマトペとは?文章がガラリと変わる、とっておきテク

オノマトペとは?文章がガラリと変わる、とっておきテク

オノマトペとは、「滝がごうごうと流れる」「雨がざあざあ降る」といった、状況をそのまま音で表現した「擬音語」と、「ギクリとする」「シーンとなる」など、ある状態をその音の持つイメージで表現した「擬態語」をひとまとめに指す言葉である。
オノマトペという言葉を聞いたことがない人も、「ぐんぐん」「ぴかぴか」「ふっくら」「きらり」など例を挙げられれば「ああ、あれのことか」とすぐ分かるだろう。それほどオノマトペは私たちの生活になじみ深く浸透しているのだ。

文章を書くときには知らず知らずのうちに使っていることが多いが、そのしくみと効果を知って使えば、より文章がイキイキとしたものになる。ぜひ意識的にオノマトペを使いこなしてみてほしい。

オノマトペの法則

オノマトペの法則

一見無秩序に日本語の世界に散らばっているように思えるオノマトペだが、実はある法則をもとにして体系立ててとらえることができる。

例として、柔らかさや軽さを表現する「ふわ」についてとりあげてみよう。
「ふわ」に「り」をつけると「ふわり」、また「—」を付け加えて「ふわーり」とすると、目の前で物体が動いているような臨場感が出てくる。

「ふわ」を繰り返すと「ふわふわ」→柔らかさが連続して繰り返される感じ。
「っ」をつけて「ふわっ」→瞬間的な軽さを感じ、その印象を深く残す。
「濁点」をつけて「ぶわ」にすると、「ふわ」にあった軽さがなくなり、ごわついてふくらんでいる感じに。「きら」→「ぎら」や「とろ」→「どろ」でも分かるように、濁点がつくと、強さや重さ、悪いイメージ等に結びつくことが分かる。
さらに、ひらがなで書くかカタカナで書くかも、イメージを微妙に左右する。

このように、ひとつの「オノマトペのもと」から、いくつものバリエーションが生み出される。オノマトペを使うとき、「キラリ」がいいのか「キラッ」がいいのか、はたまた「ギラリ」が合うのか「ギラギラ」が合うのか・・・適当に書くのではなく、表現したい状況にピタリとハマるもの、より状況を印象深くする表現に、ぜひこだわって選んでみよう。

オノマトペのある文章、ない文章

オノマトペのある文章、ない文章

オノマトペは状態を感覚的に表す言葉なので、これを使うことで「読む人の感覚に訴える文章」になる。正確性や客観性が求められるような論文やレポートには、あまり向かないと言えるだろう。
逆に、商品やサービスのセールスコピーには向いていると思われる。これを使ったらどんなメリットがあるかを消費者に感覚的に訴えることができれば、強力な武器になるからだ。
たとえば、クレームブリュレを紹介するこんな文章を例に、オノマトペの効果について検証してみよう。

A.オノマトペあり

とろりなめらかなカスタードクリームの上に、ザラメを散らしてこんがり焦がしたクレームブリュレ。表面をスプーンで叩くとコツコツといい音が。カラメルの層をパリリと割ると、ふわふわのクリームとザクザクのカラメルが舌の上でとろけます。

B.オノマトペなし

なめらかなカスタードクリームの上に、ザラメを散らしてきつね色に焦がしたクレームブリュレ。表面をスプーンで叩くと小気味よい硬音がします。カラメルの層にヒビを入れて割ると、軽い口溶けのクリームと硬い食感のカラメルが舌の上でとろけます。

Bでも間違いはないのだが、読みやすさといい、イメージのしやすさといい、食べたくなるのは圧倒的にAではないだろうか。

オノマトペとは?文章がガラリと変わる、とっておきテク、後半は

次ページ「オノマトペの効果」へ

ブライダル音響に学ぶ、6つの演出テクニック

ブライダル音響に学ぶ、6つの演出テクニック

WEB制作会社においてはもちろん、クライアント側でも動画を扱う機会が増えている。動画制作で決して忘れてはいけないのが音響効果、そうBGMだ。

この記事では、プロの映像クリエーターではない企業のWEB担当者が動画をプロデュースし、撮影から編集までを一貫して行う際に、観る人を魅了してしまうプロ並みの演出ができるようになるヒミツをブライダルの音響効果に求める。

披露宴のシーン別に音響効果を解き明かしていくことで、音響演出のコツが理解できるだろう。

今やプロ並みの画質で撮影編集ができる機材やソフトも容易に手に入れられるが、ブライダルの元音響エンジニアの筆者としては、もう少し考慮して欲しいのが動画のBGMなのだ。

音響効果の使い方ひとつで、あなたのストーリー、制作意図は目を見張るほど際だち、商品イメージはもっと記憶に残るものにできる。

ブライダルは、ある意味で人の心を揺さぶる究極の演出が仕込まれる場だ。この音響演出のテクニックを応用すれば、あなたが創造する動画がネット上で話題になることは間違いない。

1.BGMで主役のイメージが書き換えられる(シーン:新郎新婦入場)

BGMで主役のイメージが書き換えられる

披露宴の始まり。いよいよ主役が登場するシーン。会場は暗転し、威風堂々とした大きなドアに出席者が注目する。

そして司会者が声高らかにブライダルセレモニーのオープニングを宣言すると、勢いよくドアは開かれ、スポットライトが新郎新婦を輝かしく照らし出す。BGMは大きめに流れ、音響効果が日常とは違う特別なイベント感を演出する。この時、BGMはどんな効果をもたらしているのだろう。

あなたは、披露宴で友人のことを「コイツ、こんないい奴だっけ?」と感じたことはないだろうか。

ふだん無愛想な新郎でも、ディズニーの名曲とともに登場するだけで強くやさしく愛に溢れた男に思えてくる。これは、新郎に対するこれまでのイメージを、ファンシーで明るい音楽が瞬間的に書き換えてしまうからだ。

つまり、新郎がまるでディズニー映画の王子様のように見えてしまうのだ。これまであなたのなかに築きあげられた新郎に対する印象は、音響効果だけで大きく変換されてしまったことになる。

BGM選曲で考慮すべきは、主役を出席者にどう思わせたいかだ。

格好良さや若さを演出したければ、吉田兄弟の三味線サウンド、真面目さや誠実さなら、アメイジング・グレース。ただし、ギャップが大きすぎると逆に既存のイメージを強調させてしまうこともあるので、注意が必要だ。

2.最も出席者の注意を引く音響効果は、意外にも「無音」(シーン:祝辞・乾杯の挨拶)

最も出席者の注意を引く音響効果は、意外にも「無音」

「あのドレス、めっちゃかわいくない?」
「新郎、超イケメン!うらやましー!」

などと女子たちが話している間に、目の前のグラスにシャンパンが注がれる。

そして控えめに流れていたBGMは、スっとフェードアウト。久しぶりに会った同級生たちとケラケラと絶好調に笑い転げていた女子たちも静かになり、一瞬にして会場全体が次の進行を意識する・・・。

これも音響効果のなせるワザ。「無音」によって注意を引くテクニックだ。

人は、周囲から音がなくなると、その状況を把握しようと周囲をチェックする。

おしゃべりな女子たちさえ、自分の声が目立つことに気付き、話をやめて集中するものを探し始めるのだ。学校の授業中に先生が突然黙りこみ、生徒全員が静まるまで沈黙するのも同じテクニックだ。

賑やかさや一定の音に慣れたあとの突然の無音は、最も不自然で落ち着かない状態であり、そのタイミングで司会者に名前を呼ばれた新郎の上司に、会場が否応なく注目してしまう。

主賓のスピーチが始まると、出席者はしばらく注意を向けている。

しかし「無音」の演出で作りだした注意は30秒ほど持てば良い方だ。ここからは主賓の腕次第。トータル3分のスピーチなら、3回は笑いをとってほしい。

主賓のスピーチ終了後に「カンパイ!」のとともに楽しいBGMで会場を賑やかにする音響効果を出せば、披露宴の歓談タイムはぐっと盛り上がる。

「無音」演出から元気に立ち上がるBGMは、会場に解放感を提供するのだ。

3.聞こえているが、意識されない音響効果がベスト(シーン:歓談・余興)

聞こえているが、意識されない音響効果がベスト

披露宴会場がガヤガヤと盛り上がっている間、BGMはほとんど意識されない。しかし、わずかに集中力が途切れたり、肩の力を抜いたりした瞬間、突然BGMは耳に入ってくる。

こういったときに出席者を必要以上に落ち着かせないための音響効果が、軽めの音量で流すBGMだ。

聴こえなくても意識させ過ぎても、出席者を疲れさせてしまう。ごく自然な存在感で新郎新婦や会場から意識をそらさないブライダル演出ができればベストだ。

WEB動画に置き換えれば、音響効果が耳触りな動画など5秒と観ていられない。しかし逆に、一定の音量で淡々と流れているだけのBGMだと退屈さを感じてしまう。

BGMの音量は、ストーリーに集中しやすいように都度調整されるべきだ。

映像やストーリーにとってバランス感のある演出を心がけよう。ユーザー目線に立ち返って動画を観ることによって、音響効果をどのようにすべきか、予測がつけられるようになる。

4.心地良い「余韻」でシーンに引き込む(シーン:キャンドルサービス)

心地良い「余韻」でシーンに引き込む

明かりを落とした会場で、新郎新婦が各テーブルの中心に置かれたキャンドルに火を点けていく。とても幻想的で美しい光景だ。

キャンドルサービスでの音響効果のポイントは、雰囲気という「波」を掴むこと、そして「余韻」である。

その場で起こる波に逆らわず、点火されたキャンドルの火が燃え上がるのに合わせて音量をゆっくりあげて拍手を誘う。

拍手が収まるにつれ音量を元に戻していくのだが、拍手より2秒ほど長く音を残すことで、段階的にふわふわと落ち着いていく余韻を演出できる。

うまく決まれば出席者をぐっと惹き込め、会場の一体感がさらに増すのだ。

動画でも、シーンの切り替えでサッとBGMを替えるのと、フェードアウトしながら替えるのとでは全く違った効果が生まれる。

フェードアウトなら音量を抑えていく時間を伸ばしたり、次の音までの無音を長めに入れたりすると、さらなる惹き込み効果を狙える。癒しのイメージを演出するときにも使えるテクニックだ。

5.期待感には、何が何でも「サビ」で応えるのがブライダル(シーン:ケーキ入刀)

期待感には、何が何でも「サビ」で応えるのがブライダル

ボリュームを抑えて少しずつ期待感を煽ったあと、「初めてのおふたりの共同作業。

ウェディングケーキにご入刀です!!」と、司会者は高らかに叫ぶ。

にこやかな新郎新婦がナイフをおろす瞬間に、大きめのボリュームで曲のサビが流れる。鉄板のブライダル音響演出、最大の見せ場のひとつだ。

出席者の「待ってました!」に応えるには、奇をてらってはいけない。

期待通りの展開をみせることで、出席者と会場の演出の間に信頼関係が生まれるからだ。王道ともいえる演出で信頼関係を築くことができれば、安心して次からのシーンを存分に楽しむことができるようになる。

さらに、突然のキスコール。

新郎新婦がキスした瞬間には、ホイットニー・ヒューストンの名曲「I will always love you」をあてがおう。会場いっぱいに「エンダ~~~~」とホイットニーが歌い上げるサビから流せばブライダルイベント前半のヤマ場はいただきだ。

出席者からの突然のリクエストに、音響エンジニアたちは顔面蒼白になりながらも、ホイットニーを探しまくっているのである。

6.ブライダル音響のキモ。「音量」の演出で感動をさらに膨らませる(シーン:手紙・花束贈呈)

ブライダル音響のキモ。「音量」の演出で感動をさらに膨らませる

涙なしには聞けない感動的な新婦からご両親への手紙披露のあと、両家のご両親に花束を贈呈すれば、披露宴はクライマックスを迎える。

こういう静かなシーンでは繊細な音響効果が求められる。ブライダルの音響効果で最も重要な要素は、ここでもやはり音量だ。

手紙を読むシーンなので、歌詞のないピアノやオルゴールの選曲が定番だ。

手紙を読んでいるときに大きな音は必要ないから、かすかに聴こえるくらいの音量で流せば良いのだが、花嫁が感激に声を詰まらせ、無音になる瞬間があると、会場全体が急に冷静になってしまうリスクがある。意識させない程度の音量は必要だ。

そして、つまりながら手紙を読み終えるあたりで音量を上げて拍手を誘い、少しずつ会場のボルテージを上げていく。

花束を渡すべく新婦が両親に近づいていくごとに、徐々にボリュームを上げていく。あざとらしさが出ないよう、出席者に気付かれないように繊細にやることがポイントだ。

「おっ、BGMの音量上げたな」

と周囲に意識させてしまっては、すべてが台無しになる。

新郎新婦、両家のご両親、親類縁者一同、友人知人すべてが気づかないうちに音量が上がり、会場全体の感動を膨らませるサポートをする。これがブライダル音響による究極の演出だ。

主役の新婦の出番が終われば、再び「無音」で空気を切り替える。

新郎や父上の挨拶は、わざわざ若い二人のために集まっていただいた出席者に深いお礼を伝える場なので、それがしっかりと伝わるように一切の音を排除するのだ。

ブライダル音響に学ぶ、6つの演出テクニック

まとめ:ブライダルの音響効果は、記憶に残ってはいけない

ブライダルの音響効果は、記憶に残ってはいけない

ブライダルの音響は、「バックグラウンドミュージック」なのだから、主役になってはいけない。引き立てるべき新郎新婦と、伝えたいストーリーを支え、雰囲気を盛り上げることが使命だ。

結婚披露宴の思い出が「あのときのBGM演出」などとなるのは二流。「感動的な披露宴だった」と思い出させるのがブライダル音響の一流選手だ。

WEB動画においても、これは同じではないだろうか。

ついつい派手な音響効果を使いたくなってしまうが、最も伝えるべきストーリーから意識を逸らせてしまうような演出をしないように気をつけよう。音響効果は気付かれないところで、映像の感動を10倍にも20倍にもできる超一流の脇役なのだ。

この記事で紹介した音響効果に関するテクニックが、あなたの制作した動画の名脇役になれば幸いだ。

握手の心理。スタッフへの信頼を伝えることから仕事を始める

目を合わせて、話す相手への信頼を伝える

毎朝スタッフひとりひとりと握手をすることにしよう!

握手の心理。スタッフへの信頼を伝えることから仕事を始める

1年半前から始めた習慣で、まだ続いています。自分の虫の居所が悪かろうが、体調が優れなかろうが、とにかくスタッフのところを回って顔を見るのです。
始めた当初は私自身も気恥ずかしかったものの、最近はごく普通の朝の行事になりました。本当はアイコンタクトをして「今朝も元気か?」と確認したいのですが、スタッフの方はまだまだ馴れないのか、オヤジににらまれるのがイヤなのか、なかなか目を合わせてくれません(笑)。

目を合わせて人と話をすること自体に、馴れていないのかもしれません。私も恥ずかしがりなので・・・(それはウソです)、どうしても目をあらぬ方向にそらせてしまいがちです。しかし、目を合わせるという行為は非常に大事なことで、話をしている相手から信頼を勝ち取れるかどうか、心理的に大きく影響するのです。

目を合わせない=目を合わせられない=本当のことを話しているのか?

といった具合です。たとえそれが長い付き合いの相手であっても、心の奥深いところで何らかの影響を及ぼしているでしょう。

子供に接するときは、必ず目を見る

子供に接するときは、必ず目を見る

名古屋で青嵐義塾という有名な学習塾を経営する坪田信貴さん。
「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」でも話題を呼んだ進学塾を経営する人です。

講師の方々への面談で、「塾生を指導するときは、半分くらいの時間彼らの顔をしっかり見てあげてください」と言われていました。アイコンタクトが指導では最も大事だと。たぶん、そうすることで「大丈夫。君ならできるよ」と真摯に伝えられているという心理的な効果が子供たちに伝わるのだと思います。

子供とスタッフを同じと考えてはいけませんが、その思想としては非常に共感するものがあります。握手をしながら、しっかり相手を見て「今日も頼むで。しっかり頑張ってや」と心で伝える。言葉にはしていないので、ストレートには伝わりませんが、私もスタッフも目指すところは同じですので、心理的にはきっと伝わっています。

握手の心理

子供に接するときは、必ず目を見る

日本では、初対面の人と握手をする習慣がありません。しかし海外ではお辞儀の代わりに握手をしながらアイコンタクトをして頷き合います。パーソナルでも、ビジネスでも。以前輸出関連の仕事をしていたとき、はじめのうちは馴れませんでしたが、最終的には相手との距離を一気に縮めるために、積極的に握手+アイコンタクトを多用していました。
心理学的に「握手」は相手との距離を近くしたり、意思を伝える効果があると言われています。

  • 心理的な「武装」状態を解く効果
  • 嘘がつけなくなると感じられる
  • 相手の肌のぬくもりが感じられ、心が穏やかになる
  • 物理的な距離が近くなると同時に、心理的にも親密になったような印象に
  • 強く握られると、感謝されているように感じる

握手をすることで得られる効果は、そのときの状況や心理状態によっても変化します。意図的に何かを企んでいるときを除けば、日本人の場合ほとんどの人が「頑張って握手をしている」わけで、好意的に捉えても良いのではないかと感じます。

握手は一種のボディタッチ。拡張すると、おばちゃんテクニックに

握手は一種のボディタッチ。拡張すると、おばちゃんテクニックに

握手の心理学的な効用には、相手とコミュニケーションをスタートする際の基本ともいえる効果がありそうです。ここで気付くのは、握手はボディタッチの一種であるということ。日本人は海外の人に比べて、他人と触れあう機会が少ないと言われています。また、触れあうことは心理学的にリラックス効果があるとされていますので、握手することは日本人にとって相手との距離を一気に縮めるには非常に高い効果を発揮するのかもしれません。

さらに思い出すことがあります。おばちゃんがよく使うボディタッチ・テクニック。もちろん、おばちゃんはあまり積極的に握手はしません。しかし彼女たちは、積極的に話し相手の腕をつかんで大笑いしたり、下からグッと視線を合わせてきたりします。された方は気恥ずかしいのですが、ほんの少し嬉しかったりします。おばちゃんとの距離が縮まった感じがして(笑)。

おっちゃんになった私は、このテクニックを時々使います。
スタッフに説教をしているとき。はじめは厳しい顔で話をしますが、最後の方で相手の手をつかんで「な、わかるやろ?」と笑顔で目を見ると、とたんに彼らの表情はやわらかくなり、合点がいったといったように頷くのです。

握手や相手の目を見ることは、ネット社会に生きる私たちにとって「生き物」として大切なコミュニケーション術の基本なのかもしれません。あなたも、恥ずかしがらずにおばちゃんテクニックを試してみてはいかがでしょうか?