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社員たちが作業する手元

内定辞退が続く会社の採用サイトに共通する問題と対策

社員たちが作業する手元
採用サイトをリニューアルした。デザインも刷新した。コンテンツも整理した。それなのに、応募数は変わらない。来ても採用につながらない。内定を出しても辞退されてしまう・・・。
そんな状況に直面している採用担当者や経営者の方に、ひとつ問いかけさせてください。

「リニューアルの前に、「なぜ自社を選ぶのか」を言葉にできましたか?」

採用サイトの失敗の多くは、デザインの問題でも、情報量の問題でもありません。その手前にある「採用コンセプトの言語化」が抜け落ちたまま、見た目だけを整えてしまったことにあります。

失敗の原因は、ほぼ共通しています。『採用コンセプトの言語化』が抜け落ちたまま、見た目だけを整えてしまうこと。この記事では、その実態と、実際の改善事例をお伝えします。

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。


本記事で分かること

内定辞退が続く原因は、採用サイトのデザインではありません。採用コンセプトの言語化が抜け落ちたまま制作されていることにあります。
この記事では、行動経済学の視点と実際の支援事例から、内定辞退が起きる構造・リニューアル前に確認すべき3点・改善の進め方を具体的に解説します。

1. 「採用サイトをリニューアルすれば解決する」は思い込み

採用に課題を感じた会社が最初にとる行動は、多くの場合「採用サイトのリニューアル」です。

確かに、見た目が古い、スマートフォン対応ができていない、情報が整理されていない。これらはリニューアルで解決できる問題です。しかし、採用サイトを刷新しても、次のような課題は解決しません。

  • 応募数は増えたが、採用につながる人材が来ない
  • 内定を出しても辞退される
  • 入社しても早期離職が続く
  • 採用説明会の参加者数は、以前とほぼ変わらない

これらの課題の本質は、サイトの「見た目」ではなく「設計」にあります。より正確には、サイトに何を伝えるかという「本質の設計」、つまり採用コンセプトが定まっていないことにあります。

どれだけデザインを磨いても、伝えるべき本質が曖昧なら、応募者の心は動きません。採用サイトはあくまで「表現の器」。器をいくら美しくしても、本質が訴求できていないのでは意味はないのです。

2. 採用活動は営業と同じ:環境が変われば打ち手も変わる

もうひとつ、リニューアルが失敗に終わる理由があります。それは「一度作ったら終わり」という考え方です。
営業活動を思い浮かべてください。市場環境が変わり、競合が変わり、顧客のニーズが変わったとき、同じ提案書を使い続けるでしょうか。おそらく、状況に合わせて提案内容を見直すはずです。

採用活動も、これとまったく同じなのです。

  • 求職者の価値観が変化した
  • 競合他社が採用に力を入れ始めた
  • 自社の事業フェーズが変わった
  • 求める人物像が変わった

これらの変化に合わせて、採用サイトの打ち出し方も変えていく必要があります。にもかかわらず、「リニューアルした安心感」から一度作ったサイトをそのまま使い続けてしまう会社は少なくありません。

採用サイトは制作コストがかかります。そのため、一度リニューアルすると「しばらくはこれでいこう」という心理が働きがちです。しかし、営業が「先期に作った提案書を使い続ける」ことがないように、採用の打ち手も定期的に見直すサイクルを持つことが、長期的に見て大きな差を生みます。
なにも、毎回リニューアルをせよということではありません。本質的な部分(御社の良さ、社風など)は変える必要はなく、必要な部分だけを改修すればいいのです。

採用活動は、作って終わりではなく、継続的に見直し続けるものです。その視点がなければ、どれだけ丁寧にリニューアルしても、いずれ同じ課題に直面することになります。

3. 行動経済学から見る「応募者の意思決定」

行動経済学を意識することで変わる採用の質

では、採用サイトで本当に伝えるべきこととは何でしょうか。それを理解するために、行動経済学の「システム1・システム2」という概念を使って説明します。

システム1:なぜ『なんとなくいい会社』で終わってしまうのか

人間の意思決定には、大きく2つのモードがあります。ひとつは「システム1」と呼ばれる、直感や感情に基づく高速な判断です。

採用サイトで言えば、「なんかいい会社っぽい」「デザインがおしゃれ」「社員が楽しそう」といった第一印象がこれにあたります。大手企業のブランドや、有名なデザイン会社が作ったきらびやかなサイトは、このシステム1に強く働きかけます。

システム2:応募者が『ここしかない』と思う瞬間

もうひとつは「システム2」と呼ばれる、論理や言語に基づく、時間をかけた思考です。

採用の文脈では、「この会社を選ぶ理由が、自分のなかで言葉にできている状態」がこれにあたります。「なぜここで働きたいのか」を自分自身に説明できる状態、と言い換えてもいいかもしれません。

システム1だけに頼ると何が起きるか

システム1だけに訴えかける採用サイトは、短期的には応募を集めることができます。しかし、応募者が選考を進めるにつれて、「なぜここを選んだのか」という自己説得が追いついてこない。

その結果が、内定辞退・早期離職・定着率の低下です。

「なんとなくいい雰囲気だった」で入社した社員は、壁にぶつかったとき、「なぜここで働いているのか」という問いに答えられません。一方、「この会社でなければならない理由」を自分の言葉で持っている社員は、困難があっても踏みとどまれる。

これは、採用の問題に見えて、実は入社後の定着や組織文化にまで連鎖する問題です。採用コストをかけて入社してもらっても、早期に離職されれば、また採用費がかかる。その悪循環を断つためにも、採用の入口から「なぜここか」を明確にしておくことが重要です。

採用の質を上げるには、システム2に働きかけること、すなわち「この会社でなければならない理由」を応募者が自分の言葉で持てるよう、採用サイトが設計されている必要があります。

4. 採用コンセプトの言語化が、採用の質と量を変える

採用コンセプトを明確に言語化すると、すべての活動がスムーズに動く

システム2に働きかけるために必要なのが、採用コンセプトの言語化です。

採用コンセプトとは、「なぜ自社で働くのか」「自社で働く意味とは何か」を一貫したメッセージとして言語化したものです。

これは、採用担当者が考えるものではありません。社員一人ひとりの「なぜここで働いているのか」「どんな瞬間にやりがいを感じるか」というリアルな声を丁寧にヒアリングし、そこに共通する価値観や体験を抽出することで生まれます。

社員ヒアリングが起点になる

当社がサポートする際、最初に行うのは必ず社員ヒアリングです。

「会社の強みは何ですか?」と聞いても、出てくるのは表面的な答えばかりです。そうではなく、「入社前と後でギャップがありましたか?」「辞めようと思ったことはありますか? なぜ続けているんですか?」、こういった問いから、その会社の本質的な魅力が浮かび上がってきます。

採用サイトは、その言語化されたコンセプトを表現する「手段のひとつ」にすぎません。コンセプトが明確であれば、採用サイトのライティングも、写真の選び方も、構成も、自然と決まってきます。

よくある「言語化できていない」サインとは

自社の採用コンセプトが言語化できていない場合、採用サイトにはこんなメッセージが並びがちです。

  • 「チャレンジできる環境があります」
  • 「風通しのいい職場です」
  • 「成長できる機会が豊富です」
  • 「社員一人ひとりを大切にしています」

これらのフレーズ自体が悪いわけではありません。ただ、どの会社でも書けてしまう言葉は、どの求職者にも刺さらない言葉でもあります。「うちの会社だからこそ」が見えない。

採用コンセプトが言語化されているかどうかの簡単な判断基準は、「その文章を読んで、入社を検討する理由が出てくるか」です。「なんとなくよさそう」で終わるなら、まだコンセプトの言語化が足りていないサインです。

逆に、コンセプトが曖昧なまま進めると、サイトのどこを見ても「なんとなくいい会社」しか伝わらない。そういう採用サイトが量産されています。

採用コンセプトの言語化、どこから始めればいいか分からない。そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。社員ヒアリングから一緒に進めます。

無料相談はこちら

フレイバーズでは、社員ヒアリングから採用コンセプトの言語化、採用サイト制作までを一貫して支援しています。詳しくは採用サイト制作・リニューアルの支援内容をご覧ください。

5. 採用サイトをリニューアルする前に確認すべき3つのこと

採用コンセプトを土台にしたリニューアルを進める前に、確認しておきたいポイントが3つあります。

①「なぜここで働くのか」を社員の言葉で語れるか

実は、経営者や採用担当者でさえ、競合と比べたときの自社の強みを明確に言語化できていないケースは少なくありません。「うちはチームワークがある」「成長できる環境がある」・・・そう言いながら、「他社と何が違うのか」を問われると言葉に詰まる。それが現実です。だからこそ、現場の社員に話を聞くことが重要。複数の社員に「なぜここで働き続けているか」を問いかけ、共通して出てくるキーワードを拾い上げる。そこにこそ、採用コンセプトの種が埋まっています。

②ターゲットとなる求職者像は明確か

「ポテンシャル重視で幅広く採用したい」という方針は理解できますが、「全員に刺さるメッセージは誰にも刺さらない」というのが採用サイト設計の実態です。20代の第二新卒なのか、専門スキルを持つ中途なのか、ターゲットを絞ることで、伝えるべき言葉と構成が変わります。

③リニューアル後の効果測定の仕組みがあるか

採用サイトの改善は、公開してからが本番です。Google AnalyticsやSearch Consoleを継続的に確認することで、次の打ち手が見えてきます。たとえば、採用活動の時期によってアクセスされるページは変わっていきます。春の就活シーズンには企業理念や社風のページに流入が増え、秋以降は職種ごとの業務内容ページが見られるようになる。そういった動きを読むことで、「今この時期に訪れている求職者には、どのメッセージを前面に出すべきか」が自然と見えてきます。データは、採用サイトを育てるための羅針盤です。

この3点が整っていれば、リニューアルの方向性はかなり絞り込めます。逆に言えば、この確認なしにデザインや文章の修正から入ると、また同じ課題に直面する可能性が高くなるでしょう。

6. 事例前半:企業説明会のブースに誰も来なかった会社

社員インタビューの様子

ここで、実際の支援事例をご紹介しましょう。

社員120名規模の中堅企業。採用には毎年一定の予算をかけていましたが、なかなか成果が出ていませんでした。採用担当者からの相談は、率直なものでした。

「企業説明会で、ブースに誰も来ない日があるんです。隣ののブースは人が並んでいるのに」

現状の採用サイトを拝見すると、情報は整理されており、写真も丁寧に撮影されていました。ただ、何を伝えたいのかが、読んでも頭に残らない。社員インタビューも掲載されていましたが、「楽しい職場です」「成長できます」という言葉が並んでいるだけでした。

まず社員ヒアリングから始めた

私たちが最初に取り組んだのは、社員へのヒアリングです。現場の社員10名近くにインタビューし、「なぜこの会社に入ったのか」「続けている理由は何か」「どんな仕事に達成感を感じるか」を深掘りしていきました。

そこで見えてきたのは、「人が育つ会社」というキーワードでした。難しい仕事を任せながらも、新卒社員の成長が他社と比べて明らかに早い。大手では一部しか担当できない仕事が、この会社では最初から最後まで携われる。その分、壁にぶつかることも多いはずですが、それでも社員が定着し、着実に力をつけていく。人を育てることへの向き合い方が、他社より数段すぐれている。その体験が、社員たちの語りに繰り返し登場したのです。

コンセプトを言語化し、採用サイトを再設計

「大手ではなく、ここを選ぶ理由」を採用コンセプトとして設定し、採用サイト全体を再設計しました。ファーストビューには「自分の手が届く仕事」というメッセージを据え、それを裏付ける具体的なエピソードを社員の声として掲載。「風通しがいい」「成長できる」といった抽象的な言葉は一切排除し、「入社1年目からどんな仕事に関わったか」「どんな瞬間にやりがいを感じたか」を、社員の生の言葉で語ってもらう構成にしました。

結果は、数ヵ月で明らかになりました。応募数が増えただけでなく、「御社のサイトを読んで、ここしかないと思いました」という応募者が増えてきた。選考での辞退も減り、入社後の定着率も改善しました。

ところが、3年ほど経つと、新たな課題が生まれてきました。採用予定枠は毎年埋まり、応募者のレベルも以前と比べて明らかに上がっている。成果としては申し分ない。しかし、応募者の質が上がった分、比較される相手も変わってきたのです。「応募者が大手企業と迷っているケースが増えてきました」。採用担当者からそんな言葉が出てくるようになりました。

※採用ブランディングを進める第一歩として、まず

「採用コンセプトの作り方」

を整理しておくと、その後のステップがスムーズになります。

7. 事例後半:課題が変わったとき、サイトも変える

採用の質が上がったことで、比較される競合が変わりました。以前は「この会社か、あの中堅企業か」という比較だったのが、「この会社か、大手か」という比較になってきた。ある意味では嬉しい悲鳴ではあります。しかし、そうも言っていられません。大手と迷い始めた応募者が親や学校の先生に相談すると、「せっかくなら大手に行きなさい」というアドバイスが返ってくる。それが引き金となり、内定辞退が続出するようになっていたのです。

採用担当者の悩みは、むしろ以前より深くなって来ていたのです。

打ち出しの軸を変える判断

ここで私たちがご提案したのは、採用サイトの2回目のリニューアルでの打ち出し方です。

前回のリニューアルで有効だった「人が育つ会社」というコンセプトはそのまま生かしつつ、新しいメッセージを加えました。それが、「大手より大きな仕事ができる」という打ち出しです。

大手に入れば、入社後しばらくは一つの部門の一つの業務しか担当できない。一方、この会社では入社1〜2年目から、プロジェクト全体に関わる機会が与えられる。これまで築いてきた仕組みやナレッジによって各社員が実行すべきことは明確で、チームの連携も取れている。先輩からのフィードバックを受けながら、仕事の全体像を早い段階で理解できる環境がある。

それを求職者の言葉で、具体的に伝える構成に作り直しました。

7.結果:厳しい採用市場でも応募数・質を維持

2回目のリニューアル後、採用の難易度は変わらないまま、応募数・質ともに水準を維持できています。現在の担当者の課題は、「大手より大きな仕事ができる」という採用コンセプトに新たに加わったサブコンセプトを、採用サイトのあらゆる接点でいかに一貫して訴求するか。説明会、先輩社員との懇談会、面接など。それぞれの場面で「大手よりやりがいがある」という実感を応募者に届けていくことが、いまのテーマになっています。

「採用サイトを一度作ったら終わり」ではなく、「課題が変わったら打ち手を変える」・・・。この会社がその姿勢を持てたことが、継続的な採用力の源泉になっています。

8. まとめ:採用サイトのリニューアルは手段、目的は「言語化」

採用サイトのリニューアルがうまくいかない理由は、ほとんどの場合「採用コンセプトの言語化が先行していないこと」と「市場変化に合わせて見直す視点がないこと」の2点に集約されます。

デザインを整えることは重要です。しかし、デザインを整える前に「何を伝えるか」が定まっていなければ、どれだけ美しいサイトを作っても、応募者の心には届きません。

また、採用活動は一度形にしたら終わりではありません。外部環境が変わり、自社の課題が変わったとき、採用の打ち手も変えていく。それが採用力を継続的に維持する唯一の方法です。

今の採用サイトを振り返ったとき、こんな状況に当てはまるなら、見直しのタイミングかもしれません。

  • 数年前にリニューアルしたきり、内容をほとんど更新していない
  • 社員インタビューはあるが、「どこでも使えそうな言葉」しか載っていない
  • 応募はあるが、選考を進めると辞退が多い
  • 自社の採用コンセプトを一言で説明できない

採用サイトは、会社の採用力を映す鏡です。サイトの内容に違和感を感じたなら、それは採用コンセプトの言語化から見直すサインです。まずは現状のサイトを「応募を検討している求職者の目線」で読み直してみることから始めてみてください。

フレイバーズの採用サイト支援について、具体的なプロセスや制作事例はこちらのサービスページでご確認いただけます。

フレイバーズへのご相談

フレイバーズでは、採用サイトの「見た目のリニューアル」だけでなく、採用コンセプトの言語化から支援しています。

社員ヒアリングをもとに「なぜここで働くのか」を言葉にし、それを採用サイト・採用パンフレット・採用説明会の資料に一貫して落とし込む。そのプロセスをご一緒することで、「デザインを変えても変わらなかった」という課題から抜け出せます。

「採用サイトのリニューアルを検討しているが、何から始めればいいかわからない」「応募数は増えたのに採用につながらない」。そんなお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。

 

実績ページを見る

採用サイトのコンテンツ、早期離職を防ぐために 

「突然、辞めたいですと言われて、ショックだったんですよ」

中堅メーカー企業の採用担当をしているS君が、ため息まじりに話しかけてきました。自分が採用にかかわった社員で、入社してまだ1年だそう。おとなしくまじめなタイプで、これといった前兆もなかったようです。

「Z世代だから、あっさりしてるんでしょうね」と、あきらめの表情。

あいづちを打ちかけましたが、「ダメもとでもう一度よく話をしてみたら」と、アドバイスしました。ふだん、採用活動について悩んでいる姿を目にしていたので、何か解決のヒントをつかんで欲しいと思ったからです。

 

離職希望の彼が言うには

「仕事がおもしろくなくて、ずっとコレをやるのかな…と」
「キャリアパスやスキルアップがイメージできず、変化のない毎日に気持ちが萎えました」

淡々と語られたのは、こんな理由だったとか。

S君は、会社のキャリアパスやスキルアップを説明し、他にも仕事はあるからと再考を求めましたが、彼の心には響かなかったようです。「石の上にも三年」と慰留を切り出したら、「三年で何か分かりますかね」と、あっけなく切り返されて言葉に詰まったと。

「この会社は、こんなもんか」。いったん期待外れの思いになると、修復は難しかったりするものです。

 

結果から見えてきたこと

これが世にいう「ミスマッチ」なのかと、落胆する背中を見ながらも、二人で原因と対策を話しました。

会社として、ここまで採用と教育にかけたコストは膨大です。去りゆく者への損切りは仕方ないとして、次なる糧にしようとの強い思いがわいてきます。新人らしからぬ捨て台詞は、率直すぎて耳に痛かったのですが、気を取り直して改善の方向性を探ります。

振り返ってみると、入社後のケア不足も含め、たくさんの改善すべきポイントがあがります。そこから、いま最優先にすべきアクションは何なのか、絞り込んでいきます。

①仕事内容について、具体的で詳細な情報を伝えられていたか。(インターンシップ・説明会など)
②キャリアパスやスキルアップについて、就活生の理解は充分だったか。(面接・内定後など) 
③採用サイトやパンフレットについても、上記二点について不備はなかったか。

いずれも就活生なら関心を抱く重要なテーマですが、入社前後で納得させるタイミングを逸していたようです。

とくに「仕事内容」については、最も知りたい項目ながら情報は不足しがちで、かつ入社後のギャップを生む原因になるとの調査結果もあります。

【企業の採用サイトに関する調査結果】求職者の視点から見た「採用サイト」の重要性と課題

インターンシップや会社説明会は限られた時間の情報共有ですが、採用サイトやパンフは志望から内定まで制限なく、いつでも就活生が参考にできるアイテムです。いま、ここにしっかりとした情報を掲示しないわけにはいきません。

 

採用サイトで伝える「仕事内容」

まずは「仕事内容を伝える」ことに焦点をあて、S君がディレクションしたという採用サイトもチェックしながら、改善の施策を伝えていきました。

 

組織と仕事をわかりやすく伝える

よくあるのは、各事業と部門・部署に担当業務を紹介して終了、というもの。

ある程度は詳細な内容が必要ですが、中堅企業でも項目を細かくすると相当な文章量になります。そもそも業界に精通している就活生は少なく、「文字離れ」の傾向もありますから、熟読には至らないことも。

そんな場合には、会社の事業と、流通・市場などの経済環境を、フロー図にまとめるのも一案。就活生が自身の志望傾向から、やりがいを感じるセクションの存在を探す地図の役割を果たします。会社規模にかかわらず踏襲できる手法なので、一例をあげておきます。

職種紹介|新卒採用情報|株式会社クボタ

また、こうした図をもとに、事業・業務の内容や、実際に働いている社員の声にリンクさせるのもひとつのやり方ですね。

 

仕事にむきあう臨場感を伝える

新入社員や先輩社員の声、クロストークをメインに活用します。インタビュー記事は就活生が何度も目を通してしまう「キラーコンテンツ」。でも、ワンパターンの一問一答では何も伝わりません。仕事ぶりや個性が際立つような質問を投げかけ、その存在感が社風を物語るイメージを醸し出すように回答を再構成するのがコツです。

就活生に、「この人、自分とキャラが似てるな」と思わせるレベルに仕上がれば最高です。

「仕事内容」という観点では、成功や失敗の体験談、感情の揺れも汲み取って構成しましょう。エピソードトークで、上司や顧客とのかかわりも添えれば、さらにリアルなストーリーとなって、読み手の疑似体験につながります。

先輩インタビュー | 採用情報 | スポーツ用品、ファッションアイテムのイモト

クロストークでは、参加メンバーを工夫することで、社風や歴史、経営理念と相通ずる良き伝統を感じさせることができます。社歴や担当業務、階層や年齢が、バラエティ豊かな方が、おもしろくなりそうです。

企業活動を一言で表すときも、「〇〇イズム」「〇〇クオリティ」などのワードが使われますが、現場をよく知る社員の声からそれが読み取れれば、就活生からの信頼も得やすいでしょう。

クロストーク | 採用サイト | ロート製薬株式会社

 

経験を重ねつつ、成長するプロセスを伝える

「この会社を選べば、成長への追い風になるはず」と、就活生は期待します。給与などの対価以上に、仕事についての達成感や充実感、成長に向けたサポートを重視する傾向もあります。

資格取得への補助、スキルアップ研修や教育制度は、関連する数字を明らかにすると効果的。マトリックスなど図表を活用してわかりやすくすると好印象に。

キャリアパスを知ってもらうために、先輩ストーリーをまとめている企業もありますよ。

キャリア・働く環境 | 採用情報 | キユーピー

「それから、求める人材を伝えるのも大切だね。チェックボックスがついた箇条書きで、こんな人に来てほしいという項目をあげているところもあったな。しっかりしたサイトは、採用コンセプトや人事担当者の考えを明らかにする単独ページを作り込んでいたり…」

すると、「ちょっ、ちょっと待ってください!」と、S君。「頭がいっぱいになってきました…」

私が、勢い込んで一気に話しすぎたのでしょう。少しあわてた表情で、これから人事や経営企画担当と相談するとのこと。離職騒動からうけた傷心は、いつしかどこかに飛んでいったようです。

 

就活生の傾向や求めるものに目をむける

最初にS君がつぶやいた「Z世代」。すっかり定着しているようですが、私には少し抵抗があります。集団を端的にイメージするには便利ですが、個々の実態をとらえる感性を鈍くしているような気がしてならないのです。

昭和世代と違って、入学してほどなく就職について考えなさいと迫られる大学生。専攻分野の学業に追われながらの就活です。忙しさから社会との接点も少なかったり、自身の個性を世の中に活かすビジョンに至らないまま仕事に就く展開も容易に想像がつきます。

そんななか苦労の末に内定をもらったりすると、いわゆる「楽観バイアス」が働いて、思考停止になっている求職者もいるでしょう。「内定が出たのだから、たぶん自分には合っている、大丈夫」と。

アンケートがすべて正しいとはしませんが、就活生の関心の上位に「仕事内容」があがる事実。
採用サイトから得たい情報も、入社後のギャップを感じる原因も「仕事内容」。

採用する側としては、このテーマを志望者といかに共有するのかが、入社前後のトラブルを避けるポイントになりそうです。

採用サイトを通じて、求職者に仕事内容や成長へのプロセスをリアルに受け止めてもらい、内定辞退や早期離職のリスクを減らしたいとお考えの際は、ぜひ当社にご相談ください。

採用サイトのタイムリーなコンテンツ発信とは

サイトの企画採用担当にとっては、頭の痛い採用難の状況。
会社の魅力を理解し、頑張ってくれそうな人にアピールするには、「どんなコンテンツがいいのか」と、採用サイトの企画で悩んでおられることと思います。しかし採用サイトの企画で、いちばん大切なのに忘れやすいのが、「目の前の就活生に語るように企画を練る」こと。求職者対象のアンケートで、企業を知る情報源のトップに8割近くの就活者が挙げているのは、やはり採用サイトです。

キャリタス就活「2025年卒 採用ホームページに関する調査」(PDF)

会社説明会に参加したり、面接にのぞむとき、内定からいよいよ最終決断をする場面でも、傍らにあるのは採用サイトです。見落としはないかと何度もチェックし、行間まで読み込もうとする猛者がいるかもしれません。

改善の観点はいくつもありますから、いろいろと視点を変えて検証する必要があります。

彼らが頼りにする採用サイトは、実は就活の時期によって閲覧の仕方、チェックするコンテンツが変わります。このコラムでは、就活者の活動時期に合わせたコンテンツのあり方についてご紹介していきます。

就活者の思考や行動は、就活時期によって変わる

採用コンテンツは、就活者にとって王道のツール。なのにWEB上には、企業概要や福利厚生と募集要項を添えたくらいの、凡庸な内容にすぎないサイトが多いのも事実です。
採用サイトをリニューアルしたものの、うまく機能しているのだろうかという声も。では、就活者に刺さる、ほんとうのポイントはどこにあるのでしょうか。

マーケティングの世界には「カスタマージャーニー」という言葉があります。
消費者が商品(ブランド)にふれて購入にいたるまでを旅にたとえ、フェーズごとの施策を考えるフレームワークです。

就活者が思考や心情を変化させていく行動は、このフレームワークに乗せることができます。今回は採用カスタマージャーニーを駆使して、採用サイトのコンテンツをブラッシュアップする考え方をご紹介します。

・就職活動のフェーズごとに、就活者の変化する心境に配慮したサイト構成
・就職活動中に、閲覧を重ねても色あせないコンテンツづくりの秘訣

就活初期:企業情報の収集スタート

就活者採用ポータルサイトや就職ガイダンスなどをきっかけに、たくさんのアタック候補にふれる最初の数ヵ月です。企業側は、この時期に就活者たちに自社を印象付け、その後の採用活動を上手く運ぶための大切な時期でもあります。後述する自社の良さをもとにした、採用コンセプトを一貫して訴求し、「この会社がいいな」と感じさせる大きな機会と捉えてください。

この時期に就活者が重視するコンテンツ

・募集要項
・福利厚生
・職種紹介
・会社概要
・事業紹介

自身の適性や志向をもとに、広い範囲で「様子見」をしています。

まずは、「事業内容」「自分に合った職種があるか」といった興味をスタートとして、労働条件や福利厚生などの基本情報を得ることが主な閲覧の目的になります。職種紹介では、在職者のキャリアや資格とともに詳細な内容を伝えます。インターンシップを経験していない候補者も多く集まりますので、「仕事紹介」のような平易な職種紹介コンテンツを準備するのも手です。

事業紹介や企業理念もメリハリのない説明だけでなく、「ならでは」の魅力を強く打ち出します。会社の価値は規模の大小や知名度だけではありません。会社を測る一般的なものさしではとらえきれない「良い点」が必ずあります。それこそが、就活者の心を動かす大切なポイントと心得てください。

たとえば、

・知られていないが業界シェアNo.1
・規模は中堅だが、大手のグループ会社
・社員1人あたりの売上は業界でも高いのに、残業ゼロ
・経済変化に強い(安定性)
・離職率が圧倒的に低い
・転勤・異動がない
・チャレンジ推奨の社風

などなど。

通常業務のなかで、自社の魅力を考えてみる機会は多くありませんが、これを機にグループで集まり、自社の良いところだけを挙げていくと、意外なポイントが見つかったり、全員が納得することがあったり。在職者だからこそ実感するポイントは、就活者にとっても大いに興味がわくものです。
ただし、良くないところは挙げないこと。いつまでも終わらないグチ大会になってしまいますから。

会社にまつわる数字の図表化を工夫したり、デザイン性を図るなどして、「3分でわかる◯◯」といった、わかりやすく印象に残るコンテンツを掲示することも検討しましょう。併せて、採りあげた数字の魅力を伝える際も、内容ごとに就活者に理解できる言葉を選んでおきます。
この時期に大切なのは、再訪を促す「この会社、いいかも」を感じさせること。

就活中期:より深く調査し、応募への決心を固める

会社説明会会社説明会に参加したり、面接対策を始めるなかで、深い関心を抱き、自身と会社とのつながりを意識する時期です。

就活者が重視するコンテンツ

・採用コンセプト
・求める人物像
・先輩インタビュー
・クロストーク
・職場紹介(写真・動画)

在職者で話し合った自社の魅力から導き出された採用コンセプトと、求める人物像を明確に伝えること。それをわかりやすい言葉に落とし込んだメインのキャッチコピーを各コンテンツに反映させておきます。企業説明会、面接など就活者とリアルで接する場面でも、この採用コンセプトの一貫性は保たなければなりません。

先輩インタビューやクロストークの編集においても、このコンテンツで、採用コンセプトに即して「就活者に何を伝えたいのか」を明確に意図することが大切です。就活者が読み込んでいくうちに、会社の強みや社風をくみとったり、「おなじ経験ができそうだな」と、自身におきかえてくれるように、企画の段階から仕掛けを考えておきます。

就活後期:どの企業に内定受諾を出すか

完全売り手市場のいま、就活者たちは数社から内定を受けるのがふつう。あなたが出した内定通知を受諾してくれるよう、働きかけるアクションが採用活動の成否を分けます。

就活者が重視するコンテンツ

・トップメッセージ
・会社の強み
・平均的な勤務スケジュール
・入社後サポート
・研修・教育制度
・キャリアパス

ミスマッチや内定辞退を防ぐために、採用サイトが果たす役割はなんでしょうか。

それはいま一度、認知や調査の段階で積み上げてきた、会社の強みと唯一無二の個性を再確認してもらい、就活者と採用担当が共有するなかだちをすることです。会社を知ったときから内定を受けるまでを振り返り、「自分はこのポイントが好きだから、面接に力が入ったんだな」とあらためて認知させてあげるのです。

「迷いのある就活者に、確信を持たせてあげる」こと。

複数の内定を受けていれば、世間体や周囲の意見の影響、社会経験のない就活者にとっては、どうしてもより大手で名の通っているところが気になるものです。企画の段階から就活者に魅力を感じてもらえる採用コンセプトで一貫して訴求してきたコンテンツは、競合企業との比較に優位性をもたらします。
結果として、大手を選んだ就活者とは100%の相思相愛にはなり得なかったと考えるべきです。
この段階で考慮すべきことのひとつに、早期離職の対策もあるからです。

自社の良さを気に入ってくれている就活者の後押しをするために、入社後の資料もていねいにまとめておきます。研修や教育の内容はできるだけ詳細に、資格取得のサポートも具体的な数値や実績をあげます。先輩社員の平均的な勤務スケジュールをうまく紹介するのも効果的。採用サイトではまだ多く見かけませんが、経営トップのインタビューで人材重視の姿勢や、独自の強み、今後の方向性を発信するのも、親御さんへの強いメッセージにもなります。

目の前の就活者に、真剣に思いを語るように

専門家に相談企業説明会で、就活者が興味を持った御社のポイントはどこですか?
どんな質問が出ましたか?
あなたの言葉に、集まった就活者はどんな表情をしていましたか?

リアルで接した就活者とのコミュニケーションには、採用サイトのコンテンツ構成のヒントがつまっています。それを採用サイトに反映していくことが、多くの相思相愛候補を集めるポイント。

自社は、どんな人材と縁を結べたらハッピーなのか。
採用活動とは、希望者の心情や迷いに寄り添い、お互いが納得して握手するまで思いをかわすプロジェクトです。まずは足元、自社の良さを振り返り、目の前の就活者たちと密なコミュニケーションを図ることに注力すれば、必ず答えは見つかります。

もし、それでも解決策が見つからなければ、当社にご相談ください。
就活者に刺さる優位性の見つけ方、採用サイトで優位性を一貫して訴求する方法をご提供しています。