コラム(フレイバーズなコト)

フレイバーズなコト 2018年7月10日

30分のタスクを重ねれば、仕事は気分良く終えられる

30分のタスクを重ねれば、仕事は気分良く終えられる

休日の前日の終業1時間前くらいになってから、終わっていない仕事のことばかりが頭のなかに浮かぶ。そして、もやもやした気持ちのまま家に帰る。
せっかくの休日が、「やり残し感」のせいで、楽しくなかった・・・。
こんな経験ありませんか?

こんな「やり残し感」に、以前は私も悩まされていましたが、今では解放されています。
その秘訣をご紹介しましょう。

達成できなかったことばかり考えてしまうのには、法則性があった

達成できなかったことばかり考えてしまうのには、法則性があった

私は、やり残した仕事があるのは好きではありません。さらに、そのことばかり考えてしまうことも、もっと好きではありません。そこで、「できていないこと」ことばかりを考えてしまうのはなぜか、調べてみたのです。

その理由を説明してくれたのが、「ツァイガルニック効果(Zeigarnik effect)※」という心理現象でした。
人間の心には、「達成できたことよりも、達成できなかったことの方を鮮明に覚えている」という法則性がある、というのです。

ツァイガルニック効果とは「未達成のことばかり考える」こと

「達成できたことよりも、達成できなったこと=中断していることの方をよく覚えている」というのは、「続きが気になる」心理現象でもあります。
その効果は、ドラマ・映画・CM・テレビ番組などでも利用されています。

思い当たりませんか?「続きが気になる」効果の身近な例

連続ドラマの場合は、その回のエンディングで「生きているのか死んでしまったのか曖昧」「誰か特定できない後ろ姿だけ」など、新展開を予想させるシーンで終わります。「え、どうなったの?」という印象を与えることによって、次回も見たいと思わせるわけです。

テレビのバラエティー番組では、視聴者がCM中にほかのチャンネルを変えないように、CMの直前で「ゲストのビックリした顔だけ見せる」「ゲストの顔や発言を隠して流す」などの演出をします。
スイッチを切るつもりでいたのに、ついついそのまま見てしまうことになるのはこのためです。

ツァイガルニック効果を利用する方法

では、「続きが気になる」「達成したことには関心がなくなる」心理現象を、勉強や仕事でうまく利用する方法をご紹介しましょう。

休憩から戻れない理由

学生時代、自習しているときには、1時間ごとに10分休憩とか、問題集を3ページやったら休憩するなど、一つの区切りがついたタイミングで休憩時間を設定していました。
ところが思ったより休憩が長くなってしまい、なかなか勉強に戻れないことも。

それは「キリのいいところ」は、「何かが達成された」状態だから。人間は「達成されたことには、あまり関心を持たない」というツァイガルニック効果によって、勉強には、もうあまり関心が持てなくなってしまうのです。

あえて「キリのよくないところ」で休憩をとる

あえて「キリのよくないところ」で休憩をとる

そこで、休憩を取るタイミングを変えてみました。
休憩を問題集のページなどの「キリのよくないところ」、たとえば問題だけを読んで解答していない段階で休憩を取ります。すると休憩の間、頭の中にはさっき読んだ問題が未解決のまま残り、解決したい気持ちがだんだん強くなって、勉強に戻りやすくなりました。
ただし、数学の問題の途中で休憩を取って、戻って英語を始めるのはダメ。新しいことを始めることになるので、スムーズにはいきません。

仕事でも同じです。「キリのいいところ」まで作業して休憩を取ると、スッキリした気持ちで「もう、仕事にあまり関心がない」状態になっています。それで、休憩から仕事に戻る気持ちの切り替えがしにくくなるのです。
やや中途半端なタイミング、たとえば全体の3分の2くらい進んだら休憩を取ってみてください。「もう少しで完成できる、仕上げてしまいたい」という気持ちがわいてきて、短い休憩だけで作業に戻ることができますよ。

プライベートでも仕事でも利用できた

次に、社会人になってからツァイガルニック効果をさらに実感できた経験をご紹介します。
新しい趣味や運動などを、「始めたものの続かない」人、また、いつも仕事に「追いかけられている」ような気持ちになる人に試していただきたい方法です。

プールに行きたくない!そんなときには

プールに行きたくない!そんなときには

去年、私は仕事帰りに週2回はプールに行こうと決めて、2ヵ月はちゃんと通いました。ところが3ヵ月目には「行きたくない」と感じるようになってしまったのです。

そこで、このとき実行したのが、「仕事帰りにプールに行って泳ぐ」という一連の行動を細かく分割して、「すぐに達成できる、いくつかのやり残し作業」のグループと捉え直すことでした。
1つめの作業は「水着をカバンに入れる」だけ。
そしてそのあとは、「すぐ達成できる細かな行動」を一つひとつ達成していくだけです。

1.前の日に水着をカバンに入れる
作業はこれだけ。泳ぐことは考えません。

2.仕事が終わったら、プールの最寄り駅に行く
当日は、最寄り駅に行くことだけ意識します。
到着後には、次の「プールに到着すること」に意識が移り、歩いていく気になります。

3.プールのある建物に入る
入ってしまえば、「チケットを買う」という「すぐに達成できる作業」が待っています。

4.チケットを買う
チケットを買ってしまえば、もう着替えて泳ぐだけ。この時点でかなり気分が楽になっています。

行く前は、いやで仕方がなかったのですが、プールに入ってしまえばいつも通り、楽しく泳げました。
実はこの経験は、仕事の面でも活かせています。

仕事が終わらない!そんなときにも

仕事が終わらない!そんなときにも

大きなプロジェクトや、ちょっと複雑な作業に直面したときに、毎日、終わってない仕事がたくさん残っているようで、ストレスを感じることがありませんか?
そんなとき、当社代表にもらったアドバイスが「作業内容を一つひとつの細かいタスクに分ける」ことでした。

まずTo doリストを作りますが、一般的なリストは下のようなものが多いかと思います。

〇月〇日
□ Company Aのサイト作成
□ Company Bにプレゼンに行く
□ Company Cのメンテナンス
□ ・・・

こういうリストだと、1つの項目が含む作業が多く、あれもこれもやらなければならない気持ちになってしまいます。
そこで、1つのタスクを30分から1時間程度で終わるボリュームに、細かく分けるようにしました。

例えば、Company Aのサイト作成作業のうち「トップページ作成」だけを1つの項目にして、さらに細分化した作業単位でリストアップします。

□ トップページのラフ
□ トップページのレイアウト
□ トップページの画像素材などを準備
□ トップページのhtmlマークアップ
□ ・・・

どの項目も「短時間で達成できる」ので、目の前にある作業だけに集中できるようになりました。さらに、1つが終わるたびに気分がよくなります。
また、終わった作業と残っている作業の数を客観的に把握できることから、今どの段階まで進んでいるのかがはっきりするのも収穫でした。
やってみてわかったのですが、これもまたツァイガルニック効果の応用。
今では、自分で仕事をコントロールできるようになり、もやもやした「やり残した感」とは無縁です。

やり残し感のない休日を過ごそう

やり残し感のない休日を過ごそう

「やり残した感」を打ち消そうとしても、それがまたストレスになります。であれば最初から、「やり残し感」を抱かないようにする方が得策です。
ツァイガルニック効果を利用して、すぐに達成できることを一つひとつこなしていくようにすると、仕事もスムーズに進められて、プライベートもスッキリした気持ちで過ごせるようになります。
ぜひ、お試しください。そして、休日を晴れ晴れと過ごしてください!

パクポン ハイ テムティー ナ!
(タイ語で、「ゆっくり休んでください」)

※旧ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニック(1901年11月9日 – 1988年2月24日)が「目標が達成されない行為に関する未完了課題についての記憶は、完了課題についての記憶に比べて想起されやすい」との事実を実験的に示したことに由来する。

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執筆:Boonrong Pinfa

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