作成者別アーカイブ: 劉 又嘉

台湾の迷信で親孝行になる。これはホント

台湾の迷信で親孝行になる。これはホント

プロの野球選手が試合前に霊柩車と出会ったら、縁起がいいというジンクスがあるそうです。一般的には、受験失敗を連想させるような言葉「滑る」「落ちる」「散る」「転ぶ」を受験生に言わない。そんなゲンかつぎや迷信は、いろいろありますね。
私の地元、台湾でも、さまざまな迷信があります。科学的根拠がなく、バカバカしいものもありますが、すべてがそうではないと思います。私が好きな迷信についてお話しましょう。

台湾の不思議な迷信

台湾の不思議な迷信

台湾では、若者でも迷信を信じる人が多いです。外国人に不思議だと思われる迷信が、ある意味では文化にもなっています。

たとえば、何かを決める前に、民間信仰のお寺で仏神の意見を聞く人はよくいます。おみくじを引く前にも、まず引いていいかどうかを、赤い月の形の木片で神様にお伺いしてからになります。

また、旧暦の7月は鬼月と呼ばれていて、人間のいる「陽界」と幽霊のいる「陰界」の間にある「鬼門」が開くとされています。幽霊たちは鬼月のあいだ、人間世界でイタズラしたり、悪い事したりをするので、幽霊を刺激しないようにします。鬼月のあいだは、虫や蛇などの生き物を殺してはいけません。それが幽霊の化身かもしれないからです。虫が大嫌いな友人は、鬼月になるとたいへんです。殺してはいけないので、家の外へ追い払わなければなりません。
また、川や海など、水がある場所に行くと、水鬼に捕まるかもしれないので近づかないようにします。

中華系の人に「時計を贈る」ときには、ひと手間必要になります。
「時計を贈る」の中国語は「送鐘」といい、「送終」と同じ読み方(ソンジョン)です。「送終」は「死者を弔う」「親の死に水を取る」という意味で、死を連想させます。そこで、中華系の人は、時計のプレゼントをもらったら、贈ってくれた人に1元(約3円)を必ず渡します。そうやって、その人からプレゼントされたのではなく、1元で買ったことにするのです。

私が好きな迷信

科学的にはありえない内容ですが、私が好きな迷信を3つご紹介します。

月を指差したら、耳を切り取られる

月を指差したら、耳を切り取られる

小さい頃から、ずっと親に「月を指差したら、耳を切り取られるよ!」と言われてきました。三日月は刀の形と似ているので、月が刀になって耳が切り取られるということらしいのですが、誰が切りに来るのかは、よくわかりません。この迷信の本当の狙いは、人に指をさす失礼な行為をしないように、小さいころからしつけるためのようです。

室内で傘をさしたら、「財産がなくなる」「背が伸びない」

室内で傘をさしたら、「財産がなくなる」「背が伸びない」

室内で傘を差したら、で始まる迷信には「財産がなくなる」「背が伸びない」の2つのバリエーションがあります。
「財産がなくなる」という場合には2つの説があります。1つは「時計を贈る」と同じように「傘」と、「散」が同じ読み方(サン)だからです。「お金が散っていく」という連想です。
また、家で傘をささなければならない状況が、「屋根に穴が空いていて、雨が降りこんでくるくらい貧乏になる」というネガティブな連想からきているという説もあります。
2つ目は、泥棒に入られるという連想です。家の中で傘が広がっていたら、視線を遮ります。もし泥棒がその陰にいると、姿が見えません。だから、視線を遮るようなものは置かないで、家の中を整理整頓して、隅々までよく見えるようにしましょうという意味ではないかと思われます。

「背が伸びない」のは、子どもの教育のためのようです。室内で傘をさしたら、濡れていれば床はびしょびしょになりますし、ほかの人の目に当たることもあり、危険です。それをさせないように、子どもが怖がるようにしているのではないかなと思います。子どもは大きくなりたいと思っていますから、背が伸びないと困る、と思って守るようになるのではないでしょうか。

お箸を持つ位置が上になれば上になるほど、遠い所のお嫁さんになる

お箸を持つ位置が上になれば上になるほど、遠い所のお嫁さんになる

「お箸を持つ位置が、上になれば上になるほど、遠い所のお嫁さんになる」という迷信があります。私は小さい頃は信じていませんでした。
しかし少し成長すると、自分はお箸の上の方を持っているから、もしこの迷信が本当になるなら、「いつか遠いところへ行って、お父さんとお母さんと会うのが難しくなるかもしれない。今、そばにいるうちに親孝行しなきゃ」と思いました。
将来、この迷信通りにならなかったとしても、親孝行につながったのだからいいことだったと思えるので、あえて信じてみようと思いました。

迷信は裏が大事

「茶柱が立つといいことがある」とか「朝の蜘蛛は縁起がいい」とか、私が聞いた日本の迷信は、人に希望を持たせ、元気が出るものが多い気がします。
迷信を調べるのは、面白いですね。その国の文化と言葉も学ぶことができて楽しいです。

迷信は、人間を良い方に導くように機能しているように思います。私の場合も、信じてその通りにして、親孝行につながりました。
よい態度や行儀が習慣として身につくと、人間として、豊かになります。一見バカバカしく思えるし、根拠もないと感じますが、その裏には「人間として守るべきこと」が示されているのではないでしょうか。

あなたは迷信を信じますか?好きな迷信はありますか?
もしないのであれば、探してみてください。楽しいですよ!

投票率75%!20代を投票所に向かわせた台湾のアイデア

投票率75%!20代を投票所に向かわせた台湾のアイデア

いつも選挙で、誰に投票するか迷っていました。大事な一票を投じる、この候補者は、ちゃんと私が愛する家、愛する人々、愛する国のため、仕事をしてくれるのだろうか?それともただ税金を貰って遊んでいる人じゃないか?その税金は、みんなが毎日大変な仕事をして稼いだ給料で払ったのに!
そう考えると、一票を投じるのはすごく大切だし、難しいことですよね。
でも多くの人は、生活や勉強で疲れていて、候補者の公約を調べなきゃと思いながらも、いつの間にか選挙日になってしまっている…。私もそうでしたが、政治なんてさっぱりわからないし、つまらないし、もういいかと諦めてしまいがちです。

こんにちは、フレイバーズの外国人スタッフ2番、台湾から参りましたジャジャです。これから、一昨年の台湾での「楽しかった選挙経験」についてお話ししたいと思います。

政治オンチの私でも、わかりやすいサイトがあった!

2016年、台湾に総統と立法委員の統一選挙が行われました。
総統とはいわゆる日本の総理、アメリカの大統領のような、国をリードする人物で、台湾では直接投票ができます。立法委員は立法をすることも、内閣の行政を監督することも職責です。日本の国会議員のようなものです。

私は政治のことはまったくわからなかったので、誰に投票するべきか悩んでいました。その時に、SNSで二つの投票攻略サイトを見つけました。ゲームの攻略法のごとく、投票を失敗しないように作られている攻略法のようで、参考になりました。これから、その2つのサイトを紹介します。

投票攻略サイト1「総統選挙攻略サイト」

台灣總統,你來選!(台湾総統、あなたが選ぶ!)

【仕組み】
選挙当時は、原子力発電所、同性結婚の合法化、教育改革など、国民が注目している大きい争点がいくつかありました。このサイト上で、まずは自分が気になる争点を選びます。次はそれぞれ気になる課題について、自分がいいと思う解決案を選択肢から選びます。選んだら、自分の考えと候補者の考えの近さが円グラフで表示されます。最後に各候補者の公約を比べる一覧リストが表示されます。

台湾総統、あなたが選ぶ!

【感想】

総統候補者の3人とも有名人で、そのなかに私の父が薦める人がいました。しかし、その人の考えと私の考えが同じかどうかの判断はできませんでした。
このサイトで実際に比べてみると、私の考えの一部はA候補の考えと近い、別のところはB候補と近いというのがわかってきました。これを基にして、投票する候補者を決めることができたのです。
この時の選挙は、父の意見に従うのではなく、本当に自分が自分の意志で選んだという充実感がありました。
イラストを見て、簡単な選択をするだけだったので、まず気軽に参加しようと思えました。また、公約リストのなかで内容がよくわからない政策があったら、ネットで調べたり、その候補者のサイトへ行って説明を読んでみたり、自分から積極的に動くようになりました。

投票攻略サイト2「立法委員選挙攻略」

立委投票指南(国会議員投票ガイド)

【仕組み】
このサイトのトップページには、「争点から選ぶ」と「候補者から選ぶ」の、2つの入口があります。
「争点から選ぶ」から入ると、現在の法律の状況、問題点、進捗状況、賛成側と反対側の主張がわかります。
「候補者から選ぶ」から入ると、自分の選挙区の候補者がリストアップされています。公約、今までの国会の欠席率、前回選挙で貰った献金の金額や、それぞれの争点に対してどのような主張を持っているかがわかります。

国会議員投票ガイド

【感想】

立法委員の中でも有名な人なら私でも知っていましたが、自分の選挙区の担当議員は誰か、その人が普段ちゃんと国民のために頑張っているかどうかは知りませんでした。
選挙演説の時はかっこいい話をしていた人が、選挙の後、その公約を実行したのかどうかも知らないままでした。
これらの疑問は、このサイトで解けました。私が一番面白いと思ったのは、議員の国会の欠席率と献金額のデータです。議員によっては「へぇ!この人実はよく欠席しているんだ」と驚くような数値もあったんですよ。
デザインはちょっと真面目で面白味はないのですが、このようなサイトがあると、当選後の立法委員に「ちゃんとやらなきゃ、みんなに監督されている」という、責任感を持つことを促すことにもなると思いました。

WEBサイトが投票行動への扉を開けてくれた

サイトを参照する時には、1つの情報だけに振り回されて自分の行動が左右されてしまわないように、他の多くの情報も調べることが欠かせません。最初に、誰かが何かの利益を得ようとして作られているサイトではないか、という疑念を持った方がいいと思います。「我思う、故に我在り、」すべてについて疑うべし。デカルトの考えもここで応用できますね。私も他のサイトをたくさん見てから利用しました。

この2つのサイトは、デザインも宣伝も若者向けで、SNSで拡散されました。私と同じように政治に詳しくない人にとっても、国のことを知りたいと思いながらも、複雑でわかりにくいからとほったらかしにしていた人にとっても、国のことに参加しやすくなる入口になったと思います。
またこれらは、多くの人に、国に関する、皆で一緒に考えて決めなければならない重要なことを、わかりやすくする扉を開けたと思います。

これらのサイトの影響か、選挙当時のトレンドの影響かは不明なのですが、この時の選挙では20歳〜29歳の若者のうち、74.5%の人が投票しました(台湾知庫アンケート会社のリサーチ)。このニュースを見た時、これまでにない数値の高さに本当にびっくりしました。

投票行動への扉

気軽だけど真剣に。日本でも、「楽しい選挙経験」を

この「楽しかった選挙」経験から、ふと考えました。服、パソコン、化粧品、携帯…。私たちは普段の買い物を気軽に行っているようだけど、その実、成分や機能、製造元をみて、かなり真剣に比較してから買っている。なのに、国民の代表を選ぶ時にはなぜそうしないのか?と。

日本でも、「楽しい選挙経験」を

投票攻略サイトは、台湾だけにあるのではありません。実は日本にも「毎日新聞ボートマッチ えらぼーと 2017衆院選」「選挙ドットコム」という、投票に役に立つサイトがあります。ご存じなかった方は、一度、気軽な気持ちで使ってみませんか?
自分の意志で候補者を真剣に選んだことを実感できたら、その選挙が「楽しい選挙経験」になるかもしれません。

参考資料:
台灣智庫:年輕人投票率74.5% 補刀終結國民黨