コラム(ブランディング)

ブランディング 2021年12月27日

SDGs訴求のCM、自社の主張に共感を呼ぶ秀逸な2本

SDGs訴求のCM、自社の主張に共感を呼ぶ秀逸な2本

規模の大小を問わず、SDGsをうたう企業が多くなってきた。基本的な主張が「誰も取り残さない」であるだけに、各企業が訴求するのに厳しい制限や審査がないことも、訴求する企業が多くなっている理由のひとつだ。
良い思想を持ち、それに即した事業活動を行う会社として社会的に認めてもらおうという訴求が世界的なムーブメントになりつつある。
就活者たちは、社会的に意義のある会社への就職を望み、エネルギー問題に対処することを取引条件とする巨大企業も出てきた。企業活動に大きな影響を及ぼしつつあるがゆえ、SDGsへの取り組みを行うことが生き残りの条件になっているのだ。ただ、せっかく真摯に取り組んでいる活動をステークホルダー、もしくは未来のステークホルダーに共感してもらうのはかんたんなことではない。なぜなら、その活動が世界の将来にとって必須だと感じている人が、まだまだマジョリティではないからだ。その活動内容をダイレクトに伝えても、聞かされているほうは「へぇ~」としか認識しない。

このコラムでは、SDGsの活動内容をしっかり伝え、視聴者にも共感しやすくなっているCMを例に挙げ、訴求方法のポイントについて探っていきたい。

カネボウ「希望よ、動き出せ。」

カネボウ「希望よ、動き出せ。」

理念の見直しをしたカネボウ。自分たちのミッションは、人々に希望を与えることだと事業を捉え直した。
このCMがリリースされたのは、新型コロナ感染の拡大がまだ落ち着きを見せていなかった2021年7月16日。新型コロナ感染症との出口の見えない戦いに世界中がが疲弊し、明るい明日を見いだせないでいるときだった。
ただ、みんなが心のどこかで「きっと、もうすぐ平穏な日々がやってくるにちがいない」と一縷(いちる)の望みを抱く雰囲気があったのも事実。

そこで登場したCMは、1980年カネボウが松原千明を起用し、渡辺真知子の力強い歌声で時代を動かしたキャンペーンCMの歌をセルフカバーしたもの。世界中から楽しそうな表情を映し出した明るい映像は、「希望よ、動き出せ。」と締める。
化粧品メーカーのCMにもかかわらず、登場するのは女性ばかりではない。それぞれの希望や、親密な人たちと大切に過ごす時間、ダイバーシティまでもを表現した秀逸な出来となっている。

同社はSDGs活動の一環としてこのCMを立案したわけではなさそうだが、事業(化粧品)を通じて人々に希望をもたらすことを目標とするならば、その条件を十分に満たしているといえるだろう。

カネボウ「希望よ、動き出せ。」

SUBARU「一つのいのち」篇

SUBARU「一つのいのち」篇

2030年、どんなあなたでいたいですか?という問いかけからから始まるCM。
「家族と旅をする」「この子と海辺で暮らす」「獣医になる」など、一般の人っぽい方たちがそれぞれに、夢を語る。テレビを観ている人たちも、つられて「自分は何やってるかな?」などと、まだ見ぬ世界に思いを馳せたりしてしまう。テレビから聞こえてくる言葉が身近であればあるほど、自分ごととして捉えやすくなるのだ。

CMのキメは、「スバルは2030年、交通死亡事故ゼロをめざします」。

YouTube公式チャンネルには、「あなたが輝く未来を守り抜く」とつづられている。「守り抜く」とまで強い言葉で言い切られると、その意志は本気なのだなと感じさせられる。
交通事故は、とつぜん悲しい結末を運んでくる。家族を事故で亡くした経験のある私は、よけいにそう感じてしまう。そんな経験がなくても、視聴者のほぼすべてが大きく賛同するはず。

SDGsが期限としている2030年に向け、同社は事業の大きな柱(KPIに設定)として交通死亡事故ゼロを目指す。コーポレートサイトに掲げられたCSR目標は、「安全機能の向上」「安全な運転への貢献」。ありたい姿として「すべてのステークホルダーに『最高の安心』を感じていただける企業になる」としている。

SDGsの目標3、ターゲットのひとつ3.6には「2020 年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」とある。SUBARUが掲げた目標は、これを一歩進めた内容だ。

SUBARU「一つのいのち」篇

訴求するのは、共感を呼べる活動に絞り込もう

先に挙げた2社がうまいなと感じる点は、自社の言いたいことを訴求しながら、それが見ている人たちにも自分ごとにしてもらえるように促していること。もちろん、両社の言いたいことが誰もが納得できることであるということもそれを後押していることもある。

平和な日本で暮らしているなかで、喫緊の課題として捉えづらいSDGs。せわしなく生活しているなかで、SDGsのことを考えられるのは、よほど意識の高い人だ。その他の人を巻き込もうとするなら、以下の2点がポイントとなる。

①自社の主張のなかで、多くの人に同意してもらえるものを選ぶこと。
②その主張を自分ごととして捉えられるような仕掛けをすること。

会社の規模を問わず、ESG経営が必須だといわれている。自社が存在するに値する良い会社であるということを、うまく訴求することが未来を占う試金石といえそうだ。

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執筆:平田 弘幸

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