コラム(フレイバーズなコト)

フレイバーズなコト 2019年4月9日

台湾の迷信で親孝行になる。これはホント

台湾の迷信で親孝行になる。これはホント

プロの野球選手が試合前に霊柩車と出会ったら、縁起がいいというジンクスがあるそうです。一般的には、受験失敗を連想させるような言葉「滑る」「落ちる」「散る」「転ぶ」を受験生に言わない。そんなゲンかつぎや迷信は、いろいろありますね。
私の地元、台湾でも、さまざまな迷信があります。科学的根拠がなく、バカバカしいものもありますが、すべてがそうではないと思います。私が好きな迷信についてお話しましょう。

台湾の不思議な迷信

台湾の不思議な迷信

台湾では、若者でも迷信を信じる人が多いです。外国人に不思議だと思われる迷信が、ある意味では文化にもなっています。

たとえば、何かを決める前に、民間信仰のお寺で仏神の意見を聞く人はよくいます。おみくじを引く前にも、まず引いていいかどうかを、赤い月の形の木片で神様にお伺いしてからになります。

また、旧暦の7月は鬼月と呼ばれていて、人間のいる「陽界」と幽霊のいる「陰界」の間にある「鬼門」が開くとされています。幽霊たちは鬼月のあいだ、人間世界でイタズラしたり、悪い事したりをするので、幽霊を刺激しないようにします。鬼月のあいだは、虫や蛇などの生き物を殺してはいけません。それが幽霊の化身かもしれないからです。虫が大嫌いな友人は、鬼月になるとたいへんです。殺してはいけないので、家の外へ追い払わなければなりません。
また、川や海など、水がある場所に行くと、水鬼に捕まるかもしれないので近づかないようにします。

中華系の人に「時計を贈る」ときには、ひと手間必要になります。
「時計を贈る」の中国語は「送鐘」といい、「送終」と同じ読み方(ソンジョン)です。「送終」は「死者を弔う」「親の死に水を取る」という意味で、死を連想させます。そこで、中華系の人は、時計のプレゼントをもらったら、贈ってくれた人に1元(約3円)を必ず渡します。そうやって、その人からプレゼントされたのではなく、1元で買ったことにするのです。

私が好きな迷信

科学的にはありえない内容ですが、私が好きな迷信を3つご紹介します。

月を指差したら、耳を切り取られる

月を指差したら、耳を切り取られる

小さい頃から、ずっと親に「月を指差したら、耳を切り取られるよ!」と言われてきました。三日月は刀の形と似ているので、月が刀になって耳が切り取られるということらしいのですが、誰が切りに来るのかは、よくわかりません。この迷信の本当の狙いは、人に指をさす失礼な行為をしないように、小さいころからしつけるためのようです。

室内で傘をさしたら、「財産がなくなる」「背が伸びない」

室内で傘をさしたら、「財産がなくなる」「背が伸びない」

室内で傘を差したら、で始まる迷信には「財産がなくなる」「背が伸びない」の2つのバリエーションがあります。
「財産がなくなる」という場合には2つの説があります。1つは「時計を贈る」と同じように「傘」と、「散」が同じ読み方(サン)だからです。「お金が散っていく」という連想です。
また、家で傘をささなければならない状況が、「屋根に穴が空いていて、雨が降りこんでくるくらい貧乏になる」というネガティブな連想からきているという説もあります。
2つ目は、泥棒に入られるという連想です。家の中で傘が広がっていたら、視線を遮ります。もし泥棒がその陰にいると、姿が見えません。だから、視線を遮るようなものは置かないで、家の中を整理整頓して、隅々までよく見えるようにしましょうという意味ではないかと思われます。

「背が伸びない」のは、子どもの教育のためのようです。室内で傘をさしたら、濡れていれば床はびしょびしょになりますし、ほかの人の目に当たることもあり、危険です。それをさせないように、子どもが怖がるようにしているのではないかなと思います。子どもは大きくなりたいと思っていますから、背が伸びないと困る、と思って守るようになるのではないでしょうか。

お箸を持つ位置が上になれば上になるほど、遠い所のお嫁さんになる

お箸を持つ位置が上になれば上になるほど、遠い所のお嫁さんになる

「お箸を持つ位置が、上になれば上になるほど、遠い所のお嫁さんになる」という迷信があります。私は小さい頃は信じていませんでした。
しかし少し成長すると、自分はお箸の上の方を持っているから、もしこの迷信が本当になるなら、「いつか遠いところへ行って、お父さんとお母さんと会うのが難しくなるかもしれない。今、そばにいるうちに親孝行しなきゃ」と思いました。
将来、この迷信通りにならなかったとしても、親孝行につながったのだからいいことだったと思えるので、あえて信じてみようと思いました。

迷信は裏が大事

「茶柱が立つといいことがある」とか「朝の蜘蛛は縁起がいい」とか、私が聞いた日本の迷信は、人に希望を持たせ、元気が出るものが多い気がします。
迷信を調べるのは、面白いですね。その国の文化と言葉も学ぶことができて楽しいです。

迷信は、人間を良い方に導くように機能しているように思います。私の場合も、信じてその通りにして、親孝行につながりました。
よい態度や行儀が習慣として身につくと、人間として、豊かになります。一見バカバカしく思えるし、根拠もないと感じますが、その裏には「人間として守るべきこと」が示されているのではないでしょうか。

あなたは迷信を信じますか?好きな迷信はありますか?
もしないのであれば、探してみてください。楽しいですよ!

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執筆:劉 又嘉

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