コラム(フレイバーズなコト)

フレイバーズなコト 2018年6月12日

ダイバーシティを成功させる、本当の鍵となるものとは

ダイバーシティを成功させる

「ダイバーシティの意味」を問うと、「あのー、あれでしょ、女性の登用とかのことでしょ」といった曖昧な答えが返ってくることが多いかもしれない。
ダイバーシティを辞書でひくと、「多様性」と出てくる。「労働における人材の多様さの概念」という文言も見受けられる。

何となく言いたいことは分かるけれど、はっきりと定義しにくい言葉、ダイバーシティ。
性別はもちろん、生まれ育った国、経歴や立場、抱えているバックグラウンドは人それぞれ異なる。筆者は、多様な人が関わりあいながら働くことを「ダイバーシティ」だと捉えていた。

ところがそんな概念がひっくり返されるようなことが先日あった。わが社の会議室で起こった、小さな出来事。小さいけれど大きな意味を持つ出来事についてお話してみたい。

ライターの目からウロコが落ちたミーティング

ライターミーティング

「ライターチーム、集まって〜」のひと声で始まった小ミーテイング。いつもHTMLを組んでくれるスタッフが、何やらライターチームに伝えたいことがあるのだという。

興味津々で彼女の話を聞いてみると、内容はこうだった。

  • ライターによって原稿の体裁が異なるため、作業の効率化のため揃えてほしい
  • 写真をレイアウトすると、文字だけの原稿のときと改行のバランスが変わるため、あらかじめ写真をレイアウトした状態を想定して改行しておいてほしい
  • ファイル名を指定しておいてほしい etc・・・

どれもこれも、「なるほど!その通り!」ということばかりである。今すぐにも改善したい&改善すべき至極もっともな意見に、ライターチームはそれぞれに深くうなずきながら、今後のライティングに活かそうと、額に青筋を立ててメモしまくったのである。

1 On 1 (ワン・オン・ワン)ミーティングがきっかけ

ところで彼女の困りごとは、昨日今日に始まったことではないはずだった。ライターは継続してコラム原稿をあげているのだから、彼女は長い間何も言わず、効率の悪い原稿と格闘してきたのである。
そんな彼女が、今回声を挙げてくれたのは、最近始まった 1 On 1 (ワン・オン・ワン)ミーティングがきっかけだったそうだ。

One On One ミーティングというのは、上司がスタッフ一人につきたっぷり15分間、どうでも良い話を聞いてくれる、というすばらしいシステムで、フレイバーズで最近始まった試みだ。
息子のランドセルを買った話、断捨離でゴミ袋3袋捨てた話など、ほんとうに心からどうでもいい話(笑)を、秒刻みで忙しいはずの上司が「へえ〜」とか「ほお〜」とか言いながら聞いてくれるのである。

このミーティングで彼女が口にしたことがきっかけで、上記の小ミーテイングにつながった。この15分がなかったら、今も彼女はライターによって体裁バラバラの原稿と格闘していたかもしれない。

オープンなマインドが「壁」を超える勇気をくれる

オープンなマインド

ところで彼女は外国人である。日常会話は堪能だが、複雑な日本語はまだまだ勉強中。よけいに原稿に不備があると、対応に苦慮したことだろう。

困ったことがあれば、いつだってライターチームに言ってくれて良かったのだが、長きにわたり自分で負担を吸収していたのはなぜなのだろうか。

それは、誰の心にもある「心の壁」なのだと思う。
ライターチームが特にとっつきにくい空気を出していたつもりは、もちろんまったくない。けれど彼女にとっては、小さな壁をどこかに感じ、言い出しにくかったのだろう。

心の壁を越えるためには、ちょっとした勇気が必要だ。その勇気を引き出すのは、相手が「あなたの意見が聞きたい」というオープンなマインドでいてくれること。この出来事の場合、そのマインドを伝え、勇気を与える役割を果たしたのが、One On One ミーティングだった。

ダイバーシティの本質は、対等であること

フレイバーズには多様な人材がいる。外国人や子育て中の主婦・・・ひとりひとり環境は大きく異なり、多様であることが当たり前になっていたため、以前は何となく「ここはダイバーシティが実現している職場」と思っていた。でも今は、それがダイバーシティの本質ではない、と断言できる。

ダイバーシティの本質は、多様なバックグラウンドを持つ人たちが、対等に関わり合いながら、ひとつの目的に向かっていくこと。そこまでできて、初めてダイバーシティ=多様であることのメリットが発揮されるのだ。これを最近では格好よく、「ダイバーシティ インクルージョン」というらしい。

あなたから、学びたい

手術室

もちろん悪意はまったくなく、意図的でもなく、私たちは無意識のうちに目の前の相手を決めつけてしまっている。こうした決めつけは必然的に、心に壁を作り出す。

こんな話を知っているだろうか?
ある親子が交通事故に遭い、父親は残念ながら即死、息子は一命をとりとめたものの重傷で病院に運ばれた。オペ室に運び込まれた息子を見た外科医が言った。
「私にはこの子を手術することができません、この子は私の息子です」

ここまで読んで、何の違和感も持たなかったあなたはすばらしい。筆者は「?」と思ってしまった。種明かしすれば、外科医は男の子の母親だったのだ。何の矛盾もないはずの話に、「?」と思ってしまったあなたは、「外科医は男性のはず」という無意識のバイアスに支配されている。

職場だって見渡せば、無意識のバイアスだらけだ。
たとえば、男性だからリーダーシップ、行動力、決断力があるとする決めつけ、女性だから繊細で気が利くという決めつけ。
年齢や国籍、正社員とアルバイトといった立場の違いも何らかのバイアスを生みがちだし、先輩だから仕事ができる、後輩だからできないと思うのも決めつけだ。上司や先輩が、部下や後輩から学ぶことも、きっとたくさんあるはずなのだ。

私たちは職場でどのくらい対等に、目の前の人と関わり合っているだろうか。本当にニュートラルな目で、その人自身を見つめているだろうか。

相手がその人らしく、のびのびと能力を発揮するためには、「あなたから学びたい」という謙虚なスタンスを忘れないこと。そして、それを自分から発信し続けることが必要である。
その気持ちがないと、ダイバーシティなんて絵に描いた餅でしかない。
謙虚さを忘れず、ダイバーシティを発展させていけたら・・・そういったことを深く考えさせられた出来事だった。

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執筆:admin

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