コラム(採用サイト)

採用サイト 2026年8月5日

早期離職の理由|見落とされがちな「配属ミスマッチ」を採用活動全体で防ぐには

PCの画面を真剣に覗き込む若手社員

「早期離職の理由を調べている」「求人を出しても応募が集まらない」「せっかく採用しても、1~2年で辞めてしまう」「希望は聞いているが、どうしても人が足りない部署に配属せざるを得ず、本人はどこか浮かない顔をしている」・・・。こうした悩みを、別々の問題として捉えていないでしょうか。

求職者側では、自分の配属先が運任せになることを指す「配属ガチャ」という言葉が広く使われるようになりました。この言葉の広がり自体が、「入社後にどう働くことになるか分からない」という不安がどれだけ大きいかを物語っています。

実は、この3つには共通の原因があります。「この職種で働くと、実際どうなるか」を、応募の段階で具体的に描けていないことです。

この記事では、早期離職の理由としてなぜミスマッチが見落とされがちなのか、そして職種ごとに「働く姿」を描くことで、応募減少・ミスマッチ・早期離職の根をどう断つのかを解説します。

平田弘幸

執筆した人:平田弘幸

株式会社フレイバーズ代表取締役。一般社団法人ブランドマネージャー認定協会・認定コンサルタント(インターナルブランディング)、ブランドマネージャー(1級)。大手電機メーカーで国内外の営業、企画を15年間経験した後、フレイバーズ設立。製造業での知見を活かし、中小企業のブランディングに強み。


本記事で分かること

早期離職の主な理由として見落とされがちな「配属ミスマッチ」の正体と、なぜそれが起きるのかがわかります。また、「正直に大変な面まで見せると応募が減るのでは」という不安に対する行動経済学的な裏付けと、職種ごとに「働く姿」を描いて早期離職とミスマッチを同時に防ぐ、採用サイト・求人票・説明会を含めた採用活動全体の進め方(3ステップ)を解説します。


 

早期離職の理由は?「ミスマッチ」「応募減少」との共通点

一般的に「早期離職」とは、入社から3年以内に離職することを指します。

早期離職の理由ランキング|新卒本人はどう感じているか

まず、早期離職を経験した(検討している)本人が、実際にどう感じているかを見てみます。学情が2026年4月入社の新卒者を対象に行った調査(2026年6月実施・有効回答52人)では、早期退職する・した理由として次の項目が上位に挙げられました。

順位 理由 回答割合
1位 仕事内容が自分に合わない、やりがいを感じない 63.5%
2位 労働時間・休日・働き方などの労働条件 38.5%
3位 成長・スキルアップが見込めない 30.8%
4位 上司・先輩との相性、人間関係 28.8%
5位 会社・職場の雰囲気が合わない 21.2%

(複数回答。対象は20代専門転職サイト「Re就活」登録者のため、回答数は52人と限定的です。とはいえ、1位が「労働条件」でも「人間関係」でもなく「仕事内容が自分に合わない」であることは、注目に値します)

労働条件・給与・人間関係・心身の健康・・・。これらも実際に大きな要因です。ただ、本人がいちばん多く挙げているのは、それらと並ぶというより、それらの一段前にある「仕事内容そのものが合わない」という感覚なのです。

厚生労働省の調査(令和6年発表)によると、新卒者の3年以内離職率は、高卒で約37%、大卒で約32%。3人に1人以上が、早期に辞めている計算になります。
学情「20代転職意識調査」

企業側の調査でも、最多要因は「ミスマッチ」

では、雇う側はこの状況をどう見ているのでしょうか。エン・ジャパンが2025年に人事担当者291社を対象に行った調査では、早期離職(半年以内)があった企業に要因を尋ねたところ、「仕事内容のミスマッチ」が57%で最多という結果が出ています。

本人が語る「仕事内容が合わない」と、企業側が語る「仕事内容のミスマッチ」。この2つの調査は対象も調査主体もまったく別ですが、結論はほぼ一致しています。早期離職の理由として、いちばん見過ごせないのは「ミスマッチ」だという点で、双方の認識が揃っているのです。

ここからさらに一歩踏み込んで、そのミスマッチが具体的にどこで生まれているのかを見ていきます。民間調査(リアセック社)では、新卒採用で「うまくいかなかったこと・ミスマッチだったこと」を経験した企業が8割を超えるという結果も出ています。ミスマッチの内容として多かったのは、次の3つでした。

ミスマッチの内容 回答割合
配属先のメンバーや上司との相性が良くなかった 37.0%
仕事に対する意欲に問題があった 36.8%
本人の期待と実態にギャップが生じた 36.3%

そして、ミスマッチによる悪影響として最も多く挙げられたのが「採用した社員の早期退職」(57.9%)でした。

この数字が示しているのは、ミスマッチが起きてから対処するのでは遅いということ。配属後に「思っていたのと違った」と気づいたときには、もう手遅れに近い。だからこそ、応募の段階でギャップを埋めておく必要があります。


 

早期離職の理由として、なぜ「配属ミスマッチ」は見落とされるのか

「なんとなく良さそうな会社だと思って入った。でも、実際に配属された部署が何をしているのか、面接のときはよく分からなかった」。こうした声は、採用サイトのリニューアルを検討する現場で、決して珍しくありません。

多くの採用サイトは、会社全体の魅力を伝えることに力を入れています。「裁量のある仕事」「成長できる環境」「風通しの良い社風」・・・。もちろん、こうした言葉自体は間違っていません。

ただし、これらは会社全体の話であって、職種ごとの話ではありません。

営業職とエンジニア職とでは、1日の過ごし方も、大変さの種類も、やりがいを感じる瞬間もまったく違います。それなのに、会社全体の「良さ」だけを伝えられた求職者は、自分がその職種でどう働くのかを、想像で補うしかありません。

想像で補われたイメージと、入社後の現実にズレが生じる。

これが「配属ミスマッチ」の正体です。求職者が悪いわけでも、会社が嘘をついているわけでもありません。伝える解像度が、会社全体のレベルで止まっていることが原因なのです。

多くの企業は、配属前に本人の希望をきちんとヒアリングしています。それでもミスマッチが起きるのは、判断材料になる情報が不足しているから。求職者は、実際に働いたことのない部署の「大変さ」や「やりがい」を、断片的な情報から想像で補って希望を出すしかない。加えて、会社側にはどうしても人を配置しなければならない部門があり、全員が第一希望どおりにいくわけではないのが実情です。

だからこそ大切なのは、「希望を全員に叶える」ことではなく、どの部署に配属されても納得感を持てるだけの、リアルな情報を事前に渡しておくことです。曖昧なイメージのまま配属されるのと、大変さも含めたリアルな姿を知ったうえで配属されるのとでは、本人の受け止め方はまったく変わります。


 

配属ミスマッチが早期離職につながるまで|「え?」から「おもろいやん」への分岐点

配属ミスマッチは、配属された瞬間に早期離職が確定するわけではありません。そこから定着するか離職するかは、時期ごとに段階を踏んで決まっていきます。

配属直後:「え?」という戸惑い

「営業を希望していたのに、配属は経理だった」。配属が決まった瞬間、多くの人がまず感じるのは戸惑いです。ここで会社側から何のフォローもなければ、戸惑いはそのまま不信感に変わっていきます。

1〜2ヵ月後:分かれ目

仕事に少しずつ慣れてくるこの時期こそ、実は最大の分かれ目です。「意外とこの仕事、嫌いじゃないかも」と感じ始める人と、「やっぱり自分には合わない」と感じたまま距離を置いていく人に分かれていきます。

実際に、あるクライアント企業ではこんな話がありました。
営業職を希望していた新卒社員が、配属されたのは経理。最初は戸惑いもあったようですが、配属先の部長と馬が合い、今では家族ぐるみの付き合いをするほどの関係に。「部長のためなら何でもする」と言うまでになったそう。かなり極端な例ではありますが、定着の決め手になるのは仕事内容そのものだけでなく、配属先の「人」との相性であることも珍しくありません。

この分かれ目を左右するのは本人の性格だけでなく、配属前にどれだけリアルな情報を渡されていたかです。

3〜6ヵ月後:定着か、離職か

「どっぷり、その仕事のマニア」になっている人と、退職を考え始める人がはっきり分かれるのがこの時期です。早期離職の多くは、実はこのタイミングで表面化します。

半年以降:定着した社員が、次の採用の「資産」になる

配属ミスマッチを乗り越えて定着した社員こそ、次の採用活動における最大の資産です。彼らの「変化の物語」を言語化して伝えることが、次に配属される候補者の不安を先回りして解消することにつながります。

新入社員が定着していくプロセス


 

リアルな姿を見せるほど、ミスマッチが減るという逆説

「大変な面まで見せたら、応募が減るのでは」

採用担当の方からよく聞く不安です。気持ちはよく分かります。ただ、実際には逆のことが起きます。

採用の世界には、RJP(Realistic Job Preview/現実的な仕事情報の事前開示)という考え方があります。良い面だけでなく、大変な面も含めてリアルな姿を事前に伝えるほど、入社後の期待値ギャップが小さくなり、定着率が上がるという知見です。

理由はシンプルです。

– リアルな姿が伝われば、自分に合わないと感じる人は、応募の前に自分から離れていきます。これは応募の「質」を上げる効果であり、会社にとっても、その人にとっても不幸なミスマッチを防げます。
– 一方で、リアルな姿に共感した人は、確信を持って応募できます。「なんとなく良さそう」という曖昧な期待ではなく、「この大変さも含めて、自分はやっていけそうだ」という納得の上での応募になるため、入社後のギャップも小さくなります。

抽象的な「成長できる環境」という言葉より、具体的な社員の言葉のほうが強く記憶に残り、自分ごととして受け止められる(識別可能性効果)というのも、行動経済学が示すところです。応募数を犠牲にすることなく、質の高いマッチングが実現できるのは、このためです。

応募者にどのように情報を提供するか?


 

職種ごとに「働く姿」を描く、採用活動の実践ステップ

採用サイトだけを改善しても、求人票や説明会で伝える内容がバラバラなら効果は半減します。具体的に何をすればよいか、採用活動全体を通した3つのステップに分けて説明しましょう。

ステップ1:職種ごとに社員インタビューを行う

会社全体の代表者インタビューだけでなく、職種ごとに社員の声を集めます。聞くべきは、良い面だけではありません。

  • 「この仕事の大変なところは?」
  • 「入社前とのギャップを感じたことは?」
  • 「配属されたばかりの頃、何に戸惑った?」
  • 「それでも続けている理由は?」
  • 「希望と違う配属だったとしたら、最初はどう感じた?」
  • 「『あれ、悪くないかも』と思った瞬間があるとしたら、それはいつで、何がきっかけ?」
  • 「今、この仕事のどこにいちばん夢中になれている?」

大変さを正直に語ってもらうことで、その職種に本当に合う人が見えてきます。

なかでも効くのが、希望と違う部署に配属された社員の「変化の物語」です。配属直後は「え?」と戸惑っていたのに、あるタイミングから「これ、意外とおもろいやん」と感じはじめ、今ではすっかりのめり込んでいる・・・。こうした声は、これから配属される候補者にとって何よりのリアルな安心材料になります。「希望と違っても、こういう続き方もある」と伝えられることは、ミスマッチそのものをなくす以上に、価値のある情報です。

ステップ2:良い面と大変な面を、両方コンテンツにする

集めた声は、良い面だけを編集して載せるのではなく、大変な面もセットで掲載します。採用サイトに限らず、求人票・会社説明会・面接で話す内容も、この「良い面と大変な面のセット」で統一します。「大変だけど、こういう瞬間にやりがいを感じる」という構成にすることで、誠実さと説得力の両方が生まれます。

ステップ3:職種別に、接点をまたいで一貫させる

採用サイトは、こうしたコンテンツを集約する上で最も重要な場所。会社紹介ページ1枚に全職種の情報を詰め込むのではなく、職種ごとにページやセクションを分けます。営業職を目指す人には営業職のリアルを、エンジニア職を目指す人にはエンジニア職のリアルを、それぞれ届く形で見せることが重要です。

同じ内容を求人票や会社説明会の資料にも展開すれば、応募から入社までのどの接点で接しても、伝わるメッセージが一貫します。採用サイトだけを整えても、説明会で話す内容がズレていれば、そこでまた新しいギャップが生まれてしまいます。


 

応募数を減らさずに、ミスマッチを防ぐには

ここまで読んで、「正直に大変さを見せたら、ただでさえ少ない応募がさらに減るのでは」という不安がまだ残っているかもしれません。

しかし、応募が減らない理由も、あらためて整理しておきましょう。いま、応募が集まらない会社の多くは、情報が「怖いほど正直」だから応募されないのではなく、情報が曖昧すぎて、応募する決め手に欠けていることが原因

「アットホームな職場です」「成長できる環境です」・・・。競合他社もまったく同じ言葉を使っている。これでは、求職者の心に「ここに応募しよう」という確信は生まれません。

具体的でリアルな情報は、確信をつくります。確信は、応募という行動の後押しになります。応募減少・ミスマッチ・早期離職、この3つを同時に改善できるのは、偶然ではなく、原因が同じだからです。


 

まとめ:3つの問題は、1つの処方箋で解決できる

応募が少ない、内定を辞退される、早期に辞めてしまう、配属後にギャップを感じる社員が多い。これらはバラバラの問題ではなく、「職種ごとの具体的な働く姿を、応募の前に描けていない」という、たった1つの原因から生まれています。

会社全体の魅力ではなく、職種ごとのリアルな姿を、良い面も大変な面も込みで伝えること。それが、応募の質を上げながら、入社後のミスマッチと早期離職を同時に防ぐ、いちばん現実的な処方箋です。

ただし、正直に言うと、これで不安が完全になくなるわけではありません。伝えた「リアルな仕事の姿」と、就活生本人が思い描いているイメージとの差が、どこまでなら「想定内」として受け止めてもらえるかは、実際に配属してみるまで分からない部分が残ります。ここから先は、一度の取り組みで解決できる話ではなく、採用活動そのものを継続的に見直し、ブラッシュアップし続けていくしかない領域です。

この記事のポイント

  • 課題:応募が集まらない・内定を辞退される・早期離職が続く・配属後にギャップを感じる社員が多い
  • 原因:職種ごとの「実際の働く姿」を、応募の段階で具体的に描けていないこと
  • 解決策:職種ごとに社員インタビューを行い、良い面・大変な面の両方を採用サイト・求人票・説明会など採用活動全体のコンテンツに反映する
  • 期待できる結果:応募の質が上がり、入社後のミスマッチと早期離職が同時に減る

 

よくある質問

Q. 早期離職の理由ランキングで、いちばん多いのは何ですか?

新卒本人を対象にした学情の調査(2026年)では、「仕事内容が自分に合わない、やりがいを感じない」が63.5%で1位でした。労働条件(38.5%)や成長機会(30.8%)、人間関係(28.8%)を上回っています。
企業側に調査したエン・ジャパンの調査(2025年)でも、早期離職の要因として「仕事内容のミスマッチ」が57%で最多となっており、本人・企業どちらの視点でも「ミスマッチ」が最大の理由として挙がっています。
加えて見落とされがちなのが「配属ミスマッチ」です。厚生労働省の調査では、新卒者の3年以内離職率は大卒で約32%、高卒で約37%。民間調査ではミスマッチを経験した企業が8割を超えており、なかでも「配属先の相性」「本人の意欲」「期待と実態のギャップ」が上位の理由として挙げられています。

Q. 面接の段階で、早期離職につながるミスマッチを防ぐことはできますか?

できます。RJPの考え方は、面接や求人票の時点から実践できます。
面接で良い面だけを伝えるのではなく、「大変な面」も含めて職種ごとにリアルに伝えることで、入社前の期待値と入社後の現実のギャップを縮められます。本記事のステップ1で紹介している社員インタビューの内容は、面接時にそのまま伝える情報としても活用できます。

Q. ミスマッチを防ぐには、大変な面は隠したほうがいいですか?

逆です。
良い面だけでなく大変な面も含めてリアルに伝えるほうが、入社後の期待値ギャップが小さくなり、定着率が上がります。これはRJP(Realistic Job Preview/現実的な仕事情報の事前開示)と呼ばれる考え方です。

Q. 正直に見せると、応募数が減りませんか?

応募の「量」ではなく「質」が変わります。
曖昧な情報より具体的でリアルな情報のほうが応募の決め手になり、自社に合わない人は事前に離脱するため、結果的にミスマッチのリスクが下がります。

フレイバーズでは、職種ごとの社員インタビューによる言語化から、それを伝える採用サイト・採用活動全体の設計までを一貫してご支援しています。「何から手をつければいいか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

採用サイトの設計・制作については、採用サイト制作(採用ブランディング)もあわせてご覧ください。
採用ブランディング全体の進め方は、採用ブランディングの進め方|6ステップで解説しています。
応募減少・定着率については、求職者が集まらない中小企業。採用ブランディングで定着率まで改善できるもあわせてご覧ください。

 

実績ページを見る


 

参考データの出典

まず、話だけ聞いてみる