
採用サイトをリニューアルした。デザインも刷新した。コンテンツも整理した。それなのに、応募数は変わらない。来ても採用につながらない。内定を出しても辞退されてしまう・・・。
そんな状況に直面している採用担当者や経営者の方に、ひとつ問いかけさせてください。
「リニューアルの前に、「なぜ自社を選ぶのか」を言葉にできましたか?」
採用サイトの失敗の多くは、デザインの問題でも、情報量の問題でもありません。その手前にある「採用コンセプトの言語化」が抜け落ちたまま、見た目だけを整えてしまったことにあります。
失敗の原因は、ほぼ共通しています。『採用コンセプトの言語化』が抜け落ちたまま、見た目だけを整えてしまうこと。この記事では、その実態と、実際の改善事例をお伝えします。

執筆した人:平田弘幸
株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。
本記事で分かること
内定辞退が続く原因は、採用サイトのデザインではありません。採用コンセプトの言語化が抜け落ちたまま制作されていることにあります。
この記事では、行動経済学の視点と実際の支援事例から、内定辞退が起きる構造・リニューアル前に確認すべき3点・改善の進め方を具体的に解説します。
1. 「採用サイトをリニューアルすれば解決する」は思い込み
採用に課題を感じた会社が最初にとる行動は、多くの場合「採用サイトのリニューアル」です。
確かに、見た目が古い、スマートフォン対応ができていない、情報が整理されていない。これらはリニューアルで解決できる問題です。しかし、採用サイトを刷新しても、次のような課題は解決しません。
- 応募数は増えたが、採用につながる人材が来ない
- 内定を出しても辞退される
- 入社しても早期離職が続く
- 採用説明会の参加者数は、以前とほぼ変わらない
これらの課題の本質は、サイトの「見た目」ではなく「設計」にあります。より正確には、サイトに何を伝えるかという「本質の設計」、つまり採用コンセプトが定まっていないことにあります。
どれだけデザインを磨いても、伝えるべき本質が曖昧なら、応募者の心は動きません。採用サイトはあくまで「表現の器」。器をいくら美しくしても、本質が訴求できていないのでは意味はないのです。
2. 採用活動は営業と同じ:環境が変われば打ち手も変わる
もうひとつ、リニューアルが失敗に終わる理由があります。それは「一度作ったら終わり」という考え方です。
営業活動を思い浮かべてください。市場環境が変わり、競合が変わり、顧客のニーズが変わったとき、同じ提案書を使い続けるでしょうか。おそらく、状況に合わせて提案内容を見直すはずです。
採用活動も、これとまったく同じなのです。
- 求職者の価値観が変化した
- 競合他社が採用に力を入れ始めた
- 自社の事業フェーズが変わった
- 求める人物像が変わった
これらの変化に合わせて、採用サイトの打ち出し方も変えていく必要があります。にもかかわらず、「リニューアルした安心感」から一度作ったサイトをそのまま使い続けてしまう会社は少なくありません。
採用サイトは制作コストがかかります。そのため、一度リニューアルすると「しばらくはこれでいこう」という心理が働きがちです。しかし、営業が「先期に作った提案書を使い続ける」ことがないように、採用の打ち手も定期的に見直すサイクルを持つことが、長期的に見て大きな差を生みます。
なにも、毎回リニューアルをせよということではありません。本質的な部分(御社の良さ、社風など)は変える必要はなく、必要な部分だけを改修すればいいのです。
採用活動は、作って終わりではなく、継続的に見直し続けるものです。その視点がなければ、どれだけ丁寧にリニューアルしても、いずれ同じ課題に直面することになります。
3. 行動経済学から見る「応募者の意思決定」

では、採用サイトで本当に伝えるべきこととは何でしょうか。それを理解するために、行動経済学の「システム1・システム2」という概念を使って説明します。
システム1:なぜ『なんとなくいい会社』で終わってしまうのか
人間の意思決定には、大きく2つのモードがあります。ひとつは「システム1」と呼ばれる、直感や感情に基づく高速な判断です。
採用サイトで言えば、「なんかいい会社っぽい」「デザインがおしゃれ」「社員が楽しそう」といった第一印象がこれにあたります。大手企業のブランドや、有名なデザイン会社が作ったきらびやかなサイトは、このシステム1に強く働きかけます。
システム2:応募者が『ここしかない』と思う瞬間
もうひとつは「システム2」と呼ばれる、論理や言語に基づく、時間をかけた思考です。
採用の文脈では、「この会社を選ぶ理由が、自分のなかで言葉にできている状態」がこれにあたります。「なぜここで働きたいのか」を自分自身に説明できる状態、と言い換えてもいいかもしれません。
システム1だけに頼ると何が起きるか
システム1だけに訴えかける採用サイトは、短期的には応募を集めることができます。しかし、応募者が選考を進めるにつれて、「なぜここを選んだのか」という自己説得が追いついてこない。
その結果が、内定辞退・早期離職・定着率の低下です。
「なんとなくいい雰囲気だった」で入社した社員は、壁にぶつかったとき、「なぜここで働いているのか」という問いに答えられません。一方、「この会社でなければならない理由」を自分の言葉で持っている社員は、困難があっても踏みとどまれる。
これは、採用の問題に見えて、実は入社後の定着や組織文化にまで連鎖する問題です。採用コストをかけて入社してもらっても、早期に離職されれば、また採用費がかかる。その悪循環を断つためにも、採用の入口から「なぜここか」を明確にしておくことが重要です。
採用の質を上げるには、システム2に働きかけること、すなわち「この会社でなければならない理由」を応募者が自分の言葉で持てるよう、採用サイトが設計されている必要があります。
4. 採用コンセプトの言語化が、採用の質と量を変える

システム2に働きかけるために必要なのが、採用コンセプトの言語化です。
採用コンセプトとは、「なぜ自社で働くのか」「自社で働く意味とは何か」を一貫したメッセージとして言語化したものです。
これは、採用担当者が考えるものではありません。社員一人ひとりの「なぜここで働いているのか」「どんな瞬間にやりがいを感じるか」というリアルな声を丁寧にヒアリングし、そこに共通する価値観や体験を抽出することで生まれます。
社員ヒアリングが起点になる
当社がサポートする際、最初に行うのは必ず社員ヒアリングです。
「会社の強みは何ですか?」と聞いても、出てくるのは表面的な答えばかりです。そうではなく、「入社前と後でギャップがありましたか?」「辞めようと思ったことはありますか? なぜ続けているんですか?」、こういった問いから、その会社の本質的な魅力が浮かび上がってきます。
採用サイトは、その言語化されたコンセプトを表現する「手段のひとつ」にすぎません。コンセプトが明確であれば、採用サイトのライティングも、写真の選び方も、構成も、自然と決まってきます。
よくある「言語化できていない」サインとは
自社の採用コンセプトが言語化できていない場合、採用サイトにはこんなメッセージが並びがちです。
- 「チャレンジできる環境があります」
- 「風通しのいい職場です」
- 「成長できる機会が豊富です」
- 「社員一人ひとりを大切にしています」
これらのフレーズ自体が悪いわけではありません。ただ、どの会社でも書けてしまう言葉は、どの求職者にも刺さらない言葉でもあります。「うちの会社だからこそ」が見えない。
採用コンセプトが言語化されているかどうかの簡単な判断基準は、「その文章を読んで、入社を検討する理由が出てくるか」です。「なんとなくよさそう」で終わるなら、まだコンセプトの言語化が足りていないサインです。
逆に、コンセプトが曖昧なまま進めると、サイトのどこを見ても「なんとなくいい会社」しか伝わらない。そういう採用サイトが量産されています。
採用コンセプトの言語化、どこから始めればいいか分からない。そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。社員ヒアリングから一緒に進めます。
フレイバーズでは、社員ヒアリングから採用コンセプトの言語化、採用サイト制作までを一貫して支援しています。詳しくは採用サイト制作・リニューアルの支援内容をご覧ください。
5. 採用サイトをリニューアルする前に確認すべき3つのこと
採用コンセプトを土台にしたリニューアルを進める前に、確認しておきたいポイントが3つあります。
①「なぜここで働くのか」を社員の言葉で語れるか
実は、経営者や採用担当者でさえ、競合と比べたときの自社の強みを明確に言語化できていないケースは少なくありません。「うちはチームワークがある」「成長できる環境がある」・・・そう言いながら、「他社と何が違うのか」を問われると言葉に詰まる。それが現実です。だからこそ、現場の社員に話を聞くことが重要。複数の社員に「なぜここで働き続けているか」を問いかけ、共通して出てくるキーワードを拾い上げる。そこにこそ、採用コンセプトの種が埋まっています。
②ターゲットとなる求職者像は明確か
「ポテンシャル重視で幅広く採用したい」という方針は理解できますが、「全員に刺さるメッセージは誰にも刺さらない」というのが採用サイト設計の実態です。20代の第二新卒なのか、専門スキルを持つ中途なのか、ターゲットを絞ることで、伝えるべき言葉と構成が変わります。
③リニューアル後の効果測定の仕組みがあるか
採用サイトの改善は、公開してからが本番です。Google AnalyticsやSearch Consoleを継続的に確認することで、次の打ち手が見えてきます。たとえば、採用活動の時期によってアクセスされるページは変わっていきます。春の就活シーズンには企業理念や社風のページに流入が増え、秋以降は職種ごとの業務内容ページが見られるようになる。そういった動きを読むことで、「今この時期に訪れている求職者には、どのメッセージを前面に出すべきか」が自然と見えてきます。データは、採用サイトを育てるための羅針盤です。
この3点が整っていれば、リニューアルの方向性はかなり絞り込めます。逆に言えば、この確認なしにデザインや文章の修正から入ると、また同じ課題に直面する可能性が高くなるでしょう。
6. 事例前半:企業説明会のブースに誰も来なかった会社

ここで、実際の支援事例をご紹介しましょう。
社員120名規模の中堅企業。採用には毎年一定の予算をかけていましたが、なかなか成果が出ていませんでした。採用担当者からの相談は、率直なものでした。
「企業説明会で、ブースに誰も来ない日があるんです。隣ののブースは人が並んでいるのに」
現状の採用サイトを拝見すると、情報は整理されており、写真も丁寧に撮影されていました。ただ、何を伝えたいのかが、読んでも頭に残らない。社員インタビューも掲載されていましたが、「楽しい職場です」「成長できます」という言葉が並んでいるだけでした。
まず社員ヒアリングから始めた
私たちが最初に取り組んだのは、社員へのヒアリングです。現場の社員10名近くにインタビューし、「なぜこの会社に入ったのか」「続けている理由は何か」「どんな仕事に達成感を感じるか」を深掘りしていきました。
そこで見えてきたのは、「人が育つ会社」というキーワードでした。難しい仕事を任せながらも、新卒社員の成長が他社と比べて明らかに早い。大手では一部しか担当できない仕事が、この会社では最初から最後まで携われる。その分、壁にぶつかることも多いはずですが、それでも社員が定着し、着実に力をつけていく。人を育てることへの向き合い方が、他社より数段すぐれている。その体験が、社員たちの語りに繰り返し登場したのです。
コンセプトを言語化し、採用サイトを再設計
「大手ではなく、ここを選ぶ理由」を採用コンセプトとして設定し、採用サイト全体を再設計しました。ファーストビューには「自分の手が届く仕事」というメッセージを据え、それを裏付ける具体的なエピソードを社員の声として掲載。「風通しがいい」「成長できる」といった抽象的な言葉は一切排除し、「入社1年目からどんな仕事に関わったか」「どんな瞬間にやりがいを感じたか」を、社員の生の言葉で語ってもらう構成にしました。
結果は、数ヵ月で明らかになりました。応募数が増えただけでなく、「御社のサイトを読んで、ここしかないと思いました」という応募者が増えてきた。選考での辞退も減り、入社後の定着率も改善しました。
ところが、3年ほど経つと、新たな課題が生まれてきました。採用予定枠は毎年埋まり、応募者のレベルも以前と比べて明らかに上がっている。成果としては申し分ない。しかし、応募者の質が上がった分、比較される相手も変わってきたのです。「応募者が大手企業と迷っているケースが増えてきました」。採用担当者からそんな言葉が出てくるようになりました。
※採用ブランディングを進める第一歩として、まず
を整理しておくと、その後のステップがスムーズになります。
7. 事例後半:課題が変わったとき、サイトも変える
採用の質が上がったことで、比較される競合が変わりました。以前は「この会社か、あの中堅企業か」という比較だったのが、「この会社か、大手か」という比較になってきた。ある意味では嬉しい悲鳴ではあります。しかし、そうも言っていられません。大手と迷い始めた応募者が親や学校の先生に相談すると、「せっかくなら大手に行きなさい」というアドバイスが返ってくる。それが引き金となり、内定辞退が続出するようになっていたのです。
採用担当者の悩みは、むしろ以前より深くなって来ていたのです。
打ち出しの軸を変える判断
ここで私たちがご提案したのは、採用サイトの2回目のリニューアルでの打ち出し方です。
前回のリニューアルで有効だった「人が育つ会社」というコンセプトはそのまま生かしつつ、新しいメッセージを加えました。それが、「大手より大きな仕事ができる」という打ち出しです。
大手に入れば、入社後しばらくは一つの部門の一つの業務しか担当できない。一方、この会社では入社1〜2年目から、プロジェクト全体に関わる機会が与えられる。これまで築いてきた仕組みやナレッジによって各社員が実行すべきことは明確で、チームの連携も取れている。先輩からのフィードバックを受けながら、仕事の全体像を早い段階で理解できる環境がある。
それを求職者の言葉で、具体的に伝える構成に作り直しました。
7.結果:厳しい採用市場でも応募数・質を維持
2回目のリニューアル後、採用の難易度は変わらないまま、応募数・質ともに水準を維持できています。現在の担当者の課題は、「大手より大きな仕事ができる」という採用コンセプトに新たに加わったサブコンセプトを、採用サイトのあらゆる接点でいかに一貫して訴求するか。説明会、先輩社員との懇談会、面接など。それぞれの場面で「大手よりやりがいがある」という実感を応募者に届けていくことが、いまのテーマになっています。
「採用サイトを一度作ったら終わり」ではなく、「課題が変わったら打ち手を変える」・・・。この会社がその姿勢を持てたことが、継続的な採用力の源泉になっています。
8. まとめ:採用サイトのリニューアルは手段、目的は「言語化」
採用サイトのリニューアルがうまくいかない理由は、ほとんどの場合「採用コンセプトの言語化が先行していないこと」と「市場変化に合わせて見直す視点がないこと」の2点に集約されます。
デザインを整えることは重要です。しかし、デザインを整える前に「何を伝えるか」が定まっていなければ、どれだけ美しいサイトを作っても、応募者の心には届きません。
また、採用活動は一度形にしたら終わりではありません。外部環境が変わり、自社の課題が変わったとき、採用の打ち手も変えていく。それが採用力を継続的に維持する唯一の方法です。
今の採用サイトを振り返ったとき、こんな状況に当てはまるなら、見直しのタイミングかもしれません。
- 数年前にリニューアルしたきり、内容をほとんど更新していない
- 社員インタビューはあるが、「どこでも使えそうな言葉」しか載っていない
- 応募はあるが、選考を進めると辞退が多い
- 自社の採用コンセプトを一言で説明できない
採用サイトは、会社の採用力を映す鏡です。サイトの内容に違和感を感じたなら、それは採用コンセプトの言語化から見直すサインです。まずは現状のサイトを「応募を検討している求職者の目線」で読み直してみることから始めてみてください。
フレイバーズの採用サイト支援について、具体的なプロセスや制作事例はこちらのサービスページでご確認いただけます。
フレイバーズへのご相談
フレイバーズでは、採用サイトの「見た目のリニューアル」だけでなく、採用コンセプトの言語化から支援しています。
社員ヒアリングをもとに「なぜここで働くのか」を言葉にし、それを採用サイト・採用パンフレット・採用説明会の資料に一貫して落とし込む。そのプロセスをご一緒することで、「デザインを変えても変わらなかった」という課題から抜け出せます。
「採用サイトのリニューアルを検討しているが、何から始めればいいかわからない」「応募数は増えたのに採用につながらない」。そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。
ビッグワードで8年間、1位を維持できたSEO3つの理由
2013年10月、Googleが検索アルゴリズムに「ハミングバード」を導入し、その前後でのパンダアップデートによる低質なコンテンツ排除、ペンギンアップデートによってスパムコンテンツが排除され続けていることから、検索者ニーズに近い、良質なコンテンツを持つWEBサイトが検索上位に掲示される環境が整ってきた。
これらのアップデートが実施される理由は、WEBマスターをいじめるためではない。
Googleも検索ユーザーのニーズを満足させる検索結果を提示しなければ、「使えない検索エンジン」として三行半を突きつけられる。検索精度を上げなければ、Googleも生き残れないからなのだ。
WEBマスター側からの視点のみでこれらのアップデートを捉えると、「おおごと」にしか見えないが、かねてから良質なコンテンツを提供しようと考えているWEBマスターにとっては、むしろ歓迎すべき出来事だ。
この記事では、過去私たちが8年もの間、良質なコンテンツを提供することによってビッグワードで1位を維持してきた理由を明かし、そのような活動を行おうとするWEBマスターに勇気を与えたいと考える。
「ツール・ド・フランス レポート」が、ビッグワードSEOのスタート

2000年7月、当社はある自転車ブランドのWEBサイトを公開。このブランドが、当時ツール・ド・フランスに参戦していたチームの機材サプライヤーだったことから、同サイト内でチームの活躍を紹介する「ツール・ド・フランス レポート」を企画した。
ツール・ド・フランスは毎年7月に開催される自転車のロードレースで、3週間かけてアルプス、ピレネーといった急峰越えを含む、全行程約3,500キロを走破する過酷なスポーツイベントだ。全世界で約10億人が放送を視聴すると言われている。
私たちは毎日深夜までJsportsを食い入るように見たあと、公式サイト「le tour」のコメントや各国のネットメディアをチェックし、毎日のレースを分析したり、データを見やすいように組み直していた。
サポートしていたチームのエース選手が2005年に個人総合優勝7連覇を達成したシーズン、「ツール・ド・フランス レポート」は7月単月で100万PVを超えるアクセスを稼ぎ出すまでに育っていたのである。ツール・ド・フランスが開催されていない月でも10,000件を超える訪問者が「ツール・ド・フランス」にまつわるビッグワードでアクセスしており、広告換算すると年間約3,000万円に相当する。
伝えようとする情報の魅力を十分に理解する

ツール・ド・フランスでは、毎日「ステージ」と呼ばれるレースが行われ、日々180人余りの選手たちがその日のステージ勝利を競う。それとは別に、すべてのステージの累積タイムが最も短い選手だけが手にできる「個人総合優勝=マイヨ・ジョーヌ(個人総合優勝者に贈られる黄色のジャージ)」を最終的に奪い合うのだ。
ただ、最も栄誉ある賞が「個人」だからといって、個人スポーツなのではない。
チームとして、たった一人のエース選手をリスクから守り、自ら「風よけ」となりながらサポートし続け、戦術を駆使しながら3週間を戦い抜くチームスポーツだ。
レースは、チーム戦略、手練手管、ライバルとの駆け引き、天候、人間性、国といった、ありとあらゆる条件が複雑に絡み合うヒューマンドラマでもある。自転車ロードレースファンは、その泥臭い人間臭さに酔い、アルプスやピレネーの急峰でよだれを垂らしながらも必死でペダルを踏みつける「人間」の生き様を楽しむ。
私たちは自転車ロードレース、ツール・ド・フランスの素晴らしい世界を伝えるために、その奥深さを理解しWEBサイトを通じて毎日熱く語り続けた。
ビッグワードSEOの要諦は、コンテンツの質と量

私たちは、コンテンツを担当し始めた当初から企画が終了するまでの間、幅広い情報を得るべく数十冊の関連情報の単行本、フランスの旅行誌、自転車雑誌などの資料を読みあさり、過去のDVDを取り寄せ研究した。スポーツのレポートは、該当する選手たちがどういった活躍をしたか、どういう背景を持っているかといったデータを積み重ねることで厚みが増すからだ。
コンテンツは、ツール・ド・フランスの背景、ルール、各チームの戦力、主力選手、コースマップ、通過する街々の紹介など、基本的なものを細やかにおさえることはもちろん、毎日行われる各ステージの模様や優勝者のコメントを各国のWEBサイトで報じられる情報を収集し、公開締め切りの朝方まで徹底的にブラッシュアップした。
日々突き詰められたコンテンツは、7月末の最終ステージが終わる頃には、毎年100ページを超えるものとなっていたのである。
ツール・ド・フランスの期間中、私たちの発信し続けたコンテンツは、毎朝自転車ロードレースファンは前日のステージの様子をチェックし、現地で取材にあたっていた記者たちも移動中に見逃したエピソードを確認した。
結果、「ツール・ド・フランス」というビッグワードで、延々8年間もの間、1位を維持し続けたのだ。
本気でビッグワードSEOを行う際に、気を付けるポイント
1.ひとつのテーマ、キーワードでコンテンツを積み重ねること
個人のブログがなぜアクセスを稼げないかというと、確固たるテーマがないからだ。ある時は昼食のうどんについて感想を綴ってみたり、またある時は職場に導入されたコピーのすばらしさを説く。これではGoogleはこのWEBサイトが何についてのスペシャリストなのかがまったく理解できないから、検索者に「あなたのためになりそうなページだから、チェックしてみてはどうですか?」と、推薦のしようがないのである。
あるビッグワードで上位に食い込むためには、同じテーマで綴られたコンテンツが重なる必要がある。
「ツール・ド・フランス」を連発しているこの記事をリリースしても、この記事単体で検索上位に入ることは難しい。せいぜい100位あたりをフラフラさまよっているのがいいところだろう。それは、当社のWEBサイトで他にツール・ド・フランスを紹介するページが存在しないからだ。
それほど、ビッグワードでの上位ランキングは甘くはない。
しかしスペシャリストならそれができるはずで、Googleも同じ考え方で検索上位を決めている。その証拠に、Googleの上位決定のアルゴリズムは、ページ単体のキーワードだけではなく、WEBサイト全体を構成するキーワードとの整合性を鑑みながら順位を決めているのだから。
私たちが成功したビッグワード「ツール・ド・フランス」での1位獲得を例にとると、最も上位にあるキーワード「ツール・ド・フランス」を頂点に、そのコンテンツは下層にあるミドルキーワード、あるいはスモールキーワードで構成されるべきだと推測できる。このようにレベルの異なる関連キーワードが散りばめられたページが重なれば重なるほど、Googleは「専門性が高いコンテンツ」という評価を行い、検索者に推薦しやすくなるのだ。
| ビッグワード | ミドルキーワード、スモールキーワード |
|---|---|
| ツール・ド・フランス |
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2.頻度を上げて取り組むこと
Googleクローラー(データ収集ロボット)の訪問頻度と、検索順位に相関性があるとのレポートがされている。つまり、クローラーがWEBサイトを訪れる頻度が高くなればなるほど、上位表示される可能性が高くなるのだ。
「ツール・ド・フランス」は23日間の開催期間中、2日しか休みがないため、必然的にほぼ毎日レポート本文、関連するデータ、ギャラリーを更新していた。
ビッグワードで検索順位トップのWEBサイトが頻繁に更新を行えば、Googleもそのデータを取得するために何度となくクローラーを野に放つことになる。次の日もその翌日も、データを取得し、データベースに反映させる。
このサイクルが波に乗ると、更新内容がスピーディに検索結果に反映され、さらに人を呼び込む好循環に至るのだ。
3.質の高いコンテンツを提供すること

製品情報一辺倒の情報しかないブランドホルダーのWEBサイトも、実は同様なのだ。
たとえば、ある家電メーカーの製造しているハードディスクレコーダーは、数多のオンラインショップでも紹介されているし、卸会社のWEBサイトでも紹介されていたりする。それを購入したユーザーのブログや価格コムでも感想が述べられていたりする。もしかすると、ユーザーのブログの方が検索者のニーズに合った情報が濃いかもしれない。
なぜなら、この家電メーカーは自社の製品については自己主張の強いメリットをいくつか挙げて紹介するが、それ以外の製品に関する一般的な情報について紹介しないことが多い。しかしハードディスクレコーダーを初めて購入しようとする人や機械が苦手な人にとっての情報はほとんどない。あったとしても、誰もが想像できるような薄い情報しか載せていない。
Googleはハードディスクレコーダー初心者に、この家電メーカーのページを推薦できるだろうか。それより、いろいろなレベルの人の感想が多く寄せられる価格コムのページを推薦した方が検索者ニーズに合っているといえるのだ。
要するに、質の高いコンテンツとは、困っている人を助けてあげられるもの。その情報を得たことによって、感謝してもらえるコンテンツのことだ。
GoogleはSearch Consoleのヘルプで、「質の高いコンテンツを作成する」ためのポイントを次のように示している。
- 有益で情報が豊富
- 信頼性がある
- 高品質
- ユーザーを惹きつける
ビッグワードSEOのまとめ
私たちが「ツール・ド・フランス」というビッグワードで8年間検索順位1位を維持できた理由は、コンテンツの質と量だ。
「ツール・ド・フランス レポート」の企画をスタートした当初は、SEOを意識していたわけではなかったが、結果的にコンテンツが質と量を備えていったことで、wikipediaや生中継していたJsportsのサイトをおさえることさえできたのだ。
自転車プロロードレースのジャーナリストでもなく、元選手でもなく、ブランドホルダーのスタッフでもない私たちがそれを達成できた理由は、検索者のニーズを満たすコンテンツを発信し続けたからだ。
残念ながら、この記事で紹介した「ツール・ド・フランス レポート」は、企画がスタートした当時はほぼ皆無だった自転車関連の専門メディアが、いくつか登場してきたためブランドホルダーが大イベントを追いかけることもないだろうという理由でクローズとなった。
しかし、どうすればコンテンツを検索上位に引き上げられるかという考え方は今でも通用するものであり、筆者はこの王道のハウツーをクライアントに説き続けている。
この記事を読んでいる方々が、何かのスペシャリストであるならば、自分の持つ知識を分かりやすく紹介することでビッグワードによるSEO、それに伴う集客は可能になる。いや、いまスペシャリストでなくても、努力次第で人を惹きつけるスペシャルなコンテンツを生み出すことは十分に可能なのだ。
ビッグワードで検索上位を狙うには、最後はあなたのなかに眠っている、ありたっけの「しつこさ」で攻めることだ。そうすれば、得たいポジションを必ずや獲得し集客につなげることができるだろう。