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ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方

メールにレポート、さまざまな種類の報告書…ビジネスマンなら誰しもが毎日なにがしかの文章を書いている。形式的な文書の書き方については他に親切なサイトがいくつもあるのでそちらに譲るとして、ここではもう少し突っ込んだ内容が求められるレポートや報告書の書き方について、ライティングの視点から考えてみたい。
評価されるビジネスレポートに必要なポイントは、以下の2点に集約することができる。

(1)オリジナリティのある内容か。
(2)読む人が苦労せずに理解でき、正確に内容が伝わるか。

この2つがきちんと満たすためにすべきことを、以下で紹介していきたい。

1.評価されるレポートの書き方、3ステップ

当たり前のことだが、研修レポート、視察レポートで重要なことはまず内容=「役立つことが書いてあるか」である。
読み手である上司の心情を想像してみよう。長々と読まされたあげく中身が空っぽだった場合、読み終わったときに書いた人間を思わずはりたおしたくなっていたとしても不思議はない。
内容が充実している、読んで良かったと評価されるレポートを書くために、意識したい3ステップを紹介しよう。

A.現状の把握と問題点の整理
B.分析
C.問題解決への提案

1-A.現状の把握と問題点の整理

まず現状を把握し、今抱えている問題を整理すること。
研修レポートや視察レポートの場合は、ほとんどが自らを対象としたものとなるだろう。自分や自社が今どんな問題を抱えているのか、社会や市場の動向はどうなっているのか。そして研修・視察先ではその問題はどうなっているのか、そこで自分は何を得てきたいのか。
ここで問題・目的を浮き彫りにし、レポートの冒頭でしっかりと宣言することで読み手と問題意識・目的意識を共有してほしい。これが的確で共感できる、または興味をひくものであればあるほど、読み手はぐっとあなたのレポートに引き込まれるはずだ。

1-B.分析

よいレポートには『分析』が不可欠だ。
ただ漫然と見ているだけでは分からないことがある。表面を流し見するのではなく、ひとつひとつの事象を深く掘り下げ、それによってどんなことが起こっているかを観察し、そこに自分なりの解釈を加える。これが『分析する』ということだ。
分析作業なくして突然結論を突きつけられても、読み手の納得は得られない。自分の書いたレポートに『分析』はあるか、常に意識しよう。

1-C.問題解決への提案

AとBを踏まえて、問題解決への提案で締めくくる。これがなければレポートを書く意味がないと言ってもいいほど重要だ。
ありがちな失敗例として「とても勉強になりました」「よい経験になりました」で締めくくられているレポートがある。読んだとき上司の心に余裕があれば、「よかったね」とホンワカしてもらえるかもしれないが、余裕のないときに読んだ場合は心のなかで「だから何なんだー!」と叫ばせてしまうことになるだろう。
心配しなくてもそれほど身構えることはない。なぜならAとBがしっかりと書けていれば、Cは自ずと導かれるはずだから。逆にCで手が止まってどうしても書けないというときは、AとBに問題がないか見返してみると良いだろう。

2.論理的に書くコツ。言いたいことを整理する

レポートに何を書くかは頭のなかにある場合、あとはそれを文章にするだけなのだが、実際に書き出す前にまずしておかなければならないことがある。
それは「言いたいことを整理すること」。特にビジネス文書ではこの行程がとても大切だ。頭に浮かぶまま本流と関係の浅い枝葉の部分を書いてしまうと、言いたいことが伝わらないうえ、読む人の混乱を招きストレスを与えることになるからだ。
まずは書き出す前にトピックごとに整理して、レポートの設計図を頭のなかに描いてから書き始めよう。具体的な手順は下記の通りだ。

1.言いたいことを一行ほどに要約してひとつずつ箇条書きにする。
2.1をどんな順番で書くのかを考える。
このとき、基本的には時系列に並べること。そして同じような内容はまとめること。上記のA、B、Cの流れに添えているかもチェックしながら進めよう。パソコンを使うと簡単だし、アナログ派ならメモ紙を数枚用意して1行ずつ書き、机の上で入れ替えてもよい。

ビジネスマンのための評価が上がるレポートの書き方、後半は

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3.スラスラ読めて高評価が得られるレポートのポイント

3-1.具体的に書く

抽象的な話を10語るより、1つの具体的なエピソードの方がよほど伝わることがある。それほど具体的な話というのはチカラを持っている。
だから研修先、視察先ではなるべく具体的なエピソードを探してほしい。そして気付いたことや思ったことがあればすぐにメモにとっておくことをおすすめする。
このネタ帳が、後でレポートを書く際に非常に役立つ。それくらいのことは覚えているというかもしれないが、自分の脳を過信してはいけない。先に述べたように、レポートでは具体性がとても重要だ。頭のなかに何となく残っているエピソードよりも、ネタ帳に詳細をメモしたエピソードに写真が添えてあるほうが何倍も説得力がある。
したがって、アイツ邪魔だな〜と思われても気にせずに、写真は一番前にしゃしゃり出て撮ってくるのが正解だ。ネタ帳や鮮明な写真があるのとないのとでは、レポートの出来に雲泥の差が生まれるのだから。

3-2.わかりやすく書く

ありがちなビジネス文書の失敗その2は、やたらと専門用語や難しい言葉を使うこと。この失敗の裏には、自分の書いた文章に箔をつけたいというヤマシイ気持ちが隠れている。
たとえば、こんな文章がある。「自社の経営ビジョンを達成するために何をすべきか」をある社員がまとめたものである。

『グループの全体最適を見据えつつ、その一方で個社最適も考慮してサービスを更に拡大していく』

それらしい言葉を多用すると自分が賢くなったように感じるが、実際のところ、たいしたことを言っていないことが多い。下記のようにしてみると、どうだろう。

『グループ会社一つひとつにとっての理想のサービスと、グループ全体にとっての理想のサービスには異なる点もあるため、その違いに考慮する必要がある』

おそらく、こんなようなことが言いたかったのだろう。難しい言葉を使うと自分は気持ちよくても、読む人に無駄に頭を使わせ、疲れさせる。難しい言葉を使いたい時は、その難単語を幼稚園児でも分かるような別の言葉で置き換えてみてほしい。すると、通りいっぺんではない深い理解が必要なことが分かるし、案外表面しか分かってないからその言葉しか出てこないということもある。

3-3.簡潔に書く

簡潔さはいつどんな場面でも役に立つ。
特に各種のレポートや報告書のようなビジネス文書では、短い時間で有益な結論を得たい人ばかり。回りくどい書き方、もってまわった書き方は評価を下げるだけと心得よう。簡潔に言い表すためのポイントを3つ紹介する。

  • レポートを書き終わったら読み返して、削れるだけ削る
  • 「馬から落馬」のような重複がないかチェックする
  • 分かりきったことを言っていないかチェックする

たとえば『学生時代はよく体が丈夫なことを褒められることが多かった』という文章では、頻度をあらわす「よく」と「多かった」が重複している。『学生時代は体が丈夫だと褒められた』でも、意味は十分伝わるし文章も引き締まった。
また、前置きやまとめはどうしても付けたくなるが、内容次第では蛇足になりかねない。分かりきったこと、みんなが知っていることをなぞっているだけなら、思い切って削除してしまおう。核心から入って核心で終わる、そんなレポートなら最高だ。余分な文章であなたのレポートの内容を薄める義理はない。

4.ビジネス文書とWEBライティングの共通点

ビジネスにおけるレポートや報告書の文章で重要視されるポイント、それは短時間で結論が理解できること、論理的であること、オリジナリティがあること、役に立つ内容であること…
考えれば考えるほど、WEBでのライティングとの共通点が多いことに気付く。優れたビジネスレポートを苦労せずに書けるようになれば、WEBライティングのスキルも自ずと上がるということである。
ただしメリットはそれだけではない。これらの共通点をよく見てほしい。ここには、WEBに限らずあらゆるビジネスシーンで、アドバンテージをもたらすスキルが凝縮されているのである。

研修レポートなんて、本業とは関係ないと思っているあなた。思考は言葉でできている。きちんとした文章が書けない人は、十中八九思考もこんがらがっているのだ。
デキるビジネスマンを目指すなら、とるにたらないと思われる研修レポートでも、上司を唸らせるくらいの気合いで臨んでほしい。言葉を磨けば、思考も磨かれる。研修レポートもWEBライティングも、上司の評価も営業成績も、すべてが言葉とつながっているのだ。

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