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トラックボールの利点を見逃すな。愛用者が伝えたい7つのこと

トラックボールの利点を見逃すな。

長時間PCの前で作業をしていると、体が硬くなり、肩がこってくる。モニターが大きいので、画面の端のファイルにポインタを合わせようとすると、何度もマウスパッドからマウスがはみ出してしまい、ガチャガチャと位置を変えるので隣の人に「うるさい!」と言われたことがある・・・。

あなたはポインティングデバイスの王者、トラックボールの存在を忘れてはいないだろうか。

トラックボールのどっしりとした存在感とともに、これから紹介する数々の利点をかみしめれば、あなたはきっとどこかのネットショップで思わず「ポチ」っとしてしまうかもしれない。

筆者はPC歴30年、トラックボール愛用歴10年のWEB制作会社の経営者。

1.トラックボールは、右肩の負担を緩和

PCは欠かすことのできない便利なツールだが、やはり長時間同じ姿勢で使用することによるデメリットは周知の通り。エコノミー症候群と同じく、同じ姿勢を長く維持していることによって体への負担は想像を絶するものがあるのだ。

1-1.猫背姿勢による、腰への負担

PC操作の長時間化で指摘されているのは、猫背姿勢による背骨の曲がり。座高が高い、腹筋、背筋のバランスが悪く、どうしても楽な姿勢 - 気付くと猫背になってしまうという人が陥りやすい症状だ。

腰からくる病気は、数限りない。背骨をまっすぐにし続けるのが辛くなってきたら、いったん休憩を入れる、その場で背伸びをしてみるといったことだけでも、少し症状は緩和される。

1-2.にわとり型くび傾斜による、首への負担

意外と多いのがこのタイプだ。先ほどと同じく座高の高い人や近視の人に多い。背骨から伸びた頸骨(首の骨)がモニターをのぞき込むのに集中するあまり、極端に前傾斜になってしまい、にわとり独特の首の動きに似ていることから、こう呼ばれるようになった。

この症状の対処法は、胸を張ることだ。胸を張ると、自然に首はあるべき場所に落ち着くので、「にわとり」にはならない。

1-3.右腕だけを極端に使用することによる、アンバランス

いよいよトラックボールの利点を紹介するポイントがきた。

先の2点は、心構えや筋力強化で解決できる課題だが、マウスを長時間使用することによるアンバランスは、マウスを使っている限り避けようがない。しかしトラックボールを導入すれば、そのアンバランスは、かなり改善される。なぜなら、トラックボールを使えば、ほぼ親指のみでポインティングを行うので、右腕(右肩)の動きは必要最小限になるからだ。

マウスを操作するには、キーボードから右手を移動させマウスを持ち、そのままマウス自体を移動させることによってポインティングを行う。しかしトラックボールの場合はキーボードから離した右手をマウスと同様少し移動させるだけでいい。あとは静かに親指に意識を集中するだけで、思い通りにぴたっとポインティングしてくれるのだ。

人間の体は基本的に左右対称にできているのに、PCを操作するために右手だけを不必要に動かすのはおかしい。しかもPCの操作になれていなかったり、長時間操作を行うことで、右肩から下部の部位に良いわけがないではないか。

2.トラックボールがきつい肩こりを緩和

筆者はこの仕事を始めたころ、きつい肩こりに悩まされていた。それを解消できないかとGoogle先生に教えを乞い、トラックボールの存在を知り、利点の数々を検討した結果、購入に至った。正直なところ、それまで20年近くマウスに馴れてしまっていたので違和感があったが、操作に馴れてからは、肩こりがかなり緩和された(長時間PCに向かっていると、少し親指は疲れる)。

正直に言うと、解消ではなく緩和である。

あなたが考えている以上に筆者はまじめなので長時間PCの前にいるのだ。
その長時間使用がトラックボールの利点の限界を超えてしまっているので、解消ではなく緩和となってしまう理由なのだ。

それでも、使い始めた当初はWindowsだけでの使用だったが、おもにデザイン系の作業をするMacでもトラックボールを使い始めると、筆者のなかでその存在感というか利点が大きくなり、ますます手放せなくなってしまった。そして「親指党」でもつくろうかと感じるくらい、トラックボールの利点に魅了されているというわけだ。

3.トラックボールを使うメリット

トラックボールはポインテイングデバイスとして、PC用のみならず、医療機器や船舶、各種の産業機器といった業界で利用されている。TVのリモコンやスマートフォン、ゲーム機のコントローラーにも組み込まれているので、あなたもPC用ではないものを見ているはずだ。

余談だが、こんなにデカいトラックボールもある。用途はお客さん次第らしい。
石川光学造形研究所

すでに1966年には何らかの目的でトラックボールが米空軍に納入されていたという記録が残っている(wikipediaによる)くらいだから、半世紀にもおよぶ歴史を持つデバイスなのだ。

3-1.親指を鍛えられる

10年ほどトラックボールを毎日数時間使っていると、親指がわずかに筋肉質になっている。この記事を書くにあたって両手を比べて、わずかだが変化している右手の親指を見て、ちょっと笑ってしまった。女性でも許せる範囲の、親指のかわいい「進化」だったからだ。

3-2.誰でも使える簡単さ

なぜこのように多くの業界で採用されてきたか。それは「子供でも使える簡単さ」ゆえだ。トラックボールはくるくると回転するボールを操作するだけで、ある地点を指し示すことができる。初めての人にも操作しやすいツールであるわけだ。

トラックボールの利点を見逃すな。愛用者が伝えたい7つのこと、後半は

「3-3.ガチャガチャと音がしない」へ

3-3.ガチャガチャと音がしない

これは人によるのだが、冒頭でも紹介した通り、マウスでやたら音を立てる人がいる。しかしトラックボールは本体を動かさないので、音は立たない。かすかにボールが動く「シュ」という音がするだけだ。

3-4.身体的な負担を軽くしてくれる

これまでも説明してきたように、マウスに比べ格段に右手の負担が軽くなる。正直、これ以上負担を軽くするのは難しいと思うのだ。また、マウスで腱鞘炎になる人がいるとも聞くので、こういった可能性がある方にもおすすめだ。

3-5.装備品が少なくて済む

マウスパッドが不要だ。今のモデルは、電気の消費も非常に小さいので、ほぼ1年間電池交換をしないで済む。

3-6.メンテナンスが簡単

汚れた机の上を行き来するマウスと異なり、でんと定位置に座っているだけなので、掃除するポイントはひとつだけ。ボールを取り出してキャスター部分にたまったホコリを取り除くだけだ。これで見違えるようにボールの動きが軽くなる。

3-7.壊れない

マウスと異なり、振り回すことがないので、壊れない。

筆者が10年間でトラックボールを買い替えたのは、たった1回だ。会社ではMacBookにWindowsを共存させているので、コピーを書いたり企画書をイラストレーターで作成するときも、トラックボール。これだけ酷使しても、たったの1回しか買い替えていないのである。

深夜や休日に自宅で作業をすることもあるのだが、自宅では会社で余っていたマウスを使っていた。しかしやはり我慢できなくなり、とうとう自宅にもトラックボールを追加購入してしまった。

4.トラックボールは3タイプ。おすすめは

トラックボールには、手のどこを使ってボールを回転させるかによって、3カテゴリーに分類される。

  • 手のひらで操作するタイプ(米・ケンジントン・テクノロジー・グループ社製が代表格)
  • 人差し指で操作するタイプ(各メーカーからリリース)
  • 親指で操作するタイプ(各メーカーからリリース)

筆者は、親指操作タイプを愛用している。もう廃版になってしまったマイクロソフト社製からロジクールの名機MS70に惚れてしまっている。右手の負担を軽減するには、親指操作タイプが抜群の威力を発揮してくれる。

なぜなら、手のひら操作タイプは右手全体を動かさなければ操作できないし、人差し指操作タイプもほとんどのモデルがホイールがなく、唯一ホイールが付いているロジクールのモデルでさえ、人差し指をボールを回転させたり、ホイールを転がしたりと忙しいのだ。

その点、親指タイプは筆者の不満をすべて解決してくれる理想のポインティングデバイスと称してもいいぐらいのツールだからだ。そのなかでも前述のロジクール製はボールの回転も非常に滑らかで心地よい。

2014年に新発売となったエレコム社製のモデルも価格とのバランスが良く魅力的だが、すでに使用された方のレビューでは、ボールの滑らかさがロジクール製に比べると今ひとつらしい。ロジクールのボールと入れ替えるとしっくりくるそうで、このあたりの改善が必要なのかもしれない。

5.トラックボールの利点を見逃すな

ポインティングデバイスのシェアとしては決して高くはないが、ケンジントン、ロジクールをはじめとするメーカーが開発を止めずに新製品を少しずつ投入してきているということは、それだけ筆者のようなコアなファンが一定数存在するということだ。これだけの利点があり、利用者から圧倒的な支持を得ているトラックボールをあなたの悩みを解消するために試してみる価値はある。

スタートしなければ、何も変わらない。トラックボールがあなたにも必ず合うとは言わないが、自分がトライしなければ合うかどうかさえも分からないのだ。

筆者が愛用するトラックボールマウスは、2台ともLOGICOOL M570t

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