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中小企業がAIを使い、経費ゼロでブランディング

中小企業のブランディング完全ガイド|AIと今ある資源で始める実践法

 

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。

 

景気が不透明ないま、中小企業にこそ必要なのは「ブランド力」

「安うしときまっせ」では、もう勝てない。
大阪産業局が2025年4月に行った景況調査では、今後景気が「伸びる」と見ている企業はわずか19.9%。
一方で「横ばい」が約半数、「悪くなる」と答えた企業も4社に1社。
つまり多くの中小企業が、「先行きの見通しが立たない」状況に置かれています。

そんななかで求められるのは、「安さ頼み」から抜け出すこと。
限られた資源の中でもしっかり選ばれる会社=「ブランド」のある会社になることです。

本記事では、大阪の中小企業がいまある手持ち資源で始められるブランディングについて、ChatGPTなどの無料ツールも活用しながら、わかりやすく解説します。
今日からでもすぐに取り組めるよう、テンプレートやチェックリストも用意しました。

 

なぜいま、中小企業にブランディングが必要なのか?

「うちは金ないから、宣伝なんてやってられへん」・・・ブランディングなら、やる価値はあります。
ブランディングと聞いて、「それは大企業の話」「うちは普通の町工場やから」と思ったことはありませんか?
でも実は、中小企業こそ「ブランド」をつくるべきなのです。

なぜか?

中小企業は広告費も、マンパワーも限られている。知名度だって、たかだかしれている。
だからこそ、新規の顧客候補に「この会社、信頼できるかも」「なんかええ感じやな」と思われる理由=ブランドがなければ、価格勝負になってしまうから。

ブランドは、毎日のやり取りの「にじみ」からできている

誤解されがちですが、ブランドはロゴやキャッチコピーを据え、きれいなWEBサイトをつくることではありません。

  • 初めての問い合わせにどう返すか
  • 商品やサービスにどんな言葉を添えるか
  • 社員さんたちがどんな態度で顧客と接するか
  • WEBサイトやSNSの言葉づかいはどうか

こうした「日々のコンタクトポイント(接点)※」での積み重ねが、「あの会社、なんか好きやな」という印象=ブランドになっていきます。

つまり、大きな予算をかけなくても、意識と工夫でブランドはつくれる。

ここから先は、そんなブランドをどうやって「自社らしく」つくるかを、5つの視点とAIツールを交えながら紹介していきます。

※コンタクトポイント
顧客と自社が接するあらゆる接点のこと。たとえば、電話対応、WEBサイト、会社案内、SNS、請求書、名刺、事務所など。目にふれる・声を聞く・接する場面はすべて「ブランドの顔」になるという考え方です。

 

自社ブランドをつくる5つの視点【テンプレート付き】

「うちらしさ」を言葉と形にするための軸は、次の5つ。
この章では、それぞれを簡単なテンプレート付きで紹介していきます。紙でもPCでも、形にしながら読み進めてください。

 

① ポジショニング(立ち位置)

うちは何屋で、誰にとって、どう役立つのか?

【テンプレート】
「うちは ○○向けに、△△を通じて、□□な価値を届けている会社です」

例:
「うちは飲食店向けに、手間のかからない業務用食材を通じて、“日替わりメニューが楽に決まる”という価値を届けている会社です」

 

② ペルソナ(顧客のキャラクター)

誰に選ばれたいのか?“一人に絞る”勇気を持とう

【テンプレート】
名前:_____さん(年齢)
職業・役職:__________________
抱えている悩み・課題は?____________
うちの商品・サービスでどう変わる?________

※実在の顧客を思い浮かべて書くと、リアルに思い描けるようになります。見落としがちですが、とてもたいせつなテンプレートで、どんな施策を考えるときも、ペルソナの◯◯さんなら、どう感じてくれるだろうと立ち返ることが、アイデアがブレないようになります。

 

③ ブランドストーリー(なぜ、この会社をやっているのか)

会社の原点に「らしさ」が詰まっている

【テンプレート】
「最初は○○だった。でも、△△な経験をきっかけに□□を目指すようになった」

例:
「最初は町の電気屋だった。でも、大手量販店の進出で経営が厳しくなり、“近所のお年寄りの困りごとを解決する店”として舵を切った」

 

④ トーン&スタイル(伝え方)

言葉・デザインに「らしさ」を込める

  • かっちり丁寧?
  • 親しみやすくフレンドリー?
  • 熱意あふれる情熱タイプ?
  • 職人肌の寡黙系?

SNS、チラシ、WEBサイトなど、すべてのコンタクトポイントで「同じ雰囲気」が感じられるように統一します。

【チェック】
□ 自社の言葉づかいは決まっているか?
□ 社名・商品名・キャッチコピーに統一感があるか?
□ フォントや色、デザインに一貫性があるか?

 

⑤ コンタクトポイント(接点)

お客さんと接する「あらゆる場面」がブランドをつくる

  • 電話応対
  • 見積書・請求書
  • 商品に添えるメッセージ
  • WEBサイトやLINE公式アカウントのトーク画面
  • 事務所の雰囲気

これらすべてが「ブランドの顔」になる場面です。
だからこそ、1つひとつを「うちらしい」に整えていきましょう。

マーケティングやブランディングで重要なのが、「一貫性を保つ」ということ。ある施策では◯◯と伝え、別の施策では△△となっている。これでは社内外で、どれがほんとうの姿なのかがわからなくなってしまいます。
中小企業に限らず、大企業でさえ、この一貫性を保つことは難しく、せっかくの施策が効果を発揮できないのです。

 

無料ツールとAIでコストゼロでもできる!中小企業のブランディング実践法

「うちには専門のデザイナーも、コピーライターもおらへん」
でも大丈夫。今の時代、無料のAIツールやテンプレアプリを使えば、「自社らしさ」は十分カタチにできます。

ここでは、ChatGPTやCanvaなど、誰でも使えるツールを例に、具体的な使い方を紹介します。

 

ChatGPTでつくる「キャッチコピー」と「ブランドメッセージ」

例:タグライン(短いひとこと)を考える

【プロンプト(指示)例】
「中小企業向けに業務効率化をサポートしている会社のキャッチコピーを5つ考えてください。“信頼感”と“親しみやすさ”が伝わるように」

→ 例として出てくるのはこんな感じ:

  • 「明日も安心、うちが支える」
  • 「小さな会社に、大きなチカラを」
  • 「業務のムダ、今日で終わり」

そのなかから、「うちらしい」ものを選ぶか、ちょっと変えて使うだけ、と言いたいところですが、バクっとChatGPTに投げても、「うちらしい」ものは出てきません。これまで考えてきた自社の背景や、顧客にとってのメリット、自社が実践していること、ペルソナなどをヒントに、ていねいに尋ねてみましょう。

ChatGPT

 

Canvaでつくる「統一感のある見た目」

Canvaは、無料で使えるデザインツール。ロゴや名刺、チラシ、SNS画像などがテンプレから簡単に作れます。

【活用TIPS】

  • ブランドカラーを1〜2色決めて、すべてに反映
  • フォント(文字の形)を固定してブレない印象に
  • 無料テンプレから「それっぽく見える」デザインを流用

→ プロじゃなくても、「きっちりしてる会社やな」という印象をつくれます。

Canva

そのほか使える無料ツールも紹介

用途 ツール名 特徴
ロゴ作成 Looka / LogoMakr クリックだけで簡単に生成
フォント選定 Google Fonts 日本語もOK、無料で商用利用可
カラーパレット Coolors ブランドカラーに悩んだときの味方
顧客管理 Notion / Google スプレッドシート 情報を整理して顧客対応の精度UP

ポイントは、「完璧じゃなくてええ。揃ってることがたいせつ」
たとえ手作りでも、言葉と見ため、発信のトーンに一貫性があれば、それが「信頼感」に変わる。
誰もが最初は素人。だからこそ、揃えることを最優先にして、できることから始めましょう。

 

中小企業からよくある質問とその答え【ブランディングQ&A】

Q. ブランディングって、ほんまに売上に直結するん?

すぐに売上にはつながらないかもしれません。
でも、他社との違いをはっきり伝えられるようになれば、「比較されにくくなる」「問い合わせの質が上がる」「値引きせんでも契約になる」という変化がじわじわ起きてきます。ブランディングは、長い期間をかけて取り組んでいくもの。じっくり腰をすえていきましょう。

 

Q. 社員に伝えても、ピンときてない感じが・・・。

ブランドは社長がひとりで考えた方針を「浸透させる」よりも、一緒につくるほうが早いんです。
全員が同じテンプレートを使って、ポジショニングやペルソナを出し合うだけでも、意識がガラッと変わります。

 

Q. 外注せず、自社だけでやっても大丈夫なん?

大丈夫、大丈夫。むしろ最初は「自社の言葉」で考えることに意義があります。もうこれ以上は無理やってなったときに、外部のブレーンに、「これがうちらの軸ですねん」と渡せば、話しは早いし、ブレずに進められるでしょう。

 

今日からできる!中小企業のためのブランディングチェックリスト

「よし、ブランディングやろう」と思っても、いきなり全部やろうとすると手が止まりがち。
まずはこの3つだけでいい。「15分でできる第一歩」をここにまとめました。

ステップ①:自社の「ポジショニング」を1文で書いてみる
「うちは誰に、何を、どうやって届けているのか?」
この1文があるだけで、SNSでも営業でも言葉がブレにくくなります。

【例文テンプレート】

うちは〇〇業界向けに、△△を通じて、□□な価値を届けている会社です。

→ 書いたものをスタッフと共有すれば、認識のズレをなくす会話のきっかけにもなります。

ステップ②:ChatGPTでキャッチコピーやブランド文を出してみる
「いいフレーズが浮かばへん・・・」そんな時の補助輪がAIです。
たとえばこんなふうに入力してみてください👇

【入力例】
「高齢者向けの配食サービスをしている会社のキャッチコピーを考えて。安心感と親しみやすさを出してほしい」

→ 5案くらい出てくるので、そこからピンとくるものを選ぶ or 組み合わせて使うだけ。
「考えすぎて止まる」時間をなくせます。

ステップ③:ホームページ・SNS・名刺を見直してみる
「伝えたいこと、伝わってるか?」を確認するだけでも効果あり。

【確認ポイント】

  • トーン(言葉づかい)は揃っているか?
  • 色やフォントは会社の印象に合っているか?
  • 「誰向けか」がハッキリ伝わる内容になっているか?

→ 小さな修正だけでも、「ちゃんとしてる会社やな」という印象に変わります。

まずは1つだけでもやってみてください。
完璧を目指すのはやめましょう。
上記の3つのうち、「一番手をつけやすそうなもの」から始めてみてください。
それだけで、あなたの会社は「ただの中小企業から、選ばれる会社」に一歩近づきます。

ブランディング

 

安売りせずに選ばれる中小企業になるために、今すぐできること

「ブランド」と聞くと、どこか遠い話に思えるかもしれません。

でも実際にブランドをつくっているのは、毎日の一言、ちょっとした気づかい、スタッフとの会話。
つまり、今のあなたの仕事そのものです。

完璧なロゴも、高価な広告もいりません。
「うちらしさ」を言葉にして、伝えるだけで、お客さんの見る目は変わります。

中小企業だからこそ、「ブランド」で逆転できる。
知名度がない。人手が足りない。予算に限りがある。
だからこそ、伝え方を整えるだけで、強い武器になる。

「この会社、なんか好きやな」
「ちょっと話を聞いてみたい」
そんなふうに選ばれる会社は、派手なことをしてるわけじゃない。
「軸」があって、「ちゃんと伝えてる」だけなんです。

フレイバーズは、そんな中小企業の「らしさ探し」に本気で向き合います。

  • 自社で考える時間がない
  • 社内で話し合っても、なかなか言語化できない
  • 社長ひとりで抱えてしまっている

そんなときこそ、お声がけください。
プロの視点で「御社らしさ、こういうことですね」とヒアリングを重ね、良いところ、他社と差別化できるポイントを整理していきます。

事業を良くするために必要なのは、①正しい方法を見つけること、②どうすれば最短で到達できるかを考えること、③改善しながら、突き進むこと、だと言われます。
その「正しい方法」を一緒に悩んで、一緒に笑って、あなたの会社だけのブランドという形でご提示できれば最高の仕事だと考えています。迷ったときは、ぜひ当社にお問い合わせください。